JP2018178033A - 膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】撥水性及び水滴のグリップ力に優れる膜の提供。【解決手段】(1)の環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物を含み、表面にクレーター状の構造を有する膜。(式(1)中、nは0以上5以下の整数、Rは、各々独立して、式(2)で表される基)(式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、R1、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基、aは、0〜30の整数。)【選択図】なし

Description

本発明は、膜に関する。
近年、様々な方法によるクレーター構造を持つ表面が報告されている。例えば、非特許文献1には、Mn12クラスターが自己組織化により形成するクレーター構造が報告されている。また、非特許文献2には、金ナノロッドが形成するクレーター構造が報告されている。さらに、非特許文献3には、導電性高分子を利用したクレーター構造が報告されている。
また、近年自己組織化を利用した表面構造が報告されおり、表面構造として、ハニカム構造、ピラー構造等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−23122号公報
Chem. Commun., 2005, 5615-5617 Angewandte Chem. Int. Ed.Volume 46, Issue 13, pages 2195-2198, 2007 Sci. Adv. Mater., 6, 1-7, 2014
しかしながら、非特許文献1〜3に記載のいずれのクレーター構造も、電子顕微鏡での狭いスポット内で観察されているのみであり、クレーター構造を広範囲にわたって形成することは非常に困難である。これらのクレーター構造は、自己組織化によって、表面構造として形成されているとは言い難い。また、上述したように、自己組織化によって形成された表面構造はハニカム構造、ピラー構造等であり、クレーター構造が、自己組織化によって、表面構造として形成されることは知られていない。
表面構造が特定の構造であることにより、物の表面の性質を変化させ、機能性を付与することができるため、物の表面を特定の表面構造にすることが検討されている。特に、撥水性や、水滴のグリップ力といった機能性を表面構造が有することによって、その表面構造が水滴の捕集をできるようになる。
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、撥水性及び水滴のグリップ力に優れる膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の化合物を含み、クレーター状の構造を有する膜は、撥水性及び水滴のグリップ力に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記式(1)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物を含み、表面にクレーター状の構造を有する膜。
(式(1)中、nは、0以上5以下の整数、Rは、各々独立して、下記式(2)で表される基である。)
(式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、R1、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは、0〜30の整数である。)
[2]
前記クレーター状の構造が、直径20nm〜500μm、高さ20nm〜100μmである、[1]に記載の膜。
[3]
前記フッ素含有ケイ素化合物のDSC測定による過冷却温度差が、20℃以上である、[1]又は[2]に記載の膜。
[4]
前記フッ素含有ケイ素化合物のDSC測定による融点が、30℃以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の膜。
[5]
前記フッ素含有ケイ素化合物の含有量が、1質量%以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の膜。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の膜を使用する、前記膜の表面に形成されたクレーター構造を樹脂に転写する方法。
[7]
[1]〜[5]のいずれかに記載の膜の表面に形成されたクレーター構造が、転写された樹脂。
本発明の膜は、撥水性の向上だけでなく、水滴のグリップ力に優れる。また、本発明の膜は、簡便な方法により製造することができる。本発明の膜は、水滴の捕集材料として用いるのに適する。
本実施形態におけるクレーター構造を真上から垂直に見た模式図と、本実施形態におけるクレーター構造の割断面を、クレーター内側より、俯瞰して見た模式図である。 本実施形態におけるクレーター構造を真上から垂直に見た模式図と、本実施形態におけるクレーター構造の割断面を、クレーター内側より、水平方向から見た模式図である。 本実施形態の膜のマイクロスコープ像であり、クレーター構造が形成されていることを示す図である。 本実施形態におけるクレーター構造の割断面を、クレーター内側より見た電子顕微鏡像である。 本実施形態の膜のマイクロスコープ像であり、クレーター構造が形成されていることを示す図である。 転写前の基材上に形成されたクレーター構造のマイクロスコープ像を示す図である。 転写後の基材上に形成されたクレーター構造のマイクロスコープ像を示す図である。 クレーター構造を転写したシリコーン樹脂(型取り用シリコーンから得られた樹脂)のマイクロスコープ像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の膜は、下記式(1)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物を含み、表面にクレーター状の構造を有する。
[フッ素含有ケイ素化合物]
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、下記式(1)で表される環状シロキサン構造を1分子内に1つ以上有する。
式(1)中、
nは、0以上5以下の整数であり、
Rは、各々独立して、下記式(2)で表される基である。
式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は、炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、R1、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは、0〜30の整数である。)
なお、式(1)中の波線は、互いに独立して、ヒドロキシ基への共有結合、炭素数1〜10のアルキル基への共有結合、又は、シロキサン結合(−O−Si−O−)、の結合位置を表す。
式(1)で表される環状シロキサン構造は、別の式(1)で表される環状のシロキサン構造と酸素原子を介して結合してもよい。
式(1)で表される環状シロキサン構造は、化合物に潜熱蓄熱特性を付与する観点から、nは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1である。nが5を超える場合は、潜熱蓄熱特性が落ちる傾向にある。このような環状シロキサン構造を有する化合物は、過冷却温度差が大きく、これにより良好な潜熱蓄熱特性を示すと考えられるが、潜熱蓄熱特性が発現する機序はこれに限定されない。
式(1)で表される環状シロキサン構造の骨格としては、例えば、下記に示すものが挙げられる。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、式(1)で表される環状のシロキサン構造を1分子内に1つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは6つ以上有している。また、本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、式(1)で表される環状のシロキサン構造を1分子内に、好ましくは50以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下有している。
環状のシロキサン構造の数が少ない場合は、潜熱特性、撥水及び撥油性が落ちる傾向にある。
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物の環状シロキサン骨格としては、具体的には、下記に示すものが挙げられる。
式(1)におけるRは、下記式(2)で表される基である。
式(2)中、Rfは、フッ素原子;炭素数1〜100、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは4〜12の、直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基;又は炭素数3〜200、好ましくは炭素数6〜14のフルオロポリエーテル基;である。Rf基を有することによって、撥水及び撥油性、防汚性等の特性を化合物に付与できる傾向にある。
本発明者の研究によれば、環状シロキサン構造を有するケイ素化合物にRfを導入しても、Rf中における炭素数が上記範囲内である場合には化合物の過冷却特性には影響がないことが分かった。一方、Rf中における炭素数が上記上限値を超える場合には、ケイ素化合物の過冷却温度差を低下させ、潜熱蓄熱特性の低下を生じるおそれがある。
このような含フッ素基Rfとしては、例えば、下記に示すものが挙げられる。
m2m+1−,
H−Cm2m−,
r2r+1−CH2−(CF2s−,
F−(Cq2qO)p−C24−,
上記式中、mは1〜10の整数、rは1〜8の整数、sは1〜8の整数(ただし、r+sは2〜10の整数である)、pは1〜6の整数、qは1〜3の整数である。Rf’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基、a、b、c、dは互いに独立して、0〜66の整数であり、但し、a+b+c+dは1以上、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜5であり、eは0又は1である。
これらのRfの中でも、下記に示すものが好適に使用できる。
m2m+1−,
上記式中、m、pは上記と同じである。
含フッ素基Rfとして、具体的には、下記式に示される基が挙げられる。
F−,
CF3−,
CF3CF2−,
CF3CF2CF2−,
(CF32CF−,
CF3CF2CF2CF2−,
CF3CF2CF2CF2CF2CF2−,
CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−,
HCF2CF2CF2CF2−,
(CF32CFCF2−,
CF3(CF24CF2−,
HCF2(CF24CF2−,
CF3(CF26CF2−,
CF3(CF23CH2(CF25−,
CF3OCF2CF2−,
CF3CF2CF2OCF2CF2−,
CF3CF2CF2OCF(CF3)−,
F(CF2CF2CF2O)3CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)4CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)10CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)24CF2CF2−,
F(CF2CF2O)10(CF2O)15CF2CF2−,
式(2)において、Qは炭素数0〜12であり、過冷却温度差を制御し、クレーター構造を容易に形成する観点から、好ましくは炭素数0又は3〜8の2価の有機基である。
Qは、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)であってよく、あるいはこれらの基にエーテル結合、アミド結合、エステル結合、ジオルガノシリレン基等から選ばれる1種又は2種以上の構造を介在させたものであってもよく、さらに上記以外に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子から選ばれる1種又は2種以上を含む基を含有してもよい2価の炭化水素基が挙げられる。
このようなQの好ましい具体例としては、下記式に示される基が挙げられる。
−CH2−,
−CH2CH2−,
−CH2CH2CH2−,
−CH2−O−(CH2t−,
−CH2CH2−O−(CH2t−,
−OCH2−,
−CO−NH−CH2−,
−CO−N(Ph)−CH2−,
−CO−NH−CH2CH2−,
−CO−N(Ph)−CH2CH2CH2−,
−CO−N(CH3)−CH2CH2CH2−,
−CO−O−CH2−,
−CO−N(CH3)−Ph’−,
−CO−NR3−Y’−
上記式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基であり、tは1〜10の整数である。
Y’は、−CH2−又は下記式で表される2価の基である。
3は、水素原子又は非置換もしくは置換の、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基である。
ここで、上記R3の非置換もしくは置換の、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基(N≡C−)などで置換されたもの(例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等)が挙げられる。
式(2)において、R1、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10、好ましくは炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10、好ましくは炭素数7〜8のアラルキル基である。R1、R2を有することによって、化合物に親油性、ハードコート材料への相溶性等を付与できる傾向にある。
1、R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。中でも、メチル基、n−ブチル基、フェニル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
なお、R1、R2がそれぞれ複数ある場合(aが2以上である場合)は、複数あるR1及びR2は、それぞれ、同一の基であっても異種の基であってもよく、また、R1とR2が同一の基であっても異種の基であってもよい。
また、式(2)において、aは0〜30の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1である。
式(2)で表される基がSi−O−Si鎖を有することによって、化合物の過冷却特性(過冷却温度差)を増大させ、より任意に熱を取り出すことができる傾向にある。
式(2)で表される基中のRf、R1及びR2、並びに、Rは、本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物を蓄熱材、防汚性付与剤、ハードコート材料に用いる場合、分子中のフッ素原子の質量割合が、30〜100質量%となる割合で存在することが好ましく、40〜55質量%となる割合で存在することがより好ましい。
分子中のフッ素原子の質量割合が上記上限値超である場合には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、変性シリコーン樹脂等の樹脂への親和性が損なわれるため、本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物をこれらの樹脂に練り込んで使用する場合には、その成形体の硬度の低下等が生じるおそれがある。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、既知の方法によって容易に製造することができる。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、例えば、下記式(3)
Rf−Q−CH=CH2 (3)
(式中、Rf、Qは上記式(2)におけるそれらと同じである。)
で示される含フッ素オレフィン化合物を、下記式(4)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するSiH化合物(以下、単に「SiH化合物」という。)に、従来公知のヒドロシリル化付加反応によって付加することで製造することができる。
式(4)中、nは、0以上5以下の整数であり、
R’は、各々独立して、下記式(5)で表される基である。
式(5)中、R1、R2は互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは0〜30の整数である。
式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物としては、例えば、下記に示すものが挙げられる。
また、式(4)で環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するSiH化合物としては、例えば、下記に示すものが挙げられる。
式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物と前記SiH化合物とは、前記SiH化合物のSiH基を反応させる。具体的には反応時のモル比(ビニル基/SiH基のモル比)が、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5であるように反応を行うことが好ましい。前記モル比より少量であると、SiH基が残留し、SiH基が脱水素反応を起こして水素ガスを発生したりするおそれがある。一方、式(3)で表される含フッ素オレフィンが上記より過剰であると、該化合物の沸点が高い場合は余剰の未反応物を溜去するのが難しかったり、生成するフッ素含有ケイ素化合物との相溶性が悪い場合には、生成物に濁りを生じたりするおそれがある。
ヒドロシリル化付加反応は、白金族金属触媒の存在下で行ってもよい。白金族金属触媒としては、ヒドロシリル化に用いられる公知のものを使用できる。白金族金属は、一般に貴金属の化合物であり高価格であることから、比較的入手し易い白金又は白金化合物がよく用いられる。このような白金化合物としては、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコール、ビニルシロキサンとの錯体、及びシリカ、アルミナ、カーボン等に担持された金属白金を用いることができる。白金化合物以外の白金族金属触媒としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びパラジウム系化合物が使用でき、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等(式中、Phはフェニル基である。)を用いることができる。
白金族金属触媒の使用量は、特に限定されず、前記SiH化合物と式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物との合計量100質量部に対し、0.1〜500ppm(白金質量換算)となる量が好ましい。
反応温度は、溶剤の量や種類により適宜決められ、通常、室温〜200℃でよく、好ましくは70〜140℃である。時間は、特に制約なく、個別の反応条件に応じて反応が十分に進行するようにすればよい。
ヒドロシリル化反応を行う際に、必要に応じて溶剤を用いてもよい。溶剤は、式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物及びSiH化合物の少なくともいずれかを溶解するものであることが好ましく、ヒドロシリル化反応を阻害するものでなければ特に制限されない。溶剤の使用量は、式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物や生成するフッ素含有ケイ素化合物の粘度や仕込み量によって適宜選定されるが、式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物及びSiH化合物の合計量100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。
このような溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、イソドデカン等の脂肪族炭化水素系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物;トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロメタキシレン等の含フッ素芳香族炭化水素系化合物;パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン等のハイドロフルオロエーテル系化合物;ダイフロイル(ダイキン工業製)等のクロロフルオロカーボン系化合物;ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、2−(トリメチルシロキシ)−1,1,1,2,3,3,3−ヘプタメチルトリシロキサン等の鎖状シロキサン;オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;フォンブリン、ガルデン(ソルベイソレクシス製)、デムナム(ダイキン工業製)、クライトックス(デュポン製)等のパーフルオロポリエーテル系化合物;等が挙げられる。中でも、ヘキサフルオロメタキシレン、デカメチルシクロペンタシロキサンが、式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物、SiH化合物及び最終生成物であるフッ素含有ケイ素化合物の溶解性に優れており好適である。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、DSC測定による過冷却温度差が、20℃以上であることが好ましい。本実施形態における過冷却温度差とは、フッ素含有ケイ素化合物の融点温度と再結晶温度との差であり、以下の式によって表される。
過冷却温度差(℃)=融点(℃)−再結晶温度(℃)
過冷却温度差は、30℃以上であることがより好ましい。また、上記過冷却温度差の上限値は、250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
過冷却温度差が、20℃以上であることにより、フッ素含有ケイ素化合物を用いて膜を形成したときに、クレーター構造が容易に形成される傾向にある。過冷却温度差が、250℃以下であることにより、フッ素含有ケイ素化合物を結晶状態に戻しやすくなる傾向にある。
過冷却温度差は、フッ素含有ケイ素化合物の構造により制御することができる。
過冷却温度差は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物は、DSC測定による融点が、30℃以上であることが好ましい。
融点は、50℃以上であることがより好ましい。また、融点の上限値は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。
融点が、30℃以上であることにより、フッ素含有ケイ素化合物を用いて膜を形成したときに、クレーター構造が維持される傾向にある。融点が、300℃以下であることにより、フッ素含有ケイ素化合物を固体で基材に塗布した場合に融解しやすい傾向にある。
融点は、フッ素含有ケイ素化合物の構造により制御することができる。
[クレーター状の構造]
本実施形態の膜が有するクレーター状の構造は、直径20nm〜500μm、高さ20nm〜100μmであることが好ましい。
より詳細には、本実施形態の膜は、クレーター状の構造として、図1及び図2の模式図に示される構造(x:20nm〜500μm、y:20nm〜500μm、z:20nm〜100μm)を表面構造に有することが好ましい。
なお、図1は、クレーター構造を真上から垂直に見た模式図と、クレーター構造の割断面を、クレーター内側より、俯瞰して見た模式図である。図2は、クレーター構造を真上から垂直に見た模式図と、クレーター構造の割断面を、クレーター内側より、水平方向から見た模式図である。
前記クレーター状の構造の直径は、yに相当し、高さは、zに相当する。
本実施形態におけるクレーター構造は、湿度、溶媒等の条件を変えることによって、前記x,y,zを調整することができる。
前記x,y,zは、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態におけるフッ素含有ケイ素化合物を用いてクレーター構造を形成するためには、フッ素含有ケイ素化合物を基材上に塗布することが好ましい。
塗布する基材は、例えば、ガラス、シリコン等の無機材料、樹脂、及び繊維等の有機材料を用いることができる。
本実施形態の膜は、クレーター構造を有することができる厚みを有していればよく、通常0.01〜1000μmであり、好ましくは0.1〜200μmである。
塗布する形態として、フッ素含有ケイ素化合物を溶媒に溶解させる方法やフッ素含有ケイ素化合物を融点以上に加熱することで液体状態にし、基材上に塗布することができる。
塗布する方法として、例えば、バーコーター、スピンコーター、スプレーコーターを用いる方法が挙げられる。
塗布する際に溶媒を用いてもよく、かかる溶媒としては、クレーター構造を容易に形成できる観点から、フッ素含有ケイ素化合物が溶解可能な溶媒が好ましく、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(3M社製Novec7300)等のフッ素系溶媒がより好ましい。
さらに、基材に塗布されたフッ素含有ケイ素化合物は、クレーター構造を容易に形成するために、好ましくは−50℃〜30℃、より好ましくは20℃以下に、さらに好ましくは10℃以下に冷却する。
自己組織化には水滴が関与しているため、冷却する際は、湿度が0%より高く、100%以下にすることによって、クレーター構造を容易に形成することができる。
冷却後はフッ素含有ケイ素化合物の融点未満で乾燥させることによって、クレーター構造が維持された状態の表面を作製できる。
本実施形態におけるクレーター構造を形成するためには、膜を構成する樹脂中にフッ素含有ケイ素化合物を10%以上含有していればよい。膜がクレーター状の構造を有することにより、撥水性が向上されるだけでなく、水滴のグリップ力に優れた膜となる。
膜を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリルメタクリル酸メチル等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
[表面特性]
本実施形態の膜は、フッ素含有ケイ素化合物によって表面が形成され、高い撥水を有し、良好な水滴グリップ性を示す。したがって、本実施形態の膜は、水滴を捕集する材料として使用するのに適している。
[クレーター構造の樹脂への転写]
本実施形態の膜における表面は、予め、フッ素含有ケイ素化合物が形成したクレーター構造に流動性のある樹脂を塗布後、光、加熱、又は冷却より流動性を無くした後、樹脂をフッ素含有ケイ素化合物の表面から剥がすことにより、樹脂にクレーター構造のネガを転写することが可能である。すなわち、本実施形態の一つは、本実施形態の膜を使用する、前記膜の表明に形成されたクレーター構造を、樹脂に転写する方法である。
また、本実施形態の一つは、本実施形態の膜の表明に形成されたクレーター構造が、転写された樹脂である。
本実施形態の膜の表面の凝集エネルギーは小さいため、転写した樹脂側にフッ素含有ケイ素化合物が残りにくいという特徴がある。転写した樹脂をさらに樹脂に転写することにより、フッ素含有ケイ素化合物が形成したクレーター構造と同一の表面を樹脂に転写することが可能となる。
転写時に用いる樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリルメタクリル酸メチル、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。本実施形態の膜のクレーター構造を樹脂に転写する場合は、膜のクレーター構造を崩すことなく転写する観点から、膜を構成するフッ素含有ケイ素化合物の融点未満の温度にて転写を行うことが好ましい。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
特性や評価は、以下の方法により行った。
[DSCによる熱分析]
パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSCを用い、サンプル質量を5mgとして、0℃から毎分10℃で200℃まで昇温した後、毎分10℃で0℃まで降温測定を行い、得られた吸熱ピーク及び発熱ピークを与える温度から、サンプルの融点及び再結晶温度を求め、過冷却温度差を以下の式から算出した。
過冷却温度差(℃)=融点(℃)−再結晶温度(℃)
[クレーター構造の観察]
クレーター構造は、フッ素化ケイ素化合物を塗布したSiウエハーを割断することにより、割断面を極低加速高分解能電子顕微鏡(SU8220 HITACH製)を使用して割断面を斜め方向から観察し、確認し、クレーター構造の長さx、及び高さzを測定した。
クレーター構造の、直径yは、VHXデジタルマイクロスコープ(キーエンス製)により測定した。
[接触角評価]
協和界面科学社製の接触角計CA−150を使用し、超撥水用のディスペンサ、注射筒、及び針を用いてで水の静的接触角を求めた。
[水滴グリップ性評価]
3mmの水滴を水平にした基材に着け、基材を5秒間かけて垂直に傾け、水滴が落下するかを確かめた。表中、水滴が落下しなかった場合を○、水滴が落下した場合を×と表した。
<フッ素含有ケイ素化合物の合成>
[合成例1]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(ハイブリッド プラスチック社製オクタシランPOSS)3.00g(3mmol)、3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペン(ユニマッテック社製)11.4g(31mmol)、及び、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(3M社製Novec7300)16.69gを添加し、90℃に加熱後、白金原子15ppmとなるよう、カルステッド触媒(白金3重量%キシレン溶液)0.1gをNovec7300 10gで希釈した溶液を0.54g添加した。24h後に反応液をサンプリングし、5wt%の重クロロホルム中で1H−NMR測定(クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回とした)を行い4.7ppm付近のSiH基のピークが消失している事を確認後、反応液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体14gを得た。
得られた化合物について、日本電子株式会社製ECZ400S、プローブはTFHプローブを用いて、以下のようにしてNMR測定を行った。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、下記の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
また、a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、下記の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。
A:−109ppm
B:12ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回とし、19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例2]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロブチル)−1−プロペンを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは後掲の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。
A:−109ppm
B:12ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例3]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロオクチル)−1−プロペンを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
得られた白色固体について、合成例1と同様にして1H−NMRを測定したところ、以下に示すケミカルシフト値が観測され、a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1であることを確認した。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは後掲の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。
また、合成例1と同様にして29Si−NMRを測定したところ、以下に示すケミカルシフト値が観測された。
A:−109ppm
B:12ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例4]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TCI社製)1.90g(8mmol)、3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペン(ユニマッテック社製)13.7g(38mmol)、及びNovec7300(3M社製)16.69gを添加し、90℃に加熱後、白金原子200ppmとなるよう、カルステッド触媒(白金3重量%キシレン溶液)0.09gを添加した。24時間後に1H−NMRにてSiH基のピークが消失していることを確認後、反応液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体13gを得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加して、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例5]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロブチル)−1−プロペンを用いたこと以外は、合成例4と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例6]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロオクチル)−1−プロペンを用いたこと以外は、合成例4と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2である事を確認した。 また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例7]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにハイドロ−T8−シルセスキオキサン(ハイブリッドプラスチック社製オクタハイドロPOSS)を用いた他は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例8]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにオクタハイドロPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)を用いた他は、合成例2と同様の実験を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例9]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにオクタハイドロPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)を用いた他は、合成例3と同様の実験を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例10]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン(TCI社製)4.1gをエタノール10mLに溶解した溶液に、及び水酸化カリウム2mgを270mgのイオン交換水に溶解した水溶液を添加し、25℃で、24時間撹拌した。得られた白色沈殿を濾過し、エタノールで繰り返し洗浄した。
洗浄固体を1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(アサヒクリンAK225G)に再溶解し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。
有機層に硫酸マグネシウムを添加し乾燥後、濾過を行い、ろ液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例11]
1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルトリエトキシシランの代わりに、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを用いたこと以外は、合成例10と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
[合成例12]
1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルトリエトキシシランの代わりに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランを用いたこと以外は、合成例10と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1であることを確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で、19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
合成例1〜12で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
なお、合成例1で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めたところ、測定温度領域(0〜200℃)に発熱ピークは現れなかったため、再結晶温度は、0℃未満、過冷却温度差は「78℃より大きい」とした。
なお、合成例2で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めたところ、測定温度領域(0〜200℃)に発熱ピークは現れなかったため、再結晶温度は0℃未満、過冷却温度差は「62℃より大きい」とした。
[実施例1−1]
合成例1で合成した化合物0.01gを、3M社製Novec7200 1gに溶解し、25℃で1cm×1cmのSiウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した。その後、このSiウエハーの塗布面を上側にして、湿度10%温度25℃の条件でクールプレート(アズワン株式会社 商品名CP−120)の上に1分乗せた。さらに、Siウエハーをクールプレートから取りはずし、25℃にて自然乾燥をおこなったSiウエハー表面をマイクロスコープ(キーエンス社製)にてクレーター構造の有無を観察し、クレーターの直径及び撥水性及び水滴グリップ性を評価した。
[実施例1−2]
湿度10%の代わりに、湿度30%の条件でクールプレート上に1分乗せたこと以外は、実施例1−1と同様の実験を行った。
[実施例1−3]
湿度10%の代わりに、湿度70%の条件でクールプレート上に1分乗せたこと以外は、実施例1−1と同様の実験を行った。得られたクレーター構造のマイクロスコープ像を図3に示す。割断後の断面電子顕微鏡写真を図4に示す。
[実施例1−4]
湿度10%の代わりに、湿度100%の条件でクールプレート上に1分乗せたこと以外は、実施例1−1と同様の実験を行った。
[実施例1−5]
スピンコーターで塗布する代わりに、バーコーターNo.3を用いたこと以外は、実施例1−2と同様の実験を行った。
[実施例1−6]
スピンコーターで塗布する代わりに、バーコーターNo.3を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[実施例1−7]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、合成例10で合成した化合物に、合成例1で合成した化合物を10phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[実施例1−8]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、合成例10で合成した化合物に、合成例1で合成した化合物を30phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[実施例1−9]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、商品名テフロン(登録商標)AF1600に合成例1で合成した化合物を10phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[実施例1−10]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、商品名テフロン(登録商標)AF1600に合成例1で合成した化合物を30phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[実施例1−11]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に合成例1で合成した化合物を10phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。得られたクレーター構造のマイクロスコープ像を図5に示す。
[実施例1−12]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、PMMAに合成例1で合成した化合物を30phr添加した化合物を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[比較例1−1]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−1と同様の実験を行った。
[比較例1−2]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−2と同様の実験を行った。
[比較例1−3]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−3と同様の実験を行った。
[比較例1−4]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[比較例1−5]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−5と同様の実験を行った。
[比較例1−6]
5℃に冷却する代わりに、25℃で静置したこと以外は、実施例1−6と同様の実験を行った。
[比較例1−7]
湿度10%の代わりに、湿度0%の条件でクールプレート上に1分乗せたこと、及び、25℃で静置したこと以外は、実施例1−1と同様の実験を行った。
[比較例1−8]
合成例10で合成した化合物のみを用いたこと以外は、実施例1−7と同様の実験を行った。
[比較例1−9]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、合成例11で合成した化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[比較例1−10]
合成例1で合成した化合物を用いる代わりに、合成例12で合成した化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[比較例1−11]
テフロン(登録商標)AF1600のみを用いたこと以外は、実施例1−8と同様の実験を行った。
[比較例1−12]
PMMAのみを用いたこと以外は、実施例1−11と同様の実験を行った。
[実施例2]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例3]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例3で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例4]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例4で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例5]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例5で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例6]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例6で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例7]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例7で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例8]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例8で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[実施例9]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例9で得られた化合物を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の実験を行った。
[比較例2]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例3]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例3で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例4]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例4で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例5]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例5で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例6]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例6で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例7]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例7で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例8]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例8で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[比較例9]
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例9で得られた化合物を用いたこと以外は、比較例1−4と同様の実験を行った。
[実施例10]
実施例1−1で得られたクレーター構造が形成されたSiウエハーを基材として用い、かかる基材上にて、型取り用シリコーン(旭ワッカーシリコーン製Elastsil M4601)を50℃、1時間で硬化させ、硬化後のシリコーンを基材から剥がした。
マイクロスコープ観察を行ったところ、Siウエハー上にはクレーター構造が残っており、転写したシリコーンには、クレーター構造が転写されていることを確認した。転写前の基材上に形成されたクレーター構造のマイクロスコープ写真を図6に、転写後の基材上に形成されたクレーター構造のマイクロスコープ像を図7に、クレーター構造を転写したシリコーン樹脂(型取り用シリコーンから得られた樹脂)のマイクロスコープ像を図8に示す。
[実施例11]
実施例10で得られたクレーター構造を転写した後のSiウエハーを再度、基材として用い、かかる基材上にて、型取り用シリコーン(旭ワッカーシリコーン製Elastsil M4601)を50℃、1時間で硬化させ、硬化後のシリコーンを基材から剥がした。転写後の上記硬化後のシリコーンをマイクロスコープ観察したところ、上記硬化後のシリコーンには、クレーター構造が形成されていることを確認した。
本発明は、水滴の捕集材料の分野で産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物を含み、表面にクレーター状の構造を有する膜。
    (式(1)中、nは、0以上5以下の整数、Rは、各々独立して、下記式(2)で表される基である。)
    (式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、R1、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは、0〜30の整数である。)
  2. 前記クレーター状の構造が、直径20nm〜500μm、高さ20nm〜100μmである、請求項1に記載の膜。
  3. 前記フッ素含有ケイ素化合物のDSC測定による過冷却温度差が、20℃以上である、請求項1又は2に記載の膜。
  4. 前記フッ素含有ケイ素化合物のDSC測定による融点が、30℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜。
  5. 前記フッ素含有ケイ素化合物の含有量が、1質量%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜を使用する、前記膜の表面に形成されたクレーター構造を樹脂に転写する方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜の表面に形成されたクレーター構造が、転写された樹脂。
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