JP7303720B2 - 地層構造解析システム及びプログラム - Google Patents
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Description
このため、従来は施工現場の複数箇所において標準貫入試験を伴う土質調査を行い、地層毎の深度範囲を求めることが行われている。
「標準貫入試験」 インターネットURL:http://www.nikken-kiso.co.jp/geo_03.html 検索日:2019年7月9日
そして、この柱状図80, 82間で各土質の境目を仮境界線84で結ぶことにより、一定の施工領域内の地層構造が決定される。
この結果、地表86上の地点Xにおいて地盤改良体を形成する際には、上記の仮境界線84に基づいた地層構造を前提に、施工仕様が設定される。
このため、上記の仮境界線84に従って施工仕様を設定した場合には、均等な改良体の造成を行うことができなくなる可能性があった。
もちろん、施工対象箇所毎に土質調査を行い、正確な地層分布を確認することは技術的に可能ではあるが、工期やコストの観点からは非現実的と言わざるを得ない。
図1は、この発明に係る地層構造解析システム10の機能構成を示すブロック図であり、データ取得部11と、解析部12と、基準データ記憶部13と、削孔データ記憶部14と、ディスプレイ15と、解析結果記憶部16と、基準地層構造記憶部17と、頂部適合範囲記憶部18を備えている。
また、基準データ記憶部13、削孔データ記憶部14、解析結果記憶部16、基準地層構造記憶部17及び頂部適合範囲記憶部18は、コンピュータの記憶装置内に設けられている。
データ取得部11は、外部から入力された削孔パラメータとしての水圧値19及び電流値20に、入力時点の削孔深度21を関連付けて基準データ及び削孔データを生成し、基準データ記憶部13及び削孔データ記憶部14に格納する機能を備えている(詳細は後述)。
例えば、データ取得部11、基準データ記憶部13及び削孔データ記憶部14を備えた第1のシステム10aと、解析部12、ディスプレイ15、解析結果記憶部16、基準地層構造記憶部17、頂部適合範囲記憶部18を備えた第2のシステム10bとに分けて構成することもできる。
上記地層構造解析システム10は、この制御装置34内に組み込まれている。
このホース36の他端にはポンプ37が接続されており、このポンプ37によって圧縮されたタンク38内の削孔水が、ボーリングロッド32に供給される。
そして、ボーリングロッド32の先端ビットから高圧の削孔水を噴射すると同時に、ボーリングロッド32を所定の速度で回転させつつ、所定のストロークで下降させることにより、地盤39に縦穴40が穿設される。
この流量・圧力計41からの出力は、信号ケーブル42を介して制御装置34に入力される。
制御装置34には、モーター33の電流値や回転数、削孔深度、削孔速度、振動加速度等を計測する各種センサからの出力信号も入力される。
図3は、この柱状図50を示すものであり、深度(地表30からの距離)と土質との対応関係が示されている。
ここでは、深度0m~1mの範囲に礫層が、深度1m~2mの範囲にシルト層が、深度2m~3mの範囲に粘土層が存在していることが示されている。
図4は基準地層構造設定情報を示しており、図3の柱状図50に対応した地層の種類(土質)と分布深度(上端深度及び下端深度)が格納されている。
この削孔に際し、地層構造解析システム10のデータ取得部11は、流量・圧力計41から出力されるポンプ37の水圧値と、電流計から出力されるモーター33の電流値を、削孔深度に関連付けて基準データを生成し、基準データ記憶部13に格納する。
図5(a)は、この基準データ記憶部13に格納されたあるデータ採取箇所における水圧値の基準データの一部を例示するものであり、深度0.01m(1cm)単位で水圧値の推移が記録されている。
また図5(b)は、基準データ記憶部13に格納された同一箇所における電流値の基準データの一部を例示するものであり、同じく深度0.01m(1cm)単位で電流値の推移が記録されている。
図6は、この頂部適合範囲設定情報の一例を示すものである。
すなわち、図6(a)は水圧値用の頂部適合範囲設定情報を示しており、礫、シルト、粘土の土質毎に、「頂部」すなわち累積ヒストグラムの累積相対度数80%における適合範囲、累積相対度数90%における適合範囲、累積相対度数95%における適合範囲が、それぞれ定義されている。
また、図6(b)は電流値用の頂部適合範囲設定情報を示しており、礫、シルト、粘土の土質毎に、累積ヒストグラムの累積相対度数80%における適合範囲、累積相対度数90%における適合範囲、累積相対度数95%における適合範囲が、それぞれ定義されている。
まず解析部12は、基準地層構造記憶部17から「基準地層構造設定情報」を読み込み、この基準地層構造設定情報に基づいて対象となる地層の構成(土質の種類)と、それぞれの深度範囲を特定する(S10)。
(1) 深度0.01~1.00mの範囲の基準データ→礫層用
(2) 深度1.01~2.00mの範囲の基準データ→シルト層用
(3) 深度2.01~3.00mの範囲の基準データ→粘土層用
図8(a)~(c)は、礫、シルト、粘土の地層毎に、縦軸に累積相対度数(%)が設定されると共に、横軸に水圧値(MPa)が設定されたグラフ平面上に、水圧値の基準データのヒストグラムを示す棒グラフ55と、その累積ヒストグラムを示す折れ線グラフ56が配置された様子を示している。
また、図9(a)~(c)は、礫、シルト、粘土の地層毎に、縦軸に累積相対度数(%)が設定されると共に、横軸に電流値(A)が設定されたグラフ平面上に、電流値の基準データのヒストグラムを示す棒グラフ55と、その累積ヒストグラムを示す折れ線グラフ56が配置された様子を示している。
この結果、例えば土質調査実施箇所近傍の5箇所において基準データを採取していた場合には、地層毎に、累積相対度数:80%、90%、95%の各頂部について、それぞれ5つの水圧値及び電流値が得られることとなる。
なお、図8及び図9における縦軸80%、90%、95%の位置には、参考までに頂部適合範囲を示す3本の横棒58a, 58b, 58cが表示されている。
そして、地盤改良工事の一環として、ボーリングロッド32を用いたガイドホール(縦穴)53の削孔を実施する。
図11は、この削孔データ記憶部14に格納された削孔データの一部を例示するものであり、基準データと同様、深度0.01m(1cm)単位で水圧値と電流値がそれぞれ記録されている。
以下、図12のフローチャートに従い、解析部12の処理手順を説明する。
まず解析部12は、削孔データ記憶部14から、水圧値及び電流値の削孔データを読み込みむと共に(S30)、頂部適合範囲記憶部18から頂部適合範囲設定情報を読み込む(S32)。
ここで「所定の深度範囲」は、以下の深度範囲設定ルールに従って導かれる。
(1) 所定の最大深度範囲内で設定される。
(2) 一定の深度単位(例えば5cm単位)で深度範囲を上下方向に減じることで、多数の深度範囲を設定する。
また、「0.00~2.95m」がつぎの深度範囲となる。
以下、「0.00~2.90m」、「0.00~2.85m」、「0.00~2.80m」…と深度範囲が5cm単位で減少していき、「0.00~0.05m」となった時点で上限が5cm下がり、「0.05~3.00m」がつぎの深度範囲となる。
そして、「0.05~2.95m」、「0.05~2.90m」、「0.05~2.85m」、「0.05~2.80m」…と続き、「0.05~0.10m」となった時点で上限が再び5cm下がり、「0.10~3.00m」がつぎの深度範囲となる。
上記のように、5cm単位で深度の上限と下限を変化させていくことにより、最後の「2.95~3.00m」に至るまでに数多くの深度範囲が設定されることとなる。
解析部12は、一つの深度範囲についてS36~S40の処理を行った後、つぎの深度範囲に含まれる水圧値及び電流値の削孔データを抽出し(S42、S44)、S36~S40の処理を繰り返す。
が認定されている。
が認定されている。
が認定されている。
なお、図17に示した通り、深度範囲「2.00~3.00m」においても水圧値及び電流値の双方で粘土の頂部適合範囲との合致度が「6」の判定結果が得られているため、解析部12は上記深度範囲を「粘土層」と推定することとなるが、この深度範囲は上記「1.80~3.00m」に包摂されるため、粘土層の深度範囲としては「1.80~3.00m」が採用される。
なお、解析結果記憶部16に格納されるのは、各地層の最終的な深度範囲のみではなく、上記深度範囲設定ルールに従って設定された全深度範囲についての判定結果(各頂部適合範囲との合致/非合致の判定結果)も含まれている。
なお、「頂部」の具体的な位置について限定はなく、80%、90%、95%以外の位置を頂部とすることもできる。
また、頂部の数についても「3」に限定されるものではない。
例えば、同種の土質に係る5つ以上の頂部適合範囲に合致する場合に、合致した頂部適合範囲の土質に当該深度範囲が属するものと認定することが該当する。
すなわち、同図において折れ線グラフ56は、95%の頂部適合範囲の横棒58c自体と交差しているため、当該頂部適合範囲に1.0のポイントが認定されている。これに対し、90%の頂部適合範囲の横棒58bとは交差しないものの、拡張領域70の端の方で交差しているため、0.2ポイントが認定されている。また、80%の頂部適合範囲の横棒58aとも交差しないが、拡張領域70の中心で交差しているため、0.5ポイントが認定されている。図示は省略したが、折れ線グラフ56が各頂部適合範囲の横棒及び拡張領域の何れとも交差しない場合、当該頂部適合範囲については0ポイントが計上される。
11 データ取得部
12 解析部
13 基準データ記憶部
14 削孔データ記憶部
15 ディスプレイ
16 解析結果記憶部
17 基準地層構造記憶部
18 頂部適合範囲記憶部
19 水圧値
20 電流値
21 削孔深度
30 地表
31 地盤改良装置
32 ボーリングロッド
33 モーター
34 制御装置
35 削孔スイベル
36 ホース
37 ポンプ
38 タンク
39 地盤
40 縦穴
41 流量・圧力計
42 信号ケーブル
51 土質調査実施箇所
52 施工対象箇所
53 ガイドホール
55 ヒストグラムの棒グラフ
56 累積ヒストグラムの折れ線グラフ
58a~58c 頂部適合範囲の横棒
60 二重管ロッド
61 改良体
70 拡張領域
Claims (7)
- 地盤改良工事の施工対象箇所において縦穴を削孔するに際し、1種または複数種の削孔パラメータの値を所定の深度毎に取得すると共に、取得時の深度と値を関連付けた削孔データを生成し、削孔データ記憶手段に格納する手段と、
累積ヒストグラム中の所定の累積相対度数における値の適合範囲を、土質毎及び削孔パラメータ毎に定義した適合範囲設定情報と、
上記削孔データに基づき、当該施工対象箇所における地層構成を推定する解析手段とを備え、
この解析手段は、
上記削孔データ記憶手段から所定の深度範囲に含まれる削孔データを抽出し、削孔パラメータ毎の累積ヒストグラムを生成する第1の処理と、
上記適合範囲設定情報を参照し、上記累積ヒストグラムの所定の累積相対度数における値が、各土質の適合範囲に合致するか否かを、削孔パラメータ毎に判定する第2の処理と、
上記の判定結果を外部に出力する第3の処理と、
を実行することを特徴とする地層構造解析システム。 - 上記解析手段は、削孔データを抽出する深度範囲を変えながら、上記第1の処理~第3の処理を必要回数繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の地層構造解析システム。
- 上記解析手段は、同一の深度範囲について、異なる累積相対度数または異なる削孔パラメータ毎に複数の判定結果が得られた場合に、合致の判定結果が所定数以上となった土質を、当該深度範囲の地層として関連付けることを特徴とする請求項1または2に記載の地層構造解析システム。
- 上記適合範囲は、上記累積ヒストグラムにおける累積相対度数が80%、90%及び95%の頂部毎に設定されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の地層構造解析システム。
- 上記削孔パラメータの値は、削孔に用いるモーターの電流値と、削孔に用いる削孔水の水圧値であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の地層構造解析システム。
- 所定の施工対象領域内で取得した柱状図に含まれる各地層の土質と、各地層の上端深度及び下端深度を定義した基準地層構造設定情報と、
上記柱状図を取得した箇所の近傍において複数の縦穴を削孔する際に、1種または複数種の削孔パラメータの値を所定の深度毎に取得すると共に、取得時の深度と値を関連付けた基準データを縦穴毎に生成し、基準データ記憶手段に格納する手段と、
上記基準地層構造設定情報に基づき、各縦穴に係る基準データをそれぞれの深度に応じて地層毎に区分する手段と、
地層毎に区分された基準データに基づいて、地層毎の累積ヒストグラムを縦穴単位で生成する手段と、
各累積ヒストグラムの所定の累積相対度数における値を取得する手段と、
各縦穴の同一地層に係る上記値を集計し、その最大値及び最小値を抽出することにより、上記適合範囲を生成する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の地層構造解析システム。 - コンピュータを、請求項1~6に記載の地層構造解析システムとして機能させることを特徴とするプログラム。
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