JP2018188541A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有しながらも、優れた低トルク性を有するグリース組成物を提供する。
【解決手段】エステル系油(A1)を含む基油(A)と、下記一般式(b1)
−NHCONH−R−NHCONH−R (b1)
(式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8〜20の1価の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。)
で表される脂肪族ジウレア(B)とを含有するグリース組成物であって、
基油(A)の40℃動粘度が10mm/s以上45mm/s未満であり、
エステル系油(A1)の含有量が、基油(A)の全量基準で50質量%以上であり、
脂肪族ジウレア(B)の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で20〜30質量%であり、
25℃における混和ちょう度が300超である、グリース組成物とした。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリース組成物に関する。
一般に、半導体製造装置、液晶製造装置、プリント基板製造装置等の精密電子機器製造装置などに使用される駆動部分は、塵埃の非常に少ないクリーンな環境での使用が求められており、通常クリーンルーム内に設置される。このような駆動部分としては、ボールねじ、リニアガイド、サーボモーター等が挙げられる。また、食品製造工場や医薬品製造工場等においても、製品への異物の混入を避けるため、クリーンな環境が求められている。
このようなクリーンな環境下で用いられる装置や機器には、軸受や摺動部、接合部があり、その潤滑部分には、油飛散が低減された、すなわち低発塵性のグリースが用いられている。
このような低発塵性のグリースとしては、従来から、フッ素系グリースが使用されている。
しかしながら、フッ素系グリースは、一般的に高価であり、低発塵性も十分とは言い難い。また、フッ素系グリースは、他のグリースと比べて潤滑性能が不十分であり、当該フッ素系グリースを充填した潤滑部分において摩擦や攪拌によるトルク損失が増大する場合がある。さらに、半導体装置等のような精密電子部品の製造において、製品へのハロゲン成分の混入は、製品の歩留まりにも悪影響を及ぼす。
そこで、増ちょう剤としてリチウム系石鹸を用いた非ハロゲン系の低発塵性グリース組成物も提案されている。例えば、特許文献1には、所定の動粘度を有する基油に、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩で、所定の繊維状の増ちょう剤を15〜30質量%含有するグリース組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のグリース組成物は、低発塵性が不十分である。
また、特許文献1に記載のグリース組成物は、増ちょう剤として金属塩を含むため、当該グリース組成物が飛散した場合に、半導体装置等の精密電子機器に付着したことに起因する動作不良を引き起こしやすい。
上記問題点を踏まえ、ウレア系増ちょう剤を用いた非ハロゲン系の低発塵性グリース組成物も提案されている。例えば、特許文献2には、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種が配合された基油と、ウレア化合物からなる増ちょう剤とを含むグリース組成物が開示されている。
特開2004−352953号公報 特開平11−166191号公報
一般的に、グリース組成物を充填した潤滑部分においては、グリースを硬くする程、攪拌や摩擦によるトルク損失が増大し得る。特許文献2に開示されているグリース組成物は、発塵量を抑制するために、混和ちょう度を190〜230の範囲に調整して硬くするようにしている。そのため、当該グリース組成物を充填した潤滑部分におけるトルク損失の増大が懸念される。
しかしながら、グリース組成物を充填した潤滑部分におけるトルク損失の増大は、望ましいこととはいえない。したがって、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分において適用されるグリース組成物についても、低発塵性だけでなく、攪拌や摩擦によるトルク損失の増大を抑制することのできる、いわゆる「低トルク性」を有することが望ましいと考えられる。
また、例えば、半導体製造工程等においては、ワークの搬送や位置決めのために、上記駆動部分を備える装置が用いられる。
上記駆動部分を備える駆動系においては、低速度領域から高速度領域において安定したトルクを出力できる上記駆動部分を利用して、ワークの位置、方位、及び姿勢が精緻に制御される。
上記駆動部分の精緻な制御性を十分に発揮させるためにも、優れた低発塵性及び低トルク性が求められる。
また、特許文献2に開示されているグリース組成物は、混和ちょう度を190〜230の範囲に調整して硬くすることで、発塵量を抑制するようにしているものの、ポリ−α−オレフィンを含むため、低発塵性は不十分である。
したがって、グリース組成物の混和ちょう度を低下させて硬くしたからといって、必ずしも低発塵性を十分なものとできるわけでもない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分においても適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有しながらも、優れた低トルク性を有するグリース組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、エステル系油を一定量以上含み、40℃動粘度を所定の範囲に調製した基油を用いると共に、特定の構造を有する脂肪族ジウレアの含有量を所定の範囲で調製したグリース組成物が、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]に関する。
[1]エステル系油(A1)を含む基油(A)と、下記一般式(b1)
−NHCONH−R−NHCONH−R・・・・(b1)
(式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8〜20の1価の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。)で表される脂肪族ジウレア(B)とを含有するグリース組成物であって、
基油(A)の40℃動粘度が10mm/s以上45mm/s未満であり、
エステル系油(A1)の含有量が、基油(A)の全量基準で50質量%以上であり、
脂肪族ジウレア(B)の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で20〜30質量%であり、
25℃における混和ちょう度が300超である、グリース組成物。
本発明のグリース組成物は、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分においても適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有しながらも、優れた低トルク性を有する。
〔本発明のグリースの実施態様〕
本発明のグリース組成物は、エステル系油(A1)を含む基油(A)と、下記一般式(b1)
−NHCONH−R−NHCONH−R・・・・(b1)
(式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8〜20の1価の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。)で表される脂肪族ジウレア(B)とを含有するグリース組成物であって、
基油(A)の40℃動粘度が10mm/s以上45mm/s未満であり、
エステル系油(A1)の含有量が、基油(A)の全量基準で50質量%以上であり、
脂肪族ジウレア(B)の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で20〜30質量%であり、
25℃における混和ちょう度が300超である、グリース組成物である。
一般的に、グリース組成物の低発塵性は、グリース組成物の混和ちょう度を低下させて硬くするほど向上し、混和ちょう度を高めて軟らかくするほど悪化する傾向にあるといわれている。他方、グリース組成物の低トルク性は、グリース組成物の混和ちょう度を低下させて硬くすることで悪化し、混和ちょう度を高めて軟らかくすることで向上する傾向にあるといわれている。
したがって、グリース組成物において、「低発塵性の向上」と「低トルク性の向上」はトレードオフの関係にあり、これらを両立させることは極めて困難であるという見解が技術常識である。
また、グリース組成物の混和ちょう度を低下させて硬くしたからといって、必ずしも低発塵性を十分なものとできるわけでもない。このことが、「低発塵性の向上」と「低トルク性の向上」の両立をより一層困難なものとしている。
かかる技術常識の下、本発明者等は、エステル系油(A1)を50質量%以上含む基油を含有すると共に、上記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)を20〜30質量%含有するグリース組成物とすること、及び、基油の40℃動粘度を10mm/s以上45mm/s未満とすることによって得られる、25℃における混和ちょう度が300超であるグリース組成物が、軟らかいにもかかわらず優れた低発塵性を有しながらも、優れた低トルク性を有することを見出した。
なお、本発明の一態様のグリース組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分(A)及び(B)以外の汎用添加剤を含有していてもよい。
本発明の一態様のグリース組成物において、上述の成分(A)及び(B)の合計含有量は、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%、更になお好ましくは90〜100質量%である。
また、本発明の一態様のグリース組成物において、金属原子含有化合物の含有量は、少なく調製することが好ましい。
金属原子含有化合物を含むグリース組成物は、発塵の抑制効果が不十分であり、クリーンな環境下で使用される装置の潤滑部分には適用し難い。また、当該グリース組成物が飛散した場合に、当該装置から製造された精密電子機器に、グリース組成物中に含まれる金属原子含有化合物に由来の金属原子が付着したことに起因する動作不良を引き起こし易く、製品の歩留まりに大きく影響する。
上記観点から、本発明の一態様のグリース組成物における、金属原子含有化合物の含有量としては、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、更になお好ましくは0.001質量%未満である。
なお、本発明において、「金属原子含有化合物の含有量」は、ASTM D4951に準拠して測定された値を意味する。
金属原子含有化合物に含まれる金属原子としては、例えば、リチウム原子やナトリウム原子等のアルカリ金属原子、カルシウム原子やマグネシウム原子等のアルカリ土類金属原子、亜鉛やモリブデン等の遷移金属原子等が挙げられる。
金属原子含有化合物としては、例えば、増ちょう剤として配合される、カルボン酸又はそのエステルをアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム等の水酸化物でけん化した金属系石鹸やリチウムコンプレックス石鹸等の金属系コンプレックス石鹸、並びに、金属系分散剤、金属系清浄剤、金属系極圧剤、及び金属系防錆剤等として配合される金属塩や金属酸化物等が挙げられる。
さらに、本発明の一態様において、低発塵性のグリース組成物とする観点、並びに、当該グリース組成物を半導体機器製造装置等の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分に用いた場合に当該製造装置から製造される製品の歩留まりを良好とする観点から、ハロゲン系化合物の含有量を、少なく調製することが好ましい。特に、ハロゲン系化合物の中でも、フッ素系化合物の含有量を、少なく調製することがより好ましい。
上記観点から、本発明の一態様のグリース組成物における、ハロゲン系化合物の含有量としては、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、更になお好ましくは0.001質量%未満である。
また、上記観点から、本発明の一態様のグリース組成物における、フッ素系化合物の含有量としては、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、更になお好ましくは0.001質量%未満である。
本発明において、ハロゲン系化合物とは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を含有する化合物を指す。
具体的なハロゲン系化合物としては、例えば、基油として配合されるパーフルオロポリエーテル(PEPE)、増ちょう剤として配合されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、消泡剤として配合されるフッ素化シリコーン系化合物等が挙げられる。
以下、本発明のグリース組成物に配合される各成分について説明する。
<基油(A)>
本発明のグリース組成物は、エステル系油(A1)を含む基油(A)を含有する。
本発明のグリース組成物において、基油(A)中のエステル系油(A1)の含有量は、基油(A)の全量(100質量%)基準で、50質量%以上である。
エステル系油(A1)の含有量が50質量%未満であると、十分な低発塵性が得られないという弊害が生じ得る。
なお、本発明の一態様において、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、基油(A)中のエステル系油(A1)の含有量は、基油(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%、更になお好ましくは95〜100質量%である。
また、本発明の一態様において、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、グリース組成物中のエステル系油(A1)の含有量は、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは55〜80質量%、更に好ましくは60〜80質量%、より更に好ましくは65〜80質量%、更になお好ましくは70〜80質量%である。
本発明で用いるエステル系油(A1)としては、例えば、ジエステル系油、芳香族エステル系油、ポリオールエステル系油、並びに、多価アルコールと二塩基酸及び一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステル等のコンプレックスエステル系油等が挙げられる。これらのエステル系油(A1)は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、ポリオールエステル系油が好ましい。
ポリオールエステル系油としては、ポリオールと脂肪酸との縮合物であるエステルであり、該ポリオールの全ての水酸基がエステル化されたエステルのことを意味する。
ポリオールエステルを構成するポリオールの水酸基の数は、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、2〜20個が好ましく、2〜10個がより好ましく、3〜8個が更に好ましく、3〜5個がより更に好ましい。
また、ポリオールの炭素数は、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、2〜20が好ましく、4〜15がより好ましく、4〜10が更に好ましく、4〜6がより更に好ましい。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等のジオール;またトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジトリメチロールプロパン)、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレンジトース等の糖類;並びにこれらの部分エーテル化物、及びメチルグルコシド(配糖体)等の水酸基を3以上有するポリオールなどが挙げられる。
これらのポリオールのなかでも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールが好ましく、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールがより好ましく、ペンタエリスリトールが更に好ましい。
これらのポリオールは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオールエステルを構成する脂肪酸が有するカルボニル基の数は、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、カルボニル基が1〜4個の脂肪酸が好ましい。
また、脂肪酸の炭素数としては、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、3〜24が好ましく、3〜15がより好ましい。
なお、本発明において、脂肪酸の炭素数には、脂肪酸を構成するカルボニル基の炭素数も含まれる。
脂肪酸は、直鎖状、又は分岐状のいずれであってもよいが、より優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、直鎖状の脂肪酸が好ましい。
なお、脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
脂肪酸としては、例えば、プロパン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸等の直鎖又は分岐のもの、あるいはα炭素原子が4級である、いわゆるネオ酸などが挙げられる。
これらの脂肪酸のなかでも、n−プロパン酸、n−ブタン酸、イソブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、3−メチルブタン酸、2−メチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸が好ましい。
これらの脂肪酸は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、本発明の一態様において、より一層優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、エステル系油(A1)は、ポリオールエステルを含み、該ポリオールエステルがペンタエリスリトールと炭素数3〜15の飽和脂肪族モノカルボン酸とのエステルであることが好ましい。
なお、該飽和脂肪族カルボン酸の炭素数は、好ましくは5〜14、より好ましくは6〜12、更に好ましくは7〜10である。
なお、本発明において、飽和脂肪族モノカルボン酸の炭素数には、飽和脂肪族モノカルボン酸を構成するカルボニル基の炭素数も含まれる。
炭素数3〜15の飽和脂肪族カルボン酸は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよいが、より一層優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、直鎖状であることが好ましい。
炭素数3〜15の飽和脂肪族カルボン酸としては、例えば、プロパン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸等の、直鎖又は分岐のもの、あるいはα炭素原子が4級である、いわゆるネオ酸などが挙げられる。
これらの脂肪酸のなかでも、n−プロパン酸、n−ブタン酸、イソブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸、3−メチルブタン酸、2−メチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸が好ましく、n−ブタン酸、イソブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸がより好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれるエステル系油(A1)の40℃動粘度は、10mm/s以上45mm/s未満であり、好ましくは15〜40mm/s、より好ましくは20〜40mm/s、更に好ましくは25〜40mm/s、より更に好ましくは25〜35mm/s、更になお好ましくは30〜35mm/sである。
エステル系油(A1)の40℃動粘度は、例えば、上述の脂肪酸(飽和脂肪族モノカルボン酸)の炭素数を変更すること等によって、所望の範囲に調整することができる。
なお、本発明において、エステル系油(A1)の40℃における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定した値を意味する。
本発明のグリース組成物に含まれるエステル系油(A1)の粘度指数は、好ましくは50〜160、より好ましくは70〜150、更に好ましくは80〜140、より更に好ましくは100〜130、更になお好ましくは110〜130、一層好ましくは120〜130である。
なお、本発明において、エステル系油(A1)の粘度指数は、JIS K2283に準拠して測定した値を意味する。
本発明のグリース組成物に用いられる基油(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、エステル系油(A1)以外のその他の基油を含有してもよい。
ただし、本発明の一態様のグリース組成物では、鉱油及びポリ−α−オレフィン(PAO)は、本発明のグリース組成物が有する低発塵性を低下させる恐れがあるため、これらの含有量は少ない方が好ましい。
鉱油の含有量としては、エステル系油(A1)100質量部に対して、好ましくは10質量部未満、より好ましくは5質量部未満、更に好ましくは1質量部未満、より更に好ましくは0.1質量部未満であり、更になお好ましくは0.01質量部未満であり、より一層好ましくは鉱油を含まないことである。
ポリ−α−オレフィンの含有量は、エステル系油(A1)100質量部に対して、好ましくは10質量部未満、より好ましくは5質量部未満、更に好ましくは1質量部未満、より更に好ましくは0.1質量部未満、更になお好ましくは0.01質量部未満であり、より一層好ましくはポリ−α−オレフィンを含まないことである。
さらに、本発明の一態様で用いる基油(A)において、鉱油及びポリ−α−オレフィンの合計含有量は、エステル系油(A1)100質量部に対して、好ましくは10質量部未満、より好ましくは5質量部未満、更に好ましくは1質量部未満、より更に好ましくは0.1質量部未満であり、更になお好ましくは0.01質量部未満であり、より一層好ましくは鉱油及びポリ−α−オレフィンを含まないことである。
本発明のグリース組成物に含まれる基油(A)の40℃動粘度は、10mm/s以上45mm/s未満であり、好ましくは15〜40mm/s、より好ましくは20〜40mm/s、更に好ましくは25〜40mm/s、より更に好ましくは25〜35mm/sである。
基油(A)の40℃動粘度が10mm/s未満であると、十分な低発塵性が得られないため好ましくない。
また、基油(A)の40℃動粘度が45mm/s以上であると、低トルク性が悪化するため好ましくない。
基油(A)の40℃における動粘度を上記範囲に調整することで、グリース組成物の混和ちょう度を300超に調整し得る。
また、グリース組成物が油分離してしまう現象を抑制することもできる。加えて、グリース組成物を装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分に供給し易く、当該潤滑部分の部材の焼き付きの発生を抑制することもできる。
なお、本発明において、基油(A)の40℃における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様のグリース組成物において、基油(A)の含有量は、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは55〜80質量%、更に好ましくは60〜80質量%、より更に好ましくは65〜80質量%、更になお好ましくは70〜80質量%である。
<脂肪族ジウレア(B)>
本発明のグリース組成物は、下記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)を含有する。
−NHCONH−R−NHCONH−R (b1)
上記一般式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8〜20の1価の脂肪族炭化水素基を示し、R及びRは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。
上記一般式(b1)中のR及びRとして選択し得る1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、8〜20であるが、より一層優れた低発塵性及び低トルク性を有するグリース組成物を得る観点から、好ましくは10〜20、より好ましくは12〜20、更に好ましくは14〜20、より更に好ましくは16〜20である。
及びRとして選択し得る1価の脂肪族炭化水素基の炭素数が8未満であると、グリース組成物の低発塵性が不十分となるため好ましくない。
また、R及びRとして選択し得る1価の脂肪族炭化水素基の炭素数が20超であると、脂肪族ジウレア(B)の合成が困難となるため好ましくない。
なお、R及びRとして選択し得る1価の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
1価の飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数8〜20のアルキル基が挙げられる。具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられ、好ましくはヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基であり、より好ましくはオクタデシル基である。
1価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数8〜20のアルケニル基が挙げられる。具体的には、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられ、好ましくはヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基であり、より好ましくはオクタデセニル基である。
なお、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪酸炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
前記一般式(b1)中のRとして選択し得る2価の芳香族炭化水素基の炭素数としては、6〜18であるが、好ましくは6〜15、より好ましくは6〜13である。Rの炭素数が6未満又は18超であると、脂肪族ジウレア(B)の合成が困難となる。
として選択し得る2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、ジフェニルプロピレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、エチルフェニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、又はジフェニルプロピレン基が好ましく、ジフェニルメチレン基がより好ましい。
上記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)は、通常ジイソシアネートとモノアミンとを反応させることによって得ることができる。当該反応は、上述のエステル系油(A1)を含む基油(A)に、ジイソシアネートを配合し、加熱溶解して得た、ジイソシアネートを含む基油を加熱し撹拌しながら、そこに、エステル系油を含む基油(A)にモノアミンを溶解させた基油を添加する方法が好ましい。
例えば、上記一般式(b1)で表される化合物を合成する場合に、ジイソシアネートとしては、上記一般式(b1)中のRで示される2価の芳香族炭化水素基に対応する基を有するジイソシアネートを用い、モノアミンとしては、R及びRで示される1価の炭化水素基に対応する基を有するアミンを用いて、上記の方法により、所望のジウレア化合物を合成することができる。
本発明のグリース組成物において、脂肪族ジウレア(B)の含有量は、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、20〜30質量%であるが、好ましくは22〜28質量%である。
脂肪族ジウレア(B)の含有量が20質量%未満であると、低発塵性が不十分となるため好ましくない。
また、脂肪族ジウレア(B)の含有量が30質量%超であると、低トルク性が悪化するのため好ましくない。
脂肪族ジウレア(B)の含有量を上記範囲に調整することで、グリース組成物の混和ちょう度を300超に調整し得る。
<汎用添加剤>
本発明の一態様のグリース組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的なグリース組成物に配合される、上記成分(A)及び(B)以外の汎用添加剤を含有していてもよい。
このような汎用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、清浄分散剤、腐食防止剤、金属不活性剤等が挙げられる。
これらの各汎用添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、アミン化合物等が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、リン系化合物等が挙げられる。
清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド、ボロン系コハク酸イミド等の無灰分散剤が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、チアゾール系化合物等が挙げられる。
金属不活性剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
上述のとおり、本発明の一態様のグリース組成物は、金属原子含有化合物やハロゲン系化合物の含有量は少なく調製することが好ましい。
そのため、本発明の一態様のグリースに配合される汎用添加剤においても、金属原子及びハロゲン原子の含有量が少ない汎用添加剤を用いることが好ましく、金属原子及びハロゲン原子の含有量を含有しない汎用添加剤を用いることがより好ましい。
本発明の一態様のグリース組成物における、各汎用添加剤の含有量は、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、通常0〜10質量%、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0〜2質量%である。
<本発明のグリース組成物の物性>
本発明のグリース組成物において、25℃における混和ちょう度は300超である。
混和ちょう度を300超とすることで、低トルク性に優れたグリース組成物となる。
本発明において、グリース組成物の混和ちょう度は、JIS K2220 7:2013に準拠して測定された値である。
本発明のグリース組成物では、基油(A)の40℃における動粘度を10mm/s以上45mm/s未満とし、上記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)の含有量を、当該グリース組成物の全量(100質量%)基準で、20〜30質量%としているので、グリース組成物の25℃における混和ちょう度は300超に調整される。
一般に、混和ちょう度が300を超える軟らかいグリース組成物は、優れた低発塵性を有するものとはならない。しかしながら、本発明のグリース組成物は、このように軟らかいグリース組成物であるにもかかわらず、優れた低発塵性を有する。加えて、軟らかいグリース組成物であることによって、低トルク性も十分に確保される。
つまり、本発明のグリース組成物は、優れた低発塵性及び低トルク性を両立する従来にはない優れた効果を奏する。当該効果は、エステル系油(A1)を50質量%以上含む基油を含有すると共に、上記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)を20〜30質量%含有するグリース組成物とすること、及び、基油の40℃動粘度を10mm/s以上45mm/s未満とすることによって奏され得るものと考えられる。
なお、本発明のグリース組成物において、25℃における混和ちょう度の上限値としては、例えば、JIS K 2220のちょう度分類における0号の上限値である385が好ましく、1号の上限値である340であることがより好ましい。
<本発明のグリース組成物の用途>
本発明のグリース組成物は、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で設置される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有する。
そのため、本発明のグリース組成物は、クリーンルーム内で製造もしくは使用される装置(例えば、半導体製造装置、液晶製造装置、プリント基板製造装置等)に用いられることが好ましく、より具体的には当該装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分の潤滑用途に用いられることがより好ましい。
つまり、本発明は、クリーンルーム内で製造もしくは使用される装置の潤滑部分に、上述の本発明のグリース組成物を使用する潤滑方法も提供される。
また、本発明のグリース組成物は、製品への異物の混入をさけるために、クリーンルームに限らず、食品製造工場や医薬品製造工場等で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分の潤滑用途にも好適である。
<本発明のグリース組成物の製造方法>
本発明のグリース組成物の製造方法としては、少なくとも下記工程(1)を有する製造方法が挙げられる。
工程(1):エステル系油(A1)を含み、40℃動粘度が10mm/s以上45mm/s未満である基油(A)に、上記一般式(b1)で表される脂肪族ジウレア(B)を、グリース組成物の全量基準で20〜30質量%となるように配合する工程。
工程(1)において、脂肪族ジウレア(B)は、基油(A)に溶解させた状態で、基油(A)に配合してもよい。
基油(A)は、脂肪族ジウレア(B)の合成に使用した基油でもよいが、基油(A)の一部を脂肪族ジウレア(B)の合成で使用し、脂肪族ジウレア(B)を含む基油(A)を調製した後、残りの基油(A)と混合することが好ましい。
なお、工程(1)における基油(A)の温度は、好ましくは100〜200℃である。
また、工程(1)においては、上述の成分(A)及び(B)以外の汎用添加剤を配合してもよい。
工程(1)により、25℃における混和ちょう度は300超であるグリース組成物が得られる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
基油(A−1)として、40℃動粘度が32mm/s、粘度指数が126のエステル油(ペンタエリスリトールエステル)を用いた。
1Lの金属容器の反応釜内に、上記エステル油350.0gと、増ちょう剤の原料となる「ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)」81.3g(325mmol)とを加え、加熱溶解し、、MDIを含むエステル油を調製した。また、別途用意した1Lの金属容器内に、上記エステル油350.0gと、ステアリルアミン168.7g(632mmol)とを加え、加熱溶解し、ステアリルアミンを含むエステル油を別途調製した。
そして、MDIを含むエステル油が入った反応釜内に、上述のステアリルアミンを含むエステル油を、加熱しながら加え、撹拌し均一化させた。さらに、ステアリルアミンを含むエステル油が入っていた金属容器に、上記エステル油50.0gを加えて、十分に撹拌し、当該金属容器内に残存するステアリルアミンを含めた当該エステル油を反応釜内に加えた後、反応釜内の反応液を撹拌した。
そして、反応液を90℃以上に昇温し、1時間保持して反応を完結後、脂肪族ジウレア(B)を合成した。
なお、この脂肪族ジウレア(B)は、上記一般式(b1)中のR及びRがステアリル基(オクタデシル基)、Rがジフェニルメチレン基である脂肪族ジウレアに該当するものである。
そして、脂肪族ジウレア(B)を含む反応液を室温(25℃)まで冷却した後、3本ロールミルを用いた仕上げ処理を行い、グリース組成物(1)を得た。
グリース組成物(1)の全量(100質量%)基準での、脂肪族ジウレア(B)の含有量は25質量%であった。
[比較例1]
基油(A−1)に代えて、以下の基油(A−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グリース組成物(2)を得た。
・基油(A−2):40℃動粘度が45mm/sのエステル油(ジペンタエリスリトールエステル)
[比較例2]
基油(A−2)として、40℃動粘度が45mm/sのエステル油(ジペンタエリスリトールエステル)を用いた。
1Lの金属容器の反応釜内に、上記エステル油370.0gと、増ちょう剤の原料となる「ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)」58.6g(234mmol)とを加え、加熱溶解し、MDIを含むエステル油を調製した。また、別途用意した1Lの金属容器内に、上記エステル油350.0gと、ステアリルアミン122.6g(455mmol)とを加え、加熱溶解し、ステアリルアミンを含むエステル油を別途調製した。
そして、実施例1と同様にして、グリース組成物(3)を得た。
グリース組成物(3)の全量(100質量%)基準での、脂肪族ジウレア(B)の含有量は18質量%であった。
[比較例3]
基油として、基油(A−1)を29質量%配合すると共に、ポリ−α−オレフィンを44質量%配合し、且つ実施例1と同じ脂肪族ジウレア(B−1)の含有量を27質量%として、実施例1と同様の手順で、グリース組成物(4)を得た。なお、ポリ−α−オレフィンの含有量は、エステル系油(A1)100質量部に対して、150質量部であった。また、比較例3で用いた基油(基油(A−1)とポリ−α−オレフィンの混合合成油)の40℃動粘度は、100mm/sであった。また、比較例3で用いた基油は、エステル系油の含有量が、基油全量基準で40質量%であった。
実施例1及び比較例1〜3のグリース組成物(1)〜(4)について、以下の(i)〜(iii)の測定及び試験を行った。これらの結果を表1に示す。
(i)グリース組成物の混和ちょう度の測定
JIS K 2220.7に準拠して測定した。
(ii)低トルク性確認試験
Anton Paar社製の粘弾性測定装置(商品名「Physica MCR301」)に装着されたコーンプレート(直径25mm、角度1°)にグリース組成物(1)〜(4)を充填し、25℃で応力を徐々にあげながら、コーンプレートが動き出す時の応力(降伏値)を測定した。
(低トルク性能確認試験でのグリース組成物の低トルク性の評価基準)
A:降伏値1500Pa未満
B:降伏値1500Pa以上
(iii)LMガイド発塵試験
ISO 14644−1 Part1で規定の「ISO class2」に相当する清浄度を有するクリーンブースに設置したアクリルケース内で、ボールリテーナータイプのLMガイド(Linear Motion Guide)を往復運転し、発生した塵埃を2.83L/分の流量でパーティクルカウンタに吸引し、粒子径0.1μm以上の塵埃の発塵数を計測した。
より具体的な本試験方法としては、ガイドをレール、ブロック、リテーナー、ボールに分解、洗浄を行い、組み立てたブロックに、試料となるグリース組成物を1.5g塗布し、レールに取り付け、速度1000mm/s、ストローク200mmの条件で、計測される発塵数の値が安定してから、ガイドの往復運転を50時間行った。
各グリース組成物を用いた際の50時間のLMガイド発塵試験によって計測された粒子径0.1μm以上の塵埃の平均発塵数(単位:個/L)を表1に示す。
当該平均発塵数の値が小さい程、低発塵性のグリース組成物といえる。また、この平均発塵数の値を基に、下記の基準によるLMガイド発塵試験でのグリース組成物の発塵性も評価した。
(LMガイド発塵試験でのグリース組成物の発塵性の評価基準)
A:上記の平均発塵数が、40個/L未満である。
B:上記の平均発塵数が、40個/L以上、50個/L未満である。
C:上記の平均発塵数が、50個/L以上である。
表1より、以下のことがわかる。
比較例1より、グリース組成物の混和ちょう度を低下させて硬くすると、発塵量は低下するものの、低トルク性が悪化し、低発塵性と低トルク性の両立は難しいことがわかる。
これに対し、実施例1のグリース組成物(1)は、混和ちょう度が300超の軟らかいグリース組成物であるにもかかわらず、発塵量が十分に低下している。しかも、低トルク性能も十分なものとなっており、低発塵性と低トルク性の両立を達成できていることがわかる。
なお、比較例2のグリース組成物(3)は、混和ちょう度が実施例1のグリース組成物(1)と同程度であるにもかかわらず、脂肪族ジウレア(B)の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で20質量%未満であることによって、発塵量が多くなっていることがわかる。
また、比較例3のグリース組成物(4)は、グリース組成物の混和ちょう度が低く硬いにもかかわらず、エステル系油(A1)の含有量が、基油(A)の全量基準で、50質量%未満であることによって、発塵量が多くなっていることがわかる。
以上の結果から、エステル系油(A1)を一定量以上含む基油を含有すると共に、特定の脂肪族ジウレアを一定量含有するグリース組成物とすること、及び、基油の40℃動粘度を一定範囲とすることで得られる、25℃における混和ちょう度が300超であるグリース組成物によって、優れた低発塵性と低トルク性の両立という従来にはない優れた効果が奏されることがわかった。

Claims (7)

  1. エステル系油(A1)を含む基油(A)と、下記一般式(b1)
    −NHCONH−R−NHCONH−R (b1)
    (式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8〜20の1価の脂肪族炭化水素基を示す。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。)
    で表される脂肪族ジウレア(B)とを含有するグリース組成物であって、
    基油(A)の40℃動粘度が10mm/s以上45mm/s未満であり、
    エステル系油(A1)の含有量が、基油(A)の全量基準で、50質量%以上であり、
    脂肪族ジウレア(B)の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で、20〜30質量%であり、
    25℃における混和ちょう度が300超である、グリース組成物。
  2. エステル系油(A1)が、ポリオールエステルを含み、該ポリオールエステルがペンタエリスリトールと炭素数3〜15の飽和脂肪族モノカルボン酸とのエステルである、請求項1に記載のグリース組成物。
  3. ポリ−α−オレフィンの含有量が、エステル系油(A1)100質量部に対して、10質量部未満である、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
  4. 鉱油の含有量が、エステル系油(A1)100質量部に対して、10質量部未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  5. 金属原子含有化合物の含有量が、前記グリース組成物の全量基準で、5質量%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  6. クリーンルーム内で使用される装置に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  7. 食品製造において使用される装置に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース組成物。
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