JP2018112011A - 支持層到達判定方法及び判定支援システム - Google Patents

支持層到達判定方法及び判定支援システム Download PDF

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Abstract

【課題】削孔の支持層への到達を判定することができる支持層到達判定方法及び判定支援システムを提供する。【解決手段】削孔管理システム20の制御部31は、表示部26のディスプレイに、深度−経過時間グラフ、深度−積分電流値グラフ、深度−水平方向振動解析グラフ、深度−上下方向振動解析グラフを表示する表示領域を含む出力画面を表示する。制御部31は、この出力画面において、各グラフの深度に対応させて、判定基準情報の柱状図及び深度−N値グラフを出力する。制御部31は、削孔時間帯における削孔深度を、深度−経過時間グラフに追加し、削孔深度に関連付けた積分電流値、上下方向及び水平方向の振動特性値とを、それぞれ、各グラフに追加する。【選択図】図1

Description

本発明は、杭を設置する杭孔の支持層到達を判定する支持層到達判定方法及び判定支援システムに関する。
構造物を建設する場合、複数の杭を支持層に打ち込み、杭を介して、支持層において構造物の荷重を支える場合がある。このため、杭を挿入する杭孔を支持層にまで必ず到達させる。しかし、掘削工法の制約上、支持層への到達確認は、経験による主観的判断に依存することが多く、客観的な判定が難しい。
通常、構造物を建設する前に、支持層の深さ(位置)等を特定するための地盤調査が行なわれている。そして、地盤調査における標準貫入試験によって、地盤の固さを示す指標のN値を取得する。
しかし、構造物を建設する現場全体において、地質構造が同じとは限らない。また、地盤調査には費用や手間がかかるため、すべての杭孔位置で地盤調査を行なうことは難しい。また、取得したN値は、同じ値であっても地質が異なる場合がある。そのため、地盤調査に基づく柱状図及びN値を把握しても、各杭の杭孔が支持層まで到達したことの判定は難しかった。
そこで、従来、掘削時の地盤の固さに応じた抵抗値(削孔トルクを出力するための電流値)を削孔深度毎に積分した積分電流値を用いて、杭孔の支持層到達を判定する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1においては、地盤を削孔する掘削機のオーガを駆動するオーガ駆動用モータの掘削時における電流値を検出し、オーガの上下方向移動距離を検出する。そして、掘削機による掘削開始と同時にオーガの電流データと掘削深度の測定を開始し、これらと、予めボーリング調査して得たN値を同一画面に表示する。
特開平5−287721号公報
上述した特許文献1においても、地質構造によっては、支持層到達の判定は難しい。例えば、N値が高い泥岩の上に、N値が高い細砂層が積層していることがある。このような地層においては、泥岩を支持層として用いる。しかしながら、その上の細砂層においてもN値や積層電流値が高く検出されてしまい、支持層までの削孔を誤判定する可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、削孔の支持層への到達を判定するための支持層到達判定方法及び判定支援システムを提供することにある。
・上記課題を解決するための支持層到達判定方法は、杭孔について杭の支持層への到達を判定する支持層到達判定方法であって、杭孔の掘削装置に取り付けた振動計測器において、掘削時の振動を計測し、前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記杭孔の深さと関連付け、前記周波数分析結果に基づいて、前記支持層への到達を判定する。これにより、N値や積分電流値が高い地質が積層されている場合であっても、地質によって振動の周波数についての分析結果が変化するので、この周波数分析結果の変化に基づいて、削孔の支持層への到達を判定することができる。
・上記支持層到達判定方法において、地表から少なくとも前記支持層までの地質と、前記掘削時の前記周波数分析結果との比較により、前記支持層への到達を判定することが好ましい。これにより、地表から支持層までの地質を参考にして、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。
・上記支持層到達判定方法において、地表から少なくとも前記支持層までの地質に対応させた周波数分析結果に基づいて設定した基準値と、前記掘削時の前記周波数分析結果との比較により、前記支持層への到達を判定することが好ましい。これにより、地質に対応させた周波数分析結果に基づいて、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。
・上記支持層到達判定方法において、前記周波数分析として、水平方向の周波数分析と鉛直方向の周波数分析とを用い、前記支持層への到達を、判定可能な方向の周波数分析を用いることが好ましい。これにより、掘削する地点の地層や振動装置等の状況に応じた周波数分析結果を用いるので、支持層到達の判定を、的確に行なうことができる。
・上記支持層到達判定方法において、前記杭孔の掘削時に取得した電流値を更に用いて、前記支持層への到達を判定することが好ましい。これにより、電流値を参考にして、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。
・上記課題を解決するための判定支援システムは、杭孔について杭の支持層への到達の判定を支援するための判定支援システムであって、杭孔の掘削装置に取り付けて振動を計測する振動計測部と、前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記杭孔の深さと関連付けて計測情報記憶部に記録する記録部と、前記計測情報記憶部に記録された周波数分析結果を出力する出力部とを備える。これにより、地質変化に応じて変化する振動についての周波数分析結果の変化に基づいて、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。
本発明によれば、削孔の支持層への到達を的確に判定することができる。
実施形態における杭孔を掘削する掘削装置の説明図であって、(a)は掘削装置の概略正面図、(b)は削孔管理システムの構成を示す構成図。 実施形態の各記憶部に記憶されたデータの構成を説明する説明図であって、(a)は判定基準情報記憶部、(b)は掘削状況情報記憶部。 実施形態の処理工程の処理手順を説明する流れ図。 実施形態における計測値の評価処理を説明する説明図であって、(a)は計測値グラフ、(b)は削孔時間帯を抽出したグラフ、(c)は削孔時間帯の計測値を連結したグラフ、(d)は処理手順の流れ図。 実施形態における各グラフを説明する説明図であり、(a)は柱状図と深度に応じたN値、(b)は深度−積分電流値グラフ、(c)は深度−水平方向振動解析グラフ、(d)は深度−上下方向振動解析グラフを示す。
以下、図1〜図5を用いて、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1(a)には、建物の杭を設置する杭孔h0を掘削する掘削装置としての掘削機10を示している。掘削機10は、ベースマシン11、マスト14、及びオーガマシン16を備えている。ベースマシン11は、クローラ12を含む下部走行体と、操作室13を含む上部旋回体とを備えている。
マスト14は、ベースマシン11に立設されている。マスト14内には、深度・速度計計測用のワイヤが設けられている。マスト14には、昇降可能にオーガマシン16が取り付けられている。オーガマシン16は、ボックス内に収容された駆動モータと、この駆動モータで回転駆動される掘削ロッド17とを備えている。掘削ロッド17の先端(下端)には、掘削ヘッド18が取り付けられている。掘削ヘッド18は、揺動する一対(2つ)の掘削腕の先端に掘削刃が形成されている。なお、掘削ヘッド18の昇降は、操作室13の操作者により制御される。
また、掘削機10には、掘削ヘッド18に掘削水を供給する掘削水供給装置(図示せず)が連結されている。この掘削水の水量は、掘削状況に応じて、操作室13の操作者により調整される。
図1(b)に示すように、掘削機10は、削孔管理システム20を備える。この削孔管理システム20は、コンピュータ端末30、削孔深度計測器21、流量計測器22、電流計測器23、振動計測器24、入力部25及び表示部26を備えている。各計測器(21〜24)は、常時、計測を行ない、計測値をコンピュータ端末30に送信する。
削孔深度計測器21は、マスト14内のワイヤの繰り出し量を計測し、掘削ヘッド18の位置に応じた削孔深度(深さ)を計測する。
流量計測器22は、掘削水供給装置から供給した掘削水の注入流量を計測する。
電流計測器23は、オーガマシン16の駆動モータの負荷電流を計測する。
振動計測器24は、振動計測部として機能し、取付場所における振動を測定する。本実施形態では、振動計測器24は、操作室13内、操作室13の屋根や操作室13内の操作レバーに取り付けられる。この振動計測器24は、上下方向の振動と水平方向の振動を計測する。
入力部25は、操作室13内に配置されるキーボードやポインティングデバイス等を備え、各種データをコンピュータ端末30に入力するために用いる。
表示部26は、操作室13内に配置されるディスプレイ等を備え、各種データを表示する。
コンピュータ端末30は、各計測器(21〜24)からの各計測値データを取得する。コンピュータ端末30は、制御部31、基準情報記憶部としての判定基準情報記憶部35、計測情報記憶部としての掘削状況情報記憶部36を備えている。
制御部31は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(基準登録段階、測定値管理段階、振動解析段階、出力管理段階等の各処理)を行なう。そのために、メモリに記憶された削孔管理プログラムを実行することにより、制御部31は、基準登録部311、測定値管理部312、振動解析部313及び出力管理部314として機能する。
基準登録部311は、判定基準情報を判定基準情報記憶部35に登録する処理を実行する。
測定値管理部312は、記録部として機能し、各計測器(21〜24)から取得した計測値をメモリに蓄積し、所定時間毎の計測値を評価して、評価結果を出力する。具体的には、測定値管理部312は、実際に掘り進んだ時間帯(削孔時間帯)における電流値及び振動特性値を特定する。掘削ヘッド18は、固い地層等においては、掘り下げる直前に一旦、引き揚げられることがある。このため、掘削ヘッド18の実際の削孔深度は、図4(a)に示すように、経過時間に従って削孔深度が単調に増加するとは限らない。そこで、測定値管理部312は、掘削ヘッド18の引き揚げや停止の期間(図4(b)の網掛けの時間帯)を全体の作業時間から削除し、削孔のために実質的に用いられた削孔時間帯の計測値を特定する。測定値管理部312は、特定した削孔時間帯における計測値を連結して、図4(c)に示すグラフを生成する。
振動解析部313は、振動計測器24で計測した振動の周波数分析を行なうことにより、振動特性の解析処理を実行する。本実施形態では、振動解析部313は、周波数帯毎に、振動の大きさ(例えば、最大振幅や最大加速度等)を特定する。更に、振動解析部313は、振動の大きさをグラフにおいて濃度で表示するために、濃度特定テーブルを記憶している。
出力管理部314は、出力部として機能し、掘削時における各計測値や、算出した深度に応じた測定値を記載したグラフ等を、表示部26に表示する。
図2(a)に示すように、判定基準情報記憶部35は、支持層への到達を判定するために用いる判定基準情報350を記憶する。本実施形態では、この判定基準情報350には、現場識別子に関連付けて、柱状図351、深度−N値グラフ352及び判定基準グラフ355が含まれる。
柱状図351は、杭孔を掘削する工事現場において、ボーリング調査において取得した土試料に基づいて作成される。深度−N値グラフ352は、このボーリング調査において取得した標準貫入試験データに基づいて作成される。
ここでは、図5(a)に示す柱状図351及び深度−N値グラフ352が記録される。
判定基準グラフ355は、工事現場において既に掘削した杭孔の掘削状況情報を流用した基準値である。この判定基準グラフ355は、この現場識別子によって特定される現場において、ボーリング調査の近傍で先行して行なわれる先行掘削工程(例えば、最初の杭孔の掘削工程)において生成されて登録される。判定基準グラフ355には、深度−経過時間基準グラフR1、深度−積分電流値基準グラフR5、深度−水平方向振動解析基準グラフR6、深度−上下方向振動解析基準グラフR7が含まれる。各基準グラフ(R1,R5〜R7)は、対応する後述するグラフ(361,365〜367)の変化の基準として用いられる。
図2(b)に示すように、掘削状況情報記憶部36は、杭孔の掘削状況に関する掘削状況情報360が記憶される。この掘削状況情報360には、現場識別子及び杭番号に関連付けて、深度−経過時間グラフ361、深度−積分電流値グラフ365、深度−水平方向振動解析グラフ366、深度−上下方向振動解析グラフ367が含まれる。これらグラフ(361,365〜367)の各計測値は、後述する測定値管理処理において、順次、追加記録される。
図4(c)に示すように、深度−経過時間グラフ361は、掘削深さ(削孔深度)を縦軸に、経過時間(削孔時間)を横軸にしたグラフである。
図5(b)に示すように、深度−積分電流値グラフ365は、削孔深度を縦軸に、積分電流値を横軸にしたグラフである。
図5(c)に示すように、深度−水平方向振動解析グラフ366は、削孔深度に応じた水平方向の振動特性値に関するグラフである。この深度−水平方向振動解析グラフ366は、削孔深度を縦軸に、周波数を横軸に用い、各周波数の振動の大きさに応じた濃度で表される。
図5(d)に示すように、深度−上下方向振動解析グラフ367は、削孔深度に応じた上下方向の振動特性値に関するグラフである。この深度−上下方向振動解析グラフ367は、削孔深度を縦軸に、周波数を横軸に用い、各周波数の振動の大きさに応じた濃度で表される。
次に、図3〜図5に従って、以上のように構成された掘削機10を用いて、杭孔を形成する処理について説明する。ここでは、工事現場の敷地において、複数の杭孔を形成する場合を想定する。
<ボーリング調査工程>
まず、図3に示すように、掘削を行なう前に、ボーリング調査工程を実行する。このボーリング調査工程においては、公知のように、工事現場の敷地において、地質調査を行なう。この地質調査の際に取得した深度に応じた土試料の種類に応じて柱状図を生成する。また、予め定めた所定深度毎のN値を取得し、深度−N値グラフを生成する。
そして、コンピュータ端末30の制御部31を用いて、柱状図と深度−N値の登録処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部31の基準登録部311は、基準値登録画面を表示部26に出力する。この基準値登録画面には、柱状図に関するデータと、深度に応じたN値のグラフデータとを登録する入力欄が含まれる。建築現場の管理者は、基準値登録画面に、現場識別子、柱状図及び深度に応じたN値のグラフを入力する。コンピュータ端末30の制御部31は、入力された現場識別子、柱状図351及び深度−N値グラフ352を記録した判定基準情報350を生成し、判定基準情報記憶部35に登録する。
(掘削工程)
その後、各杭孔の掘削工程を行なう。この場合、判定基準グラフ355を生成する先行掘削工程と、生成した判定基準グラフ355を用いて支持層到達を判定する後続掘削工程とがある。先行掘削工程においては、ボーリング調査を行なった地点の近傍の杭孔を掘削する。以下では、まず、先行掘削工程について説明し、その後に、後続掘削工程について説明する。
<先行掘削工程>
この先行掘削処理において、削孔管理システム20のコンピュータ端末30は、オーガマシン16の駆動モータの回転を開始し、掘削ヘッド18を地中に挿入させて削孔を開始する。
この場合、まず、コンピュータ端末30の制御部31は、判定基準情報の出力処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部31の出力管理部314は、表示部26のディスプレイに、各グラフ(361〜367)を表示する表示領域を含む出力画面を表示する。
更に、出力管理部314は、この出力画面において、各グラフ(361〜367)の深度に対応させて、判定基準情報350の柱状図351及び深度−N値グラフ352を出力する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、計測値の取得処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部31の測定値管理部312は、所定時間毎に、各計測器(21〜24)において計測された計測値を取得する。なお、計測値の取得処理(ステップS2−2)を実行する度に、ステップS2−3〜S2−5の処理を実行する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31を用いて、計測値の評価処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部31は、各計測器(21,23,24)から取得した各計測値から、削孔時間帯における振動特性値及び積分電流値を特定する。この処理の詳細については、後述する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、評価結果の出力処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部31の出力管理部314は、ステップS2−3において特定した削孔時間帯における削孔深度を、深度−経過時間グラフ361に追加する。更に、出力管理部314は、ステップS2−2においてメモリに記憶した削孔深度に関連付けた積分電流値及び振動特性値を、それぞれ、各グラフ(365〜367)に追加する。
そして、コンピュータ端末30の制御部31を用いて、支持層への到達の判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、表示部26のディスプレイに表示された各測定値の変化と、判定基準情報350とを比較して、操作者が支持層に到達したか否かを判定する。
例えば、図5において、柱状図及びN値に基づくと、約25mよりも浅い部分は軟弱地質であることを示している。また、約25m〜約27mは、「細砂」層、約27m〜約28mは「礫質土」層、約28m〜約30.5mは「シルト入り細砂」層、約30.5m〜約32mは「シルト入り砂質土」層、約32m〜約35mは「シルト」層である。図5において、約32mの深度において、水平方向の振動の7Hz前後と50Hz〜60Hzにおいて、振動の大きさが大きくなっている。また、同じ深度において、上下方向の振動の30Hz〜40Hzにおいて、振動の大きさが大きくなっている。掘削刃が固い地質を掘削する場合には、大きな振動を生じることがある。このため、特定の周波数帯において大きな振動が生じた場合には、その深度において、固い地質を掘削していることがわかるので、支持層となる「シルト」層に到達したと判定することができる。
そして、支持層に到達したと判定した場合には、掘削ヘッド18を杭孔から引き抜く。
ここで、掘削ヘッド18の引き抜きに応じた上昇を検知した場合、コンピュータ端末30の制御部31は、判定基準グラフの登録処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部31の基準登録部311は、掘削状況情報記憶部36に登録した各グラフ(361,365〜367)を、判定基準グラフ355の各グラフ(R1,R5〜R7)として、判定基準情報記憶部35に記録する。
<後続掘削工程>
次に、判定基準グラフ355を用いて支持層到達を判定する後続掘削工程について説明する。
この後続掘削処理において、削孔管理システム20のコンピュータ端末30は、オーガマシン16の駆動モータの回転を開始し、掘削ヘッド18を地中に挿入させて削孔を開始する。
この場合、まず、コンピュータ端末30の制御部31は、判定基準情報の出力処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部31の出力管理部314は、ステップS2−1と同様に、表示部26のディスプレイに、各グラフ(361,365〜367)を表示する表示領域と、各グラフ(361,365〜367)の深度に対応させた柱状図351及び深度−N値グラフ352を含む出力画面を表示する。
更に、出力管理部314は、この出力画面において、判定基準情報350の判定基準グラフ355の各グラフ(R1,R5〜R7)を、各グラフ(361,365〜367)に対応させるように表示する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、ステップS2−2〜S2−5と同様に、計測値の取得処理(ステップS3−2)、計測値の評価処理(ステップS3−3)、評価結果の出力処理(ステップS3−4)、支持層への到達判定処理(ステップS2−5)を実行する。なお、ステップS3−3〜S3−5の処理は、計測値の取得処理(ステップS3−2)を実行する度に実行される。そして、支持層に到達したと判定した場合には、掘削ヘッド18を杭孔から引き抜く。
〔計測値の評価処理〕
次に、図4(d)を用いて、上述した計測値の評価処理(ステップS2−3)の詳細について説明する。
まず、コンピュータ端末30の制御部31は、掘削ヘッドの削孔深度の取得処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部31の測定値管理部312は、削孔深度計測器21から計測した削孔深度を取得し、取得した計測時刻とともにメモリに一時記憶する。
そして、コンピュータ端末30の制御部31は、削孔時間帯の抽出処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部31の測定値管理部312は、メモリに一時記憶された削孔深度において、掘削状況情報記憶部36に記録された過去の削孔深度の中で最大値以上の深度で、深度が単調増加している削孔時間帯を特定する。なお、掘削ヘッド18を引き揚げた場合には、再度、掘削ヘッド18が孔底に達した時刻からを削孔時間帯に加える。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、削孔時間帯の計測値の特定処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部31の測定値管理部312は、削孔時間帯における削孔深度を連結して、削孔深度に応じた経過時間を算出する。そして、測定値管理部312は、削孔時間帯における瞬間電流値を特定し、その前の計測時刻の積算電流値に加算して、積算電流値を算出する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、周波数解析処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部31の振動解析部313は、削孔時間帯における振動について周波数解析を行ない、周波数帯毎の振動の大きさ(振動特性値)を特定する。そして、測定値管理部312は、特定した振動の大きさに応じた濃度を、濃度特定テーブルにおいて特定する。
次に、コンピュータ端末30の制御部31は、積分電流値及び振動特性値と、深度との関連付け処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部31の測定値管理部312は、計測時刻を介して、削孔深度と、積分電流値、上下方向及び水平方向の振動特性値(周波数帯毎の振動の大きさに応じた濃度)とを関連付けて、メモリに記憶する。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、削孔管理システム20の制御部31は、削孔深度に応じた経過時間に関する深度−経過時間グラフ361、深度−水平方向振動解析グラフ366及び深度−上下方向振動解析グラフ367を、表示部26のディスプレイに表示する。これにより、上下方向の振動や水平方向の振動の特性に基づいて、削孔の支持層への到達を判定することができる。
(2)本実施形態では、削孔管理システム20の制御部31は、深度−積分電流値グラフ365を表示部26のディスプレイに出力する。これにより、積分電流値に関する変化を参考にして、削孔の支持層への到達を判定することができる。
(3)本実施形態では、削孔管理システム20の制御部31は、削孔する現場のボーリング調査で取得した柱状図351及び深度−N値グラフ352を、表示部26のディスプレイに表示する。これにより、柱状図351や深度−N値352を参考にして、削孔の支持層への到達を判定することができる。
(4)本実施形態では、削孔管理システム20の制御部31は、先行掘削工程の判定基準グラフの登録処理(ステップS2−6)において、掘削状況情報記憶部36に登録した各グラフ(361,365〜367)を、判定基準グラフ355の各グラフ(R1,R5〜R7)として記録する。そして、制御部31は、後続掘削工程の判定基準情報の出力処理(ステップS3−1)において、判定基準情報350の判定基準グラフ355を、各グラフ(361,365〜367)に対応させるように表示する。このため、同じ工事現場において実際に既に取得した周波数分析結果の変化を参考にして、削孔の支持層への到達を判定することができる。
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、削孔管理システム20の制御部31は、深度−経過時間グラフ361、深度−水平方向振動解析グラフ366、深度−上下方向振動解析グラフ367を、表示部26のディスプレイに出力する。掘削機10の操作者は、各振動解析グラフ(366,367)における、削孔深度に応じた振動の周波数分析結果の変化に基づいて、削孔の支持層への到達を判定した。この場合、コンピュータ端末30の制御部31が、深度−水平方向振動解析グラフ366、深度−上下方向振動解析グラフ367を用いて、支持層に到達したことを判定してもよい。具体的には、制御部31は、判定基準グラフ355に記録した深度−水平方向振動解析基準グラフR6及び深度−上下方向振動解析基準グラフR7と、深度−水平方向振動解析グラフ366及び深度−上下方向振動解析グラフ367とをそれぞれ比較する。比較した結果、基準グラフ(R6,R7)の支持層における周波数分析結果と、各グラフ(366,367)の周波数分析結果が、予め定めた所定範囲内で一致する場合には、支持層に到達したと判定する。
・上記実施形態においては、先行掘削工程の判定基準グラフの登録処理(ステップS2−6)において、削孔管理システム20の制御部31は、ボーリング調査地点の近傍の杭孔に関する掘削状況情報360を、判定基準グラフ355として登録した。後続掘削処理において用いる判定基準グラフ355は、ボーリング調査地点の近傍の杭孔に関する掘削状況情報360に限られない。例えば、複数地点でボーリング調査を行なう場合には、これらボーリング調査工程から、施工する杭孔の地層構造に近似し、これよりも前に施工した杭孔の掘削状況情報360を用いてもよい。この場合には、後続掘削工程で削孔する杭孔の杭番号(施工識別子)に、判定基準グラフ355として用いる杭孔の杭番号(基準識別子)を関連付けた基準グラフ特定テーブルを記憶しておく。削孔管理システム20の制御部31は、後続掘削工程で、施工する削孔の施工識別子(杭番号)を取得した場合、この施工識別子に関連付けられた基準識別子(杭番号)を、基準グラフ特定テーブルを用いて特定する。制御部31は、特定した基準識別子の掘削状況情報360を、判定基準グラフ355として判定基準情報記憶部35に登録し、この判定基準グラフ355を用いる。これにより、実際に施工する杭孔の地層構造に近い地点で既に削孔した杭孔の掘削状況情報360を、判定基準グラフ355として用いながら、支持層到達を判定することができる。また、判定基準グラフ355は、実際に杭を設置する孔の掘削時に得られた掘削状況情報360を用いる場合に限られず、試験的に孔を掘削した時に得られた掘削状況情報を用いてもよい。
・上記実施形態においては、ディスプレイに表示された深度−水平方向振動解析グラフ366、深度−上下方向振動解析グラフ367における変化を用いて、削孔の支持層への到達を判定した。削孔の支持層の判定において、深度−水平方向振動解析グラフ366、深度−上下方向振動解析グラフ367の両方を用いる必要なく、一部でもよい。この場合、この工事現場において支持層を示す特徴的な周波数分析結果を用いる。
・上記実施形態においては、振動計測器24を、操作室13内、操作室13の屋根や操作室13内の操作レバーに取り付けた。振動計測器24の取付位置は、掘削に応じた振動を検出できる箇所であれば、場所は限定されるものではなく、例えば、掘削ロッド17等であってもよい。
h0…杭孔、R1…深度−経過時間基準グラフ、R5…深度−積分電流値基準グラフ、R6…深度−水平方向振動解析基準グラフ、R7…深度−上下方向振動解析基準グラフ、10…掘削機、11…ベースマシン、12…クローラ、13…操作室、14…マスト、16…オーガマシン、17…掘削ロッド、18…掘削ヘッド、20…削孔管理システム、21…削孔深度計測器、22…流量計測器、23…電流計測器、24…振動計測器、25…入力部、26…表示部、30…コンピュータ端末、31…制御部、35…判定基準情報記憶部、36…掘削状況情報記憶部、311…基準登録部、312…測定値管理部、313…振動解析部、314…出力管理部、350…判定基準情報、355…判定基準グラフ、360…掘削状況情報、361…深度−経過時間グラフ、365…深度−積分電流値グラフ、366…深度−水平方向振動解析グラフ、367…深度−上下方向振動解析グラフ。
・上記課題を解決するための支持層到達判定方法は、杭孔について杭の支持層への到達を判定する支持層到達判定方法であって、孔を掘削する掘削装置に取り付けた振動計測器において、掘削時の振動を計測し、前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記孔の深さと関連付け、前記周波数分析結果に基づいて、前記支持層への到達を判定する。これにより、N値や積分電流値が高い地質が積層されている場合であっても、地質によって振動の周波数についての分析結果が変化するので、この周波数分析結果の変化に基づいて、削孔の支持層への到達を判定することができる。
・上記支持層到達判定方法において、前記孔の掘削時に取得した電流値を更に用いて、前記支持層への到達を判定することが好ましい。これにより、電流値を参考にして、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。
・上記課題を解決するための判定支援システムは、杭孔について杭の支持層への到達の判定を支援するための判定支援システムであって、孔を掘削する掘削装置に取り付けて振動を計測する振動計測部と、前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記孔の深さと関連付けて計測情報記憶部に記録する記録部と、前記計測情報記憶部に記録された周波数分析結果を出力する出力部とを備える。これにより、地質変化に応じて変化する振動についての周波数分析結果の変化に基づいて、削孔の支持層への到達を、的確に判定することができる。

Claims (6)

  1. 杭孔について杭の支持層への到達を判定する支持層到達判定方法であって、
    杭孔の掘削装置に取り付けた振動計測器において、掘削時の振動を計測し、
    前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記杭孔の深さと関連付け、
    前記周波数分析結果に基づいて、前記支持層への到達を判定することを特徴とする支持層到達判定方法。
  2. 地表から少なくとも前記支持層までの地質と、前記掘削時の前記周波数分析結果との比較により、前記支持層への到達を判定することを特徴とする請求項1に記載の支持層到達判定方法。
  3. 地表から少なくとも前記支持層までの地質に対応させた周波数分析結果についての基準値と、前記掘削時の前記周波数分析結果との比較により、前記支持層への到達を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持層到達判定方法。
  4. 前記周波数分析として、水平方向の周波数分析と鉛直方向の周波数分析とを用い、
    前記支持層への到達を、判定可能な方向の周波数分析を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の支持層到達判定方法。
  5. 前記杭孔の掘削時に取得した電流値を更に用いて、前記支持層への到達を判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の支持層到達判定方法。
  6. 杭孔について杭の支持層への到達の判定を支援するための判定支援システムであって、
    杭孔の掘削装置に取り付けて振動を計測する振動計測部と、
    前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記杭孔の深さと関連付けて計測情報記憶部に記録する記録部と、
    前記計測情報記憶部に記録された周波数分析結果を出力する出力部とを備えることを特徴とする判定支援システム。
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