JP2018188678A - レーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ焼入れシステムにおいて、焼入れが行われる部位の板厚が薄くて自己冷却が不十分であってもレーザ焼入れを可能とすることである。【解決手段】焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワークに対し表面焼入れを行うためのレーザ焼入れシステム10は、ワーク60を保持し走査方向に移動させるワーク移動機構20と、走査方向に移動するワーク60に対しレーザビームを照射するレーザ照射装置30と、走査方向において既にレーザ照射が行われた側を下流側とし、まだレーザ照射が行われていない側を上流側として、ワーク60におけるレーザビームの照射領域よりも走査方向に沿ってワーク60の板厚に応じた所定の緩衝領域を隔てた下流側の冷却領域に冷媒を供給する冷却装置40とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法に係り、特に、焼入れが行われる部位の板厚が薄く自己冷却が不十分となる鋼材ワークに対するレーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法に関する。
被加工物について表層部のみを焼入れして硬化させて耐摩耗性、耐久性を付与する手段として、高周波焼入れや、電子ビーム焼入れ、レーザ焼入れ等の高エネルギービーム照射による表面焼入れが公知である。これらの方法は、焼入れ硬化性のある材料からなる被加工物に高エネルギー密度のビームを照射し、表面近傍を急激に加熱し、その熱が被加工物内部に熱伝導によって分散され急激に冷却する、いわゆる自己冷却によって焼入れが行われる。
例えば、鋼材の表層部に対するレーザ焼入れは、被加工物にレーザビームを照射して局部的に表層部を加熱し、鋼材の組織をオーステナイト化する。加えられた熱は、W/(m・K)という単位で示される鋼材の熱伝導率に従って温度が高いところから低いところへ分散する。これは鋼材の自己冷却能あるいは単に自己冷却と呼ばれる。鋼材の自己冷却によって、加熱によって昇温された領域の温度が時間経過と共に急速に低下する。具体的には、加熱されて昇温した領域の温度を、鋼材のオーステナイト領域からパーライトノーズと呼ばれる変態境界にかかることなくマルテンサイト変態領域まで冷却することで、冷媒なしでも焼入れが行われる。
特許文献1は、鋼材に対する電子ビーム焼入れに関するものであるが、従来の電子ビーム焼入れでは、加熱開始から鋼の常温組織であるフェライト・パーライト組織が完全にオーステナイトへ変態し終わるまで待ってから焼入れすると述べている。この方法では、被加工物が例えば薄板部品のときに課題が生じると述べている。すなわち、薄板部品の場合は、オーステナイトへの変態時間の間に熱伝導により被加工物の広範囲にわたって温度が上昇し、自己冷却が不十分となって焼入れ不良が発生すると指摘している。そこで、従来技術では、鋼部材の表層部の加熱はその部分のオーステナイト化が達成できる温度にとどめられていて溶融させないが、特許文献1では、表層部を溶融状態に達するまで加熱し、これをそのまま自己冷却させる。これにより、自己冷却の開始と同時に、溶融状態から瞬時にオーステナイト組織を経てマルテンサイト組織に変態させることができると述べている。なお、自己冷却に加えて、水冷等の強制冷却を適用してもよい、と述べている。
特許文献2では、一般にレーザ焼入れは、レーザビームのスポットに比べてはるかに大きい被加工物に対して行っており、レーザビームの照射によって昇温した部分の熱がその周囲の大質量の部分によって急速に冷却される自己冷却によって硬化されると述べている。そして、レーザビームのスポット径と同程度の幅しか有しない小物部品に対してレーザビームの照射を行う場合は、レーザビーム照射によって昇温した部分がその周囲の部分に分散し、その周囲の部分の質量が小さいため、周囲の部分を昇温させると指摘する。その結果、残熱が多くなり、レーザビームが照射された部分の自己冷却が不足し、十分な焼入れが不可能となると述べている。そして、小物部品である被加工物を強制冷却する方法として、被加工物を冷却液内に漬けて冷却する方法や、水スプレー又はミスト冷却を使用する方法を述べている。
特開平9−003528号公報 特開平6−330156号公報
レーザ焼入れにおいて、自己冷却が不十分となると十分な焼入れができなくなる。焼入れが行われる部位の板厚が薄くなると、自己冷却が不十分となり、残熱で被加工物の温度が上昇し、さらに自己冷却が不十分となる。特に、円環形状の周方向に沿ってぐるっとレーザ照射を行って最初の照射開始位置の近傍に戻ってくる場合には、残熱の分散により既に焼入れされた領域の温度が上昇し、焼戻し状態となって硬度が上がらないことが生じ得る。実験によれば、被加工物が鋼材の場合、焼入れが行われる部位の板厚が約5mm以下のとき、自己冷却が不十分となり、例えば、焼入れ深さが上記板厚の(1/10)以上必要な場合には、所望の焼入れが不可能となり得ることが分かった。なお、焼入れ処理が行われる部位の板厚の下限であるが、今までの焼入れ経験から、約0.5mm以上とする。本発明の目的は、焼入れが行われる部位の板厚が薄くて自己冷却が不十分であっても、所望のレーザ焼入れを可能とするレーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法を提供することである。
本発明に係るレーザ焼入れシステムは、焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワークに対し表面焼入れを行うためのレーザ焼入れシステムであって、鋼材ワークを保持し走査方向に移動させるワーク移動機構と、走査方向に移動する鋼材ワークに対しレーザビームを照射するレーザ照射装置と、走査方向において既にレーザ照射が行われた側を下流側とし、まだレーザ照射が行われていない側を上流側として、鋼材ワークにおけるレーザビームの照射領域よりも走査方向に沿って鋼材ワークの板厚に応じた所定の緩衝領域を隔てた下流側の冷却領域に冷媒を供給する冷却装置と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、鋼材ワークにおけるレーザビームの照射領域よりも走査方向に沿った下流側の冷却領域に冷媒を供給するので、板厚が薄くて自己冷却が不十分となる場合でも、レーザ焼入れが可能になる。
本発明に係るレーザ焼入れシステムにおいて、所定の緩衝領域の走査方向に沿った長さは、照射領域にレーザビームの照射によって入熱された鋼材ワークが表面から所定の深さまでオーステナイト化することについて冷却領域における冷却によって妨げられない長さ以上であり、緩衝領域において、鋼材ワークの材質で定まる自己冷却特性が鋼材ワークの板厚に応じて低下する自己冷却低下特性によって鋼材ワークの温度が時間と共に低下するときの(温度と時間)の関係について、パーライト変態限界の(温度と時間)の特性曲線に交差する走査時間に相当する長さ以下となる範囲に設定されることが好ましい。
上記構成によれば、照射領域において鋼材ワークを表面から所定の深さまでオーステナイト化することができ、冷却領域においてパーライト変態限界の特性曲線に交差しないように冷却されるので、所定の深さまで焼入れ硬化させることができる。
本発明に係るレーザ焼入れシステムにおいて、冷却領域に供給される冷媒及び気化した冷媒を冷却領域よりも走査方向の下流側に流すための搬出ガス流を供給する搬出ガス供給装置を備えることが好ましい。
冷却領域の温度が高くて冷媒が気化してガスとなると、そのガスがレーザ照射を妨げる。上記構成によれば、冷却領域における冷媒及び気化した冷媒を搬出ガス流によって冷却領域よりも下流側に流すので、レーザ照射に支障が生じない。
本発明に係るレーザ焼入れシステムにおいて、冷媒は、冷却水であり、気化した冷媒は水蒸気であり、搬出ガス流は、空気流であることが好ましい。
上記構成によれば、冷却領域における冷却水及び水蒸気を空気流によって冷却領域よりも下流側に流すので、レーザ照射に支障が生じない。
本発明に係るレーザ焼入れシステムにおいて、鋼材ワークが円環形状であって、ワーク移動機構は、鋼材ワークの円環形状の周方向に沿った方向を走査方向として鋼材ワークをその中心軸周りに回転させる回転機構であり、レーザ照射装置は、走査方向における照射開始位置から円環形状の周方向に沿ってぐるっと回って再び照射開始位置の近傍に戻る照射を鋼材ワークに対して行うことが好ましい。
上記構成によれば、円環形状の鋼材ワークにおいて焼入れが行われる部位の板厚が薄くて自己冷却が不十分となる場合でも、冷却装置を用いることでレーザ焼入れが可能になる。また、自己冷却が不十分なために生じる残熱も抑制されるので、照射開始位置の近傍に戻ってきたときに既に焼入れされた領域を焼戻しすることが抑制される。
本発明に係るレーザ焼入れシステムにおいて、レーザ照射装置は、鋼材ワークの円環形状の内周面にレーザビームを照射し、冷却装置は、鋼材ワークの円環形状の内径穴側から内周面に向かって冷媒を供給することが好ましい。
上記構成によれば、円環形状の内径穴を利用できる冷却装置の構成となるので、例えば、大径の鋼材ワークに対するレーザ焼入れシステムをコンパクトにまとめることができる。
本発明に係るレーザ焼入れ方法は、焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワークに対し相対的にレーザビームを走査して表面焼入れを行うためのレーザ焼入れ方法であって、走査方向において既にレーザ照射が行われた側を下流側とし、まだレーザ照射が行われていない側を上流側として、走査方向に沿って、鋼材ワークにおけるレーザビームの照射領域と、照射領域よりも下流側に設けられる冷却領域との間に、鋼材ワークの板厚に応じた所定の緩衝領域を設定する設定工程と、鋼材ワークの冷却領域に冷媒を供給する冷却工程と、冷却領域に供給される冷媒及び気化した冷媒を冷却領域よりも走査方向の下流側に流すための搬出ガス流を供給する搬出ガス供給工程と、鋼材ワークを保持し走査方向に移動させるワーク移動工程と、走査方向に移動する鋼材ワークの照射領域にレーザビームを照射する照射工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るレーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法によれば、鋼材ワークにおいて焼入れが行われる部位の板厚が薄くて自己冷却が不十分であっても、所望のレーザ焼入れが可能となる。
本発明に係る実施の形態におけるレーザ焼入れシステムの構成図である。 図1のO方向から見た鋼材ワークにおいて、レーザビームの照射領域、冷却装置の冷却ノズル、搬出ガス供給装置のガス噴出ノズルの位置関係を示す図である。 図2のB−B方向から見た斜視図である。 図3における円環状の鋼材ワークの内周面を平面的に展開した展開図を用いて、その特性を模式的に示す図である。図4(a)は、円環状の内周面の展開図で、走査方向に沿った位置を図1に示す走査角度θで表す図である。(b)は、内周面の表層部の温度と走査角度θとの関係を示す図であり、(c)は、内周面の表層部の組織と走査角度θとの関係を示す図である。 レーザ焼入れ処理後の鋼材ワークの断面図の例である。 本発明に係る実施の形態におけるレーザ焼入れ方法の手順を示すフローチャートである。 鉄−炭素系状態図の例である。 鋼材の恒温変態曲線と、実際の冷却特性との関係を示す図である。 鋼材ワークについて、緩衝領域の走査方向に沿った長さを変化させたときの特性評価結果をまとめた図である。図9(a)は、緩衝領域の走査方向に沿った長さの変化と表面硬さの変化の関係を示す図であり、(b)は、表面硬さから推定される組織を示す図である。 鋼材ワークについて、緩衝領域の走査方向に沿った長さと、ビッカース硬度がHv=350となる表面からの深さとの関係を示す図である。 環状形状を有するワークに生じる残熱による温度上昇を示す図である。 平板状のワークに生じる残熱による温度上昇を示す図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、レーザ焼入れが行われる被加工物を円環形状の鋼材ワークとし、その円環形状の内周面の周方向に沿った照射開始位置からレーザ焼入れを始めて周方向に沿ってぐるっと回って再び照射開始位置の近傍に戻る表面焼入れを述べるが、これは例示である。鋼材ワークにおいて焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下であれば、鋼材ワークの形状や焼入れ部位を問わず、本発明に係るレーザ焼入れシステム及びレーザ焼入れ方法が適用できる。例えば、円環形状の内周面の一部にのみ表面焼入れを行う場合であってもよく、内周面でなく円環形状の任意の部位に表面焼入れを行う場合であってもよい。また、円環形状以外の鋼材ワークとして、薄板に表面焼入れを行う場合も述べるが、円環形状、薄板以外の形状の鋼材ワークに対して表面焼入れを行う場合でもよい。
以下で述べる寸法、形状、材質、冷媒や搬出ガスの種類等は例示であって、レーザ焼入れシステムの仕様に応じて適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、レーザ焼入れシステム10の構成図である。レーザ焼入れシステム10は、焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワーク60に、レーザビームを照射して表面焼入れを行うシステムである。以下では、特に断らない限り、レーザ焼入れシステム10を、システム10と呼び、鋼材ワーク60をワーク60と呼ぶ。また、ワークにおいて焼入れが行われる部位の板厚のことを、特に断らない限り、ワークの板厚あるいは単に板厚と呼ぶ。すなわち、以下において「ワークの板厚」とは、ワーク全体の板厚を指すのでなく、ワークの部位のうち、特に、焼入れ処理が行われる部位の板厚を指す。
システム10は、円環形状のワーク60について、その円環形状の内周面の周方向に沿った照射開始位置からレーザ焼入れを始めて周方向に沿ってぐるっと回って再び照射開始位置の近傍に戻る表面焼入れを行う専用システムである。システム10は、ワーク移動機構20、レーザ照射装置30、冷却装置40、及び、搬出ガス供給装置50を備える。なお、ワーク60の環状形状、表面焼入れを行う内周面62の所定の箇所等については、図2、図3を用いて後述する。
ワーク移動機構20は、ワーク60を保持し走査方向に移動させる機構である。ワーク移動機構20は、ワーク回転機22と、回転取付台24と、ワーク保持治具26を含む。ワーク回転機22は、回転速度等を制御する制御部を有するモータである。回転取付台24は、ワーク回転機22の回転軸に固定され、ワーク保持治具26を取り付ける取付部を有する汎用的取付台である。汎用的とは、ワーク60の形状等によって異なるワーク保持治具26に対応できるような汎用取付部を有することを意味する。ワーク保持治具26は、ワーク60を保持する治具で、回転取付台24に固定されて、ワーク回転機22が回転すると、一体となってワーク60を回転させる。ワーク60の保持方法としては、ワーク60が磁性体である鋼材で構成されている場合は、マグネット吸着法が用いられる。非磁性の鋼材等でマグネット吸着法を用いることができない場合は、機械的保持方法を用いることができる。
図1において、ワーク回転機22の回転軸をO−O’で示し、回転方向を矢印で示す。ワーク回転機22の回転軸O−O’は、回転取付台24とワーク保持治具26を介して、ワーク60の環状形状の中心軸に軸合わせされる。これにより、回転軸O−O’周りの回転方向は、レーザビーム38に対するワーク60の回転方向となり、走査方向となる。回転軸O−O’は、ワーク回転機22が設置される床面12に平行に延びる。
床面12を水平面として、図1に水平方向と上下方向とを示す。上下方向は、水平方向に垂直な方向で、下方側が重力方向で、床面12に向かう方向である。上方側は、重力方向と反対側の方向で、床面12から上方を向く方向である。環状形状を有するワーク60の軸方向は、水平方向に平行な方向である。図1のワーク60の断面図における径方向は、上下方向に平行な方向となる。
レーザ照射装置30は、走査方向に移動するワーク60に対しレーザビーム38を照射する装置である。レーザ照射装置30は、ビーム照射部32と、ロボットアーム34と、レーザ照射制御部36を含む。ビーム照射部32は、レーザ発振器と、レーザ発振器が発するレーザ光を所定のビーム形状のレーザビーム38に整形する光学系とを含む。レーザ発振器としては、レーザ焼入れに適したレーザ光を発する半導体レーザ発振器等を用いることができる。レーザビーム38の所定の形状としては矩形形状を用いる。これに代えて、円形、あるいは楕円形状であってもよい。ロボットアーム34は、レーザビーム38の照射先をワーク60の所定の照射領域64(図2、図3参照)に位置合せする多軸ロボット機構である。レーザ照射制御部36は、レーザビーム38の照射エネルギの大きさ、照射のオンオフ等の制御を行う。
冷却装置40は、ワーク60において焼入れが行われる部位の板厚が薄く、鋼材の自己冷却のみでは、レーザビーム38が照射された照射領域64において焼入れに適した急冷が不十分となるときに、自己冷却をアシストするために用いられる装置である。冷却装置40は、適当な吐出圧を有する冷媒源と吐出流量を調節する調整弁とを含む。冷却装置40からは冷媒供給管42が引き出され、冷媒供給管42の先端には、冷却領域66(図2、図3参照)に冷媒を供給する冷却ノズル44が設けられる。冷却ノズル44の配置位置と、冷却領域66及び照射領域64との関係については後述する。
冷媒としては、水が用いられる。例えば、水道管を引き込み、蛇口栓を流量調整弁とした蛇口を冷却装置40とできる。なお、水道水は飲用水であるので、焼入れ冷却用の冷媒としては、水道水に限らず、水溶性溶剤を含む溶液を使用してよい。これらに代えて、適当な吐出圧となる水槽と、流量調整バルブとを組み合わせて冷却装置40としてもよい。あるいは、流量調整弁付液化二酸化炭素ガス(CO2)ボンベを冷却装置40として、低温の二酸化炭素ガス(CO2)を冷媒に用いてもよい。場合によっては、適当な冷却油タンクと、オイル吐出ポンプとを組み合わせて冷却装置40としてもよい。以下では、冷媒として水道水を用い、冷却ノズル44から冷却水46として適当な流量に調整された水道水が流れ出すものとする(図3参照)。
搬出ガス供給装置50は、冷却領域66に供給される冷媒及び気化した冷媒がレーザビーム38の照射の妨げにならないように、これらを冷却領域66よりも走査方向の下流側に流すための搬出ガス流56(図3参照)を供給する装置である。搬出ガス供給装置50は、適当な吐出圧を有する搬出ガス源と吐出流量を調節する調整弁とを含む。搬出ガス供給装置50からは搬出ガス供給管52が引き出され、搬出ガス供給管52の先端には、ガス噴出ノズル54が設けられる。搬出ガスとしては、空気を用いることができる。この場合、搬出ガス供給装置50は、空気圧縮装置(コンプレッサ)と、圧縮空気圧を調整する調整バルブ等が用いられる。空気に代えて、適当な不活性ガス等を搬出ガスとして用いてよい。例えば、流量調整弁付高圧窒素ボンベを搬出ガス供給装置50とできる。以下では、搬出ガスとして、適当な吐出圧を有する空気を用い、ガス噴出ノズル54からは搬出ガス流56として、適当な吐出圧を有する空気流が噴出するものとする。ガス噴出ノズル54と照射領域64、冷却領域66との関係については後述する。
図1において、ワーク60は、回転軸O−O’を含む垂直断面で示した。図2は、図1の回転軸O−O’のO側から見たワーク60の正面図である。図1のワーク60は、図2のA−A線に沿った断面図に相当する。図3は、図2のB−B方向から見た斜視図である。
図2、図3に示されるように、ワーク60は、薄肉の鋼材を同心状に凹凸させた環状形状を有し、内周面62で囲まれた内径穴61に図示しない軸部材が挿入され、内周面62は図示しない軸部材が摺動する摺動面となる軸摺動支持部材である。摺動に対する耐摩耗性、耐久性を確保するために、内周面62とその外径側に張り出すフランジ部63には、表面焼入れが行われる。図3に、内周面62の肉厚t、内周面62の軸方向の長さL62、フランジ部63の径方向の長さL63を示す。フランジ部63の肉厚は、内周面62の肉厚tと同じである。すなわち、肉厚tは、ワーク60において焼入れが行われる部位の板厚であり、ワーク60の薄肉の部分の板厚に相当する。このワーク60における寸法の例を挙げると、tは約2mm、L62は約6mm、L63は約5mmである。この値は、説明のための例示であって、ワーク60の仕様に応じて適宜変更される。
図2、図3に、ワーク60の中心軸(軸方向)、上下方向、及び走査方向を示す。図3において、OO’と示すワーク60の中心軸は、図2においてA−A線とB−B線とに対し直交する方向に延びる軸であり、中心軸OO’の延びる方向が軸方向である。上下方向は、A−A線に平行な方向である。走査方向は、中心軸周りの周方向に沿った方向で、図2、図3の紙面上では、中心軸OO’周りに時計方向の矢印として示される。
図1で述べたように、ワーク60の軸方向は水平方向に平行な方向であり、レーザビーム38は、ワーク60の内周面62の上下方向の最も下方側に照射される。図2、図3において、最も下方側の内周面62とフランジ部63とに跨って示す照射領域64は、レーザビーム38が照射される領域である。レーザビーム38の照射方向は固定され、ワーク60が走査方向に回転するので、図2のワーク60の正面図においては、照射領域64は時間の経過に関わらず固定位置である。したがって、ワーク60が走査方向に沿って移動すると、レーザビーム38によって局部的に加熱された領域は、走査方向の下流側に移動する。図2において、P0と示す位置が照射開始位置である。ワーク60の走査方向に沿った位置を、中心軸OO’周りの角度である走査角度θで示し、ワーク60の内周面62における照射開始位置P0の走査角度θ=0°とする。図2、図3の照射領域64は、照射開始位置P0から、走査角度θ=+90°の位置である。換言すれば、図2の状態は、照射開始の時点から、ワーク60が走査角度にしてΔθ=+90°移動した状態を示している。
ここで、照射領域64、冷却ノズル44、冷却領域66、ガス噴出ノズル54、搬出ガス流56の関係について述べる。図2、図3に示すように、冷媒供給管42と搬出ガス供給管52とは、ワーク60の内径穴61のほぼ中心を通って、ワーク60の軸方向に沿って立ち上がり、そこからレーザビーム38の光路を妨げないように、ワーク60の外径側に曲がるように配置される。
冷媒供給管42の先端の冷却ノズル44は、照射領域64よりも走査方向の下流側における内周面62及びフランジ部63に向けて冷却水46を吐出する。搬出ガス供給管52の先端のガス噴出ノズル54は、冷却水46が供給される内周面62及びフランジ部63に向けて開口し、冷却水46が供給される内周面62及びフランジ部63に搬出ガス流56を吐出する。既にレーザビーム38が照射されて局部的に高温となった照射領域64が走査方向の下流側に移動して冷却ノズル44の開口の真下に来ると、冷却水46によって冷却される。そのとき、冷却水46は、走査方向の下流側に移動してきた既にレーザ照射を受けている照射領域64が高温のため、瞬時的に気化して水蒸気となる。そのままでは、水蒸気が立ち込めてレーザビーム38の光路に入り込むことが生じる。レーザビーム38の光路に水蒸気が入り込むと、レーザ照射を妨げて、現在の照射領域64への入熱が不十分となる。ガス噴出ノズル54からの搬出ガス流56は、冷却ノズル44から供給された冷却水46と、冷却水46が気化した水蒸気とを、冷却ノズル44の開口よりも走査方向の下流側に流し、レーザビーム38によるレーザ照射を妨げないようにする。
これにより、冷却水46は、冷却ノズル44の開口の真下よりも走査方向に沿って下流側のワーク60を冷却することになる。冷却水46によって冷却される内周面62及びフランジ部63の領域が冷却領域66である。ここで、走査方向において、既にレーザ照射が行われた側が下流側で、まだレーザ照射が行われていない側が上流側であるので、冷却領域66は、ワーク60におけるレーザビーム38の照射領域64よりも走査方向に沿って下流側に配置される。走査方向に沿って照射領域64と冷却領域66との間の領域は、レーザビーム38の照射が行われず冷却水46の供給も行われない緩衝領域65である。
ワーク60の板厚が十分厚いときには、照射領域64において局部的に加熱された鋼材がオーステナイトに変態し、ワーク60の自己冷却のみによってマルテンサイトに変態して焼入れが行われる。ワーク60の板厚が薄いと、ワーク60の自己冷却が不十分となり、焼入れが不十分になると共に、ワーク60の温度が室温まで下がりきらずに残熱が生じ、この残熱がまだレーザビーム38の照射を受けていない領域の温度を上げてしまう。冷却領域66は、ワーク60の自己冷却の不足を補ってマルテンサイトへの変態をアシストし、残熱の発生を抑制するために設けられる。
上記では、冷媒供給管42と搬出ガス供給管52は、ワーク60の内径穴61を通って、内径穴61側から内周面62及びフランジ部63の方に向かって延びる。これにより、レーザ焼入れシステム10において、冷却装置40と搬出ガス供給装置50に関する配置構成がコンパクトになる。反面、専用装置となるので、ワーク60の形状の種類が異なるたびに、冷媒供給管42と搬出ガス供給管52の配置を変更することになる。そこで、例えば、多種少量のワークについてレーザ焼入れ処理を行う場合等では、冷媒供給管42と搬出ガス供給管52を、内径穴61側からでなく、ワーク60の外径の外側から内周面62及びフランジ部63の方に向かって延びるように配置してもよい。
図4は、冷却装置40、搬出ガス供給装置50の作用効果を示す模式図である。図4は、図2、図3に示すワーク60について、環状形状の内周面62を直線的に展開し、内周面62の周方向に沿った各位置における表層部の温度と表層部の組織の変化を示す図である。図4(a)は、内周面62の展開図であり、(b)は表層部の温度であり、(c)は表層部の組織である。ここで表層部とは、ワーク60について内周面62の表面から所定深さまで焼入れ処理を行う仕様として、所定深さの部分を示す。所定深さの例は、約0.3mmから約0.6mmである。各図の横軸は、ワーク60の走査方向に沿った位置で、中心軸OO’周りの角度である走査角度θで示す。
図4(a)に示す展開図では、図2で述べたように、ワーク60の内周面62における照射開始位置P0の位置を走査角度θ=0°として、走査方向に沿って上流側に向って走査角度θがプラス側に増加する。図2で述べたように、現在の照射領域64の中心位置は、走査角度θ=+90°の位置にある。冷却領域66は、現在の照射領域64よりも下流側に配置される。照射領域64と冷却領域66との間が緩衝領域65である。緩衝領域65の走査方向に沿った長さをSで示す。
図4(b)は、走査角度θと表層部の温度との関係を示す図である。縦軸において、温度AF、温度MS、温度MFは、ワーク60を構成する鋼材の組織の変態温度である。温度AFは、オーステナイト変態の完了温度であり、温度MSは、マルテンサイト変態の開始温度であり、温度MFは、マルテンサイト変態の終了温度である。
実線の特性線70は、緩衝領域65の長さSが適切に設定されたときの表層部の温度を示す。特性線70において、現在の照射領域64よりも走査方向に沿って上流側は、レーザ照射をまだ受けていないので、表層部の温度=室温である。また、冷却領域66では冷却水46の流量を適当に調節することで、表層部の温度はほぼ室温となる。
照射領域64ではレーザビーム38の照射によって表層部の温度が急上昇し、温度AFを超える。図4(b)の例では、照射領域64の上流側縁部で表層部の温度が室温から急上昇し、レーザ照射制御部36によって設定された温度TLまで上昇する。温度TLは、温度AFよりも高温に設定されるので、照射領域64において表層部はすべてオーステナイト化する。
図4(b)において一点鎖線で示す特性線72は、冷却装置40を用いるが、搬出ガス供給装置50を用いないときの表層部の温度を示す。冷却装置40を用いて搬出ガス供給装置50を用いないときは、走査方向の下流側に移動してきた既にレーザ照射を受けている照射領域64が高温のため、冷却水46が瞬時的に気化して水蒸気となり、その水蒸気が立ち込めてレーザビーム38の光路に入り込む。これによって現在の照射領域64についてのレーザ照射が妨げられ、表層部の温度が設定されたTLまで上昇せず、あるいは一旦TLまで上昇したが、すぐ低下する。図4(b)の特性線72の例では、照射領域64内の下流側の部分で表層部の温度がAF以下となり、照射領域64におけるオーステナイト化が不十分となる。冷却装置40と共に搬出ガス供給装置50を用いる特性線70は、照射領域64の全部がオーステナイト化する。これが、搬出ガス供給装置50の作用効果である。
次に、照射領域64の上流側縁部ではレーザビーム38の照射がなくなるので、ワーク60の自己冷却によって表層部の温度が急激に低下する。
ここで、ワーク60の板厚が十分厚いときの自己冷却の時間に対する温度特性を「自己冷却特性」と呼ぶと、内周面62における板厚tが薄いときは、板厚が十分厚いときの「自己冷却特性」よりも冷却性が低下した「自己冷却低下特性」となる。図4(b)において破線で示す特性線74は、冷却装置40を用いないときのワーク60の「自己冷却低下特性」である。
図4(b)の例では、「自己冷却低下特性」を示す特性線74は、表層部の温度がMSより低温であるがMFより高温となっている。つまり、冷却装置40を用いないとき、ワーク60の表層部は、一部がマルテンサイト化するが、一部はマルテンサイト化しない。冷却装置40を用いる特性線70は、冷却領域66に入ると冷却水46の作用効果によって表層部の温度が急速に低下して室温になるので、MFよりも低温になる。これにより、表層部は、全部がマルテンサイト化する。これが冷却装置40の作用効果である。
図4(c)は、特性線70について、走査角度θと表層部の組織との関係を示す図である。(b)で述べたように、照射領域64よりも上流側ではレーザビーム38の照射を受けず、表層部の温度は室温のままであるので、表層部の組織は、フェライトとパーライトとを含む。照射領域64においては、表層部の温度はAFよりも高温のTLであるので、表層部の組織はオーステナイトである。冷却領域66から照射開始位置の走査角度θ=0°の間の領域では、表層部の温度がMF以下の室温に急冷されているので、表層部の組織はマルテンサイトとなる。照射開始位置の走査角度θ=0°よりも走査方向の上流側では、まだレーザ照射を受けていず、表層部の温度は室温であるので、表層部の組織は、フェライトとパーライトとを含む。照射領域64と冷却領域66との間の緩衝領域65では、表層部の温度がMS以上であるので表層部の組織はマルテンサイト化していない。この領域では、冷却の時間経過や冷却速度によって、パーライト変態やベイナイト変態が生じることがあるので、表層部の組織は、オーステナイトとパーライト等を含む過渡組織となる。
上記のように、冷却領域66が照射領域64に近いと、照射領域64の温度が低下し、オーステナイトへの変態が不十分となり得る。冷却領域66が照射領域64から遠いと、自己冷却に対するアシスト冷却が不足し、オーステナイト組織の急冷が不十分となってマルテンサイトへの変態が不十分となる。この兼ね合いで、照射領域64と冷却領域66との間の緩衝領域65の走査方向に沿った長さS、あるいはSに対応する走査角度θの大きさの設定が行われる。緩衝領域65の長さSの設定の内容については、後述する。
図5は、照射領域64、冷却領域66の配置が適切に行われた条件の下でレーザ焼入れを行ったワーク60の内周面62とフランジ部63の断面図において、組織の分布を示す図である。図5に示すように、内周面62とフランジ部63とに跨ったワーク60の表層部は、全部がマルテンサイト化した完全焼入れ層68と、一部がマルテンサイト化した部分焼入れ層69となっている。図5は一例であるので、ワーク60についての表層部の深さと硬さの仕様に応じて、緩衝領域65の長さSの設定等を適切に行うことで、表面焼入れに関する仕様を満たすことができる。
図6は、図1のレーザ焼入れシステム10を用いたレーザ焼入れ方法の手順を示すフローチャートである。最初に、レーザ焼入れシステム10の条件設定を行う(S10)。条件設定には、ワーク移動機構20におけるワーク60の回転速度の設定、レーザ照射装置30におけるレーザビーム38の形状設定やレーザ照射のワーク60に対する入熱量の設定を含む。また、冷却装置40における冷却水46の吐出圧と流量の設定、搬出ガス供給装置50における搬出ガス流56の吐出圧と流量の設定を含む。
さらに、照射領域64と冷却領域66との間の緩衝領域65の走査方向に沿った長さSまたは長さSに対応する走査角度の設定を含む。緩衝領域65の走査方向に沿った長さSは、以下に述べるSmin以上、Smax以下の範囲に設定される。
Sminは、照射領域64にレーザビーム38の照射によって入熱されたワーク60が、表面から所定の表層部深さまでオーステナイト化することについて冷却領域66における冷却によって妨げられない長さである。SがSmin以上でないときは、図4の特性線72となって、照射領域64におけるオーステナイト化が不十分となる。
Smaxは、ワーク60の材質で定まる自己冷却特性がワーク60の板厚tに応じて低下する自己冷却低下特性に関する。自己冷却低下特性は、図4の特性線74で示される特性である。Smaxは、自己冷却低下特性によってワーク60の温度が時間と共に低下するときの(温度と時間)の関係について、パーライト変態限界の(温度と時間)の特性曲線に交差する走査時間に相当する走査長さである。
Sminの内容については図4で述べたので、Smaxについて、鉄−炭素系状態図である図7と、鋼材の恒温変態曲線と実際の冷却特性との関係を示す図8を用いて説明する。
図7の鉄−炭素系状態図において、横軸は、質量%で示す鋼材の炭素量であり、縦軸は温度である。図7において、αはフェライトであり、γはオーステナイトであり、Pはパーライトである。Lは、溶融状態を示す。炭素鋼としてよく知られているS45Cは、炭素量が0.45質量%であり、温度変化と共に、図7に示す破線上で組織が変わる。例えば、温度が約750℃に上昇すると、(フェライト+パーライト)の組織が(フェライト+オーステナイト)になり、温度が約780℃まで上昇すると、全部がオーステナイト組織になる。この例では、オーステナイト化が開始する温度ASは約750℃で、オーステナイト化が完了する温度AFは約780℃である。
図7では、オーステナイトを急冷して得られるマルテンサイトが表されていない。オーステナイトからマルテンサイトへ変態するのは、冷却時間や冷却速度が関係する。図8は、鋼材の恒温変態曲線の例を示す図である。恒温変態曲線は、鋼材をAS以下の温度に保持すると、時間が経過すると鋼材の組織が変態することを示す特性曲線である。図8の横軸は、対数目盛で示す保持時間で、1sから8hまでを示す。縦軸は温度である。図8において、PSは、オーステナイトからパーライトまたはベイナイトへの変態が開始する変態曲線であり、PFは、オーステナイトからパーライトまたはベイナイトへの変態が完了する変態曲線である。MSはオーステナイトからマルテンサイトへの変態が開始する変態曲線であり、MFオーステナイトからマルテンサイトへの変態が完了する変態曲線である。
図8に示されるように、オーステナイトからマルテンサイトに変態させるには、パーライト変態限界を示す変態曲線PSにかからないように、ワーク60の温度を低下させることが必要である。変態曲線PSで、時間が最も短くなる(温度と時間)を示すPNは、パーライトノーズと呼ばれる。PNは、(温度=約530℃、時間=約1.5s)である。換言すれば、冷却前のオーステナイト状態の温度から、約530℃まで、約1.5s未満の時間で冷却しないと、パーライトに変態し、完全なマルテンサイト化とならない。
鉄の熱伝導率は、83.5W/m・Kであり、乾燥空気の熱伝導率は、0.024W/m・Kであり、鉄の熱伝導率に比べると、乾燥空気は熱絶縁体的に働く。鋼材ワーク60の板厚tが十分厚い場合の「自己冷却特性」は、図8の冷却特性線82となり、MFの温度=約120℃まで、2s未満で到達する。鋼材ワーク60の板厚tが薄いと、鋼材と空気の境界で熱が反射されて残熱となり、鋼材ワーク60の温度が上昇する。図8では、自己冷却によって約400℃まで1s未満で温度が低下したが、それ以降は、残熱によって時間経過とともに温度が上昇する残熱特性84となり、そのまま進むと、変態曲線PSにかかり、パーライトまたはベイナイトに変態する。冷却領域66を設けて冷却水46で冷却すると、アシスト冷却特性80となり、パーライト変態限界を示す変態曲線PSにかからず、MSまで2s未満で達する。
残熱特性84は、緩衝領域65で生じ、板厚tが薄いほど、高温側となり、PNやPSにかかる恐れが生じる。残熱特性84を抑制するには、緩衝領域65の走査方向に沿った長さSを短くすればよいが、Smin以下にはできない。緩衝領域65の走査方向に沿った長さSの許される最大値は、残熱特性84で左右され、板厚tが薄いほど小さな値でないと許容されず、板厚tが厚いほど大きな値まで許容される。このように、Smaxは、ワーク60の板厚tに依存して定められる。具体的には、実験評価等によって、Smaxが設定される。
再び図6に戻り、S10において、レーザビーム38の形状が設定されると、ワーク60の内周面62及びフランジ部63に対する照射領域64の位置が、ワーク60の走査方向に沿った走査角度θの位置を用いて定まる。照射領域64の位置が定まると、緩衝領域65の走査方向に沿った長さSがSminとSmaxの間の範囲で設定され、これにより、冷却領域66の位置が、ワーク60の走査方向に沿った走査角度θの位置を用いて定まる。そこで、冷却領域66に対して冷媒供給(S12)が行われ、搬出ガス供給(S14)が行われる。S12とS14の順番はいずれが先でもよい。S12とS14の処理手順が行われると、冷却領域66に、冷却水46が流れる状態となる。
次に、レーザ照射が照射領域64に対して行われる(S16)。そして、所定の走査速度で、ワーク60が移動される(S18)。S16でレーザ照射が行われた照射領域64は、走査方向の下流側の緩衝領域65に移動する。そのときに自己冷却が生じるが、板厚tが薄いと、図8で述べたように、残熱特性84が生じるので、自己冷却のみではパーライト変態限界を示す変態曲線PSにかかる恐れがある。ワーク60が緩衝領域65を超えて冷却領域66に達すると、冷却水46によって自己冷却アシストが行われ、急速冷却となって、温度MFに達し、レーザ焼入れが完了する(S20)。このとき、搬出ガス供給装置50の作用効果により、冷却水46が気化して発生する水蒸気は、冷却領域66よりも下流側に搬出されるので、現在の照射領域64におけるレーザ照射を妨げない。なお、ワーク60を流れ落ちた使用済みの冷却水46は、図1に示すワーク保持治具26に設けられた排水路28を通って、ワーク60に溜まることなく外部に排出される。
このように、緩衝領域65の走査方向に沿った長さSを適切に設定することで、ワーク60の板厚tが薄くてもレーザ焼入れを適切に行うことができる。
図9、図10に、ワーク60について、緩衝領域65の走査方向に沿った長さSを変化させたときの特性評価結果を示す。ワーク60の材質は、SPFH590と呼ばれるMnとSiを含む高張力鋼である。測定箇所は、図5でMと示す位置で、評価項目は、Mの位置における表面硬度と、ビッカース硬度がHv=350となる表面からの深さである。緩衝領域65の走査方向に沿った長さSは、0mm、10mm、20mm、30mmとした。
図9は、長さSを変化させたときの表面硬度の変化をまとめた図である。図9(a)は、横軸に長さSを取り、縦軸に表面硬度を取った図で、(b)は、(a)の硬度から推定されるワーク60の表面組織である。図9に示されるように、長さSが0mmと10mmのときの表面硬度は同じで、ビッカース硬度Hvで約420であり、長さSが20mm、30mmと大きくなるにつれ、表面硬度が低下する。この結果から推定される表面組織は、長さSが10mm以下では、マルテンサイトのみで、長さSが10mmを超すと、パーライトが出現し、長さSが大きくなるにつれ、パーライトの割合が増加すると考えられる。
図10は、横軸に長さSを取り、縦軸に、ビッカース硬度がHv=350となる表面からの深さを取った図である。ここでは、長さSが10mmのときに、ビッカース硬度がHv=350となる深さが約0.52mmと最大値となり、長さSが0mmではこれよりも浅い深さとなる。これは、長さSが短すぎて、照射領域64が冷却水46の影響を受けているものと考えられる。また、長さSが10mmより大きくなるにつれ、Hv=350となる深さが浅くなり、焼入れが不十分となることが示される。この結果は、図8で説明した内容と一致する。
一例として、ワーク60の表面焼入れの仕様が、表面からの深さ=0.5mmの表層部において、ビッカース硬度がHv=350以上とされる場合は、図10の結果から、緩衝領域65のSminは10mmよりやや短く、Smaxは10mmよりやや長くなる。したがって、緩衝領域65の長さSは、約10mm前後の狭い範囲内に設定すればよいことが分かる。
図11は、冷却装置40を用いないか、あるいは、緩衝領域65の長さSが適切な値よりも大きすぎたときに、ワーク60に生じる残熱を示す図である。図11において、横軸は、ワーク60の内周面62における走査方向に沿った位置を走査角度θで取り、縦軸は、ワーク60の温度である。走査角度θ=0°は、照射開始位置P0に相当し、この位置で初めてレーザビーム38が照射されるので、残熱はまだ生じず、ワーク60の温度は室温である。P0から走査方向に沿って上流側の照射領域64でレーザビーム38が照射されると、照射領域64が急激に加熱されるが、ワーク60の自己冷却によってその入熱はワーク60の内部に分散する。しかし、ワーク60の板厚tが薄いと、自己冷却が不十分となる。走査方向に沿って上流側に照射領域64が移動するにつれ、残熱が累積され、ワーク60の温度が特性線90のように次第に上昇する。
ワーク60の温度がMs以下で留まっているうちは、焼入れが可能である。ワーク60の温度がMsを越えると、もはや自己冷却のみでは焼入れが不可能になる。図11において、焼入れが可能な領域に斜線を付した。この例では、照射開始位置P0から走査方向に沿ってぐるっとレーザ照射が行われるが、ある走査角度まで焼入れされ、それより先は焼入れされない。そのまま走査方向に沿ってレーザ照射を続けると、焼入れはされないが、残熱は順次蓄積されて、ワーク60の温度が上昇を続ける。図11は、環状形状を平面的に展開した展開図であるので、走査角度=+270°から先は、走査角度=−90°の位置から照射開始位置P0に向かって進むことになる。
レーザ照射が終了する照射終了位置P1は、照射開始位置P0の手前の位置である。P1をP0と重ねないのは、既に焼入れされた領域にレーザビーム38を照射すると、その入熱によって既に焼入れされた領域が焼戻しされるので、これを避けるためである。P1とP0の間の領域は、ソフトゾーンと呼ばれ、レーザ照射が行われない領域で、ワーク60の素材領域であり、硬さは、ワーク60の素材の硬さのままである。残熱が蓄積されていると、照射終了位置P1におけるワーク60の温度はかなり高く、その熱がソフトゾーンを越え、図11で斜線を付した既に焼入れされている領域に分散する。この残熱の分散によって、通常のソフトゾーンを設けていても、既に焼入れされた領域が焼き戻しされ、硬度が低下する。したがって、冷却装置40を用いない場合には、部分的に焼入れされた領域も焼き戻しによって焼入れ効果が減少することになる。
上記では、環状形状を有するワーク60について述べたが、板厚tが薄い平板のワークについても、不十分な自己冷却を冷却装置40によってアシストし、レーザ焼入れを十分に行うことができる。平板状のワークの場合は、ワーク移動機構20をリニアモータ等の直進移動機構とする。冷却装置40と搬出ガス供給装置50は、図1で述べた内容をそのまま利用できる。
平板状のワークの場合は、走査方向が直線的な一方向であり、ワークの全長L0の一方端が照射開始位置P0であり、他方端が照射終了位置P1であるので、照射終了位置P1が照射開始位置P0の近傍に戻ることがない。図12は、図11に対応する図で、冷却装置40を用いない場合に、不十分な自己冷却によって残熱が発生し、ワークの温度は、特性線92に示すように、照射開始位置P0における室温から次第に上昇する。ワークの温度がMsを越えると、それから先は図11と同様に焼入れが不可能になる。走査方向に沿ってそのままレーザ照射を続けると、蓄積された残熱によって照射終了位置P1におけるワークの温度はかなり高くなるが、その残熱の分散は、照射終了位置P1の周辺に留まり、図12で斜線を付した既に焼入れされた領域に及ばない。
図11、図12はいずれも冷却装置40を用いない場合である。環状形状を有するワーク60において焼入れが行われる部位の板厚が薄く、あるいは平板状のワークにおいて板厚が薄くて、自己冷却が不十分な場合には、冷却装置40を用いないときに、残熱が蓄積し、ワークの温度が上昇する。これによって、所望の焼入れが不可能になる領域が生じる。特に、環状形状を有するワーク60においては、照射終了位置P1が照射開始位置P0の近傍に戻ってきたときに、通常のソフトゾーンを設けても、照射終了位置P1の熱がソフトゾーンを越えて分散する。これによって、照射開始位置P0の上流側の既に焼入れされた領域が焼き戻しされ、硬度が低下する。
冷却装置40を用い、緩衝領域65の走査方向に沿った長さSを適切に設定することで、環状形状を有するワーク60においても、平板状のワークにおいても、残熱の発生が抑制されるので、所望の焼入れが不可能になる領域をなくすことができる。また、環状形状のワーク60においては、レーザ照射を受けた後、必ず冷却水46によって冷却されるので、照射終了位置P1を照射開始位置P0を越えた上流側とすることができる。この場合、照射終了位置P1から照射開始位置P0までの部分は、既に焼入れされた上にレーザ照射を受けるので、硬度が低下したゾーンとなるが、冷却水46による冷却を受けるので、このゾーンを越えて熱が分散することはない。したがって、環状形状のワーク60において、照射終了位置P1を照射開始位置P0の手前で止める必要がないので、表面焼入れにおける作業効率が向上する。このように、平板状のワークに比べ、環状形状を有するワーク60においては、冷却装置40が非常に有効に働く。
上記構成のレーザ焼入れシステム10及びレーザ焼入れシステム10を用いるレーザ焼入れ方法によれば、鋼材ワーク60において焼入れが行われる部位の板厚tが薄くて自己冷却が不十分であっても、所望のレーザ焼入れが可能となる。
10 (レーザ焼入れ)システム、12 床面、20 ワーク移動機構、22 ワーク回転機、24 回転取付台、26 ワーク保持治具、28 排水路、30 レーザ照射装置、32 ビーム照射部、34 ロボットアーム、36 レーザ照射制御部、38 レーザビーム、40 冷却装置、42 冷媒供給管、44 冷却ノズル、46 冷却水、50 搬出ガス供給装置、52 搬出ガス供給管、54 ガス噴出ノズル、56 搬出ガス流、60 (鋼材)ワーク、61 内径穴、62 内周面、63 フランジ部、64 照射領域、65 緩衝領域、66 冷却領域、68 完全焼入れ層、69 部分焼入れ層。

Claims (7)

  1. 焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワークに対し表面焼入れを行うためのレーザ焼入れシステムであって、
    ワークを保持し走査方向に移動させるワーク移動機構と、
    走査方向に移動するワークに対しレーザビームを照射するレーザ照射装置と、
    走査方向において既にレーザ照射が行われた側を下流側とし、まだレーザ照射が行われていない側を上流側として、鋼材ワークにおけるレーザビームの照射領域よりも走査方向に沿って鋼材ワークの板厚に応じた所定の緩衝領域を隔てた下流側の冷却領域に冷媒を供給する冷却装置と、
    を備えることを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  2. 請求項1に記載のレーザ焼入れシステムにおいて、
    所定の緩衝領域の走査方向に沿った長さは、
    照射領域にレーザビームの照射によって入熱された鋼材ワークが表面から所定の深さまでオーステナイト化することについて冷却領域における冷却によって妨げられない長さ以上であり、
    緩衝領域において、鋼材ワークの材質で定まる自己冷却特性が鋼材ワークの板厚に応じて低下する自己冷却低下特性によって鋼材ワークの温度が時間と共に低下するときの(温度と時間)の関係について、パーライト変態限界の(温度と時間)の特性曲線に交差する走査時間に相当する長さ以下となる範囲に設定されることを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  3. 請求項1または2に記載のレーザ焼入れシステムにおいて、
    冷却領域に供給される冷媒及び気化した冷媒を冷却領域よりも走査方向の下流側に流すための搬出ガス流を供給する搬出ガス供給装置を備えることを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  4. 請求項3に記載のレーザ焼入れシステムにおいて、
    冷媒は、冷却水であり、冷媒蒸気は水蒸気であり、
    搬出ガス流は、空気流であることを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  5. 請求項1から4のいずれか1に記載のレーザ焼入れシステムにおいて、
    鋼材ワークが円環形状であって、
    ワーク移動機構は、鋼材ワークの円環形状の周方向に沿った方向を走査方向として鋼材ワークをその中心軸周りに回転させる回転機構であり、
    レーザ照射装置は、走査方向における照射開始位置から円環形状の周方向に沿ってぐるっと回って再び照射開始位置の近傍に戻る照射を鋼材ワークに対して行うことを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  6. 請求項5に記載のレーザ焼入れシステムにおいて、
    レーザ照射装置は、鋼材ワークの円環形状の内周面にレーザビームを照射し、
    冷却装置は、鋼材ワークの円環形状の内径穴側から内周面に向かって冷媒を供給することを特徴とするレーザ焼入れシステム。
  7. 焼入れが行われる部位の板厚が5mm以下の鋼材ワークに対し相対的にレーザビームを走査して表面焼入れを行うためのレーザ焼入れ方法であって、
    走査方向において既にレーザ照射が行われた側を下流側とし、まだレーザ照射が行われていない側を上流側として、走査方向に沿って、鋼材ワークにおけるレーザビームの照射領域と、照射領域よりも下流側に設けられる冷却領域との間に、鋼材ワークの板厚に応じた所定の緩衝領域を設定する設定工程と、
    鋼材ワークの冷却領域に冷媒を供給する冷却工程と、
    冷却領域に供給される冷媒及び気化した冷媒を冷却領域よりも走査方向の下流側に流すための搬出ガス流を供給する搬出ガス供給工程と、
    鋼材ワークを保持し走査方向に移動させるワーク移動工程と、
    走査方向に移動する鋼材ワークの照射領域にレーザビームを照射する照射工程と、
    を含むことを特徴とするレーザ焼入れ方法。
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