JP2016023907A - 化学蓄熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の反応部が熱交換部を介して積層された積層体を取り囲む部材を薄肉化することができる化学蓄熱装置を提供する。
【解決手段】化学蓄熱装置は、反応器付き熱交換器4と、反応器付き熱交換器4と接続され、NHを吸着する吸着器とを備えている。反応器付き熱交換器4は、反応部15A〜15Jと排気ガス流路を形成する熱交換部16A〜16Iとが交互に積層されてなる積層体17と、積層体17を取り囲むように設けられた円筒状の配管とを備えている。積層体17は、反応部15A〜15Jと熱交換部16A〜16Iとが円筒状の配管に沿って交互に積層されるように構成されている。反応部15A〜15Jは、偏平状のチューブ24と、チューブ24内に収容され、NHとの化学反応により発熱すると共に排熱の蓄熱によりNHを脱離する反応材25を含んでいる。
【選択図】図3

Description

本発明は、排気ガス等の熱媒体を加熱する化学蓄熱装置に関するものである。
従来の化学蓄熱装置としては、例えば特許文献1に記載されている装置が知られている。特許文献1に記載の化学蓄熱装置は、反応媒体を貯蔵する貯蔵容器と、この貯蔵容器と連通路を介して接続された反応器とを備えている。反応器は、フィルム状の部材で形成された矩形状の反応容器を有している。反応容器の内部には、反応媒体と可逆的に反応する化学蓄熱材から形成された蓄熱部材が配設されている。反応容器は、波形のフィンを介して複数積層されている。
特許第5381861号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、貯蔵容器から反応容器(反応部)の蓄熱部材に反応媒体が供給されると、化学蓄熱材と反応媒体との化学反応により熱が発生すると共に、化学蓄熱材の体積が膨張する。そして、反応容器の内壁には、化学蓄熱材の体積膨張に伴う圧力(内圧)が作用する。このとき、蓄熱部材を収容する反応容器をフィルム状の部材のみで構成すると、反応容器の内壁に作用する圧力により反応容器が変形したり損傷したりする虞がある。このため、特許文献1に記載のような、フィルム状の部材からなる矩形状の反応容器がフィン(熱交換部)を介して複数個積層された略直方体状の積層体においては、その積層体の周囲に金属プレート等の肉厚の部材を配置して、積層体を取り囲むことで、化学蓄熱材の体積膨張による容器変形を抑える必要がある。その結果、化学蓄熱装置の大型化、重量増加、コストアップにつながってしまう。
本発明の目的は、複数の反応部が熱交換部を介して積層された積層体を取り囲む部材を薄肉化することができる化学蓄熱装置を提供することである。
本発明は、熱媒体を加熱する化学蓄熱装置であって、複数の反応部と、複数の反応部と協働して積層体を構成し、熱媒体を流通させる熱媒体流路を形成すると共に熱媒体と反応部との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、積層体を取り囲むように設けられた円筒状の管部材と、反応媒体を貯蔵する貯蔵部と、複数の反応部と貯蔵部との間で反応媒体を流通させる反応媒体流路とを備え、反応部は、偏平状のチューブと、チューブ内に収容され、反応媒体との化学反応により発熱すると共に蓄熱により反応媒体を脱離する化学蓄熱材とを有し、積層体は、反応部と熱交換部とが円筒状の管部材に沿って交互に積層されるように構成されていることを特徴とする。
このような本発明の化学蓄熱装置では、貯蔵部から各反応部に反応媒体流路を通って反応媒体が供給されると、反応媒体と化学蓄熱材とが化学反応して熱が発生し、その熱により各熱交換部を流通する熱媒体が加熱される。このとき、反応媒体の吸蔵により化学蓄熱材が体積膨張するため、反応部のチューブに圧力(内圧)が作用する。そこで、本発明においては、複数の反応部及び複数の熱交換部から構成される積層体を円筒状の管部材により取り囲むと共に、反応部と熱交換部とを円筒状の管部材に沿って交互に積層している。従って、化学蓄熱材の体積膨張に伴う各反応部のチューブに作用する圧力を、円筒状の管部材の内周面で受けることになる。ここで、管部材の形状を円筒状(断面円形状)とした場合には、管部材の形状を断面矩形状とした場合に比べて、耐圧性が高くなる。これにより、複数の反応部が熱交換部を介して積層された積層体を取り囲む管部材を薄肉化することができる。
チューブにおける熱交換部と対向しない一端部には、開口部が設けられており、チューブの開口部は、蓋部材により塞がれていてもよい。この場合には、開口部を介してチューブ内に蓄熱材を収容可能となると共に、蓋部材によってチューブ内に熱媒体が流入することが防止される。
熱交換部は、チューブにろう付けにより接合されており、蓋部材は、チューブに溶接により接合されており、熱交換部とチューブとのろう付け部分は、蓋部材とチューブとの溶接部分から離間していてもよい。この場合には、蓋部材とチューブとの溶接時に、熱交換部とチューブとのろう付け部分が溶融することが防止される。
積層体と円筒状の管部材との間には、断熱材が配置されていてもよい。この場合には、各反応部の化学蓄熱材から発生した熱が管部材の外部に逃げることが防止される。
本発明によれば、複数の反応部が熱交換部を介して積層された積層体を取り囲む部材を薄肉化することができる。これにより、化学蓄熱装置の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
本発明に係る化学蓄熱装置の一実施形態を備えた排気浄化システムを示す概略構成図である。 図1に示した反応器付き熱交換器の斜視図である。 図2に示した反応器付き熱交換器の一部の分解斜視図である。 図2に示した反応器付き熱交換器を製作する工程を示す斜視図である。 図2に示した反応器付き熱交換器を製作する工程を示す斜視図である。 比較例として、従来の反応器付き熱交換器の一つを示す斜視図である。 図3〜図5に示した積層体の変形例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る化学蓄熱装置の一実施形態を備えた排気浄化システムを示す概略構成図である。同図において、排気浄化システム1は、車両のディーゼルエンジン2(以下、単にエンジン2という)の排気系に設けられ、エンジン2から排出される熱媒体である排気ガスに含まれる有害物質(環境汚染物質)を浄化するシステムである。
排気浄化システム1は、エンジン2と接続され、排気ガスが流れる排気通路3と、排気通路3の途中に配設された反応器付き熱交換器4、ディーゼル酸化触媒(DOC:DieselOxidation Catalyst)5、ディーゼル排気微粒子除去フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)6、選択還元触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)7及びアンモニアスリップ触媒(ASC:Ammonia Slip Catalyst)8とを備えている。反応器付き熱交換器4、DOC5、DPF6、SCR7及びASC8は、排気通路3において排気ガスの流れ方向の上流側(排気上流側)から排気ガスの流れ方向の下流側(排気下流側)に向けて順に配置されている。
反応器付き熱交換器4については、後で詳述する。DOC5は、排気ガス中に含まれるHC及びCO等を酸化して浄化する触媒である。DPF6は、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して取り除くフィルタである。SCR7は、尿素またはアンモニア(NH)によって、排気ガス中に含まれるNOxを還元して浄化する触媒である。ASC8は、SCR7をすり抜けたNHを酸化する触媒である。
また、排気浄化システム1は、排気通路3を流れる排気ガスを加熱する化学蓄熱装置10を備えている。化学蓄熱装置10は、通常は排気ガスの熱(排熱)を蓄えておき、必要なときに排熱を使用することにより、エネルギーレスで排気ガスを加熱する装置である。
化学蓄熱装置10は、上記の反応器付き熱交換器4と、この反応器付き熱交換器4とNH供給管11を介してNH(アンモニア)を流通可能に接続された吸着器12とを備えている。NH供給管11には、反応器付き熱交換器4と吸着器12との間の流路を開閉させるバルブ13が設けられている。
吸着器12は、気体の反応媒体であるNHの物理吸着による保持及び脱離が可能な吸着材14を含んでいる。吸着材14としては、活性炭、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、ナノカーボン及びゼオライト等の何れかが用いられる。吸着器12は、NHを吸着材14に物理吸着させることで、NHを貯蔵する貯蔵部である。
図2は、反応器付き熱交換器4の斜視図である。図3は、図2に示した反応器付き熱交換器4の一部の分解斜視図である。
各図において、反応器付き熱交換器4は、反応部15A〜15Jと熱交換部16A〜16Iとが交互に積層されてなる略円柱状の積層体17と、この積層体17を取り囲むように設けられた円筒状の配管(管部材)18とを備えている。配管18の形状は、真円筒状(断面真円形状)である。配管18は、例えばステンレス鋼等で形成されている。
なお、以下の説明では、反応部15A〜15Jを単に反応部15ということがあり、熱交換部16A〜16Iを単に熱交換部16ということがある。また、配管18の排気上流側(エンジン2側)の端部は、排気通路3の一部を形成する排気管20とテーパ管21を介して連結され、配管18の排気下流側(DOC5側)の端部は、排気通路3の一部を形成する排気管22とテーパ管23を介して連結される(図1参照)。
反応部15は、偏平状のチューブ24と、このチューブ24内に収容され、NHとの化学反応により発熱すると共に排熱の蓄熱によりNHを脱離する反応材(化学蓄熱材)25とを有している。チューブ24における熱交換部16と対向しない部分である配管18の軸方向の一端部(排気上流側端部)には、開口部24aが設けられている。チューブ24は、熱伝導性が高く且つNHに対する耐腐食性を有する金属材料(例えばステンレス鋼等)で形成されている。
反応材25としては、ハロゲン化物のMXaという組成を持つ材料が用いられる。ここで、Mは、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の遷移金属である。Xは、Cl、Br、I等である。aは、2〜3である。
反応部15A〜15Jは、積層体17の積層方向の一方側から他方側に向けて順に配置されている。反応部15A〜15Jにおける積層体17の積層方向及び配管18の軸方向に垂直な方向の長さ(以下、単に反応部15A〜15Jの長さ)は、円筒状の配管18に沿うように異なっている。具体的には、積層体17の積層方向の中央側から端側に向けて、反応部15A〜15Jの長さが短くなっている。このとき、反応部15A,15Jの長さは同じであり、反応部15B,15Iの長さは同じであり、反応部15C,15Hの長さは同じであり、反応部15D,15Gの長さは同じであり、反応部15E,15Fの長さは同じである。
積層体17の排気上流側の端部付近には、NH流路用パイプ26が取り付けられている。NH流路用パイプ26は、反応部15A〜15Jと繋がるように積層体17の積層方向に延びている。そして、NH流路用パイプ26の一部は、積層体17から突出し、上記のNH供給管11と連結されている。NH流路用パイプ26は、反応部15A〜15Jのチューブ24にろう付けにより接合されている。なお、NH流路用パイプ26及びNH供給管11は、反応部15A〜15Jと吸着器12との間でNHを流通させる反応媒体流路を構成している。
NH流路用パイプ26は、反応部15A〜15Jにおけるチューブ24の開口部24a側の端面から排気下流側に離間するように配置されている。そして、NH流路用パイプ26における反応部15A〜15Jに対応する位置には、連通孔(図示せず)が形成されている。これにより、NH流路用パイプ26内から反応部15A〜15Jの反応材25にNHが供給されると共に、反応部15A〜15Jの反応材25からNH流路用パイプ26内にNHが供給される。なお、NH流路用パイプ26は、特に積層体17の排気上流側の端部付近には限られず、積層体17の排気下流側に設けられていてもよい。
反応部15A〜15Jのチューブ24の開口部24aは、蓋部材27によって塞がれている。蓋部材27は、反応部15A〜15Jのチューブ24の開口部24aに対応する形状を有する複数の蓋本体部28と、これらの蓋本体部28を連結する連結部29とを有している。連結部29は、各蓋本体部28の中央部同士を繋いでいる。蓋部材27は、熱交換部16A〜16Iへの排気ガスの流入を許容するように構成されている。蓋部材27は、チューブ24と同じ金属材料で形成されている。蓋部材27は、チューブ24の開口部24a側の端面に溶接により接合されている。なお、溶接手段としては、例えばレーザ溶接が用いられる。
このような蓋部材27を設けることにより、反応部15A〜15Jのチューブ24内への排気ガスの流入を防止することができる。また、複数の蓋本体部28と連結部29とが一体化された1つの蓋部材27を使用するので、反応部15A〜15Jのチューブ24の開口部24aに対する蓋部材27の位置合わせを容易に行うことができる。これにより、反応部15A〜15Jのチューブ24と蓋部材27との溶接が行いやすくなる。
熱交換部16A〜16Iは、排気ガスを流通させる流路(熱媒体流路)を形成すると共に、排気ガスと反応部15A〜15Jとの間で熱交換を行う。熱交換部16A〜16Iは、例えばフィンで構成されている。熱交換部16A〜16Iは、熱伝導性が高く且つ排気ガスに対する耐腐食性を有する金属材料(例えばステンレス鋼等)で形成されている。熱交換部16A〜16Iは、反応部15A〜15Jと協働して積層体17を構成している。熱交換部16A〜16Iは、反応部15A〜15Jのうち積層体17の積層方向に隣り合う2つの反応部15の間に配置されている。
熱交換部16A〜16Iは、反応部15A〜15Jにおけるチューブ24の開口部24a側の端面から排気下流側に離間するように配置されている。つまり、熱交換部16A〜16Iの排気上流側の端は、反応部15A〜15Jにおけるチューブ24の開口部24a側の端面よりも所定距離だけ排気下流側に位置している。
熱交換部16B〜16Hは、チューブ24における積層体17の積層方向に垂直な面にろう付けにより接合されている。熱交換部16A〜16Iは、上述したようにチューブ24の開口部24a側の端面から離間している。これにより、チューブ24と熱交換部16A〜16Iとのろう付け部分は、チューブ24と蓋部材27との溶接部分から離間している。
積層体17と配管18の内周面との間には、円筒状の硬質断熱材30が介在されている。硬質断熱材30は、例えばゾノライト系ケイ酸カルシウム等を主成分としたセラミック材料で形成されている。このような硬質断熱材30を設けることにより、反応部15A〜15Jの反応材25で発生した熱が配管18の外部に逃げにくくなる。
なお、硬質断熱材30及び配管18には、積層体17を圧入する際(図5参照)にNH流路用パイプ26をガイドするための切欠部30a,18aがそれぞれ形成されている。
図4及び図5は、反応器付き熱交換器4を製作する工程を示す斜視図である。反応器付き熱交換器4を製作する場合は、まず図4(a)に示すように、反応部15A〜15Jのチューブ24と熱交換部16A〜16I及びNH流路用パイプ26とを一括ろう付けすることで、NH流路用パイプ26が取り付けられた積層体17を形成する。
次いで、図4(b)に示すように、反応部15A〜15Jのチューブ24内に開口部24aを介して反応材25を充填する。そして、図5(a)に示すように、反応部15A〜15Jにおけるチューブ24の開口部24a側の端面に蓋部材27を溶接接合することで、各チューブ24の開口部24aを塞ぐ。
次いで、図5(b)に示すように、NH流路用パイプ26が取り付けられた積層体17を硬質断熱材30内に圧入して収容することで、中間構造体31を得る。そして、その中間構造体31を配管18内に圧入して収容する。これにより、図2に示すような反応器付き熱交換器4が得られる。
以上のような排気浄化システム1において、エンジン2から排出される排気ガスの温度が低いときは、バルブ13を開くことで、吸着器12から反応器付き熱交換器4の各反応部15にNHがNH供給管11及びNH流路用パイプ26を通して供給される。そして、各反応部15の反応材25(例えばMgBr)とNHとが化学反応して化学吸着(配位結合)し、反応材25から熱が発生する。つまり、下記の反応式(A)における左辺から右辺への反応(発熱反応)が起こる。そして、各反応部15から発生した熱(反応熱)が各熱交換部16に伝わる。これにより、各熱交換部16が加熱され、これに伴って各熱交換部16を流れる排気ガスが加熱される。つまり、各熱交換部16により排気ガスが熱交換されて加熱される。そして、暖められた排気ガスによってDOC5が汚染物質の浄化に適した活性温度まで上昇する。
MgBrNH ⇔ Mg(NHBr+熱 …(A)
一方、エンジン2から排出される排気ガスの温度が高くなると、排気ガスの熱(排熱)が各熱交換部16を通して各反応部15の反応材25に与えられることで、反応材25とNHとが分離する。つまり、上記の反応式(A)における右辺から左辺への反応(再生反応)が起こる。そして、反応材25から脱離したNHは、NH流路用パイプ26及びNH供給管11を通して吸着器12に戻り、吸着器12の吸着材14に物理吸着(回収)される。
図6は、比較例として、従来の反応器付き熱交換器の一つを示す斜視図である。図6において、反応器付き熱交換器50は、複数の熱交換部51と複数の反応部52とが交互に積層されてなる直方体状の積層体53とを備えている。熱交換部51は、フィンで構成されている。反応部52は、偏平状のチューブ55と、このチューブ55内に充填された反応材56とを有している。特に図示はしないが、チューブ55の開口部55aは、蓋部材で塞がれている。熱交換部51とチューブ55とは、ロウ付けにより接合されている。チューブ55と蓋部材(図示せず)とは、レーザ溶接等の溶接手段により接合されている。また、特に図示はしないが、積層体53の周囲には、断面矩形状の配管を形成するプレートが配置されている。
ところで、各反応部52の反応材56にNHが導入されると、NHの吸蔵により反応材56が体積膨張するため、反応部52のチューブ55に内圧(圧力)が作用する。その反応部52のチューブ55に作用する内圧は、断面矩形状の配管を形成するプレート(図示せず)で受けることになる。このとき、反応部52のチューブ55に作用する圧力によりプレートの変形及び損傷が発生しないようにするためには、プレートの板厚を厚くする必要がある。しかし、プレートの板厚を必要以上に厚くすると、反応部52から発生した反応熱がプレートに奪われやすくなる。また、化学蓄熱装置の大型化及び重量増加につながると共に、コストが高くなる。
また、反応器付き熱交換器50を製作する際には、各熱交換部51と各反応部52のチューブ55とを一括でロウ付けにより接合した後、各反応部52のチューブ55内に反応材56を充填し、各反応部52のチューブ55の開口部55a側の端面に蓋部材(図示せず)を溶接により接合する。このとき、熱交換部51とチューブ55とのロウ付け部分と、チューブ55と蓋部材(図示せず)との溶接部分とが近いため、チューブ55と蓋部材の溶接時に、熱交換部51とチューブ55とのロウ付け部分が溶融することがある。
これに対し本実施形態では、反応部15A〜15J及び熱交換部16A〜16Iからなる積層体17を円筒状の配管18により取り囲むと共に、反応部15A〜15J及び熱交換部16A〜16Iを円筒状の配管18に沿うように交互に積層してなる構造としたので、上記の不具合を解決することができる。
即ち、吸着器12から反応器付き熱交換器4の反応部15A〜15Jの反応材25にNHが導入されると、NHの吸蔵により反応材25が体積膨張するため、反応部15A〜15Jのチューブ24に内圧(圧力)が作用する。そのチューブ24に作用する内圧は、硬質断熱材30を介して円筒状の配管18で受けることになる。
ここで、一般に構造力学及び材料力学等の観点から、配管の形状を円筒状(断面円形状)とした場合には、配管の形状を断面矩形状とした場合に比べて、配管の耐圧性が高くなる。このため、配管の形状を断面円形状とした場合に任意の圧力に耐え得る配管の厚さを、配管の形状を断面矩形状とした場合に同じ圧力に耐え得る配管の厚さよりも薄くすることができる。
従って、配管18の形状を円筒状とすることにより、配管18の厚さを薄くしても、反応材25の体積膨張に伴ってチューブ24に作用する内圧を当該配管18により十分に受け止めることができる。このように配管18を薄肉化することで、配管18の表面積(体積)が小さくなるため、反応部15から発生した反応熱が配管18に奪われる割合を低くすることが可能となる。また、化学蓄熱装置10の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることも可能となる。
また、熱交換部16A〜16I及びNH流路用パイプ26が反応部15A〜15Jのチューブ24の開口部24a側の端面から離間していることで、チューブ24と蓋部材27との溶接部分がチューブ24と熱交換部16A〜16I及びNH流路用パイプ26とのロウ付け部分から離間している。これにより、チューブ24と蓋部材27との溶接時に、チューブ24と熱交換部16A〜16I及びNH流路用パイプ26とのロウ付け部分が溶けることを防止できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、配管18の形状が真円筒状(断面真円形状)であるが、配管18の形状としては、特にそれには限られず、楕円筒状(断面楕円形状)としてもよい。
また、上記実施形態では、反応部15A〜15Jと熱交換部16A〜16Iとが交互に積層されてなる積層体17が略円柱状を有しているが、積層体の形状としては、複数の反応部と複数の熱交換部とが円筒状の配管18に沿って交互に積層されていれば、特に略円柱状には限られない。図7は、上記の積層体17の変形例を示す斜視図である。なお、図7では、NH流路用パイプ26は省略している。
図7において、積層体40は、反応部41A〜41Hと熱交換部42A〜42Iとが交互に積層されている。反応部41A〜41Hは、偏平状のチューブ43と、このチューブ43内に収容された反応材25とを有している。チューブ43は、直方体形状を呈している。反応部41A〜41Hの長さは、円筒状の配管18に沿うように異なっている。反応部41A〜41Hの各チューブ43の開口部は、矩形状の蓋部材44A〜44Hによってそれぞれ塞がれている。積層体40と配管18の内周面との間には、硬質断熱材30が介在されている。なお、各チューブ43に収容される反応材25を多層構造とし、隣り合う反応材25の層間に、NHの流路となる多孔質のシートを挟んでもよい。
さらに、上記実施形態では、反応部15A〜15Jのチューブ24と熱交換部16A〜16I及びNH流路用パイプ26とがロウ付けにより接合され、チューブ24と蓋部材27とが溶接により接合されているが、接合方法としては特にそれには限られず、例えばチューブ24と熱交換部16A〜16Iとを溶接により接合してもよい。
また、上記実施形態では、チューブ24における配管18の軸方向の一端部に開口部24aが設けられているが、チューブ24に設ける開口部の数としては、特に1つには限られず、チューブ24における熱交換部16に対向しない側面の複数箇所に設けてもよい。その場合、各開口部はそれぞれ蓋部材で塞がれる。
また、上記実施形態では、反応媒体であるNHと組成がMXaである反応材25とを化学反応させて発熱させるようにしたが、反応媒体としては、特にNHには限られず、例えばCOまたはHO等を使用しても良い。反応媒体としてCOを使用する場合、COと化学反応する反応材としては、MgO、CaO、BaO、Ca(OH)、Mg(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO、Fe、Fe等を使用することができる。反応媒体としてHOを使用する場合、HOと化学反応する反応材としては、CaO、MnO、CuO、Al等を使用することができる。
さらに、上記実施形態は、ディーゼルエンジン2から排出される排気ガスを加熱する装置であるが、本発明は、ガソリンエンジンから排出される排気ガスを加熱する装置、或いはエンジンの排気系以外の熱媒体、例えばオイル等を加熱する装置にも適用可能である。
10…化学蓄熱装置、11…NH供給管(反応媒体流路)、12…吸着器(貯蔵部)、14…吸着材、15,15A〜15J…反応部、16,16A〜16I…熱交換部、17…積層体、18…配管(管部材)、24…チューブ、24a…開口部、25…反応材(化学蓄熱材)、26…NH流路用パイプ(反応媒体流路)、27…蓋部材、30…硬質断熱材(断熱材)、40…積層体、41A〜41H…反応部、42A〜42I…熱交換部、43…チューブ、44A〜44H…蓋部材。

Claims (4)

  1. 熱媒体を加熱する化学蓄熱装置であって、
    複数の反応部と、
    前記複数の反応部と協働して積層体を構成し、前記熱媒体を流通させる熱媒体流路を形成すると共に前記熱媒体と前記反応部との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、
    前記積層体を取り囲むように設けられた円筒状の管部材と、
    反応媒体を貯蔵する貯蔵部と、
    前記複数の反応部と前記貯蔵部との間で前記反応媒体を流通させる反応媒体流路とを備え、
    前記反応部は、偏平状のチューブと、前記チューブ内に収容され、前記反応媒体との化学反応により発熱すると共に蓄熱により前記反応媒体を脱離する化学蓄熱材とを有し、
    前記積層体は、前記反応部と前記熱交換部とが前記円筒状の管部材に沿って交互に積層されるように構成されていることを特徴とする化学蓄熱装置。
  2. 前記チューブにおける前記熱交換部と対向しない一端部には、開口部が設けられており、
    前記チューブの前記開口部は、蓋部材により塞がれていることを特徴とする請求項1記載の化学蓄熱装置。
  3. 前記熱交換部は、前記チューブにろう付けにより接合されており、
    前記蓋部材は、前記チューブに溶接により接合されており、
    前記熱交換部と前記チューブとのろう付け部分は、前記蓋部材と前記チューブとの溶接部分から離間していることを特徴とする請求項2記載の化学蓄熱装置。
  4. 前記積層体と前記円筒状の管部材との間には、断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の化学蓄熱装置。
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