JP2018184816A - 床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法 - Google Patents

床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数が独立して設けられる枠型改良壁を用いた床において、沈下変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる。【解決手段】掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された6つの独立した枠型改良壁2毎に対応する床の領域をブロックK1〜K6として区画する床区画工程と、床区画工程によって区画されたブロックK1〜K6の沈下を測定する沈下測定工程と、沈下測定工程によって測定された沈下測定データをブロックK1〜K6毎に解析する沈下解析工程と、沈下解析工程で得られた解析結果に基づいてブロックK1〜K6毎の床3又は枠型改良壁2の健全性を判定する判定工程と、を有する床の沈下変位監視方法を提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法に関する。
従来、建物の支持構造として、建物を下方から直接支持したり、工場や倉庫といった広い面積を有する土間コンクリートなどの不等沈下を防止するための地盤改良構造が用いられている。
このような地盤改良構造では、例えば特許文献1に示されるように、ロッドの先端に掘削翼を備えた地盤改良装置を使用し、地盤をブロック状あるいは壁状に掘削し、ほぐされた状態の地盤に地盤改良材を混合して攪拌することにより地盤改良壁を施工し、建物を下方から支持する方法が知られており、平面視で建物の外周部に沿った形状、或いは建物の外周部を囲繞する形状で設けられているのが一般的となっている。
特開平11−217820号公報
しかしながら、従来の地盤改良構造を有する建物では、以下のような問題があった。
すなわち、例えば工場や倉庫などの敷地面積が大きい場合等には、その敷地の全域にわたってコンクリートを打設した土間コンクリートを設けたり、表層地盤を改良することにより板状固化体を形成している。板状固化体が土間コンクリートの場合には、打設するコンクリートの荷重が増加し、総重量が大きくなることから、不等沈下が生じ易くなっていた。また、板状固化体が表層地盤改良体の場合も、セメント等を掘削地盤に混合して置換することによる改良となるので、上記土間コンクリートの場合と同様に表層地盤改良体自体の総重量が増えて不等沈下を助長するおそれがあった。
そのため、施工後の建物において、地盤改良された土間コンクリートが打設された床面の沈下変位を監視する場合には、床における複数の測定点を設定し、それら測定点においてレベルを使用して沈下変位量を測定している。そして、建物の床面の状態を把握し、床面全体を補修することになることから、多大な手間と時間、コストがかかるという問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複数が独立して設けられる枠型改良壁を用いた床において、沈下変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る床の沈下変位監視システムは、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床の沈下変位監視システムであって、前記枠型改良壁毎に対応する前記床の領域をブロックとして区画する床区画手段と、前記床区画手段によって区画された前記ブロックの沈下を測定する沈下測定手段と、前記沈下測定手段によって測定された沈下測定データを前記ブロック毎に解析する沈下解析手段と、を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る床の沈下変位監視方法は、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床の沈下変位監視方法であって、前記枠型改良壁毎に対応する前記床の領域をブロックとして区画する床区画工程と、前記床区画工程によって区画された前記ブロックの沈下を測定する沈下測定工程と、前記沈下測定工程によって測定された沈下測定データを前記ブロック毎に解析する沈下解析工程と、前記沈下解析工程で得られた解析結果に基づいて前記ブロック毎の前記床又は前記枠型改良壁の健全性を判定する判定工程と、を有することを特徴としている。
本発明では、建物等の床面の領域を複数の枠型改良壁が配置される領域毎にブロックとして区画し、沈下測定によって測定された床面の沈下測定データをブロック毎に関連付けし、ブロックの領域毎に床の沈下・変位の状態を解析することができる。すなわち、複数の枠型改良壁どうしは、それぞれ独立した構造であることから、これら枠型改良壁毎に設定されるブロックの沈下・変位を解析でき、床面の応力状態を管理することが可能となる。さらに、その解析結果に基づいてブロック毎の床又は枠型改良壁の健全性を評価し判定することができ、補修対象となる枠型改良壁を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
このように本発明では、補修対象となる枠型改良壁のみを部分的に補修することができ、建物の床面全体を施工する必要がなくなり、例えば一部の施工領域に限定でき、あるいはブロック毎に順番に施工することが可能となり、床面全体を同時に施工することを避けることができ、使用されている建物において効率的な補修を行うことができる。つまり、補修が不要なブロックに対して補修作業を行う必要がないことから、コストの低減を図ることができる。
また、本発明では、床面を区画した領域をなす各ブロックが単独で一体化された枠型改良壁を区画対象としているので、各ブロックにおける沈下・変位を解析することで、当該枠型改良壁自体の傾きや姿勢を推定することができる。そのため、当該枠型改良壁を含めた最良な補修を行うことができる。
さらに、複数のブロック同士を対比させることで、床面全体の沈下・変位を評価することができる。例えば、沈下速度が速いブロックを特定した補修計画を立てることが可能となる。また、床面全体を評価することで、沈下の原因を推定することも可能である。
また、本発明に係る床の沈下変位監視システムは、前記沈下測定手段は、複数の前記ブロックの三次元変位を測定可能な三次元レーザ測定器であることが好ましい。
本発明では、三次元レーザ測定器を使用しレーザ走査させることにより所定領域の床面全体の高低差を容易に測定することができ、測定された床面形状を把握することが可能となる。この場合、レベルを使用した測定のように測定点に対してターゲットを用いる必要がなくなり、測定にかかる作業効率の向上を図ることができる。
また、本発明に係る床の沈下変位監視方法は、前記沈下解析工程では、隣り合う前記枠型改良壁同士の沈下状態を比較し、それぞれの前記枠型改良壁の傾きを検出することが好ましい。
この場合には、隣り合う枠型改良壁の傾きを把握することで、これら枠型改良壁の地盤の状態を推定することができる。例えば、隣り合う枠型改良壁がそれぞれ近接する方向に傾いている場合には、その両枠型改良壁同士の間の地盤に沈下の原因があると推定でき、その地盤に対して例えば追加改良を行う等の対応を行うことができる。
また、本発明に係る床の沈下変位監視方法は、前記判定工程では、予め設定されている判定基準と前記解析結果とを比較し、前記判定基準を外れた前記ブロックの前記床又は前記枠型改良壁を補修するように判別されることを特徴としてもよい。
本発明では、判定基準と沈下測定データに基づく解析結果とを比較して、特定のブロックにおける枠型改良壁の補修の有無を判定することができる。
本発明の床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法によれば、複数が独立して設けられる枠型改良壁を用いた床において、沈下変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる。
本発明の実施の形態による建物の地盤に施工された枠型改良壁の構成を示す縦断面図である。 図1に示す地盤に施工された複数の枠型改良壁を示す平面図である。 複数のブロックに区画した第1区画図面を示す平面図である。 沈下変位監視システムの概略構成を示すブロック図である。 図4に示す沈下変位監視システムを用いた沈下変位監視方法のフローを示す図である。 第1区画図面の一例であって、各ブロックを平面視で1/4にした三次元モデルを示す図である。 (a)〜(c)は、解析によって作成された第2区画図面の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態による床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態による床の沈下変位監視システムは、図1に示す型枠改良壁2によって支持された建物1の床3の沈下・変位を監視するためのシステムである。
図1及び図2に示すように、本実施の形態による地盤改良構造は、所定の対象地盤(図2に示す二点鎖線で囲まれた領域)において、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより形成されるとともに、縦横に等間隔で配列された複数(ここでは6つ)の独立した枠型改良壁2、2、…を備えている。
枠型改良壁2は、図2に示すように、地盤改良装置(不図示)を用いて形成され、掘削した地盤Gに地盤改良材を混合させて攪拌することで、地盤Gにおいて平面視で正方形状に一体的に形成されている。各枠型改良壁2は、対向する壁同士の離間(壁間スパンD)が深さ方向の長さ寸法(図1に示す改良壁長L)の2倍以下(D≦2×L)となるように設けられている。
枠型改良壁2を施工するための前記地盤改良装置は、例えばバックホウ等の作業機のアーム先端にアタッチメントとして装着して使用され、複数配列されたロッドの各下端に備えた掘削翼を回転させながら地盤G中を鉛直方向下方に移動させて掘削し、その掘削土に地盤改良材を添加して混合し、攪拌することにより上述した枠型改良壁2を施工するものが採用される。上記地盤改良装置として、例えば、特開2011−226254号公報に記載の3軸の掘削翼を備えた装置を使用することができる。また、掘削土に添加される地盤改良材として、地盤改良の目的に応じて、セメントミルク等の液状の材料や、粉体状の材料などの適宜な薬剤を採用することができる。
複数の枠型改良壁2同士の縦横の配列スパンdは、縦横それぞれの配列方向に沿う上述した枠型改良壁2の壁間スパンDと同じ長さ寸法で設けられている。そして、本実施の形態では、各枠型改良壁2が床3の直下の地盤Gにおいて、その地盤Gの一部(これを壁内地盤G1という)を囲うように設けられるとともに、複数の枠型改良壁2同士の間に位置する範囲の地盤においてもその周囲に枠型改良壁2が配置された状態となるので、地盤G全域の水平方向への移動が拘束された状態となって剛性を増すことになり、地盤G上に設けられる建物1の不等沈下を防止するとともに、地震時における床3上の建物1の揺れを低減させることができる。
土間コンクリートからなる床3は、地上部において所定厚さ寸法で複数の枠型改良壁2の上端2a(図1参照)に載置させた状態で設けられている。
なお、図1及び図2に示す符号Pは、枠型改良壁2同士の間の位置における土間荷重を示している。
次に、床の沈下変位監視システム10について、図3等を用いて説明する。
沈下変位監視システム10は、図4に示す枠型改良壁2毎に対応する床3の領域をブロックK1〜K6として区画する床区画処理部11(床区画手段)と、床区画処理部11によって区画されたブロックK1〜K6の沈下を測定する三次元レーザ測定器12(沈下測定手段)と、三次元レーザ測定器12によって測定された沈下測定データDをブロックK1〜K6毎に解析する沈下解析部13(沈下解析手段)と、沈下解析部13の結果に基づいて床3の健全性を判別する判定部14と、を備えている。床区画処理部11、沈下解析部13、及び判定部14は、コンピュータ等からなる処理装置15に組み込まれている。
そして、処理装置15中には、三次元レーザ測定器12で測定した沈下測定データDを入力して蓄積する沈下測定データ蓄積部16が設けられている。
なお、処理装置15には、判定部14の判定結果等を表示するためのモニタ等の表示部17に接続されている。
床区画処理部11は、予め処理装置15内にデータベースとして取り込んでおいた所定の建物の床3の基本図面R0において、図4に示すように、枠型改良壁2毎に複数(6つ)のブロックK1〜K6に区画し、第1区画図面R1を作成する処理が行われる。
なお、三次元レーザ測定器12で測定した沈下測定データDを基本図面R0上に組み込む前であっても後であってもよい。すなわち、区画処理された第1区画図面R1に対して三次元データからなる沈下測定データDが組み込まれる処理でもよいし、基本図面R0に対して三次元データからなる沈下測定データDが組み込まれた後に、区画処理により6つのブロックK1〜K6に区画した第2区画図面R2を形成する処理であってもよい。
三次元レーザ測定器12は、例えばFocus3DX130(FARO社製)等の持ち運びが容易な公知の走査型のものを採用することができる。このような本実施の形態の三次元レーザ測定器12では、水平に設置した状態で鉛直方向を回転軸としたときの振り角が360°で測定範囲が360°となる。つまり、三次元レーザ測定器12でレーザを照射しつつ、そのレーザ照射部の振り角を変えて建物1の床面3a全体を走査することで測定され、三次元変位による床面3a全体の形状(高さ)のデータを得ることができる。この高低差のデータは、基準値に対するデータとなり得ることから、沈下測定データDとなる。測定されたデータは、三次元レーザ測定器12から沈下測定データ蓄積部16に無線又は有線により出力される。
なお、三次元レーザ測定器12による床面3a全体の沈下測定データDは、例えば建物1内の床面3a全体が1箇所の測定点から測定可能であれば、その測定点に三次元レーザ測定器12を設置して測定すればよい。また、建物1内の空間に仕切り壁等により一度に床面3a全体の測定が困難な場合には、複数の測定点を設定し、床面3a全体の測定を行うようにしてもよい。
沈下測定データ蓄積部16は、上述したように三次元レーザ測定器12で測定された沈下測定データDが入力されて蓄積される。そして、沈下測定データ蓄積部16は床区画処理部11や沈下解析部13に接続されており、それぞれの処理部で適宜処理される。
沈下解析部13は、基本図面R0を複数のブロックK1〜K6に区画した第1区画図面R1に対して、三次元レーザ測定器12によって測定された沈下測定データDを関連付けて画像処理した第2区画図面R2を作成する処理部である。さらに、沈下解析部13では、第2区画図面R2を使用して各ブロックK1〜K6における床面3a、あるいは枠型改良壁2の応力状態を例えばFEM解析によって解析する処理部である。
判定部14では、予め設定されている判定基準と解析結果とを比較し、判定基準を外れたブロックK1〜K6の枠型改良壁2の補修の有無を判別する処理が行われる。
次に、上述した沈下変位監視システム10を用いた床3の沈下変位監視方法について、図5に示すフロー図を用いて詳細に説明する。
床3の沈下変位監視方法は、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁2、2、…によって支持された床の沈下変位を監視する方法である。
具体的には、図3に示す床区画処理部11において枠型改良壁2毎に対応する床3の領域をブロックK1〜K6として区画する床区画工程と、床区画工程によって区画されたブロックK1〜K6の沈下を測定する沈下測定工程と、沈下測定工程によって測定された沈下測定データDをブロックK1〜K6毎に解析する沈下解析工程と、判定部14において沈下解析工程で得られた解析結果に基づいてブロックK1〜K6毎の床3又は枠型改良壁2の健全性を判定する判定工程と、を有している。
先ず、図3及び図5に示すように、処理装置15内の床区画処理部11において、予め処理装置15に蓄積してある基本図面R0に対して6つの枠型改良壁2毎に対応する建物1の床面3aを複数(6つ)のブロックK1〜K6として区画し(図4参照)、第1区画図面R1を作成する(ステップS1)。図6は、第1区画図面R1の一例であって、矩形状の各ブロックK1〜K6を平面視において中心を通る縦横で1/4に分割した三次元モデルを示している。
次に、ステップS2において、三次元レーザ測定器12を用いてステップS1で区画されたブロックK1〜K6の床面3aに対して沈下・変位を測定する。なお、建物1の床面3a全面を1箇所の測定点から測定可能な場合には、その1箇所の測定点に三次元レーザ測定器12を設置して測定し、複数の測定点が必要な場合(床面3a全体が1箇所の測定点で測定できない場合)には、それら複数の測定点毎に三次元レーザ測定器12を設置して測定する。
続いて、ステップS3において、ステップS2で測定した沈下測定データDを処理装置15の沈下測定データ蓄積部16に入力するとともに、沈下解析部13でブロックK1〜K6毎に関連付けることにより第2区画図面R2を作成する画像処理が行われる。なお、沈下測定データDの沈下測定データ蓄積部16への入力方法としては、三次元レーザ測定器12から無線、或いは有線により入力することができる。
次いで、ステップS4において、ステップS3で作成したブロックK1〜K6毎の第2区画図面R2を沈下解析部13によって例えば三次元FEM解析を用いて解析する。そして、この解析結果は、表示部17のモニタ等に表示される。
ここで、図7(a)〜(c)は、第2区画図面R2の一例であって、上述した図6に示す三次元モデルにおいて、沈下測定データDを組み込んで応力図として解析した解析例を示している。図7(a)は、床面3aのX方向の1方向における応力図を示したものである。この場合、枠型改良壁2のZ方向に沿った部分2Aの応力が大きくなった解析例である。図7(b)は、床面3aのXY方向の2方向における応力図を示したものである。この場合、枠型改良壁2のX方向に沿った部分2Bの応力が大きくなった解析例である。図7(c)は、床3(土間コンクリート)を省略した枠型改良壁2のY方向の1方向における応力図を示したものである。この場合、枠型改良壁2の角部上方部分2Cの応力が大きくなった解析例である。
このように解析することにより、床面3a及び枠型改良壁2の応力状態を視覚的に把握することができ、さらに床下の地盤や枠型改良壁2周りの地盤の変形、応力状態も把握することができる。
次に、処理装置15の判定部14において、ステップS4で得られた解析結果に基づいてブロックK1〜K6毎の枠型改良壁2の健全性を判定する(ステップS5)。具体的には、予め設定されている判定基準と解析結果とを比較し、判定基準を外れたブロックK1〜K6の床3又は枠型改良壁2を補修するように判別される。ここで、判定基準とは、例えば所定の期間における沈下・変位量の許容量を設定した値である。
そして、ステップS5で判定した結果、ブロックK1〜K6が判定基準を外れた判定となった場合には、ステップS6において適宜な補修方法により枠型改良壁2が補修される、あるいは補修の計画が行われる。なお、ステップS5において、補修が不要と判定された場合には、補修の必要はない。
次に、上述した床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法による作用について、図面に基づいて具体的に説明する。
図2に示すように、本実施の形態では、建物1の床面3aの領域を複数の枠型改良壁2が配置される領域毎にブロックK1〜K6として区画し、図5に示すように沈下測定によって測定された床面3aの沈下測定データDをブロックK1〜K6毎に関連付けし、ブロックK1〜K6の領域毎に床3の沈下・変位の状態を解析することができる。すなわち、複数の枠型改良壁2どうしは、それぞれ独立した構造であることから、これら枠型改良壁2毎に設定されるブロックK1〜K6の沈下・変位を解析でき、床面3aの応力状態を管理することが可能となる。さらに、その解析結果に基づいてブロックK1〜K6毎の枠型改良壁2の健全性を評価し判定することができ、補修対象となる枠型改良壁2を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
このように本実施の形態では、補修対象となる枠型改良壁2のみを部分的に補修することができ、建物1の床面3a全体を施工する必要がなくなり、例えば一部の施工領域に限定でき、あるいはブロックK1〜K6毎に順番に施工することが可能となり、床面3a全体を同時に施工することを避けることができ、使用されている建物1において効率的な補修を行うことができる。つまり、補修が不要なブロックK1〜K6に対して補修作業を行う必要がないことから、コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態では、床面3aを区画した領域をなす各ブロックK1〜K6が単独で一体化された枠型改良壁2を区画対象としているので、各ブロックK1〜K6における沈下・変位を解析することで、当該枠型改良壁2自体の傾きや姿勢を推定することができる。そのため、当該枠型改良壁2を含めた最良な補修を行うことができる。
さらに、複数のブロックK1〜K6同士を対比させることで、床面3a全体の沈下・変位を評価することができる。例えば、沈下速度が速いブロックK1〜K6を特定した補修計画を立てることが可能となる。また、床面3a全体を評価することで、沈下の原因を推定することも可能である。
また、本実施の形態では、沈下測定手段として三次元レーザ測定器12を採用することで、三次元レーザ測定器12を使用しレーザ走査させることにより所定領域の床面3a全体の高低差を容易に測定することができ、測定された床面3a形状を把握することが可能となる。そして、レベルを使用した測定のように測定点に対してターゲットを用いる必要がなくなり、測定にかかる作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、上述したステップS5の判定工程において、予め設定されている判定基準と解析結果とを比較することで、特定のブロックK1〜K6における枠型改良壁2の補修の有無を判定することができる。
上述のように本実施の形態による床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法では、複数が独立して設けられる枠型改良壁2を用いた床において、沈下変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる。
以上、本発明による床の沈下変位監視システム、及び床の沈下変位監視方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態では、沈下測定手段として三次元レーザ測定器12を採用しているが、これに限定されることがない。例えば、従来から沈下測定に使用しれるレベル測量器による沈下測定手段であってもよい。
また、上述した実施の形態による沈下変位監視方法の沈下解析工程において、隣り合う枠型改良壁2、2同士の沈下状態を比較し、それぞれの枠型改良壁の傾きを検出するような解析を行うことも可能である。
この場合には、隣り合う枠型改良壁2、2の傾きを把握することで、これら枠型改良壁2、2の地盤の状態を推定することができる。例えば、隣り合う枠型改良壁2、2がそれぞれ近接する方向に傾いている場合には、その両枠型改良壁2、2同士の間の地盤に沈下の原因があると推定でき、その地盤に対して例えば追加改良を行う等の対応を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、処理装置15に判定部14を設け、沈下解析部13で解析した結果をブロック毎に判定部14で補修の必要が有るか否かの判定を行う方法としちえるが、この判定部14を省略したシステム構成とすることも可能である。つまり、判定部14を介さずに、沈下解析部13の解析結果のみを表示部17で表示させ、これを確認して補修計画を立案することも可能である。
また、沈下変位監視システム10や沈下変位監視方法の適用対象となる建物1の大きさ、広さ、枠型改良壁2の大きさ、数量、床3の厚さ等の構成に関しては、本実施の形態に限定されることはなく、適宜設定することができる。
また、本実施の形態では、建物1の床3を対象としている、建物の上屋を設ける構造であることに限定されることはない。要は、床3のみが複数の枠型改良壁2上に床3のみが設けられた構造であればよいのであって、建物の上屋が無い構造であってもよい。
さらに、床面を区画するブロックの数量も、本実施の形態のように6つであることに限定されることはなく、個々の枠型改良壁2に対応して設けられていればよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 建物
2 枠型改良壁
10 沈下変位監視システム
11 床区画処理部(床区画手段)
12 三次元レーザ測定器(沈下測定手段)
13 沈下解析部(沈下解析手段)
14 判定部
15 処理装置
16 沈下測定データ蓄積部
17 表示部
D 沈下測定データ
R0 基本図面
R1 第1区画図面
R2 第2区画図面
K1〜K6 ブロック
G 地盤

Claims (5)

  1. 掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床の沈下変位監視システムであって、
    前記枠型改良壁毎に対応する前記床の領域をブロックとして区画する床区画手段と、
    前記床区画手段によって区画された前記ブロックの沈下を測定する沈下測定手段と、
    前記沈下測定手段によって測定された沈下測定データを前記ブロック毎に解析する沈下解析手段と、
    を備えていることを特徴とする床の沈下変位監視システム。
  2. 前記沈下測定手段は、複数の前記ブロックの三次元変位を測定可能な三次元レーザ測定器であることを特徴とする請求項1に記載の床の沈下変位監視システム。
  3. 掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床の沈下変位監視方法であって、
    前記枠型改良壁毎に対応する前記床の領域をブロックとして区画する床区画工程と、
    前記床区画工程によって区画された前記ブロックの沈下を測定する沈下測定工程と、
    前記沈下測定工程によって測定された沈下測定データを前記ブロック毎に解析する沈下解析工程と、
    前記沈下解析工程で得られた解析結果に基づいて前記ブロック毎の前記床又は前記枠型改良壁の健全性を判定する判定工程と、
    を有することを特徴とする床の沈下変位監視方法。
  4. 前記沈下解析工程では、隣り合う前記枠型改良壁同士の沈下状態を比較し、それぞれの前記枠型改良壁の傾きを検出することを特徴とする請求項3に記載の床の沈下変位監視方法。
  5. 前記判定工程では、予め設定されている判定基準と前記解析結果とを比較し、前記判定基準を外れた前記ブロックの前記床又は前記枠型改良壁を補修するように判別されることを特徴とする請求項3又は4に記載の床の沈下変位監視方法。
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