JP2018188355A - スケール抑制組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】家庭用電気器具等におけるスケール形成を防止するためのスケール抑制ポリリン酸塩ガラス組成物を提供する。【解決手段】約45〜約55モルパーセントのP2O5、約35〜約45モルパーセントのアルカリ土類金属酸化物、及び約8〜約12モルパーセントのアルカリ金属酸化物を含む、ポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物によりスケール形成が防止される。【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明は、スケール抑制組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、特に、排他的ではないが、家庭用電気器具におけるスケール形成を防止するためのスケール抑制ポリリン酸塩ガラス組成物に関する。
発明の背景
水中に鉱物が存在すれば、これらの鉱物はスケールを形成する可能性がある。スケールの蓄積は、ケトル及びボイラー等の熱水電気器具において特に問題であるが、水道水に存在する鉱物が家庭用加湿器の湿潤部のような他の水含有電気器具にスケールを形成することもある。水の硬度が増すにつれて、同様にスケールの厄介さも増す。
スケール形成及びスケール沈着は複雑な結晶化プロセスである。スケールの形成に影響を及ぼす主要かつ周知の変量は温度及び水のpHである。温度に関しては、ほとんどの鉱物のスケール形成成分は逆溶解性である(それらの溶解度は、水温が上昇するにつれて低下する)。スケールは、低pH(より酸性)の水によく溶ける。予想どおりに、スケールは高温面及び蒸発面に容易に生じる。スケールは、平滑面に生じるより粗面に生じやすい。表面素材もスケールの形成に影響を及ぼし、例えば、スケールは、一般的にステンレススチール表面に生じるより銅表面に生じやすい。滞留時間、圧力及び速度/速度勾配がスケールの形成に影響することも分かっている。
スケール形成の原因となる鉱物は蒸発又はイオン交換によって水から除去可能である。工業規模用途ではこれが現実的な解決法であるが、家庭内環境では、蒸発及びイオン交換は現実的でない。例えば、加湿器等の家庭用電気器具において、約6カ月の使用で典型的な処理量である1000リットルの硬水、例えば350ppmのCaCO3から全ての鉱物を除去するためには、約25kgの脱イオン化樹脂、例えば約1kgの樹脂/週を必要とする。これは、電気器具のサイズを非常に大きくするので、家庭内消費者の電気器具にとっては非現実的で望ましくなく、使用者が電気器具に脱イオン化樹脂を定期的に補充しなければならないのは不便である。硬度が半分の水は、半分の量の媒体を必要とすることになるが、媒体の量が家庭用電気器具では非現実的であることは明らかなままである。
鉱物除去の代替手段として、スケール形成を防止するための閾値抑制剤を使用することも知られている。このスケール制御技術は、1920年代まで遡り、飲用水を対象としたいくつかの市販製品がある。湿潤面をよごし、その上に硬質沈着物を形成する代わりに、スケール形成の原因となる鉱物が溶液及び懸濁液中に留まって、水システム、例えば家庭用電気器具を通過する。閾値抑制剤は、吸着機構によって機能する。溶液中のイオンクラスターが配向してくにつれて、準安定性微結晶(高度に配向したイオンクラスター)が形成される。沈殿の初期段階で、微結晶は成長し続ける(はっきりした格子を有するより大きい結晶を形成する)か又は溶解し得る。閾値抑制剤は、新たに出現する結晶の上に吸着することによる沈殿を防止し、活性な成長部位を遮断する。これがさらなる成長を抑制し、溶解反応に有利に働く。沈殿物が溶解し、抑制剤を放出し、その後このプロセスを自由に繰り返すことができる。
閾値抑制剤は、沈殿速度を遅延させる。過飽和度及びシステムの保持時間によっては、結晶が最終的に生じることがある。しかしながら、保持時間が比較的短いいくつかの家庭用電気器具、例えば、家庭用超音波加湿器では、水に溶解した鉱物はスケールを形成せず、システムを通過することができ、これは、家庭用超音波加湿器の場合、水に溶解した鉱物は、放出される水滴の中で大気中に排出されることを意味する。
ポリリン酸塩ベースの化学薬品は、既知分類の閾値抑制剤である。閾値抑制は、スケール形成を防止するために、ポリリン酸塩ベースのスケール抑制化学薬品の化学量論未満の量しか必要としない。スケール制御を果たすこの手段を、より古い粉末洗剤に用いるポリリン酸塩ベースの化学薬品のずっと多くの(化学量論)量の使用と混同すべきでない。
可溶性ポリリン酸塩の溶液を作製することができ、これらをポンプで投与できるので、大規模産業では、微小量のポリリン酸塩ベースの化学薬品の投与を容易に行なえる。家庭用電気器具では、化学薬品の溶液の作製と正確な投与は現実的でないので、他の適用方法が必要である。一つの投与方法は、徐々に溶解するガスの使用である。Siliphosy(登録商標)は、Kurita Wtaer Industries Limitedによって製造され、円形の大理石形態で販売されている市販のポリリン酸塩ベースのガラス閾値抑制剤である。水を1つ以上の大理石と接触させると、大理石が加水分解し、とりわけ、一連のポリリン酸塩化合物を放出する。閾値抑制スケール制御を果たすのは、これらのポリリン酸塩加水分解生成物である。
Siliphosy(登録商標)は、20種までの異なる無機リン酸塩及びケイ酸ナトリウムの混合物を含有する、ポリリン酸塩ベースのガラスである。Siliphosy(登録商標)は、閾値抑制剤として良好に機能するが、特定条件下ではSiliphosy(登録商標)の大理石が過溶解して、スリット様沈降物を形成することが試験により分かった。これは特定用途では許容されるが、それが電気器具の正しい機能を阻止するか、又は製品の使用者が美的に許容できないので許容されない他の用途がある。さらに、大理石の過剰溶解は、あまりに速く使い尽くされる恐れおそれがあり、これはそれらを頻繁に交換する必要性につながる恐れがあり、特定用途では望ましくないことがある。スケールを制御するためのSiliphosy(登録商標)の使用によって特定される別の懸念は、ガラスが加水分解するときに生じる沈降物が、微生物の成長を促進し得る余分な栄養素をもたらす可能性を有することである。7日を超えてSiliphosy(登録商標)を添加したときに滅菌水道水内での細菌成長の増加を示すいくつかの証拠がある。Siliphosy(登録商標)が存在すると、濁度が大きく上昇するという証拠もある。例えば加湿器等の家庭用電気器具においては、このことが望ましくない状況が明らかにある。
Siliphosy(登録商標)は、上行本管の冷環境内で使用するように明示されている。典型的に家庭用電気器具は温環境内(例えば20℃とおそらく30℃程度の間)にあり、加水分解挙動は温度によって駆り立てられるので、Siliphosを家庭用電気器具でうまく使用できるとは考えにくい。
本発明の目的は、現在利用可能な閾値抑制剤の課題のいくつかを克服することである。
発明の概要
本発明の第一態様では、約45〜約55モルパーセントのP2O5、約35〜約45モルパーセントのアルカリ土類金属酸化物、及び約8〜約12モルパーセントのアルカリ金属酸化物を含む、ポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物を提供する。
特に家庭用電気器具において、スケール抑制に必要な望ましい性能特性を達成するため、緩徐溶解性ガラスが必要であると判断した。上述したように、Siliphosy(登録商標)等の市販ガラスはスケール抑制に有効であるが、過溶解の問題に悩まされ、沈降物を残すので、それらは小型の家庭用電気器具での使用には特に実用的でない。 広範な試験により、本発明のポリリン酸塩ベースのガラスは、十分に遅い速度で加水分解して、家庭用電気器具での使用に許容できる寿命を提供しながら、加水分解して十分な量のポリリン酸イオンを水中に放出することによって有効なスケール制御をも遂行すると判定した。さらに、本発明のガラスは、完全に溶解性であり、沈降物を残さない。
イオン交換クロマトグラフィーを用いて、以下の4種のポリリン酸イオンが、本発明のポリリン酸塩ガラスによって水中に放出される最も豊富なポリリン酸イオンであると判定した。
Figure 2018188355
PO4 3-(スケール抑制剤でないことが分かっている)を除き、これらのリン酸イオンは、水の硬度イオンと相互作用してスケール形成を抑制する。どのリン酸イオンが最も有効であるかを見出すため、P2O7 4-、P3O9 3-、及びP3O10 5-の各々のナトリウム塩の単溶液を作製し、3つの通常の家庭用超音波加湿器の供給水を2ppmで、それぞれ溶液の1つと共に投与した。超音波加湿器は、圧電変換器を利用して水滴の微細噴霧を発生させ、これが周囲雰囲気中に放出されるものである。
加湿器は、実行可能な限り密接して連続稼働した。噴霧出力を測定することによって、どの圧電変換器がスケール形成によって最も影響されないかを決定することができた(噴霧出力は実質的に一定のままだたので)。これらの試験に基づいてP3O10 5-、すなわちトリポリリン酸イオン(TPP)が最良のスケール抑制剤であり、P2O7 4-、すなわちピロリン酸イオン(PYRO)は合理的に良好に働き、P3O9 3-、すなわちトリメタリン酸イオン(TMP)は不十分な閾値抑制剤であると判断した。
TPPが最良の閾値抑制を果たせるポリリン酸イオンであるという知識により、ガラスの全体的溶解度と放出されるTPPの比率の両方に従ってガラスをランク付けすることができた。この知見により、十分な量の最良抑制剤(TPP)を放出し、かつ適切な全体的溶解度をも有するガラスを標的にすることができた。ガラスは有用な量のTPPを放出しない可能性もあるので、ガラスのみの溶解度は必ずしもより良いスケール抑制剤の指標でない。
本発明の実施形態では、アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム又はストロンチウムから成る群より選択される。さらに好ましくは、本発明の実施形態では、アルカリ土類金属はカルシウムである。
本発明の実施形態では、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム又はカリウムから成る群より選択される。本発明の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。
本発明の実施形態では、P2O5は、約45、又は46、又は47、又は48、又は49、又は50、又は51、又は52、又は53、又は54、又は55モルパーセントからの範囲で存在する。
本発明の実施形態では、P2O5は、約45、又は46、又は47、又は48、又は49、又は50、又は51、又は52、又は53、又は54、又は55モルパーセントまでの範囲で存在する。 本発明の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、約35、又は36、又は37、又は38、又は39、又は40、又は41、又は42、又は43、又は44、又は45モルパーセントからの範囲で存在する。
本発明の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、約35、又は36、又は37、又は38、又は39、又は40、又は41、又は42、又は43、又は44、又は45モルパーセントまでの範囲で存在する。
本発明の実施形態では、アルカリ金属酸化物は、約8、又は9、又は10、又は11、又は12モルパーセントからの範囲で存在する。
本発明の実施形態では、アルカリ金属酸化物は、約8、又は9、又は10、又は11、又は12モルパーセントまでの範囲で存在する。
本発明の実施形態では、好ましいガラス組成物は(P2O5)50(CaO)40(Na2O)10である。
提案ガラス組成物は、ガラス1グラム当たりのTPPの効率的放出を提供する(P2O5)50(CaO)40(Na2O)10組成物によるポリリン酸イオン種の連続放出の有効手段を実証する。これにさらに、シリカフリーガラス網状組織の使用は、ガラスの完全溶解をもたらし、ひいては全ての想定される典型的使用状況で沈降物が生じないことになる。
リン酸塩含量を50モルパーセントで一定にした結果、TPP放出の効率は、酸化カルシウム含量が増加するにつれて上昇することが分かった。しかしながら、溶解速度は、酸化カルシウム含量が増加するにつれて低下することが分かった。40モルパーセントより高い酸化カルシウム含量を有する組成物は、好ましくない分解速度(すなわち必要以上の表面積でなくてもTPPの十分な放出を維持するには遅すぎる)を有することが分かった。一価の網状組織モディファイヤーの代わりに同様の原子価を有するが、異なるサイズの元素を用いることによって、溶解速度を増減させることができ、その結果として、TPPの最も効率的な放出を維持しながら溶解速度を制御することができる。溶解速度は、モディファイヤーのサイズがリチウム→ナトリウム→カリウムと大きくなるにつれて上昇することが分かった。
本発明の実施形態では、22℃±3℃の水中におけるP2O5投与率は2.5ppm以下である。
本発明の実施形態では、ガラスは、少なくとも900mm2の総表面積を有する。有利には、ガラスの総表面積は少なくとも2000mm2である。ガラスは、単片のガラスとして提供可能であり、或いは例えば、使い易さのためにカートリッジ内にはめ込むことができる複数の個別片として提供してよい。カートリッジ内の複数片のガラスを使用する利点は、多いか少ないガラス片を使用することによって、ガラスの総表面積を容易に調整できることである。これは、様々な硬度の水の取り扱いに役立ち、或いは様々なサイズの水タンク等に対処するのに有用であり得る。
ガラスは、好都合なことに種々の目的に合わせて種々の形状で製造可能である。ガラスの形状を決定し得るいくつかの要因には、製造プロセス、あらゆる取扱い要件、及びガラスの意図した最終用途が含まれる。本発明のガラスの1つの例示形状は円柱形である。これは、種々の用途に合わせて容易に切り詰めることができるので特に有利である。
第二態様では、本発明は、前述したポリリン酸塩ベースのガラス組成物の、家庭用電気器具のスケール抑制剤としての使用を提供する。
本発明のポリリン酸塩ベースのガラスは、家庭用のあらゆる水含有電気器具に使用可能である。本発明の実施形態では、家庭用電気器具は、加湿器、除湿器、ケトル、冷水器、湯沸器、水ディスペンサー、水に基づく清浄器、水に基づくビューティー電気器具から成る群より選択される。
以下、例のみとして、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の種々のポリリン酸塩ベースのガラスの組成を示す三成分グラフである。
発明の詳細な説明
ここで、下記実施例を参照して本発明を説明する。
(P2O5)40-65(CaO)15-50(Na2O)5-40(括弧に隣接する添字は、最終ガラス組成物内の酸化物のモルパーセントの範囲を示す)の一般組成を有する種々のポリリン酸塩ベースのガラスのサンプルを標準的なメルトクエンチ技術で作製した。1つの該技術について後述するが、当然のことながら、本発明のガラスは、種々の技術及び種々の出発材料から作ることができる。
適切な原材料、CaCO3、NaH2PO4及びP2O5を選択し、期待される最終組成に従って秤量した。次に、出発材料をPt/10% Rhるつぼ型71040(Johnson Matthey, Royston, UK)に入れ、これを、700℃で予熱した炉に入れた。
700℃で30分後、炉温を1100℃に上げて1時間維持した。次に、360〜430℃に予熱したグラファイト型中にガラスを注いだ。型を炉に入れて選択温度で1時間放置した。炉のスイッチを切り、ガラスを内部に放置して室温までゆっくり冷ましていずれの残留応力をも除去した。
型は円柱形状を画定し、結果として型から得た円柱状ガラスを、Testbourneダイヤモンド・ソーを用いて、15mm径及び2mm厚の円板にカットした。各円板の総表面積は約450mm2である。円板にさらに研磨又は表面処理を施さずに調製したまま次の手順に使用した。本発明に従って調製されるガラスは、使用中の型に応じて、様々な形状とサイズに鋳造可能である。個々のガラスの表面積は、それぞれの型の形状とサイズに応じて異なる。
このプロセスに従って作製したガラスを試験してそれらの加水分解生成物及びそれらの加水分解速度を測定した。イオン交換クロマトグラフィーを用いて加水分解生成物を検出し、十分な量のポリリン酸イオン、特にP3O10 5-、すなわちトリポリリン酸イオン(TPP)を放出するガラスをさらなる研究用に大量に作り出した。
スケール抑制剤としてのガラスの有効性を評価するため、リアルタイムサービス試験を行なって、特定ガラスからの加水分解生成物が、以前にスケール抑制組成物の非存在下でスケールが生じることが分かっている湿潤面にスケールを形成しないようにできるかどうかを判定した。
サービス試験は、経時的に加湿器の圧電変換器及び他の湿潤面にスケールが生じる傾向があることが分かっている標準的な市販の超音波加湿器を用いて行なった。硬水を用いてスケールを制御しないと、該超音波加湿器は非常に急速に噴霧出力を失うことが分かった。噴霧出力(実際には生成物中の水の減量)を測定することは単純なので、この性能尺度は有用であると判断した。加えて、圧電変換器の表面及び他の湿潤領域について定性的な視覚的評価を行なってスケールの蓄積を判定した。
噴霧出力の減少と湿潤面上の一般的妨害であるスケールの蓄積を両方とも防止するために必要なスケール制御の達成にどのくらいの加水分解生成物が必要とされるかを決定する必要があった。(温度を一定に保持すると)加水分解生成物の濃度は、浸漬ガラスの表面積及び装置を通る水の処理量によって決まることが分かった。有効なスケール制御を果たすためには、少なくとも900mm2の表面積が必要とされると判断した。
未処理硬水(350ppmのCaCO3)を用いて行なった制御試験の結果、50〜100リットルの水がシステム通過した後に噴霧出力が失われることになった。この理由は、スケールが圧電変換器の表面に蓄積し、それが作動して水を微粒化するのを妨げることである。
上述したように、本発明は、ガラスの溶解度とスケール抑制ポリリン酸イオン種の有効な放出との間のバランスを取ることを目指す。種々のガラスを作製し、図1に示すように試験した。
図1に示す多角形内の領域は、本発明の範囲に入るガラス組成物に相当し、円は、作製してサービス試験で調べたガラスに相当する。試験した全てのガラスは、スケール制御を示すことが分かり、また、硬水を用いてスケール抑制剤を添加しない加湿器で達成される50〜100リットルの水処理量を超えて加湿器の寿命を著しく延ばすことが分かった。
溶解度及び種放出の最適な特徴を有することが分かったガラスは(P2O5)50(CaO)40(Na2O)10であった。この組成にしたガラスは、圧電変換器を含めた全ての湿潤部分上のスケール形成に対して、1000リットルを超える硬水(350ppm CaCO3)の処理量まで一貫して十分に機能して保護した。これに加えて、ガラスは、それらを商業的に魅力的にする特性を示した。特にそれらは種々多様の周囲貯蔵条件下で市販のSiliphosy(登録商標)より未変化のままだった。
図1に示すガラス組成物に加えて、カルシウムの代わりにマグネシウム又はストロンチウムを用い、ナトリウムの代わりにリチウム又はカリウム用いたガラスをも試験した。これらのガラスは、TPPの下も効率的な放出を維持しながら良い分解速度を示した。それらは特定用途に好ましい代替のポリリン酸塩ベースのガラスを提供できると想定される。
(P2O5)50(CaO)40(K2O)10ガラスは、好ましい(P2O5)50(CaO)40(Na2O)10組成物と同様に良い閾値抑制剤であり、その2倍の溶解性であった。しかしながら、このガラスは使用中にクラストを生じた。このクラストはガラスの性能に影響を及ぼさなかったが、ガラスが使用者に見える電気器具にとっては美的に許容されないと思われた。しかしながら、ガラスが使用中に見えず、溶解度上昇が改善された性能を提供できる用途があり得ると想定される。
上記方法に従って(P2O5)50(SrO)25(Na2O)25ガラスをも作製した。このガラスは、(P2O5)50(CaO)40(Na2O)10ガラスよりわずかに溶解性が高く、有効な閾値抑制剤であった。例えば、家庭用電気器具においては、ストロンチウム含有ガラスの使用に対する安全承認を得ることがより困難であると想定されるが、このことが問題でない電気器具があり得る。

Claims (12)

  1. 約45〜約55モルパーセントのP2O5、約35〜約45モルパーセントのアルカリ土類金属酸化物、及び約8〜約12モルパーセントのアルカリ金属酸化物を含む、ポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  2. 前記アルカリ土類金属が、マグネシウム、カルシウム又はストロンチウムから成る群より選択される、請求項1に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  3. 前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム又はカリウムから成る群より選択される、請求項1又は2に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  4. 前記アルカリ土類金属がカルシウムである、請求項2に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  5. 前記アルカリ金属がナトリウムである、請求項3に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  6. 前記P2O5が、約48〜約52モルパーセントの範囲で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  7. 前記アルカリ土類金属酸化物が、約38〜約42モルパーセントの範囲で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  8. 前記アルカリ金属酸化物が、約9〜約11モルパーセントの範囲で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  9. 22℃±3℃の水中での前記P2O5投与が2.5ppm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  10. 少なくとも900mm2の表面積を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  11. 少なくとも2000mm2の表面積を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリリン酸塩ベースのガラススケール抑制組成物の、家庭用電気器具におけるスケール抑制剤としての使用。
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