以下、本開示で提案するコネクタ及びコネクタ組立体について説明する。本開示のコネクタ組立体は、複数の電線又は回路基板の接続されるコネクタと、回路基板に接続されるコネクタとを備える。回路基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント配線基板(PrintedCircuitBoard)、フレキシブルフラットケーブル(FlexbleFlatCable)、フレキシブルプリント配線板(FlexblePrintedCircuit)等であるが、如何なる種類の回路基板であってもよい。さらに、電線は、単芯線の電線や同軸電線など如何なる種類の電線であってもよい。複数の電線は一方向に並んでもよい。
本開示では、コネクタ組立体の一例として、一方の回路基板に接続されるコネクタと、他方の回路基板に接続されるコネクタとを含むコネクタ組立体について説明する。2つのコネクタの嵌合によって、2つの回路基板を電気的に接続する。
以下の説明では、図1AのZ1、Z2で示す方向をそれぞれ上方、下方と称し、図1AのY1−Y2で示す方向を「長手方向」と称し、図1AのX1−X2で示す方向を「短手方向」と称する。これらの方向は、コネクタ組立体を構成するコネクタ、それらの部材、及び部位の、相対的な位置関係及び相対的な動作を説明するために使用される。すなわち、これらの方向は、絶対的なものではなく、相対的なものである。したがって、これらの方向は、コネクタ及びコネクタ組立体の使用時におけるコネクタ及びコネクタ組立体の姿勢を限定するものではない。本開示で説明される方向は、コネクタ及びコネクタ組立体の姿勢が変化した場合には、その姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。なお、図2A及び図3Bにおいては、後述する第2コネクタ60が示されている。これらの図では、第2コネクタ60は、第1コネクタ10と嵌合する側が上側となる姿勢で配置されている。以下の説明では、第2コネクタ60と第1コネクタ10との嵌合状態では、第2コネクタ60は、第1コネクタ10に嵌合する側が下側となる姿勢に配置される。したがって、図2A又は図3Bを参照して説明する第2コネクタ60の各部の位置関係と、コネクタ10、60の嵌合状態で説明する第2コネクタ60の各部の位置関係は、上下方向が逆となる。
[第1コネクタ]
図4に示されるように、コネクタ組立体1は、コネクタであって第1コネクタとしてのレセプタクルコネクタ10と、第2コネクタとしてのプラグコネクタ60を備えている。
図1Aに示すように、レセプタクルコネクタ10は、レセプタクルコネクタ10が実装される回路基板(不図示)とプラグコネクタ60の第2端子61(図2A参照)と接続するための第1端子11を有している。また、レセプタクルコネクタ10は、第1端子11を保持している第1ハウジング20を有している。レセプタクルコネクタ10は、その長手方向に並んでいる複数の第1端子11を有してもよい。さらに、レセプタクルコネクタ10は、第1ハウジング20を回路基板に固定するための第1金具としての第1固定金具40と、第1ハウジング20にスライド可能に装着されるスライダー30とを備えてもよい。後において詳説するように、第1ハウジング20はコネクタの長手方向において互いに反対側に位置する2つの第2壁部22を有している。レセプタクルコネクタ10の例では、この2つの第2壁部22のそれぞれに、スライダー30と第1固定金具40とが装着されている。レセプタクルコネクタ10の例とは異なり、一方の第2壁部22にだけスライダー30と第1固定金具40とが装着されてもよい。
各第1端子11は、例えば、金属板から打ち抜き加工と曲げ加工とによって形成される部材である。第1端子11は回路基板に接続される基板接続部11a(図1B参照)と、第1ハウジング20に係合する固定部11b(図1C及び図1D参照)と、プラグコネクタ60の第2端子61と電気的に接続する弾性変形可能な接続部11cとを有している。接続部11cは、上方に開いた略U字形状であり、その内側にプラグコネクタ60の第2端子61が接続されてもよい。ここで、「固定部11bが第1ハウジング20に係合する」とは、固定部11bが第1ハウジング20の一部に引っかかって、その位置が第1ハウジング20に固定されていることを意味する。
第1ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁材料によって一体的に形成され、略直方体の形状を備えている。具体的には、第1ハウジング20は、底壁の下面20a(図1B)と、コネクタの長手方向において延在し、コネクタの短手方向において対向している一対の第1壁部21(図1A参照)を有している。また、第1ハウジング20は、第1壁部21の両端部にそれぞれ位置しコネクタの長手方向において対向している一対の第2壁部22(図3A参照)を備えている。各第2壁部22は2つの第1壁部21の端部に接続しており、各第1壁部21の下端は下面02aに接続している。第1ハウジング20は、下面20aと2つの第1壁部21と2つの第2壁部22との内側に、プラグコネクタ60が嵌合する凹部E1を有している。第1ハウジング20は、この凹部E1の中央部に、下面20aから上方に突出し且つコネクタの長手方向において延在している中央突起23を備えてもよい。
複数の第1端子11は、第1壁部21保持されている。レセプタクルコネクタ10の例では、複数の第1端子11は、一方の第1壁部21と中央突起23との間、及び、他方の第1壁部21と中央突起23との間とに配置されている。第1壁部21の内壁側と中央突起23の側壁側とには、長手方向に並ぶ複数の溝が形成されてもよい。そして、第1端子11の接続部11cは第1壁部21に形成された溝と中央突起23の溝とに位置してもよい。第1端子11の基板接続部11aは第1壁部21の下側に位置し、且つ、コネクタの短手方向での外側に延びている(図1B参照)。第1端子11の固定部11bは、基板接続部11aから上方に延び、その上端11dは、接続部11cに接続している(図1A参照)。固定部11bは第1壁部21に保持されている。
第1ハウジング20の形状や第1端子11の形状は、本開示のコネクタ組立体1の例に限られない。例えば、第1ハウジング20は中央突起23を有していない場合、第1端子11は第1壁部21に保持されてもよい。
第1固定金具40は、例えば、金属板から打ち抜き加工及び曲げ加工によって形成される部材である。第1固定金具40は第1ハウジング20の第2壁部22に装着される。図3Aで示すように、第1固定金具40は、天板部41と、コネクタの短手方向における天板部41の縁から直接的又は間接的に延びている係合機構部としての金具側部40Sを有している。また、金具側部40Sは、スライダー30と弾性接触するフック(係合部)43と、第1ハウジング20に係合する係合部42を備えてもよい。ここで、「係合部42が第1ハウジング20に係合する」とは、係合部42の一部が第1ハウジング20に引っかかって、係合部42が第1ハウジング20に取り付けられている状態(言い換えれば、固定されている状態)ことを意味する。さらに、金具側部40Sは、回路基板に接続する固定部42d、42e(図1B参照)と、プラグコネクタ60の第2端子61又は第3端子62と電気的に接触する端子部45aとを有してよい。金具側部40Sが固定部42d、42eを備える場合、レセプタクルコネクタ10を回路基板に強固に固定することができる。また、金具側部40Sが端子部45aを備える場合、第1固定金具40とプラグコネクタ60の端子61、62とが電気的に接続可能となる。その結果、コネクタの部品点数の削減や小型化が可能となる。
[スライダー]
スライダー30は、金属板から打ち抜き加工及び曲げ加工によって形成される部材である。スライダー30は、第1ハウジング20の第2壁部22に装着される。図3Aに示すように、スライダー30は、レセプタクルコネクタ10の長手方向に延在する平板状の平板部31と、操作者がスライダー30を挿抜するための操作部32とを備えてもよい。また、レセプタクルコネクタ10の短手方向における平板部31の両端縁のそれぞれに、第1固定金具40のフック43と係合可能な第1被係合部33が少なくとも1つ形成され、平板部31の両端縁のそれぞれに第2被係合部34が少なくとも1つ形成されてもよい(図6C参照)。第1被係合部33と第2被係合部34は、平板部31の片側の端縁に対して、例えば長手方向に並んでおり、タンデムに配置されてよい。平板部31は、その先端に、第2コネクタ60をロックするためのロック部35を備えている。図7Bに示すように、スライダー30の平板部31は、その下面が第1ハウジング20の第2壁部22の上面と対向し、その上面が第1固定金具40の天板部41の下面と対向するように配置されてよい。スライダー30は、コネクタの長手方向にスライド可能に配置されている。
上述したように、レセプタクルコネクタ10の例では、スライダー30は板状である。すなわち、スライダー30は平板部31を有している。平板部31は、その厚さがレセプタクルコネクタ10の高さ方向(Z1−Z2方向)に向くように配置されている。スライダー30のこの形状によると、ロック部35の幅を大きくできる。その結果、レセプタクルコネクタ10に対する第2コネクタであるプラグコネクタ60の動きをより効果的に抑えることができる。すなわち、コネクタの長手方向に沿った中心線C1(図5A参照)周りの第2コネクタ60の動きを抑えることができる。なお、本明細書において、板状のスライダーとは、平板部31の幅W1(図6C参照)が、厚さH1(図7B参照)よりも大きいスライダーを意味する。
スライダー30は第1ハウジング20の第2壁部22によって支持され、長手方向にスライド可能である。具体的には、スライダー30は、ロック位置(図7C参照)とロック解除位置(図7B参照)との間で長手方向にスライド可能である。レセプタクルコネクタ10の例では、スライダー30は第2壁部22の上側に配置されている。図6Bに示すように、第2壁部22は、その上面に、コネクタの短手方向において向き合う2つのガイド壁部22aを有している。ガイド壁部22aは、短手方向での端部に位置し、レセプタクルコネクタ10の長手方向において延びている。スライダー30はこの2つのガイド壁部22aの間に配置されている。スライダー30の縁はガイド壁部22aに当たっていてもよいし、ガイド壁部22aに当たっていなくてもよい。
図7Cに示されるように、スライダー30は、ロック位置にあるとき、第1ハウジング20の凹部E1の内側に嵌合しているプラグコネクタ60をロックする。ここで「スライダー30がプラグコネクタ60をロックする」とは、スライダー30の一部がプラグコネクタ60の一部に対して上方に位置すること、すなわち、スライダー30の一部がプラグコネクタ60の一部に対してプラグコネクタ60の抜け方向に位置することを意味する。スライダー30はプラグコネクタ60に当たっていてもよいし、プラグコネクタ60に当たっていなくてもよい。レセプタクルコネクタ10の例では、スライダー30は、その先端(長手方向の内側に向いた端部)にロック部35を有している(本明細書において「長手方向の内側に向いた方向」とは、例えば図7Cに示す長手方向の中心C2に向いた方向を意味する。)。プラグコネクタ60は、その長手方向の端部に、後述する第2固定金具80を有している。スライダー30がロック位置にあるとき、ロック部35はこの第2固定金具80に係合し、プラグコネクタ60をロックする。すなわち、ロック部35は、プラグコネクタ60のレセプタクルコネクタ10からの分離を規制する。「ロック部35が第2固定金具80に係合する」とは、ロック部35が第2固定金具80の一部に対して上方に位置すること、すなわち、ロック部35が第2固定金具80の一部に対してプラグコネクタ60の抜け方向に位置することを意味する。ロック部35は第2固定金具80に当たっていてもよいし、第2固定金具80に当たっていなくてもよい。プラグコネクタ60の例では、第2固定金具80は、コネクタの長手方向での外側に突出する板状の張り出し部81a(図2B参照)を有している。図7Cに示すように、スライダー30がロック位置にあるとき、ロック部35はこの張り出し部81aの上方に位置し、プラグコネクタ60の上方への動き(プラグコネクタ60の抜け方向への動き)を規制する。なお、ロック部35とプラグコネクタ60との係合は、この張り出し部81aを利用したものに限定されない。例えば、プラグコネクタ60が有しているハウジング70に、張り出し部或いはロック部35が嵌まる凹部が形成されてもよい。
図7Bに示すように、スライダー30は、ロック解除位置にあるとき、第1ハウジング20の凹部E1の内側に配置されているプラグコネクタ60から離れる。コネクタ組立体1の例では、ロック部35は、張り出し部81aの上側の空間S1から、長手方向の外側に退避する。これによって、プラグコネクタ60のロックが解除される。すなわち、ロック部35は、プラグコネクタ60のレセプタクルコネクタ10からの分離を許容する。
[第1被係合部とフック]
上述したように、スライダー30は第1被係合部33を有してもよい。また、第1固定金具40はフック43を有してもよい。図6Cに示すように、スライダー30がロック位置にあるとき、フック43は第1被係合部33に係合し、スライダー30のロック位置からロック解除位置への移動を制限する。ここで、「フック43が第1被係合部33に係合する」とは、フック43の一部が、第1被係合部33に対してレセプタクルコネクタ10の長手方向の外側に位置しており、且つ、スライダー30が長手方向の外側に動いたときに、フック43の一部が第1被係合部33に当たることを意味する。スライダー30が長手方向での中心に向かって最も深く挿入されているとき、フック43は第1被係合部33に当たっていなくてもよい。フック43は弾性変形可能であり、スライダー30は、このフック43の弾性変形によって、ロック位置とロック解除位置との間での移動が許容される。このようなレセプタクルコネクタ10によると、スライダー30をロック位置に配置することによって、レセプタクルコネクタ10に対するプラグコネクタ60の動きが抑えられ、それらの電気的接続の安定性を向上できる。また、操作者が意図しないときに、スライダー30がロック位置からロック解除位置に移動することを、フック43によって防ぐことができる。
図6Cに示すように、第1被係合部33はスライダー30の縁31aに形成されてもよい。より詳細には、平板部31はコネクタの短手方向において互いに反対側に位置する2つの縁31aを有し、第1被係合部33は、2つの縁31aのそれぞれに形成されてもよい。第1被係合部33は縁31aから短手方向に突出している凸部であってよい。また、その凸部の縁は、内側かつ短手方向の外側に向かって延びる傾斜部と、内側且つ短手方向の内側に向かって延びる傾斜部を備えてもよい。
図6Cに示すように、フック43は、コネクタの短手方向においてスライダー30の外側に位置し、平板部31の縁31aと向き合ってもよい。レセプタクルコネクタ10の例では、第1固定金具40は、コネクタの短手方向において互いに反対側に位置する2つのフック43を含んでいる。スライダー30は2つのフック43の間に配置されてよい。すなわち、2つのフック43は、コネクタの短手方向においてスライダー30を挟んでよい。各フック43は、コネクタの短手方向において弾性変形可能である。より詳細には、フック43は、基部43bと、基部43bから延びている板ばね状の延伸部43cとを有している。延伸部43cは基部43bからスライダー30の縁31aに向かって斜めに延びている。レセプタクルコネクタ10の例では、延伸部43cは、基部43bから、スライダー30の縁31aに向かって且つコネクタの長手方向の内側に向かって斜めに延びている。フック43は、延伸部43cが基部43bを中心としてコネクタの短手方向で動くように弾性変形可能であってよい。
図6Cに示すように、スライダー30がロック位置にあるとき、フック43の端部43a(延伸部43cの端部)がスライダー30の第1被係合部33に当たり、ロック位置からロック解除位置へのスライダー30のスライドを規制する。より詳細には、スライダー30がロック位置にあるとき、第1被係合部33は延伸部43cよりも長手方向の内側に位置している。そして、フック43の端部43aは、第1被係合部33の長手方向の外側の縁33aに当たる。このようにフック43の端部43aが第1被係合部33に当たるので、ロック位置からロック解除位置へのスライダー30のスライドを効果的に規制できる。なお、スライダー30がロック位置にあるとき、フック43の端部43aは、必ずしも第1被係合部33に当たっていなくてもよい。スライダー30がロック解除位置に向けて移動しようとしたときに、フック43の端部43aは第1被係合部33に当たってもよい。
フック43が弾性変形し、延伸部43cがコネクタの短手方向での外側に向けて動くと、ロック位置からロック解除位置へのスライダー30のスライドが許容される。図6Cに示すように、フック43の端部43aがあたる第1被係合部33の縁33aは傾斜してよい。詳細には、縁33aは、コネクタの長手方向での内側に向けて且つ短手方向での外側に向けて斜めに延びてよい。これによると、スライダー30をロック解除位置に向けて引く力が作用すると、フック43の端部43aは縁33aに沿って移動し、フック43が自然に弾性変形する。
図6Bに示すように、スライダー30がロック解除位置にあるとき、フック43の端部43aはスライダー30の第1被係合部33よりも長手方向の内側に位置し、第1被係合部33には延伸部43cが当たる。フック43が弾性変形し、フック43の延伸部43cがコネクタの短手方向での外側に移動すると、ロック解除位置からロック位置へのスライダー30のスライドが許容される。スライダー30をロック位置に向けて押す力が作用すると、延伸部43cが第1被係合部33によってコネクタの短手方向での外側に向けて押されて、フック43の弾性変形を生じる。第1被係合部33の縁33b(長手方向の中心C2側の縁)も傾斜してよい。そして、フック43の延伸部43cは第1被係合部33の縁33bに当たってもよい。スライダー30は2つの延伸部43cによって挟まれてよい。こうすることによって、スライダー30のがたつきを抑えることができる。
上述したように、レセプタクルコネクタ10の例では、フック43の延伸部43cは、基部43bから、コネクタの長手方向での内側に向かって斜めに延びている。このようなフック43によると、スライダー30をロック解除位置に向けて動かすのに必要な力を、スライダー30をロック位置に向けて動かすのに必要な力に比べて大きくできる。
また、レセプタクルコネクタ10は、スライダー30を挟んで互いに反対側に位置する2つのフック43を有している。これによると、例えばコネクタの短手方向でのスライダー30の位置を、フック43によって案内できる。
上述したように、第1固定金具40は、第1ハウジング20に固定されている係合部42を有してよい。図1A及び図6Aに示すように、係合部42は、第1ハウジング20の第2壁部22の側面(コネクタの短手方向の外側に向いた面)に固定されてよい。フック43の基部43bはこの係合部42に接続してよい。より詳細には、係合部42は第2壁部22の側面に沿って配置される壁状である。そして、フック43の基部43bは、係合部42の端部(コネクタの長手方向での外側の端部)に接続してよい。フック43は、基部43bにおいて屈曲して、コネクタの長手方向での内側に向かって延びてもよい。第1固定金具40のこの構造によると、基部43bと係合部42との距離が小さいので、フック43が受ける力によって基部43bの位置が動いてしまうことを、係合部42によって抑えることができる。
図3A及び図6Aに示すように、係合部42には凹部42aが形成されてよい。一方、第2壁部22には、凹部42aに嵌まる凸部22dが形成されてよい。凹部42aの内縁には爪が形成されており、この爪が凸部22dに引っかかってよい。係合部42と第2壁部22との固定構造は、適宜変更されてよい。
上述したように、第1固定金具40の金具側部40Sは、回路基板に接続される固定部42d、42eを有してもよい。図6Aに示すように、係合部42の下縁が固定部42d、42eとして機能してよい。固定部42d、42eは、第1ハウジング20の下面20aよりも下方に位置している。係合部42は、凹部42aを挟んで反対側に位置する2つの固定部42d、42eを有している。この構造によると、フック43が受ける力によって基部43bの位置が動いてしまうことを、さらに効果的に抑えることができる。
第1被係合部33とフック43の構造は、レセプタクルコネクタ10の例に限られない。例えば、フック43は、第1固定金具40の天板部41に形成されてもよい。この場合、第1被係合部33は、スライダー30の平板部31から上方に突出する凸部であってよい。さらに他の例として、スライダー30がロック位置にあるときに第1被係合部33が当たるのは、フック43の端部43aでなくてもよい。例えば、フック43は、延伸部43cから長手方向の内側に向かって且つ短手方向の外側に向かってさらに延びる延伸部を有してもよい。そして、この延伸部に第1被係合部33はあたってもよい。さらに他の例として、基部43bは、延伸部43cよりもコネクタの長手方向での内側に位置してもよい。この場合、延伸部43cは、基部43bから、長手方向での外側に向かって且つスライダー30の縁31aに向かって斜めに伸びてもよい。
[第2被係合部とフック]
図6Bに示すように、スライダー30は第2被係合部34を有してもよい。スライダー30がロック解除位置にあるとき、フック43は第2被係合部34に係合し、スライダー30のロック解除位置から長手方向の外側に向かってスライダー30がさらに移動するのを規制する。すなわち、第2被係合部34は、レセプタクルコネクタ10からのスライダー30の抜けを規制する。ここで、「フック43が第2被係合部34に係合する」とは、フック43の一部が、第2被係合部34に対してレセプタクルコネクタ10の長手方向の外側に位置しており、且つ、スライダー30が長手方向の外側に動いたときに、フック43の一部が第2被係合部34に当たることを意味する。スライダー30が長手方向における最も外側に位置しているとき、フック43は第2被係合部34に当たっていなくてもよい。
レセプタクルコネクタ10の例では、第2被係合部34は、第1被係合部33と同様、スライダー30(平板部31)の縁31aに形成されてよい。第2被係合部34は、2つの縁31aのそれぞれに形成されてよい。第2被係合部34は短手方向に突出している凸部であってよい。その凸部は、短手方向外側に向かって延びる形状を備えてもよい。第2被係合部34は、第1被係合部33よりも、長手方向での内側に位置する。言い換えれば、第2被係合部34は、第1被係合部33よりも、スライダー30の先端にあるロック部35寄りに位置する。
スライダー30がロック解除位置にあるとき、フック43の端部43aが第2被係合部34に当たる。より詳細には、スライダー30がロック解除位置にあるとき、フック43の延伸部43cは第2被係合部34よりも長手方向の外側に位置している。そして、フック43の端部43aは、第2被係合部34の縁34a(長手方向での外側の縁)に当たっている。
第2被係合部34の凸部の突出量(短手方向での長さ)は第1被係合部33の凸部の突出量よりも大きくてもよい。このことによって、第2被係合部34とフック43との係合を、より確実に維持できる。
また、図6Bに示すように、スライダー30が第2被係合部34の位置で有している幅W2は、スライダー30が第1被係合部33の位置で有している幅W1よりも大きくてもよい。また、スライダー30が第2被係合部34の位置で有している幅W2は、スライダー30のロック部35の幅W5よりも大きくてもよい。レセプタクルコネクタ10の例では、スライダー30の上方に、第1固定金具40の天板部41が位置している。スライダー30がロック位置にある状態でプラグコネクタ60を引き上げる力が作用したとき、スライダー30も引き上げられて、第1固定金具40の天板部41にあたる可能性がある。スライダー30が天板部41に当たった場合に天板部41が湾曲してしまうことを、第2被係合部34での幅W2を大きくすることによって抑えることができる。言い換えれば、スライダー30の上方への動きを、天板部41によって、より確実に抑えることができ、スライダー30がレセプタクルコネクタ10から脱落することを抑えることができる。その結果、スライダー30とプラグコネクタ60との係合を、より確実に維持できる。
[被係止部と係止穴]
さらに、図7Bに示すように、スライダー30は被係止部36を有してもよい。スライダー30がロック解除位置にあるとき、被係止部36は第1ハウジング20に当たる。そして、被係止部36は、スライダー30がロック解除位置からコネクタの長手方向の外側に向けて更に移動することを、規制する。すなわち、被係止部36も、第2被係合部34と同様に、コネクタ10からのスライダー30の抜けを規制する。
図7Bに示すように、被係止部36は、平板部31に形成されてもよい。詳細には、平板部31の一部(スライダー30の例では、平板部31の中央部分)は下方に折り曲げられており、その一部が被係止部36として機能してよい。第1ハウジング20の第2壁部22には、上方に開口した係止穴22bが形成されてよい。そして、被係止部36はこの係止穴22bに配置され、スライダー30のスライドに伴って係止穴22b内で長手方向に動いてよい。スライダー30がロック解除位置にあるとき、被係止部36は係止穴22bの内面(長手方向におけ外側に位置する面)に当たり、スライダー30の長手方向への移動を規制する。
被係止部36の位置や形状は、レセプタクルコネクタ10の例に限られない。例えば、被係止部36は平板部31の縁31aに形成され、第2壁部22には被係止部36に対応する位置に係止穴が形成されてもよい。さらに他の例では、被係止部36は、平板部31に形成される穴であってもよい。この場合、第2壁部22の上面側には、この穴に嵌まる凸部が係止部として形成されてもよい。さらに他の例では、スライダー30は被係止部36を有していなくてもよい。
[操作部]
図3Aに示すように、スライダー30は操作部32を有してよい。操作部32は平板部31の端部(長手方向での外側の端部)に形成される。操作部32は、第1ハウジング20の第2壁部22に対して長手方向での外側に位置している(図7B参照)。このことによって、操作者は操作部32を押したり、引いたりすることで、スライダー30をスライドさせることができる。操作部32は下方に延びている部分32a(図3A参照)を有してもよい(以下では、この部分32aを「支持部」と称する)。図7Bに示すように、支持部32aは第2壁部22上に配置される平板部31よりも下方に位置してよい。操作部32のこの形状によると、操作部32を押し下げる力が作用した場合に、レセプタクルコネクタ10が実装される回路基板に支持部32aが当たり、操作部32を支えることができる。支持部32aの下端32bは、第1ハウジング20の下面20aと実質的に同じ高さに位置してよい。レセプタクルコネクタ10の例とは異なり、支持部32aの下端32bの位置は、第1ハウジング20の下面20aよりも高くてもよい。
レセプタクルコネクタ10の例では、操作部32は、平板部31に対して上側に屈曲している。そして、操作部32は、コネクタの短手方向における操作部32の両端部に、支持部32aを有している。操作部32の形状は、スライダー30の例に限られない。例えば、操作部32は、平板部31に対して下側に折り曲げられ、上述した支持部として機能してよい。さらに他の例では、操作部32は、スライダー30の短手方向での平板部31の外側の端部に、同様に形成されてよい。さらに他の例では、操作部32は必ずしも支持部32aを有していなくてもよい。
[第1固定金具]
上述したように、第1固定金具40は2つの金具側部40Sを有してよい。図3Aに示すように、2つ金具側部40Sは、コネクタの短手方向においてスライダー30を挟んで、互いに反対側に位置する。第1固定金具40は、2つの金具側部40Sを繋ぐ部分を有してよい。これによると、レセプタクルコネクタ10の部品数を低減できる。レセプタクルコネクタ10の例では、第1固定金具40は上述した天板部41を有している。天板部41は2つの金具側部40Sの間に位置し、それらを接続している。より詳細には、各金具側部40Sは係合部42を有してよい。そして、天板部41は、2つの係合部42の上縁の間に位置し、それらを接続してよい。
図7B及び図7Cに示すように、天板部41はスライダー30の上側に位置してよい。そして、スライダー30は、第1ハウジング20の第2壁部22の上面と天板部41との間でスライド可能となってよい。この構造によると、例えば第2壁部22に、スライダー30を挿入するための貫通孔を形成する構造に比して、レセプタクルコネクタ10の製造を容易化、且つ、低背化できる。
図7B及び図7Cに示すように、第2壁部22の上面と天板部41の下面との間の隙間は、スライダー30の厚さに実質的に対応してよい。この構造によると、天板部41によってスライダー30の動きを案内できる。すなわち、スライダー30が上方又は下方に傾くことを、抑えることができる。
第1固定金具40の構造は、レセプタクルコネクタ10の例に限られない。例えば、2つの金具側部40Sは天板部41を介して繋がっていなくてもよい。この場合、レセプタクルコネクタ10は、スライダー30を挟んで互いに反対側に位置する2つの第1固定金具40を有してもよい。そして、各第1固定金具40に、1つのフック43と1つの係合部42とが設けられてもよい。この場合、各第1固定金具40の天板部41は、スライダー30の上側の一部だけを覆ってもよいし、金具側部40と別体の天板部材を用いてもよい。例えば、天板部41は、スライダー30の縁31aや被係合部33、34の上方にだけ位置し、スライダー30の中央部の上方には存在しなくてもよい。
金具側部40Sは、端子部45aと、ガイド部45bと、被保持部45cとを有してよい。図1A及び図3Aに示すように、金具側部40Sはアーム部45dをさらに有してよい。アーム部45dは、第1壁部21の外側に沿って配置され、係合部42から長手方向の内側に向かって延在している。アーム部45dは、コネクタの短手方向の外側に広がるように弾性変形可能であってもよい。端子部45aと、ガイド部45bと、被保持部45cのそれぞれはアーム部45dから短手方向での内側に向かって延びて、第1ハウジング20の凹部E1の内側に位置している(「短手方向での内側に向かう」方向は短手方向での中心線C1に向かう方向を意味する。)。
端子部45aは、アーム部45dから第1壁部21の内側に延び、その後、下側に屈曲している。2つのコネクタ10、60との嵌合状態では、端子部45aは、プラグコネクタ60の端子62(図3B参照)に接触する。端子部45aは弾性変形可能であり、その弾性力によって端子62に接触する。
ガイド部45bは、アーム部45dから第1壁部21の内側に向かって斜め下方に延びている。2つのコネクタ10、60を嵌合させる過程で、ガイド部45bは、プラグコネクタ60の後述する第2固定金具80に当たり、プラグコネクタ60をレセプタクルコネクタ10にとって適切な位置に案内する。
被保持部45cは、アーム部45dから第1壁部21の内側に沿って延びている。被保持部45cは、第1壁部21の内面に形成された凹部21c(図3A参照)に嵌まり、これに固定される。
レセプタクルコネクタ10の例では、端子部45a、ガイド部45b、被保持部45cは、この順番で、アーム部45dの先端から並んでいる。
第1固定金具40の構造は、レセプタクルコネクタ10の例に限られない。例えば、第1固定金具40は、アーム部45d、端子部45a、ガイド部45b、及び被保持部45cの一部又は全部を有していなくてもよい。
[第2コネクタ]
図3Bに示すように、プラグコネクタ60は、回路基板W(図4参照)とレセプタクルコネクタ10の第1端子11とを接続するための第2端子61と、第2端子61を保持する第2ハウジング70とを有している。また、プラグコネクタ60は、第2ハウジング70を回路基板に固定するための第2固定金具80とを備えてもよい。
各第2端子61は、例えば、金属板から打ち抜き加工と曲げ加工とによって形成される部材である。図3Bに示すように、第2端子61は、回路基板に接続される基板接続部61aと、第2ハウジング70に係合しており、第1端子11の略U字状の接続部11cと電気的に接続する接続部61bとを備えている。「接続部61bが第2ハウジング70に係合している」とは、接続部61bが第2ハウジング70に取り付けられていること(第2ハウジング70に固定されていること)を意味する。なお、プラグコネクタ60は、グランド用端子として使用される第3端子62を含んでもよい。その場合、第3端子62は、第1固定金具40の弾性変形可能な端子部45aと電気的又は機械的に接続されてもよい。
図3Bに示すように、第2ハウジング70は、合成樹脂等の絶縁材料によって一体的に形成され、略直方体の形状を備えている。具体的には、第2ハウジング70は、底壁の下面70a(図2B参照)と、コネクタの長手方向に延在し、短手方向において対向している一対の第1壁部71とを有している。また、第2ハウジング70は、第1壁部71の両端部にそれぞれ位置しコネクタの長手方向において対向している一対の第2壁部72を備えている。第2ハウジング70は、底壁の下面70aと第1壁部71と第2壁部72の内側に、凹部E2を有している。図7B及び図7Cに示すように、コネクタ10、60の嵌合状態では、第2ハウジング70は、レセプタクルコネクタ10の凹部E1の内側に嵌まる。このとき、第1ハウジング20の中央突起23は、第2ハウジング70の凹部E2の内側に嵌まる。
図3Bに示すように、プラグコネクタ60は、長手方向に並んでいる複数の第2端子61を有してよい。複数の第2端子61は、2つの第1壁部71のそれぞれに取り付けられてよい。第2端子61の接続部61bは下方に開いた略U字形状であり、その内側に第1壁部71が位置し、第2端子61は第1壁部71に固定される。コネクタ10、60の嵌合状態では、接続部61bは第1端子11の接続部11cの内側に嵌まり、両者は電気的に接続する。第2端子61の基板接続部61aは接続部61bの下端から、コネクタの短手方向の外側に延びる。
上述したように、プラグコネクタ60は第3端子62を有してよい。第3端子62は複数の第2端子61に対して、コネクタの長手方向の外側に位置し、第1壁部71に固定されてよい(図2A参照)。図3Bに示すように、第3端子62は下方に開いた略U字形状の接続部62bを有する。この接続部62bの内側に第1壁部71が嵌まり、第3端子62は第1壁部71に固定される。コネクタ10、60の嵌合状態では、接続部62bは第1固定金具40の端子部45aに電気的に接続する。第3端子62の基板接続部62aは接続部62bの下端から、コネクタの短手方向の外側に延びている。なお、第2端子61と第3端子62は、本開示のように異なる形状でもよいし、同一の形状であってもよい。また、第2端子61と第3端子62は、第1壁部71に外側から装着されてもよいし、第1壁部71を成形するときに第1壁部71と一体的に成形されて第1壁部71に固定されてもよい。プラグコネクタ60は、第2ハウジング70の第2壁部72に装着される第2固定金具80を有してよい。プラグコネクタ60の例では、2つの第2壁部72のそれぞれに第2固定金具80は装着されている。第2固定金具80は、例えば、金属板から打ち抜き加工と曲げ加工とによって形成される部材である。図2A及び図3Bに示されるように、第2固定金具80は、第2壁部72の上側に配置される天板部81を有してよい。
第2固定金具80は、コネクタの短手方向における天板部81の縁部から下方に延在している壁部82を有してよい。第2固定金具80は、コネクタの短手方向において対向する2つの壁部82を有し、それらの間に第2壁部72が配置されてよい。壁部82の下縁は、プラグコネクタ60が実装される回路基板に接続される固定部82aとして機能する。
また、第2固定金具80は、コネクタの長手方向における天板部81の縁(長手方向の内側の縁)から下方に延びている係合部83を備えてよい。係合部83は、第2壁部82に係合し、第2固定金具80を第2ハウジング70に固定する。ここで「係合部83が第2壁部82に係合する」とは、係合部83が第2ハウジング70の一部に引っかかって、その位置が第2ハウジング70に固定されていることを意味する。プラグコネクタ60の例では、第2固定金具80は、コネクタの短手方向において離れて位置する2つの係合部83を有している第2ハウジング70の第2壁部72には、2つの係合部83にそれぞれ対応する2つの凹部72aが形成されている。係合部83は凹部72aに嵌まり、第2壁部72に係合している。詳細には、2つの係合部83の内側には爪83a(図3A参照)が形成され、この爪83aが凹部72aの内面に引っかかっている。第2固定金具80と第2ハウジング70との固定構造は、プラグコネクタ60の例に限られず、適宜変更されてよい。
図2Bに示すように、第2固定金具80は、天板部81に、張り出し部81aを有してよい。張り出し部81aは、第2壁部72の外面(コネクタの長手方向の外側に向いた面)よりも、さらに外側に延びており、庇状となっている。そのため、プラグコネクタ60は、張り出し部81aの下方に、空間S1を有している。図7Cに示すように、コネクタ10、60の嵌合状態でスライダー30がロック位置にあるとき、スライダー30の端部(ロック部35)はこの空間S1に位置し、張り出し部81aはロック部35の下側に位置する。すなわち、ロック部35はプラグコネクタ60に係合する。図7Cに示すように、張り出し部81aは、コネクタ10、60の嵌合状態での姿勢にあるときに、上方に傾斜してもよい。これによって、プラグコネクタ60をレセプタクルコネクタにとって適切な位置に案内することができ、また、張り出し部81aの端部とスライダー30との距離を小さくできる。その結果、2つのコネクタ10、60の嵌合状態で、2つのコネクタ10、60の相対的な位置が変化すること、すなわちプラグコネクタ60が、がたつくことをより効果的に規制できる。
[操作方法]
次に、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60とを嵌合する動作について、説明する。
レセプタクルコネクタ10が回路基板に実装されるとき、第1端子11の基板接続部11aと第1固定金具40の固定部42d、42eが回路基板の接続パッドに、はんだ等で接続される。また、プラグコネクタ60が回路基板Wに実装されるとき、第2端子61の基板接続部61aと第3端子62の基板接続部62aと、第2固定金具80の固定部82aが、回路基板の接続パッド等に、はんだによって取り付けられる。
操作者は、レセプタクルコネクタ10のスライダー30の操作部32を指や工具によって長手方向の外側に引き出し、スライダー30をロック解除位置に配置する(図6B及び図7B参照)。このとき、第1固定金具40のフック43は、スライダー30の第2被係合部34に係合し、長手方向の外側へのスライダー30の更なる移動を規制する。そして、操作者は、レセプタクルコネクタ10の上面である嵌合面と、プラグコネクタ60の上面である嵌合面とを対向させる。このとき、レセプタクルコネクタ10の第1壁部21と中央突起23との間に形成された溝と、プラグコネクタ60の第1壁部71とが対向する。この状態で、操作者は、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60とを嵌合させる。その結果、レセプタクルコネクタ10の第1端子11は、プラグコネクタ60の第2端子61と電気的に接続する。
次に、操作者は、スライダー30の操作部32を指や工具によって長手方向における内側に押し込む。すなわち、操作者は、フック43の弾性力に抗しながらスライダー30をロック位置に移動させて、第1固定金具40のフック43をスライダー30の第1被係合部33に係合させる。そのとき、スライダー30のロック部35の下側に、プラグコネクタ60の第2固定金具80の天板部81が有している張り出し部81aが位置する。言い換えれば、ロック部35は、張り出し部81aの上側の空間S1に挿入される。その結果、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60はロックされた状態となり、衝撃や操作者の誤操作等の意図しない現象によって、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60の嵌合状態が解除されることを防止することができる。
また、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60との嵌合を解除するとき、操作者は、スライダー30の操作部32を指で長手方向の外側に引き出す。すなわち、操作者は、フック43の弾性力に抗しながらスライダー30をロック解除位置に移動させる。このとき、第1固定金具40のフック43は、スライダー30の第2被係合部34に係合する。また、スライダー30のロック部35はプラグコネクタ60の第2固定金具80の張り出し部81aに対向しなくなる。すなわち、ロック部35は、張り出し部81aの上側の空間S1からコネクタの長手方向の外側に引き抜かれる。その結果、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60のロックが解除され、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ60の嵌合を解除することができる。
以上説明したように、レセプタクルコネクタ10は、第2壁部22で支持され且つ長手方向においてスライド可能なスライダー30と、第2壁部22に取り付けられている第1固定金具40と、を有している。スライダー30は、凹部E1の内側に嵌合しているプラグコネクタ60をスライダー30がロックするロック位置(図6C、図7C)と、プラグコネクタ60から長手方向での外側にスライダー30が離れておりプラグコネクタ60のロックが解除されるロック解除位置(図6B、図7B)との間でスライド可能である。第1固定金具40はフック43を有し、スライダー30は、フック43が係合するための第1被係合部33を有している。フック43は弾性変形可能である。スライダー30は、フック43と第1被係合部33との係合によりロック位置からロック解除位置への移動が制限され、フック43の弾性変形によりロック位置とロック解除位置との間でのスライドが許容される。このレセプタクルコネクタ10によれば、スライダー30をロック位置に配置することによって、レセプタクルコネクタ10に対するプラグコネクタ60の動きが抑えられ、それらの電気的接続の安定性を向上できる。また、操作者が意図しないときに、スライダー30がロック位置からロック解除位置に移動することを、フック43によって防ぐことができる。
なお、本開示で提案するコネクタ及びコネクタ組立体は、以上説明したコネクタ10、60の例に限られず、種々の変更が可能である。
例えば、コネクタ10、60では、第1及び第2固定金具40、80は、回路基板に固定される固定部42d、42e、82aを有していたが、固定部42d、42e、82aを有していなくてもよい。この場合、第1及び第2端子11、61の基板接続部11a、61aのみが、回路基板の接続パッドに、はんだなどによって接続してもよい。
また、レセプタクルコネクタ10の例では、第1固定金具40は、スライダー30の被係合部33、34に係合する係合部として、フック43を有していた。しかしながら、この係合部はフック形状でなくてもよい。つまり、係合部はその基部43bで屈曲していなくてもよい。
他の例として、スライダー30に弾性変形可能な被係合部が形成されてもよい。この場合、第1固定金具40に形成される係合部は、弾性変形可能であってもよいし、弾性変形可能でなくてもよい。
レセプタクルコネクタ10の例では、スライダー30が間に配置される2つのフック(係合部)43は、天板部41を介して互いに繋がっていた。しかしながら、2つのフック43は、天板部41とは異なる部分を介して、互いに繋がっていてもよい。この場合でも、2つのフック43が互いに繋がっていることによって、すなわち1つの第1固定金具40に2つのフック43を設けることによって、部品数を低減できる。
さらに他の例では、レセプタクルコネクタ10が有するスライダー30の数は1つでもよい。
本開示は一例にすぎず、本開示の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本開示の解釈を限定するものではない。