JP2019152080A - 基礎構造及び施工管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】枠型改良壁と拘束地盤とが一体となって建物または構造物を支えることができる基礎構造及び施工管理方法を提供する。【解決手段】枠型改良壁は、区画領域20Rにおいて、掘削した地盤に地盤改良材が混合された状態で形成され、枠型改良壁10の各壁部10a,10b,10c,10dは、区画領域20Rの各辺20a,20b,20c,20dに平行に配置され、枠型改良壁10における対向する平行な壁部10a,10b,10c,10dのそれぞれの壁幅中心軸O1,O2,O3,O4間の距離Laは、壁部の壁幅中心軸に直交する幅方向に延びる区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/2であり、幅方向において、対向する区画領域20Rの辺を結ぶ中心を通る第1の線P1と、対向する壁部の前記壁幅中心軸を結ぶ線分の中心を通る第2の線P2とが一致する。【選択図】図3

Description

本発明は、基礎構造及び施工管理方法に関する。
従来、地盤改良施工として、例えば特許文献1に示されるように、軟弱地盤の上方に建築される建物に不同沈下が生じることを抑制することを目的として表層改良を行う表層改良工法が知られている。
このような表層改良工法では、例えば改良地盤の表層部分の土砂に、例えば石灰、セメント等の粉体のセメント系固化材を混合し、例えば30〜50cm程度の層厚毎に攪拌と転圧を繰り返すことによって所定厚さの地盤改良層を形成している。
特開2007−120240号公報
しかしながら、従来の表層改良工法では、粉体のセメント系固化材を用いるため、表層の土砂に対して十分に混合されず、混合部分と非混合部分が生じて不均一でばらつきが生じることがあった。そのため、地盤改良体としての設計強度が不足し、構造物が沈下したり変形が生じるおそれがあり、建物を効果的に支持することができないことから、その点で改善の余地がある。
また、表層改良工法では、構造物が設置される地盤の全領域が改良範囲となることから、構造物の設置面積が大きい場合に施工にかかる時間とコストが増加するという問題があった。
また、全域改良した後に埋設管の施設等の再掘削をする場合、固化した地盤の掘削となるため困難を要する場合があった。
このことから、確実に構造物の支持力を確保できることと、施工効率を向上させて施工時間とコストを低減できることとをバランスよく達成できる施工方法が求められていた。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、枠型改良壁によって囲まれた地盤の拘束力を効果的に高めることで、その拘束地盤の変形を抑えることが可能となり、枠型改良壁と拘束地盤とが一体となって建物または構造物を支えることができる基礎構造及び施工管理方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、施工効率を向上して、施工にかかる時間とコストを低減できる基礎構造及び施工管理方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様の基礎構造では、上面視で建物または構造物の支持柱を頂点とする矩形状の区画領域の地盤に枠型改良壁が形成された基礎構造であって、前記枠型改良壁は、前記区画領域において、掘削した地盤に地盤改良材が混合された状態で形成され、前記枠型改良壁の各壁部は、前記区画領域の各辺に平行に配置され、前記枠型改良壁における対向する平行な壁部のそれぞれの壁幅中心軸間の距離は、前記壁部の該壁幅中心軸に直交する幅方向に延びる前記区画領域の区画幅寸法の1/2であり、前記幅方向において、対向する前記区画領域の辺を結ぶ中心を通る第1の線と、対向する前記壁部の前記壁幅中心軸を結ぶ線分の中心を通る第2の線とが一致することを特徴としている。
本発明では、枠型改良壁が建物または構造物(以下、建物等という)の直下の対象地盤を囲うように設けられているので、枠型改良壁に囲われた範囲にある地盤は水平方向への移動が拘束された状態となって剛性が増す。そして、枠型改良壁の各壁部は、区画領域の各辺に平行に配置され、枠型改良壁における対向する平行な壁部のそれぞれの壁幅中心軸間の距離は、壁部の壁幅中心軸に直交する幅方向に延びる区画領域の区画幅寸法の1/2であり、幅方向において、対向する区画領域の辺を結ぶ中心を通る第1の線と、対向する壁部の壁幅中心軸を結ぶ線分の中心を通る第2の線とが一致するため、地盤側と建物等側に生じる応力モーメントを抑えることが可能となる。その結果、枠型改良壁で拘束された地盤を介して建物等全荷重を枠型改良壁に受け持たせることができる。
また、本発明では、従来のように建物等が設置される地盤の全領域が改良範囲となる表層改良工法の場合に比べて、施工される枠型改良壁の改良範囲を大幅に減らすことができるので、施工効率を向上させて施工時間とコストを低減できる。
本発明に係る第2の態様の基礎構造では、前記幅方向に対向する前記壁部同士間の距離Dと、前記壁部の幅寸法Bと、前記壁部の深さ寸法Hと、の関係が(1)式及び(2)式の双方を満たしていてもよい。
Figure 2019152080
本発明では、幅方向に対向する壁部同士間の距離Dが壁部の深さ寸法Hの3倍以下であるため、枠型改良壁を構成する壁部のうち、対向する壁部間の間隔が広がり過ぎない。すなわち、対向する壁部間の間隔を最適にすることができるため、枠型改良壁によって囲まれる地盤の拘束力を高めることができる。さらに、壁部の深さ寸法Hよりも壁部の幅寸法Bの方が大きいため、深く掘削する必要がなくなり、作業コストを抑えつつ、枠型改良壁を地盤内に安定して設けることができる。これらにより、枠型改良壁によって囲まれる地盤の拘束力を確実に高めることが可能となる。
本発明に係る施工管理方法では、上記第1の態様または上記第2の態様の基礎構造の前記枠型改良壁の上に床コンクリートを設けて施工する施工管理方法であって、上面視で建物または構造物の支持柱を頂点とする矩形状の区画領域を決定する工程と、前記区画領域に前記枠型改良壁及び前記床コンクリートをモデル化して、該区画領域の変形と応力を解析する工程と、前記解析によって得られた解析結果に基づいて前記床コンクリートに埋設される鉄筋の条件を設定する工程と、を有することを特徴としている。
本発明では、区画領域に枠型改良壁及び床コンクリートをモデル化して、区画領域の変形と応力を解析し、この解析結果に基づいて床コンクリートに埋設される鉄筋の条件を設定する。これにより、枠型改良壁が、建物等の直下の対象地盤の性質に応じた鉄筋を設定することができるため、枠型改良壁によって囲まれる地盤の拘束力を確実に高めつつ、鉄筋の外径や間隔等を最適な値に設定することが可能となる。
また、床の沈下等による不具合時に区画領域ごとに原因究明することも可能となる。
本発明の基礎構造及び施工管理方法によれば、枠型改良壁によって囲まれた地盤の拘束力を効果的に高めることで、その拘束地盤の変形を抑えることが可能となり、枠型改良壁と拘束地盤とが一体となって建物または構造物を支えることができる。
また、本発明の基礎構造及び施工管理方法によれば、施工効率を向上して、施工にかかる時間とコストを低減できる。
本発明の一実施形態に係る建物の地盤に施工された基礎構造の構成を示す縦断面図である。 図1に示す地盤に施工された複数の枠型改良壁を示す平面図である。 図2に示す枠型改良壁の拡大図を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る基礎構造に加わるモーメントを説明するための側断面図である。 本発明の一実施形態に係る基礎構造に用いられる枠型改良壁の側断面図である。 地盤を改良する地盤改良装置の斜視図である。
本発明の一実施形態に係る基礎構造について、図1〜図6を参照して説明する。
本実施形態による基礎構造1は、図1に示すように、建物2を支持する枠型改良壁10を備えている。
基礎構造1は、図2に示すように、所定の対象地盤(図2に示す二点鎖線で囲まれた領域)Gにおいて、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより形成される。また、基礎構造1は、縦横等間隔に配列された複数の独立した枠型改良壁10を備えている。本実施形態では、対象地盤G内に9つの枠型改良壁10を備えた例について説明する。
基礎構造1には、図2に示すように、上面視正方形状の対象地盤G内において、対象地盤Gの頂点及び各辺を含むように縦方向(Y方向)に等間隔に4つの支持柱3が設けられている。横方向(X方向)にも同様に、等間隔に4列の支持柱3が設けられている。これにより、対象地盤G内には、16本の支持柱3が立設されている。なお、図1は、見やすくするために、建物2の外周の支持柱3のみを示している。
支持柱3は、図1に示すように、それぞれ支持地盤に到達する杭上に柱基礎4を介して設けられている。支持柱3の柱基礎4は、対象地盤G上に設けられる床コンクリート30に一体的に接続されている。
複数の支持柱3のうち矩形状に配置される4本の支持柱3によって囲まれる領域を区画領域20Rと定義する。本実施形態では、対象地盤G内に9つの区画領域20Rが設けられている。すべての区画領域20Rには、それぞれ1つの枠型改良壁10が設けられている。いずれの区画領域20Rも同じ構成であるため、対象地盤Gにおける左上の区画領域20Rを例に挙げて説明する。
区画領域20Rは、図2に示すように、支持柱3a、3b、3c、3dを頂点とする矩形状の領域である。この区画領域20R内に枠型改良壁10が一つ設けられている。なお、本実施形態では、区画領域20Rの形状は上面視正方形状である。枠型改良壁10は、図1及び図2に示すように、建物2直下の地盤Gにおいて、その地盤Gの一部(これを壁内地盤G1という)を囲むように設けられる。
枠型改良壁10は、上面視正方形状の開口11を有する枠状に形成されている。枠型改良壁10は、図3に示すように、4つの壁部10a、10b、10c、10dによって構成されている。本実施形態では、枠型改良壁10は上面視正方形に形成されているので、第1幅方向(X方向)における枠型改良壁10の壁部10a,壁部10cの寸法は、第2幅方向(Y方向)における壁部10b,壁部10dの第2幅方向Yの寸法と同じである。枠型改良壁10の各壁部10a、10b、10c、10dは、対向する区画領域20Rの各辺20a,20b,20c,20dに沿って平行に配置されている。
壁部10a,10cの壁幅中心軸O1,O3に直交する第1幅方向Xに延びる区画領域20Rの区画幅寸法Lとし、枠型改良壁10における対向する平行な壁部10aの壁幅中心軸O1と壁部10cの壁幅中心軸O3との間の距離Laとすると、距離Laは、区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/2となるように区画領域20R内に配置されている。
同様に、壁部10b,10dの壁幅中心軸O2,O4に直交する第2幅方向Yに延びる区画領域20Rの区画幅寸法L1とし、枠型改良壁10における対向する平行な壁部10bの壁幅中心軸O2と壁部10dの壁幅中心軸O4との間の距離La1とすると、距離La1は、区画領域20Rの区画幅寸法L1の1/2となるように区画領域20R内に配置されている。
さらに、枠型改良壁10の第1幅方向Xにおいて、対向する区画領域20Rの辺20aと辺20cとを結ぶ線分の中心を通る第1の線P1と、対向する壁部10a,10cの壁幅中心軸O1と壁幅中心軸O3とを結ぶ線分の中心を通る第2の線P2とが一致する。
同様に、枠型改良壁10の第2幅方向Yにおいて、対向する区画領域20Rの辺20bと辺20dとを結ぶ線分の中心を通る第3の線(第1の線)P3と、対向する壁部の壁幅中心軸O2と壁幅中心軸O4とを結ぶ線分の中心を通る第4の線(第2の線)P4とが一致する。
すなわち、区画領域20Rの辺20aと壁部10aの中心軸O1との間の寸法Lbは、区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/4となっており、区画領域20Rの辺20cと壁部10cの中心軸O3との間の寸法Lb1は、区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/4となっている。
同様に、区画領域20Rの辺20dと壁部10dの中心軸O4との間の寸法Lcは、区画領域20Rの区画幅寸法L1の1/4となっており、区画領域20Rの辺20bと壁部10bの中心軸O2との間の寸法Lc1は、区画領域20Rの区画幅寸法L1の1/4となっている。
次に、基礎構造1の枠型改良壁10の作用について説明する。
図4に示すように、基礎構造1の枠型改良壁10の上には床コンクリート30が設けられる。本実施形態では、建物2の荷重や床コンクリート30の自重等により、床コンクリート30に応力モーメントが生じ、区画領域20R内において地盤G1側への応力モーメントF1と建物2側への応力モーメントF2が生じる。このとき、区画領域20R内において、応力モーメントがゼロとなる位置Q1,Q2に枠型改良壁10が設けられている。すなわち、位置Q1,Q2に枠型改良壁10の壁部10a,10b,10c,10dが位置しているため、壁部10aと壁部10c間及び壁部10cと壁部10dとの間の応力モーメントを最大限に抑えることができる。従って、基礎構造1に加えられる応力モーメントを抑えることができるため、建物を効率よく支えつつ、地震時に枠型改良壁10に水平力が作用しても地盤Gの拘束力が高まり、地盤Gが変形するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、枠型改良壁10の第1幅方向Xに対向する壁部10aと壁部10cとの間の距離(長さ寸法)をDとし、壁部10a及び壁部10cの幅寸法をBとし、壁部10a及び壁部10cの深さ寸法をHとすると、以下の式(1)及び式(2)の双方を満たす。
Figure 2019152080
なお、本実施形態では、幅寸法Bはいずれの壁部10b,10c,10dにおいても同じ寸法であり、深さ寸法Hも同様に壁部10b,10c,10dのいずれにおいても同じ寸法である。
次に、上述した基礎構造1の枠型改良壁の上に床コンクリートを設けて施工する施工管理方法について説明する。
まず、地盤改良を行う領域において、上面視で建物2の支持柱3を頂点とする区形状の区画領域20Rを決定する。
次に、区画領域20Rに枠型改良壁10及び床コンクリート30をモデル化して、区画領域20Rの変形と応力を解析する。次に、解析によって得られた解析結果に基づいて床コンクリート30に埋設される鉄筋の条件を設定する。
次に、基礎構造の工法について説明する。
基礎構造1を施工するために、図6に示すように、地盤改良装置40が用いられる。地盤改良装置40のアーム41の先端41aには、掘削部42が設けられている。掘削部42は、土壌を掘り起こす爪部43と、掘り起こされた土塊を裁断及び混合する回転可能な掘削翼44とを有している。
各区画領域20Rにおいて、中心軸間の寸法Laが区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/2となり、かつ、寸法Lb,Lb1が区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/4となり、中心軸間の寸法La1が区画領域20Rの区画幅寸法L1の1/2となり、かつ、寸法Lc,Lc1が区画領域20Rの区画幅寸法L1の1/4となる位置に、掘削翼44を回転させながら地盤G中の鉛直方向下方に移動して掘削する。掘削土に地盤改良材を添加して混合し、攪拌することにより枠型改良壁を施工する。掘削土に添加される地盤改良材として、地盤改良の目的に応じて、セメントミルク等の液状の材料や、粉体状の材料などの適宜な薬剤を採用することができる。このようにして、枠型改良壁10が形成される。
次に、上述した施工管理方法により設定された床コンクリートの厚みや床コンクリートに埋設される鉄筋の条件(例えば、鉄筋の外径や間隔)に基づいて、基礎構造の枠型改良壁の上に床コンクリートを形成する。
本実施形態によれば、図1に示すように、枠型改良壁10は、建物2直下の地盤Gにおいて、その地盤Gの一部である壁内地盤G1を囲むように設けられるとともに、複数の枠型改良壁10同士の間に位置する範囲の地盤においてもその周囲に枠型改良壁10が配置された状態となる。これにより、地盤G全域の水平方向の移動が拘束された状態となって剛性が増すことになり、地盤G上に設けられた建物2の不同沈下(不等沈下)を防止することができる。
枠型改良壁10は、上記式(1)を満たすことにより、壁部10aと壁部10cとの間の距離及び壁部10bと壁部10dとの間の距離が広がり過ぎない。すなわち、開口11が大きくなり過ぎないので、壁内地盤G1の拘束力を確実に高めることが可能となる。また、枠型改良壁10は、上記式(2)を満たすことにより、枠型改良壁10を地盤G深くに形成する必要がないため、地盤Gを深く掘らなくて済むので、低コスト化を図ることができる。すなわち、基礎構造1は、式(1)及び式(2)の双方を満たす枠型改良壁10を設けることにより、壁内地盤G1を含む地盤G全域の水平方向の移動が拘束された状態となって剛性が増すことになり、地盤Gの拘束力を高めつつ、低コスト化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように掘削土に添加して混合する地盤改良材として、セメントミルク等の液状の材料や、粉体状の材料などの適宜な薬剤を採用することが可能であるが、液状の材料を用いてスラリー改良体を形成することが好ましい。スラリー改良体の場合には、地盤改良材と土砂とが均質に混合され、改良体としての品質を高めることができる。
さらに、本実施形態では、従来のように建物等が設置される地盤の全領域が改良範囲となる表層改良工法の場合に比べて、施工される枠型改良壁の改良範囲を大幅に減らすことができるので、施工効率を向上させて施工時間とコストを低減できる。
また、本実施形態では、区画領域20Rに枠型改良壁10及び床コンクリート30をモデル化して、区画領域20Rの変形と応力を解析し、この解析結果に基づいて床コンクリート30に埋設される鉄筋の条件を設定する。これにより、枠型改良壁10が、建物等の直下の対象地盤の性質に応じた鉄筋を設定することができるため、枠型改良壁10によって囲まれる地盤の拘束力を確実に高めつつ、鉄筋の外径や間隔等を最適な値に設定することが可能となる。
また、床の沈下等による不具合時に区画領域20Rごとに原因究明することも可能となる。
[実施例]
本実施例では、上述した実施の形態の基礎構造1の効果を数値解析に基づいて確認した。具体的には、枠型改良壁の長さ寸法Dが深さ寸法Hの3倍である基礎構造の有効性について確認した。
表1に示すように、上述した基礎構造に形成される枠型改良壁のモデルA、モデルB、モデルCについての評価を行った。
Figure 2019152080
枠型改良壁のモデルAでは、床の積載荷重が10kN/m、床コンクリートの厚みが140mmである。この場合、床の最大沈下量は、1.1mmであり、床の最大傾斜角度は、1/4105radである。
枠型改良壁のモデルAでは、上記施工管理方法により、床コンクリートには、外径13mmまたは外径10mmの鉄筋をシングルで200mmごと配置することが決定される。
枠型改良壁のモデルBでは、床の積載荷重が15kN/m、床コンクリートの厚みが150mmである。この場合、床の最大沈下量は、1.3mmであり、床の最大傾斜角度は、1/3368radである。
枠型改良壁のモデルBは、上記施工管理方法により、床コンクリートには、外径13mmの鉄筋を床の厚さ方向に1本(シングル)で200mmの間隔で配置することが決定される。
枠型改良壁のモデルCでは、床の積載荷重が20kN/m、床コンクリートの厚みが170mmである。この場合、床の最大沈下量は、1.7mmであり、床の最大傾斜角度は、1/2693radである。
枠型改良壁のモデルCは、上記施工管理方法により、床コンクリートには、外径13mmの鉄筋を床の厚さ方向に2本(ダブル)で200mmの間隔で配置することが決定される。
以上の結果より、本実施形態の基礎構造1の枠型改良壁10を用いることにより、床の沈下量(変形量)を2.0mm以下に抑えられることが確認できた。また、床の最大傾斜角を1/1000以下に抑えられることが確認できた。また、床コンクリートに埋設される鉄筋の条件も通常使われる鉄筋の範囲であることが確認できた。
これにより、本実施形態の基礎構造1では、コストの低減を図りつつ、床を支持することが可能となる。
なお、本実施形態の基礎構造1の枠型改良壁10は、少なくとも、壁部10aの中心軸O1と壁部10cの中心軸O3との間の寸法Laが区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/2となり、区画領域20Rの辺20aと辺20dとを結ぶ線分の中心を通る第1の線P1と、壁部10aの中心軸O1と壁部10cの中心軸O3とを結ぶ線分の中心を通る第2の線P2とが一致していればよく、必ずしも上記式(1)及び式(2)を満たしていなくても本実施形態の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、枠型改良壁10の形状を上面視正方形状としたが、これに限らず、例えば、区画領域が長方形である場合は、長辺側に対向する壁部の長さを長くすればよい。すなわち、壁部10aの中心軸O1と壁部10cの中心軸O3との間の寸法Laが区画領域20Rの区画幅寸法Lの1/2となり、区画領域20Rの辺20aと辺20dとを結ぶ線分の中心を通る第1の線P1と、壁部10aの中心軸O1と壁部10cの中心軸O3とを結ぶ線分の中心を通る第2の線P2とが一致していれば、区画領域の形状に応じて枠型改良壁の形状を変化させることにより、区画領域がどのような形状であっても地盤の拘束力を高めることが可能となる。
また、壁部10a,10b,10c,10dの深さ寸法Hは、地表面部分を改良する表層改良部の深さと同じ深さ寸法であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
B 壁部の幅寸法
D 壁部間の距離
H 壁部の深さ寸法
La,La1 距離
L,L1 区画幅寸法
O1,O2,O3,O4 壁部の中心軸
P1 第1の線
P2 第2の線
1 基礎構造
2 建物
3 支持柱
10 枠型改良壁
10a,10b,10c,10d 壁部
20R 区画領域
20a,20b,20c,20d 枠型改良壁の辺

Claims (3)

  1. 上面視で建物または構造物の支持柱を頂点とする矩形状の区画領域の地盤に枠型改良壁が形成された基礎構造であって、
    前記枠型改良壁は、前記区画領域において、掘削した地盤に地盤改良材が混合された状態で形成され、
    前記枠型改良壁の各壁部は、前記区画領域の各辺に平行に配置され、
    前記枠型改良壁における対向する平行な壁部のそれぞれの壁幅中心軸間の距離は、前記壁部の該壁幅中心軸に直交する幅方向に延びる前記区画領域の区画幅寸法の1/2であり、
    前記幅方向において、対向する前記区画領域の辺を結ぶ中心を通る第1の線と、対向する前記壁部の前記壁幅中心軸を結ぶ線分の中心を通る第2の線とが一致することを特徴とする基礎構造。
  2. 前記幅方向に対向する前記壁部同士間の距離Dと、前記壁部の幅寸法Bと、前記壁部の深さ寸法Hと、の関係が(1)式及び(2)式の双方を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
    Figure 2019152080
  3. 請求項1または請求項2に記載の基礎構造の前記枠型改良壁の上に床コンクリートを設けて施工する施工管理方法であって、
    上面視で建物または構造物の支持柱を頂点とする矩形状の区画領域を決定する工程と、
    前記区画領域に前記枠型改良壁及び前記床コンクリートをモデル化して、該区画領域の変形と応力を解析する工程と、
    前記解析によって得られた解析結果に基づいて前記床コンクリートに埋設される鉄筋の条件を設定する工程と、
    を有することを特徴とする施工管理方法。
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