JP2018182090A - ペルチェモジュール及びペルチェモジュールの製造方法 - Google Patents

ペルチェモジュール及びペルチェモジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属基板を使用することが可能でありかつ複数のペルチェ素子に印加される圧力を均一にすることが可能なペルチェモジュール及びペルチェモジュールの製造方法を提供する。【解決手段】ペルチェモジュールは、絶縁処理された下面に上部電極が形成された上部金属基板と、上部金属基板に対向して配置され、絶縁処理された上面に下部電極が形成された下部金属基板と、上部金属基板及び下部金属基板間に設けられ、上部電極及び下部電極に液体金属でそれぞれ電気的に接続された複数のペルチェ素子と、互いに対向する上部金属基板及び下部金属基板間の複数のペルチェ素子を側方から囲んで設けられ、上部金属基板及び下部金属基板間の空間を密封する側方部材とを備えており、密封された空間が真空状態に設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、複数のペルチェ素子を搭載しペルチェ効果による冷却作用を呈するペルチェモジュール、及びペルチェモジュールの製造方法に関する。
この種のペルチェモジュールは、熱伝導性が良好な基板上に、各々がn型及びp型半導体熱電材料素子からなる複数のペルチェ素子を配置して通電することによって、ペルチェ効果による冷却作用を得ようとするものである。多くの場合、複数のペルチェ素子は、はんだ付け等により、基板上に堅固に固定される。
ペルチェ素子に通電して冷却を行う場合、基板としては、表面に絶縁被膜を付着させた金属板を用いることが熱伝導率の高さから有利である。しかしながら、金属板で基板を構成すると、ペルチェ素子がビスマス・テルルのような金属間化合物や酸化物からなるセラミックス材料で構成されているため、基板とペルチェ素子との熱膨張率の相違によってひずみが発生し、最悪の場合、ペルチェ素子が、せん断応力によって破壊される可能性がある。このため、従来より、この種のペルチェモジュールの基板には、アルミナのようなセラミックス材料が用いられている。
基板にアルミナ基板を用いると、その上に搭載されるペルチェモジュールの大きさに制限が出てくる。即ち、大きなペルチェモジュールは、面積の大きなアルミナ基板を必要とするが、平板で面積が大きくかつ均一なアルミナ基板は、作製が難しく、これはペルチェモジュールの高価格化を招く。また、アルミナ基板は強度的にも衝撃に弱い等の問題点を有している。
このような従来の問題点を解決した熱電変換モジュールとして、特許文献1には、熱電変換素子を、液体金属によってアルミニウム等の金属基板に接合することが開示されている。この熱電変換モジュールでは、基板上に設けられ各熱電変換素子に接続される電極を凸形状に加工し、熱電変換素子と凸形状の電極との隙間に液体金属を挿入して電気的接続を取り、アルミニウム等の金属基板でこれら熱電変換素子を上下から挟み込み、この金属基板の4隅をねじで固定している。このように、熱電変換素子を液体金属で電極に接合すれば、熱膨張率の相違がこの液体金属で吸収されるため、アルミニウム等の金属基板を使用することが可能となる。
特開2003−037300号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の熱電変換モジュールによると、基板の4隅がねじで固定されるため、各熱電変換素子に印加される圧力が場所により異なって不均一となることから信頼性が大幅に低下するという問題があった。
従って本発明の目的は、金属基板を使用することが可能でありかつ複数のペルチェ素子に印加される圧力を均一にすることが可能なペルチェモジュール及びペルチェモジュールの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、絶縁処理された下面に上部電極が形成された上部金属基板と、上部金属基板に対向して配置され、絶縁処理された上面に下部電極が形成された下部金属基板と、上部金属基板及び下部金属基板間に設けられ、上部電極及び下部電極に液体金属でそれぞれ電気的に接続された複数のペルチェ素子と、互いに対向する上部金属基板及び下部金属基板間の複数のペルチェ素子を側方から囲んで設けられ、上部金属基板及び下部金属基板間の空間を密封する側方部材とを備えており、密封された空間が真空状態に設定されているペルチェモジュールが提供される。
ペルチェ素子は液体金属によって上部電極及び下部電極にそれぞれ電気的に接続される。このため、基板とペルチェ素子との熱膨張係数の相違によって発生するせん断応力がペルチェ素子に及ばないことから、基板にセラミックス以外の材料である例えばアルミニウム材料のような金属材料を用いることが可能となった。その結果、熱の伝達力が大幅に増大しペルチェ素子の性能を向上させるに至った。しかも、本発明によれば、上部金属基板及び下部金属基板間の密封された空間が真空状態に設定されており、大気圧によって上部金属基板及び下部金属基板が上下から押圧されて複数のペルチェ素子の固定が行われるので、これらペルチェ素子に印加される圧力を均一にすることが可能となり、信頼性を向上させることができる。
このように、アルミニウム基板のような金属基板を使用できること及び基板間を真空にして大気圧の押力を利用して固定したことによりペルチェ素子と基板の間の圧力が均一にできたことの両方の効果は、ペルチェ素子の大型化を可能とする。大型化は大型の冷却にも対応でき、冷蔵庫を始め応用の範囲が広がる。また、金属基板はセラミックス基板よりも衝撃力に強くかつ低価格で熱伝導の大幅な改善が見込めるためペルチェ素子の大幅な普及に繋がる。
側方部材が、セラミックス材料、高分子材料又はチクソ性接着剤で形成されていることが好ましい。
上部金属基板又は下部金属基板が、表面をアルマイト処理したアルミニウム板、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成したアルミニウム板、又は表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した銅板であることも好ましい。
上部金属基板又は下部金属基板に、孔封止部材と、この孔封止部材によって封止可能な、真空排気用の貫通孔とが設けられていることも好ましい。
空間の真空状態が、1Pa以下の真空度であることも好ましい。
液体金属が、インジウム・ガリウムの共晶合金、インジウム・ガリウム・スズの共晶合金、インジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金であることも好ましい。ペルチェモジュールが60℃から150℃の温度領域の冷却用として使用される場合は、液体金属がインジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金であることがより好ましい。
複数のペルチェ素子が、非発泡体材料又は発泡体材料で形成されていることも好ましい。
本発明によれば、さらに、絶縁処理された下面を有する上部金属基板及び絶縁処理された上面を有する下部金属基板を用意する工程と、下部金属基板の上面に複数の下部電極を形成し上部金属基板の下面に複数の上部電極を形成する工程と、複数のペルチェ素子を下部金属基板上に載置し、液体金属でこれら複数のペルチェ素子を複数の下部電極にそれぞれ電気的に接続する工程と、下部金属基板上の複数のペルチェ素子を側方から囲む側方部材を形成する工程と、上部金属基板を複数のペルチェ素子及び側方部材上に載置して、上部金属基板及び下部金属基板間の空間を密封すると共に、液体金属で複数のペルチェ素子を複数の上部電極にそれぞれ電気的に接続する工程と、密封された空間を真空状態に設定する工程とを備えたペルチェモジュールの製造方法が提供される。
ペルチェ素子は液体金属によって上部電極及び下部電極にそれぞれ電気的に接続される。このため、基板とペルチェ素子との熱膨張係数の相違によって発生するせん断応力がペルチェ素子に及ばないことから、基板にセラミックス以外の材料である例えばアルミニウム材料のような金属材料を用いることが可能となった。その結果、熱の伝達力が大幅に増大しペルチェ素子の性能を向上させるに至った。しかも、本発明によれば、上部金属基板及び下部金属基板間の密封された空間が真空状態に設定されており、大気圧によって上部金属基板及び下部金属基板が上下から押圧されて複数のペルチェ素子の固定が行われるので、これらペルチェ素子に印加される圧力を均一にすることが可能となり、信頼性を向上させることができる。
このように、アルミニウム基板のような金属基板を使用できること及び基板間を真空にして大気圧の押力を利用して固定したことによりペルチェ素子と基板の間の圧力が均一にできたことの両方の効果は、ペルチェ素子の大型化を可能とする。大型化は大型の冷却にも対応でき、冷蔵庫を始め応用の範囲が広がる。また、金属基板はセラミックス基板よりも衝撃力に強くかつ低価格で熱伝導の大幅な改善が見込めるためペルチェ素子の大幅な普及に繋がる。
側方部材を形成する工程が、セラミックス材料若しくは高分子材料によるスペーサ部材により複数のペルチェ素子を側方から囲む工程、又はチクソ性接着剤で複数のペルチェ素子を側方から囲む工程を含んでいることが好ましい。
上部金属基板及び下部金属基板を用意する工程が、表面をアルマイト処理したアルミニウム板、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成したアルミニウム板、又は表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した銅板を用意する工程を含んでいることも好ましい。
真空状態に設定する工程が、真空排気用の貫通孔から空間を真空状態に排気する工程と、排気した後、この貫通孔を孔封止部材によって封止する工程とを含んでいることも好ましい。
真空状態に設定する工程が、空間を1Pa以下の真空度に設定する工程を含んでいることも好ましい。
液体金属として、インジウム・ガリウムの共晶合金、インジウム・ガリウム・スズの共晶合金、インジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金を用いることも好ましい。ペルチェモジュールが60℃から150℃の温度領域の冷却用として使用される場合は、液体金属として、インジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金を用いることがより好ましい。
複数のペルチェ素子として、非発泡体材料又は発泡体材料で形成されている複数のペルチェ素子を用いることも好ましい。
本発明によれば、アルミニウム基板のような金属基板を用いることが可能となったため、熱の伝達力が大幅に増大しペルチェ素子の性能を向上させることができる。しかも、上部金属基板及び下部金属基板間の密封された空間が真空状態に設定されており、大気圧によって上部金属基板及び下部金属基板が上下から押圧されて複数のペルチェ素子の固定が行われるので、これらペルチェ素子に印加される圧力を均一にすることが可能となり、信頼性を向上させることができる。
このように、金属基板を使用できること及び基板間を真空にして大気圧の押力を利用して固定したことによりペルチェ素子と基板の間の圧力が均一にできたことの両方の効果は、ペルチェ素子の大型化を可能とする。大型化は大型の冷却にも対応でき、冷蔵庫を始め応用の範囲が広がる。また、金属基板はセラミックス基板よりも衝撃力に強くかつ低価格で熱伝導の大幅な改善が見込めるためペルチェ素子の大幅な普及に繋がる。
本発明のペルチェモジュールの一実施形態における平面構成を模式的に示す一部破断平面図である。 図1のペルチェモジュールの立面構成を模式的に示す断面図である。 図2の断面の一部を示す拡大図である。 各ペルチェ素子の構成を示す拡大断面図である。 図1のペルチェモジュールにおける真空排気用の貫通孔及び封止部材の構成を概略的に(A)平面図、(B)A−A線断面図である。 図1のペルチェモジュールの製造工程を概略的に示すフローチャートである。 図1のペルチェモジュールの使用例を示す断面図である。
図1は本発明のペルチェモジュールの一実施形態における平面構成を模式的に一部破断で示しており、図2はこのペルチェモジュールの立面構成を模式的に断面で示しており、図3は図2の断面の一部を拡大して示している。なお、図1においては、ペルチェモジュールの図2及び図3に示す上部金属基板及び上部電極は表示されておらず、図2においては、図1に示す第2のリード線は表示されていない。
これらの図において、10は下面が絶縁処理された上部金属基板、11は上部金属基板10の下面に形成された上部電極、12は上面が上部金属基板10に対向して配置され、上面が絶縁処理された下部金属基板、13は下部金属基板12の上面に形成された下部電極をそれぞれ示している。本実施形態では、上部金属基板10及び下部金属基板12がアルミニウム基板で構成されており、それらの少なくとも下面及び上面はアルマイト処理により絶縁処理されている。
上部金属基板10及び下部金属基板12間には、複数のペルチェ素子が配置されている。本実施形態では、単なる一例であるが36個のペルチェ素子141〜1436が6×6のマトリクス状に配置されている。もちろん、ペルチェ素子の数及び配列形態はこれに限定されるものではない。これらペルチェ素子141〜1436は、その上面及び下面が上部電極11及び下部電極13にそれぞれ電気的に接続されている。ペルチェ素子141〜1436の電極との電気的接続は液体金属15をペルチェ素子の上面及び下面に被着させ、それら上面及び下面を上部電極11及び下部電極13にそれぞれ接触させることによって行う。液体金属15としては、インジウム・ガリウムの共晶合金(融点15℃)、又はインジウム・ガリウム・スズの共晶合金(融点5℃)を用いることが望ましいが、これに限定されるものではない。ペルチェモジュールが比較的温度の高い60℃から150℃の温度の冷却に使用される場合は、液体金属15として、インジウム・スズの共晶合金(融点120℃)、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金(融点60℃)を用いることが望ましい。
36個のペルチェ素子141〜1436は、下部電極13を介して順次直列に接続されており、その場合の下部電極13の両端は、このペルチェモジュールの外部に引き出されている第1のリード線16及び第2のリード線17に接続されている。ペルチェ素子141〜1436の各々は、図4に示すように、P型半導体素子とN型半導体素子とが上部電極11を介してπ型に接続されて構成されており、PN接合部に直流電流を流すことにより、電流の方向に応じて放熱現象又は吸熱現象を生じるペルチェ効果を利用している。ペルチェ素子は、一般的には、ビスマス、テルル、アンチモンのごとき金属間化合物や酸化物を含むP型半導体素子及びN型半導体素子から構成されるが、本実施形態では、P型半導体素子は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、銀をドープして形成されている。また、N型半導体素子は、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、アンチモンをドープして形成されている。後述するように、36個のペルチェ素子141〜1436は、P型半導体素子とN型半導体素子とが交互に接続されるように、直列接続されている。
図1に示すように、下部金属基板12の、ペルチェ素子141〜1436及び下部電極13が存在しない空きスペースには、真空排気用の貫通孔19が形成されている。この貫通孔19は、図5に示すように、大径の孔と小径の孔とが同軸に形成された2段構成の貫通孔であり、孔封止部材20である金属鋲が大径の孔及び小径の孔内に嵌挿されるように構成されている。真空排気処理後、金属鋲が貫通孔19の段差部に低融点はんだ21により固着されることにより、この貫通孔19が封止される。真空排気用の貫通孔19は、上部金属基板10の空きスペースに形成しても良い。また、本発明における真空排気用の貫通孔の構成は、本実施形態の構成例に限定されるものではなく、種々の構成を適用することができる。
ペルチェ素子141〜1436が設けられた上部金属基板10及び下部金属基板12間の空間22は、側方部材18によって側方から密封的に囲まれており、この空間22を密封できるように構成されている。この側方部材18は、セラミック材料、高分子材料又はチクソ性接着剤で形成されている。
真空排気用の貫通孔19を介して真空ポンプにより排気を行い、孔封止部材20によってこの貫通孔19を封止することにより、空間22は、1Pa(1kg/cm2)以下の真空度の真空状態に設定される。その結果、大気圧によって上部金属基板10及び下部金属基板12が上下から押圧されてペルチェ素子141〜1436の固定が行われるので、これらペルチェ素子141〜1436に印加される圧力を均一にすることが可能となり、信頼性を向上させることができる。実際に、このようにして作製したペルチェ素子は500回にわたる−30℃から150℃のヒートサイクル試験で構造的変化がなく端子間の電気抵抗も変化なく異常は見られなかった。
また、ペルチェ素子141〜1436が液体金属15によって上部電極11及び下部電極13にそれぞれ電気的に接続されているため、基板とペルチェ素子との熱膨張係数の相違に基づいて発生するせん断応力がこれらペルチェ素子141〜1436に及ばないことから、基板にセラミックス以外の材料である例えば表面をアルマイト処理したアルミニウム基板を用いることが可能となった。この結果、熱の伝達力が大幅に増大しペルチェ素子の性能を向上させることができる。具体的には、アルミニウムの熱伝導率は236W/mK、アルミナの熱伝導率は30W/mKであり、アルミニウム基板は熱伝導率がアルミナ基板の約10倍大きくペルチェ素子に熱を伝える効率を10倍ほどに向上させることができた。即ち、ペルチェ素子としての能力が原理的に10倍ほど向上したこととなる。このように、アルミニウム基板のような金属基板を使用できること及び基板間を真空にして大気圧の押力を利用して固定したことによりペルチェ素子と基板の間の圧力が均一にできたことの両方の効果は、ペルチェ素子の大型化を可能とする。大型化は大型の冷却にも対応でき、冷蔵庫を始め応用の範囲が広がる。また、金属基板はセラミックス基板よりも衝撃力に強くかつ低価格で熱伝導の大幅な改善が見込めるためペルチェ素子の大幅な普及に繋がる。
図6は本実施形態におけるペルチェモジュールの製造工程を概略的に示しており、以下、同図を用いて本実施形態のペルチェモジュールの製造方法を説明する。
まず、2枚の金属基板を用意する(ステップS1)。本実施形態では、少なくとも下面及び上面がアルマイト処理により絶縁処理されている矩形形状のアルミニウム基板を用意する。これら2枚の金属基板は、上部金属基板10及び下部金属基板12として用いる。
次いで、上部金属基板10又は下部金属基板12(本実施形態では下部金属基板12)の空きスペースに真空排気用の貫通孔19を形成する(ステップS2)。その際に、孔封止部材20である金属鋲を用意しておき、貫通孔19の段差部に低融点はんだ21を設けておく。
次いで、上部金属基板10の絶縁処理された下面に上部電極11のパターンを形成すると共に、下部金属基板12の絶縁処理された上面に下部電極13のパターンを形成する(ステップS3)。これら電極パターン作製は、無電解メッキによる銅のパターンの作製、銀ペースト若しくは銅ペーストで描画することによるパターンの作製、又は銅板若しくは銀板をパターンの形状に切って接着剤で貼ることによる作製等のいずれの方法であっても良い。
次いで、各々がP型半導体素子及びN型半導体素子からなるペルチェ素子141〜1436を用意し、その上下面に液体金属15を塗布する(ステップS4)。ペルチェ素子141〜1436としては、使用目的により変わるが、通常、高さが2〜10mm、面積が0.05〜1cm2であることが一般的である。このようなペルチェ素子の上下の面を軽く研磨した後に、ニッケル又はパラジウムを約100nmの厚さに蒸着し、液体金属15であるインジウム・ガリウムの共晶合金(融点15℃)、又はインジウム・ガリウム・スズの共晶合金(融点5℃)を塗布する。ペルチェモジュールが比較的温度の高い60℃から150℃の温度の冷却に使用される場合は、液体金属15として、インジウム・スズの共晶合金(融点120℃)、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金(融点60℃)を塗布する。
次いで、これら36個のペルチェ素子141〜1436をP型半導体素子とN型半導体素子とが交互に直列接続されるように、下部電極13上に配置し、液体金属15を介して電気的に接続する(ステップS5)。下部電極13の両端に第1のリード線16及び第2のリード線17を接続する。
その後、真空封止用の側方部材18を形成する(ステップS6)。側方部材18の形成方法には2つの方法がある。
(1)スペーサを使用して形成する方法、
下部電極13のパターンが作製されている下部金属基板12の側方の各辺にペルチェ素子と同じ高さで幅0.5〜2.0mmのスペーサを接着する。スペーサの材質としては、熱伝導率が1以下のセラミックス材料又は高分子材料を用いる。接着方法としては、真空に耐え得る接着剤、又は低融点ガラスを溶融した接着剤を用いる。引き出し用の第1のリード線16及び第2のリード線17は、これらスペーサの下の接着剤の中を通過させる。
(2)チクソ性を持たせた接着剤を使用して形成する方法、
真空に耐え得る接着剤中に石英の微粉末を混合して接着剤にチクソ性を付与するか、又は最初からチクソ性を有する接着剤を用いて側方部材18を作製する。引き出し用の第1のリード線16及び第2のリード線17は、これらスペーサの下の接着剤の中を通過させる。
次いで、上部金属基板10を設置する(ステップS7)。この場合、上部金属基板10の下面に作製された上部電極11が液体金属15が塗布されたペルチェ素子の上面に当接するように設置する。側方部材18の形成にスペーサを使用した場合は、スペーサの上部に下部金属基板12との接着で使用した同じ接着剤を塗布して上部金属基板10を接着する。側方部材18の形成にチクソ性を付与した接着剤を使用した場合は、その接着剤で上部金属基板10を接着する。
次いで、ペルチェモジュールの真空排気及び封止を行う(ステップS8)。接着剤が固化した後、真空排気用の貫通孔19が開いた状態で、ペルチェモジュールを真空チャンバに入れて真空排気する。ペルチェモジュールの空間22内の空気は、貫通孔19から真空排気される。十分排気された後に、貫通孔19付近を加熱して低融点はんだを溶解し、加熱を止めてはんだを凝固させて孔封止部材20である金属鋲を貫通孔19内に固定して封止を行い、その後、真空チャンバ内に大気を導入する。なお、真空排気における真空度は、基本的には、大気圧によって押圧された上部金属基板10と下部金属基板12とがペルチェ素子に均等に圧力を与えられる程度で良いが、上部金属基板10と下部金属基板12との間の熱伝導率が小さくなる真空であることがより望ましい。上部金属基板10と下部金属基板12との間の気体分子の平均自由行程が上部金属基板10と下部金属基板12との間の距離以上となれば、気体分子同士の衝突が減少し気体の移動が分子流と言われる状態になり、気体による熱伝導は小さくなる。上部金属基板10と下部金属基板12との間の距離3〜10mmが分子流となる真空度は、1Pa以下なので、真空度は1Pa以下が望ましい。
図7はこのように作製したペルチェモジュールの使用例を示している。同図に示すように、この使用例では、電流の方向によって吸熱現象を呈する上部金属基板10を被冷却物23に固着し、放熱現象を呈する下部金属基板12をヒートシンク24に固着して使用している。電流の方向により加熱を行うことができるのは、言うまでもない。
前述した実施形態においては、上部金属基板10及び下部金属基板12として、表面がアルマイト処理されたアルミニウム基板を用いているが、本発明の上部金属基板及び下部金属基板として、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成したアルミニウム基板を用いても良いし、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した銅基板を用いても良い。また、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した他の金属材料による基板を用いても良い。アルミニウム基板に代えてジュラルミン基板又はアルミニウム合金基板を用いれば、より高い基板強度を得ることができるので、ペルチェモジュールの大型化を図ることが可能となる。
上述した実施形態の変更態様として、ペルチェ素子を構成するP型半導体素子及びN型半導体素子に発泡材料(微細な空洞の入った材料)を用いても良い。例えば、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、銀をドープしたP型半導体素子においては、焼結前にポリビニルアルコール(PVA)を添加し、このPVAを分解気化させて内部に微細な空洞を導入することにより発泡化したP型半導体素子を用いる。また、マグネシウム・シリコン合金、マグネシウム・シリコン・スズ合金、シリコン、又はシリコン・ゲルマニウム合金のいずれかを主成分とし、アンチモンをドープしたN型半導体素子においても、焼結前にPVAを添加し、このPVAを分解気化させて内部に微細な空洞を導入することにより発泡化したN型半導体素子を用いる。
発泡材料を用いることにより、液体金属15との間で低抵抗の界面が作製することができる。液体金属15の一部が発泡材料中に入り込むため、接触面を増大させることができる。このため、従来技術のように液体金属の保持のためにペルチェ素子を凸型に加工したり、電極に凹型のくぼみを作製したりする必要が無くなる。また、より優れたペルチェモジュールを得ることができる。ペルチェ素子の性能を決めるのは、一般の熱電材料と同じ無次元性能指数ZTであり、この性能指数ZTは材料のゼーベック係数S、電気抵抗率ρ、熱伝導率κ、及び温度Tにより次式のように定義される。
Z=S2T/ρκ
この式中において、熱伝導率κが分母に入っているため、κが小さいほど無次元性能指数は大きくなり、性能が向上することとなる。物理的なイメージでは、熱伝導率が大きいとせっかく電流を流して低温を得ても高温側の温度が熱伝導によって伝わってしまうこととなる。ペルチェ素子として発泡材料を用いることにより、微細な空洞の空気により熱が伝わりにくく熱伝導率は大きく低下し、特に、真空中ではさらに熱が伝わりにくく熱伝導率が低下するので、このように発泡材料で作製したペルチェ素子を真空中に置くことは最適となる。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
10 上部金属基板
11 上部電極
12 下部金属基板
13 下部電極
141〜1436 ペルチェ素子
15 液体金属
16 第1のリード線
17 第2のリード線
18 側方部材
19 貫通孔
20 孔封止部材
21 低融点はんだ
22 空間
23 被冷却物
24 ヒートシンク

Claims (14)

  1. 絶縁処理された下面に上部電極が形成された上部金属基板と、前記上部金属基板に対向して配置され、絶縁処理された上面に下部電極が形成された下部金属基板と、前記上部金属基板及び前記下部金属基板間に設けられ、前記上部電極及び前記下部電極に液体金属でそれぞれ電気的に接続された複数のペルチェ素子と、互いに対向する前記上部金属基板及び前記下部金属基板間の前記複数のペルチェ素子を側方から囲んで設けられ、前記上部金属基板及び前記下部金属基板間の空間を密封する側方部材とを備えており、密封された前記空間が真空状態に設定されていることを特徴とするペルチェモジュール。
  2. 前記側方部材が、セラミックス材料、高分子材料又はチクソ性接着剤で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のペルチェモジュール。
  3. 前記上部金属基板又は前記下部金属基板が、表面をアルマイト処理したアルミニウム板、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成したアルミニウム板、又は表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した銅板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペルチェモジュール。
  4. 前記上部金属基板又は前記下部金属基板に、孔封止部材と、該孔封止部材によって封止可能な、真空排気用の貫通孔とが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
  5. 前記空間の真空状態が、1Pa以下の真空度であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
  6. 前記液体金属が、インジウム・ガリウムの共晶合金、インジウム・ガリウム・スズの共晶合金、インジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
  7. 前記複数のペルチェ素子が、非発泡体材料又は発泡体材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のペルチェモジュール。
  8. 絶縁処理された下面を有する上部金属基板及び絶縁処理された上面を有する下部金属基板を用意する工程と、前記下部金属基板の上面に複数の下部電極を形成し前記上部金属基板の下面に複数の上部電極を形成する工程と、複数のペルチェ素子を前記下部金属基板上に載置し、液体金属で該複数のペルチェ素子を前記複数の下部電極にそれぞれ電気的に接続する工程と、前記下部金属基板上の前記複数のペルチェ素子を側方から囲む側方部材を形成する工程と、前記上部金属基板を前記複数のペルチェ素子及び前記側方部材上に載置して、前記上部金属基板及び前記下部金属基板間の空間を密封すると共に、液体金属で前記複数のペルチェ素子を前記複数の上部電極にそれぞれ電気的に接続する工程と、密封された前記空間を真空状態に設定する工程とを備えたことを特徴とするペルチェモジュールの製造方法。
  9. 前記側方部材を形成する工程が、セラミックス材料若しくは高分子材料によるスペーサ部材により前記複数のペルチェ素子を側方から囲む工程、又はチクソ性接着剤で前記複数のペルチェ素子を側方から囲む工程を含んでいることを特徴とする請求項8に記載のペルチェモジュールの製造方法。
  10. 前記上部金属基板及び前記下部金属基板を用意する工程が、表面をアルマイト処理したアルミニウム板、表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成したアルミニウム板、又は表面に有機物の薄膜若しくは酸化層を形成した銅板を用意する工程を含んでいることを特徴とする請求項8又は9に記載のペルチェモジュールの製造方法。
  11. 前記真空状態に設定する工程が、真空排気用の貫通孔から前記空間を真空状態に排気する工程と、排気した後、該貫通孔を孔封止部材によって封止する工程とを含んでいることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載のペルチェモジュールの製造方法。
  12. 前記真空状態に設定する工程が、前記空間を1Pa以下の真空度に設定する工程を含んでいることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載のペルチェモジュールの製造方法。
  13. 前記液体金属として、インジウム・ガリウムの共晶合金、インジウム・ガリウム・スズの共晶合金、インジウム・スズの共晶合金、又はインジウム・ビスマス・スズの共晶合金を用いることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載のペルチェモジュールの製造方法。
  14. 前記複数のペルチェ素子として、非発泡体材料又は発泡体材料で形成されている複数のペルチェ素子を用いることを特徴とする請求項8から13のいずれか1項に記載のペルチェモジュールの製造方法。
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WO2021039530A1 (ja) * 2019-08-30 2021-03-04 株式会社安永 熱電変換装置

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