JP2018179041A - ばね部材 - Google Patents
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Abstract
Description
皿ばねの荷重−変形関係は、皿ばねのライズ寸法(たわみ可能な寸法)をh、板厚寸法をtとすると、h/t=0.4程度では略線形の復元力特性となる。これに対し、h/t=1.2〜1.4程度となると、皿ばねの荷重−変形関係は、非線形の復元力特性となる。この非線形の復元特性は、例えば、特許文献2の図3において符号Sで示されている。また、特許文献2の図3において、自重による変位をP点とすれば、接線勾配が上下振動に対するばね定数となり、P点と原点を結ぶ割線剛性と比較して大幅に小さなばね定数が得られることがわかる。
例えば、基礎部(第1構造体)と基礎部(第2構造体)の上側の床部との間に複数のばね部材が設けられている場合、床部から複数のばね部材それぞれに作用する荷重が一定でないと、ばね部材それぞれの変形量に差が生じ、この変形量の差が床部の不同沈下や傾斜、不陸などの要因となる虞がある。
前記シリンダの内部に取り付けられた受け板と、前記ロッドに取り付けられた押板と、複数の皿ばねを直列および/または並列に配列した皿ばね群が前記シリンダの内部において前記受け板と前記押板との間に介装されて、前記受け板と前記押板との間に生じる前記軸線方向の相対変位によって弾性的に伸縮するように構成されたばね要素と、を有し、前記ロッドに対する前記押板の前記軸線方向の位置を調整する押板位置調整部を更に有していることを特徴とする。
このような構成とすることにより、ロッドのネジ部をナットに螺合させ、ナットを回転させてロッドに対するナットの軸線方向の位置を調整することにより、ロッドに対する押板の軸線方向の位置を容易に調整することができる。
このような構成とすることにより、シリンダとロッドとの可動範囲が制約されるため、過大な荷重が作用した際に、過大な荷重がばね要素に作用することを防止できる。
このような構成とすることにより、各皿ばねの高さが小さくなり、皿ばね群の軸線方向の寸法を小さくすることができる。このため、押板に対するロッドの軸線方向の位置の調整と合せて、皿ばね群の軸線方向の寸法の調整を行うことにより、第1構造体と第2構造体との間隔をより詳細に調整することができる。
このような構成とすることにより、皿ばねの剛性が一般的な線形ばねの剛性よりも小さくなるため、所望のばね剛性の皿ばね群を実現するための皿ばねの枚数を少なくすることができ、ばね部材をコンパクトにすることができる。なお、ライズ寸法とは、皿ばねの傾斜面の高さ寸法を指している。
図1に示すように、本実施形態に係るばね部材1は、下側に配置された第1構造体11と、第1構造体11の上側に配置された第2構造体12との間に介装されている。第1構造体11と第2構造体12とは、上下方向に相対変位可能に構成されている。
ばね部材1は、第1構造体11と第2構造体12との間に水平方向に間隔をあけて複数配置されていて、第1構造体11と第2構造体12との間の上下方向の振動の伝達を低減させる防振機構を構成している。
第1構造体11および第2構造体12は、例えば、第1構造体11が建物の基礎部などで、第2構造体12が基礎部の上に配置された床部などである。
ロッド3の上部側には、外周部にネジ山が形成されている。この外周部にネジ山が形成されたロッド3の上部側をネジ部71とする。ネジ部71は、後述するナット72が螺合可能に構成されている。
ロッド3の下端部には、円板状のストッパ板81が取り付けられている。ストッパ板81は、ロッド3の外径および受け板4の後述する孔部4aの内径よりも大きく、後述する受け板支持材41の内径よりも小さい外径に形成されている。
本実施形態では、ベースプレート21の上に、上部に受け板4が載置される円筒状の受け板支持材41が設けられている。受け板4は、受け板支持材41の上に載置されることにより、所定の高さに配置されている。受け板4は、シリンダ2に対して上下方向に移動しないように構成されている。
受け板4の上側には、ばね要素6の後述する皿ばね群61が設けられている。
このため、ストッパ板81と接続されているロッド3は、シリンダ2に対して、ストッパ板81が上下方向に移動可能な範囲において上下方向に移動可能となっている。
これらのベースプレート21、受け板4およびストッパ板81は、シリンダ2とロッド3との相対変位量を規制している。これらのベースプレート21、受け板4およびストッパ板81は、ストッパ板81を構成している。
押板5の下側には、ばね要素6の後述する皿ばね群61が設けられている。
ナット72の孔部72aの内周面にはネジ山が形成されている。ナット72は、ロッド3のネジ部71が螺合可能に構成されている。ロッド3とナット72とは、ロッド3のネジ部71の長さ範囲で互いの接合される位置を調整可能に構成されている。ナット72は押板5の上に載置されていることから、ロッド3とナット72とが互いの接合される位置を調整することにより、ロッド3に対するナット72の軸線方向の位置を調整することができる。これらのナットおよびネジ部71が押板位置調整部7を構成している。
トッププレート31が第2構造体12に固定されていない状態では、ばね要素6は、ロッド3およびロッド3に連結された部材(トッププレート31、ナット、押板5およびストッパ板81)の自重が作用している。
ロッド3における押板5よりも上側に突出する部分の長さを調整することにより、ベースプレート21とトッププレート31との間隔を調整することができる。なお、押板5よりも上側に突出するロッド3の長さを調整は、ストッパ板81が受け板4とベースプレート21との間に配置されている範囲内で可能となる。
ばね部材1に作用する荷重が変化した場合は、皿ばね62のたわみが変化して押板の5高さが変わるが、押板5の高さが変わった状態でもナット72を回すことでロッド3の高さ調節が可能となる。このため、ロッド3の上端部のトッププレート31と第2構造体12とが離間する不陸が生じたとしても、この不陸を調整することができる。
まず、線形皿ばねを用いたばね部材を設計する。ばね部材は、自重を520kN、変動荷重を60kN、ばね剛性を1350kN/mとする。
皿ばねの外形Do=250,皿ばねの内形Di=127,皿ばねの板厚寸法t=17,皿ばねのライズ寸法h=6.5,角部の面取り半径R=4とする。
ここで、内外径比α=Do/Di、曲率半径Rに対する角部R係数κ=(Do−Di)/(Do−Di−3R)とする。
また、たわみδでの接線ばね剛性k´は下式で示される。
一方、皿ばね四隅の応力は以下のアルメン・ラスロの近似式で求められる。
皿ばね1枚当たり平均荷重520kNに対して、たわみδ=4.4mm,剛性k=108kN/mmである。これにより、皿ばねを80枚直列すれば、合成ばねK=1.35kN/mm=1350kN/mとなり、要求性能を満足する。
しかしながら、皿ばねの合計長が(17+6.5)×80=1880mmと大きく、合理的とは言いがたい。また、自重Mによる全たわみは4.4×80=352mmとなる。
皿ばねの外形Do=250、皿ばねの内形Di=127,皿ばねの板厚寸法t=12,皿ばねのライズ寸法h=15とする。上記の線形であるばね部材の復元力特性と同様に非線形であるばね部材の復元力特性を求める。
皿ばね1枚当たりの平均荷重520kNに対して、たわみδ=9mm、剛性k=23.9kN/mmである。これにより、皿ばねを18枚直列すれば合成ばねK=1.33kN/mm=1330kN/mとなり、要求性能を満足する。
この場合、皿ばねの合計長が(12+15)×18=486mmとなり、上記の線形であるばね部材の1/4に短縮できる。
また、自重Mによる全たわみは9×18=162mmとなり、上記の線形であるばね部材の半分以下となる。
本実施形態では、具体的な方法としては、ばね部材の製作時または設置時にナット72を回して皿ばね62を圧縮させるだけであり、容易に実現できる。
上述した本実施形態によるばね部材1では、ロッド3に対する押板5の軸線方向の位置を調整する押板位置調整部7を有している。これにより、トッププレート31と押板5との軸線方向の距離を調整することができる。このため、ばね部材1の軸線方向の寸法を第1構造体と第2構造体12との間隔に合せた寸法とすることができる。その結果、ばね要素6に作用する荷重が異なり、ばね要素6の変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体12とを所望の間隔に保持することができる。
例えば、上記の実施形態では、ばね部材1は、上下に配置された第1構造体11と第2構造体12との間に介装され、第1構造体11と第2構造体12との間の上下方向の振動の伝達を低減させる防振機構を構成している。これに対して、ばね部材1は、水平方向に配置された第1構造体11と第2構造体12の間に配置されてもよい。また、ばね部材1は、防振機構以外の機構に用いられてもよい。
また、上記の実施形態は、シリンダ2が第1構造体11に固定され、ロッド3が第2構造体12に固定されているが、シリンダ2が第2構造体12に固定され、ロッド3が第1構造体11に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、ばね要素6に圧縮予荷重を付加可能に構成されている。これに対し、ばね要素6に圧縮予荷重が付加できないように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、皿ばね62は、板厚寸法tに対するライズ寸法hの比(h/t)が1.0〜1.4としているが、これ以外の値としてもよい。
2 シリンダ
3 ロッド
4 受け板
5 押板
6 ばね要素
7 押板位置調整部
8 ストッパ
11 第1構造体
12 第2構造体
61 皿ばね群
62 皿ばね
71 ネジ部
72 ナット
t 板厚寸法
h ライズ寸法
Claims (5)
- 互いに近接離間する方向に相対変位可能な第1構造体と第2構造体との間に介装されるばね部材において、
前記第1構造体および前記第2構造体の一方に固定されるシリンダと、
前記シリンダに対して軸線方向に相対変位可能に挿入され、前記第1構造体および前記第2構造体の他方に固定されるロッドと、
前記シリンダの内部に取り付けられた受け板と、
前記ロッドに取り付けられた押板と、
複数の皿ばねを直列および/または並列に配列した皿ばね群が前記シリンダの内部において前記受け板と前記押板との間に介装されて、前記受け板と前記押板との間に生じる前記軸線方向の相対変位によって弾性的に伸縮するように構成されたばね要素と、を有し、
前記ロッドに対する前記押板の前記軸線方向の位置を調整する押板位置調整部を更に有していることを特徴とするばね部材。 - 前記押板位置調整部は、前記ロッドの外周面にネジ山が形成されたネジ部と、
前記押板に接続され前記ネジ部が螺合可能なナットと、を有していることを特徴とする請求項1に記載のばね部材。 - 前記シリンダと前記ロッドとの前記軸線方向における相対変位量を規制するストッパを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のばね部材。
- 前記ばね要素に圧縮予荷重を付加可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のばね部材。
- 前記皿ばねの板厚寸法に対するライズ寸法の比が1.0〜1.4とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のばね部材。
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