JP2018186303A - 多層絶縁フィルム、多層基板の製造方法及び多層基板 - Google Patents

多層絶縁フィルム、多層基板の製造方法及び多層基板 Download PDF

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達史 林
Tatsuji Hayashi
達史 林
智輝 國川
Tomoteru Kunikawa
智輝 國川
俊章 田中
Toshiaki Tanaka
俊章 田中
白波瀬 和孝
Kazutaka Shirahase
和孝 白波瀬
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Abstract

【課題】絶縁層の表面の平坦性を高くし、かつ絶縁層と金属層との接着強度を高めることができる多層絶縁フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る多層絶縁フィルムは、2層以上の絶縁層を備え、一方の最外層が、熱硬化性成分を含み、かつ無機充填材を含まないか又は含み、前記一方の最外層を除く層が、熱硬化性成分と無機充填材とを含み、前記一方の最外層の無機充填材の含有量が、前記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量よりも少なく、周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、前記一方の最外層の弾性率をG’(A)とし、前記一方の最外層を除く層の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が0以上2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも2つの絶縁層を備える多層絶縁フィルムに関する。また、本発明は、上記多層絶縁フィルムを用いた多層基板の製造方法及び多層基板に関する。
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属層である配線が積層される。また、絶縁層を形成するために、上記樹脂組成物をフィルム化した絶縁フィルムが用いられることがある。
上記絶縁層を形成するための材料の一例として、下記の特許文献1には、(1)臭素化率が20%以上であり、重量平均分子量が10000以上である臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂又は臭素化フェノキシ樹脂(A)、及び(2)エポキシ当量が1000以下であるビスフェノール型エポキシ樹脂(B)を必須成分として含有する絶縁樹脂組成物を、銅箔に塗布してなる絶縁接着剤が開示されている。この絶縁接着剤では、樹脂層を2層以上とし、銅箔側の最外樹脂層のフローを実質的にゼロとし、最外樹脂層の軟化点を60〜90℃としている。
下記の特許文献2には、2層以上の絶縁樹脂層を備える多層プリント配線板用絶縁樹脂フィルムが開示されている。この絶縁樹脂フィルムでは、分子量の異なる樹脂成分を2種以上配合し、これらの配合比率を変えることによって各層の熱時流動性を異ならせている。
下記の特許文献3には、支持フィルム上に以下のA層及びB層を含む樹脂組成物層が積層され、かつA層が支持ベースフィルムと隣接して積層されている接着フィルムが開示されている。
(A層):1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤を含有し、無機充填材の含有割合が0〜40重量%未満であり、熱硬化した際に得られる硬化物表面が、アルカリ性過マンガン酸溶液による粗化処理後、メッキにより導体層の形成が可能である常温で固形状の熱硬化性樹脂組成物層
(B層):1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤を含有し、無機充填材の含有割合が40重量%以上である常温で固形状の熱硬化性樹脂組成物層
上記接着フィルムは、上記樹脂組成物層又はB層がラミネート条件下で回路基板のラミネートと同時にスルーホール及び/又はビアホール内の樹脂充填が可能な流動性を有する。上記接着フィルムでは、B層が回路基板に直接接するようラミネートされる。
特開平11−54937号公報 特開2002−64275号公報 WO2003/047324A1
特許文献1では、フェノキシ樹脂のような高分子成分を樹脂全体の55重量%以上配合し、最外樹脂層の軟化点を60〜90℃にしている。この場合に、溶剤の乾燥速度が非常に遅く、生産効率が悪い。特許文献2においても、高分子のエポキシ樹脂またはフェノキシ樹脂の量を低分子のエポキシ樹脂に対して2倍から10倍程度配合し、最外樹脂層の軟化点を50〜90℃にしている。この場合も同様に、溶剤の乾燥速度が非常に遅く、生産効率が悪い。特許文献1では、加熱で反応を進めることも記載されているが、そのような加熱を行うと生産効率がより一層悪くなる。
また、特許文献1,2の絶縁層を形成するための材料を、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材上に積層して、プレス工程を経て絶縁層を形成する場合、熱硬化後のアンジュレーションが大きくなり、表面の平坦性が低下することがある。
特許文献3では、接着フィルムを、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材上に積層して、プレス工程を経て絶縁層を形成した後、絶縁層の積層対象部材側とは反対の表面上に金属層を形成した場合に、絶縁層と金属層との接着強度がある程度高くなる部分が生じることがある一方で、絶縁層と金属層との接着強度が十分に高くならない部分も生じやすい。特に、A層の厚みが薄くなると、絶縁層の部分によって、絶縁層と金属層との接着強度が低くなることがある。
本発明の目的は、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に積層して、プレス工程を経て絶縁層を形成した後、絶縁層の積層対象部材とは反対の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層の表面の平坦性を高くし、かつ絶縁層と金属層との接着強度を高めることができる多層絶縁フィルムを提供することである。また、本発明は、上記多層絶縁フィルムを用いた多層基板の製造方法及び多層基板を提供することである。
本発明の広い局面によれば、2層以上の絶縁層を備え、一方の最外層が、熱硬化性成分を含み、かつ無機充填材を含まないか又は含み、前記一方の最外層を除く層が、熱硬化性成分と無機充填材とを含み、前記一方の最外層の無機充填材の含有量が、前記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量よりも少なく、周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、前記一方の最外層の弾性率をG’(A)とし、前記一方の最外層を除く層の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が0以上2以下である、多層絶縁フィルムが提供される。
本発明に係る多層絶縁フィルムのある特定の局面では、前記多層絶縁フィルムは、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に、前記一方の最外層側とは反対側から積層されて用いられる。
本発明に係る多層絶縁フィルムのある特定の局面では、前記多層絶縁フィルムは、多層プリント配線基板において絶縁層を形成するために用いられる。
本発明に係る多層絶縁フィルムのある特定の局面では、前記一方の最外層を除く層の前記無機充填材の含有量が50重量%以上、85重量%以下である。
本発明に係る多層絶縁フィルムのある特定の局面では、前記一方の最外層を除く層に含まれる無機充填材の平均粒径が100nm以上、5μm以下である。
本発明に係る多層絶縁フィルムのある特定の局面では、前記100℃における弾性率G’(B)が10Pa以上、1000Pa以下である。
本発明の広い局面によれば、凹部又は凸部を表面に有する回路基板の凹部又は凸部がある表面上に、上述した多層絶縁フィルムを前記一方の最外層側とは反対側からラミネートする工程と、前記回路基板上に積層された前記多層絶縁フィルムを、前記回路基板側とは反対の表面側からプレスする工程と、前記多層絶縁フィルムの前記回路基板側とは反対の表面上に、金属層を配置する工程と、前記金属層を配置した後に、前記多層絶縁フィルムを熱硬化させる工程とを備える、多層基板の製造方法が提供される。
本発明の広い局面によれば、凹部又は凸部を表面に有する回路基板と、前記回路基板の凹部又は凸部がある表面上に配置された絶縁層と、前記絶縁層の前記回路基板側とは反対の表面上に配置された金属層とを備え、前記絶縁層が、凹部又は凸部を表面に有する回路基板の凹部又は凸部がある表面上に、上述した多層絶縁フィルムを前記一方の最外層側とは反対側からラミネートし、前記回路基板上に積層された前記多層絶縁フィルムを、前記回路基板側とは反対の表面側からプレスし、前記多層絶縁フィルムの前記回路基板側とは反対の表面上に、金属層を配置し、前記多層絶縁フィルムを熱硬化させることにより形成されている、多層基板が提供される。
本発明に係る多層絶縁フィルムは、2層以上の絶縁層を備えており、一方の最外層が、熱硬化性成分を含み、かつ無機充填材を含まないか又は含み、上記一方の最外層を除く層が、熱硬化性成分と無機充填材とを含み、上記一方の最外層の無機充填材の含有量が、上記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量よりも少なく、周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、上記一方の最外層の弾性率をG’(A)とし、上記一方の最外層を除く層の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が0以上2以下であるので、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に積層して、プレス工程を経て絶縁層を形成した後、絶縁層の積層対象部材とは反対の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層の表面の平坦性を高くし、かつ絶縁層と金属層との接着強度を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層絶縁フィルムを模式的に示す断面図である。 図2(a)〜(d)は、図1に示す多層絶縁フィルムを用いて多層基板を得る各工程を説明するための図である。 図3は、図1に示す多層絶縁フィルムを用いた多層基板を模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図4(a)及び(b)は、本発明に含まれない多層絶縁フィルムを用いて多層基板を得る際の、プレス後の状態及び金属層を形成した後の状態を説明するための図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(多層絶縁フィルム)
図1に、本発明の一実施形態に係る多層絶縁フィルムを模式的に断面図で示す。
図1に示す多層絶縁フィルム1は、第1の絶縁層2(硬化前)と、第1の絶縁層2の一方の表面に積層された第2の絶縁層3(硬化前)とを有する。本実施形態では、第1の絶縁層2は、一方の最外層である。第2の絶縁層3は、第1の絶縁層を除く層(一方の最外層を除く層)である。
第1の絶縁層2は、熱硬化性成分を含み、無機充填材を含んでいてもよい。第1の絶縁層2は、無機充填材を含まないか、又は含む。第2の絶縁層3は、熱硬化性成分と無機充填材とを含む。第1の絶縁層2の無機充填材の含有量は、第2の絶縁層3の無機充填材の含有量よりも少ない。このため、第1の絶縁層2は、絶縁層と金属層との接着強度を高めることに寄与する。第2の絶縁層3は、絶縁層の熱による寸法安定性の向上に寄与する。絶縁層の熱による寸法安定性をより一層高めるために、第2の絶縁層3は、無機充填材を75重量%以上含んでいてもよい。
多層絶縁フィルム1のように、本発明に係る多層絶縁フィルムは、2層以上の絶縁層を備える。本発明に係る多層絶縁フィルムは、2層の絶縁層を備えていてもよく、3層以上の絶縁層を備えていてもよい。なお、本発明に係る多層絶縁フィルムは、実質的に1つの絶縁フィルムにおいて、絶縁フィルムにおける各成分の含有量に差異を生じさせることで形成されていてもよい。この場合に、各成分の含有量に差異が生じている部分を層界面と解釈することができる。上記絶縁層は、例えば樹脂層であってもよく、絶縁樹脂層であってもよい。
上記一方の最外層は、熱硬化性成分を含み、無機充填材を含んでいてもよい。上記一方の最外層は、無機充填材を含まないか、又は含む。この熱硬化性成分は、熱硬化性樹脂と熱硬化剤とを含むことが好ましい。この熱硬化性成分は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
上記一方の最外層を除く層は、熱硬化性成分と無機充填材とを含む。この熱硬化性成分は、熱硬化性樹脂と熱硬化剤とを含むことが好ましい。この熱硬化性成分は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
上記一方の最外層の無機充填材の含有量が、上記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量よりも少ない。
上記多層絶縁フィルムでは、周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、上記一方の最外層の弾性率をG’(A)とし、上記一方の最外層を除く層の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が0以上2以下であることによって、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に積層して、絶縁層を形成した後、絶縁層の積層対象部材とは反対の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層の表面の平坦性を高くし、かつ絶縁層と金属層との接着強度をより効果的に高めることができる。
上記動的粘弾性測定は、Rheometer装置(TAインスツルメント社製「AR−2000」)を用いて、周波数6.28rad/sec、開始温度60℃、昇温速度5℃/分、及び歪み0.75%にて行われる。
なお、上記動的粘弾性測定の測定温度を100℃としたのは、ガラスクロスを含まない絶縁フィルムを加工する際に一般的に使用されるプレス加工温度を考慮したためである。また、上記動的粘弾性測定の周波数を周波数6.28rad/secとしたのは、プレス加工時の成形スピードを模擬したためである。
凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に積層して、絶縁層を形成した後、絶縁層の積層対象部材とは反対の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層と金属層との接着強度をより一層高める観点から、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))は2以下である。上記範囲内にあることにより、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に多層絶縁フィルムを100℃前後の温度でプレスした場合でも、各層同士が均一に動くと考えられる。つまり密着性を発現するために必要な最外層厚みを、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材全体にて維持できる。接着強度及び平坦性をより一層高める観点からは、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))は好ましくは1.85以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下である。この好ましい値以下では、フィルム全体の厚みを薄くするために、最外層をより薄くした場合でも、絶縁層と金属層との高い接着強度を確保することができる。また(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))は0以上である。このため、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に多層絶縁フィルムを積層して、熱により硬化した際の表面の平坦性を高く保つことができる。この理由としては、G’(A)がG’(B)より低いことにより、積層対象部材の凹部と凸部における樹脂の硬化収縮量の差が、硬化時における最外層表面の微小なフローにより緩和できるためであると考えられる。平坦性をより一層高める観点からは、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))は好ましくは0.25以上である。
100℃における弾性率G’(A)は好ましくは500Pa以下、より好ましくは100Pa以下であり、この場合には、平坦性の向上効果がより一層高くなる。100℃における弾性率G’(B)は好ましくは10Pa以上である。100℃における弾性率G’(B)が10Pa以上であれば、プレスした際の周辺部の樹脂のはみ出し量を適正な量に抑えることができる。また100℃における弾性率G’(B)は好ましくは20000Pa以下、より好ましくは5000Pa以下、更に好ましくは1000Pa以下であり、この場合には、多層絶縁フィルムを、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上にラミネート及びプレスした場合でも、多層絶縁フィルムを積層対象部材に、ボイドを抑えつつ均一に埋め込むことができ、平坦性がより一層良好になる。
図1に示す多層絶縁フィルム1は、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に、第1の絶縁層2(上記一方の最外層)側とは反対側(第2の絶縁層3側)から積層されて用いられることが好ましい。
多層基板を得るために、多層絶縁フィルム1は、図2(a)〜(d)に示す各工程を経て、絶縁層を形成するように用いられることが好ましい。
図2(a),(b)に示すように、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材21の凹部又は凸部がある表面上に、多層絶縁フィルム1を第1の絶縁層2(一方の最外層)側とは反対側からラミネートする(ラミネート工程)。多層絶縁フィルム1を第2の絶縁層3側からラミネートする。積層対象部材21の表面にある凹部又は凸部は、積層対象部材本体21a上に金属層21bを配置することにより形成されている。積層対象部材21は、回路基板であることが好ましい。
多層絶縁フィルム1を用いることによって、ラミネートにより、積層対象部材21の凹部又は凸部に対して、多層絶縁フィルム1を積層対象部材21に、ボイドを抑えつつ追従させることができる。
次に、積層対象部材21上に積層された多層絶縁フィルム1を、積層対象部材21側とは反対側の表面からプレスする(プレス工程)。第1の絶縁層2(一方の最外層)側からプレスする。図2(c)に示すように、プレス後に、第1の絶縁層2の積層対象部材21側とは反対の表面が平坦化される。多層絶縁フィルム1を用いることによって、高い圧力にて表面を平坦化させるプレス工程後も多層構造を保持することができ、絶縁層の積層対象部材とは反対の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層と金属層との高い接着強度を確保することができる。
次に、図2(d)に示すように、プレス後の多層絶縁フィルム1の積層対象部材21側と反対の表面上に、金属層22を配置する(金属層形成工程)。第1の絶縁層2(一方の最外層)の表面上に金属層22を配置する。金属層22の形成は例えば、絶縁フィルムを熱硬化させ、表面を粗化した後に、無電解メッキ及び電解メッキを行うようなアディティブプロセス、セミアディティブプロセスや、絶縁フィルムを熱硬化後にその表面に金属をスパッタすることにより行うことができる。
次に、金属層22を配置した後に、多層絶縁フィルム1を熱硬化させる(熱硬化工程)。このようにして、多層基板などの積層体が得られる。
上記のようにして多層基板などの積層体を得る際に、プレス後の多層絶縁フィルム1では、第1の絶縁層2は、第2の絶縁層3の一方の表面上の全体に配置されている(図2(c)参照)。このため、金属層22は、第1の絶縁層2上に形成され、第2の絶縁層3が第1の絶縁層2側に露出しにくく、その露出した第2の絶縁層3上に金属層22が形成されることは起こりにくい(図2(d)参照)。この結果、最終的に得られる絶縁層のどの部分に金属層を形成しても、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。例えば、第2の絶縁層3上に金属層22を形成すると、絶縁層と金属層との接着強度が低くなりやすいが、第1の絶縁層2上に金属層22を形成すると、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。多層絶縁フィルム1を用いれば、プレス後に、第2の絶縁層3上に第1の絶縁層2が位置しているために、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。
これに対して、図4(a)に、本発明に含まれない多層絶縁フィルム101を用いた場合のプレス後の状態を示す。プレス前の多層絶縁フィルム101は、第1の絶縁層102(一方の最外層)と、第2の絶縁層103(一方の最外層を除く層)とを備える。第2の絶縁層103の無機充填材の含有量は、第1の絶縁層102の無機充填材の含有量と同等以上であるか、又は、周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、第1の絶縁層102の弾性率をG’(A)とし、第2の絶縁層103の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が2を超える。
図4(a)に示すように、上記のような多層絶縁フィルム101を用いた場合には、プレス後に第1の絶縁層102は、第2の絶縁層103の一方の表面の全体に配置されにくい。従って、積層対象部材121に金属層122を形成した後に、金属層122は、第2の絶縁層103上にも形成されやすい(図4(b)参照)。(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が2を超える場合には、絶縁層と金属層との接着強度が問題となる。
絶縁層と金属層との接着強度を効果的に高めることができるので、上記多層絶縁フィルムは、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に、上記一方の最外層側とは反対側から積層されて用いられることが好ましい。絶縁層と金属層との接着強度を効果的に高めることができるので、上記多層絶縁フィルムは、多層プリント配線基板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
平坦性を効果的に高める観点からは、硬化温度は好ましくは120℃以上、好ましくは180℃以下である。硬化温度が120℃以上であると、硬化時にG’(A)が効果的に低くなり、樹脂が微小にフローすることができるためである。
埋め込み性をより一層良好にする観点からは、プレス温度は、好ましくは80℃以上である。絶縁層と金属層との接着強度を高くする観点及びプレス後の樹脂のはみ出し量を適正な量に抑える観点から、プレス温度は好ましくは120℃以下である。
以下、本発明に係る多層絶縁フィルムに用いられる各成分の詳細を説明する。
[熱硬化性樹脂]
上記熱硬化性樹脂は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂及びビニルベンジル樹脂等が挙げられる。絶縁性及び機械強度をより一層良好にする観点からは、上記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、常温(23℃)で液状であってもよく、固形であってもよい。上記多層絶縁フィルムの各層はそれぞれ、常温(23℃)で液状であるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層100重量%中、常温で液状であるエポキシ樹脂の含有量はそれぞれ、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、好ましくは30重量%以下である。常温で液状であるエポキシ樹脂の含有量が上記下限以上であると、上記一方の最外層を薄くした場合でも、良好なハンドリングを維持することができ、その後の積層工程で割れといった不具合が発生しにくくなる。また上記一方の最外層を除く層に無機充填材を高濃度で充填した場合でも、良好なハンドリングを維持することができる。また各層をラミネートにて積層する際の密着性が良好になる。
常温で液状であるエポキシ樹脂の含有量が上記上限以下であると、最外層の形成において塗工及び乾燥して得られたロールから、カバーフィルムを剥がして、積層工程を行う際に、カバーフィルムが剥がれにくいといった不具合がなく、生産時の取り回しが良好になる。また上記一方の最外層を除く層への無機充填材の含有量を多くすることが容易になる。
絶縁層と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記熱硬化性樹脂の熱硬化性官能基の当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合に、上記熱硬化性官能基の当量はエポキシ当量を示す。
上記熱硬化性樹脂の分子量は1000以下であることが好ましい。この場合には、多層絶縁フィルムにおける無機充填材の含有量を多くすることが容易である。さらに、無機充填材の含有量が多くても、G’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、良好な埋め込み性を確保することができる。また(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低くすることができ、接着力が高くなる。また、分子量が1000以下である熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との併用により、G’(B)を10Pa以上に保つことができるため、プレスした際の周辺部の樹脂のはみ出し量を適正な量に抑えることができる。
上記熱硬化性樹脂の分子量及び後述する熱硬化剤の分子量は、上記熱硬化性樹脂又は熱硬化剤が重合体ではない場合、及び上記熱硬化性樹脂又は熱硬化剤の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記熱硬化性樹脂又は熱硬化剤が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層の無機充填材を除く樹脂100重量%中、上記熱硬化性樹脂の各含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記熱硬化性樹脂の含有量が上記下限以上であると、耐熱性が良好になる。また絶縁層と金属との密着性もより一層良好になる。上記熱硬化性樹脂の含有量が上記上限以下であると、熱を加えた際の硬化性が良好になり、高温高湿度下での絶縁性がより一層良好になる。
[熱硬化剤(熱硬化性成分)]
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、シアネートエステル化合物(シアネートエステル熱硬化剤)、フェノール化合物(フェノール熱硬化剤)、アミン化合物(アミン熱硬化剤)、チオール化合物(チオール熱硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。接着強度を高める観点からは、最外層に含まれる熱硬化剤は、これらの熱硬化剤の中の活性エステル化合物を除く熱硬化剤であることが好ましく、活性エステル化合物ではないことが好ましい。なかでも、熱による寸法変化がより一層小さい絶縁層を得る観点からは、上記熱硬化剤は、シアネートエステル化合物又はフェノール化合物であることが好ましい。上記熱硬化剤は、シアネートエステル化合物であることが好ましく、フェノール化合物であることも好ましい。上記熱硬化剤は、上記熱硬化性樹脂の熱硬化性官能基と反応可能な官能基を有することが好ましい。上記熱硬化剤は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
絶縁層と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ絶縁層の表面により一層微細な配線を形成する観点からは、上記熱硬化剤は、シアネートエステル化合物、フェノール化合物又は活性エステル化合物であることが好ましい。さらに、熱硬化剤でより一層良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記熱硬化剤は、シアネートエステル化合物、又は活性エステル化合物であることがより好ましい。
絶縁層の誘電正接をより一層低くし、金属層を流れる電気信号の伝送損失を抑制する観点からは、上記硬化剤は、活性エステル化合物であることが好ましい。
上記シアネートエステル化合物の使用により、絶縁層のガラス転移温度がより一層高くなり、耐熱性が向上する。上記シアネートエステル化合物は特に限定されない。該シアネートエステル化合物として、従来公知のシアネートエステル化合物を使用可能である。上記シアネートエステル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、及びビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA−230S」、「BA−3000S」、「BTP−1000S」及び「BTP−6020S」)等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の分子量は、3000以下であることが好ましい。この場合には、多層絶縁フィルムにおける無機充填材の含有量を多くすることができ、無機充填材の含有量が多くても、G’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、良好な埋め込み性を確保することができる。また(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低くすることができ、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。
上記フェノール化合物の使用により、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記フェノール化合物の使用により、例えば、絶縁層の表面上の銅配線の表面を黒化処理又はCz処理したときに、絶縁層と銅配線との接着強度がより一層高くなる。
上記フェノール化合物は特に限定されない。該フェノール化合物として、従来公知のフェノール化合物を使用可能である。上記フェノール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA1356」及び「LA3018−50P」)等が挙げられる。
硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な金属配線を形成する観点からは、上記フェノール化合物は、ビフェニルノボラック型フェノール化合物、又はアラルキル型フェノール化合物であることが好ましい。硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくする観点からは、上記フェノール化合物はフェノール性水酸基を2個以上有することが好ましい。
上記フェノール化合物の分子量は、1000以下であることが好ましい。この場合には、多層絶縁フィルムにおける無機充填材の含有量を多くすることができ、無機充填材の含有量が多くても、G’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、良好な埋め込み性を確保することができる。また(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低くすることができ、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC−8000」、「HPC−8000−65T」及び「EXB9416−70BK」等が挙げられる。
上記活性エステル化合物の分子量は、1000以下であることが好ましい。この場合には、多層絶縁フィルムにおける無機充填材の含有量を多くすることができ、無機充填材の含有量が多くても、G’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、良好な埋め込み性を確保することができる。また(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低くすることができ、絶縁層と金属層との接着強度が高くなる。
絶縁層と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ絶縁層の表面により一層微細な配線を形成し、かつ熱硬化剤によって良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記熱硬化剤は、当量が250以下である熱硬化剤を含むことが好ましい。上記熱硬化剤の当量は、例えば、熱硬化剤がシアネートエステル化合物である場合にはシアネートエステル基当量を示し、熱硬化剤がフェノール化合物である場合にはフェノール性水酸基当量を示し、熱硬化剤が活性エステル化合物である場合には活性エステル基当量を示す。
上記熱硬化剤の全体100重量%中、当量が250以下である熱硬化剤の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。上記熱硬化剤の全量が、当量が250以下である熱硬化剤であってもよい。当量が250以下である熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。さらに、当量が250以下である熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、絶縁層のガラス転移温度がより一層高くなる。
上記熱硬化性樹脂と上記熱硬化剤との配合比は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂と熱硬化剤との配合比は、熱硬化性樹脂と熱硬化剤との種類により適宜決定される。
上記一方の最外層の無機充填材を除く全成分100重量%中及び上記一方の最外層を除く層の無機充填材を除く全成分100重量%中、上記熱硬化性樹脂と上記熱硬化剤との合計の含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
[無機充填材]
上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層はそれぞれ、無機充填材を含む。無機充填材の使用により、絶縁層の熱線膨張率が低くなり、かつ絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材は特に限定されない。上記無機充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
絶縁層と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ絶縁層の表面により一層微細な配線を形成し、かつ絶縁層により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、絶縁層の熱線膨張率がより一層低くなり、かつ絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は略球状であることが好ましい。
上記一方の最外層に含まれていてもよい上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは150nm以上、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。また、粗化処理又はデスミア処理などにより形成される孔の大きさが微細になり、孔の数が多くなる。この結果、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記一方の最外層を除く層に含まれる上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは250nm以上、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、G’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、多層絶縁フィルムを、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上にラミネート及びプレスした場合でも、多層絶縁フィルムを積層対象部材に、ボイドを抑えつつ均一に埋め込むことができ、平坦性がより一層良好になる。
また一方の最外層を除く層に含まれる無機充填材の平均粒径D1の一方の最外層に含まれる無機充填材の平均粒径D2に対する比(D1/D2)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。このような関係を満足すると、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低く出できるため、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤により表面処理されていることがより好ましい。これにより、無機充填材と樹脂との密着性が良好になり、絶縁層全体の機械強度が向上し、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。さらに、より一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性が絶縁層に付与される。また無機充填材の分散性が向上し、粗化処理又はデスミア処理などにより形成される粗面がより微細になり、絶縁層の表面により一層微細な配線が形成できる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記一方の最外層100重量%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは0重量%(未含有)以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が効果的に低くなり、絶縁層と金属層との接着強度がより一層良好になる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、100℃におけるG’(A)を500Pa以下に抑えることができ、熱硬化時に微小フローが発生しやすくなり、平坦性がより一層良好になる。また粗化処理又はデスミア処理などにより形成される孔の数が効果的に多くなり、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記一方の最外層を除く層100重量%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、絶縁層全体の熱線膨張率がより一層良好になる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、100℃におけるG’(B)を2000Pa以下に保つことができるため、埋め込み性、及び平坦性がより一層良好になる。
上記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量と上記一方の最外層の無機充填材の含有量との差の絶対値は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。このような含有量の差の絶対値の関係を満足すると、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[熱可塑性樹脂]
上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層はそれぞれ、熱可塑性樹脂を含まないか又は含む。上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層はそれぞれ、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゴム成分及び有機フィラー等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂と相溶性が高い熱可塑性樹脂であることが好ましい。相溶性の高い熱可塑性樹脂を用いることで、G’(B)を容易に調節することが可能であるため、プレスした際の周辺部の樹脂のはみ出し量を適正な量に抑えることができる。かつ多層絶縁フィルムを積層対象部材に、ボイドを抑えつつ埋め込むことができる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、又はアミドイミド樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂であることが特に好ましい。これらの好ましい熱可塑性樹脂の使用により、無機充填材の分散性が更に一層良好になり、粗化処理又はデスミア処理などにより形成される粗面がより微細になり、絶縁層の表面により一層微細な配線が形成できる。
上記アミドイミド樹脂は、成形加工性を高める観点から、溶剤可溶型のアミドイミド樹脂であることが好ましい。上記アミドイミド樹脂の市販品としては、DIC社製:ユニディック シリーズが挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の市販品としては、電気化学工業社製:電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業社製:エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、好ましくは100000以下である。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記一方の最外層100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層絶縁フィルムの成膜性が高くなり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、多層絶縁フィルムの成膜時の乾燥速度が速くなり、フィルムの生産性が良好になる。
上記一方の最外層を除く層100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、多層絶縁フィルムの成膜性が高くなり、より一層良好な絶縁層が得られる。またG’(B)を10Pa以上に保ちやすくなり、プレスした際の周辺部の樹脂のはみ出し量を適正な量に抑えることができる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、絶縁層全体の熱線膨張率がより一層低くなる。また無機充填材を多く配合した場合でも、G’(B)を2000Pa以下に保ちやすくなり、凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材への埋め込み性が良好になる。
また上記一方の最外層および上記一方の最外層を除く層の上記熱可塑性樹脂の含有量が上記を満たすことにより、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))を効果的に低くできるため、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記熱可塑性樹脂は、ゴム成分及び有機フィラーを含むことも好ましい。ゴム成分及び有機フィラーを用いることで、上記一方の最外層に含まれる無機充填材の量が少ない場合でも、粗化処理又はデスミア処理などにより孔を形成させることができ、絶縁層と金属層との接着強度をより一層高くすることができる。
[硬化促進剤(熱硬化性成分)]
上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層はそれぞれ、硬化促進剤を含まないか又は含む。上記樹脂組成物及び上記第1,第2の絶縁層はそれぞれ、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。多層絶縁フィルムを速やかに硬化させることで、絶縁層における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されない。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、多層絶縁フィルムが効率的に硬化する。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記一方の最外層及び上記一方の最外層を除く層にはそれぞれ、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤及び揺変性付与剤等を添加してもよい。
[多層絶縁フィルムの他の詳細]
樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散させた後、キャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。該フィルムは、少なくとも2層の絶縁層を有する多層絶縁フィルムである。多層化する方法としては、例えばそれぞれ別に成形した2つのフィルムを熱ロールラミネーター等で貼り合わせる方法、塗工や押出の際に同時もしくは逐次にフィルムを成形して多層絶縁フィルムを成形する方法、キャスティング成形時に絶縁フィルムにおける各成分の含有量に差異を生じさせ、実質的に1つの絶縁フィルムにおいて多層絶縁フィルムを成形する方法、並びに従来公知のその他の多層絶縁フィルム成形法等が挙げられる。中でも上記フィルム成形法に連動できることから、多層押出成形法又は多層キャスティング成形法が好ましい。
樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば90〜200℃で1〜180分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある半硬化物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記多層絶縁フィルムは、一方の表面又は両面に基材が積層され、積層フィルムの状態で用いることができる。上記積層フィルムは、上記多層絶縁フィルムと、上記多層絶縁フィルムの一方の表面又は両面に積層された基材とを備えることが好ましい。
上記積層フィルムの上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、銅箔及びアルミニウム箔などの金属箔等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
上記多層樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記多層樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
(プリント配線板)
上記多層絶縁フィルムは、プリント配線板(プリント配線基板)において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記多層絶縁フィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記多層樹脂フィルムは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された多層絶縁フィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記多層絶縁フィルムを硬化させた絶縁層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記多層絶縁フィルムは、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記多層絶縁フィルムを用いて形成される。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。回路基板は表面に凹部又は凸部を有することが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板を用いて、上記多層絶縁フィルムを熱硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記多層絶縁フィルムを用いて形成される。上記多層基板は、上記多層絶縁フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図3に、本発明の一実施形態に係る多層絶縁フィルムを用いた多層基板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。なお、図3では、多層絶縁フィルムを熱硬化させた絶縁層は略図で示されている。
図3に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、絶縁層13〜16が、本発明の一実施形態に係る多層絶縁フィルムを用いて形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記多層絶縁フィルムは、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記多層絶縁フィルムを予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に絶縁層と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記粗化処理の回数は1回又は2回であることが好ましい。
絶縁層の表面の算術平均粗さRaは好ましくは50nm以上、好ましくは350nm以下、より好ましくは200nm未満、更に好ましくは100nm未満である。この場合には、絶縁層と金属層又は配線との接着強度が高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。
(デスミア処理)
上記多層絶縁フィルムを予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、絶縁層の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(熱硬化性樹脂)
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850−S」)
(2)ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000」)
(3)ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)
(4)p−アミノフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630」)
(5)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200H」)
(硬化剤)
(1)アミノトリアジン骨格クレゾールノボラック樹脂含有液(DIC社製「LA−3018−50P」、固形分50重量%とプロピレングリコールモノエチルエーテル50重量%とを含む)
(2)アミノトリアジン骨格フェノールノボラック樹脂含有液(DIC社製「LA−1356」、固形分60重量%とメチルエチルケトン40重量%とを含む)
(3)活性エステル樹脂含有液(DIC社製「EXB9416−70BK」、固形分70重量%とメチルイソブチルケトン30重量%とを含む)
(4)シアネートエステル樹脂含有液(ロンザ社製「BA−3000S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む)
(硬化促進剤)
(1)イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業社製「2P4MZ」)
(熱可塑性樹脂)
(1)フェノキシ樹脂含有液(三菱化学社製「YX6954BH30」、固形分30重量%とメチルエチルケトン35重量%とシクロヘキサノン35重量%とを含む)
(2)ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業社製「BX−5」)
(3)ポリアミドイミド樹脂含有液(DIC社製「ユニディックELG−486」、固形分30重量%とN,N−ジメチルアセトアミド70重量%とを含む)
(無機充填材)
(1)球状シリカ1(アドマテックス社製「SOC4」100重量部をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)0.4重量部によって表面処理した球状シリカ、平均粒子径1.0μm)
(2)球状シリカ2(アドマテックス社製「SOC2」100重量部をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)0.6重量部によって表面処理した球状シリカ、平均粒子径0.5μm)
(3)球状シリカ3(アドマテックス社製「SOC1」100重量部をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)1.0重量部によって表面処理した球状シリカ、平均粒子径0.25μm)
(4)球状シリカ4(アドマテックス社製「SOC5」100重量部をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)0.4重量部によって表面処理した球状シリカ、平均粒子径1.5μm)
(溶剤)
(1)溶剤(CHN、シクロヘキサノン、和光純薬工業社製「037−05096」)
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850−S」)13.2重量部に、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」)13.5重量部と、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200H」)7.7重量部と、アミノトリアジン骨格クレゾールノボラック樹脂含有液(DIC社製「LA−3018−50P」)38.2重量部(固形分で19.1重量部)と、イミダゾール化合物(四国化成工業社製「2P4MZ」)0.4重量部と、フェノキシ樹脂含有液(三菱化学社製「YX6954BH30」)27.0重量部(固形分で8.1重量部)とシクロヘキサノン(CHN)60.0重量部とを混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスAを得た。
最外層の形成:
得られた樹脂組成物ワニスAに、球状シリカ2(アドマテックス社製「SOC2」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)76.0重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスBを得た。
アプリケーターを用いて、PETフィルム(厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物ワニスBを塗工した後、100℃のギアオーブン内で20秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが2μmのシート状の成形体A(一方の最外層)を得た。
内層(ラミネート後に内層になる層(ラミネート前には最外層))の形成:形成方法1−塗工による積層
得られた樹脂組成物ワニスAに、球状シリカ1(アドマテックス社製「SOC4」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)186.0重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスCを得た。
次に、得られたシート状の成形体Aの上に、全体厚みが40μmとなるように、得られた樹脂組成物ワニスCを塗工した後、100℃のギアオーブン内で2分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、シート状の成形体A上に、厚さ38μmのシート状の成形体C’(一方の最外層を除く層)を形成し、厚さが40μmのシート状の成形体Bを得た。シート状の成形体Bは、シート状の成形体Aと、シート状の成形体C’とを有する。
[接着強度(ピール強度)]
銅張り積層板(厚さ150μmのガラスエポキシ基板と厚さ35μmの銅箔との積層体)を用意した。銅箔をエッチング処理し、L/Sが1mm/1mm及び長さが5cmである銅パターンを25本作製し、凹凸基板を得た。
上記凹凸基板の両面を銅表面粗化剤(メック社製「メックエッチボンド CZ−8100」)に浸漬して、銅表面を粗化処理した。
得られたシート状の成形体Bを、シート状の成形体C’側から、凹凸基板の凹凸表面に重ねて、真空加圧式ラミネーター機(名機製作所社製「MVLP−500」)を用いて、ラミネート圧0.4MPa及びラミネート温度80℃で20秒間ラミネートし、更にプレス圧力1.0MPa及びプレス温度100℃で20秒間プレスした。このようにして、凹凸基板上にシート状の成形体Bが積層されている積層体を得た。得られた積層体において、PETフィルムを剥がした後、シート状の成形体Bを150℃で60分間硬化させ、積層サンプルDを得た。
次に、得られた積層サンプルDについて、以下の膨潤処理、粗化処理、無電解めっき処理を行った。
膨潤処理:
60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」と和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」とを含む水溶液)に、上記積層サンプルDを入れて、膨潤温度60℃で20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
粗化処理(過マンガン酸塩処理):
80℃の過マンガン酸ナトリウム粗化水溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」)に、膨潤処理された上記積層サンプルを入れて、粗化温度80℃で20分間揺動させた。その後、40℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」、和光純薬工業社製「硫酸」)により10分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。このようにして、エッチングにより内層回路を形成したガラスエポキシ基板上に、粗化処理された硬化物を形成した。
無電解めっき処理:
上記粗化処理された硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、上記硬化物を25℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、上記硬化物を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、硬化物を5分間処理した。
次に、上記硬化物を化学銅液(全てアトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK−DK」、「カッパープリントガントMSK」、「スタビライザープリントガントMSK」、「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を2Lとし、硬化物を揺動させながら実施した。
次に、無電解めっき処理された硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電解銅めっきとして硫酸銅溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cm2の電流を流しめっき厚さが25μm程度となるまで電解めっきを実施した。銅めっき処理後、硬化物を190℃で2時間加熱し、硬化物を更に硬化させた。このようにして、銅めっき層が上面に積層された硬化物を得た。
得られた銅めっき層が積層された硬化物において、銅めっき層の表面に、L/Sに対して垂直方向に10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(島津製作所社製「AG−5000B」)を用いて、測定長さ3cm、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、硬化物と銅めっき層との接着強度(ピール強度)を測定した。
[接着強度の判定基準]
◎:測定領域3cm内の測定値の最小値が5.9N/cm以上
○:測定領域3cm内の測定値の最小値が4.9N/cm以上、5.9N/cm未満
×:測定領域3cm内の測定値の最小値が4.9N/cm未満
[平坦性測定]
Veeco社製「WYKO」を用いて、得られた積層サンプルDの硬化物の上面の凹凸の値を測定した。具体的には、凹凸の隣り合う凹部部分と凸部部分との高低差の最大値、凹凸の値として採用した。平坦性を下記の基準で判定した。
[平坦性の判定基準]
◎:凹凸の値が1.5μm以下
○:凹凸の値が1.5μmより大きく、2.0μm以下
×:凹凸の値が2.0μmを超える
[動的粘弾性測定]
得られたシート状の成形体A、シート状の成形体CからPETフィルムを剥離し、Rheometer装置(TAインスツルメント社製「AR−2000」)を用いて、周波数6.28rad/sec、開始温度60℃、昇温速度5℃/分、歪み0.75%にて動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率G’を測定した。(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))(表では、G’差と記載)を求めた。
[平均線膨張率(CTE)]
得られたシート状の成形体Bを、PETフィルム上で150℃及び60分の硬化条件で硬化させ、更に190℃で2時間加熱した。その後、PETフィルムを剥離することにより、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を、3mm×25mmの大きさに裁断した。熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN、昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃から150℃までの平均線膨張率(ppm/℃)を算出した。
(実施例2)
内層の形成方法を、以下の形成方法2に変更し、得られたシート状の成形体B’を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製し、評価を行った。
内層の形成:形成方法2−ラミネートによる積層
アプリケーターを用いて、PETフィルム(厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物ワニスCを塗工した後、100℃のギアオーブン内で20秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが38μmのシート状の成形体Cを得た。
シート状の成形体Aとシート状の成形体Cとを、互いに塗工面が重なるように真空加圧式ラミネーター機(名機製作所社製「MVLP−500」)を用いて、ラミネート圧0.4MPa及びラミネート温度60℃で20秒間ラミネートのみを行い、シート状の成形体B’を得た。
(実施例3〜7、9〜13及び比較例1〜3)
実施例1に対し、表1,2のように配合を変更した以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製し、評価を行った。
(実施例8)
最外層の形成:
実施例1で得られた樹脂組成物ワニスAに、球状シリカ2(アドマテックス社製「SOC2」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)76.0重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスBを得た。
アプリケーターを用いて、PETフィルム(厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物ワニスBを塗工した後、100℃のギアオーブン内で20秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが2μmのシート状の成形体A(一方の最外層)を得た。
内層1(中間層)の形成:
得られた樹脂組成物ワニスAに、球状シリカ1(アドマテックス社製「SOC4」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)186.0重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスCを得た。
次に、得られたシート状の成形体Aの上に、全体厚みが20μmとなるように、得られた樹脂組成物ワニスCを塗工した後、100℃のギアオーブン内で1分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、シート状の成形体A上に、厚さ18μmのシート状の成形体C’(一方の最外層を除く中間層)を形成し、厚さが20μmのシート状の成形体Bを得た。シート状の成形体Bは、シート状の成形体Aと、シート状の成形体C’とを有する。
内層2(ラミネート後に内層になる層(ラミネート前には最外層))の形成:
得られた樹脂組成物ワニスAに、球状シリカ4(アドマテックス社製「SOC5」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)186.0重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスDを得た。
次に、得られたシート状の成形体Bの上に、全体厚みが40μmとなるように、得られた樹脂組成物ワニスDを塗工した後、100℃のギアオーブン内で1分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、シート状の成形体B上に、厚さ20μmのシート状の成形体D’(一方の最外層と中間層とを除く層)を形成し、厚さが40μmのシート状の成形体B’を得た。シート状の成形体B’は、シート状の成形体Aと、シート状の成形体C’と、シート状の成形体D’とを有する。
実施例8の動的粘弾性測定には、下記フィルムを用いた。
アプリケーターを用いて、PETフィルム(厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物ワニスCを塗工した後、100℃のギアオーブン内で1分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが18μmのシート状の成形体Cを得た。その後、さらに得られたシート状の成形体Cの上に、樹脂組成物ワニスDを塗工した後、100℃のギアオーブン内で1分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして得られた、厚さが38μm(=2層で)のシート状の成形体を用いた。
上記以外は、実施例8における上記記載と同様にして、サンプルを作製し、評価を行った。
詳細及び結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2018186303
Figure 2018186303
なお、実施例3〜5,9,12,13の接着強度の評価結果はいずれも「○」であるが、実施例5の接着強度の測定値の最小値は、実施例3,4,9,12,13の接着強度の測定値の最小値よりも小さかった。また、実施例3,4,9,12,13の接着強度の評価結果はいずれも「○」であるが、実施例9では、最外層に活性エステル化合物を用いているために実施例9の接着強度の測定値の最小値は、実施例3,4,12,13の接着強度の測定値の最小値よりも小さかった。
なお、実施例4,5,7の平坦性の評価結果はいずれも「○」であるが、実施例7の平坦性の凹凸の値は、実施例4,5の平坦性の凹凸の値よりも大きかった。
1…多層絶縁フィルム
2…第1の絶縁層(一方の最外層)
3…第2の絶縁層(一方の最外層を除く層)
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層(配線)
21…積層対象部材
21a…積層対象部材本体
21b…金属層
22…金属層

Claims (8)

  1. 2層以上の絶縁層を備え、
    一方の最外層が、熱硬化性成分を含み、かつ無機充填材を含まないか又は含み、
    前記一方の最外層を除く層が、熱硬化性成分と無機充填材とを含み、
    前記一方の最外層の無機充填材の含有量が、前記一方の最外層を除く層の無機充填材の含有量よりも少なく、
    周波数6.28rad/secでの動的粘弾性測定を行った時に、前記一方の最外層の弾性率をG’(A)とし、前記一方の最外層を除く層の弾性率をG’(B)としたときに、(100℃におけるLog10(G’(B)))−(100℃におけるLog10(G’(A)))が0以上2以下である、多層絶縁フィルム。
  2. 凹部又は凸部を表面に有する積層対象部材の凹部又は凸部がある表面上に、前記一方の最外層側とは反対側から積層されて用いられる、請求項1に記載の多層絶縁フィルム。
  3. 多層プリント配線基板において絶縁層を形成するために用いられる、請求項1又は2に記載の多層絶縁フィルム。
  4. 前記一方の最外層を除く層の前記無機充填材の含有量が50重量%以上、85重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層絶縁フィルム。
  5. 前記一方の最外層を除く層に含まれる無機充填材の平均粒径が100nm以上、5μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層絶縁フィルム。
  6. 前記100℃における弾性率G’(B)が10Pa以上、1000Pa以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層絶縁フィルム。
  7. 凹部又は凸部を表面に有する回路基板の凹部又は凸部がある表面上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層絶縁フィルムを前記一方の最外層側とは反対側からラミネートする工程と、
    前記回路基板上に積層された前記多層絶縁フィルムを、前記回路基板側とは反対の表面側からプレスする工程と、
    前記多層絶縁フィルムの前記回路基板側とは反対の表面上に、金属層を配置する工程と、
    前記金属層を配置した後に、前記多層絶縁フィルムを熱硬化させる工程とを備える、多層基板の製造方法。
  8. 凹部又は凸部を表面に有する回路基板と、
    前記回路基板の凹部又は凸部がある表面上に配置された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記回路基板側とは反対の表面上に配置された金属層とを備え、
    前記絶縁層が、凹部又は凸部を表面に有する回路基板の凹部又は凸部がある表面上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層絶縁フィルムを前記一方の最外層側とは反対側からラミネートし、前記回路基板上に積層された前記多層絶縁フィルムを、前記回路基板側とは反対の表面側からプレスし、前記多層絶縁フィルムの前記回路基板側とは反対の表面上に、金属層を配置し、前記多層絶縁フィルムを熱硬化させることにより形成されている、多層基板。
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