以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1、図2に示すエアフロメータ10は、空気等の流体を対象として流量や温度、湿度、圧力等の物理量を計測する物理量計測装置である。エアフロメータ10は、例えばエンジン等の内燃機関11を有する車両に搭載されている。この内燃機関11は吸気通路12及び排気通路を有しており、エアフロメータ10は吸気通路12に取り付けられている。この場合、エアフロメータ10の計測対象である流体は、吸気通路12を流れる吸入空気とされる。この吸入空気は、内燃機関11の燃焼室に供給される気体である。なお、エアフロメータ10は、吸気通路12においてエアクリーナの下流側に配置されている。この場合、吸気通路12においてエアフロメータ10にとっては、エアクリーナ側が上流側であり、燃焼室側が下流側になる。
エアフロメータ10は、吸気通路12を形成する吸気管12aに着脱可能に取り付けられている。エアフロメータ10は、吸気管12aの筒壁を貫通するよう形成されたセンサ挿入孔12bに挿し込まれており、少なくとも一部を吸気通路12内に位置させている。吸気管12aは、センサ挿入孔12bから外周側に向けて延びたフランジ部12cを有している。フランジ部12cは、センサ挿入孔12bの周縁部に沿って延びており、例えば円環状になっている。フランジ部12cの先端面は、フランジ部12cの中心線に直交する方向に延びている。この場合、フランジ部12cの先端面は、吸気通路12の長手方向、すなわち吸気通路12において吸入空気が流れる方向に延びている。
エアフロメータ10は、ハウジング21及び流量検出部22を有している。ハウジング21は、例えば樹脂材料等によって形成されている。エアフロメータ10においては、ハウジング21が吸気管12aに取り付けられていることで、流量検出部22が、吸気通路12を流れる吸入空気と接触可能な状態になる。ハウジング21は、流路形成部24、嵌合部25、Oリング26、フランジ部27及びコネクタ部28を有している。
流路形成部24は流路31,32を形成している。流路31,32は、流路形成部24の内部空間により形成されており、吸気通路12を流れる吸入空気の一部をハウジング21の内部に導入する。通過流路31は、流路形成部24を貫通しており、通過流路31の上流端部を流入口33aと称し、下流側端部を流出口33bと称する。計測流路32は、通過流路31の中間部分から分岐した分岐流路であり、湾曲した部分を有していることで流路形成部24の内部を周回している。ただし、計測流路32は、1周はしておらず、計測流路32の上流端部寄りの部分と下流端部寄りの部分とが流路形成部24の幅方向には重複していない。また、通過流路31と計測流路32とについても、流路形成部24の幅方向には重複していない。
計測流路32の下流側端部は、通過流路31の下流側端部と同様に開放されており、この下流側端部を計測出口33cと称する。計測流路32は、下流端部に向けて分岐していることで計測出口33cを2つ有しており、これら計測出口33cは、流路形成部24の幅方向において互いに離間した位置に横並びに配置されている。上述したように、通過流路31と計測流路32とが流路形成部24の幅方向には重複していないことに起因して、各計測出口33cと流出口33bとについても、流路形成部24の幅方向には重複していない。なお、吸気通路12を主通路と称し、通過流路31及び計測流路32をまとめて副通路と称することもできる。また、計測出口33cが分岐出口に相当する。
嵌合部25は、センサ挿入孔12bにOリング26を介して内嵌される部位である。Oリング26は、吸気通路12と吸気管12aの外部とをシールする部材である。Oリング26は、嵌合部25に外嵌されており、フランジ部12cの内周側に入り込んだ状態で嵌合部25とセンサ挿入孔12bとの間に介在している。フランジ部27は、嵌合部25を挟んで流路形成部24とは反対側に配置されており、センサ挿入孔12bを吸気管12aの外周側から覆っている。また、フランジ部27は、吸気管12aのフランジ部12cの先端部に引っ掛かることで、ハウジング21が吸気通路12内に入り込み過ぎることを規制する。フランジ部27は、流路形成部24側を向いたフランジ面27aを有している。このフランジ面27aは、フランジ部12cの先端面に平行に延びており、フランジ部12cの先端面に重ねられている。
コネクタ部28は、複数の端子を囲う部位である。コネクタ部28には、プラグ部が挿入される。プラグ部は、ECU等の機関制御装置に直接的又は間接的に電気接続された接続線の端部に設けられており、コネクタ部28と嵌合する。
流量検出部22は、例えば発熱抵抗体等の発熱部やヒータ部を用いた熱式の流量センサであり、流量検出部22の検出面はメンブレンにより形成されている。流量検出部22は、計測流路32の中間位置に配置されている。ハウジング21が吸気管12aに取り付けられることで、流量検出部22には、計測流路32を流通する吸入空気が供給される。流量検出部22は、コネクタ部28に設けられた複数の端子と電気的に接続されている。流量検出部22は、吸気流量に対応したセンサ信号であって、計測流路32を流れる空気の流速に対応したセンサ信号を、流量信号として機関制御装置に対して出力する。流量検出部22は、計測流路32を流れる吸入空気の流量を検出することで、吸気通路12を流れる吸入空気の流量を検出することになる。なお、流量検出部22は、吸入空気の流量を物理量として検出する物理量検出部に相当する。また、流量検出部22は、熱式の流量センサに限定されず、可動フラップ式の流量センサやカルマン渦式の流量センサ等であってもよい。
エアフロメータ10は、流量検出部22の他にも、温度を検出する温度検出部や、湿度を検出する湿度検出部を有している。温度検出部や湿度検出部は、ハウジング21の外周側に設けられており、吸気通路12を流れる吸入空気の温度や湿度に応じたセンサ信号を温度信号や湿度信号として出力する。例えば、エアフロメータ10は、ハウジング21の外周側においてこれら検出部を支持する支持体を有しており、この支持体がハウジング21に固定されている。
エアフロメータ10については、2つの計測出口33cが並ぶ方向を幅方向Xと称し、流路形成部24とフランジ部27とが並ぶ方向を高さ方向Yと称し、通過流路31が延びる方向を奥行き方向Zと称する。これら幅方向X、高さ方向Y及び奥行き方向Zは互いに直交しており、フランジ部27のフランジ面27aが幅方向X及び奥行き方向Zの両方に平行に延びている。エアフロメータ10が、吸気管12aに取り付けられた状態では、流入口33aが吸気通路12の上流側を向き、流出口33b及び計測出口33cが下流側を向いている。この場合、吸気通路12において吸入空気が流れる方向が奥行き方向Zになり、流入口33aからの流入空気の流入向きが奥行き方向Zと同じになりやすいと考えられる。エアフロメータ10においては、流入口33aから流入した吸入空気が、通過流路31や計測流路32を通過することで流出口33b及び各計測出口33cのそれぞれから流出する。
通過流路31と計測流路32との境界である流路境界部34においては、通過流路31の中間部分が高さ方向Yにおいてフランジ部27側に向けて開放されている。流路境界部34においては、通過流路31の中間部分と計測流路32の上流端部とが接続されており、計測流路32の上流端部を計測入口と称することもできる。計測流路32は、流路境界部34と計測出口33cとの間において奥行き方向Zに延びた部分を有しており、この部分に流量検出部22が配置されている。
エアフロメータ10においては、吸入空気と共に砂やゴミ等のダストが異物として流入口33aから進入することが想定される。この場合、異物の多くは吸入空気の流れに沿って奥行き方向Zに進行することで流出口33bから出て行くが、一部の吸入空気と共に計測流路32に進入する異物もある、と考えられる。特に、質量の比較的大きな異物や比較的大型の異物など大異物については、吸入空気の流れ向きに関係なく直進しやすいと考えられる。このため、大異物については、通過流路31の内周面31aに衝突して跳ね返り、進行方向が変わることで却って計測流路32に進入しやすくなる、ということが懸念される。
これに対して、本実施形態では、通過流路31の内周面31aにて跳ね返った大異物が計測流路32に進入することが抑制されるようになっている。なお、質量の比較的小さな異物や比較的小型の異物など小異物は、吸入空気の流れに合わせて進行方向が変化しやすく、通過流路31の内周面31aに衝突する前に曲がりやすい、と考えられる。
図1、図3に示すように、通過流路31の内周面31aは、天井面36、床面37及び一対の壁面38を有している。一対の壁面38は、幅方向Xにおいて流路境界部34や流入口33a及び流出口33bを挟んで互いに対向する一対の対向面になっており、天井面36と床面37とは、壁面38を挟んで対向する一対の対向面になっている。通過流路31においては、天井面36の一部が開放されており、この開放された部分に計測流路32の上流端部が接続されることで流路境界部34が形成されている。天井面36は、流入口33aと流路境界部34との間の流入天井面部36aと、流路境界部34と流出口33bとの間の流出天井面部36bとを有している。
ここで、流路境界部34は、最も上流側にある上流境界部分34aと、最も下流側にある下流境界部分34bとを有しており、高さ方向Yにおいては、上流境界部分34aが下流境界部分34bよりもフランジ部27から離間した位置にある。この場合、計測流路32の上流端部が流入口33a側ではなく流出口33b側に向けて開放された状態になっている。このため、奥行き方向Zに直進している異物が流入口33aから進入したとしても、この異物がこのまま計測流路32に進入するということが生じにくくなっている。なお、この構成では、例えば人が奥行き方向Zにおいて流入口33aから通過流路31内を覗き込んだとしても、計測流路32の上流端部を視認できないことになる。
天井面36においては、流入天井面部36a及び流出天井面部36bが段差面41a,41b及び接続面42a,42bをそれぞれ有していることで、流入口33a側を向いた段差が形成されている。流入段差面41aは、流入天井面部36aにおいて流入口33aと流路境界部34との並び方向に沿って奥行き間隔Daで複数並べられている。流出段差面41bは、流出天井面部36bにおいて流路境界部34と流出口33bとの並び方向に沿って奥行き間隔Dbで複数並べられており、奥行き間隔Dbは奥行き間隔Daより小さい。これら段差面41a,41bは、天井面36において床面37に向けて延びていることで流入口33a側を向いており、一対の壁面38にかけ渡された状態になっている。各流入段差面41a及び各流出段差面41bは、互いに同じ向きに延びており、具体的には、いずれも奥行き方向Zに直交する方向に延びている。
流入接続面42aは、流入天井面部36aにおいて、隣り合う流入段差面41aのうち、上流側の流入段差面41aの下流側端部と下流側の流入段差面41aの上流端部とを接続しており、流入段差面41aの数に応じて複数設けられている。流出接続面42bは、流出天井面部36bにおいて、隣り合う流出段差面41bのうち、上流側の流出段差面41bの下流側端部と下流側の流出段差面41bの上流端部とを接続しており、流出段差面41bの数に応じて複数設けられている。これら接続面42a,42bは、互いに同じ向きに延びており、具体的には、いずれも高さ方向Yに直交する方向に延びている。すなわち、各流入接続面42aは流入段差面41aに直交し、各流出接続面42bは流出段差面41bに直交している。この場合、奥行き方向Zにおいて、接続面42a,42bの奥行き寸法は、隣り合う段差面41a,41bの奥行き間隔Da,Dbと同じになっている。
流入天井面部36a及び流出天井面部36bは、段差面41a,41b及び接続面42a,42aにより全体として階段状になっている。流入天井面部36aにおいては、下流側に向かうにつれて段差が徐々に大きくなっている。具体的には、各段差において奥行き間隔Daは均一である一方で、高さ方向Yにおける流入段差面41aの高さ寸法Haが流入口33aから遠ざかるにつれて徐々に大きくなっている。流入口33aに近い段差では、高さ寸法Haが奥行き間隔Daより小さいが、流路境界部34に近付くにつれて徐々に高さ寸法Haと奥行き間隔Daとの差異が小さくなり、流路境界部34に近い段差では高さ寸法Haと奥行き間隔Daとがほぼ同じ値になっている。なお、高さ寸法Haは奥行き間隔Daより小さくなっていてもよい。
一方、流出天井面部36bにおいては、下流側に向かうにつれて段差が徐々に小さくなっている。具体的には、各段差において奥行き間隔Dbは均一である一方で、高さ方向Yにおける流出段差面41bの高さ寸法Hbが流出口33bに近付くにつれて徐々に小さくなっている。流路境界部34に近い段差では、高さ寸法Hbが奥行き間隔Dbより大きいが、流出口33bに近付くにつれて徐々に高さ寸法Hbと奥行き間隔Dbとの差異が小さくなり、流出口33bに近い段差では高さ寸法Hbの方が奥行き間隔Dbより大きくなっている。
天井面36においては、奥行き方向Zに対する流出天井面部36bの全体的な傾斜角度が、奥行き方向Zに対する流入天井面部36aの全体的な傾斜角度に比べて大きくなっている。ここでは、流入天井面部36aの上流端部と下流端部との位置関係について、高さ方向Yの離間距離を高さ距離Hayと称し、奥行き方向Zの離間距離を奥行き距離Dazと称する。また、流入天井面部36aの上流端部と下流端部との位置関係について、高さ方向Yの離間距離を高さ距離Hbyと称し、奥行き方向Zの離間距離を奥行き距離Dazと称する。この場合、流出天井面部36bの傾き度合いを示すHby/Dbzの値が、流入天井面部36aの傾き度合いを示すHay/Dazの値より大きくなっている。これにより、流入口33aから吸入空気が流入しやすく、且つ計測流路32での吸入空気の流速が大きくなりやすくなっている。
流入天井面部36aは、流入口33aの形状に合わせて、幅方向Xの中間部分がフランジ部27側に向けて膨らむように湾曲している。この場合、流入段差面41aについては、上流端部及び下流側端部の両方が湾曲している。流入接続面42aは、隣り合う流入段差面41aを接続できるように湾曲している。一方、流出口33bはほぼ矩形状になっており、流出天井面部36bは湾曲していない。
ここまで説明した本実施形態によれば、流入天井面部36aが流入段差面41aを有しているため、流入口33aから進入した異物が計測流路32に進入しにくくなっている。例えば、図3に実線で示すように、流入口33aから進入した大異物F1が奥行き方向Zに直進して流入天井面部36aの流入段差面41aに衝突した場合、大異物F1は、自身の軌跡を辿るようにして流入口33a側に戻る可能性が高くなっている。このように、大異物F1は、通過流路31において流入天井面部36aの流入段差面41aに衝突することで下流側に進みにくくなり、計測流路32に進入しにくくなる。
これに対して、本実施形態とは異なり、例えば、図4に示すように流入天井面部36aが流入段差面41aを有していない構成では、この流入天井面部36aが奥行き方向Zに直交していない。このため、大異物F1は、全体として傾斜している流入天井面部36aに衝突し、進行方向を変えつつも下流側に進むことが考えられる。この場合、大異物F1が流入天井面部36aにて跳ね返った角度によっては、図4に実線で示すように、大異物F1が流入天井面部36aに続いて床面37で跳ね返りつつ下流側に進むことで計測流路32に進入しやすくなってしまう、ということが懸念される。このように、流入天井面部36aでの跳ね返りに伴って大異物F1の進行方向が高さ方向Yについて変わると、その大異物F1が計測流路32に流入する可能性が高くなりやすい。この点、本実施形態では、流入天井面部36aの流入段差面41aにて跳ね返った大異物F1の進行方向が高さ方向Yについて変わりにくい構成が実現されているため、その大異物F1が計測流路32に進入しやすくなることを抑制できる。
流量検出部22が計測流路32に設けられたエアフロメータ10では、計測流路32を流れる吸入空気の流速が小さ過ぎると流量検出部22の検出精度が低下するということが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、複数の流入段差面41aが奥行き方向Zに並んでいるため、流入口33aの開放面積を極力大きくしつつ、通過流路31の断面積を流路境界部34に向けて段階的に小さくすることができる。このため、大異物が計測流路32に進入することを流入段差面41aにより抑制しつつ、計測流路32への吸入空気の流入量が不足することを抑制することができる。
本実施形態によれば、複数の流入段差面41aが流入天井面部36aに含まれているため、流入口33aから流路境界部34に近付くにつれて流入天井面部36aがフランジ部27から段階的に離間させることができる。この場合、例えば図3に示すように、流入口33aから流入した吸入空気GがY方向において流路境界部34から徐々に遠ざかりやすくなるため、大異物に加えて、吸入空気Gの流れに乗りやすい小異物についても、計測流路32に流れ込むことを抑制できる。
本実施形態によれば、通過流路31において、流路境界部34に近い流入段差面41aほど高さ寸法Haが大きくなっているため、流入口33aから流入した吸入空気の進行方向の変化率を徐々に大きくできる。この場合、吸入空気の進行方向の変化率が急激に大きくされた場合に比べて、渦流が発生するなどして吸入空気の流れが乱れるということが生じにくくなっている。このため、流れの乱れに伴って計測流路32に吸入空気が流れ込みにくくなって計測流路32での吸入空気の流速が不足するということや、流れの乱れに巻き込まれた異物が計測流路32に進入するということなどを抑制できる。
本実施形態によれば、流入接続面42aが奥行き方向Zと平行に延びている。このため、流入口33aから進入して奥行き方向Zに直進している異物が流入段差面41aに到達する際に流入接続面42aが異物にとって障害物になる、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、流入段差面41aが高さ方向Yと平行に延びているため、流入口33aからの吸入空気の進入方向になりやすい奥行き方向Zに流入段差面41aが直交することになる。このため、流入段差面41aに衝突して跳ね返った異物が高さ方向Yに対して傾いた向きで下流側に進み、床面37に衝突して跳ね返るなどして計測流路32に進入する、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、流出天井面部36bが流出段差面41bを有しているため、流入口33aから進入して流路境界部34を通過した異物が計測流路32に進入しにくくなっている。例えば、図3に破線で示すように、流入口33aから進入した大異物F2が奥行き方向Zに直進して流出天井面部36bの流出段差面41bに衝突した場合、大異物F2は、自身の軌跡を辿るようにして流入口33a側に戻る可能性が高くなっている。このように、大異物F2は、通過流路31において流出天井面部36bの流出段差面41bに衝突することで、一度は通過した計測流路32を今度は逆向きに通過することになるが、計測流路32に進入しにくい角度で上流側に向けて進みやすくなる。
これに対して、本実施形態とは異なり、例えば、図4に示すように流出天井面部36bが流出段差面41bを有していない構成では、この流出天井面部36bが奥行き方向Zに直交していない。このため、大異物F2は、全体として傾斜している流出天井面部36bに衝突し、進行方向を変えて計測流路32に進入することが考えられる。具体的には、大異物F2が流出天井面部36bにて跳ね返った角度によっては、図4に破線で示すように、大異物F2が流出天井面部36bに続いて床面37で跳ね返りつつ上流側に進むことで計測流路32に進入しやすくなってしまう、ということが懸念される。このように、流出天井面部36bでの跳ね返りに伴って大異物F2の進行方向が高さ方向Yについて変わると、その大異物F2が計測流路32に流入する可能性が高くなりやすい。この点、本実施形態では、流出天井面部36bの流出段差面41bにて跳ね返った大異物F2の進行方向が高さ方向Yについて変わりにくい構成が実現されているため、その大異物F2が計測流路32に流入しやすくなることを抑制できる。
上述したように、エアフロメータ10では、計測流路32を流れる吸入空気の流速が小さ過ぎると流量検出部22の検出精度が低下するということが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、流路境界部34よりも下流側において、通過流路31の断面積が流出段差面41bにより小さくされることで通過流路31が絞られている。この場合、通過流路31での吸入空気の圧力が適度に高くなることで計測流路32に吸入空気が流れ込みやすくなり、計測流路32での吸入空気の流速が適度に大きくなる。このため、流量検出部22の検出精度が低下することを流出段差面41bにより抑制できる。
本実施形態によれば、複数の流出段差面41bが流出天井面部36bに含まれているため、流路境界部34よりも下流側において、流出口33bに向けて通過流路31の絞り度合いを徐々に大きくすることができる。この場合、流出口33bに向けて通過流路31の絞り度合いが急激に大きくなっている構成に比べて、渦流が発生するなどして吸入空気の流れが乱れるということが生じにくくなっている。このため、流れの乱れに巻き込まれた異物が計測流路32に進入するということを抑制できる。
本実施形態によれば、流出口33bに近い流出段差面41bほど高さ寸法Hbが小さくなっている。このため、通過流路31において流路境界部34周辺の領域を高さ方向Yについて極力大きくすることができる。これにより、吸入空気が通過流路31から計測流路32に流入しやすい状況をつくり出しつつ、流出口33bに向けて通過流路31を流出段差面41bにより徐々に絞る構成を実現できる。
本実施形態によれば、流出接続面42bが奥行き方向Zと平行に延びている。このため、流路境界部34を通り過ぎて流出口33bに向かって奥行き方向Zに直進している異物が流出段差面41bに到達する際に流出接続面42bが異物にとって障害物になる、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、流出段差面41bが高さ方向Yと平行に延びているため、流入口33aからの吸入空気の進行方向になりやすい奥行き方向Zに流出段差面41bが直交することになる。このため、流出段差面41bに衝突して跳ね返った異物が高さ方向Yに対して傾いた向きで上流側に逆流して進み、床面37に衝突して跳ね返るなどして計測流路32に進入する、ということを抑制できる。
第1実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例A1として、流入段差面41aにおいて、上流端部及び下流端部のうち一方だけが流入口33aの形状に合わせて湾曲していてもよく、両方とも湾曲していなくてもよい。また、流入天井面部36aは、流入口33aの形状に関係なく、湾曲していてもよく、湾曲していなくてもよい。例えば、流入口33aが矩形状の場合に、流入段差面41aや流入接続面42aが湾曲していてもよい。
変形例A2として、流出口33bが矩形状でなくてもよい。この場合、流出段差面41b及び流出接続面42bが流出口33bの形状に合わせて外側や内側に向けて湾曲していてもよい。
(第2実施形態)
上記第1実施形態のエアフロメータ10では、通過流路31と計測流路32とが幅方向Xに重複していなかったが、第2実施形態のエアフロメータでは、通過流路と計測流路とが幅方向Xに重複している。第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図5〜図8に示すエアフロメータ50は、上記第1実施形態のエアフロメータ10と同様に、吸気管12aに取り付けられた状態で吸気通路12にて吸入空気の物理量を検出する物理量検出装置である。エアフロメータ50は、ハウジング51及び流量検出部52を有しており、ハウジング51は、流路形成部54、Oリング56、フランジ部57、フランジ面57a及びコネクタ部58を有している。これら部材や部位は、上記第1実施形態の同じ名称の部材や部位に対応している。
なお、本実施形態のOリング56は、フランジ部12cの内周側には入り込んでおらず、フランジ部12cの先端部とフランジ部57との間に挟み込まれた状態になっている。この場合、フランジ面57aは、Oリング56を介してフランジ部12cの先端面に対向している。
ハウジング51においては、ハウジング本体51a、表カバー51b及び裏カバー51cにより流路形成部54が形成されている。ハウジング本体51aは、高さ方向Yにおいてフランジ部57から延びており、表カバー51b及び裏カバー51cは、幅方向Xにおいてハウジング本体51aを挟んで平行に対向した状態で、ハウジング本体51aに取り付けられている。ハウジング本体51a及びフランジ部57は、いずれも合成樹脂材料をモールド成形することなどにより一体的に形成されている。また、表カバー51b及び裏カバー51cも合成樹脂材料により形成されている。
流路形成部54は、通過流路61及び計測流路62を有しており、通過流路61は、流入口63a、流出口63b、計測出口63c、流路境界部64、上流境界部分64a及び下流境界部分64bを有している。通過流路61の内周面61aは、通過天井面66、流入天井面部66a、流出天井面部66b、通過床面67、通過壁面68、流入段差面71a、流入接続面72aを有している。これら部材や部位は、上記第1実施形態の同じ名称の部材や部位に対応している。なお、本実施形態では、通過床面67が奥行き方向Zに平行に延びている。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、通過流路61の内周面61aが流出段差面及び流出接続面を有していない。また、流入口63aが矩形状に形成されており、流入天井面部66aが湾曲していない。このため、流入段差面71aの先端部及び基端部の両方が幅方向Xに直線的に延びている。また、流入接続面72aも幅方向Xに直線的に延びている。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、流路境界部34が奥行き方向Zに平行に延びている。この場合でも、計測流路62の上流端部が流入口63a側に向けて開放されているわけではないため、奥行き方向Zに直進している異物が流入口63aから進入したとしても、この異物がこのまま計測流路62に進入するということが生じにくくなっている。
流入天井面部66aにおいては、上記第1実施形態とは異なり、図9に示すように、下流側に向かっても段差が大きくも小さくもなっていない。具体的には、各段差において奥行き間隔Da及び高さ寸法Haが同じ値になっている。この場合、流入口63a寄りの部分と流路境界部64寄りの部分とで、流入天井面部66aにおける全体的な傾斜の角度が同じであることになる。
図5〜図7の説明に戻り、流路形成部54は、通過流路61及び計測流路62に加えて、サブ流路75を有している。サブ流路75は、高さ方向Yにおいてフランジ部57と計測流路62との間に設けられており、奥行き方向Zに延びている。サブ流路75の上流端部をサブ入口75aと称し、下流端部をサブ出口75bと称すると、サブ入口75aは、高さ方向Yにおいてフランジ部57と流入口33aとの間に配置されており、サブ出口75bは、フランジ部57と流出口33bとの間に配置されている。エアフロメータ50は、流量検出部52に加えて、圧力検出部76、湿度検出部77及び温度検出部78を有しており、圧力検出部76及び湿度検出部77はサブ流路75にて吸入空気の圧力及び湿度を検出する。
ハウジング本体51aには、このハウジング本体51aをモールド成形する際にインサート成形により回路基板81が一体に設けられている。回路基板81には、吸気通路12を流れる吸入空気の物理量を検出するための少なくとも1つの検出素子と、検出素子で検出した信号を処理するための回路部とが設けられている。検出素子は、回路基板81の表面または裏面のうち、吸入空気に晒される位置、すなわち吸気通路12内あるいは計測流路62、サブ流路75内に暴露されて吸入空気と接触する部分に設けられている。そして、回路基板81と検出素子との電気的接続部分は、合成樹脂材によって封止されている。回路部は、表カバー51bによって密閉された回路室Rcに配置されている。
ハウジング本体51aには、幅方向Xの一方側や他方側に向けて開放された溝や、ハウジング本体51aを幅方向Xに貫通する孔が設けられている。これら溝や孔が表カバー51bや裏カバー51cにより覆われることで通過流路61、計測流路62及びサブ流路75が形成されている。サブ流路75の中間位置には、センサ室Rsが設けられており、このセンサ室Rsには、回路基板81の裏面に設けられた検出素子としての圧力検出部76や湿度検出部77が設けられている。これら圧力検出部76及び湿度検出部77は、サブ流路75を流れる吸入空気の圧力及び湿度を検出可能になっている。
回路基板81は、幅方向Xにおいてハウジング本体51aの中間位置において、幅方向Xに直交した状態で設けられていることで、回路室Rcとセンサ室Rsとを区画している。回路室Rcは、表カバー51bと回路基板81との間に形成されており、センサ室Rsは、裏カバー51cと回路基板81との間に形成されている。回路室Rcは、表カバー51bをハウジング51に取り付けることにより密閉され、外部から完全に隔離される。
流路形成部54は、高さ方向Yにおいて計測流路62とサブ流路75とを仕切る仕切壁84を有している。回路基板81は、高さ方向Yにおいて仕切壁84を貫通して計測流路62に突出しており、この突出部分である計測基板部81aに流量検出部52が設けられている。
エアフロメータ50が吸気管12aに取り付けられた状態では、高さ方向Yにおいて流入口63aとサブ入口75aとの中間位置が吸気管12aの中心線に重なる又は近い位置に配置されている。この構成では、吸気通路12の内壁面近傍ではなく、内壁面から離れた中央部に近い部分の気体が通過流路61やサブ流路75に流れ込みやすい。この場合、エアフロメータ50は、吸気通路12の内壁面から離れた部分の気体の物理量を測定することができ、熱や内壁面近傍の流速低下に関係する物理量の計測誤差を低減できる。
流路形成部54は、吸入空気が流入口63aから流入することを制限する流入制限部85を有している。流入制限部85は、通過流路61の通過床面67から通過天井面66に向けて延びる凸部である。流入制限部85は、下流側を向いた下流側面85aと、通過天井面66側(以下、天井側とも言う)を向いた上面85bとを有しており、これら下流側面85a及び上面85bは通過床面67に含まれている。流入制限部85は、流入口63aに設けられており、上面85bの上流端部は流入口63aに含まれている。下流側面85aは、上流側に向けて斜め上方に延びており、上面85bは、奥行き方向Zに平行に延びている。
流入制限部85は、一対の通過壁面68にかけ渡された状態になっており、高さ方向における流入口63aの高さ寸法を小さくすることで、流入口63aの開放面積を小さくしている。流入制限部85は、高さ方向Yに平行に延びているのではなく、通過天井面66に向けて流出口63bから遠ざかる向きに延びていることで高さ方向Yに対して傾斜している。
本実施形態では、上述したように、通過流路61における流出口63b寄りの部分と、計測流路62における計測出口63c寄りの部分とが幅方向Xに重複している。流路形成部54においては、ハウジング本体51aに溝が形成されていることで、通過流路61がハウジング本体51aと裏カバー51cとの間に設けられている。計測流路62は、上流計測路91、中間計測路92及び下流計測路93を有している。上流計測路91は、流路境界部64から計測流路62の下流側に延びており、通過流路61と同様に、ハウジング本体51aと裏カバー51cとの間に設けられている。下流計測路93は、計測出口63cから計測流路62の上流側に延びており、ハウジング本体51aと表カバー51bとの間に設けられている。下流計測路93は、幅方向Xにおいてハウジング本体51aを挟んで上流計測路91及び通過流路61とは反対側に配置されている。
中間計測路92は、計測流路62において上流計測路91と下流計測路93とを接続する部分であり、ハウジング本体51aに孔が形成された部分に配置されていることで、この孔を通じて表カバー51bと裏カバー51cとの間に設けられている。中間計測路92は、奥行き方向Zに延びており、この中間計測路92においては、吸入空気が吸気通路12とは逆向きに流れる。中間計測路92は、仕切壁84によりサブ流路75に対して仕切られており、回路基板81の計測基板部81aは中間計測路92に配置されている。このため、中間計測路92に設けられた流量検出部52は、中間計測路92を流れる吸入空気の流量を検出することになる。
幅方向Xにおいて、中間計測路92の幅寸法は、上流計測路91及び下流計測路93の幅寸法に比べて大きくなっている。上流計測路91は、その幅寸法が中間計測路92に近付くにつれて徐々に大きくなっている幅増加部91aを有しており、下流計測路93は、その幅寸法が中間計測路92から遠ざかるにつれて徐々に小さくなっている幅縮小部93aを有している。ハウジング本体51aは、幅増加部91aを形成する幅増加面94と、幅縮小部93aを形成する幅縮小面95とを有している。幅増加面94は、ハウジング本体51aにおいて裏カバー51cに対向する面に含まれており、幅方向Xに直交しておらず、中間計測路92側を向くことで幅方向Xに対して傾斜している。幅縮小面95は、ハウジング本体51aにおいて表カバー51bに対向する面に含まれており、幅増加面94と同様に、中間計測路92側を向くことで幅方向Xに対して傾斜している。
流量検出部52は、計測基板部81aにおいて表カバー51bと対向する面に配置されている。中間計測路92においては、幅増加面94の下流側に流量検出部52が配置されている。この場合、流量検出部52が幅増加面94の陰に隠れたような状態になっているため、仮に異物が通過流路61から計測流路62に進入したとしても、幅増加面94が障害物になって異物が流量検出部52に到達しにくくなっている。
ここまで説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、流入天井面部66aが流入段差面71aを有しているため、流入口63aから進入した異物が計測流路62に進入しにくくなっている。また、この流入段差面71aが奥行き方向Zに直交している。このため、図3と同様に、図8に示すように、流入口63aから進入した大異物F1が奥行き方向Zに直進して流入段差面71aに衝突した場合、大異物F1は自身の軌跡を辿るようにして流入口63a側に戻る可能性が高いと考えられる。これに対して、本実施形態とは異なり、図4と同様に、図10に示すように流入天井面部66aが流入段差面71aを有していない構成では、この流入天井面部66aが奥行き方向Zに直交していない。このため、大異物F1は、全体として傾斜している流入天井面部66aに衝突し、進行方向を変えつつ計測流路62に進入することが懸念される。この点、本実施形態では、流入天井面部66aが大異物F1の跳ね返り方向を制限することで、その大異物F1が計測流路62に進入することを抑制できる。
本実施形態によれば、流入口63aを挟んで流入段差面71aとは反対側である通過床面67に流入制限部85が設けられているため、流入口63aから進入して直進する異物が流入段差面71aに衝突する確率を高めることができる。これは、流入口63aのうち流入段差面71aに対向しない領域、すなわち、奥行き方向Zにおいて流入段差面71aと並んでいない領域を、流入段差面71aにより塞ぐことができるためである。このため、異物が流入段差面71aに衝突せずに計測流路62に進入するということを抑制できる。
第2実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例B1として、流入段差面71aは奥行き方向Zに平行でなくてもよい。例えば、図11に示すように、流入段差面71aが上流側に向けて斜め上方に延びた構成とする。この構成では、流入接続面72aが流入段差面71aに直交しており、この流入接続面72aは、上流側に向けて斜め下方に延びている。流入段差面71aと奥行き方向Zとの間の角度を段差角度θzと称し、流入接続面72aと高さ方向Yとの間の角度を接続角度θyと称すると、これら段差角度θzと接続角度θyとは同じ角度になっている。これら角度θz,θyは、正の値で数度〜数十度といった比較的小さな絶対値になっている。このため、例えば、奥行き方向Zに直進している大異物F1が流入段差面71aや流入接続面72aに衝突しても、その大異物F1は、ほぼ奥行き方向Zと同じ方向で流入口63aに向けて戻りやすくなっている。
また、図12に示すように、流入段差面71aが上流側に向けて斜め下方に延びた構成とする。この構成では、流入接続面72aが流入段差面71aに直交しており、この流入接続面72aは、下流側に向けて斜め下方に延びている。この場合、段差角度θz及び接続角度θyは、負の値で数度〜数十度といった比較的小さな絶対値になっている。この場合でも、流入段差面71aや流入接続面72aにて跳ね返った大異物F1は、ほぼ奥行き方向Zと同じ方向で流入口63aに向けて戻りやすくなっている。
変形例B2として、流入段差面71aと流入接続面72aとは直交していなくてもよい。例えば、流入段差面71aと流入接続面72aとの間の角度が90度より小さくなっていてもよく、90度より大きくなっていてもよい。この角度と90度との差異は、奥行き方向Zに直進している大異物F1が流入段差面71aや流入接続面72aに衝突した場合に、その大異物F1がほぼ奥行き方向Zと同じ方向で流入口63aに向けて戻りやすい程度に小さいことが好ましい。好ましい値としては、数度〜数重度といった比較的小さな絶対値が挙げられる。
変形例B3として、流入天井面部66aの各段差において、流入段差面71aの高さ寸法Haが同じでなくてもよい。例えば、図13に示すように、流入段差面71aの高さ寸法Haが流入口63aから遠ざかるにつれて徐々に小さくなっている構成とする。この構成では、奥行き間隔Daは各段差について同じになっている。なお、流入段差面71aの高さ寸法Haが流入口63aから遠ざかるにつれて徐々に大きくなっていてもよい。
変形例B4として、流入天井面部66aの各段差において、流入段差面71aの高さ寸法Ha及び奥行き間隔Daの両方が異なっていてもよい。例えば、図14に示すように、流入天井面部66aの各段差について、高さ寸法Ha及び奥行き間隔Daの両方が流入口63aから遠ざかるにつれて徐々に大きくなっている構成とする。なお、高さ寸法Ha及び奥行き間隔Daの両方が流入口63aから遠ざかるについて徐々に小さくなっていてもよい。
変形例B5として、上記第1実施形態と同様に、上記第2実施形態のエアフロメータ50が流出段差面及び流出接続面を有していてもよい。例えば、図15に示すように、通過流路61の内周面61aにおいて、通過天井面66の流出天井面部66bが流出段差面71b及び流出接続面72bを有する構成とする。これら流出段差面71b及び流出接続面72bは、上記第1実施形態の同じ名称の部位に対応している一方で、この構成では、流入天井面部66aが流入段差面71a及び流入接続面72aを有していない。この構成でも、この流出段差面71bが奥行き方向に直交している。このため、図3と同様に、図15に示すように、流入口63aから進入した大異物F2が奥行き方向Zに直進して流出段差面71bに衝突した場合、大異物F2は、自身の軌跡を辿るようにして流入口63aに戻る可能性が高いと考えられる。
これに対して、本実施形態とは異なり、図4と同様に、図16に示すように流出天井面部66bが流出段差面71bを有していない構成では、この流出天井面部66bが奥行き方向に直交した部分を有していない。このため、大異物F2は、全体として傾斜している流出天井面部66bに衝突し、進行方向を変えて計測流路62に進入することが懸念される。この点、本実施形態では、流出天井面部66bが大異物F2の跳ね返り方向を制限することで、その大異物F2が計測流路62に進入することを抑制できる。
なお、上記変形例B1を上記変形例B4に適用し、流出段差面71bが奥行き方向Zbに平行でなくてもよい。例えば、流出段差面71bが上流側に向けて斜め上方や斜め下方に延びた構成が挙げられる。また、上記変形例B2を上記変形例B4に適用し、流出段差面71bと流出接続面72bとが直交していなくてもよい。
変形例B6として、上記変形例B5おいて、図17に示すように、通過天井面66が流出段差面71b及び流出接続面72bに加えて、流入段差面71a及び流入接続面72aを有していてもよい。この構成では、上記第1実施形態と同様に、流入天井面部66aに衝突する大異物F1、及び流出天井面部66bに衝突する大異物F2の両方について、計測流路62に進入することに対する抑止力を発揮できる。
変形例B7として、流入天井面部66aの全体に段差が形成されていなくてもよい。例えば、図18に示すように、流入天井面部66aが流入段差面71a及び流入接続面72aに加えて、流入非段差面73aを有する構成とする。流入非段差面73aは、最も下流側に配置された流入段差面71aの下流端部から下流側に向けて斜め下方に延びており、流入非段差面73aの下流端部は上流境界部分64aに配置されている。この構成でも、大異物F1が計測流路62に進入することに対する抑止力を流入段差面71aに発揮させることができる。なお、流入非段差面73aは、流入段差面71aのいずれよりも上流側に配置されていてもよく、複数の流入段差面71aの間に配置されていてもよい。また、流入非段差面73aは下流側に向けて斜め上方に延びていてもよく、奥行き方向Zに平行に延びていてもよい。
この変形例B7を上記変形例B4に適用し、流出天井面部66bの全体に段差が形成されていなくてもよい。例えば、図18に示すように、流出天井面部66bが流出段差面71b、流出接続面72bに加えて、流出非段差面73bを有する構成とする。流出非段差面73bは、最も下流側に配置された流出段差面71bの下流端部から下流側に向けて斜め下方に延びており、流出非段差面73bの下流端部は流出口63bに配置されている。この構成でも、大異物F2が計測流路62に進入することに対する抑止力を流出段差面71bに発揮させることができる。なお、流出非段差面73bは、流出段差面71bのいずれよりも上流側に配置されていてもよく、複数の流出段差面71bの間に配置されていてもよい。また、流出非段差面73bは下流側に向けて斜め上方に延びていてもよく、奥行き方向Zに平行に延びていてもよい。
変形例B8として、通過床面67は奥行き方向Zに対して傾斜していてもよい。例えば、図19に示すように、通過床面67が上流側に向けて斜め上方に延びた構成とする。この構成では、奥行き方向Zに対して傾斜した通過床面67が真っ直ぐに延びた状態で流入口63aと流出口63bとにかけ渡されている。この場合、流路形成部54は流入制限部85を有していない。
変形例B9として、図20に示すように、流路形成部54が流入制限部85を有していなくてもよい。この場合、奥行き方向Zにおいて、流出天井面部66bの少なくとも一部が流入制限部85により上流側から覆い隠された状態にならない。このため、全ての流出段差面71bが流入口63aを介して上流側に露出した状態になる。
変形例B10として、通過床面67が段差を有していてもよい。例えば、図21に示すように、通過床面67が床段差面67a及び床接続面67bを有する構成とする。床段差面67aは、流入段差面71aや流出段差面71bと同様に、奥行き方向Zに直交しており、奥行き方向Zに所定間隔で複数並べられている。床段差面67aの設置間隔は、流入段差面71aの奥行き間隔Daや流出段差面71bの奥行き間隔Dbより大きくなっている。床接続面67bは、流入接続面72aや流出接続面72bと同様に、奥行き方向Zに平行に延びており、隣り合う床段差面67aを接続している。
なお、通過床面67が床段差面67a及び床接続面67bを有している構成では、通過天井面66が流入段差面71aや流出段差面71bを有していなくてもよい。この場合、通過床面67に衝突する大異物の両方について、その大異物の進行方向が変化して計測流路62に進入することに対して抑止力を発揮できる。
変形例B11として、通過壁面68が段差を有していてもよい。例えば、図22に示すように、通過壁面68が壁段差面68a及び壁接続面68bを有する構成とする。壁段差面68aは、上記変形例B10の床段差面67aと同様に、奥行き方向Zに直交しており、奥行き方向Zに所定間隔で複数並べられている。壁段差面68aの設置間隔は、流入段差面71aの奥行き間隔Daや流出段差面71bの奥行き間隔Dbより大きくなっており、例えば床段差面67aの設置間隔と同じになっている。具体的には、壁段差面68aと床段差面67aとが接続されている。壁接続面68bは、上記変形例B10の床接続面67bと同様に、奥行き方向Zに平行に延びており、隣り合う壁段差面68aを接続している。壁段差面68a及び壁接続面68bは、一対の通過壁面68の少なくとも一方に形成されている。
変形例B12として、流入段差面71aの奥行き間隔Daは、流出段差面71bの奥行き間隔Dbより大きくなくてもよい。例えば、奥行き間隔Daが奥行き間隔Dbと同じ又はそれより小さくてもよい。
変形例B13として、流入段差面71aは、流入天井面部66a及び流出天井面部66bのそれぞれに1つずつ設けられていてもよい。また、流入段差面71aは、流入天井面部66a及び流出天井面部66bのうち一方に1つだけ設けられていてもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態のエアフロメータ50は、奥行き方向Zに平行に真っ直ぐに延びる平行領域を有している。本実施形態では、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図23に示すように、通過流路61は、平行領域101、天井側領域102及び隠れ領域103を有している。平行領域101は、流入口63aと流出口63bとを繋ぐようにして奥行き方向Zに真っ直ぐに延びた領域であり、平行領域101の上流端部は流入口63aに含まれ、下流端部は流出口63bに含まれている。天井側領域102は、高さ方向Yにおいて平行領域101よりも天井側の領域であり、流入口63aから下流側に向けて延びている。この場合、天井側領域102の上流端部は流入口63aに含まれている。隠れ領域103は、高さ方向Yにおいて平行領域101よりも通過床面67側(以下、床側とも言う)にある領域になっており、流出口63bから上流側に向けて延びている。この場合、隠れ領域103の下流端部は流出口63bに含まれている。なお、領域101〜103は、いずれも仮想の領域であり、通過流路61が実際に領域101〜103に分割されているわけではない。また、図23〜図25においては、平行領域101をドットハッチングにより図示している。
図23、図24に示すように、流入口63aは、平行領域101に含まれた第1入口領域63a1と、天井側領域102に含まれた第2入口領域63a2とを有している。流入口63aにおいては、第1入口領域63a1が第2入口領域63a2よりもフランジ先端側に配置されており、これら領域63a1,63a2は、流入口63aを2分割するように高さ方向Yに並んでいる。平行領域101は、第1入口領域63a1を下流側に向けて投影した領域であり、この投影領域は流出口63bまで到達している。これに対して、天井側領域102は、流入天井面部66aが流路境界部64に近付くにつれて徐々に通過床面67に近付いていることに起因して、奥行き方向Zにおいて下流側に延びることが流入天井面部66aにより遮られた状態になっている。この場合、天井側領域102は流入天井面部66aよりも上流側に配置されている。
図23、図25に示すように、流出口63bは、平行領域101に含まれた第1出口領域63b1と、隠れ領域103に含まれた第2出口領域63b2とを有している。流出口63bにおいては、第1出口領域63b1が第2出口領域63b2よりもフランジ基端側に配置されており、これら領域63b1,63b2は、流出口63bを2分割するように高さ方向Yに並んでいる。平行領域101は、第1出口領域63b1を上流側に向けて投影した領域と称することもできる。これに対して、隠れ領域103は、通過床面67に沿って上流側に向けて延びているが、通過床面67から流入制限部85が突出していることに起因して、奥行き方向Zにおいて上流側に延びることが流入制限部85により遮られた状態になっている。この場合、隠れ領域103は、流入制限部85よりも下流側に配置されており、流入制限部85により上流側から覆い隠されたような状態になっている。
図23に示すように、通過流路61の内周面61aは高さ絞り面105を有している。高さ絞り面105は、通過床面67に含まれており、一対の通過壁面68にかけ渡された状態で幅方向Xに平行に延びている。高さ絞り面105は、奥行き方向Zにおいて流路境界部64よりも流出口63b側に配置されており、流出口63bから上流側に向けて延びている。高さ絞り面105は、流出口63bに近付くにつれて徐々に通過流路61の高さ寸法Hcを小さくしている。
高さ絞り面105は、流出口63bに近付くにつれて徐々に通過天井面66に近付いており、通過流路61を連続的に絞っている。幅方向Xにおいて通過流路61の幅寸法は均一になっており、流出口63bに近付くにつれて通過流路61の高さ寸法Hcが徐々に小さくなることで、通過流路61の断面積も徐々に小さくなっている。この場合、通過流路61において流路境界部64よりも下流側では、高さ寸法Hc及び断面積の両方が流出口63bにて最も小さくなっている。
平行領域101の高さ寸法は、奥行き方向Zのどの部分についても均一になっている。これに対して、天井側領域102の高さ寸法は、流入口63aから遠ざかるにつれて徐々に小さくなっている。ここで、通過床面67は、高さ絞り面105に加えて、奥行き方向Zに平行に延びる平行床面部106を有しており、平行床面部106は、高さ絞り面105の上流端部から上流側に向けて延びている。この場合、隠れ領域103の高さ寸法は、平行床面部106がある範囲についてはどの部分についても均一になっているが、高さ絞り面105がある範囲については流出口63bに近付くにつれて徐々に小さくなっている。
流入口63aにおいては、平行領域101の高さ寸法が天井側領域102の高さ寸法より小さくなっている。すなわち、第1入口領域63a1の高さ寸法が第2入口領域63a2の高さ寸法より小さくなっている。この場合、平行領域101を確保した上で、通過流路61への吸入空気の流入量が不足することを第2入口領域63a2や天井側領域102により抑制している。また、流出口63bにおいては、平行領域101の高さ寸法が隠れ領域103の高さ寸法より小さくなっている。すなわち、第1出口領域63b1の高さ寸法が第2出口領域63b2の高さ寸法より大きくなっている。この場合、流出口63bにおいて平行領域101が極力大きく確保されているため、平行領域101を直進する異物がそのまま流出口63bから出やすくなっている。
高さ絞り面105は、奥行き方向Zにおいて流入制限部85の下流側に配置されており、この流入制限部85により上流側から覆い隠された状態になっている。このため、奥行き方向Zにおいては、流入制限部85の存在で高さ絞り面105が流入口63aから上流側に露出していないことになる。例えば、奥行き方向Zにおいて人が流入口63aから通過流路61を覗き込んだ場合に、流入制限部85により視線が遮られることで高さ絞り面105を視認することができない。ただし、奥行き方向Zに対して傾斜した方向については、高さ絞り面105は流入口63aから露出した状態になっているとも言え、その方向から流入制限部85の奥側を覗き込んだ人は高さ絞り面105を視認することが可能であるとも言える。
例えば、奥行き方向Zに直進している大異物F3が流入口63aの第1入口領域63a1から通過流路61に進入した場合、この大異物F3は単に平行領域101を直進することで流出口63bの第1出口領域63b1から出て行くことになる。このため、高さ絞り面105により通過流路61が絞られていても、平行領域101を直進する奥行き方向Zに直進している大異物F3については、高さ絞り面105に衝突することや計測流路62に進入することが生じにくくなっている。
これに対して、本実施形態とは異なり、高さ絞り面105が奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出している構成では、異物が高さ絞り面105に衝突して跳ね返ることで、計測流路32に進入しやすくなることが懸念される。例えば、図26に示すように、流入制限部85が設けられていないことで、高さ絞り面105が奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出している構成では、奥行き方向Zに直進している大異物F4が高さ絞り面105に衝突することが想定される。この場合、大異物F4が高さ絞り面105にて跳ね返った角度によっては、大異物F4が高さ絞り面105に続いて流出天井面部66bにて跳ね返りつつ上流側に進むことで計測流路62に進入しやすくなることがある。このように、高さ絞り面105にて跳ね返った大異物F4の進行方向が高さ方向Yについて変わると、この大異物F4が計測流路62に進入する可能性が高くなりやすい。この点、本実施形態では、そもそも奥行き方向Zに直進している大異物F4が高さ絞り面105に衝突しにくい構成になっているため、大異物F4が計測流路62に進入することが抑制される。
本実施形態では、流出天井面部66b及び流路境界部64が奥行き方向Zに平行に延びており、計測流路62の上流端部は、高さ方向Yにおいてフランジ先端側に開放されている。この場合、計測流路62の上流端部は、流入口63a側及び流出口63b側のいずれに向けても開放されていない。平行領域101は流路境界部64と平行に延びており、流出天井面部66b及び流路境界部64が、平行領域101の天井側の範囲を規定している。流路境界部64は、奥行き方向Zに平行に延びていることに起因して、流路境界部64は流入口63aから上流側には露出していない。このため、例えば平行領域101を奥行き方向Zに直進する大異物F3が進行方向を変えることなくそのまま計測流路62に進入する、ということが生じにくくなっている。また、平行領域101は流入制限部85の上面85bと平行に延びており、この上面85bが平行領域101の床側の範囲を規定している。
ここまで説明した本実施形態によれば、通過流路61において平行領域101を確保した上で、高さ絞り面105が奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出していないため、異物が高さ絞り面105に衝突しにくい構成を実現できる。このため、流入口63aから通過流路61に進入して直進する異物が、流路境界部64を通り過ぎたにもかかわらず、高さ絞り面105に衝突して跳ね返ることで上流側に戻って計測流路62に進入する、ということを抑制できる。
また、通過流路61においては、平行領域101が流入口63aの第1入口領域63a1の投影領域として確保されている。このため、平行領域101を奥行き方向Zに直進する異物については、通過流路61の内周面61aのどの部分にも衝突せずにそのまま流出口63bから出て行きやすくなっている。このように、例えば、奥行き方向Zに真っ直ぐに延びる領域が通過流路61に確保されていない構成に比べて、異物が通過流路61の内周面61aに衝突する可能性を下げることで、計測流路62への異物の進入を抑制することができる。
しかも、流路境界部64よりも下流側において高さ絞り面105が通過流路61を絞っているため、通過流路61から計測流路62に流入する吸入空気の量が増えやすくなっている。ここで、流量検出部52が熱式の流量センサになっていることに起因して、流量検出部52の検出精度を適正に保つには、計測流路62での吸入空気の流れがある程度速いことが好ましい。すなわち、通過流路61から計測流路62への吸入空気の流入量がある程度大きいことが好ましい。計測流路62への流入量は、通過流路61と計測流路62とについて断面積や流路長さなどの関係に応じて増減するが、通過流路61における最小断面積を小さくするほど増えると考えられる。これに対して、本実施形態によれば、高さ絞り面105が設けられた分だけ通過流路61の最小断面積が小さくなっているため、高さ絞り面105が設けられていない構成に比べて、計測流路62への流入量が増加することになる。これにより、計測流路62での流量検出部52の検出精度を適正化することができる。
本実施形態によれば、流路境界部64が奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出していないため、流入口63aから進入した異物が通過流路61の内周面61aに衝突せずにそのまま計測流路62に進入するということを抑制できる。これにより、異物が流量検出部52に付着することなどにより流量検出部52の検出精度が低下するということに対する抑止力を発揮できる。
本実施形態によれば、高さ絞り面105が傾斜面になっているため、通過流路61の高さ寸法Hcや断面積が徐々に小さくなっている。このため、例えば通過流路61の高さ寸法Hcや断面積が急激に小さくなっている構成に比べて、高さ絞り面105の周辺にて気流の乱れが発生しにくくなっている。この場合、計測流路62に流入する吸入空気にも乱れが生じにくくなるため、計測流路62にて生じた気流の乱れにより流量検出部52の検出精度が低下するということを抑制できる。
本実施形態によれば、通過床面67が平行領域101に平行に延びる平行床面部106を有している。この場合、例えば通過床面67が平行領域101に平行に延びる部分を有していない構成に比べて、平行領域101における吸入空気の流れが乱れにくくなっている。このため、平行領域101を奥行き方向Zに直進する異物がそのまま流出口63bから出て行くことを平行床面部106により促すことができる。
本実施形態によれば、高さ絞り面105を上流側から覆い隠すように、単に流入制限部85が設けられていることで、奥行き方向Zに直進する異物が高さ絞り面105に衝突しにくくなっている。例えば、本実施形態とは異なり、高さ絞り面105が流入天井面部66aの下流側に隠れた構成にしようとすると、設計変更の段階において流路境界部64の位置や通過流路61に対する計測流路62の分岐角度など数多くの検討事項が生じることが懸念される。これに対して、流入制限部85を設ける方法では、設計変更の段階において流入口63aからの流入量などを適正化する必要はあるが、設計負担を比較的抑えやすいと考えられる。
本実施形態によれば、流出口63bの全体が平行領域101に含まれているのではなく、流出口63bの第1出口領域63b1が平行領域101に含まれている一方で、第2出口領域63b2は平行領域101に含まれていない。このため、例えば通過流路61において気流の乱れが発生した場合に、その乱れが平行領域101ではなく例えば隠れ領域103に含まれる可能性を確保できる。換言すれば、気流の乱れなどが第1出口領域63b1ではなく第2出口領域63b2から外部に放出される可能性を確保できる。これにより、平行領域101について、気流の乱れなどにより異物が奥行き方向Zに直進しにくい状態になるということを抑制できる。
第3実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例C1として、流入天井面部66aが段差を有していてもよい。例えば、上記第2実施形態を適用し、図27に示すように、流入天井面部66aが流入段差面71a及び流入接続面72aを有する構成とする。この構成でも、流入天井面部66aと平行領域101との間に天井側領域102が形成されている。この構成では、奥行き方向Zに直進する異物が天井側領域102に進入した場合に、その異物が流入段差面71aに衝突して流入口63a側に跳ね返ることで、計測流路62への異物の進入が抑制される。
変形例C2として、高さ絞り面105が段差を有していてもよい。例えば、上記変形例B10を適用し、図28に示すように、高さ絞り面105が床段差面67a及び床接続面67bを有する構成とする。この構成の高さ絞り面105は、流出口63bに近付くにつれて通過流路61を連続的に絞っているのではなく、段階的に絞っている。この構成では、通過流路61の高さ寸法Hcや断面積が流出口63bに向けて段階的に小さくなっている。ここで、最も下流側に配置された床接続面67bの下流端部は流出口63bに含まれており、通過流路61においては、この床接続面67bにより形成された部分の高さ寸法Hc及び断面積が最も小さくなっている。
変形例C3として、上記変形例C1と上記変形例C2とを組み合わせて、流入天井面部66a及び高さ絞り面105の両方が段差を有していてもよい。例えば、図29に示すように、流入天井面部66aが流入段差面71a及び流入接続面72aを有し、高さ絞り面105が床段差面67a及び床接続面67bを有する構成とする。
変形例C4として、通過流路61の内周面61aは高さ絞り面を複数有していてもよい。例えば、図30に示すように、内周面61aが高さ絞り面として床絞り面105a及び天井絞り面105bを有する構成とする。床絞り面105aは、上記第3実施形態の高さ絞り面105であり、通過床面67に含まれている。天井絞り面105bは、流出天井面部66bに含まれており、床絞り面105aと同様に、一対の通過壁面68にかけ渡された状態になっている。天井絞り面105bの下流端部は流出口63bに含まれており、天井絞り面105bは、高さ方向Yにおいて流出口63bに近付くにつれて徐々に通過床面67に近付いている。また、流出天井面部66bのほぼ全体が天井絞り面105bになっている。この構成では、床絞り面105a及び天井絞り面105bの両方が通過流路61を絞っているため、通過流路61の絞り度合いを極力大きくできる。
変形例C5として、通過流路61は、隠れ領域を複数有していてもよい。例えば、図30、図31に示すように、通過流路61が隠れ領域として床隠れ領域103a及び天井隠れ領域103bを有する構成とする。床隠れ領域103aは、上記第3実施形態の隠れ領域103であり、平行領域101と通過床面67との間に形成されている。天井隠れ領域103bは、平行領域101と流出天井面部66bとの間に形成された領域である。
天井隠れ領域103bは、例えば図31に示すように、流出口63bから下流側に向けて延びていてもよい。この構成では、流出口63bが第2出口領域63b2を複数有しており、床側の第2出口領域63b2から床隠れ領域103aが延び、天井側の第2出口領域63b2から天井隠れ領域103bが上流側に向けて延びている。天井隠れ領域103bは、奥行き方向Zにおいて流入天井面部66aの下流側に配置されており、流入天井面部66aにより上流側から覆い隠されたような状態になっている。
また、天井隠れ領域103bは、例えば図31に示すように、流出口63bとは独立して形成されていてもよい。この構成では、上記第3実施形態に比べて、流路境界部64の下流境界部分64bが通過床面67から離れた位置に配置されている。この場合、流路境界部64は、奥行き方向Zに平行に延びているのではなく、下流側に向けて床側に斜めに延びていることで奥行き方向Zに対して傾斜している。ここで、天井絞り面105bの上流端部は流出口63bに含まれている。これらのことにより、通過流路61は、下流境界部分64b周辺の部分が通過床面67とは反対側に向けて膨らんだ形状になっており、この部分が天井隠れ領域103bになっている。この天井隠れ領域103bは、天井絞り面105b、流路境界部64及び平行領域101に囲まれた領域になっている。
変形例C6として、通過流路61の内周面61aは、流出口63bに近付くにつれて通過流路61を幅方向に絞る幅絞り面を有していてもよい。具体的には、一対の通過壁面68の少なくとも一方に幅絞り面が含まれていてもよい。例えば、図32に示すように、一対の通過壁面68のうち一方の通過壁面68に幅絞り面107が含まれた構成とする。幅絞り面107は、流出天井面部66bと通過床面67とにかけ渡された状態で、高さ方向Yに平行に延びている。幅絞り面107は、奥行き方向Zにおいて流路境界部64よりも流出口63b側に配置されており、流出口63bから上流側に向けて延びている。幅絞り面107は、流出口63bに近付くにつれて徐々に通過流路61の幅寸法Waを小さくしている。幅絞り面107は、流出口63bに近付くにつれて徐々に他方の通過壁面68に寄っており、通過流路61の幅寸法Wa及び断面積を連続的に小さくしている。
平行領域101は、幅方向Xにおいて幅絞り面107と、幅絞り面107がない方の通過壁面68との間の領域になっている。通過流路61は、平行領域101に加えて、幅方向Xにおいて平行領域101の側方に設けられた側方領域104を有している。側方領域104は、流入口63aから下流側に向けて延びた領域であり、幅絞り面107の上流側に配置されている。この構成では、流入口63aから側方領域104に進入した異物は、奥行き方向Zに直進することで幅絞り面107にて跳ね返ると考えられるが、この跳ね返りでは、異物の進行方向が幅方向Xに変化しやすいものの、高さ方向Yには変化しにくいと考えられる。このため、異物が幅絞り面107に衝突したことに起因して計測流路62に進入しやすくなる、ということが生じにくくなっている。
また、幅絞り面107を有している方の通過壁面68は、奥行き方向Zに平行に延びた平行壁面部108を有している。平行壁面部108は、幅絞り面107の上流端部から上流側に向けて延びており、平行壁面部108の上流端部は流入口63aに含まれている。これにより、平行領域101を奥行き方向Zに直進する異物について、そのまま直進して流出口63bから出ることが平行壁面部108により促されるようになっている。
なお、幅絞り面107は傾斜面でなく段差を有していてもよい。例えば、上記第2実施形態の通過天井面66と同様に、幅絞り面107が段差面及び接続面を有する構成とする。
変形例C7として、通過流路61において高さ寸法Hcや断面積が最も小さい部分は流出口63bでなくてもよい。例えば、奥行き方向Zにおいて流路境界部64と流出口63bとの中間部分であってもよい。この場合でも、高さ絞り面105が通過流路61を絞る構成であれば、計測流路62での吸入空気の流れを適正に速くすることができる。
変形例C8として、流入口63a及び流出口63bの少なくとも一方について、その全体が平行領域101に含まれていてもよい。例えば、流出口63bが第1出口領域63b1及び第2出口領域63b2のうち第1出口領域63b1だけを有する構成とする。
変形例C9として、高さ方向Yにおいて、流路境界部64の下流境界部分64bが上流境界部分64aよりも床側に配置されていてもよい。例えば、奥行き方向Zにおいて、下流境界部分64bが流入口63aから上流側に露出した構成とする。この構成でも、流出天井面部66bが奥行き方向Zに平行に延びていれば、奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出する位置で流出天井面部66bが通過流路61を絞っているという構成には該当しない。
変形例C10として、通過床面67が平行床面部106を有していなくてもよい。例えば、通過床面67のほぼ全体が高さ絞り面105になっている構成とする。この構成では、高さ絞り面105が流入制限部85の基端部から下流側に向けて延びている。この場合、高さ絞り面105は、流入制限部85と流出口63bとにかけ渡された状態になっている。
(第4実施形態)
第4実施形態のエアフロメータ50は、流路境界部64が流入口63aから上流側に露出しないようになっている。本実施形態では、上記第3実施形態と同様に、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図33に示すように、流路形成部54は、通過流路61から計測流路62を分岐させるべく通過流路61と計測流路62とを仕切る流路仕切部111を有している。流路仕切部111は、奥行き方向Zにおいて流路境界部64よりも下流側であって、高さ方向Yにおいて通過流路61を挟んで通過床面67とは反対側に設けられている。流路仕切部111の上流端部である仕切頂部111aは、流路境界部64の下流境界部分64bを形成している。この場合、仕切頂部111aが下流境界部分64bと同じ位置にあると言うこともできる。流路仕切部111の高さ寸法は、奥行き方向Zにおいて流路境界部64に近付くにつれて徐々に小さくなっており、この高さ寸法の最も小さい部分が仕切頂部111aになっている。この場合、仕切頂部111aは、幅方向Xに延びた頂辺になっている。また、流路仕切部111は、高さ方向Yにおいて通過流路61と計測流路62とを上下に仕切っていると言うこともできる。
なお、流路仕切部111は、ハウジング51においてハウジング本体51aに含まれている。流路仕切部111において、床側を向いた面が流出天井面部66bを形成しており、通過床面67とは反対側を向いた面が計測流路62の内周面を形成している。
流路形成部54は、流路仕切部111に加えて、床側に向けて突出した天井凸部112を有している。天井凸部112は、流出天井面部66bよりも上流側に設けられている。高さ方向Yにおいて、天井凸部112の床側の端部である天井頂部112aは、流路境界部64の上流境界部分64aを形成している。この場合、天井頂部112aが上流境界部分64aと同じ位置にあると言うこともできる。奥行き方向Zにおける天井凸部112の奥行き寸法は、高さ方向Yにおいて通過床面67に近付くにつれて徐々に小さくなっており、この奥行き寸法の最も小さい部分が天井頂部112aになっている。この場合、天井頂部112aは、幅方向Xに延びた頂辺になっている。
なお、天井凸部112は、ハウジング51においてハウジング本体51aに含まれている。天井凸部112において、奥行き方向Zにおいて上流側を向いた面が流入天井面部66aを形成しており、下流側を向いた面が計測流路62の内周面を形成している。
本実施形態では、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しないようになっている。例えば、人が流入口63aから通過流路61を覗き込んだ場合に、その覗き込みの方向を変えても仕切頂部111aを視認することができない。換言すれば、仕切頂部111aが流入制限部85や天井凸部112により上流側から覆い隠された状態になっており、流入口63aからの人の視線が流入制限部85や天井凸部112により遮られる。仕切頂部111aが露出しないということは、流路境界部64も流入口63aから上流側に露出しないということである。
流入制限部85は、通過床面67から天井側に向けて突出した床凸部に相当する。流入制限部85については、その上面85bを流入制限部85の上端部と称することもでき、その上面85bの上流端部を制限頂部85cと称すると、この制限頂部85cも流入制限部85の上端部に含まれることになる。
通過流路61について、流入制限部85の制限頂部85cと天井凸部112の天井頂部112aとを繋いだ仮想線を繋ぎ線PLと称する。繋ぎ線PLについては、例えば人が流入口63aから通過流路61を覗き込んだ場合に、仕切頂部111aに近い部分を見ることができる視線を表現した仮想線と称することもできる。また、例えば、流路境界部64よりも上流側に天井凸部や床凸部が複数ずつ存在する構成について、各天井凸部の先端部と床凸部の先端部とを繋いだ仮想線のうち、奥行き方向Zに対する傾斜角度である繋ぎ角度θaが最大である仮想線を繋ぎ線PLと称する。
奥行き方向Zに平行に延びる仮想線を奥行き基準線Zaと称すると、繋ぎ角度θaは、繋ぎ線PLと奥行き基準線Zaとの間で下流側に向けて開放された部分の角度である。この場合、繋ぎ角度θaは、繋ぎ線PLの下流側部分が通過床面67から離れる側が正の値で大きくなる側であり、通過床面67に近付く側が負の値で大きくなる側である。このため、図33に示すように、繋ぎ線PLが下流側に向けて通過床面67から離れるように傾斜している場合、繋ぎ角度θaは正の値になっている。一方で、繋ぎ線PLが下流側に向けて通過床面67に近付くように傾斜している場合、繋ぎ角度θaは負の値になっている。
通過流路61の内周面61aは、流入上端部113及び流出上端部114を有している。流入上端部113は、高さ方向Yにおいて流入口63aのうち通過床面67とは反対側の端部であり、流出上端部114は、高さ方向Yにおいて流出口63bのうち通過床面67とは反対側の端部である。流入上端部113は、高さ方向Yにおいて天井頂部112aよりも通過床面67から遠い位置にある。また、流入上端部113は、高さ方向Yにおいて仕切頂部111aよりも通過床面67から遠い位置にある。このように、流入上端部113ができるだけ通過床面67から離間した位置に配置されていることで、流入口63aの開放面積ができるだけ大きくされている。このため、流入口63aからの吸入空気の流入量が不足して流量検出部52の検出精度が低下する、ということが抑制される。
流出上端部114は、高さ方向Yにおいて天井頂部112aよりも床側の位置にある。このように、流出上端部114ができるだけ通過床面67に近い位置に配置されていることで、流出口63bの開放面積ができるだけ小さくされている。このため、流出口63bから流出する吸入空気の圧力が高められるため、計測流路62に吸入空気が流入しやすくなり、計測流路62への吸入空気の流入量が不足して流量検出部52の検出精度が低下するということが抑制される。また、流出上端部114は、高さ方向Yにおいて制限頂部85cよりも通過床面67から遠い位置にある。
高さ方向Yにおいて、仕切頂部111aが繋ぎ線PLを挟んで通過床面67とは反対側に配置されていることで、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しないようになっている。この場合、繋ぎ線PLが仕切頂部111aと通過床面67との間を通っており、仕切頂部111aと制限頂部85cとの間に天井凸部112が入り込んだ状態になっている。このため、図34に実線で示すように、流入口63aから通過流路61に進入した大異物F5が繋ぎ線PLに沿って直進している場合、この大異物F5は、高さ方向Yにおいて仕切頂部111aよりも床側を通り、流出天井面部66bに衝突しやすい。この衝突に伴って大異物F5の進行方向が高さ方向Yについて変化するものの、流出口63bから出て行きやすくなる。換言すれば、通過流路61において直進している大異物F5が通過流路61の内周面61aに衝突することなく、そのまま計測流路62に進入することが生じにくくなっている。
これに対して、本実施形態とは異なり、図35に示すように、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出している構成では、大異物F6が繋ぎ線PLに沿って直進している場合、この大異物F6がそのまま計測流路62に進入することが懸念される。この場合、大異物F6は、内周面61aに衝突せずに進行方向が変化していないにもかかわらず、計測流路62に進入することになってしまう。この構成では、高さ方向Yにおいて、繋ぎ線PLが仕切頂部111aを挟んで通過床面67とは反対側を通っており、計測流路62の上流端部や流路境界部64が流入口63aから上流側に露出した状態になっている。この場合、例えば、人が流入口63aから通過流路61を覗き込んだ場合に、計測流路62の内周面や流路境界部64を視認することができてしまう。
図33の説明に戻り、通過流路61は真っ直ぐ領域115を有している。真っ直ぐ領域115は、流入口63aと流出口63bとを繋ぐようにして真っ直ぐに延びた領域であり、真っ直ぐ領域115の上流端部は流入口63aに含まれ、下流端部は流出口63bに含まれている。真っ直ぐ領域115は、上記第3実施形態の平行領域101とは異なり、奥行き方向Zに平行になっておらず、奥行き方向Zに対して傾斜している。本実施形態では、真っ直ぐ領域115は、下流側に向けて通過床面67に近付くように奥行き方向Zに対して傾斜している。この傾斜方向は、繋ぎ線PLとは反対になっており、奥行き方向Zに対する傾斜角度を示す真っ直ぐ角度θbは負の値になっている。真っ直ぐ角度θbは、真っ直ぐ領域115と基準線Zaとの間で下流側に向けて開放された部分の角度である。一方で、上記第3実施形態の平行領域101と同様に、真っ直ぐ領域115の高さ寸法は、奥行き方向Zのどの部分についても均一になっている。
図34に示すように、流入口63aから流入した大異物F7が真っ直ぐ領域115に沿って直進している場合、この大異物F7は、単に真っ直ぐ領域115を直進することで流出口63bから出て行く。ここで、上述したように、真っ直ぐ領域115と繋ぎ線PLとで奥行き方向Zに対する傾斜方向が反対になっている。この場合、吸入空気に含まれる異物について、真っ直ぐ領域115に沿って直進する大異物F7が多くなるようにエアフロメータ50が吸気通路12に設置されていれば、繋ぎ線PLに沿って進行する大異物F5等の異物の数自体が減少しやすくなる。このため、流入口63aから通過流路61に進入した異物が、内周面61aに衝突することなくそのまま計測流路62に進入する、ということに対する抑止力を発揮しやすくなる。
ここまで説明した本実施形態によれば、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出していないため、通過流路61を直進する大異物F5等の異物が、内周面61aに衝突せずにそのまま計測流路62に進入する、ということが生じにくくなっている。したがって、計測流路62の流量検出部52に異物が付着することや、異物により流量検出部52の検出精度が低下することなどを抑制できる。
本実施形態によれば、仕切頂部111aと下流境界部分64bとが一致しているため、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しない構成を実現することで、流路境界部64も流入口63aから上流側に露出しない構成を実現できる。このため、通過流路61を直進する大異物F5等の異物が、内周面61aに衝突せずにそのまま計測流路62に進入する、ということをより確実に抑制できる。
本実施形態によれば、繋ぎ線PLが仕切頂部111aよりも通過床面67側を通っているため、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しない構成を実現できる。
本実施形態によれば、仕切頂部111aと上流境界部分64aとが一致している。すなわち、仕切頂部111aよりも床側に上流境界部分64aが配置されていない。このため、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出していない構成を実現したにもかかわらず、計測流路62の上流端部や流路境界部64が流入口63aから上流側に露出された構成になることを回避できる。これにより、繋ぎ線PLに沿って直進する大異物F5等の異物がそのまま計測流路62に進入することを確実に抑制できる。
本実施形態によれば、高さ方向Yにおいて、天井頂部112aが仕切頂部111aと制限頂部85cとの間の高さ位置に配置されているため、真っ直ぐ領域115を通過流路61にて確保することができる。ここで、本実施形態とは異なり、例えば、高さ方向Yにおいて天井頂部112aが仕切頂部111a及び制限頂部85cのいずれよりも通過床面67に近い位置に配置された構成では、真っ直ぐ領域115を適正な状態で通過流路61に確保することが困難になる。また、高さ方向Yにおいて天井頂部112aが仕切頂部111a及び制限頂部85cのいずれよりも通過床面67から遠い位置に配置された構成でも、同様に、真っ直ぐ領域115を通過流路61に適正な状態で確保することが困難になる。
これに対して、本実施形態によれば、真っ直ぐ領域115を適正な状態で確保できるように仕切頂部111a、制限頂部85c及び天井頂部112aの位置関係が設定されている。このため、通過流路61を直進する大異物F6等の異物が計測流路62にそのまま進入することを抑制でき、しかも、大異物F7等の異物がそのまま流出口63bから出ることを促す構成を実現できる。なお、真っ直ぐ領域115が適正な状態で確保できる構成としては、奥行き方向Zに対する真っ直ぐ領域115の傾斜角度が大きくなり過ぎない構成や、真っ直ぐ領域115の断面積が小さくなり過ぎない構成などが挙げられる。
本実施形態によれば、流入制限部85が床凸部として繋ぎ線PLの角度を規定する機能を有しているため、通過流路61において繋ぎ線PLの角度を規定する専用部材や専用部位を新たに設置する必要がない。このため、エアフロメータ50の構成が複雑になることや、専用部材や専用部位が増えることで通過流路61での流入空気の流れに乱れた生じやすくなることなどを抑制できる。
本実施形態によれば、奥行き方向Zにおいて、仕切頂部111aが流入制限部85や天井凸部112の奥側に隠れる位置に配置されているため、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出することを確実に抑制できる。この場合、通過天井面66や流入口63aの形状を利用して、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しない構成が実現されている。このため、例えば、仕切頂部111aを覆い隠すための専用部材や専用部位を新たに設置する必要がない。
第4実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例D1として、床凸部は流入制限部85でなくてもよい。例えば、図36に示すように、床凸部117が流入口63aから下流側に離間した位置に設けられた構成とする。床凸部117は、天井頂部112aよりも上流側に設けられており、奥行き方向Zにおいて流入口63aと天井頂部112aとの間に配置されている。床凸部117は、その先端部である床頂部117aを有しており、この構成でも、天井頂部112aと床頂部117aとを繋いだ繋ぎ線PLは、仕切頂部111aよりも床側を通っている。これにより、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しないようになっている。
変形例D2として、制限頂部85c等の床頂部は、天井頂部112aよりも下流側に設けられていてもよい。例えば、変形例D1において、床頂部117aが天井頂部112aよりも下流側に設けられた構成とする。この構成では、奥行き方向Zにおいて床頂部117aが天井頂部112aと流入口63aとの間に配置されており、天井頂部112aと仕切頂部111aとの間に床凸部117が入り込んだ状態になっている。例えば、例えば天井凸部112が流入口63aに設けられている。この構成でも、天井頂部112aと床頂部117aとを繋いだ繋ぎ線PLは、仕切頂部111aよりも床側を通ることになる。その一方で、天井頂部112aが上流境界部分64aを形成するという構成にはなっていない。
変形例D3として、繋ぎ線PLが下流側に向けて床側に傾斜していてもよい。すなわち、繋ぎ角度θaが負の値になっていてもよい。例えば、図37に示すように、制限頂部85cが天井頂部112aよりも通過床面67から離間した構成にする。この構成では、流入制限部85の上面85bのうち下流端部が制限頂部85cになる。また、奥行き方向Zに対する繋ぎ線PLの傾斜向きと、奥行き方向Zに対する真っ直ぐ領域115の傾斜向きとが同じになっている。この構成でも、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しないようになっている。
変形例D4として、流路仕切部111の上流端部である先端部が平坦な先端面を有していてもよい。例えば、図38に示すように、流路仕切部111の先端面111bが平坦面になっており、繋ぎ線PLが先端面111bに交差した構成とする。先端面111bにおいて床側とは反対側の端部が仕切頂部111aであり、仕切頂部111aとは反対側の床側端部111cが下流境界部分64bを形成している。このように、仕切頂部111aと下流境界部分64bとが一致していないものの、この構成でも、仕切頂部111aは、流入口63aから上流側に露出しないようになっている。この場合、例えば、繋ぎ線PLに沿って直進する大異物F8は、流路境界部64を越えて計測流路62に一度は進入しても、計測流路62の内周面に衝突して跳ね返ることで計測流路62から通過流路61に戻りやすくなっている。すなわち、大異物F8が流出口63bから出て行きやすくなっている。
変形例D5として、真っ直ぐ領域115は、上記第3実施形態の平行領域101と同様に、奥行き方向Zに平行に延びていてもよい。この構成でも、繋ぎ線PLと真っ直ぐ領域115とが相対的に傾斜していることで、すなわち、繋ぎ角度θaと真っ直ぐ角度θbとが異なることで、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出しない構成を実現できる。
変形例D6として、流路仕切部111の上流端部である先端部の一部が流入口63aから上流側に露出していてもよい。ここでは、流路仕切部111の先端面が平坦だったり湾曲していたりすることで、流路仕切部111において先端部の範囲を明確には特定できず、流路境界部64も明確には特定できない場合などを想定している。
例えば、図39に示すように、流路仕切部111の先端面111bと繋ぎ線PLとが交差した構成とする。この構成では、繋ぎ線PLと先端面111bとの交差角度θcが90度より大きくなっている。先端面111bは上流側に向けて突出するように湾曲した湾曲面になっている。ここで、繋ぎ線PLと先端面111bとが交差した点を交差点Caと称し、この交差点Caでの先端面111bの接線を仕切接線TLと称すると、交差角度θcは、繋ぎ線PLと仕切接線TLとの間で下流側に向けて開放された部分の角度である。
この構成では、例えば、図40に示すように、繋ぎ線PLに沿って直進する大異物F9は、流路仕切部111の先端面111bに衝突した後、高さ方向Yにおいて上流側に向けて床側に跳ね返りやすい。すなわち、大異物F9は計測流路62とは反対側に向けて跳ね返りやすい。これにより、大異物F9等の異物が先端面111bにて跳ね返ることで計測流路62に進入しやすくなってしまうということを抑制できる。これに対して、本変形例D6とは異なり、交差角度θcが90度より小さい構成では、大異物F9が上流側に向けて床側とは反対側に跳ね返りやすいと考えられる。すなわち、流路仕切部111の先端面111bにて跳ね返ることで、大異物F9が計測流路62に進入してしまうと考えられる。
変形例D7として、図41に示すように、流路仕切部111の先端面111bが湾曲面である構成において、繋ぎ線PLがこの湾曲の仕切中心線Cbよりも床側を通っている構成とする。この構成では、先端面111b及び仕切中心線Cbが幅方向Xに平行に延びており、流路境界部64が、仕切中心線Cbと天井頂部112aとを繋いだ仮想線に重なる位置に配置されている。この構成では、上記変形例D6と同様に、繋ぎ線PLと先端面111bとが交差した点において、先端面111bの接線と繋ぎ線PLとの角度が90度より大きくなる。このため、繋ぎ線PLに沿って直進する異物は、流路仕切部111の先端面111bにて跳ね返ることで計測流路62とは反対側に進みやすくなる。このため、異物が計測流路62に進入することを抑制できる。
(第5実施形態)
第5実施形態のエアフロメータ50は、直進しやすい異物を幅方向Xにおいて一対の壁面のうち一方の壁面側に寄せる寄せ面を有している。本実施形態では、上記第3,4実施形態と同様に、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図42〜図44に示すように、本実施形態では、記第2実施形態での一対の通過壁面68を一対の通過壁面68c,68dとし、これら通過壁面68c,68dは通過対向面に相当する。一方の表通過壁面68cは、表カバー51bやハウジング本体51aにより形成され、他方の裏通過壁面68dは、裏カバー51cやハウジング本体51aにより形成されている。通過流路61の内周面61aは寄せ面121を有している。寄せ面121は流入天井面部66aに含まれており、流入制限部85と同様に、一対の通過壁面68c,68dにかけ渡された状態で設けられている。幅方向Xにおいて、寄せ面121の一方の端部は他方の端部よりも床側に配置されている。なお、ハウジング本体51aが通過流路61と計測流路62とを幅方向Xにおいて仕切っている仕切壁部に相当する。
本実施形態では、寄せ面121において、表通過壁面68c側の端部が裏通過壁面68d側の端部より床側に配置されている。この場合、寄せ面121は、幅方向Xにおいて裏通過壁面68dに近付くにつれて徐々に床面67から離間した傾斜面になっている。幅方向Xに対する寄せ面121の傾斜角度は、例えば45度より小さい数度〜数十度とされている。寄せ面121については、幅方向Xの幅寸法が高さ方向Yの高さ寸法より大きくなっている。寄せ面121は、流入口63aから下流側に向けて延びており、流入天井面部66aのほぼ全体を形成している。
通過流路61の中心線を通過中心線CLaと称すると、この通過中心線CLaは、流入口63aの中心C1と流出口63bの中心C2とを繋いだ仮想線になっている(図42参照)。計測流路62の中心線を計測中心線CLbと称すると、この計測中心線CLbは、流路境界部64の中心C3と計測出口63cの中心C4とを繋いだ仮想線になっている(図44参照)。ここで、流入口63aの中心C1と計測出口63cの中心C4とを繋いだ仮想線を流路中心線CLと称すると、この流路中心線CLには、通過中心線CLaの全体と計測中心線CLbの一部とが含まれている。また、流路中心線CLには、通過中心線CLaと計測中心線CLbとを繋ぐ仮想線として繋ぎ中心線CLcが含まれている。繋ぎ中心線CLcは、流路境界部64の中心C3から通過流路61において上流側に向けて延びていることで通過中心線CLaに接続されている。
計測流路62の内周面62aは、計測天井面126、計測床面127及び一対の計測壁面128a,128bを有している。一対の計測壁面128a,128bは、幅方向Xにおいて流路境界部64及び計測出口63cを挟んで互いに対向しており、分岐対向面に相当する。表計測壁面128aは、表通過壁面68cと同様に表カバー51bやハウジング本体51aにより形成されており、裏計測壁面128bは、裏通過壁面68dと同様に裏カバー51cやハウジング本体51aにより形成されている。表計測壁面128aは幅増加面94を有しており、裏計測壁面128bは幅縮小面95を有している。これら幅増加面94及び幅縮小面95はハウジング本体51aにより形成されている。
計測天井面126は、流入天井面部66aの下流端部から計測流路62の下流側に向けて延びており、流入天井面部66aと計測出口63cとにかけ渡された状態になっている。計測床面127は、流出天井面部66bの上流端部から計測流路62の下流側に向けて延びており、流出天井面部66bと計測出口63cとにかけ渡された状態になっている。この場合、計測天井面126と計測床面127とは計測壁面128a,128bを挟んで対向している。
本実施形態では、幅方向X、高さ方向Y及び奥行き方向Zに加えて、横方向α、縦方向β及び流路方向γを用いて通過流路61及び計測流路62についての構成を説明する。横方向αは、幅方向Xの成分だけを有する。この横方向αにおいて、一対の通過壁面68c,68dが並んでいるとともに、一対の計測壁面128a,128bが並んでいる。流路方向γは、基本的に通過流路61及び計測流路62が延びる方向であり、幅方向Xの成分を有しておらず、高さ方向Yの成分及び奥行き方向Zの成分を有する。縦方向βは、横方向α及び流路方向γの両方に直交しており、流路方向γと同様に、幅方向Xの成分を有していない一方で、高さ方向Yの成分及び奥行き方向Zの成分を有する。縦方向βにおいては、通過天井面66と通過床面67とが対向しているとともに、計測天井面126と計測床面127とが対向している。縦方向β及び流路方向γは、横方向αとは異なり、通過流路61や計測流路62が曲がっていることに起因して、流路61,62の位置によって異なる方向になる。
図44には、流入口63aと計測出口63cとの間の領域について、通過流路61及び計測流路62を縦方向βに関して流路中心線CLに沿って伸ばし、計測天井面126側から計測床面127を見た図を示している。図43においては、流入口63aの流路方向γが奥行き方向Zに一致していることに起因して、幅方向Xと横方向αとが一致し、高さ方向Yと縦方向βとが一致し、奥行き方向Zと流路方向γとが一致している。
図44に示すように、通過流路61及び計測流路62には流入領域131及び横並び領域132が含まれており、これら領域131,132は流路方向γに沿って延びている。流入領域131は、流入口63aを流路方向γに投影した領域であり、流入口63aから計測出口63cに向けて延びている。本実施形態では、流入領域131が中間計測路92の下流端部まで延びている。
横並び領域132は、横方向αにおいて流入領域131に横並びに配置されている。横並び領域132が表計測壁面128a側に配置され、流入領域131が裏計測壁面128b側に配置されている。横並び領域132は、流路方向γにおいて幅増加面94の下流側に配置されており、流入口63aからは延びていない。このため、横並び領域132には、流入口63aを流路方向γに投影した領域が含まれていない。横並び領域132は、横方向αにおいて幅増加部91a及び中間計測路92の各幅寸法が、上流計測路91における幅増加部91aよりも上流側部分の幅寸法より大きくなった分を含んで、計測流路62において増えた領域になっている。横方向αにおいて流入領域131の幅寸法は横並び領域132の幅寸法よりも大きくなっている。なお、流入領域131の幅寸法は、横並び領域132の幅寸法と同じになっていてもよく、それより小さくなっていてもよい。ここでは、流入領域131及び横並び領域132のそれぞれにおいて最も幅寸法が大きい部分の幅寸法同士を比較している。
なお、上流計測路91が上流分岐路に相当し、中間計測路92が中間分岐路に相当し、下流計測路93が下流分岐路に相当する。また、流入領域131及び横並び領域132は、平行領域101等と同様に、いずれも仮想の領域であり、通過流路61や計測流路62が実際に流入領域131と横並び領域132とに分割されているわけではない。また、図44においては、流入領域131を薄めのドットハッチングにより図示し、横並び領域132を濃いめのドットハッチングにより図示している。
流量検出部52は、中間計測路92において横並び領域132に配置されている。計測基板部81aは、流量検出部52が実装された方の基板面が横並び領域132に含まれるように、横方向αにおいて流入領域131と横並び領域132とに跨った位置に配置されている。流量検出部52は、流路方向γにおいて流入口63aに重ならない位置に配置されている。換言すれば、流量検出部52は、流路方向γについて、ハウジング本体51aにおける幅増加面94を形成する部分や幅増加面94により上流側から覆い隠された状態になっている。なお、計測基板部81aは、その全体が横並び領域132に含まれる位置に配置されていてもよい。
流路方向γにおいて、流量検出部52と幅増加面94との離間距離、及び計測基板部81aと幅増加面94との離間距離は、いずれも幅増加面94の長さ寸法より小さくなっている。これにより、計測基板部81aや流量検出部52が幅増加面94に比較的近い位置に配置されていることになる。また、流路方向γに対する幅増加面94の傾斜角度は例えば45度より小さくなっている。この場合、横方向αにおいて計測流路62の幅寸法が中間計測路92に近付くにつれて急激に大きくなるのではなく、徐々に大きくなるため、横並び領域132に到達した吸入空気について渦流など気流の乱れが発生しにくくなっている。
通過流路61の寄せ面121は、床側を向いた状態で裏カバー51c側に傾斜していることで、縦方向βに直交していない。また、寄せ面121は、上述したように、流入天井面部66aが流路境界部64に近付くにつれて徐々に床側に傾斜していることで、奥行き方向Zにおいて流入口63aから上流側に露出している。したがって、図43に示すように、奥行き方向Zに直進する大異物F10が寄せ面121に衝突した場合、この大異物F10の進行方向は、幅方向X及び高さ方向Yについて裏通過壁面68d側及び通過床面67側に傾くことになる。換言すれば、大異物F10の進行方向は、流路方向γに平行な方向ではなく、横方向α及び縦方向βの成分を含むように流路方向γに対して傾斜した方向になる。
このように寄せ面121により進行方向が変わった異物のその後の進み方について、図45を参照しつつ説明する。なお、通過流路61から計測流路62に進入する異物を説明の対象としており、縦方向βにおける異物の進行方向の変化に関する説明は省略する。ここでは、異物の進行方向が縦方向βについて変化している場合及び変化していない場合の両方を想定しており、いずれの場合でも異物が流路方向γに沿って進行していればよい。
図45に示すように、流路方向γに直進する大異物F11,F12が寄せ面121に衝突した場合、図43にて説明した大異物F10と同様に、大異物F11,F12はいずれも、裏カバー51c側に向けて流路方向γに対して傾斜した方向に進む。ここで、大異物F11は、横方向αにおいて表カバー51b寄りの位置にて寄せ面121に衝突しており、大異物F12は、裏カバー51c寄りの位置にて寄せ面121に衝突している。横方向αに対する寄せ面121の傾斜角度は比較的小さくなっており、これに起因して、寄せ面121による大異物F11,F12の進行方向の変化は比較的小さくなっている。このため、大異物F11,F12の進行方向は、寄せ面121により変化した後に、吸入空気の流れに沿って進むことで再び流路方向γに一致しやすくなっている。
具体的には、寄せ面121に衝突した大異物F11は、表カバー51b寄りの位置から裏カバー51cに向けて斜めに進んだ後、裏カバー51cに到達するよりも手前の位置で、吸入空気の流れにより徐々に進行方向が変わることで流路方向γに進むことになる。この場合、大異物F11は、中間計測路92に到達して計測基板部81aに最も接近した場合でも、横方向αにおいて計測基板部81aや横並び領域132から比較的離れた位置である裏カバー51c寄りの位置を通る。このため、大異物F11の進行方向が表カバー51b側を向く方向に少しくらい変化したとしても、この大異物F1が流入領域131から横並び領域132に進入するということが生じにくくなっている。
これに対して、本実施形態とは異なり、例えば寄せ面121が設けられていない構成では、図45に破線で示すように、大異物F11は、そのまま横方向αにおいて計測基板部81aや横並び領域132に比較的近い位置を通ることになる。このため、大異物F11の進行方向が表カバー51b向きに少し変化しただけでも、この大異物F11が流入領域131から横並び領域132に進入しやすくなってしまう。この場合、大異物F11が流量検出部52と表カバー51bとの間を通って流量検出部52に付着することが懸念される。
また、大異物F11よりも裏カバー51c寄りの位置にて寄せ面121に衝突した大異物F12は、図45に実線で示すように、裏カバー51c側に向けて斜めに進むことで裏カバー51cに衝突し、それに伴って表カバー51b側に向けて斜めに進む。その後、裏カバー51cから少し離れた位置で、吸入空気の流れに沿って進むことで流路方向γに進む。この場合でも、大異物F12は、大異物F11と同様に、中間計測路92に到達して計測基板部81aに最も接近した場合でも、横方向αにおいて計測基板部81aや横並び領域132から比較的離れた位置である裏カバー51c寄りの位置を通る。
ここまで説明した本実施形態によれば、流入口63aから流路方向γに沿っては投影されない領域である横並び領域132に流量検出部52が設けられているため、流入領域131を進む異物が流量検出部52に到達することを抑制できる。しかも、横方向αについて、異物を横並び領域132から遠ざかる位置に寄せる寄せ面121が通過流路61に設けられているため、中間計測路92に到達した異物が横並び領域132に近い位置を通るということが生じにくくなっている。これにより、異物が流量検出部52に到達することをより確実に抑制できる。
本実施形態によれば、寄せ面121が一対の壁面128a,128bにかけ渡されているため、通過流路61においては横方向αの全ての範囲について異物を寄せ面121により幅寄せすることができる。このため、計測流路62に進入した異物について、横方向αにおいて横並び領域132に近い位置を通る確率を減少させることができる。
本実施形態によれば、寄せ面121が通過流路61において流路境界部64よりも上流側に配置されているため、流路方向γにおいて寄せ面121と横並び領域132との離間距離を適正に確保することができる。この場合、異物が寄せ面121に衝突することで異物の進行方向が変わった後、その異物が中間計測路92に到達するまでの間に、異物の進行方向を吸入空気の流れによって再び流路方向γに一致させるための距離や時間を確保することができる。このため、異物の進行方向が寄せ面121によって流路方向γに対して傾斜した状態のまま、異物が中間計測路92に到達して横並び領域132に進入してしまう、ということが生じにくくなっている。
本実施形態によれば、表計測壁面128aに含まれた幅増加面94は、計測出口63cに近付くにつれて徐々に裏計測壁面128bから遠ざかることで横並び領域132を形成している。この場合、例えば幅増加面94が横方向αに平行に延びた構成に比べて、横並び領域132に到達した吸入空気に渦流等の乱れが生じにくくなっている。このため、吸入空気の乱れに巻き込まれて異物が横並び領域132に進入するということを抑制できる。
本実施形態によれば、上流計測路91がハウジング本体51aと裏カバー51cとの間にあるのに対して、中間計測路92が表カバー51bと裏カバー51cとの間にある、という構造の違いを利用して、流入領域131及び横並び領域132が確保されている。この場合、横並び領域132を形成するための専用部材や専用部位をハウジング51に新規に設置する必要がないため、ハウジング51の構造が複雑になることや、計測流路62において専用部材等が吸入空気の流れを乱すということなどを回避できる。
本実施形態では、流路方向γにおいて流量検出部52と幅増加面94との離間距離が、幅増加面94の長さ寸法より小さくなっている。すなわち、流量検出部52が幅増加面94に比較的近い位置に配置されている。この構成では、大異物F11,F12等の異物が中間計測路92に到達した場合、この異物はすぐに計測基板部81aを挟んで流量検出部52の反対側を通過することになる。このため、異物が流量検出部52よりも上流側において横並び領域132に進入するということが生じにくくなっている。
第5実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例E1として、寄せ面121は通過天井面66に含まれているのではなく、通過床面67や通過壁面68c,68dに含まれていてもよい。例えば、寄せ面121が、一対の壁面68c,68dにかけ渡された状態で通過床面67に含まれた構成や、寄せ面121が表通過壁面68cに含まれた構成とする。寄せ面121が表通過壁面68cに含まれた構成では、表通過壁面68cが裏通過壁面68d側に向けて突出しており、この突出部の裏通過壁面68d側の面により寄せ面121が形成されている。この構成でも、寄せ面121に衝突した異物の進行方向を裏カバー51c側に向けて一時的に傾斜させることで、横方向αにおける異物の位置を裏カバー51c寄りの位置に移動させることができる。
変形例E2として、寄せ面121は通過流路61において流入口63aから下流側に離間した位置に設けられていてもよい。例えば、寄せ面121が流入口63aと流路境界部64との中間位置に設けられた構成とする。この構成では、流入口63aと流路境界部64との中間位置において流入天井面部66aの一部が床側に向けて突出しており、この突出部の床側面により寄せ面121が形成されている。
変形例E3として、寄せ面121は計測流路62の内周面62aに含まれていてもよい。例えば、図46、図47に示すように、寄せ面121が計測床面127に含まれた構成とする。この構成では、寄せ面121が横方向αにおいて一対の計測壁面128a,128bにかけ渡されている。寄せ面121は、流路方向γにおいて流路境界部64から幅増加面94まで延びており、計測床面127のほぼ全体に形成されている。この構成では、上記第5実施形態のように寄せ面121が流入天井面部66aに含まれた構成に比べて、流路方向γにおいて横並び領域132と寄せ面121との離間距離が小さくなる。このため、寄せ面121により裏カバー51c側に向けて進行方向が傾斜した異物については、その進行方向が流路方向γに一致するよりも前のタイミングで流量検出部52を通過することが想定される。この場合でも、横並び領域132への異物の進入が生じにくいため、異物の付着等によって流量検出部52の検出精度が低下するということを抑制できる。
この変形例E3についても、上記変形例E1,E2を適用し、計測流路62において寄せ面121が計測床面127や計測壁面128a,128bに含まれていてもよい。
変形例E4として、寄せ面121は通過流路61において流路境界部64よりも下流側に配置されていてもよい。例えば、図48、図49に示すように、寄せ面121が流出天井面部66bに含まれた構成とする。この構成でも、上記第5実施形態と同様に、寄せ面121が一対の通過壁面68c,68dにかけ渡されている。寄せ面121は、流路方向γにおいて流路境界部64から流出口63bまで延びており、流出天井面部66bのほぼ全体に形成されている。
この変形例E4では、流出口63bの中心C2と計測出口63cの中心C4とを繋いだ仮想線を流出中心線CMと称する。この流出中心線CMには、通過中心線CLaと計測中心線CLbとを繋ぐ仮想線として戻り中心線CLdが含まれている。戻り中心線CLdは、流路境界部64の中心C3から通過流路61において下流側に向けて延びていることで通過中心線CLaに接続されている。
この構成では、通過流路61を進んでいる異物が流出天井面部66bに衝突したことに起因して上流側に戻って計測流路62に進入していったとしても、この異物の位置を横並び領域132から遠ざかるように裏カバー51c寄りの位置に変わりやすくなっている。このため、流出口63b側から上流側に戻って計測流路62に進入していった異物についても、上記第5実施形態と同様に、中間計測路92に到達した場合に横並び領域132に近い位置を通るということが生じにくくなっている。
この変形例E4についても、上記変形例E1,E2を適用し、通過流路61における流路境界部64よりも下流側にて、寄せ面121が通過床面67や通過壁面68c,68dに含まれていてもよい。
変形例E5として、寄せ面121は複数設けられていてもよい。例えば、図50に示すように、寄せ面121が流入天井面部66a、流出天井面部66b及び計測床面127のそれぞれに含まれた構成とする。この構成では、通過流路61において上流側から計測流路62に進入した異物については、2つの寄せ面121により裏カバー51c側に位置寄せすることができる。また、下流側から上流側に戻ることで計測流路62に進入した異物の両方については、3つの寄せ面121により裏カバー51c側に位置寄せすることができる。したがって、中間計測路92に到達した異物について横並び領域132に進入するということをより確実に抑制できる。
変形例E6として、流量検出部52を上流側から覆う覆い部136が設けられていてもよい。例えば、図51,52に示すように、覆い部136が計測流路62に設けられた構成とする。この構成では、流路方向γにおいて覆い部136が流入口63aから下流側に離間した位置に配置されており、覆い部136は、流入口63aと横並び領域132との間に配置されている。この場合、横並び領域132は、覆い部136の下流側に隠れた状態になっていることで、流入口63aを流路方向γに投影した領域に含まれないようになっている。通過流路61及び計測流路62において、覆い部136よりも流入口63a側に形成された領域を手前側領域134と称する。手前側領域134は、横方向αにおいて横並び領域132と共に流入領域131に横並びに配置されている。
覆い部136は、覆い面136a及び直交面136bを有している。覆い面136aは、下流側に向けて進む異物を裏カバー51c側に誘導する機能を有しており、裏カバー51c側を向いている。覆い面136aは、流入口63aに近付くにつれて裏カバー51cから遠ざかる傾斜面になっており、流路方向γに対して流入口63a側を向くように傾斜している。横方向αにおいて覆い部136の幅寸法は、流入口63aに近付くにつれて徐々に小さくなっている。覆い部136はハウジング本体51aに含まれており、覆い面136aは表計測壁面128aに含まれている。表カバー51bに対する覆い面136aの傾斜角度は、例えば45度より小さい数度〜数十度になっている。
直交面136bは流路方向γに直交しており、流路方向γにおいて計測出口63c側を向いている。流路方向γにおいては、直交面136bと計測出口63cとの間に流量検出部52が配置されている。なお、直交面136bは、横方向αに平行に延びているが、横方向αに対して傾斜していてもよい。
この構成でも、上記第5実施形態と同様に、図52に示すように、流路方向γに直進する大異物F11,F12が寄せ面121に衝突した場合、大異物F11,F12はいずれも、裏カバー51c側に向けて流路方向γに対して傾斜した方向に進む。このため、大異物F11,F12は、中間計測路92に到達して計測基板部81aに最も接近した場合でも、横方向αにおいて計測基板部81aから横並び領域132から比較的離れた位置を通過することになる。また、仮に大異物F11等の異物が、流入領域131ではなく手前側領域134を進んでいたとしても、この異物は覆い面136aに衝突することで裏カバー51c側に誘導される。すなわち、横方向αにおいて横並び領域132から離れた位置に誘導される。したがって、流入領域131を進んでいる異物、及び手前側領域134を進んでいる異物の両方について、横並び領域132に進入することを抑制できる。
変形例E7として、横方向αについて寄せ面121が異物を流入領域131側に寄せるのではなく、横並び領域132側に寄せてもよい。すなわち、寄せ面121が裏カバー51c側を向いているのではなく、表カバー51b側を向いていてもよい。この構成では、図53に示すように、流路方向γに直進する大異物F11,F12が寄せ面121に衝突した場合、大異物F11,F12は、上記第5実施形態とは逆で、表カバー51b側に向けて流路方向γに対して傾斜した方向に進む。この場合、大異物F11,F12は、流入領域131ではなく手前側領域134を進むことで覆い面136aに到達し、この覆い面136aに衝突することで裏カバー51c側に誘導されやすくなっている。このため、大異物F11,F12が横並び領域132から比較的遠い位置を通ることになり、ひいては、これら大異物F11,F12が横並び領域132に進入することを抑制できる。
変形例F8として、流路方向γにおいて流量検出部52が幅増加面94から計測出口63c側に離間しているのでなく、流量検出部52の少なくとも一部が横方向αにおいて幅増加面94に並んでいてもよい。この場合、流量検出部52を幅増加面94の直近に配置できるため、異物が流入領域131において流量検出部52を通過するよりも手前の位置において横並び領域132に進入する、ということをより確実に抑制できる。
(第6実施形態)
第6実施形態のエアフロメータ50は、第2実施形態の流入段差面71aと、第3実施形態の平行領域101及び高さ絞り面105と、第4実施形態の仕切頂部111aが流入口63aから露出しない構成と、第5実施形態の横並び領域132とを有している。本実施形態では、上記第5実施形態との相違点を中心に説明する。
図54、図55に示すように、本実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、全ての流入段差面71aが奥行き方向Zに直交しておらず、奥行き方向Zに対して傾斜している。この場合、流入段差面71aは、幅方向Xに対して傾斜している一方で、高さ方向Yに対しては傾斜しておらず平行に延びている。流入段差面71aは、表通過壁面68c側の端部が裏通過壁面68d側の端部よりも流入口63aに近い位置に配置されるように傾斜しており、流入口63a側及び裏通過壁面68d側を向く傾斜面になっている。幅方向Xに対する流入段差面71aの傾斜角度は、例えば45度より小さい数度〜数十度とされている。
流入段差面71aは、上記第5実施形態の寄せ面121としての機能を有している。例えば、奥行き方向Zに直進する大異物が流入段差面71aに衝突して跳ね返った場合、この大異物は、流入口63aに向けて奥行き方向Zに平行に進むのではなく、裏通過壁面68d側に向けて進むことになる。この場合、例えば流入段差面71aにて跳ね返った大異物が吸入空気の流れにより再び通過流路61を下流側に向けて進むことになったとしても、この大異物は裏通過壁面68d寄りの位置を進むことになる。このように、流入段差面71aは寄せ面に相当するものであり、図56に示すように、流入天井面部66aにおいて流入段差面71aが複数設けられていることは、寄せ面が複数設けられていることに相当する。
裏通過壁面68d寄りの位置を流路方向γに進む大異物は、上記第5実施形態の大異物F11,F12と同様に、中間計測路92に到達したとしても、横方向αにおいて流量検出部52から比較的離れた位置を通ることになる。このため、大異物の進行方向が表カバー51b側を向く方向に少しくらい変化したとしても、この大異物が流入領域131から横並び領域132に進入するということが生じにくくなっている。
本実施形態では、天井側領域102を区画する流入天井面部66aが流入段差面71aを有している。この場合、流入口63aから天井側領域102に進入した異物は、流入天井面部66aにて流入口63a側に跳ね返されることで、通過流路61において天井側領域102よりも下流側に進むこと自体が抑制される。また、流入口63aから平行領域101に進入した異物は、そのまま奥行き方向Zに真っ直ぐに進むことで流出口63bから外部に出て行きやすくなっている。さらに、奥行き方向Zに対して傾斜した向きに直進する異物についても、仕切頂部111aが流入口63aから上流側に露出していないことに起因して、直進を保った状態でそのまま計測流路62に進入するということが生じにくくなっている。仮に、計測流路62に進入した異物が存在したとしても、この異物は、寄せ面としての機能を発揮する流入段差面71aに衝突することで裏カバー51c寄りの位置に寄せられやすくなっている。このため、中間計測路92に到達した異物が横並び領域132に進入するということが抑制される。
第6実施形態について、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例F1として、寄せ面としての機能が流入接続面72aに付与されていてもよい。例えば、上記第5実施形態の寄せ面121と同様に、流入接続面72aが高さ方向Yに直交しているのではなく、通過床面67側及び裏カバー51c側を向いた傾斜面になっていてもよい。また、寄せ面としての機能は、流出段差面71bや流出接続面72bに付与されていてもよい。
変形例F2として、全ての流入段差面71aに寄せ面としての機能が付与されているのではなく、少なくとも1つの流入段差面71aに寄せ面としての機能が付与されていてもよい。例えば、複数の流入段差面71aのうち最も下流側に配置された流入段差面71aが奥行き方向Zに対して傾斜することで寄せ面としての機能を有する構成とする。この構成では、他の流入段差面71aは、奥行き方向Zに直交することで寄せ面としての機能を有していない。
変形例F3として、第2実施形態の流入段差面71aと、第3実施形態の平行領域101及び高さ絞り面105と、第4実施形態の仕切頂部111aが流入口63aから露出しない構成と、第5実施形態の横並び領域132とのうち、少なくとも2つの構成を有していてもよい。この場合でも、異物が流量検出部52に到達することに対する抑止力を発揮することができる。
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例G1として、上記各実施形態では、物理量検出部として流量検出部が計測流路に設けられていたが、計測流路に設けられる物理量検出部は、湿度検出部や温度検出部、圧力検出部であってもよい。
変形例G2として、上記各実施形態では、計測流路が周回した形状になっていたが、計測流路は、周回せずに奥行き方向Zに延びた形状でもよい。