JP2018177988A - ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】YI値が低く色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を得る。
【解決手段】ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であって、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下であるポリカーボネート樹脂、及びこれを含有するポリカーボネート樹脂組成物である。
【選択図】なし
【解決手段】ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であって、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下であるポリカーボネート樹脂、及びこれを含有するポリカーボネート樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明はポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的特性、熱的安定性、電気的性質及び耐候性等に優れることから、その特性を活かして、導光板、レンズ、光ディスク等の光学成形品に使用されている。しかしながら、その光透過性は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等に比べ低く、若干の黄色味を帯びた色調となる。
特に、導光長が長くなる場合、材料が黄色味を帯びていると低波長側の光線が吸収される。そのため、光源に近い部分と遠い部分との色調に違いが見られる現象が発生し、色調が不均一化するという問題が発生する。かかる問題を解決するために、黄色味の少ない(低YI値の)ポリカーボネート材料が求められている。
特に、導光長が長くなる場合、材料が黄色味を帯びていると低波長側の光線が吸収される。そのため、光源に近い部分と遠い部分との色調に違いが見られる現象が発生し、色調が不均一化するという問題が発生する。かかる問題を解決するために、黄色味の少ない(低YI値の)ポリカーボネート材料が求められている。
黄色味の少ないポリカーボネート材料を得る方法として、例えば特許文献1では、ポリカーボネート原料であるビスフェノールA中の特定の不純物量を規定することでポリカーボネートの黄変が抑制されることが開示されている。
また、特許文献2、3には、特定の添加剤を使用することでポリカーボネート樹脂成形体から発生する物質を所定量以下とし、黄変を抑制することが開示されている。
また、特許文献2、3には、特定の添加剤を使用することでポリカーボネート樹脂成形体から発生する物質を所定量以下とし、黄変を抑制することが開示されている。
しかしながら、従来の方法だけでは抑制できないポリカーボネート樹脂の黄変(YI値の上昇)現象もあることがわかってきており、従来とは異なる方法で低YI値のポリカーボネート樹脂を得る検討が進められている。
本発明は、YI値が低く色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明は、YI値が低く色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、所定の要件を満たすビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂及び該ポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物が上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち本発明は下記に関する。
[1]ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であって、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ポリカーボネート樹脂。
[2]前記ビスフェノールAが、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下である、上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂。
[3]粘度平均分子量が9,000以上17,500以下である、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記ポリカーボネート樹脂(A)、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)を含有し、該ポリエーテル化合物(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下であり、下記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であり、下記方法(2)で測定されるYI値が1.21以下である、上記[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの成形体を作製する。該成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させ、溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
方法(2):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて厚さ5mmの成形体を作製する。分光光度計を用いて、C光源、2度視野の条件で該成形体のYI値を測定する。
[6]前記ポリエーテル化合物(B)が、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有する、上記[5]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
ここで、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に炭素数1以上のアルキレン基を示し、m+nは5以上300未満である。
[7]さらにリン系酸化防止剤(C)を含有する、上記[5]又は[6]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]上記[4]〜[7]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
[9]導光板である、上記[8]に記載の成形体。
[10]1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ビスフェノールA。
[11]1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下であるビスフェノールAを原料として用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法。
すなわち本発明は下記に関する。
[1]ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であって、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ポリカーボネート樹脂。
[2]前記ビスフェノールAが、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下である、上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂。
[3]粘度平均分子量が9,000以上17,500以下である、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記ポリカーボネート樹脂(A)、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)を含有し、該ポリエーテル化合物(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下であり、下記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であり、下記方法(2)で測定されるYI値が1.21以下である、上記[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの成形体を作製する。該成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させ、溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
方法(2):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて厚さ5mmの成形体を作製する。分光光度計を用いて、C光源、2度視野の条件で該成形体のYI値を測定する。
[6]前記ポリエーテル化合物(B)が、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有する、上記[5]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
ここで、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に炭素数1以上のアルキレン基を示し、m+nは5以上300未満である。
[7]さらにリン系酸化防止剤(C)を含有する、上記[5]又は[6]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]上記[4]〜[7]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
[9]導光板である、上記[8]に記載の成形体。
[10]1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ビスフェノールA。
[11]1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下であるビスフェノールAを原料として用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、YI値が低く色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を提供することができる。当該ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物は、特に導光部材として好適に用いることができる。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂はビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であり、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(以下単に「APHA」ともいう)が18以下である。上記ビスフェノールAを原料とした本発明のポリカーボネート樹脂は、YI値が低く色相が良好である。なお、本明細書において、ポリカーボネート樹脂の色相の評価にはYI値を用い、低YI値であれば光学特性に優れることを意味する。
従来、ポリカーボネート樹脂のYI値を低減するためには、ポリカーボネート樹脂中に含まれる不純物量を少なくするなどの試みがなされてきた。しかしながら、本発明者らは従来の方法だけでは抑制できないポリカーボネート樹脂の黄変(YI値の上昇)現象があることを見出した。そして所定の方法で選定したビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料として用いることで、実効的でかつ簡便な方法でポリカーボネート樹脂のYI値を低減できることを見出したものである。
本発明のポリカーボネート樹脂はビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であり、該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(以下単に「APHA」ともいう)が18以下である。上記ビスフェノールAを原料とした本発明のポリカーボネート樹脂は、YI値が低く色相が良好である。なお、本明細書において、ポリカーボネート樹脂の色相の評価にはYI値を用い、低YI値であれば光学特性に優れることを意味する。
従来、ポリカーボネート樹脂のYI値を低減するためには、ポリカーボネート樹脂中に含まれる不純物量を少なくするなどの試みがなされてきた。しかしながら、本発明者らは従来の方法だけでは抑制できないポリカーボネート樹脂の黄変(YI値の上昇)現象があることを見出した。そして所定の方法で選定したビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料として用いることで、実効的でかつ簡便な方法でポリカーボネート樹脂のYI値を低減できることを見出したものである。
ビスフェノールAを水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた溶液中では、ビスフェノールAは通常よりも酸化劣化しやすい条件下にある。したがってこのような条件下で測定されるビスフェノールA溶液のAPHAは、ビスフェノールAそのもののAPHA、あるいはビスフェノールAを有機溶媒に溶解させた溶液の状態で測定されるAPHAとは指標が異なる。水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、より厳しい条件下においても低いAPHAを示すビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料として用いると、ポリカーボネート樹脂の製造における一連の反応工程を経ても黄変現象が起こり難いと推察される。
以上のように本発明では、ポリカーボネート樹脂の製造において一連の反応に供した際の適性を考慮した方法で選定されたビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料とすることを特徴とする。
以上のように本発明では、ポリカーボネート樹脂の製造において一連の反応に供した際の適性を考慮した方法で選定されたビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料とすることを特徴とする。
上記効果を得る観点から、本発明のポリカーボネート樹脂の原料となるビスフェノールA(以下「原料ビスフェノールA」ともいう)は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であり、好ましくは16以下、より好ましくは15以下である。APHAの下限値には特に制限はないが、通常は5以上である。
上記APHAは、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
上記APHAは、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
原料ビスフェノールAは、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、2,4−異性体ともいう)濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下であることが好ましい。
2,4−異性体はビスフェノールAの製造時に位置異性体として生じる不純物である。原料ビスフェノールA中の2,4−異性体濃度が250質量ppm以下であれば、ビスフェノールAの色相がより良好になる。上記2,4−異性体濃度は好ましくは150質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下である。
また原料ビスフェノールA中は、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下であれば、このビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂の色相がより良好になる。上記イソプロペニルフェノール濃度はより好ましくは50質量ppm以下である。イソプロペニルフェノールは、下記一般式(1)で示される化合物である。
2,4−異性体はビスフェノールAの製造時に位置異性体として生じる不純物である。原料ビスフェノールA中の2,4−異性体濃度が250質量ppm以下であれば、ビスフェノールAの色相がより良好になる。上記2,4−異性体濃度は好ましくは150質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下である。
また原料ビスフェノールA中は、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下であれば、このビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂の色相がより良好になる。上記イソプロペニルフェノール濃度はより好ましくは50質量ppm以下である。イソプロペニルフェノールは、下記一般式(1)で示される化合物である。
イソプロペニルフェノールは2,4−異性体等と共に不純物として原料ビスフェノールA中に含まれる物質である。イソプロペニルフェノールは、ビスフェノールAの分解物として知られており、また反応性が高い物質として知られている。ビスフェノールAを空気中で放置すると、2つのイソプロペニルフェノールが結びついた環状二量体等や、ビスフェノールAと反応したトリスフェノールなど、他の不純物へと変化する。ポリカーボネート樹脂製造前の原料ビスフェノールAのイソプロペニルフェノール濃度自体が低くとも、ビスフェノールA中の、イソプロペニルフェノールが変化した不純物が原因となり、ポリカーボネート樹脂とその樹脂を用いた樹脂組成物の色相に影響を与える懸念がある。また、ビスフェノールAを加熱試験に供することでイソプロペニルフェノール濃度が増加する。
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2,4−異性体)濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下であるビスフェノールAを原料とすれば、色相のより良好なポリカーボネート樹脂及び樹脂組成物を製造することができる。
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2,4−異性体)濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下であるビスフェノールAを原料とすれば、色相のより良好なポリカーボネート樹脂及び樹脂組成物を製造することができる。
また、原料ビスフェノールAの2,4−異性体濃度が150質量ppm以下又は100質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が50質量ppm以下である場合に、より色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
原料ビスフェノールA中の2,4−異性体濃度及び上記イソプロペニルフェノール濃度は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
原料ビスフェノールAは、例えば、(1)過剰量のフェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下、縮合反応させる縮合反応工程、(2)工程(1)で得られた反応混合物を濃縮する濃縮工程、(3)工程(2)で得られた濃縮された反応混合物を冷却することにより、ビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する晶析・固液分離工程、(4)工程(3)で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールA溶融液とするアダクト分解工程、及び(5)工程(4)で得られるビスフェノールA溶融液を造粒し、造粒物を得る造粒工程等を有する製造方法により得ることができる。
ビスフェノールA中のイソプロペニルフェノール濃度の制御方法としては、ビスフェノールAの製造工程において、イソプロペニルフェノールの濃度に応じて、遊離酸除去工程を任意の場所に新たに設けてビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶(以下、「アダクト結晶」ともいう)中の遊離酸濃度を低下させることや、上記(3)晶析・固液分離工程における洗浄液量を変化させることによりビスフェノールAとフェノールとのアダクト結晶に付着した遊離酸を除去することなどを挙げることができる。アダクト結晶に含まれる及び/又は付着する遊離酸の濃度を十分に低下させることにより、このアダクト結晶を分解して得られるビスフェノールAのイソプロペニルフェノール濃度を制御することができる。また、上記方法によって、イソプロペニルフェノール濃度を制御すると共に、ビスフェノールAの2,4−異性体等の他の不純物量も低減することができる。
イソプロペニルフェノール濃度が上昇した場合には、製造プロセス条件をイソプロペニルフェノール濃度が減少するように変更する(遊離酸除去工程を設ける及び/または晶析・固液分離工程における洗浄液量を増やす等)ことによりビスフェノールAの品質を良好に保つことができる。また、イソプロペニルフェノール濃度が減少した場合には、不要な製造プロセス等を停止することができる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAを原料として用いることを特徴とする。より具体的には、本発明のポリカーボネート樹脂は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対しビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAをカーボネート前駆体と反応させることにより製造することができる。上記反応は特に制限されるものではなく、公知の方法を採用でき、アルカリ性化合物水溶液及び非水溶性有機溶媒の存在下、界面重合法によって実施することが好ましい。必要に応じて、重合触媒の存在下に反応させることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAを原料として用いることを特徴とする。より具体的には、本発明のポリカーボネート樹脂は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対しビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAをカーボネート前駆体と反応させることにより製造することができる。上記反応は特に制限されるものではなく、公知の方法を採用でき、アルカリ性化合物水溶液及び非水溶性有機溶媒の存在下、界面重合法によって実施することが好ましい。必要に応じて、重合触媒の存在下に反応させることもできる。
アルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。なお、二価フェノール系化合物は、該アルカリ性化合物水溶液と混合して用いることが好ましい。
非水溶性有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が好ましく、塩化メチレンがより好ましい。
重合触媒としては、第三級アミンや第四級アンモニウム塩が挙げられる。第三級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。重合触媒としては、第三級アミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。
非水溶性有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が好ましく、塩化メチレンがより好ましい。
重合触媒としては、第三級アミンや第四級アンモニウム塩が挙げられる。第三級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。重合触媒としては、第三級アミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。
また、必要に応じて分子量調節剤を添加してもよい。分子量調節剤としては、1価フェノールであれば特に制限は無く、例えば、フェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキシルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n−ヘキシルフェノール、p−t−オクチルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−n−ノニルフェノール、m−n−ノニルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノール、p−ナフチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジクミルフェノール、3,5−ジクミルフェノール、p−クレゾール、平均炭素数12〜35の直鎖状又は分岐状のアルキル基をオルト位、メタ位又はパラ位に有するモノアルキルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、9−(4−ヒドロキシフェニル)−9−(4−メトキシフェニル)フルオレン、9−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4−(1−アダマンチル)フェノールなどが挙げられる。これらの中でも、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノールが好ましく、p−t−ブチルフェノールがより好ましい。
触媒としては、相間移動触媒、例えば、三級アミン又はその塩、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩等を好ましく用いることができる。三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等が挙げられる。また、三級アミン塩としては、例えば、これらの三級アミンの塩酸塩、臭素酸塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩としては、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等が、四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド等が挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の中では、三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。
<ポリカーボネート樹脂の性状>
本発明のポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量(Mv)が9,000以上17,500以下であることが好ましく、11,000以上15,500以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が上記範囲にあると、成形体の製造時に成形体のサイズに応じて適宜成形温度を設定でき、強度を保持した成形体を得ることができる。
なお、粘度平均分子量は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10−5Mv0.83の式により算出した値である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量(Mv)が9,000以上17,500以下であることが好ましく、11,000以上15,500以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が上記範囲にあると、成形体の製造時に成形体のサイズに応じて適宜成形温度を設定でき、強度を保持した成形体を得ることができる。
なお、粘度平均分子量は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10−5Mv0.83の式により算出した値である。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた色相を得る観点から、前記本発明のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、300℃を大きく超える高温で成形して得られる成形体において顕著な黄変が発生し難く、成形体の外観や導光性能を維持する観点から、ポリカーボネート樹脂(A)、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)を含有し、該ポリエーテル化合物(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下であり、下記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であり、下記方法(2)で測定されるYI値が1.21以下であることが好ましい。
方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの成形体を作製する。該成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させ、溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
方法(2):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて厚さ5mmの成形体を作製する。分光光度計を用いて、C光源、2度視野の条件で該成形体のYI値を測定する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた色相を得る観点から、前記本発明のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、300℃を大きく超える高温で成形して得られる成形体において顕著な黄変が発生し難く、成形体の外観や導光性能を維持する観点から、ポリカーボネート樹脂(A)、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)を含有し、該ポリエーテル化合物(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下であり、下記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であり、下記方法(2)で測定されるYI値が1.21以下であることが好ましい。
方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの成形体を作製する。該成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させ、溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
方法(2):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて厚さ5mmの成形体を作製する。分光光度計を用いて、C光源、2度視野の条件で該成形体のYI値を測定する。
o−ヒドロキシアセトフェノンは芳香族ポリカーボネート樹脂の熱分解等により発生する化合物である。例えば300℃を大きく超える高温で芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物を成形すると特に黄変が発生しやすく、o−ヒドロキシアセトフェノンはこの黄変の原因となる成分である。前記方法(1)で測定されるポリカーボネート樹脂組成物中のo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であれば、300℃を大きく超える高温で成形して得られる成形体において顕著な黄変が発生し難く、成形体の外観や導光性能を維持できる。
黄変を少なくする観点から、前記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は、0.5質量ppm以下であることがより好ましく、0.4質量ppm以下であることがより好ましく、0.3質量ppm以下であることがさらに好ましい。
上記o−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は高速液体クロマトグラフィーにより測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
黄変を少なくする観点から、前記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は、0.5質量ppm以下であることがより好ましく、0.4質量ppm以下であることがより好ましく、0.3質量ppm以下であることがさらに好ましい。
上記o−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は高速液体クロマトグラフィーにより測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、黄変が少なく光透過性に優れる成形体を得る観点から、前記方法(2)で測定されるYI値が好ましくは1.21以下であり、1.19以下がより好ましく、1.17以下がさらに好ましく、1.13以下がよりさらに好ましく、1.10以下がよりさらに好ましい。当該YI値は、より具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
ポリカーボネート樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)は、前述した本発明のポリカーボネート樹脂を含有するが、本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂も、色相や透明性、機械特性等に影響を与えない範囲であれば含んでいてもよい。その場合、ポリカーボネート樹脂(A)における本発明のポリカーボネート樹脂の含有量は、60質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。ポリカーボネート樹脂を2種類以上混合して使用する場合には、ポリカーボネート樹脂全体として粘度平均分子量を前述した範囲に調整して使用することが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
ポリカーボネート樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)は、前述した本発明のポリカーボネート樹脂を含有するが、本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂も、色相や透明性、機械特性等に影響を与えない範囲であれば含んでいてもよい。その場合、ポリカーボネート樹脂(A)における本発明のポリカーボネート樹脂の含有量は、60質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。ポリカーボネート樹脂を2種類以上混合して使用する場合には、ポリカーボネート樹脂全体として粘度平均分子量を前述した範囲に調整して使用することが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは98質量%以上である。
<ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)>
本発明に用いるポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)(以下、単に「ポリエーテル化合物(B)」ともいう)は、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有することが好ましい。ここで、Rb1及びRb2は、炭素数1以上のアルキレン基を示し、Rb1及びRb2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満であり、好ましくは10以上200以下、より好ましくは20以上100以下である。
本発明に用いるポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)(以下、単に「ポリエーテル化合物(B)」ともいう)は、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有することが好ましい。ここで、Rb1及びRb2は、炭素数1以上のアルキレン基を示し、Rb1及びRb2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満であり、好ましくは10以上200以下、より好ましくは20以上100以下である。
Rb1及びRb2で示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1以上5以下のアルキレン基が好ましい。
m個のRb1O基において、複数のRb1は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
また、Rb2もRb1と同様であり、n個のRb2O基において、複数のRb2は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。
黄変が少なく光透過性に優れる成形体を得る観点からは、当該アルキレン基はテトラメチレン基を含むことが好ましい。
m個のRb1O基において、複数のRb1は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
また、Rb2もRb1と同様であり、n個のRb2O基において、複数のRb2は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。
黄変が少なく光透過性に優れる成形体を得る観点からは、当該アルキレン基はテトラメチレン基を含むことが好ましい。
また、ポリエーテル化合物(B)は、下記一般式(2)で表される化合物(B−1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのエステル(B−2)、並びに環状ポリエーテル化合物(B−3)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Rb3O−(Rb1O)m−A−(Rb2O)n−Rb4 (2)
(式中、Rb1及びRb2は、炭素数1以上のアルキレン基を示し、Rb1及びRb2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満である。Rb3及びRb4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1以上30以下の炭化水素基、炭素数1以上30以下のアルカノイル基、炭素数2以上30以下のアルケノイル基、又はグリシジル基を示す。Aは、単結合又は2価の有機基を示す。)
Rb3O−(Rb1O)m−A−(Rb2O)n−Rb4 (2)
(式中、Rb1及びRb2は、炭素数1以上のアルキレン基を示し、Rb1及びRb2は、同一でも異なっていてもよい。m+nは5以上300未満である。Rb3及びRb4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1以上30以下の炭化水素基、炭素数1以上30以下のアルカノイル基、炭素数2以上30以下のアルケノイル基、又はグリシジル基を示す。Aは、単結合又は2価の有機基を示す。)
Rb1及びRb2で示されるアルキレン基については上述のとおりである。また、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造についても上述のとおりである。
Rb3及びRb4で示される炭素数1以上30以下の炭化水素基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数2以上30以下のアルケニル基、炭素数6以上30以下のアリール基又は炭素数7以上30以下のアラルキル基等が挙げられる。
アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基等が挙げられる。
アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基等が挙げられる。
Rb3及びRb4で示される炭素数1以上30以下のアルカノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメタノイル基、エタノイル基、n−プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブタノイル基、t−ブタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−オクタノイル基、n−デカノイル基、n−ドデカノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、熱安定性及び製造容易性の観点から、炭素数1以上20以下のアルカノイル基が好ましい。
Rb3及びRb4で示される炭素数2以上30以下のアルケノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n−プロペノイル基、イソプロペノイル基、n−ブテノイル基、t−ブテノイル基、n−ヘキセノイル基、n−オクテノイル基、n−デセノイル基、n−ドデセノイル基等が挙げられる。これらの中でも、低分子量とする観点、相溶性や溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2以上10以下のアルケノイル基が好ましく、炭素数2以上6以下のアルケノイル基がより好ましい。
Rb3及びRb4で示される炭素数2以上30以下のアルケノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n−プロペノイル基、イソプロペノイル基、n−ブテノイル基、t−ブテノイル基、n−ヘキセノイル基、n−オクテノイル基、n−デセノイル基、n−ドデセノイル基等が挙げられる。これらの中でも、低分子量とする観点、相溶性や溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2以上10以下のアルケノイル基が好ましく、炭素数2以上6以下のアルケノイル基がより好ましい。
Aで示される2価の有機基としては、例えば下式(a)で表される基が挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物(B−1)の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレン−ビスフェノールAエーテル、ポリオキシプロピレン−ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−アリルエーテル、ポリエチレングリコール−ジアリルエーテル、ポリプロピレングリコール−アリルエーテル、ポリプロピレングリコール−ジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジステアレート等が挙げられる。これらは市販品として入手可能であり、例えば日油(株)製の「ユニオックス(登録商標)」、「ユニオール(登録商標)」、「ユニルーブ(登録商標)」、「ユニセーフ(登録商標)」、「ポリセリン(登録商標)」、「エピオール(登録商標)」等を使用することができる。
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのエステル(B−2)における多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリルエーテル、ソルビトール等が挙げられる。
環状ポリエーテル化合物(B−3)の具体例としては、18クラウン6、ジベンゾ18クラウン6等が挙げられる。
環状ポリエーテル化合物(B−3)の具体例としては、18クラウン6、ジベンゾ18クラウン6等が挙げられる。
ポリエーテル化合物(B)の数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは200以上10,000以下、より好ましくは500以上8,000以下、さらに好ましくは1,000以上5,000以下である。
上記ポリエーテル化合物(B)は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、化合物(B−1)及び(B−2)からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、化合物(B−1)がより好ましく、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシエチレングリコール、及びポリオキシテトラメチレン−ポリオキシプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中のポリエーテル化合物(B)の含有量は、o−ヒドロキシアセトフェノンの生成を抑制し、300℃を大きく超えるような高温条件下で成形した場合にも黄変が少なく、光透過性に優れる成形体を得る観点から、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上2質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上1質量部以下である。
<リン系酸化防止剤(C)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにリン系酸化防止剤(C)を含有することが好ましい。リン系酸化防止剤(C)を含有することにより、高温条件下での成形においても酸化劣化を防止し、黄変が少なく、光透過性に優れる成形体を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにリン系酸化防止剤(C)を含有することが好ましい。リン系酸化防止剤(C)を含有することにより、高温条件下での成形においても酸化劣化を防止し、黄変が少なく、光透過性に優れる成形体を得ることができる。
リン系酸化防止剤(C)の中でも、ポリカーボネート樹脂組成物の高温成形時の酸化劣化を抑制する観点からはアリール基を有するリン系酸化防止剤が好ましく、アリール基及びホスファイト構造を有するリン系酸化防止剤がより好ましい。
アリール基及びホスファイト構造を有するリン系酸化防止剤としては、下記一般式(C−1)で表される化合物、下記一般式(C−2)で表される化合物、及び下記一般式(C−3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
式中、RC11〜RC15は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC15のすべてが水素原子になることはない。
式中、RC21〜RC26は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC26のすべてが水素原子になることはない。
式中、RC31〜RC36は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC31〜RC36のすべてが水素原子になることはない。
アリール基及びホスファイト構造を有するリン系酸化防止剤としては、下記一般式(C−1)で表される化合物、下記一般式(C−2)で表される化合物、及び下記一般式(C−3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
式中、RC11〜RC15は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC15のすべてが水素原子になることはない。
式中、RC21〜RC26は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC26のすべてが水素原子になることはない。
式中、RC31〜RC36は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC31〜RC36のすべてが水素原子になることはない。
(リン系酸化防止剤(C−1))
リン系酸化防止剤(C−1)は前記一般式(C−1)で表される化合物であり、一般式(C−1)中、RC11〜RC15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基である。但し、酸化防止効果の点から、RC11〜RC15のすべてが水素原子になることはない。すなわち、RC11〜RC15のうち少なくとも1つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。好ましくは、RC11〜RC15のうちいずれか2つが炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、残りが水素原子である化合物である。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。中でも、酸化防止効果の点からは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、tert−ブチル基がさらに好ましい。
炭素数6以上14以下のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
リン系酸化防止剤(C−1)は前記一般式(C−1)で表される化合物であり、一般式(C−1)中、RC11〜RC15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基である。但し、酸化防止効果の点から、RC11〜RC15のすべてが水素原子になることはない。すなわち、RC11〜RC15のうち少なくとも1つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。好ましくは、RC11〜RC15のうちいずれか2つが炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、残りが水素原子である化合物である。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。中でも、酸化防止効果の点からは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、tert−ブチル基がさらに好ましい。
炭素数6以上14以下のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
中でも、熱分解が起こりにくく酸化防止効果に優れるという観点から、RC11〜RC15は、水素原子及び炭素数1以上12以下のアルキル基からなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、水素原子及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がよりさらに好ましい。
特に好ましいリン系酸化防止剤(C−1)は、前記一般式(C−1)においてRC11及びRC13がtert−ブチル基であり、RC12、RC14及びRC15が水素原子である化合物(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)である。
特に好ましいリン系酸化防止剤(C−1)は、前記一般式(C−1)においてRC11及びRC13がtert−ブチル基であり、RC12、RC14及びRC15が水素原子である化合物(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)である。
(リン系酸化防止剤(C−2))
リン系酸化防止剤(C−2)は下記一般式(C−2)で表される化合物である。
式中、RC21〜RC26は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC26のすべてが水素原子になることはない。
芳香環含有基の炭素数は好ましくは6以上13以下、より好ましくは6以上10以下である。芳香環としてはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
炭素数6以上15以下の芳香環含有基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、クミル基等が挙げられる。これらの基は、さらに水酸基やアミノ基等の置換基を有してもよい。
リン系酸化防止剤(C−2)は下記一般式(C−2)で表される化合物である。
式中、RC21〜RC26は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC26のすべてが水素原子になることはない。
芳香環含有基の炭素数は好ましくは6以上13以下、より好ましくは6以上10以下である。芳香環としてはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
炭素数6以上15以下の芳香環含有基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、クミル基等が挙げられる。これらの基は、さらに水酸基やアミノ基等の置換基を有してもよい。
中でも、炭素数6以上15以下の芳香環含有基は下記一般式(C−2a)で表される基が好ましい。
式(C−2a)中、RC27、RC28はアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC27とRC28は、互いに結合して環を形成してもよい。RC27、RC28は、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
式(C−2a)中、RC29は水素原子又はアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、さらに好ましくは水素原子である。mは0以上5以下の整数である。mが2以上である場合、複数のRC29は同一でも異なっていてもよい。
式(C−2a)中、Zは単結合又は炭素原子を示す。Zが単結合である場合、RC27、RC28は一般式(C−2a)から除外される。
リン系酸化防止剤(C−2)が一般式(C−2a)で表される基を2以上有する場合、複数の当該基は互いに同一でも異なっていてもよい。
式(C−2a)中、RC27、RC28はアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC27とRC28は、互いに結合して環を形成してもよい。RC27、RC28は、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
式(C−2a)中、RC29は水素原子又はアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、さらに好ましくは水素原子である。mは0以上5以下の整数である。mが2以上である場合、複数のRC29は同一でも異なっていてもよい。
式(C−2a)中、Zは単結合又は炭素原子を示す。Zが単結合である場合、RC27、RC28は一般式(C−2a)から除外される。
リン系酸化防止剤(C−2)が一般式(C−2a)で表される基を2以上有する場合、複数の当該基は互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明の効果を得る観点から、リン系酸化防止剤(C−2)は、一般式(C−2)中、RC21及びRC24が水素原子であり、RC22〜RC23、RC25〜RC26が炭素数6以上15以下の芳香環含有基であることが好ましく、RC21及びRC24が水素原子であり、RC22〜RC23、RC25〜RC26が前記一般式(C−2a)で表される基であることがより好ましい。
すなわち本発明に用いられる(C−2)成分は、好ましくは下記一般式(C−2−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物である。
式中、RC27a〜RC27d、RC28a〜RC28dはアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC27aとRC28a、RC27bとRC28b、RC27cとRC28c、RC27dとRC28dは、互いに結合して環を形成してもよい。
RC29a〜RC29dは水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。
m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一でも異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRC29a、RC29b、RC129c、RC29dは同一でも異なっていてもよい。
Z1〜Z4は単結合又は炭素原子を示し、同一でも異なっていてもよい。Z1〜Z4が単結合を示す場合、RC27a〜RC27d、RC28a〜RC28dは一般式(C−2−1)から除外される。
すなわち本発明に用いられる(C−2)成分は、好ましくは下記一般式(C−2−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物である。
式中、RC27a〜RC27d、RC28a〜RC28dはアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC27aとRC28a、RC27bとRC28b、RC27cとRC28c、RC27dとRC28dは、互いに結合して環を形成してもよい。
RC29a〜RC29dは水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。
m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一でも異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRC29a、RC29b、RC129c、RC29dは同一でも異なっていてもよい。
Z1〜Z4は単結合又は炭素原子を示し、同一でも異なっていてもよい。Z1〜Z4が単結合を示す場合、RC27a〜RC27d、RC28a〜RC28dは一般式(C−2−1)から除外される。
一般式(C−2−1)中、RC27a〜RC27d、RC28a〜RC28dは、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。RC27a〜RC27d及びRC28a〜RC28dのすべてがメチル基であることがよりさらに好ましい。
RC29a〜RC29dは、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、さらに好ましくは水素原子であり、RC29a〜RC29dのすべてが水素原子であることがよりさらに好ましい。
m1〜m4は、0以上3以下が好ましく、より好ましくは0以上1以下であり、さらに好ましくは0である。Z1〜Z4は炭素原子であることが好ましい。
RC29a〜RC29dは、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、さらに好ましくは水素原子であり、RC29a〜RC29dのすべてが水素原子であることがよりさらに好ましい。
m1〜m4は、0以上3以下が好ましく、より好ましくは0以上1以下であり、さらに好ましくは0である。Z1〜Z4は炭素原子であることが好ましい。
上記一般式(C−2−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物の中でも、ポリカーボネート樹脂組成物に対して長期耐湿熱性及び長期耐熱性を付与することができ、また入手容易であることから、下記式(C−2−2)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが特に好適である。この化合物は市販品として入手可能であり、例えばDover Chemical社製の「Doverphos S−9228PC」を使用することができる。
(リン系酸化防止剤(C−3))
リン系酸化防止剤(C−3)は下記一般式(C−3)で表される化合物である。
式中、RC31〜RC36は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC31〜RC36のすべてが水素原子になることはない。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基が挙げられる。
本発明の効果を得る観点から、一般式(C−3)中、RC31〜RC36はいずれも炭素数1以上12以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
中でもリン系酸化防止剤(C−3)としては、RC31〜RC32及びRC34〜RC35がtert−ブチル基であり、RC33及びRC36がメチル基である化合物がより好ましい。すなわち本発明に用いられるリン系酸化防止剤(C−3)は、好ましくはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである。
リン系酸化防止剤(C−3)は下記一般式(C−3)で表される化合物である。
式中、RC31〜RC36は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC31〜RC36のすべてが水素原子になることはない。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基が挙げられる。
本発明の効果を得る観点から、一般式(C−3)中、RC31〜RC36はいずれも炭素数1以上12以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
中でもリン系酸化防止剤(C−3)としては、RC31〜RC32及びRC34〜RC35がtert−ブチル基であり、RC33及びRC36がメチル基である化合物がより好ましい。すなわち本発明に用いられるリン系酸化防止剤(C−3)は、好ましくはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである。
上記リン系酸化防止剤(C)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるリン系酸化防止剤(C)の含有量は、340℃を超えるような高温条件でも光学特性を損なうことなく成形できるとともに、長期に亘り安定した光学特性を維持しうる成形体を製造できるポリカーボネート樹脂組成物を得る観点から、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.001質量部以上0.4質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上0.4質量部以下、さらに好ましくは0.015質量部以上0.3質量部以下、よりさらに好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるリン系酸化防止剤(C)の含有量は、340℃を超えるような高温条件でも光学特性を損なうことなく成形できるとともに、長期に亘り安定した光学特性を維持しうる成形体を製造できるポリカーボネート樹脂組成物を得る観点から、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.001質量部以上0.4質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上0.4質量部以下、さらに好ましくは0.015質量部以上0.3質量部以下、よりさらに好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。
<ポリオルガノシロキサン(D)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにポリオルガノシロキサン(D)を含有してもよい。
ポリオルガノシロキサンとしては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基等の官能基を1種以上有する化合物であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの動粘度は、離型性としての滑性効果の観点から、25℃において、好ましくは10mm2/s以上であり、ポリカーボネート樹脂への分散性の観点から、好ましくは200mm2/s以下である。上記観点から、ポリオルガノシロキサンの粘度は、より好ましくは20mm2/s以上150mm2/s以下、さらに好ましくは40mm2/s以上120mm2/s以下の範囲である。
ポリオルガノシロキサンの屈折率は、ポリカーボネート樹脂組成物に添加した際に透明性を低下させないために、ポリカーボネート樹脂との屈折率の差をできるだけ小さくすることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(D)の屈折率と、前記ポリカーボネート樹脂(A)の屈折率との差は、好ましくは0.13以下、より好ましくは0.10以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにポリオルガノシロキサン(D)を含有してもよい。
ポリオルガノシロキサンとしては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基等の官能基を1種以上有する化合物であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの動粘度は、離型性としての滑性効果の観点から、25℃において、好ましくは10mm2/s以上であり、ポリカーボネート樹脂への分散性の観点から、好ましくは200mm2/s以下である。上記観点から、ポリオルガノシロキサンの粘度は、より好ましくは20mm2/s以上150mm2/s以下、さらに好ましくは40mm2/s以上120mm2/s以下の範囲である。
ポリオルガノシロキサンの屈折率は、ポリカーボネート樹脂組成物に添加した際に透明性を低下させないために、ポリカーボネート樹脂との屈折率の差をできるだけ小さくすることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(D)の屈折率と、前記ポリカーボネート樹脂(A)の屈折率との差は、好ましくは0.13以下、より好ましくは0.10以下である。
ポリオルガノシロキサンの含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上0.15質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上0.15質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部以上0.1質量部以下である。上記範囲内であれば離型性を向上させることができ、連続成形条件であっても金型付着物を大幅に低減することができる。
<エポキシ化合物(E)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにエポキシ化合物(E)を含有してもよい。エポキシ化合物(E)は、ポリカーボネート樹脂組成物を高温条件で成形した後の成形体において、光学特性の長期安定性を向上させるために用いられる。
エポキシ化合物(E)は分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であればよく、例えば、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、環状エポキシ化合物、及びエポキシ化油等が挙げられる。これらの中でも、上記効果の観点からは環状エポキシ化合物が好ましく、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基、すなわち脂肪族環内のエチレン結合に酸素1原子が付加したエポキシ基を持つ環状脂肪族化合物をいう。
脂環式エポキシ化合物としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−エチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ナフチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−トリル−3−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミドなどを挙げることができる。これらの中でも、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物(E)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにエポキシ化合物(E)を含有してもよい。エポキシ化合物(E)は、ポリカーボネート樹脂組成物を高温条件で成形した後の成形体において、光学特性の長期安定性を向上させるために用いられる。
エポキシ化合物(E)は分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であればよく、例えば、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、環状エポキシ化合物、及びエポキシ化油等が挙げられる。これらの中でも、上記効果の観点からは環状エポキシ化合物が好ましく、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基、すなわち脂肪族環内のエチレン結合に酸素1原子が付加したエポキシ基を持つ環状脂肪族化合物をいう。
脂環式エポキシ化合物としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−エチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ナフチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−トリル−3−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミドなどを挙げることができる。これらの中でも、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
エポキシ化合物(E)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネート樹脂組成物中のエポキシ化合物(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.005質量部以上0.2質量部以下、さらに好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。エポキシ化合物(E)の含有量がポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.001質量部以上であれば、340℃を超える温度で成形した成形体においても長期に亘り安定した光学特性を維持できる。
<添加剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その物性を損なわない限りにおいてその混合時、成形時に他の樹脂、添加剤、例えば、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電抑制剤等を添加することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その物性を損なわない限りにおいてその混合時、成形時に他の樹脂、添加剤、例えば、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電抑制剤等を添加することができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、従来から公知の方法で各成分を溶融混練する方法が挙げられる。
例えば、各成分をターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練する方法が適宜選択される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、薄肉成形体を製造するための340℃を超える高温成形にも好適に用いることができ、得られる成形体は低いYI値を有する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、従来から公知の方法で各成分を溶融混練する方法が挙げられる。
例えば、各成分をターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練する方法が適宜選択される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、薄肉成形体を製造するための340℃を超える高温成形にも好適に用いることができ、得られる成形体は低いYI値を有する。
[成形体]
本発明の成形体は上記ポリカーボネート樹脂組成物を含むものであり、該樹脂組成物を成形して得られる。
ポリカーボネート樹脂組成物の成形方法には特に制限はなく、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、中空成形体等の成形法を適用することができる。
本発明の成形体は、低いYI値を有し、色相に優れる。そのため、必要とされる光の透過長が肉薄である厚み方向ではなく、面状成形体の長手方向であるような、導光長が長い導光板等の導光部材にも好適に用いることができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体は、好ましくは導光部材であり、より好ましくは導光板である。
本発明の成形体は上記ポリカーボネート樹脂組成物を含むものであり、該樹脂組成物を成形して得られる。
ポリカーボネート樹脂組成物の成形方法には特に制限はなく、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、中空成形体等の成形法を適用することができる。
本発明の成形体は、低いYI値を有し、色相に優れる。そのため、必要とされる光の透過長が肉薄である厚み方向ではなく、面状成形体の長手方向であるような、導光長が長い導光板等の導光部材にも好適に用いることができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体は、好ましくは導光部材であり、より好ましくは導光板である。
[ビスフェノールA]
本発明は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAを提供する。当該ビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料として用いると、優れた色相を有するポリカーボネート樹脂が得られる。当該APHAは好ましくは16以下、より好ましくは15以下である。APHAの下限値には特に制限はないが、通常は5以上である。
本発明は、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるAPHAが18以下であるビスフェノールAを提供する。当該ビスフェノールAをポリカーボネート樹脂の原料として用いると、優れた色相を有するポリカーボネート樹脂が得られる。当該APHAは好ましくは16以下、より好ましくは15以下である。APHAの下限値には特に制限はないが、通常は5以上である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
(1)ビスフェノールAのアルカリ溶解色(APHA)の測定
室温(25℃)において、ビスフェノールAを1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させ、ビスフェノールAのアルカリ水溶液を調製した。このアルカリ水溶液を用いて、JIS K0071−1:1998に準拠した方法でハーゼン単位色数(APHA)を測定した。
室温(25℃)において、ビスフェノールAを1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させ、ビスフェノールAのアルカリ水溶液を調製した。このアルカリ水溶液を用いて、JIS K0071−1:1998に準拠した方法でハーゼン単位色数(APHA)を測定した。
(2)ビスフェノールA中の2,4−異性体濃度及び加熱後のイソプロペニルフェノール(IPP)濃度の測定
<2,4−異性体濃度の測定>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、下記条件でビスフェノールA中の2,4−異性体濃度を測定した。
<HPLC測定条件>
高速液体クロマトグラフ装置:Waters社製、型式2695
カラム:ジーエルサイエンス(株)製「Inertsil ODS−3V」
移動相:25質量%アセトニトリル水溶液(45分保持)→3.5質量%/分のグラジエント→100質量%アセトニトリル(到達後5分保持)
サンプル注入量:5.0μL
カラム温度:40℃
移動相流量:1.0mL/分
検出器:UV
分析波長:277nm
<加熱後のイソプロペニルフェノール(IPP)濃度の測定>
ビスフェノールA10gを30mm径の比色管に投入し、電気炉にて、175℃にて加熱した。1時間加熱後、比色管を電気炉より取出し、冷却後固化したビスフェノールAを取出し、175℃1時間加熱後のビスフェノールAの測定試料として用いた。
上記加熱後のビスフェノールAについて、HPLCにより、上記と同様の条件でIPP濃度を測定した。
<2,4−異性体濃度の測定>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、下記条件でビスフェノールA中の2,4−異性体濃度を測定した。
<HPLC測定条件>
高速液体クロマトグラフ装置:Waters社製、型式2695
カラム:ジーエルサイエンス(株)製「Inertsil ODS−3V」
移動相:25質量%アセトニトリル水溶液(45分保持)→3.5質量%/分のグラジエント→100質量%アセトニトリル(到達後5分保持)
サンプル注入量:5.0μL
カラム温度:40℃
移動相流量:1.0mL/分
検出器:UV
分析波長:277nm
<加熱後のイソプロペニルフェノール(IPP)濃度の測定>
ビスフェノールA10gを30mm径の比色管に投入し、電気炉にて、175℃にて加熱した。1時間加熱後、比色管を電気炉より取出し、冷却後固化したビスフェノールAを取出し、175℃1時間加熱後のビスフェノールAの測定試料として用いた。
上記加熱後のビスフェノールAについて、HPLCにより、上記と同様の条件でIPP濃度を測定した。
(3)粘度平均分子量(Mv)の測定
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/l)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/l)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。
(4)YI値の測定
実施例3〜6、比較例2で得られた樹脂ペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機「日精ES1000」(日精樹脂工業(株)製、型締め力80トン)を用いて、360℃のシリンダー温度設定で、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて50mm×90mm×厚さ5mmの平板状成形体を作製した。
得られた成形体について、分光光度計「U−4100」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用い、C光源、2度視野の条件でYI値を測定した。なお、合格基準は、360℃成形で得られた成形体のYI値が1.21以下である。
実施例3〜6、比較例2で得られた樹脂ペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機「日精ES1000」(日精樹脂工業(株)製、型締め力80トン)を用いて、360℃のシリンダー温度設定で、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて50mm×90mm×厚さ5mmの平板状成形体を作製した。
得られた成形体について、分光光度計「U−4100」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用い、C光源、2度視野の条件でYI値を測定した。なお、合格基準は、360℃成形で得られた成形体のYI値が1.21以下である。
(5)o−ヒドロキシアセトフェノンの含有量の測定
実施例3〜6、比較例2で得られた樹脂ペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機「日精ES1000」(日精樹脂工業(株)製、型締め力80トン)を用いて、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの平板状成形体を作製した。この成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させたのち、アセトンを加え、沈殿した樹脂分を除去した。樹脂分を除去した後の溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
実施例3〜6、比較例2で得られた樹脂ペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機「日精ES1000」(日精樹脂工業(株)製、型締め力80トン)を用いて、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの平板状成形体を作製した。この成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させたのち、アセトンを加え、沈殿した樹脂分を除去した。樹脂分を除去した後の溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
(ビスフェノールAの評価)
3種類のビスフェノールA(BPA−1、BPA−2、及びBPA−3)について、前記方法でアルカリ溶解色(APHA)の測定、2,4−異性体濃度及びイソプロペニルフェノール(IPP)濃度の測定を行った。結果を表1に示す。
3種類のビスフェノールA(BPA−1、BPA−2、及びBPA−3)について、前記方法でアルカリ溶解色(APHA)の測定、2,4−異性体濃度及びイソプロペニルフェノール(IPP)濃度の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1(ポリカーボネート樹脂PC−1の製造)
<ポリカーボネートオリゴマー溶液の製造>
ビスフェノールAとしてBPA−1を用いて、下記方法でポリカーボネートオリゴマー溶液を製造した。
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するビスフェノールAに対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにビスフェノールA濃度が13.5質量%になるようにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液40L/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で、内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hr添加して反応を行った。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液(塩化メチレン溶液)は、濃度338g/L、クロロホーメート基濃度0.70mol/Lであった。
<ポリカーボネートオリゴマー溶液の製造>
ビスフェノールAとしてBPA−1を用いて、下記方法でポリカーボネートオリゴマー溶液を製造した。
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するビスフェノールAに対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにビスフェノールA濃度が13.5質量%になるようにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液40L/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で、内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hr添加して反応を行った。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液(塩化メチレン溶液)は、濃度338g/L、クロロホーメート基濃度0.70mol/Lであった。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液、及びビスフェノールAとしてBPA−1を用いて、下記方法でポリカーボネート樹脂PC−1を製造した。
邪魔板、パドル型撹拌翼及び冷却ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン7.8kgを仕込み、ここにp−t−ブチルフェノール0.19kgを投入して撹拌溶解した。さらに150rpmで撹拌下、1質量%のトリエチルアミン塩化メチレン溶液0.11kgを仕込み、次にビスフェノールAのアルカリ水溶液(ビスフェノールA1.08kgを6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液9.19kgに溶解したもの)を添加し、1時間、240rpmで撹拌した。
希釈のため、塩化メチレン10Lを加え、さらに10分間撹拌した後、1時間静置することでポリカーボネートを含む有機相と、過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を単離した。
有機相は、該溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄した。次いで純水で洗浄を繰り返し、洗浄後の水相中の電気伝導度が0.1mS/m以下になるようにした。
こうして得られたポリカーボネート樹脂PC−1の塩化メチレン溶液を濃縮した後、粉砕し、得られたフレークを減圧下に120℃で乾燥した。
フレークの粘度平均分子量(Mv)を前記方法で測定したところ、Mvは14,400であった。
上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液、及びビスフェノールAとしてBPA−1を用いて、下記方法でポリカーボネート樹脂PC−1を製造した。
邪魔板、パドル型撹拌翼及び冷却ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン7.8kgを仕込み、ここにp−t−ブチルフェノール0.19kgを投入して撹拌溶解した。さらに150rpmで撹拌下、1質量%のトリエチルアミン塩化メチレン溶液0.11kgを仕込み、次にビスフェノールAのアルカリ水溶液(ビスフェノールA1.08kgを6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液9.19kgに溶解したもの)を添加し、1時間、240rpmで撹拌した。
希釈のため、塩化メチレン10Lを加え、さらに10分間撹拌した後、1時間静置することでポリカーボネートを含む有機相と、過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を単離した。
有機相は、該溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄した。次いで純水で洗浄を繰り返し、洗浄後の水相中の電気伝導度が0.1mS/m以下になるようにした。
こうして得られたポリカーボネート樹脂PC−1の塩化メチレン溶液を濃縮した後、粉砕し、得られたフレークを減圧下に120℃で乾燥した。
フレークの粘度平均分子量(Mv)を前記方法で測定したところ、Mvは14,400であった。
実施例2(ポリカーボネート樹脂PC−2の製造)
ビスフェノールAとしてBPA−1に代えてBPA−2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂PC−2を製造した。PC−2のMvは14,300であった。
ビスフェノールAとしてBPA−1に代えてBPA−2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂PC−2を製造した。PC−2のMvは14,300であった。
比較例1(ポリカーボネート樹脂PC−3の製造)
ビスフェノールAとしてBPA−1に代えてBPA−3を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂PC−3を製造した。PC−3のMvは14,100であった。
ビスフェノールAとしてBPA−1に代えてBPA−3を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネート樹脂PC−3を製造した。PC−3のMvは14,100であった。
実施例3〜6、比較例2(ポリカーボネート樹脂組成物の製造及び評価)
表2に示す割合で各成分を混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチックス機械(株)製「VS−40」)により、シリンダー温度250℃で溶融混練し、押し出して樹脂ペレット(ポリカーボネート樹脂組成物)を得た。この樹脂ペレットを用いて、前記方法により各種評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示す割合で各成分を混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチックス機械(株)製「VS−40」)により、シリンダー温度250℃で溶融混練し、押し出して樹脂ペレット(ポリカーボネート樹脂組成物)を得た。この樹脂ペレットを用いて、前記方法により各種評価を行った。結果を表2に示す。
各例で使用した各成分は以下のとおりである。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
(A1):実施例1で得られたポリカーボネート樹脂PC−1、粘度平均分子量(Mv)=14,400
(A2):実施例2で得られたポリカーボネート樹脂PC−2、粘度平均分子量(Mv)=14,300
(A3):比較例1で得られたポリカーボネート樹脂PC−3、粘度平均分子量(Mv)=14,100
<ポリカーボネート樹脂(A)>
(A1):実施例1で得られたポリカーボネート樹脂PC−1、粘度平均分子量(Mv)=14,400
(A2):実施例2で得られたポリカーボネート樹脂PC−2、粘度平均分子量(Mv)=14,300
(A3):比較例1で得られたポリカーボネート樹脂PC−3、粘度平均分子量(Mv)=14,100
<ポリエーテル化合物(B)>
(B1):「ポリセリンDC−1100」(日油(株)製、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシエチレングリコール、Mn=1,000)
(B2):「ポリセリンDCB−2000」(日油(株)製、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシプロピレングリコール(60:40)、Mn=2,000)
(B3):「PTMG2000」(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール、Mn=2,000)
(B1):「ポリセリンDC−1100」(日油(株)製、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシエチレングリコール、Mn=1,000)
(B2):「ポリセリンDCB−2000」(日油(株)製、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシプロピレングリコール(60:40)、Mn=2,000)
(B3):「PTMG2000」(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール、Mn=2,000)
<リン系酸化防止剤(C)>
(C1):「IRGAFOS168」(BASFジャパン(株)製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)
(C2):「Doverphos S−9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(C3):「アデカスタブ PEP−36」((株)ADEKA製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(C1):「IRGAFOS168」(BASFジャパン(株)製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)
(C2):「Doverphos S−9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(C3):「アデカスタブ PEP−36」((株)ADEKA製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
本発明によれば、YI値が低く色相が良好なポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物を提供することができる。当該ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物は、特に導光部材として好適に用いることができる。
Claims (11)
- ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂であって、
該ビスフェノールAが、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し該ビスフェノールAを15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ポリカーボネート樹脂。 - 前記ビスフェノールAが、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン濃度が250質量ppm以下であり、かつ、空気中、175℃で1時間加熱した後に検出されるイソプロペニルフェノール濃度が100質量ppm以下である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂。
- 粘度平均分子量が9,000以上17,500以下である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)、及び、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル化合物(B)を含有し、該ポリエーテル化合物(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下であり、下記方法(1)で測定されるo−ヒドロキシアセトフェノンの含有量が1質量ppm以下であり、下記方法(2)で測定されるYI値が1.21以下である、請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間20秒にて50mm×80mm×厚さ0.3mmの成形体を作製する。該成形体を粉砕してクロロホルムに溶解させ、溶液中に含まれるo−ヒドロキシアセトフェノンを高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
方法(2):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度360℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて厚さ5mmの成形体を作製する。分光光度計を用いて、C光源、2度視野の条件で該成形体のYI値を測定する。 - 前記ポリエーテル化合物(B)が、(Rb1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(Rb2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有する、請求項5に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
ここで、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に炭素数1以上のアルキレン基を示し、m+nは5以上300未満である。 - さらにリン系酸化防止剤(C)を含有する、請求項5又は6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項4〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
- 導光板である、請求項8に記載の成形体。
- 1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下である、ビスフェノールA。
- 1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに対し15g溶解させた溶液の、JIS K0071−1:1998に準拠して測定されるハーゼン単位色数(APHA)が18以下であるビスフェノールAを原料として用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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