JP2018190533A - 電線の接続構造、およびハーネスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一対のバレル部の突き合わせ部分からの芯線のはみ出しを回避できる電線の接続構造を提供することを目的とする。【解決手段】ハーネス1は、複数の金属素線により構成された芯線11と、芯線11を被覆する絶縁被覆12とを備える電線10と、本体部21と、本体部21から延び、芯線11に被せ付けられる電線固定部23とを備える単芯線20と、芯線11が配置される底板部31と、底板部31から延び、電線固定部23の外側から巻き付けられている一対のワイヤーバレル部32とを備えるスプライス端子30と、を備える。このような構成によれば、芯線11とワイヤーバレル部32との間に単芯線20の電線固定部23が介在することとなるため、一対のワイヤーバレル部32の突き合わせ部分から芯線11がはみ出してしまうことを回避できる。【選択図】図12
Description
本明細書によって開示される技術は、電線の接続構造、およびハーネスの製造方法に関する。
従来、丸棒線と撚り線とが接続された電線の接続構造が知られている。丸棒線は、平板状の板体に成形された導体を有している。一方、撚り線は、複数本の素線を撚り合わせた導体を有している。丸棒線の導体に撚り線の導体を重ね合わせて超音波接合を行うことにより、接続箇所が形成される。
しかしながら、上記のような超音波による接合方法では、撚り線が上方に引っ張られた場合に、撚り線の導体が丸棒線の導体から引きはがされやすいという問題がある。かといって、一対のバレルによって撚り線の導体を巻き込む圧着では、素線のはみ出しが発生しやすく、はみ出した素線が他回路に接触する等して回路間で短絡するおそれがある。
本明細書によって開示される電線の接続構造は、複数の素線により構成された芯線と、前記芯線を被覆する絶縁被覆とを備える電線と、本体部と、前記本体部から延び、前記芯線に被せられるように配置される電線固定部とを備える接続導体と、前記芯線が配置される底壁部と、前記底壁部から延び、前記電線固定部の外側から巻き付けられている一対のバレル部とを備える圧着端子と、を備える。
上記の構成によれば、芯線とバレル部との間に接続導体の電線固定部が介在することとなるため、一対のバレル部の突き合わせ部分から芯線がはみ出してしまうことを回避できる。
上記の構成において、前記電線固定部が、前記芯線の周方向に沿って延び、他の部分よりも厚さの大きい厚肉部を備えていてもよい。
電線固定部が厚肉部を備える構成によれば、芯線のうち、厚肉部が介在している部分は、他の部分よりも高い圧縮率で圧縮された高圧縮部となっている。高圧縮部では、芯線が高い圧縮率で圧縮されることで、芯線の表面に形成された酸化被膜が破壊され、金属の新生面が露出する。この新生面と圧着端子および電線固定部が接触することにより、芯線と単芯線と圧着端子との間の接触抵抗を小さくすることができる。一方、他の部分では、芯線が高圧縮部よりも低い圧縮力で圧縮されているため、芯線の断線が防止される。
このように芯線に高圧縮部が存在する場合、この高圧縮部において、芯線のはみ出しが生じやすい。これを回避するため、芯線とバレル部との間に電線固定部が介在する構成を好ましく採用できる。
また、本明細書によって開示されるハーネスの製造方法は、電線と接続導体とを圧着端子により接続するハーネスの製造方法であって、前記電線が、複数の素線により構成された芯線と、前記芯線を被覆する絶縁被覆とを備え、前記接続導体が、本体部と、前記本体部から延びる板状の電線固定部とを備え、前記圧着端子が、前記芯線が配置される底壁部と、前記底壁部から延びる一対のバレル部とを備え、前記底壁部上に芯線をセットしたのち、この芯線上に前記電線固定部をセットするセット工程と、前記セット工程の後に、前記一対のバレル部を前記電線固定部の外側から前記芯線に巻き付ける圧着工程とを含む。
このような構成によれば、圧着工程において、バレル部と芯線との間に電線固定部が介在することとなるため、一対のバレル部の突き合わせ部分から芯線がはみ出してしまうことを回避できる。
本明細書によって開示される電線の接続構造、およびハーネスの製造方法によれば、一対のバレル部の突き合わせ部分からの芯線のはみ出しを回避できる。
実施形態を、図1〜図12を参照しつつ説明する。本実施形態の電線の接続構造は、図1に示すように、スプライス端子30(圧着端子に該当)を用いて電線10と単芯線20(接続導体に該当)とが接続されたハーネス1の一部である。
電線10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の素線の複数本を撚り合わせた撚り線によって構成された芯線11と、この芯線11を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆12とを備えた、周知の構成のアルミニウム電線である。この電線10の端末部においては、図1に示すように、絶縁被覆12が剥き取られて芯線11が露出されている。
単芯線20は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であって、図5に示すように、中実の丸棒状をなす本体部21と、本体部21の一端に、連結部22を介して連なる電線固定部23とを備えている。連結部22は、本体部21の一端から本体部21の軸方向に沿う方向に延び、電線固定部23は、連結部22の延出端から、本体部21とは反対側に、本体部21の軸方向に沿う方向に延びている。
単芯線20が芯線11に接続される前の単体の状態では、電線固定部23は、本体部21の軸方向に沿う方向に延びる一対の側縁間の中央部分が凸となるように、半円筒状に湾曲した板状をなしており、その内側面が、芯線11と接触する芯線接触面23Fとなっている。電線固定部23は、連結部22に隣接する一端部に、内側に突出する突出部分を有しており、この一端部が、先端側の残りの部分(薄肉部23A)よりも厚さの大きい厚肉部23Bとなっている。言い換えると、厚肉部23Bは、電線固定部23において、連結部22に隣接する位置に配され、幅方向(本体部21の軸方向と垂直方向)の全幅にわたって延びている。連結部22は、本体部21の丸棒形状から電線固定部23の半円筒形状まで緩やかに変形しながら延びる部分である。このような単芯線20は、金属棒材の先端部をプレス加工することによって形成することができる。
電線10の芯線11と単芯線20の電線固定部23とは、図1に示すように、スプライス端子30が圧着されることによって、電気的に接続されている。
スプライス端子30は、銅または銅合金製の板材からなり、その表面に錫めっきが施されている。芯線11に圧着される前の単体の状態では、スプライス端子30は、図4に示すように、矩形の板材がU字状に湾曲された形状をなしている。U字の底部に相当する部分は、圧着する際に芯線11が載置される底板部31(底壁部に該当)となっている。この底板部31から連なる、U字状の2つの縦辺に相当する部分は、互いに対向して配される一対のワイヤーバレル部32(バレル部に該当)となっている。
スプライス端子30が芯線11および電線固定部23に圧着された状態では、図2および図3に示すように、底板部31上に配置された芯線11に、底板部31との間で芯線11を囲い込むようにして電線固定部23が被せられ、さらにその外側から一対のワイヤーバレル部32が巻き付けられている。このように、芯線11と一対のワイヤーバレル部32との間に電線固定部23が介在した状態となっている。電線固定部23は、連結部22からの延び方向(本体部21の軸方向に沿う方向)が芯線11の延び方向に沿うようになっており、薄肉部23Aおよび厚肉部23Bは、それぞれ、芯線11の周方向に沿って延びている。
各ワイヤーバレル部32は、底板部31とは反対側に凸となるアーチ状に湾曲されている。より詳しくは、2つのワイヤーバレル部32は、互いに近づくように湾曲されるとともに端縁32Eが芯線11に食い込むように、底板部31に向かって曲げられている。2つのワイヤーバレル部32の端縁32Eに近い先端部は、電線固定部23の外側(電線固定部23に対して芯線11とは反対側)で、互いに突き合わせられている。
芯線11のうち、電線固定部23の厚肉部23Bが被せられている部分は、他の部分(低圧縮部11L)よりも高い圧縮率で圧縮された高圧縮部11Hとなっている(図2参照)。高圧縮部11Hでは、芯線11が、厚肉部23Bの存在により高い圧縮率で圧縮されることで、芯線11の表面に形成された酸化被膜が破壊され、金属の新生面が露出する。この新生面とスプライス端子30とが接触することにより、芯線11と単芯線20とスプライス端子30との間で所望の電気接続が得られる。一方、芯線11のうち、電線固定部23の薄肉部23Aが被せられている部分(低圧縮部11L)では、芯線11が高圧縮部11Hよりも低い圧縮力で圧縮されている(図3参照)ため、芯線11の断線が抑制される。
なお、図2および図3では、芯線11を、全体として模式的に図示している。
なお、図2および図3では、芯線11を、全体として模式的に図示している。
このスプライス端子30を芯線11および電線固定部23に圧着する工程の一例を、以下に示す。
スプライス端子30を芯線11および電線固定部23に圧着するための圧着冶具40は、図10に示すように、アンビル41と、クリンパ42とで構成されている。アンビル41は、スプライス端子30が載置される基台であり、クリンパ42は、アンビル41と対向して配され、アンビル41との間でワイヤーバレル部32を挟み付けて湾曲させ、芯線11および電線固定部23に巻き付けるための部材である。
アンビル41は、金属製の基台であって、図10に示すように、その上面が、スプライス端子30が載置される載置面41Pとなっている。載置面41Pは、底板部31の湾曲形状に沿う凹面となっている。
クリンパ42は、アンビル41の上方に、アンビル41と対向して配置される、金属製の厚板状の部材であって、アンビル41に対して縦置き(載置面41Pに対して垂直となる向き)に配置されている。クリンパ42は、図10に示すように、アンビル41の湾曲面と対応する位置が凹み形成され、圧着の際に、スプライス端子30およびアンビル41の一部を内部に受け入れるトンネル状の部分を有しており、このトンネル状の部分の内壁は、圧着の際に一対のワイヤーバレル部32を押圧するバレル押圧壁43となっている。
この圧着冶具40を用いてスプライス端子30を芯線11および電線固定部23に圧着する際には、図10に示すように、まず、スプライス端子30を、アンビル41の載置面41P上に位置決めして配置する。次に、芯線11を、底板部31上に配置し、さらに、電線固定部23を、芯線接触面23Fが芯線11の方を向くようにして、底板部31との間で芯線11を挟むように芯線11上に配置する(セット工程)。なお、図10〜図12においては、図面の見易さを考慮し、単芯線20については、電線固定部23のみを模式的に示している。
次いで、クリンパ42をスプライス端子30に向かって下降させる。すると、一対のワイヤーバレル部32のそれぞれが、バレル押圧壁43に突き当たり、端縁32Eから徐々に、内側に湾曲していく。さらにクリンパ42が下降すると、図11および図12に示すように、一対のワイヤーバレル部32がさらに内側に湾曲していき、電線固定部23に食い込むようにして突き合わせられる。電線固定部23も、ワイヤーバレル部32の湾曲形状にしたがって、芯線11に巻き付くように湾曲する。このようにして、芯線11および電線固定部23にスプライス端子30が圧着される(圧着工程)。
このとき、芯線11と一対のワイヤーバレル部32との間に電線固定部23が介在しているから、スプライス端子30の応力変形に伴って一対のワイヤーバレル部32の突き合わせ部分から芯線11がはみ出してしまうことが回避される。
以上のように本実施形態によれば、ハーネス1は、複数の金属素線により構成された芯線11と、芯線11を被覆する絶縁被覆12とを備える電線10と、本体部21と、本体部21から延び、芯線11に被せられるように配置される電線固定部23とを備える単芯線20と、芯線11が配置される底板部31と、底板部31から延び、電線固定部23の外側から巻き付けられている一対のワイヤーバレル部32とを備えるスプライス端子30と、を備える。
上記の構成によれば、芯線11とワイヤーバレル部32との間に単芯線20の電線固定部23が介在しているため、一対のワイヤーバレル部32の突き合わせ部分から芯線11がはみ出してしまうことを回避できる。
また、電線固定部23が、芯線11の周方向に沿って延び、他の部分よりも厚さの大きい厚肉部23Bを備えている。
電線固定部23が厚肉部23Bを備える構成によれば、芯線11のうち、厚肉部23Bが介在している部分は、他の部分よりも高い圧縮率で圧縮された高圧縮部11Hとなっている。高圧縮部11Hでは、芯線11が高い圧縮率で圧縮されることで、芯線11の表面に形成された酸化被膜が破壊され、金属の新生面が露出する。この新生面とスプライス端子30および電線固定部23が接触することにより、芯線11と単芯線20とスプライス端子30との間で所望の電気接続が得られる。一方、他の部分では、芯線11が高圧縮部11Hよりも低い圧縮力で圧縮されているため、芯線11の断線が抑制される。
電線固定部23が厚肉部23Bを備える構成によれば、芯線11のうち、厚肉部23Bが介在している部分は、他の部分よりも高い圧縮率で圧縮された高圧縮部11Hとなっている。高圧縮部11Hでは、芯線11が高い圧縮率で圧縮されることで、芯線11の表面に形成された酸化被膜が破壊され、金属の新生面が露出する。この新生面とスプライス端子30および電線固定部23が接触することにより、芯線11と単芯線20とスプライス端子30との間で所望の電気接続が得られる。一方、他の部分では、芯線11が高圧縮部11Hよりも低い圧縮力で圧縮されているため、芯線11の断線が抑制される。
このように芯線11に高圧縮部11Hが存在する場合、この高圧縮部11Hにおいて、芯線11のはみ出しが生じやすい。これを回避するため、芯線11とワイヤーバレル部32との間に電線固定部23が介在する構成を好ましく採用できる。
また、上記のようなハーネス1の製造方法は、底板部31上に芯線11を載置したのち、この芯線11上に電線固定部23を載置するセット工程と、セット工程の後に、ワイヤーバレル部32を電線固定部23の外側から芯線11に巻き付ける圧着工程とを含む。
このような構成によれば、圧着工程において、ワイヤーバレル部32と芯線11との間に電線固定部23が介在することとなるため、一対のワイヤーバレル部32の突き合わせ部分から芯線11がはみ出してしまうことを回避できる。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、電線固定部23において、連結部22に隣接する一部分が、先端側の残りの部分(薄肉部23A)よりも厚さの大きい厚肉部23Bとなっているが、厚肉部の構成は上記実施形態の限りではなく、例えば、先端側の一部分が厚肉部となっていても構わない。あるいは、本体部側の端縁と先端側の端縁との中央部分が厚肉部となっていても構わない。
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、電線固定部23において、連結部22に隣接する一部分が、先端側の残りの部分(薄肉部23A)よりも厚さの大きい厚肉部23Bとなっているが、厚肉部の構成は上記実施形態の限りではなく、例えば、先端側の一部分が厚肉部となっていても構わない。あるいは、本体部側の端縁と先端側の端縁との中央部分が厚肉部となっていても構わない。
(2)上記実施形態では、本体部21が丸棒状であったが、本体部の形状は上記実施形態の限りではなく、例えば、角棒状であっても構わない。
1…ハーネス
10…電線
11…芯線
12…絶縁被覆
20…単芯線(接続導体)
21…本体部
23…電線固定部
23A…厚肉部
30…スプライス端子(圧着端子)
31…底板部(底壁部)
32…ワイヤーバレル部(バレル部)
10…電線
11…芯線
12…絶縁被覆
20…単芯線(接続導体)
21…本体部
23…電線固定部
23A…厚肉部
30…スプライス端子(圧着端子)
31…底板部(底壁部)
32…ワイヤーバレル部(バレル部)
Claims (3)
- 複数の素線により構成された芯線と、前記芯線を被覆する絶縁被覆とを備える電線と、
本体部と、前記本体部から延び、前記芯線に被せられるように配置される電線固定部とを備える接続導体と、
前記芯線が配置される底壁部と、前記底壁部から延び、前記電線固定部の外側から巻き付けられている一対のバレル部とを備える圧着端子と、を備える電線の接続構造。 - 前記電線固定部が、前記芯線の周方向に沿って延び、他の部分よりも厚さの大きい厚肉部を備えている、請求項1に記載の電線の接続構造。
- 電線と接続導体とを圧着端子により接続するハーネスの製造方法であって、
前記電線が、複数の素線により構成された芯線と、前記芯線を被覆する絶縁被覆とを備え、
前記接続導体が、本体部と、前記本体部から延びる板状の電線固定部とを備え、
前記圧着端子が、前記芯線が配置される底壁部と、前記底壁部から延びる一対のバレル部とを備え、
前記底壁部上に芯線をセットしたのち、この芯線上に前記電線固定部をセットするセット工程と、
前記セット工程の後に、前記一対のバレル部を前記電線固定部の外側から前記芯線に巻き付ける圧着工程とを含む、ハーネスの製造方法。
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