JP2010001986A - 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作性に優れることは勿論のこと、グリース漏れを抑えて耐久性に優れた一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を提供する。
【解決手段】一方向クラッチ及びサポート軸受が、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで流動点が−40℃以下のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とし、混和ちょう度が250〜340で、増ちょう剤量がグリース全量の10〜30重量%であるグリースにより潤滑されている一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
【選択図】図1
【解決手段】一方向クラッチ及びサポート軸受が、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで流動点が−40℃以下のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とし、混和ちょう度が250〜340で、増ちょう剤量がグリース全量の10〜30重量%であるグリースにより潤滑されている一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸や、アイドリングストップ車に搭載するエンジンのクランクシャフト及び補機駆動装置の回転軸等に装着する、プーリ装置等に使用される一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に関する。
自動車には、エンジンを駆動原とするカーエアコン等の各種補機が装備されている。これら補機は、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を介してエンジンに接続しており、その駆動/停止が制御される。この一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、クラッチ部と軸受部とを兼備しており、それぞれグリースで潤滑されるのが一般的である。
潤滑用グリースとして種々のものが知られており、例えば、エーテル油を基油としたグリース(例えば、特許文献1参照)、圧力粘度係数が12GPa−1以上(25℃)のエステル系あるいは合成油系の基油にウレア系増ちょう剤を配合したグリース(例えば、特許文献2参照)、40℃における動粘度が60cst以下の基油に、増ちょう剤としてウレア化合物を配合したグリース(例えば、特許文献3参照)等が知られている。また、軸受部にエーテル油を基油とした混和ちょう度280〜300のグリースを封入し、クラッチ部にエステル系油を基油とした混和ちょう度250〜280のグリースを封入した一方向クラッチも知られている(例えば、特許文献4参照)。
近年、オルタネータの高性能化・高出力化が益々進んでおり、これに伴って一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の使用条件も厳しくなってきており、特に低温での動作性、回転の高速化、高負荷及び発熱等に対する要求が高まってきている。また、クラッチ部の空転時や振動等によるグリース漏れも懸念されており、更なる耐久性の改善も要求されている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、動作性に優れることは勿論のこと、グリース漏れを抑えて耐久性に優れた一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を提供する。
(1)回転軸の端部に固定する内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置された筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周囲との間に設けられ、この外径側部材が内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチに隣接する位置で上記内径側部材の外周面と上記外径側部材の内周面との間等に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とする転がり軸受であるサポート軸受とを備える一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置において、
前記一方向クラッチ及びサポート軸受が、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで流動点が−40℃以下のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とし、かつ混和ちょう度が250〜340であり、増ちょう剤量がグリース全量の10〜30重量%であるグリースにより潤滑されていることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
(2)前記ジウレア化合物が、下記一般式(1)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2・・・・・(1)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。)
(3)前記グリースが、防錆剤としてカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を、それぞれ単独でグリース全量の0.5〜9.5質量%かつ合計でグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
(4)前記グリースが、極圧剤として有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物及びリン−硫黄系化合物から選択される少なくとも1種をグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置
(1)回転軸の端部に固定する内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置された筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周囲との間に設けられ、この外径側部材が内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチに隣接する位置で上記内径側部材の外周面と上記外径側部材の内周面との間等に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とする転がり軸受であるサポート軸受とを備える一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置において、
前記一方向クラッチ及びサポート軸受が、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで流動点が−40℃以下のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とし、かつ混和ちょう度が250〜340であり、増ちょう剤量がグリース全量の10〜30重量%であるグリースにより潤滑されていることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
(2)前記ジウレア化合物が、下記一般式(1)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2・・・・・(1)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。)
(3)前記グリースが、防錆剤としてカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を、それぞれ単独でグリース全量の0.5〜9.5質量%かつ合計でグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
(4)前記グリースが、極圧剤として有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物及びリン−硫黄系化合物から選択される少なくとも1種をグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置
本発明によれば、トルク容量が確保され、係合性や噛み込み性も良好であり、更に一方向クラッチ部の空転時や振動に伴うグリース漏れも低減でき、高性能で耐久性に優れた一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置が提供される。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
図1は、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の一種である一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を示す断面図である。この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、互いに同心に配置した1対の回転部材である、スリーブ1とプーリ2とを備える。そして、これらスリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に、一方向クラッチであるローラクラッチ3と1対のサポート軸受4、4とを設けている。
上記スリーブ1は、全体を円筒状に形成しており、オルタネータ等の補機の回転軸に外嵌固定して、この回転軸と共に回転自在である。一方、上記プーリ2は、やはり全体を円筒状に形成しており、その外周面の幅方向に関する断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端のベルトの一部を掛け渡し自在としている。そして、上記スリーブ1の外周面と上記プーリ2の内周面との間に存在する円筒状空間の軸方向中間部に上記ローラクラッチ3を、同じくこの空間の軸方向両端部でこのローラクラッチ3を軸方向両側から挟む位置に上記サポート軸受4、4を、それぞれ配置している。
サポート軸受4,4は、内周面に外輪軌道13が形成された外輪14と、外周面に内輪軌道15が形成された内輪16との間に、複数の転動体(玉)17が保持器19により周方向に略等間隔で転動自在に保持されており、更に封入グリースの漏洩や外部からの異物の侵入を防止するために、シール部材18で密封して構成されている。
また、ローラクラッチ3は、上記プーリ2が上記スリーブ1に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリ2とスリーブ1との間での回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ3は、クラッチ用内輪5と、クラッチ用外輪6と、複数個のローラ7、7と、クラッチ用保持器8と、図示しないばねとから成る。このうちのクラッチ用内輪5は上記スリーブ1の中間部外周面に、上記クラッチ用外輪6は上記プーリ2の中間部内周面に、それぞれ締め嵌めて嵌合固定している。また、上記クラッチ用外輪6の中間部内周面を単なる円筒面とするとともに、上記クラッチ用内輪5の外周面をカム面9としている。即ち、このクラッチ用内輪5の外周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部10、10を、円周方向に関し等間隔に形成して、このクラッチ用内輪5の外周面を上記カム面9としている。
そして、このカム面9と上記クラッチ用外輪6の中間部内周面との間に、上記複数個のローラ7、7と、これら各ローラ7、7を転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に支持するための上記クラッチ用保持器8とを設けている。このクラッチ用保持器8は、全体を合成樹脂により造っており、その内周縁部を上記カム面9の一部と係合させることで、上記クラッチ用内輪5に対する相対回転を阻止している。これとともに、図示の例では、上記クラッチ用保持器8の端部内周面に形成した凸部11を、上記クラッチ用内輪5の軸方向端面と上記スリーブ1の外周面に設けた段差面12との間で挟持することにより、上記クラッチ用保持器8の軸方向に関する位置決めを図っている。また、上記クラッチ用保持器8と上記各ローラ7、7との間には、これら各ローラ7、7を円周方向に関して同方向(上記各凹部10、10が浅くなる方向)に押圧する為の、図示しないばねを設けている。
尚、上述の様なローラクラッチ3を構成する場合、上記複数個のローラ7、7と当接する円筒面及びカム面9は、それぞれ前記プーリ2の内周面及び上記スリーブ1の外周面に直接形成する場合もある。また、上記円筒面と上記カム面9との径方向に関する配置は、上述した構造と逆にする場合もある。
上述のように構成される一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記スリーブ1をオルタネータ等の補機の回転軸の端部に外嵌固定するとともに、上記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この無端ベルトはエンジンのクランクシャフト等の端部に固定された駆動プーリに掛け渡され、この駆動プーリの回転により駆動する。このような状態で組み付けられる一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記無端ベルトの走行速度が一定もしくは上昇傾向にある場合には、上記プーリ2から上記回転軸への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、これらプーリ2と回転軸との相対回転を自在とする。この結果、上記クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、上記無端ベルトと上記プーリ2とが擦れ合うことを防止して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下を防止するとともに、オルタネータの発電効率が低下することを防止できる。
また、上記一方向クラッチの構造では、クラッチ用内輪5の外周面またはクラッチ用外輪6の内周面にカム面が設けられており、それによりくさび空間が形成されている。そして、ローラ7,7がくさび状空間の周方向一方の狭い側に転動すると、ローラ7,7が、クラッチ用内輪5とクラッチ用外輪6とに噛み込むことで、両輪がローラ7,7を介して一体化されて同期回転するロック状態となって一方から他方へトルクが伝達可能とされ、また、ローラ7,7が周方向他方の広い側に転動すると、内輪と外輪とが相対回転するフリー状態となって前記トルクの伝達が遮断される。このようにして、ローラ7,7のくさび状空間内における転動位置により、ロック状態とフリー状態とに切り替わるようになっている。
尚、くさび状空間の係合角(くさび角度)は、大きく設定するとトルク容量が増大する一方で噛み込み性が低下し、小さく設定するとトルク容量が低下する一方で噛み込み性が向上する。ここで、係合角とは、ローラ7,7がロック側に転動してクラッチ用内輪5の外周面に接するときのその接点における接線と、クラッチ用外輪6の内周面に接するときのその接点における接線とが交差する角度のことであって、例えば、クラッチ用内輪5にカム面がある場合はクラッチ用外輪6の内径、カム面の傾斜角度及びローラ7,7の直径により決まり、また、クラッチ用外輪6にカム面がある場合はクラッチ用内輪5の外径、カム面の傾斜角度及びローラ7,7の直径により決まる。
本発明では、くさび状空間の少なくともロック側が、トルク容積10N・m〜70N・mとなるように、好ましくは50N・m〜60N・mとなるように、ローラ7,7の数及び係合角を設定することが好ましい。このような規定により、良好な噛み込み性を確保できる。
また、上記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をエンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置に利用する場合には、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をクランクシャフトや電動モータの駆動軸の端部に装着する。これにより、これらエンジンと電動モータとのうちの一方の装置が運転状態にあり、他方の装置が停止状態にある場合に、この一方の装置の回転軸から上記プーリ2への回転力の伝達を自在にするとともに、上記他方の装置の回転軸が回転しないようにする。
尚、上記において、ローラクラッチ3のクラッチ用内輪5及びクラッチ用外輪6、サポート軸受4の内輪14及び外輪16は、それぞれスリーブ1またはプーリ2と一体に形成することができ、更にローラクラッチ3のクラッチ用内輪5とサポート軸受4の内輪14、ローラクラッチ3のクラッチ用外輪6とサポート軸受4の外輪16を、共通化することもできる。
また、クラッチ部は、係合子としてスプラグを用いることもできる。
そして、ローラクラッチ3及びサポート軸受4には、下記に示すグリースが充填される。
グリースの基油は、40℃における動粘度が20〜100mm2/s、好ましくは25〜50mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下のエステル油を用いる。基油動粘度が20mm2/s(@40℃)未満ではグリースが耐熱性に劣り、100mm2/s(@40℃)を超える場合には滑り時の発熱が大きくなる。また、自動車は−40℃付近での使用(エンジン始動)にも耐えなければならないため、基油の流動油は−40℃以下である必要がある。
また、エステル油は他の潤滑油に比べて極性が大きく、滑り摩擦時の耐衝撃性に優れるという特性を有する。エステル油の種類には制限がないが、ジエステル油、ポリオールエステル油、芳香族エステル油等を好適に使用できる。具体的には、ジエステル油として、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)等を挙げることができる。ポリオールエステル油として、C4〜C18のアルキル鎖が誘導されたペンタエリスリトールエステル油、同ジペンタエリスリトールエステル油、同トリペンタエリスリトール油、ネオペンチル型ジオールエステル油、トリメチロールプロパンエステル油等を挙げることができる。芳香族エステル油として、ポリオールエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等を挙げることができる。また、これらは単独でも、適宜組み合わせて使用してもよい。
増ちょう剤は、耐熱性に優れるジウレア化合物を用いる。特に、下記一般式(1)で表されるジウレア化合物が好ましい。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2・・・・・(1)
式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であるが、R1、R2がシクロヘキシル基であるジウレア化合物、もしくはシクロヘキシル基と脂肪族基の混合であるジウレア化合物が好適である。R1、R2に芳香族基を導入したジウレア化合物は、加熱により硬化する傾向があり、高温での滑り部の潤滑には適さないことがある。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2・・・・・(1)
式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であるが、R1、R2がシクロヘキシル基であるジウレア化合物、もしくはシクロヘキシル基と脂肪族基の混合であるジウレア化合物が好適である。R1、R2に芳香族基を導入したジウレア化合物は、加熱により硬化する傾向があり、高温での滑り部の潤滑には適さないことがある。
また、増ちょう剤の配合量は、グリース全量の10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%である。増ちょう剤量が10質量%未満では、基油とともにグリースを形成し安定に維持できなくなるおそれがある。また、増ちょう剤量が30質量%を越えると、グリースが硬くなりすぎて、潤滑性能に劣るおそれがある。
上記グリースの混和ちょう度は、250〜340の範囲とする。混和ちょう度が250未満では、主にローラクラッチ3において滑り時に必要な部位へのグリースが行き渡らなくなるおそれがある。また、クラッチのロック、アンロックはバネ力も使用するが、このバネの動きを悪くするという不具合もある。一方、混和ちょう度が340を超えると、走行時の振動等でグリースが流出しやすくなる等の問題が生じるおそれがある。
上記グリースには、必要に応じて種々の添加剤を添加することができるが、自動車の使用環境を考慮すると、防錆剤を添加することが好ましい。防錆剤としては、防錆性能を高めるために、カルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物、アミン系化合物を2種以上組み合わせて使用することが好ましい。防錆剤の添加量は、個々の防錆剤単独でグリース全量の0.5〜9.5質量%、かつ、合計でグリース全量の1〜10質量%とする。単独及び合計での添加量が前記下限値を下回ると所期の効果が得られず、前記上限値を上回っても添加剤効果が飽和し、更には相対的に基油量が減り潤滑性に劣るようになる。
カルボン酸及びカルボン酸塩として、モノカルボン酸ではステアリン酸等、ジカルボン酸ではアルキルまたはアルケニルコハク酸及びその誘導体、ナフテン酸、アビエチン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸のカルシウム、バリウム、亜鉛等の金属塩が挙げられ、特に、アルケニルコハク酸、ナフテン酸亜鉛が好適である。エステル系化合物として、多価アルコールのカルボン酸部分エステルではソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタエリスリットモノオレエートやコハク酸ハーフエステル等が挙げられ、特にソルビタンモノオレエート、コハク酸ハーフエステルが好適である。アミン系化合物として、アミン誘導体ではアルコキシフェニルアミン、二塩基性カルボン酸の部分アミド等が挙げられる。
また、上記グリースには、極圧剤として、有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、リン−硫黄系化合物を添加することが好ましい。これらは、それぞれ単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その添加量はグリース全量の0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。添加量が0.1質量%未満では、所期の効果を十分に得ることが困難になり、10重量%を超えると添加剤効果が飽和し、更に熱安定性が劣り、実用的でなくなる。
有機金属化合物として、ジアルキルジチオリン酸モリブデン等の金属ジチオフォスフェート、ジアルキルジチオカルバメート亜鉛等の金属ジチオカルバメートを挙げることができる。また、リン系化合物、硫黄系化合物、リン−硫黄系化合物として、硫化油脂、硫化オレフィン、トリクレジルフォスフェート、チオフォスフェート、チオフォスファイトが使用できる。特に、チオフォスフェートが好適に使用できる。
また、上記グリースは、酸化防止剤を含有することが好ましく、高温使用時の基油の酸化劣化が抑えられて長寿命となる。酸化防止剤としてはジフェニルアミン誘導体、フェノチアジン誘導体、ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤が好適であり、その含有量はグリース全量の1〜10質量%が好ましい。含有量が1質量%未満では効果が少なく、10質量%を超えても効果が飽和する。
更に、上記グリースには、その性能を一層高めるため、必要に応じて、従来からグリースに用いられている公知の一般的な添加剤を含有させることができる。
グリースは上記の各成分を含有するが、その製造方法には制限がなく、従来のウレア系グリースと同様にして調製することができるが、一般的には基油中でジウレア化合物の原料(アミン類とジイソシアネート)を反応させて得られる。尚、そのときの加熱温度や撹拌・混合時間等の製造条件は使用する基油やジウレア化合物の原料、添加剤等により適宜設定される。また、添加剤を添加後、十分に撹拌して均一に分散させる必要があるが、その際加熱することも有効である。
1 スリーブ
2 プーリ
4 サポート軸受
3 ローラクラッチ
5 クラッチ用内輪
6 クラッチ用外輪
7 ローラ
8 クラッチ用保持器
14 外輪
16 内輪
17 玉
18 シール部材
19 保持器
2 プーリ
4 サポート軸受
3 ローラクラッチ
5 クラッチ用内輪
6 クラッチ用外輪
7 ローラ
8 クラッチ用保持器
14 外輪
16 内輪
17 玉
18 シール部材
19 保持器
Claims (4)
- 回転軸の端部に固定する内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置された筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周囲との間に設けられ、この外径側部材が内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチに隣接する位置で上記内径側部材の外周面と上記外径側部材の内周面との間等に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とする転がり軸受であるサポート軸受とを備える一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置において、
前記一方向クラッチ及びサポート軸受が、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで流動点が−40℃以下のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とし、かつ混和ちょう度が250〜340であり、増ちょう剤量がグリース全量の10〜30重量%であるグリースにより潤滑されていることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。 - 前記ジウレア化合物が、下記一般式(1)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする請求項1記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2・・・・・(1)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。) - 前記グリースが、防錆剤としてカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を、それぞれ単独でグリース全量の0.5〜9.5質量%かつ合計でグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
- 前記グリースが、極圧剤として有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物及びリン−硫黄系化合物から選択される少なくとも1種をグリース全量の1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
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JP2008161865A JP2010001986A (ja) | 2008-06-20 | 2008-06-20 | 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置 |
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2008
- 2008-06-20 JP JP2008161865A patent/JP2010001986A/ja active Pending
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