JP2018185124A - 熱交換器及び化学蓄熱装置 - Google Patents

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浩康 河内
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Abstract

【課題】熱交換効率を向上させることができる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、一端から排気ガスが導入されると共に他端から排気ガスが導出される円筒状の筐体8と、筐体8の内部に渦巻状に配置され、エンジンオイルが流通する第1流通部12と排気ガスが流通する第2流通部13とを区画形成する区画壁10,11と、筐体8の他端側に取り付けられ、第1流通部12の最外周領域にエンジンオイルを導入するオイル導入管4と、筐体8の一端側に取り付けられ、第1流通部12の最外周領域からエンジンオイルを導出するオイル導出管5と、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に連通させる連通部22と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱交換器及び化学蓄熱装置に関する。
従来の熱交換器としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の熱交換器は、熱交換部と、この熱交換部の軸方向両端面に取り付けられたプレートと、熱交換部の外周面に取り付けられた冷却水供給部及び冷却水排水部とを有している。熱交換部は、円筒状の外壁を有している。外壁の内部には、冷却水水路を形成する2枚の内壁が螺旋状に配置されている。また、外壁及び各内壁の間には、圧縮空気路が形成されている。圧縮空気路には、フィンが放射状に配置されている。
特開2011−85315号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、冷却水水路が螺旋状に形成されているため、冷却水供給部から供給された冷却水が熱交換部内を螺旋状に流れることになる。従って、冷却水が熱交換部内を流れる際の圧力損失が大きくなるため、熱交換部の径方向中心部に冷却水が供給されにくい。その結果、熱交換器の熱交換効率の低下につながる。
本発明の目的は、熱交換効率を向上させることができる熱交換器及び化学蓄熱装置を提供することである。
本発明の一態様は、第1媒体と第2媒体とを熱交換する熱交換器において、一端から第2媒体が導入されると共に他端から第2媒体が導出される円筒状の筐体と、筐体の内部に渦巻状または同心円状に配置され、第1媒体が流通する第1流通部と第2媒体が流通する第2流通部とを区画形成する複数の区画壁と、筐体の一端及び他端の一方側に取り付けられ、第1流通部の最外周領域に第1媒体を導入する第1媒体導入部と、筐体の一端及び他端の他方側に取り付けられ、第1流通部の最外周領域から第1媒体を導出する第1媒体導出部と、第1流通部の外周側領域及び内周側領域を筐体の径方向に連通させる連通部と、を備えることを特徴とする。
このような熱交換器においては、筐体の一端から第2流通部に導入された第2媒体は、第2流通部を流通して筐体の他端から導出される。一方、第1媒体導入部から第1流通部の最外周領域に導入された第1媒体は、第1流通部を流通して第1流通部の最外周領域から第1媒体導出部に導出される。このとき、第1媒体は、連通部を通って第1流通部の外周側領域から内周側領域へと筐体の径方向に流れる。従って、第1媒体が筐体の径方向中心部に向かってスムーズに供給されるようになる。これにより、第1媒体と第2媒体との熱交換効率が向上する。
連通部は、筐体の径方向に隣り合う区画壁の一部同士が接合された接合部分を有し、接合部分には、筐体の径方向に貫通した貫通孔が設けられていてもよい。この場合には、特別な部品を使用しなくても、簡単な構成で、第1流通部の外周側領域及び内周側領域を筐体の径方向に連通させることができる。
第1流通部の外周側に位置する貫通孔の総断面積は、第1流通部の内周側に位置する貫通孔の総断面積よりも大きくてもよい。この場合には、第1流通部の外周側領域と第1流通部の内周側領域とにおける単位体積当たりの第1媒体の流量差が少なくなる。これにより、第1媒体と第2媒体との熱交換効率が更に向上する。
連通部は、第1流通部の外周側領域及び内周側領域を筐体の径方向に接続する管路であってもよい。この場合には、連通部を第1媒体導入部及び第1媒体導出部と一体で作ることができる。
区画壁には、筐体の径方向に突出した複数の突部が設けられていてもよい。この場合には、第1媒体が第1流通部を流れる際に、突部により第1媒体が散乱するため、第1流通部における第1媒体の流量が均等化される。また、第2媒体が第2流通部を流れる際に、突部により第2媒体が散乱するため、第2流通部における第2媒体の流量が均等化される。以上により、第1媒体と第2媒体との熱交換効率が更に向上する。
第1流通部には、第1媒体の流れを阻害する壁部が配置されていてもよい。この場合には、第1媒体が第1流通部を流れる際に、壁部により第1媒体が散乱するため、第1流通部における第1媒体の流量が均等化される。これにより、第1媒体と第2媒体との熱交換効率が更に向上する。
第1流通部と第2流通部との間には、蓄熱材が充填された蓄熱材充填部が配置されていてもよい。この場合には、熱交換器を、反応媒体との化学反応により発熱する蓄熱材を含む反応器として使用することにより、第1媒体を加熱することができる。
本発明の他の態様は、第1媒体を加熱する化学蓄熱装置において、反応媒体との化学反応により発熱すると共に第2媒体の熱により反応媒体が脱離する蓄熱材を含む反応器と、反応媒体を貯蔵する貯蔵器と、反応器と貯蔵器とを接続し、反応媒体が流れる供給管と、を具備し、反応器は、一端から第2媒体が導入されると共に他端から第2媒体が導出される円筒状の筐体と、筐体の内部に渦巻状または同心円状に配置され、第1媒体が流通する第1流通部と第2媒体が流通する第2流通部とを区画形成する複数の区画壁と、筐体の一端及び他端の一方側に取り付けられ、第1流通部の最外周領域に第1媒体を導入する第1媒体導入部と、筐体の一端及び他端の他方側に取り付けられ、第1流通部の最外周領域から第1媒体を導出する第1媒体導出部と、第1流通部の外周側領域及び内周側領域を筐体の径方向に連通させる連通部と、を備え、第1流通部と第2流通部との間には、蓄熱材が充填された蓄熱材充填部が配置されており、供給管は、蓄熱材充填部と貯蔵器とを接続することを特徴とする。
このような化学蓄熱装置の反応器においては、筐体の一端から第2流通部に導入された第2媒体は、第2流通部を流通して筐体の他端から導出される。一方、第1媒体導入部から第1流通部の最外周領域に導入された第1媒体は、第1流通部を流通して第1流通部の最外周領域から第1媒体導出部に導出される。このとき、第1媒体は、連通部を通って第1流通部の外周側領域から内周側領域へと筐体の径方向に流れる。従って、第1媒体が筐体の径方向中心部に向かってスムーズに供給されるようになる。これにより、第1媒体と第2媒体との熱交換効率が向上する。
本発明によれば、熱交換効率を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。 図1に示された熱交換器の断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2〜図4に示された区画壁を形成する板状部材の斜視図である。 図2及び図4に示された区画壁の接合部分の拡大斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る熱交換器を示す断面図であり、図2に対応する図である。 図7のVIII−VIII線断面図であり、図4に対応する図である。 本発明の第3実施形態に係る熱交換器を示す断面図であり、図2に対応する図である。 図9のX−X線断面図であり、図4に対応する図である。 本発明の第4実施形態に係る熱交換器を有する化学蓄熱装置を備えたエンジンオイル循環システムを排気浄化システムと共に示す概略構成図である。 図11に示された反応器(熱交換器)を示す断面図であり、図2に対応する図である。 図12のXIII−XIII線断面図であり、図3に対応する図である。 本発明の第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示す断面図であり、図3に対応する図である。 本発明の第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示す断面図であり、図4に対応する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。図1において、本実施形態の熱交換器1は、エンジンを備えた車両に搭載されている。熱交換器1は、熱交換コア部2と、この熱交換コア部2の両端側に配置されたヘッダ部3A,3Bと、ヘッダ部3Aに取り付けられたオイル導入管4と、ヘッダ部3Bに取り付けられたオイル導出管5とを備えている。なお、本実施形態では、オイル導入管4及びオイル導出管5の本数は1本ずつであるが、特にそれには限定されず、オイル導入管4及びオイル導出管5の本数は複数本ずつであってもよい。
図2は、熱交換器1の断面図である。図3は、図2のIII−III線断面図である。図4は、図2のIV−IV線断面図である。図2〜図4において、熱交換コア部2は、円筒状の筐体6を有している。ヘッダ部3A,3Bは、円筒状の筐体7A,7Bをそれぞれ有している。筐体7A,7Bは、筐体6の軸方向の両端側に配置されている。筐体7A,7Bは、筐体6と一体化されている。筐体6及び筐体7A,7Bの内周面は一致している。筐体7A,7Bの厚みは、筐体6の厚みよりも大きい。以下、一体化された筐体6及び筐体7A,7Bを筐体8という。
筐体8の内部には、区画壁9〜11が配置されている。区画壁9は、筐体8の内周面に接触するように配置されている。区画壁10,11は、筐体8の軸方向から見て渦巻状に配置されている。区画壁9〜11は、エンジンオイル(第1媒体)が流通する第1流通部12と排気ガス(第2媒体)が流通する第2流通部13とを区画形成する。
エンジンオイルは、オイル導入管4から筐体8内に導入されて、第1流通部12を流通し、オイル導出管5に導出される。排気ガスは、筐体8の一端(筐体7Bの外側端)から筐体8内に導入されて、第2流通部13を流通し、筐体8の他端(筐体7Aの外側端)から導出される。
区画壁10,11間の空間は、第1流通部12及び第2流通部13を構成している。区画壁9,10間の空間は、第1流通部12の最外周領域を構成している。第1流通部12及び第2流通部13は、筐体8の径方向に沿って交互に配置されている。このように第1流通部12及び第2流通部13を画成する区画壁9〜11は、排気ガス及びエンジンオイルに対して耐腐食性を有する金属材料(例えばステンレス鋼)からなっている。
区画壁10は、ロール部14と、このロール部14に対して筐体8の径方向外側に突出した複数の突部15とを有している。突部15の反対側は、筐体8の径方向外側に窪んだ凹部16となっている。区画壁11は、ロール部17と、このロール部17に対して筐体8の径方向外側に突出した複数の突部18とを有している。突部18の反対側は、筐体8の径方向外側に窪んだ凹部19となっている。突部15,18は、熱交換コア部2に配置されている。なお、突部15,18の形状は、例えば半球状、円錐状、円柱状、多角錐状または多角柱状等である。
区画壁10,11は、図5に示されるように、複数の突部20(突部15,18に相当)が設けられた平坦状の板状部材21をロール状に巻くことによって形成されている。これにより、第1流通部12及び第2流通部13を容易に形成することができる。このとき、区画壁10の突部15の先端は、区画壁11のロール部17及び区画壁9に接触している。区画壁11の突部18の先端は、区画壁10のロール部14に接触している。これにより、第1流通部12及び第2流通部13の径方向ピッチを揃えることができる。
区画壁10の径方向外側端は、区画壁11に接合されている。区画壁11の径方向外側端は、区画壁9に接合されている。区画壁10,11の径方向内側端同士は、筐体8の径方向中心部において接合されている。また、区画壁9,10の軸方向一端同士は接合されていると共に、区画壁9,10の軸方向他端同士は接合されている。区画壁10,11の軸方向一端同士は接合されていると共に、区画壁10,11の軸方向他端同士は接合されている。従って、第1流通部12は、ヘッダ部3A,3Bにおいて袋閉じされた状態となっている。これにより、第1流通部12及び第2流通部13が連通されることがないため、エンジンオイルと排気ガスとが混ざり合うことはない。なお、区画壁9〜11の接合は、例えば溶接またはロウ材により行われる。
ヘッダ部3A,3Bには、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に連通させる複数の連通部22が配置されている。連通部22は、筐体8の径方向に隣り合う区画壁10,11の一部同士が接合された接合部分23を有している。接合部分23は、図6にも示されるように、区画壁10,11の一部同士が区画壁10,11の対向方向に互いに窪んだ状態で、例えばロウ材により区画壁10,11の一部同士が接合されている。
各接合部分23には、筐体8の径方向に貫通した断面円形の貫通孔24が設けられている。各貫通孔24の断面積は等しい。第1流通部12の外周側に位置する貫通孔24の数は、第1流通部12の内周側に位置する貫通孔24の数よりも多くなっている。従って、第1流通部12の外周側に位置する貫通孔24の総断面積は、第1流通部12の内周側に位置する貫通孔24の総断面積よりも大きくなっている。貫通孔24の総断面積は、少なくとも1つの貫通孔24の断面積の合計である。なお、貫通孔24の断面積は、筐体8の径方向から見たときの断面積である。
例えば、第1流通部12の外周側に位置する貫通孔24の総断面積と第1流通部12の内周側に位置する貫通孔24の総断面積との比率は、第1流通部12の外周側領域の体積と第1流通部12の内周側領域の体積との比率と略等しくなっている。これにより、第1流通部12の外周側領域における単位体積当たりのエンジンオイルの流量と第1流通部12の内周側領域における単位体積当たりのエンジンオイルの流量とが略等しくなる。
オイル導入管4は、ヘッダ部3Aの筐体7Aに固定されている。オイル導入管4は、筐体7A及び区画壁9を筐体7Aの径方向に貫通している。オイル導入管4は、第1流通部12の最外周領域にエンジンオイル(第1媒体)を導入する第1媒体導入部を構成している。オイル導出管5は、ヘッダ部3Bの筐体7Bに固定されている。オイル導出管5は、筐体7B及び区画壁9を筐体7Bの径方向に貫通している。オイル導出管5は、第1流通部12の最外周領域からエンジンオイルを導出する第1媒体導出部を構成している。
オイル導入管4から第1流通部12の最外周領域に導入されたエンジンオイルは、第1流通部12に沿って筐体8の径方向中心部に向かって流れる。このとき、エンジンオイルは、複数の貫通孔24を通って第1流通部12の外周側領域から内周側領域へと筐体8の径方向に流れる。そして、第1流通部12の各周のエンジンオイルは、第1流通部12をヘッダ部3Aからヘッダ部3Bに向かって流れる。そして、ヘッダ部3Bに達したエンジンオイルは、第1流通部12の最外周領域からオイル導出管5に導出される。
筐体7Bには、排気ガス導入管(図示せず)が連結されている。筐体7Aには、排気ガス導出管(図示せず)が連結されている。排気ガス導入管から第2流通部13に導入された排気ガスは、第2流通部13をヘッダ部3Bからヘッダ部3Aに向かって流れる。つまり、排気ガスは、筐体8の軸方向に沿ってエンジンオイルとは逆の方向に流れる。そして、ヘッダ部3Aに達した排気ガスは、第2流通部13から排気ガス導出管に導出される。
第1流通部12を流れるエンジンオイルと第2流通部13を流れる排気ガスとは、熱交換コア部2において熱交換される。このとき、排気ガスの熱によってエンジンオイルが加熱される。
以上のように本実施形態にあっては、筐体8の一端から第2流通部13に導入された排気ガスは、第2流通部13を流通して筐体8の他端から導出される。一方、オイル導入管4から第1流通部12の最外周領域に導入されたエンジンオイルは、第1流通部12を流通して第1流通部12の最外周領域からオイル導出管5に導出される。このとき、エンジンオイルは、複数の連通部22を通って第1流通部12の外周側領域から内周側領域へと筐体8の径方向に流れる。従って、エンジンオイルが第1流通部12を流通する際の圧力損失が小さくなるため、エンジンオイルが筐体8の径方向中心部に向かってスムーズに供給されるようになる。これにより、エンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率が向上する。
また、本実施形態では、連通部22は、筐体8の径方向に隣り合う区画壁10,11の一部同士が接合された接合部分23を有し、接合部分23には、筐体8の径方向に貫通した貫通孔24が設けられている。従って、特別な部品を使用しなくても、簡単な構成で、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に連通させることができる。
また、本実施形態では、第1流通部12の外周側に位置する貫通孔24の総断面積は、第1流通部12の内周側に位置する貫通孔24の総断面積よりも大きい。従って、第1流通部12の外周側領域と第1流通部12の内周側領域とにおける単位体積当たりのエンジンオイルの流量差が少なくなる。これにより、エンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率が更に向上する。
また、本実施形態では、区画壁10には、筐体8の径方向に突出した複数の突部15が設けられ、区画壁11には、筐体8の径方向に突出した複数の突部18が設けられている。従って、エンジンオイルが第1流通部12を流れる際に、突部15によりエンジンオイルが散乱するため、第1流通部12におけるエンジンオイルの流量が均等化される。また、排気ガスが第2流通部13を流れる際に、突部18により排気ガスが散乱するため、第2流通部13における排気ガスの流量が均等化される。以上により、エンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率が一層向上する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器を示す断面図であり、図2に対応する図である。図8は、図7のVIII−VIII線断面図であり、図4に対応する図である。図7及び図8において、本実施形態の熱交換器1は、第1流通部12に配置され、エンジンオイルの流れを阻害する複数の壁部30を有している。その他の構成は、上記の第1実施形態と同様である。
壁部30は、区画壁10における熱交換コア部2とヘッダ部3Aとの境界付近に取り付けられている。壁部30は、区画壁9〜11と同じ金属材料からなっている。なお、壁部30は、区画壁9,11に取り付けられていてもよいし、第1流通部12において互いに筐体8の径方向に対向するように区画壁9〜11に取り付けられていてもよい。また、壁部30は、区画壁10を折り曲げて形成されていてもよい。
本実施形態においては、エンジンオイルが第1流通部12を流れる際に、壁部30によりエンジンオイルが散乱するため、第1流通部12におけるエンジンオイルの流量が均等化される。これにより、エンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率がより一層向上する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る熱交換器を示す断面図であり、図2に対応する図である。図10は、図9のX−X線断面図であり、図4に対応する図である。図9及び図10において、本実施形態の熱交換器1は、ヘッダ部3Aに取り付けられたオイル導入管40と、ヘッダ部3Bに取り付けられたオイル導出管41とを備えている。
オイル導入管40及びオイル導出管41は、筐体8の径方向に延びるように配置されている。オイル導入管40は、ヘッダ部3A及び区画壁9〜11を貫通した状態でヘッダ部3Aに固定されている。オイル導出管41は、ヘッダ部3B及び区画壁9〜11を貫通した状態でヘッダ部3Bに固定されている。
オイル導入管40は、第1流通部12の最外周領域にエンジンオイルを導入する第1媒体導入部42と、この第1媒体導入部42よりも筐体8の径方向中心側に配置され、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に連通させる連通部43とを有している。連通部43は、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に接続する管路である。オイル導入管40における第1流通部12の各周に対応する位置には、オイル導入管40内と第1流通部12とを連通させる断面円形の連通口44がそれぞれ設けられている。
オイル導出管41は、第1流通部12の最外周領域からエンジンオイルを導出する第1媒体導出部45と、この第1媒体導出部45よりも筐体8の径方向中心側に配置され、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に連通させる連通部46とを有している。連通部46は、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に接続する管路である。オイル導出管41における第1流通部12の各周に対応する位置には、オイル導出管41内と第1流通部12とを連通させる断面円形の連通口47がそれぞれ設けられている。
オイル導入管40の第1媒体導入部42から連通口44を通って第1流通部12の最外周領域に導入されたエンジンオイルは、第1流通部12に沿って筐体8の径方向中心部に向かって流れる。このとき、エンジンオイルは、連通口44、連通部43及び連通口44を通って第1流通部12の外周側領域から内周側領域へと筐体8の径方向に流れる。そして、第1流通部12の各周のエンジンオイルは、第1流通部12をヘッダ部3Aからヘッダ部3Bに向かって流れる。そして、ヘッダ部3Bに達したエンジンオイルは、第1流通部12から連通口47を通ってオイル導出管41に導出される。
このように本実施形態においては、第1媒体導入部42から第1流通部12の最外周領域に導入されたエンジンオイルは、連通部43を通って第1流通部12の外周側領域から内周側領域へと筐体8の径方向に流れる。従って、エンジンオイルが第1流通部12を流通する際の圧力損失が小さくなるため、エンジンオイルが筐体8の径方向中心部に向かってスムーズに供給されるようになる。これにより、エンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率が向上する。
また、本実施形態では、連通部43,46は、第1流通部12の外周側領域及び内周側領域を筐体8の径方向に接続する管路である。従って、連通部43を第1媒体導入部42と一体で作り、連通部46を第1媒体導出部45と一体で作ることができる。
なお、本実施形態では、オイル導入管40及びオイル導出管41の本数は1本ずつであるが、特にそれには限られず、オイル導入管40及びオイル導出管41の本数は複数本ずつであってもよい。この場合には、複数本のオイル導入管40及び複数本のオイル導出管41は、何れも筐体8の径方向に延びるように放射状に配置される。
図11は、本発明の第4実施形態に係る熱交換器を有する化学蓄熱装置を備えたエンジンオイル循環システムを排気浄化システムと共に示す概略構成図である。図11において、排気浄化システム50及びエンジンオイル循環システム51は、エンジン52を具備した車両に搭載されている。
排気浄化システム50は、エンジン52から排出された排気ガスに含まれる有害物質(環境汚染物質)を浄化する。排気浄化システム50は、排気ガスが流れる排気管53と、この排気管53に配設されたDOC54とを備えている。DOC54は、排気ガス中に含まれるHC及びCO等を酸化して浄化するディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst)である。排気管53におけるDOC54よりも下流側には、排気ガスが流れるバイパス管路55が分岐して接続されている。
エンジンオイル循環システム51は、エンジン52内の各部を潤滑するためのエンジンオイルを循環させる。エンジンオイル循環システム51は、エンジンオイルが流れるオイル循環管路56と、このオイル循環管路56に配設されたオイルパン57及びオイルポンプ58とを備えている。オイルパン57は、エンジンオイルを溜めておく。オイルポンプ58は、オイルパン57に溜められたエンジンオイルを吸い上げてエンジン52に向けて圧送する。エンジン52内の各部を流れたエンジンオイルは、オイルパン57に戻る。
また、エンジンオイル循環システム51は、エンジンオイルを加熱(暖機)する化学蓄熱装置60を備えている。化学蓄熱装置60は、電力等の外部エネルギーを必要とせずに、エンジンオイルを加熱する装置である。化学蓄熱装置60は、本実施形態の熱交換器である反応器61と、吸着器62と、供給管63とを備えている。
反応器61は、オイル循環管路56及びバイパス管路55にそれぞれ接続されている。オイル循環管路56は、オイルパン57と反応器61とを接続する上記のオイル導入管4と、反応器61とエンジン52とを接続する上記のオイル導出管5とを有している。オイルポンプ58は、オイル導入管4に配設されている。バイパス管路55は、排気管53と反応器61とを接続する排気ガス導入管64及び排気ガス導出管65を有している。排気ガス導出管65は、排気ガス導入管64よりも排気管53の下流側に接続されている。排気ガス導出管65には、排気ガスの流路を開閉する開閉弁66が配設されている。
図12は、反応器61(熱交換器)を示す断面図であり、図2に対応する図である。図13は、図12のXIII−XIII線断面図であり、図3に対応する図である。図12及び図13において、反応器61は、上記の筐体8を備えている。筐体8の内部には、上述した熱交換器1と同様に、第1流通部12と第2流通部13とを画成する区画壁9〜11が配置されている。
また、筐体8の内部における第1流通部12と第2流通部13との間には、蓄熱材67が充填された蓄熱材充填部68が配置されている。蓄熱材充填部68は、上記の区画壁10,11と2つの区画壁69とによって形成されている。区画壁69は、筐体8の軸方向から見て渦巻状に配置されている。区画壁69は、区画壁10,11と同じ金属材料からなっている。区画壁69は、ヘッダ部3A,3Bにおいて区画壁10,11に接合されている。蓄熱材67は、区画壁10,11と区画壁69とにより画成された空間に収容されている。
蓄熱材67は、反応媒体であるアンモニア(NH)が供給されると、NHとの化学反応により発熱すると共に、排気ガスが供給されると、排気ガスの熱によりNHが脱離する材料である。蓄熱材67としては、組成式MaXzで表されるハロゲン化物が用いられる。Mは、LiまたはNa等のアルカリ金属、Mg、CaまたはSr等のアルカリ土類金属、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZn等の遷移金属、Al、若しくはこれらの金属の組み合わせから選択された1つ以上のカチオンである。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオン、モリブデン酸イオンまたはリン酸イオンから選択された1つ以上のアニオンである。Xは、例えばCl、BrまたはI等である。aは、塩分子1つあたりのカチオンの数である。zは、塩分子1つあたりのアニオンの数である。
蓄熱材充填部68には、供給管63の一端部が接続されている。供給管63の一端部は、筐体6及び区画壁9〜10を貫通して蓄熱材67と接続されている。反応器61の他の構成は、上記の第1実施形態における熱交換器1と同様である。
図11に戻り、吸着器62は、NHを貯蔵する貯蔵器である。吸着器62は、発熱時にNHを物理吸着すると共に、吸熱時にNHを脱離する吸着材を有している。吸着材としては、活性炭、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、ナノカーボンまたはゼオライト等が用いられる。
供給管63は、反応器61の蓄熱材充填部68と吸着器62とを接続している。供給管63は、吸着器62と蓄熱材充填部68との間でNHが双方向に流れる配管である。供給管63は、NHに対して耐腐食性を有する金属材料(例えばステンレス鋼)からなっている。供給管63には、NHの流路を開閉する開閉弁70が配設されている。
以上のような化学蓄熱装置60において、エンジン52の始動直後は、開閉弁66が開いている。このため、エンジンオイルが反応器61の第1流通部12を流れると共に、排気ガスが反応器61の第2流通部13を流れる。
そのような状態で、開閉弁70が開くと、吸着器62と反応器61の蓄熱材充填部68との圧力差によって、吸着器62の吸着材からNHが脱離し、そのNHが供給管63を通って蓄熱材充填部68に供給される。そして、蓄熱材充填部68の蓄熱材67とNHとが化学反応(化学吸着)して熱が発生する。つまり、下記の反応式(A)における左辺から右辺への反応(発熱反応)が起こる。そして、蓄熱材67から発生した熱が第1流通部12を流れるエンジンオイルに伝わり、エンジンオイルが加熱される。
蓄熱材+NH ⇔ 蓄熱材(NH)+熱 …(A)
排気ガスの温度が上昇すると、第2流通部13を流れる排気ガスの熱が蓄熱材充填部68の蓄熱材67に与えられることで、蓄熱材67からNHが脱離する。つまり、上記の反応式(A)における右辺から左辺への反応(再生反応)が起こる。すると、蓄熱材充填部68と吸着器62との圧力差によって、NHが供給管63を通って吸着器62に戻り、吸着器62の吸着材に物理吸着される。これにより、NHが吸着器62に回収されることとなる。
また、第2流通部13を流れる排気ガスの熱が第1流通部12を流れるエンジンオイルに伝わり、エンジンオイルが更に加熱される。暖められたエンジンオイルは、オイル導出管5を通ってエンジン52に送られる。
以上のように本実施形態においては、反応器61の筐体8の内部における第1流通部12と第2流通部13との間には、蓄熱材67が充填された蓄熱材充填部68が配置されている。従って、上記の第1実施形態と同様にエンジンオイルと排気ガスとの熱交換効率を向上させることに加え、NHと蓄熱材67との化学反応により発生した熱によってエンジンオイルを加熱することができる。
なお、本実施形態では、反応媒体であるNHと組成式MaXzで表される蓄熱材67とを化学反応させて熱を発生させているが、反応媒体としては、特にNHには限られず、COまたはHO等を使用してもよい。反応媒体としてCOを使用する場合、COと化学反応させる蓄熱材67としては、MgO、CaO、BaO、Ca(OH)、Mg(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO、FeまたはFe等が用いられる。反応媒体としてHOを使用する場合、HOと化学反応させる蓄熱材67としては、CaO、MnO、CuOまたはAl等が用いられる。
以上、本発明の実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、エンジンオイルが流れる第1流通部12と排気ガスが流れる第2流通部13とを区画形成する区画壁10,11は、何れも渦巻状に配置されているが、特にその形態には限られない。
図14は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示す断面図であり、図3に対応する図である。図15は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示す断面図であり、図4に対応する図である。
図14及び図15において、本変形例の熱交換器80は、筐体8の内部に筐体8の外周側から内周側に向けて同心円状に配置され、第1流通部12と第2流通部13とを区画形成する区画壁81〜86を備えている。第1流通部12及び第2流通部13は、筐体8の径方向に沿って交互に配置されている。区画壁82〜86における熱交換コア部2の領域には、筐体8の径方向外側に突出した複数の突部87がそれぞれ設けられている。区画壁82〜85におけるヘッダ部3A,3Bの領域には、上記の連通部22が設けられている。
また、上記実施形態では、排気ガスは、筐体8の一端から導入されると共に筐体8の他端から導出され、オイル導入管4は、筐体8の他端側に取り付けられ、オイル導出管5は、筐体8の一端側に取り付けられているが、特にその形態には限られない。排気ガスは、筐体8の一端から導入されると共に筐体8の他端から導出され、オイル導入管4は、筐体8の一端側に取り付けられ、オイル導出管5は、筐体8の他端側に取り付けられてもよい。この場合には、エンジンオイル及び排気ガスは、筐体8の軸方向に沿って同じ方向に流れることとなる。
また、上記実施形態では、第1流通部12と第2流通部13とを区画形成する区画壁10,11に複数の突部15,18がそれぞれ設けられているが、特にその形態には限られず、例えば第1流通部12及び第2流通部13にフィンが配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、第1流通部12を流れる第1媒体がエンジンオイルであり、第2流通部13を流れる第2媒体が排気ガスであるが、特にその形態には限られず、例えば第1媒体は冷却水等であってもよく、第2媒体は空気等であってもよい。
さらに、上記第4実施形態では、熱交換器が化学蓄熱装置60の反応器61として使用されているが、本発明の熱交換器は、例えば潜熱蓄熱装置等にも適用可能である。
1…熱交換器、4…オイル導入管(第1媒体導入部)、5…オイル導出管(第1媒体導出部)、8…筐体、9〜11…区画壁、12…第1流通部、13…第2流通部、15,18…突部、22…連通部、23…接合部分、24…貫通孔、30…壁部、42…第1媒体導入部、43…連通部、45…第1媒体導出部、46…連通部、60…化学蓄熱装置、61…反応器(熱交換器)、62…吸着器(貯蔵器)、63…供給管、67…蓄熱材、68…蓄熱材充填部、80…熱交換器、81〜86…区画壁、87…突部。

Claims (8)

  1. 第1媒体と第2媒体とを熱交換する熱交換器において、
    一端から前記第2媒体が導入されると共に他端から前記第2媒体が導出される円筒状の筐体と、
    前記筐体の内部に渦巻状または同心円状に配置され、前記第1媒体が流通する第1流通部と前記第2媒体が流通する第2流通部とを区画形成する複数の区画壁と、
    前記筐体の一端及び他端の一方側に取り付けられ、前記第1流通部の最外周領域に前記第1媒体を導入する第1媒体導入部と、
    前記筐体の一端及び他端の他方側に取り付けられ、前記第1流通部の最外周領域から前記第1媒体を導出する第1媒体導出部と、
    前記第1流通部の外周側領域及び内周側領域を前記筐体の径方向に連通させる連通部と、を備えることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記連通部は、前記筐体の径方向に隣り合う前記区画壁の一部同士が接合された接合部分を有し、
    前記接合部分には、前記筐体の径方向に貫通した貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記第1流通部の外周側に位置する前記貫通孔の総断面積は、前記第1流通部の内周側に位置する前記貫通孔の総断面積よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の熱交換器。
  4. 前記連通部は、前記第1流通部の外周側領域及び内周側領域を前記筐体の径方向に接続する管路であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  5. 前記区画壁には、前記筐体の径方向に突出した複数の突部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の熱交換器。
  6. 前記第1流通部には、前記第1媒体の流れを阻害する壁部が配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の熱交換器。
  7. 前記第1流通部と前記第2流通部との間には、蓄熱材が充填された蓄熱材充填部が配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項記載の熱交換器。
  8. 第1媒体を加熱する化学蓄熱装置において、
    反応媒体との化学反応により発熱すると共に第2媒体の熱により前記反応媒体が脱離する蓄熱材を含む反応器と、
    前記反応媒体を貯蔵する貯蔵器と、
    前記反応器と前記貯蔵器とを接続し、前記反応媒体が流れる供給管と、を具備し、
    前記反応器は、
    一端から前記第2媒体が導入されると共に他端から前記第2媒体が導出される円筒状の筐体と、
    前記筐体の内部に渦巻状または同心円状に配置され、前記第1媒体が流通する第1流通部と前記第2媒体が流通する第2流通部とを区画形成する複数の区画壁と、
    前記筐体の一端及び他端の一方側に取り付けられ、前記第1流通部の最外周領域に前記第1媒体を導入する第1媒体導入部と、
    前記筐体の一端及び他端の他方側に取り付けられ、前記第1流通部の最外周領域から前記第1媒体を導出する第1媒体導出部と、
    前記第1流通部の外周側領域及び内周側領域を前記筐体の径方向に連通させる連通部と、
    を備え、
    前記第1流通部と前記第2流通部との間には、前記蓄熱材が充填された蓄熱材充填部が配置されており、
    前記供給管は、前記蓄熱材充填部と前記貯蔵器とを接続することを特徴とする化学蓄熱装置。
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