JP2006298947A - 含フッ素シルセスキオキサン金属塩表面処理剤 - Google Patents

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正道 森田
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Abstract

【課題】 保存安定性の高い、高い撥水撥油性を付与する、炭素数1〜5の短鎖Rf基を有する表面処理剤を提供する。
【解決手段】 一般式:
Figure 2006298947

[式中、Rfは炭素数1〜5のフルオロアルキル基、
Aは炭素、水素、酸素、窒素元素のいずれかから構成される連結基、
Mは1価のアルカリ金属である。]
で示される含フッ素シルセスキオキサン金属塩を含んでなる表面処理剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含フッ素シルセスキオキサン金属塩を含んでなる表面処理剤に関する。
本発明の表面処理剤を液相中、より好ましくは気相中で基板と反応させることにより、極めて高い撥水撥油性を有する基板を作製することができる。表面処理剤は表面自由エネルギーが異なる複数の領域から構成されるパターンを有する基板を作製する目的にも適している。基板は電子、光学、医療、化学分析用デバイスなどの基板に適用できる。
(1)フルオロアルキルシラン撥液膜の後退接触角、転落角
従来、フルオロアルキル基含有シラン(以下、フルオロアルキル基を「Rf基」と省略する)、例えば、以下の構造を有するRf基含有トリクロロシラン
CnF2n+1CH2CH2SiCl3 (n=3-10) 式(1)
の希薄溶液中に基板を浸漬することにより形成された撥液膜は、Rf基差長の増大に伴い表面エネルギーが低下すること知られていた[Langmuir, 8, 1195(1992)]。特にn=8, 10の長鎖Rf基では11mJ/m2以下となる。しかし、これらの表面エネルギーは静的接触角に基づき算出された値であり、油に対して十分に高い後退接触角、低い転落性を発現できなかった。具体的には、このタイプの長鎖Rf基含有シラン撥液膜のn-ヘキサデカンの後退接触角は60°以下と低く、転落角が30°以上の高い値を示すという問題があった。ここで、前進/後退接触角とは、それぞれ接触線が前進または後退する際に測定される接触角であり、転落角は基板傾斜時に液体が転落し始める傾斜角度である。後退接触角の値には、基板の欠陥が敏感に反映されるので[Adamson, A.W. and A.P. Gast, Physical Chemistry of Surfaces 6th ed. The Solid-Liquid Interface Contact Angle. 1997, New York: Wiley.]、長鎖Rf基含有シラン撥液膜は欠陥が存在するものと考えられる。n-ヘキサデカンに対する静的接触角や前進接触角が70°以上の値を示す場合でも、後退接触角が60°以下であれば、表面の撥油膜の均一性は良好とは言えない。また、転落角は前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)の値が大きいほど高くなる[Langmuir, 16, 7777(2000)]。後退接触角と転落角は基板上での液体の動きやすさの指標となり、実用的に極めて重要である。
(2)フルオロアルキルシラン化合物の保存安定性
式(1)のRf基含有トリクロロシランや、塩素をアルコキシシランに置き換えたRf基含有トリアルコキシシランは、大気中で加水分解を起こしやすく、試薬瓶に封入された状態でも化合物の保存安定性が悪く、製造後は速やかに使用しなければならない問題があった。
(3)長鎖Rf基含有化合物の環境、生体への蓄積性
従来、基材に高い撥水撥油性を付与するために表面処理剤として汎用されてきた炭素数6〜12の長鎖Rf基を有するRf基含有化合物は、最近になって環境、生体への蓄積性の問題が指摘されている。最近の研究結果[EPAレポート"Draft Risk Assessment of the Potential Human Health Effects Associated With Exposure to Perfluorooctanoic Acid and Its Salts (PFOA)" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoarisk.pdf)]などから、長鎖Rf基含有化合物の一種であるPFOA(perfluorooctanoic acid)に対する人体への蓄積性の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
一方、Federal Register(FR Vol.68, No.73/April 16, 2003[FRL-2303-8], http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)やEPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003 EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf)やEPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)は、テロマーが分解または代謝によりPFOAを生成する可能性があると公表している(テロマーとは長鎖Rf基のことを意味する)。また、テロマーが、撥水撥油性、防汚性を付与された泡消火剤、ケア製品、洗浄製品、カーペット、テキスタイル、紙、皮革などの多くの製品に使用されていることをも公表している。
このような環境問題のために、長鎖Rf基含有化合物の代替物質として、炭素数1〜5の短鎖Rf基を有するRf基含有化合物を撥水撥油剤として利用する必要性が生じてきた。しかし、式(1)のRf基含有トリクロロシランの構造では、Rf基の炭素数を5以下としたときに、十分な撥油性を基板に付与することができなかった。具体的には、n-ヘキサデカンの前進接触角は長鎖Rf基含有シランのそれに近い70°程度の値を示すが、後退接触角が40°以下と低く、転落角が50°以上の高い値を示すという問題があった。
(4)シルセスキオキサントリオール金属塩の利用方法
シルセスキオキサントリオール金属塩は、シルセスキオキサン完全縮合体を高純度で製造するための中間体として知られているが(WO 02/094839)、それ以外の利用方法は考案されていなかった。
本発明の課題は、保存安定性の高い、高い撥水撥油性を付与する、炭素数1〜5の短鎖Rf基を有する表面処理剤を提供することにある。
本発明の別の課題は、表面自由エネルギーが異なる複数の領域から構成されるパターンを有する基板を作製するための表面処理剤として、環境への蓄積性が低い炭素数1〜5の新規な短鎖Rf基含有化合物を提供することである。
本発明の他の課題は、均一な撥液膜を形成するための表面処理方法を提供することである。
本発明は、一般式:

Figure 2006298947

[式中、Rfは炭素数1〜5のフルオロアルキル基、
Aは炭素、水素、酸素、窒素元素のいずれかから構成される連結基、
Mは1価のアルカリ金属である。]
で示される含フッ素シルセスキオキサン金属塩を含んでなる表面処理剤を提供する。
炭素数1〜5の短鎖フルオロアルキル基を含有するシルセスキオキサントリオール金属塩は、従来、フッ素系の表面処理剤として使用されてきた長鎖フルオロアルキルクロロシランや長鎖フルオロアルキルアルコキシシランと比較して、はるかに長期の保存安定性を有する。
本発明によれば、化学的、形態学的に均一であり非常に高い撥水撥油性を有する基板を作製することができる。均一な撥液膜が形成された基板は、十分に高い後退接触角と低い転落角を発現する。
本発明によれば、表面自由エネルギーが異なる複数の領域から構成されるパターンを有する基板を調製できる。このパターン基板は電子、光学、医療、化学分析デバイスなどに適用できる。このパターン基板上に機能性化合物溶液を塗布し、溶媒を除去することで機能性材料が調製できる。
含フッ素シルセスキオキサン金属塩におけるRf基の炭素数は、1〜5、特に1〜4であり、直鎖でも分岐構造でも良い。Rf基としては、具体的には以下のものが例示される。
(直鎖構造) CF3CF2CF2CF2-, CF3CF2CF2-, CF3CF2-, CF3-,
(分岐構造) (CF32CF-, (CF33C-, (CF32CFCF2CF2-
含フッ素シルセスキオキサン金属塩におけるA基の例は、酸素原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、環状脂肪族基または芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CH2CH(OY1)CH2−基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)である。A基は、炭素数1〜6、特に1〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であることが好ましい。
含フッ素シルセスキオキサン金属塩におけるMは一価のアルカリ金属である。Mの例は、カリウム、ナトリウムおよびリチウムである。
本発明の表面処理剤は、含フッ素シルセスキオキサン金属塩単独であってよいが、他の化合物、例えば、撥水撥油性化合物と混合しても良い。他の化合物は、シリコーン、フッ素化またはシリコーン化されていない有機シラン化合物、有機チオール化合物、有機ジスルフィド化合物、有機リン酸エステル化合物であってよい。表面処理剤の合計に占める含フッ素シルセスキオキサン金属塩の割合は10mass%以上、好ましくは50mass%以上である。
本発明の基板に用いる基材は、シリコン、合成樹脂、ガラス、金属、セラミックスなどである。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ―(4 ―メチルペンテン―1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル―スチレン共重合体(AS 樹脂)、ブタジエン―スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。合成樹脂製の基板を用いれば、軽量、透明、安価、曲げられるなどの特徴を基板に付与できる。
ガラスとしては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
金属としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、白金等が挙げられる。
セラミックとしては、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、ジルコニア、チタン酸バリウム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素)、硫化物(例えば、硫化カドミウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)等が挙げられ、これらの混合物を使用して良い。
いずれの基板を用いる場合でも、プラズマ処理、UV処理、オゾン処理を行っても良い。基板にこれらの処理を施すことにより、基板表面の有機汚染物が除去され、さらに官能基(例えば、OH基)を導入できるので、含フッ素シルセスキオキサン金属塩の基板への反応性が向上する。
基材の表面を、表面処理剤で液相または気相中で均一に処理する。
例えば液相中での処理は、基板を表面処理剤の溶液(特に、有機溶剤中の溶液)に浸漬または塗布した後、10〜50℃で1分〜24時間乾燥することによって行える。液相中での処理で含フッ素シルセスキオキサン金属塩を溶解させる有機溶剤としては、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、炭化水素(例えば、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素)等が挙げられ、有機溶剤はフッ素化されていてもされていなくてもどちらでも良い。有機溶剤の具体例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、パーフルオロデカリン、ハイドロフルオロエーテル、HCFC225、クロロホルム、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ヘキサン、イソペンタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの有機溶剤は単独でも混合されて用いられても良い。
本発明は含フッ素シルセスキオキサン金属塩を気相中で基板に表面処理することで、より高い撥水撥油性の効果が得られる。これは液相よりも気相中の処理の方が、化学的、形態学的により均一な撥液膜が形成されることに由来すると考えられる。以下に、気相中で基板に表面処理する方法を例示するが、気化した表面処理剤を基板に接触させる原理であれば、どのような方法でも良い。
1.大気中、あるいは、窒素、アルゴンのような不活性気体の雰囲気中でフッ素化合物と基板を密閉容器中に封入して室温以上で加熱気化する方法。
2.真空蒸着装置内にフッ素化合物と基板を封入して減圧下でフッ素化合物を加熱気化する方法。
3.イオンプレーティング法
4.スパッタリング法
方法1〜4において、温度は10〜200℃、圧力は10ー5〜107Paであってよい。処理時間は、例えば、10秒〜5時間であってよい。
真空蒸着法において、一般に、気相は、フッ素化合物(すなわち、含フッ素シルセスキオキサン金属塩)のみである。イオンプレーティング法およびスパッタリング法において、一般に、気相は、フッ素化合物に加えて、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)をも含有する。
液相または気相における簡便なプロセスによって、基材の表面に、含フッ素シルセスキオキサン金属塩を含んでなる表面処理剤の薄膜が形成される。薄膜の厚さは、一般に0.1〜3000nm、特に0.5〜500nmであって良い。薄膜は、単分子膜であっても良いし、多層膜であっても良い。また本発明はゾル-ゲル法に代表される手法により、膜厚が0.5〜2μmの厚膜を形成しても良い。こうして、n-ヘキサデカンに対する後退接触角が50°以上、転落角が40°以下の均一な撥油性表面が得られる。後退接触角は転落法、拡張伸縮法、Wilhelmy法などの方法により測定され、これらの方法に本質的な違いはない。
本発明の基板は、電子、光学、医療、化学分析などの幅広い用途のデバイスに用いることが可能である。例えば、電子デバイスとしては、トランジスタ、メモリ、発光ダイオード(EL)、レーザー、太陽電池などに利用できる。これらのデバイスからフレキシブルディスプレイ、無線タグ、ウエアラブルなコンピュータなどが製造される。また、光学デバイスとしては、光メモリ、画像メモリ、光変調素子、光シャッター、第二次高調波(SHG)素子、偏光素子、フォトニッククリスタル、レンズアレイなどに、医療デバイスとしては、バイオチップ、DNAアレイなどに利用できる。化学分析デバイスとしては、微小化学プラント、微小化学分析システムなどに利用できる。
上記の撥液性基板に親液性のパターニングを施して、表面自由エネルギーが異なる複数の領域から構成されるパターンを有する基板を用いると、基板上での液体の微細な濡れを制御したり、塗布プロセスで基板上にパターン化された機能性化合物の薄膜を形成することが可能となる。含フッ素シルセスキオキサン金属塩で形成された撥液性領域は非常に高い後退接触角と転落角を有するので、非常に好ましいパターン基板を作製することが可能である。
パターン基板の作製方法は、均一な撥液膜を有する基板に対しフォトリソグラフィーにより親液領域をパターニングしても良いし、均一な親液性基板にマイクロコンタクトプリンティングのような手法で撥液領域をパターニングしても良い。フォトリソグラフィーでパターニングする際には、光触媒のような技術を併用して、照射領域の親液化を促進しても良いし、感光性のような技術を併用して、照射領域の硬化を促進しても良い。例えば、特開2003-311975で開示されているように感光性の官能基を導入することにより、撥液膜の照射領域を硬化するパターニングを施しても良い。
パターン表面の形状は、最終的に製造する素子の目的に応じて適当なものを選択すれば良く、円、四角形、三角形、直線、曲線などが例示される。互いのパターンは接していても離れていても良い。例えば、ライン&スペースの場合、ライン幅は、0.5〜100μm、例えば、1〜20μmであって良い。ライン幅は等間隔であっても良いし、幅が変化しても良い。ラインの形状は直線でも曲線でも良い。
パターンを形成した基板に機能性化合物の溶液を塗布する方法は、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、印刷法、転写法、インクジェット法[P.Calvert, Chem.Mater., 13, 3299(2001)]、バーコード法、キャピラリー法などが挙げられる。
機能性化合物の例は、半導体化合物、導電性化合物、フォトクロミック化合物、サーモクロミック化合物、レンズ材料、生命科学薬剤などである。
半導体化合物としては、有機系が好ましく、例えば、ペンタセン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリp-フェニレンビニレン、層状ペロブスカイト化合物などが挙げられる。
導電性化合物としては、室温で102 S/cm 以上の導電性を有するものであり、例えば、有機系ではポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリp-フェニレンビニレン、ポリアニリンなどが挙げられる。これらの化合物をドーピングすることにより導電性を向上しても良い。金属系では金、銀、銅などのナノ粒子を液体に分散したものが挙げられる。
フォトクロミック化合物としては、有機系が好ましく、例えば、アゾベンゼン誘導体、スピロピラン誘導体、フルギド誘導体、ジアリールエテン誘導体などが挙げられる。
サーモクロミック化合物とは、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化する化合物の総称であり、例えば、サリチリデンアニリン類、ポリチオフェン誘導体、テトラハロゲノ錯体、エチレンジアミン誘導体錯体、ジニトロジアンミン銅錯体、1,4―ジアザシクロオクタン(daco)錯体、ヘキサメチレンテトラミン(hmta)錯体、サルチルアルデヒド(salen)類錯体などが挙げられる。
機能性化合物の層の厚さは、0.1nm〜100μm、例えば、1nm〜1μmであって良い。
機能性化合物を溶解する溶媒の例は、有機溶剤および水である。機能性化合物が水に難溶性の場合、有機溶剤に溶解させる必要がある。
本発明において、機能性化合物を溶解する溶媒は、表面張力30mN/m以下、例えば20mN/m以下である有機溶剤であることが好ましい。表面張力が30mN/m以下であることによって、溶液がパターン形状にそって容易に濡れ拡がることができる。
有機溶剤としては、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、炭化水素(例えば、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素)等が挙げられ、有機溶剤はフッ素化されていてもされていなくてもどちらでも良い。有機溶剤の具体例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、パーフルオロデカリン、ハイドロフルオロエーテル、HCFC225、クロロホルム、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ヘキサン、イソペンタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
機能性化合物の溶液における機能性化合物の濃度は、0.1〜20重量%、例えば、1〜10重量%であって良い。
溶剤の除去は、蒸発などによって行える。溶剤の除去は、基材を、加熱(例えば、60〜200℃)することによって、行える。溶剤除去は、減圧(例えば、0.01〜100Pa)下で行っても良い。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
接触角と転落角は次の方法で測定した。
動的接触角と転落角の測定
水平に置いた基板にマイクロシリンジからn-ヘキサデカンを5μL滴下し、基板を2°/minの速度で傾斜させ、n-ヘキサデカンの液滴が転落し始めるまでを、ビデオマイクロスコープで動画として記録した。その動画を再生し、液滴が転落し始める角度を転落角とした。さらに転落直後の液滴が移動しているときの前進側の接触角を前進接触角、後退側の接触線を後退接触角とした。
製造例1
100mlナスフラスコに28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液47g(240mmol)を仕込み、氷浴により0℃まで冷却した。攪拌下、CF3(CF2)3-CH2CH2-SiCl3 30g(78.7mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後に反応溶液を室温に戻し2時間攪拌した。その後、減圧蒸留により、CF3(CF2)3-CH2CH2-Si(OCH3)3 20gを得た。500mlナスフラスコに水酸化ナトリウム1g(25mmol)、水11ml、テトラヒドロフラン70mlを仕込んだ。この混合溶液を攪拌しながら室温でCF3(CF2)3-CH2CH2-Si(OCH3)3 19g(51mmol)を滴下し、5時間加熱環流した。その後、室温まで戻し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、エーテルで洗浄した後、減圧条件下で乾燥することにより白色固体17gを得た。
得られた含フッ素シルセスキオキサンNa塩は、含フッ素シルセスキオキサン金属塩の一般式において、RfがCF3(CF23-であり、Aが-CH2CH2-であり、Mがナトリウムである化合物であった。
実施例1
基板として用いるSiウエハをアセトンで洗浄した後、真空紫外光で洗浄することにより、表面に水酸基を形成させた。次に製造例1で得られた含フッ素シルセスキオキサンNa塩を0.1mass%溶液となるようにテトラヒドロフランで希釈した溶液に、基板を30秒間浸漬した。基板を引き上げた後、25℃で一昼夜放置した。基板をテトラヒドロフラン中で5分間超音波洗浄し、減圧乾燥して、厚さ1nmの含フッ素シルセスキオキサンNa塩の薄膜を形成した。薄膜を有するウエハのn-ヘキサデカンに対する動的接触角と転落角を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同じ基板と製造例1で得られた含フッ素シルセスキオキサンNa塩0.1gを窒素雰囲気下で耐圧密閉容器(圧力105Pa)に封入し、150℃で2時間加熱することにより、このフッ素化合物を気化して基板に化学吸着させた。反応後、基板をテトラヒドロフラン中で5分間超音波洗浄し、減圧乾燥した後、n-ヘキサデカンに対する動的接触角と転落角を測定した。結果を表1に示す。
比較例1および2
含フッ素シルセスキオキサンNa塩をそれぞれ、CF3(CF2)3-CH2CH2-SiCl3(比較例1)、CF3(CF2)7-CH2CH2-Si(OCH3)3(比較例2)に置き換える以外は実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例2で得られた基板に、ライン/スペース=10μm/10μmのフォトマスクを密着させ、10分間VUVを照射した。このパターン化基板にポリ(9,9―ジオクチルフルオレン)[American Dye Source社製ADS129BE]の1mass%トルエン溶液をインクジェットにより塗布処理した。インクジェットは、ノズルを50μmとし、オンデマンド法で行った。クロロホルム乾燥後の薄膜を光学顕微鏡で観察したところライン幅10μmおよびライン間隔10μmを有するポリマー薄膜が形成されており、ポリマー薄膜は完全に分裂していた。
比較例3
比較例1のVUV照射前の基板を実施例3と同様にパターニングし、インクジェットによりポリ(9,9―ジオクチルフルオレン)を塗布処理した。この基板はVUV照射領域と非照射領域の濡れの差が小さいために、薄膜は不完全にしか分裂しなかった。
Figure 2006298947

Claims (10)

  1. 一般式:

    Figure 2006298947

    [式中、Rfは炭素数1〜5のフルオロアルキル基、
    Aは炭素、水素、酸素、窒素元素のいずれかから構成される連結基、
    Mは1価のアルカリ金属である。]
    で示される含フッ素シルセスキオキサン金属塩を含んでなる表面処理剤。
  2. 表面自由エネルギーが異なる複数の領域から構成されるパターンを有する基板を調製するための請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 請求項1に記載の表面処理剤を気相中で基板表面に堆積することからなる撥水撥油性基板の製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法で製造された撥水撥油性基板。
  5. n-ヘキサデカンに対する後退接触角が50°以上、転落角が40°以下である請求項4に記載の基板。
  6. 電子、光学、医療、分析化学用途のいずれかのデバイスで用いられる請求項4に記載の基板。
  7. 請求項1の表面処理剤を用いて製造されたパターン基板。
  8. 請求項7に記載のパターン基板上に機能性化合物溶液を塗布し、溶媒を除去することを特徴とする機能性材料の製法。
  9. 請求項8の製法によって製造された機能性材料。
  10. 電子、光学、医療、分析化学用途である請求項9に記載の機能性材料。
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JP2005117742A Pending JP2006298947A (ja) 2005-04-15 2005-04-15 含フッ素シルセスキオキサン金属塩表面処理剤

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011026402A (ja) * 2009-07-23 2011-02-10 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 撥水剤組成物
JP2017127865A (ja) * 2012-08-03 2017-07-27 セントラル硝子株式会社 撥水液、撥水性物品、及びそれらの製法
JP2018178033A (ja) * 2017-04-19 2018-11-15 旭化成株式会社

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