JP2018179041A - ばね部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】作用した荷重による変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体とを所望の間隔に保持することができるばね部材を提供する。【解決手段】第1構造体11および第2構造体12の一方に固定されるシリンダ2と、シリンダ2に対して軸線方向に相対変位可能に挿入され、第1構造体11および第2構造体12の他方に固定されるロッド3と、シリンダ2の内部に取り付けられた受け板4と、ロッド3に取り付けられた押板5と、複数の皿ばね62を直列および/または並列に配列した皿ばね群61がシリンダ2の内部において受け板4と押板5との間に介装されて、受け板4と押板5との間に生じる軸線方向の相対変位によって弾性的に伸縮するように構成されたばね要素6と、を有し、ロッド3に対する押板5の軸線方向の位置を調整する押板位置調整部7を更に有している。【選択図】図1

Description

本発明は、ばね部材に関する。
皿ばねは、コンパクトで大きな耐荷重性能をもつばねとして種々の機器に使用されている。皿ばねは、複数を直列あるいは並列に組み合わせて使うことで変形性能や耐荷重を増すことができる特徴をもっている。このため、皿ばねは、コイルばねよりコンパクトでローコストに所定の性能が得られるメリットがある。しかしながら、皿ばね単体では圧縮力にしか対応できないため、出願人は、皿ばねを用いて引張力にも圧縮力にも対応できるようにしたばね部材を提案している(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなばね部材を支持ばね部材として用いた防振機構が知られている(例えば、特許文献2および3参照)。防振機構の防振性能を高めるためには、支持ばね部材の剛性は、小さい方が望ましいとされている。
皿ばねの荷重−変形関係は、皿ばねのライズ寸法(たわみ可能な寸法)をh、板厚寸法をtとすると、h/t=0.4程度では略線形の復元力特性となる。これに対し、h/t=1.2〜1.4程度となると、皿ばねの荷重−変形関係は、非線形の復元力特性となる。この非線形の復元特性は、例えば、特許文献2の図3において符号Sで示されている。また、特許文献2の図3において、自重による変位をP点とすれば、接線勾配が上下振動に対するばね定数となり、P点と原点を結ぶ割線剛性と比較して大幅に小さなばね定数が得られることがわかる。
特開2012−163134号公報 特開平10−311369号公報 特開平11−030278号公報
防振機構に複数のばね部材が設けられている場合、複数のばね部材それぞれ作用する荷重(軸力)が異なると、複数のばね部材の変形量に差が生じることになる。特に、ばね剛性(ばね定数)が小さいばね部材では、ばね部材に作用する荷重の違いにより生じる変形量の差が大きくなる。
例えば、基礎部(第1構造体)と基礎部(第2構造体)の上側の床部との間に複数のばね部材が設けられている場合、床部から複数のばね部材それぞれに作用する荷重が一定でないと、ばね部材それぞれの変形量に差が生じ、この変形量の差が床部の不同沈下や傾斜、不陸などの要因となる虞がある。
そこで、本発明は、作用した荷重による変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体とを所望の間隔に保持することができるばね部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るばね部材は、互いに近接離間する方向に相対変位可能な第1構造体と第2構造体との間に介装されるばね部材において、前記第1構造体および前記第2構造体の一方に固定されるシリンダと、前記シリンダに対して軸線方向に相対変位可能に挿入され、前記第1構造体および前記第2構造体の他方に固定されるロッドと、
前記シリンダの内部に取り付けられた受け板と、前記ロッドに取り付けられた押板と、複数の皿ばねを直列および/または並列に配列した皿ばね群が前記シリンダの内部において前記受け板と前記押板との間に介装されて、前記受け板と前記押板との間に生じる前記軸線方向の相対変位によって弾性的に伸縮するように構成されたばね要素と、を有し、前記ロッドに対する前記押板の前記軸線方向の位置を調整する押板位置調整部を更に有していることを特徴とする。
本発明では、ロッドに対する押板の軸線方向の位置を調整する押板位置調整部を有している。これにより、ロッドにおける第1構造体および第2構造体の他方に固定される部分と押板との軸線方向の距離を調整することができる。このため、ばね部材の軸線方向の寸法を第1構造体と第2構造体との間隔に合せた寸法とすることができる。その結果、ばね要素に作用する荷重が異なり、ばね要素の変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体とを所望の間隔に保持することができる。
また、本発明に係るばね部材では、前記押板位置調整部は、前記ロッドの外周面にネジ山が形成されたネジ部と、前記押板に接続され前記ネジ部が螺合可能なナットと、を有していてもよい。
このような構成とすることにより、ロッドのネジ部をナットに螺合させ、ナットを回転させてロッドに対するナットの軸線方向の位置を調整することにより、ロッドに対する押板の軸線方向の位置を容易に調整することができる。
また、本発明に係るばね部材では、前記シリンダと前記ロッドとの前記軸線方向における相対変位量を規制するストッパを有していてもよい。
このような構成とすることにより、シリンダとロッドとの可動範囲が制約されるため、過大な荷重が作用した際に、過大な荷重がばね要素に作用することを防止できる。
また、本発明に係るばね部材では、前記ばね要素に圧縮予荷重を付加可能に構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、各皿ばねの高さが小さくなり、皿ばね群の軸線方向の寸法を小さくすることができる。このため、押板に対するロッドの軸線方向の位置の調整と合せて、皿ばね群の軸線方向の寸法の調整を行うことにより、第1構造体と第2構造体との間隔をより詳細に調整することができる。
また、本発明に係るばね部材では、前記皿ばねは、板厚寸法に対するライズ寸法の比が1.0〜1.4としてもよい。
このような構成とすることにより、皿ばねの剛性が一般的な線形ばねの剛性よりも小さくなるため、所望のばね剛性の皿ばね群を実現するための皿ばねの枚数を少なくすることができ、ばね部材をコンパクトにすることができる。なお、ライズ寸法とは、皿ばねの傾斜面の高さ寸法を指している。
本発明によれば、作用した荷重による変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体とを所望の間隔に保持することができる。
(a)本発明の実施形態に係るばね部材の一例を示す鉛直断面図、(b)は(a)のA−A線断面に対応する図である。 図1(a)の状態から更に上方から荷重が作用したばね部材を示す図である。 (a)は、ロッドにおけるナットよりも上側に突出する部分を基準よりも長くしたばね部材を示す図、(b)は基準のばね部材を示す図、(c)はロッドにおけるナットよりも上側に突出する部分を基準よりも短くしたばね部材を示す図である。 (a)はばね要素の皿ばねの縦断面図、(b)はばね要素の皿ばねの荷重特性線図のグラフである。 線形皿ばねの復元力特性を説明する図である。 非線形皿ばねの復元力特性を説明する図である。
以下、本発明の実施形態に係るばね部材について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るばね部材1は、下側に配置された第1構造体11と、第1構造体11の上側に配置された第2構造体12との間に介装されている。第1構造体11と第2構造体12とは、上下方向に相対変位可能に構成されている。
ばね部材1は、第1構造体11と第2構造体12との間に水平方向に間隔をあけて複数配置されていて、第1構造体11と第2構造体12との間の上下方向の振動の伝達を低減させる防振機構を構成している。
第1構造体11および第2構造体12は、例えば、第1構造体11が建物の基礎部などで、第2構造体12が基礎部の上に配置された床部などである。
ばね部材1は、第1構造体11に固定されたシリンダ2と、第2構造体に固定され、シリンダ2に対して相対変位可能に挿入されたロッド3と、シリンダ2の内部に取り付けられた受け板4と、ロッド3に取り付けられた押板5と、シリンダ2の内部において受け板4と押板5との間に介装されたばね要素6と、押板5に対するロッド3の位置を調整する押板位置調整部7と、シリンダ2とロッド3との相対変位量を規制するストッパ8と、を有している。
シリンダ2は、円筒状に形成され、軸線方向が上下方向となる向きに配置されている。シリンダ2は、下端部がベースプレート21を介して第1構造体11の上部に固定されている。ベースプレート21は、シリンダ2の外径よりも大きい外径の円板状の部材で、シリンダ2と同軸に配置されている。シリンダ2は上側に開口している。
ロッド3は、軸線方向に長い円柱状に形成され軸線方向が上下方向となる向きに配置されている。ロッド3は、上端部がトッププレート31を介して第2構造体12の底部に固定されている。トッププレート31は、ロッド3の外径よりも大きい外径の円板状の部材で、ロッド3と同軸に配置されている。ロッド3は、シリンダ2と同軸に配置され、シリンダの内部に上下方向に相対変位可能に挿入されている。
ロッド3の上部側には、外周部にネジ山が形成されている。この外周部にネジ山が形成されたロッド3の上部側をネジ部71とする。ネジ部71は、後述するナット72が螺合可能に構成されている。
ロッド3の下端部には、円板状のストッパ板81が取り付けられている。ストッパ板81は、ロッド3の外径および受け板4の後述する孔部4aの内径よりも大きく、後述する受け板支持材41の内径よりも小さい外径に形成されている。
受け板4は、中央部にロッド3が挿通される孔部4aを有する円板状に形成されている。受け板4は、外径がシリンダ2の内径と略同じ寸法に形成されている。受け板4は、シリンダ2の内部において、ベースプレート21よりも所定の間隔をあけた上側に配置されている。
本実施形態では、ベースプレート21の上に、上部に受け板4が載置される円筒状の受け板支持材41が設けられている。受け板4は、受け板支持材41の上に載置されることにより、所定の高さに配置されている。受け板4は、シリンダ2に対して上下方向に移動しないように構成されている。
受け板4の上側には、ばね要素6の後述する皿ばね群61が設けられている。
受け板4の下側で受け板支持材41の内部には、受け板4の孔部4aに挿通されたロッド3の下端部に取り付けられたストッパ板81が配置されている。ストッパ板81は、受け板4の孔部4aの内径よりも大きいため、受け板4よりも上側に移動できないように構成されている。これにより、受け板4は、ベースプレート21と受け板4との間において上下方向に移動可能に構成されている。
このため、ストッパ板81と接続されているロッド3は、シリンダ2に対して、ストッパ板81が上下方向に移動可能な範囲において上下方向に移動可能となっている。
これらのベースプレート21、受け板4およびストッパ板81は、シリンダ2とロッド3との相対変位量を規制している。これらのベースプレート21、受け板4およびストッパ板81は、ストッパ板81を構成している。
押板5、中央部にロッド3が挿通される孔部5aが形成された円板状に形成されている。押板5は、外形がシリンダ2の内径よりもやや小さい寸法に形成されている。押板5は、シリンダ2の内部において上下方向に移動可能に構成されている。押板5と、孔部5aに挿通されたロッド3とは、軸線方向に相対変位可能に構成されている。
押板5の下側には、ばね要素6の後述する皿ばね群61が設けられている。
押板5には、上側にナット72が載置されている。押板5とナット72とは同軸に配置され、押板5の孔部5aとナット72の孔部72aとは上下方向に重なっている。ナット72は、押板5の上面に当接していれば、押板5に接合されていてもよいし、されていなくてもよい。
ナット72の孔部72aの内周面にはネジ山が形成されている。ナット72は、ロッド3のネジ部71が螺合可能に構成されている。ロッド3とナット72とは、ロッド3のネジ部71の長さ範囲で互いの接合される位置を調整可能に構成されている。ナット72は押板5の上に載置されていることから、ロッド3とナット72とが互いの接合される位置を調整することにより、ロッド3に対するナット72の軸線方向の位置を調整することができる。これらのナットおよびネジ部71が押板位置調整部7を構成している。
ばね要素6は、直列または/および並列に配置された複数の皿ばね62からなる皿ばね群61で構成されている。複数の皿ばね62の中央部に形成された孔部62aには、ロッド3が挿通されている。皿ばね群61は、受け板4の上側に配置され、押板5の下側に配置されている。図1および図2に示すように、皿ばね群61は、押板5と受け板4とが上下方向に相対変位して近接・離間することで上下方向に弾性的に伸縮するように構成されている。
トッププレート31が第2構造体12に固定されていない状態では、ばね要素6は、ロッド3およびロッド3に連結された部材(トッププレート31、ナット、押板5およびストッパ板81)の自重が作用している。
本実施形態に係るばね部材1は、ナット72を回すことで、図3に示すように、押板5がロッド3の上側または下側に移動し、押板5よりも上側に突出するロッド3の長さを調整可能に構成されている。図3(a)に示すように、ナット72を上側から見て時計回りに回転させると、押板がロッド3に対して下側に移動し、ロッド3における押板5よりも上側に突出する部分の長さが長くなる。これに対し、図3(b)に示すように、ナット72を上側から見て反時計回りに回転させると、押板がロッド3に対して上側に移動し、ロッド3における押板よりも上側に突出する部分の長さが短くなる。
ロッド3における押板5よりも上側に突出する部分の長さを調整することにより、ベースプレート21とトッププレート31との間隔を調整することができる。なお、押板5よりも上側に突出するロッド3の長さを調整は、ストッパ板81が受け板4とベースプレート21との間に配置されている範囲内で可能となる。
ばね部材1に作用する荷重(軸力)が変化しない場合は、皿ばね62のたわみも変化しないため、押板5の高さも変わらないことになる。したがって、ナット72を回すとロッド3が上下するだけで皿ばね62は変形しない。
ばね部材1に作用する荷重が変化した場合は、皿ばね62のたわみが変化して押板の5高さが変わるが、押板5の高さが変わった状態でもナット72を回すことでロッド3の高さ調節が可能となる。このため、ロッド3の上端部のトッププレート31と第2構造体12とが離間する不陸が生じたとしても、この不陸を調整することができる。
また、本実施形態に係るばね部材1は、ストッパ8を受け板4の下面に当接させた状態で押板5を下側に押すようにナット72を回転させると、皿ばね62に予荷重を付与することができる。ばね要素6にロッド3およびロッド3に連結された部材の自重よりもやや小さい予荷重を付与した後に自重が作用すると、ばね要素6の皿ばね62がさらに圧縮されてロッド3が下がり、ストッパ8が受け板4から離間した状態となる。
皿ばねは、所定の変形に必要な枚数を直列にし、所定の荷重に必要な枚数を並列する。皿ばね1枚の変形性能δは、図4(a)に示す皿ばねにおいて、ライズ寸法(傾斜面の高さ寸法)をhとしてδ≒0.75hとする。また、皿ばね1枚あたりの耐力pは、変形がδのときの反力とする。このようにすることで、荷重−変形(たわみ)関係がほぼ線形となり、要求される任意の荷重や変形量に対して皿ばねを直列や並列に積層することで対応できる。具体的には、ばね部材1の変形量X、負担力Fとして、(1)直列段数≧X/δ、(2)並列枚数≧F/pとなるようにする。
上記の説明では、皿ばねは、線形である(皿ばねのたわみδと荷重Pと比例関係にある)としている。これに対し、皿ばねは、板厚寸法tに対するライズ寸法hの比が大きくなると、非線形性を呈する。例えば、図4(b)に示すように、h/t=1.4として符号Cで示す範囲で使用すれば、一般的な線形ばねと比べて剛性が1/4以下となる。このため、所望のばね剛性を実現するための皿ばねの枚数は、一般的な線形ばねと比べて1/4以下となり、ばね部材1の高さ寸法を大幅に短縮できる。
次に、線形であるばね部材と、非線形であるばね部材の復元特性について説明する。
まず、線形皿ばねを用いたばね部材を設計する。ばね部材は、自重を520kN、変動荷重を60kN、ばね剛性を1350kN/mとする。
皿ばねの外形D=250,皿ばねの内形D=127,皿ばねの板厚寸法t=17,皿ばねのライズ寸法h=6.5,角部の面取り半径R=4とする。
なお、皿ばねの計算には、アルメン・ラスロ(J.O.Almen&A.Laszlo)の式を用いる。この式は皿ばねの断面形状は変化せず円周長が変わらない中立点を中心に回転するように皿ばねが変形するものとし、荷重および変形が円周方向に一様となる軸対称仮定としたものだが、非常に複雑であり式の表現を簡素化するために皿ばねの諸元から以下の定数を設定する。
ここで、内外径比α=D/D、曲率半径Rに対する角部R係数κ=(D−D)/(D−D−3R)とする。
Figure 2018179041
また、ばね材のヤング係数E、ポアソン比νとして、Kを以下のように定義する。
Figure 2018179041
これらを用いて、皿ばねのたわみδと荷重Pとの関係式は以下のように示される。
Figure 2018179041
荷重Pは、たわみδの3次式となっており、δからPを求めるのは容易である。しかし、Pからδを求めることは容易でないことから、荷重−変形関係のグラフから読み取ることとしている。
また、たわみδでの接線ばね剛性k´は下式で示される。
Figure 2018179041
なお、円周長が変化しない回転中心の直径dは下式で示される。
Figure 2018179041
上記の手法によれば任意の寸法形状に対する皿ばねの荷重−変形関係が得られ、これらをまとめて示したのが図4(b)のグラフとなる。
一方、皿ばね四隅の応力は以下のアルメン・ラスロの近似式で求められる。
Figure 2018179041
線形であるばね部材の復元力特性は、図5のように示される。
皿ばね1枚当たり平均荷重520kNに対して、たわみδ=4.4mm,剛性k=108kN/mmである。これにより、皿ばねを80枚直列すれば、合成ばねK=1.35kN/mm=1350kN/mとなり、要求性能を満足する。
しかしながら、皿ばねの合計長が(17+6.5)×80=1880mmと大きく、合理的とは言いがたい。また、自重Mによる全たわみは4.4×80=352mmとなる。
次に、非線形皿ばねを用いたばね部材を設計する。
皿ばねの外形D=250、皿ばねの内形D=127,皿ばねの板厚寸法t=12,皿ばねのライズ寸法h=15とする。上記の線形であるばね部材の復元力特性と同様に非線形であるばね部材の復元力特性を求める。
非線形であるばね部材の復元力特性は、図6のように示される。
皿ばね1枚当たりの平均荷重520kNに対して、たわみδ=9mm、剛性k=23.9kN/mmである。これにより、皿ばねを18枚直列すれば合成ばねK=1.33kN/mm=1330kN/mとなり、要求性能を満足する。
この場合、皿ばねの合計長が(12+15)×18=486mmとなり、上記の線形であるばね部材の1/4に短縮できる。
また、自重Mによる全たわみは9×18=162mmとなり、上記の線形であるばね部材の半分以下となる。
さらに、図6の星印で示すように、皿ばねに予め420kNの荷重を与え、皿ばね1枚当たり6mm縮めておけば、皿ばねの合計長が(12+15−6)×18=378mmとなり、さらに100mm以上短縮できる。
本実施形態では、具体的な方法としては、ばね部材の製作時または設置時にナット72を回して皿ばね62を圧縮させるだけであり、容易に実現できる。
次に、上述した本実施形態によるばね部材1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態によるばね部材1では、ロッド3に対する押板5の軸線方向の位置を調整する押板位置調整部7を有している。これにより、トッププレート31と押板5との軸線方向の距離を調整することができる。このため、ばね部材1の軸線方向の寸法を第1構造体と第2構造体12との間隔に合せた寸法とすることができる。その結果、ばね要素6に作用する荷重が異なり、ばね要素6の変形量が異なる場合でも、第1構造体と第2構造体12とを所望の間隔に保持することができる。
また、本実施形態によるばね部材1では、押板位置調整部7は、ロッド3の外周面にネジ山が形成されたネジ部71と、押板5に接続されネジ部71が螺合可能なナット72と、を有する構成である。これにより、ロッド3のネジ部71をナット72に螺合させ、ナット72を回転させてロッド3に対するナット72の軸線方向の位置を調整することにより、ロッド3に対する押板5の軸線方向の位置を容易に調整することができる。
また、本実施形態によるばね部材1では、シリンダ2とロッド3との軸線方向における相対変位量を規制するストッパ8を有する構成である。これにより、シリンダ2とロッド3との可動範囲が制約されるため、過大な荷重が作用した際に、過大な荷重がばね要素6に作用することを防止できる。
また、本実施形態によるばね部材1では、ばね要素6に圧縮予荷重を付加可能に構成されている。これにより、皿ばね群61の軸線方向の寸法を小さくすることができる。このため、押板5に対するロッド3の軸線方向の位置の調整と合せて、皿ばね群61の軸線方向の寸法の調整を行うことにより、第1構造体11と第2構造体12との間隔をより詳細に調整することができる。
また、本実施形態によるばね部材1では、皿ばね62は、板厚寸法tに対するライズ寸法hの比(h/t)が1.0〜1.4としている。これにより、皿ばね62の剛性が一般的な線形ばねの剛性よりも小さくなるため、所望のばね剛性の皿ばね群61を実現するための皿ばね62の枚数を少なくすることができ、ばね部材1をコンパクトにすることができる。
以上、本発明に係るばね部材1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、ばね部材1は、上下に配置された第1構造体11と第2構造体12との間に介装され、第1構造体11と第2構造体12との間の上下方向の振動の伝達を低減させる防振機構を構成している。これに対して、ばね部材1は、水平方向に配置された第1構造体11と第2構造体12の間に配置されてもよい。また、ばね部材1は、防振機構以外の機構に用いられてもよい。
また、上記の実施形態は、シリンダ2が第1構造体11に固定され、ロッド3が第2構造体12に固定されているが、シリンダ2が第2構造体12に固定され、ロッド3が第1構造体11に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、押板位置調整部7は、ロッド3の外周面にネジ山が形成されたネジ部71と、押板5接続されネジ部71が螺合可能なナット72と、を有する構成である。これに対し、押板5の孔部5aの内周面にロッド3ネジ山に螺合するネジ山が形成され、押板5を回転させてロッド3に対する押板5の軸線方向の位置を調整するように構成されていてもよい。また、ネジによる調整ではなく、押板5をロッド3に対して軸線方向の位置を調整可能に固定する固定機構が設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、シリンダ2とロッド3との軸線方向における相対変位量を規制するストッパを7有する構成である。これに対し、ストッパ8が設けられていなくてもよい。また、上記の形態以外のストッパ8が設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、ばね要素6に圧縮予荷重を付加可能に構成されている。これに対し、ばね要素6に圧縮予荷重が付加できないように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、皿ばね62は、板厚寸法tに対するライズ寸法hの比(h/t)が1.0〜1.4としているが、これ以外の値としてもよい。
1 ばね部材
2 シリンダ
3 ロッド
4 受け板
5 押板
6 ばね要素
7 押板位置調整部
8 ストッパ
11 第1構造体
12 第2構造体
61 皿ばね群
62 皿ばね
71 ネジ部
72 ナット
t 板厚寸法
h ライズ寸法

Claims (5)

  1. 互いに近接離間する方向に相対変位可能な第1構造体と第2構造体との間に介装されるばね部材において、
    前記第1構造体および前記第2構造体の一方に固定されるシリンダと、
    前記シリンダに対して軸線方向に相対変位可能に挿入され、前記第1構造体および前記第2構造体の他方に固定されるロッドと、
    前記シリンダの内部に取り付けられた受け板と、
    前記ロッドに取り付けられた押板と、
    複数の皿ばねを直列および/または並列に配列した皿ばね群が前記シリンダの内部において前記受け板と前記押板との間に介装されて、前記受け板と前記押板との間に生じる前記軸線方向の相対変位によって弾性的に伸縮するように構成されたばね要素と、を有し、
    前記ロッドに対する前記押板の前記軸線方向の位置を調整する押板位置調整部を更に有していることを特徴とするばね部材。
  2. 前記押板位置調整部は、前記ロッドの外周面にネジ山が形成されたネジ部と、
    前記押板に接続され前記ネジ部が螺合可能なナットと、を有していることを特徴とする請求項1に記載のばね部材。
  3. 前記シリンダと前記ロッドとの前記軸線方向における相対変位量を規制するストッパを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のばね部材。
  4. 前記ばね要素に圧縮予荷重を付加可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のばね部材。
  5. 前記皿ばねの板厚寸法に対するライズ寸法の比が1.0〜1.4とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のばね部材。
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