JP2018177586A - カーボンナノチューブの造粒方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの造粒方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CNT紛体に水性樹脂、好ましくは水で希釈した水性樹脂をバインダーとして添加混合する簡単な製法で、省エネルギー性、省力性に優れるとともに高品質のCNTの造粒物を低原価で量産することができるCNT粉体の造粒方法の提供【課題手段】カーボンナノチューブ造粒方法の発明は、造粒機内で、CNT粉体を撹拌する撹拌工程と、水性樹脂を水で希釈化する水性樹脂希釈化工程と、前記撹拌工程で撹拌されているCNT粉体に前記水性樹脂希釈化工程で得られた低濃度水性樹脂溶液を少量ずつ添加しながら混合し造粒する混合・造粒工程と、前記造粒工程で得られた造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する構成を有している【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ(以下CNTと記す)粉体の造粒方法及びその方法で得られたカーボンナノチューブの造粒物に関する。
近年、CNTは夢の次世代材料として注目され、帯電防止剤や導電性付与材としての使用はもちろん、タイヤ、キャパシタ、LI電池の導電助剤、繊維強化プラスチックス等への活用に向けた用途開発が進められている。
CNTは直径が数nm〜約500nmで、長さが10μm〜1000μm程度であり、アスペクト比が大きく、チューブ状構造の炭素の結晶である。その種類は多岐にわたり、単層構造を有するシングルウオールカーボンナノチューブ、多層構造を有するマルチウオールカーボンナノチューブ、マルチウオールカーボンナノチューブの範疇に入る2層のダブルウオールカーボンナノチューブ等がある。また、両端が封鎖されているものから、片末端だけが封鎖されているもの、両末端とも開いているものがあり、また、丸め方の構造にもアームチャー型等いくつか種類がある。
CNTの製造方法もアーク放電型、触媒気相製造法、レーザーアブレーション法やその他の方法があり、それぞれ一長一短がある。
一般に、CNTは、種々の合成樹脂やゴム等に配合され、電気伝導性や高弾性、高強度、熱伝導性等を付与することが知られている。
しかしながら、CNTを使用するに当たっては、安全性に対する不安や、CNTがチューブ状で1本1本が絡み合っているためバラバラになり難く分散性に欠けるとともに、飛散し易く、取り扱い性に欠ける等の課題があるため「夢の素材」と期待された割には実用化が進んでいない。
CNTの安全性について、IARC(国際がん研究機関)が2014年に発表した見解をみると殆どのCNTが「グループ3」(発がん性に分類できない)とされているが、今日においても一般ユーザーの間では、「だけどCNTは危険な素材である」との認識が強い。その理由の一つは、CNTの形状がアスベストと同様な繊維状を形成している事や嵩密度が1〜5g/100ccと非常に低く、多量の空気を巻き込んでいるため飛散性が大で人への吸引リスクが大きいこと等が原因していると言われている。
一般に環境リスクは、化学物質などが環境を経由して、人の健康や動植物の生育、育成に悪影響を及ぼす可能性のことであり、概念的には、「リスク=有害性(毒性)×暴露量(摂取量)」で表され、明らかに有毒な素材でも暴露量が皆無で有ればその素材はほぼ安全で有ると言える。
暴露量の低減物としては、包装時や輸送時、在庫時、実際の使用時等に粉化飛散せず、合成樹脂のマスターバッチやコンパウンドの混練や成形時等における分散工程では易分散を示す球状造粒物が好ましい。また、粉化しない造粒物であると当然嵩密度も高くなり、例えば合成樹脂等への混錬工程において、貯蔵タンク内でのブリッジの発生防止や供給時の自動計量化が可能となり、輸送や在庫コストの低減化にもつながる等のメリットもある。
製品の最終形態を球状粒子としている炭素系粉末としては、世界で1200万トン/年製造販売しているカーボンブラック(以下CBと記す)がある。CBの嵩密度はCNTほどではないがかなり低いため、一般的には、水をバインダーとしてパン型造粒法、ドラム型造粒法、スクリュー押し出し型造粒法、撹拌型造粒法、圧縮成型造粒法などの造粒方式で造粒化が実施されている。CBは一次粒子が球状でしかも粒子が融着したストラクチャーを形成している事、さらには、粒子表面に酸素や水素等の官能基が存在するため、バインダーとして機能する水との親和性もあり比較的容易に造粒することが可能である。これに対しCNTは、結晶構造が発達し表面官能基も少なく、更に粉体凝集体内にCBより多くの空気を巻き込んでいる事等から水との親和性も悪く造粒化は容易ではなかった。
この課題を解決するため、特許文献1及び同文献2に示したような高速気流中衝撃法が提案されている。特許文献3には、低分子量ポリエチレンやポリ塩化ビニール等の熱可塑性樹脂をバインダー樹脂として用いたCNTの造粒物の製造方法が提案されている。
特開2005−239531号公報 特開2006−143532号公報 特許第4787892号公報
しかしながら上記従来の技術においては、次の様な課題を有していた。
(1)特許文献1又は特許文献2に開示の技術においては、高速気流中で粉体を解砕し、さらに複合化する装置が用いられている。この装置の本来の用途は、粉体母粒子の表面に異種の粉体微粒子を高速気流で衝撃により付着させるというものであり、一種類のCNTのみの造粒化は極めて困難であるだけでなく、もし出来たとしてもその造粒物の粒子径は200μm以下と非常に小さいものであり、ミリメートルオーダーの粒状化は困難と推定されている。
そのため、飛散性に伴う安全性や環境汚染性、ハンドリング性等について課題を残している。
(2)さらに、バインダーを用いない通常の造粒物であっても、粉状物を用いる場合よりは輸送、充填時等での飛散性や環境汚染度さらには、合成樹脂やゴム、ビヒクル等への配合・混合・混練は格段に向上させることができる。しかしながら、昨今益々厳しくなってきている、「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応」を満足するには、飛散性一つを取っても十分といえない。また、合成樹脂等への配合時の初期配合性や分散性も満足いくものではないという課題を有していた。
(3)特許文献3に開示の技術においては、CNTの内部や外表面を熱可塑性樹脂でコーティングすることにより、CNTのハンドリング性の向上、基体樹脂への分散性向上、混錬時の定量供給性の向上、飛散性の大幅低減による人体に対する安全性の向上等々優れた特徴を備えたCNT造粒物の製造方法を提供するものであるが、製造時に多量の溶剤を使用することが必要である。このために、溶剤の除去、乾燥を行うため、危険物取扱所や防爆設備が必要となり、高額な設備投資も必要とし、高額な溶剤を使用するため、低原価でCNTの造粒物を生産できず、また、結果的には高コストのCNT造粒物になるため用途が限定され普及し難い等の課題があった。また、この方式は、(1) CNT粉体を水に分散する工程、(2)バインダーポリマーを溶媒で溶解する工程、(3)(1)で水分散したCNTに(2)で得られたバインダーポリマー溶液を少量ずつ添加し粒状化する工程、(4)(3)で得られた粒状物を水切りする工程、(5)水切りされた粒状物を風乾または50℃以下の低温で予備乾燥する工程、(6)予備乾燥された粒状物を真空乾燥する工程、(7)次いで、粒状物を篩分け後包装等の工程を経由して製造されるとともに、(8)排水処理工程を要す等、工程が多岐にわたるとともに、(1)、(3)、(5)の各工程は、数時間〜数十時間を要するため生産性に欠けるとともに、省エネルギー性、省力性に欠けるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、CNT粉体に水性樹脂、好ましくは水で希釈した水性樹脂をバインダーとして添加混合する簡単な製法で、省エネルギー性、省力性に優れるとともに高品質のCNTの造粒物を低原価で量産することができるCNT粉体の造粒方法を提供すること、及び、適度の硬さと、高い嵩密度及び適度な粒径を有し定量供給が可能なうえ空送時に配管の閉塞事故等を防ぎ、また粉化し難く飛散し難く飛散性を従来に比べ著しく改良したので環境負荷を低減し安全性に優れた高品質で低原価のCNTの造粒物を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するもので、以下の構成を有している。
本件発明の請求項1に記載のCNT造粒方法の発明は、造粒機内で、CNT粉体を撹拌する撹拌工程と、水性樹脂を水で希釈化する水性樹脂希釈化工程と、前記撹拌工程で撹拌されているCNT粉体に前記水性樹脂希釈化工程で得られた低濃度水性樹脂溶液を少量ずつ添加しながら混合し造粒する混合・造粒工程と、前記造粒工程で得られた造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)水で希釈化された水性樹脂をバインダーとしてCNT粉体を造粒化し、安全性に優れ取り扱い性に優れたCNTの造粒物を得ることができる。
(2)水性樹脂がバインダーとなって造粒化されているので、造粒物の圧縮強度等が大きく粉化抵抗力を大きくすることができる。
(3)造粒物の飛散量(再発粉じん量)を1mg以下にすることができ、環境汚染リスクを極めて低くすることができる。これは、造粒物の硬さとも関係するが、同じ硬さでも低濃度水溶性樹脂用液をバインダーとして造粒した結果であると思われる。
(4)製造過程で溶剤や油類を全く使用しないので、防爆設備を必要とせず、また、危険物取扱所や危険物取扱主任者の配置も必要とせず、装置の簡素化が図られるとともに省エネルギー化や省力化を図ることができる。
(5)特許文献3に比べ、製造設備投資額を大幅に低減させ、省資源性、省力性に優れ、CBの造粒に近似したコストで、CNTの造粒物を生産できる。
CNTには、1枚の炭素膜(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層CNT及び複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、及び多層CNTを単独あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
CNTの純度は少なくとも50%以上の純度が望ましい。CNTを製造する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生成物として生じ、また、ニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存する。これらの不純物を除去するために精製を行うことが好ましい。精製方法としては特に限定されないが、硫酸、硝酸等による酸化処理、超音波処理が有効である。併せてフイルターによる分離除去を行うことも純度を向上させる観点から好ましい。
CNTの平均繊維径と長さは、特に限定されず用途に応じて適宜選択できるが、通常、繊維径が0.3nm〜100nm、好ましくは1nm〜50nmであり、繊維長が0.1μm〜2000μm、好ましくは1μm〜1000μmである。
繊維径としては、現代の技術で製造可能と思われる最小径は約0.3nmであるが、0.3nmより細くても良い。また、繊維径が50nmよりも大きくなるにつれ電気的、機械的特性が低下する傾向があり、100nmよりも大きくなるとCBやカーボンナノファイバー等との優位性がなくなる傾向がある。
繊維長は、導電性や機械的特性、分散性に関係し、1μmよりも小さくなるにつれ導電性や機械的特性が発現し難くなる傾向がみられ、また1000μmを超えるにつれ繊維の絡み合いが強くなるため分散不良塊が多くなるだけでなく混錬分散時に繊維の切断が多くなり好ましくない傾向がみられる。0.1μmよりも小さいか、2000μmを超えるとこれらの傾向がさらに強いので好ましくない。
造粒方法としては、湿式造粒が用いられる。湿式造粒は造粒方法の原理から、転動造粒、流動層造粒、撹拌造粒、圧縮造粒、押し出し造粒、破砕造粒等があるが、本発明では撹拌造粒方法が好ましい。装置のコンパクト化が容易であり、造粒時間を短くすることができ、汎用性に優れるためである。
撹拌造粒に用いる機器としては、バッチ式と連続式に大別できバッチ式の代表としては、ヘンシェル型撹拌造粒機が、また、連続式としては、二軸スクリューの回転により造粒する二軸ピン式造粒機が挙げられる。
ヘンシェル型としては、(株)アーステクニカのハイスピードミキサーシリーズ、(株)テクノパウダルのSPGシリーズ、日本コークス工業(株)のFMミキサー、(株)カワタのSMBやSMシリーズ、(株)パウレックスのVGシリーズ等が挙げられる。
また、二軸ピン式としては、(株)新日南のダウ・ペレタイザーが挙げられる。
小規模で製造する場合は、フードプロセッサーや家庭用ミキサーさらには超小型のラボ用ヘンシェルミキサー等が好適である。
連続造粒工程としては、ピン型造粒機を例にとると撹拌速度500〜3000rpm、好ましくは1000〜2000rpmで回転している装置に、(1)CNT粉体を投入口から定量装入し、(2)投入口後段にある注入口から水性樹脂溶液を添加して造粒し、(3)排出口から造粒物を取り出し、(4)乾燥工程で乾燥させる。造粒性能は、造粒機内での滞留時間で調整される。滞留時間を長くするほど球状に近い造粒物が得られる。
一方バッチ式の場合は、ヘンシェル型造粒機を例にとると、CNT粉体を造粒機に所定量挿入した後、300〜2500rpm好ましくは500〜2000rpmで撹拌し、そこに水性樹脂溶液を少量ずつ添加し、造粒状態を確認しながら水を追加していき、所望の粒度になったところを見計らい、取り出して乾燥し、造粒物が得られる。
乾燥には、真空乾燥や熱風乾燥が用いられる。熱風乾燥器としては、振動/流動乾燥器、流動乾燥器、箱型乾燥器、ドライヤー式乾燥器等が使用でき、一方、真空(減圧)乾燥器としては、真空棚段式乾燥器、減圧アウターミキサー型乾燥器、箱型乾燥器等が使用できる。
乾燥温度としては、バインダーとして用いた樹脂が劣化しない温度が好ましい事から、水性樹脂の種類により最適温度や最高温度が存在するが、一般的には、40〜200℃、好ましくは、50〜150℃、さらに好ましくは60〜100℃である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常1〜20時間、好ましくは2〜10時間である。
水性樹脂は、水で溶解若しくは乳化、懸濁した状態で使用される。
水としては、純水や精製水が用いられる。
水による水性樹脂の希釈化率は、水性樹脂の種類にもよるが、0.1〜10質量%、好ましくは、0.4〜5質量%に希釈化される。水で希釈した水性樹脂濃度(固形分)は、0.4〜5質量%の場合、造粒過程でCNT凝集体内部に水性樹脂が浸透、拡散しやすくなり結果として水性樹脂で均一にコーティングされた造粒物が得られる。0.4質量%よりも低濃度になるにつれ、CNT粒子間の接着力が弱くなる傾向がみられ、また、5質量%よりも高濃度になるにつれCNT凝集体内部に水性樹脂が浸透、拡散し難くなる傾向がみられるので、好ましくない。水性樹脂の濃度が0.1質量%よりも低くなるか、又は10質量%よりも濃くなるにつれ、これらの傾向が強くなるので好ましくない。
水性樹脂を予め水で希釈する割合は、バッチ式造粒と連続式造粒によりやや異なる。バッチ式造粒の場合水性樹脂は、CNT造粒に必要な最終水量の約8〜9割の水で所定の水性樹脂を溶解(乳化、懸濁)させたものを用いるのが良い。残りの約1〜2割の水は、上記液を加えた後、造粒状態を観察しながら適宜追加していくのが良い。バッチ式の場合は、造粒状態を観察しながら水を適宜追加していくので、造粒性にばらつきが発生する場合があり、これを調整するために添加する水の総量のうち1〜2割水を残しておき造粒性調整剤として用いるのが好ましい。
連続式造粒の場合は、予備テストで造粒に必要な最適水量を確認し、その水量で水性樹脂を完全に溶解した低濃度水性樹脂溶液を作り、それを定量ポンプ等で撹拌状態にあるCNTに一定量ずつ添加される。
水性樹脂は、可能な限り薄い濃度で添加することにより、CNTの空隙に水性樹脂がより浸透しやすくなり、CNT全体に均一コーティングが可能となる。
水性樹脂溶液に界面活性剤を添加することにより、CNTに水性樹脂溶液を浸透し易くすることができる。
本件発明の請求項2に記載のCNTの造粒方法の発明は、請求項1において、前記CNT粉体200〜5000重量部に対して、前記低濃度水性樹脂溶液100質量部を少量ずつ添加して造粒する構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)CNTの凝集体の内部に水性樹脂を効率的に浸透させ、適度な粒径と硬さを有する造粒物の造粒化を行うことができる。
(2)乾燥したCNTの造粒物の硬さを適度に保つことができ、取り扱い時の粉化や飛散性が低減でき、さらには、樹脂やインキ、塗料、電池等に用いた際の分散性を好適なものにすることができる。
ここで、CNTと水性樹脂との混合比率は、水性樹脂100質量部に対して、CNTを好ましくは200〜5000質量部、より好ましくは300〜3000質量部である。300質量部より少なくなるにつれ造粒物が固くなり、分散性が悪くなる傾向があり、また、3000質量部を超えるにつれ取り扱い時の粉化や飛散量が多くなり、安全性の面でも好ましくないという傾向があり、200質量部より少ないか、5000質量部より多いとこれらの傾向が著しいので好ましくない。
撹拌状態にあるCNTに水で希釈した水性樹脂溶液をCNTへの浸透速度も考慮しながら少量ずつ添加することで球状造粒物を得ることができる。造粒方法は、バッチ式であれ連続式であれ撹拌状態にあるCNTに水性樹脂を少量ずつ添加していき造粒するやり方である。バッチ式の場合は目的物の粒径等に合わせて計量された低濃度水性樹脂溶液を小分けして添加される。停止状態にあるCNTに水性樹脂水溶液を添加した後、撹拌し造粒するというやり方では、CNTと水性樹脂のダマや団子が出来所望の微粒造粒物は得られないことが分かった。
本件発明の請求項3に記載のCNTの造粒物の発明は、請求項1又は2で造粒されたCNTの造粒物であって、粒径が0.1〜5mm、粒の硬さが10g〜30gである構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)CNTの造粒物は、粒径が0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmの球状で、粒の硬さが10g〜30gであるので、造粒物が原因でホッパー等にブリッジを形成するのを防ぐとともに空送中の配管の閉塞等を防ぐことができる。
(2)適度の硬さと粒径を有しており、流動性も優れているため、自動計量も可能となり樹脂マスターバッチや樹脂コンパウンドの製造工程において無人化も可能となり省力性に優れる。
(3)装置のメンテナンス時に造粒物の周囲への飛散を防ぐことができ、安全性を著しく向上させることができる。
ここで、CNTの造粒物の粒径は0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmの球状の造粒物が好ましい。粒径が0.3mmよりも小さくなるにつれホッパー等からの流動性が低下し、使用環境において造粒物の飛散量が多くなるという傾向があり、また、粒径が3mmよりも大きくなるにつれ合成樹脂等との混錬・分散時に造粒物の微粒子化や破砕が困難になり分散不良になりやすいという傾向があるので好ましくない。特に粒径が0.1mmよりも小さくなるか、粒径が5mmよりも大きくなるとこの傾向が著しいので好ましくない。
CNTの造粒物の粒径は、造粒物をメジャーと共に置きそれを光学顕微鏡で観察することで行うことができる。
CNTの造粒物の硬さは、10g〜30g、好ましくは15g〜25gの物が好ましい。硬さが、25gを超えるにつれ合成樹脂やゴム、水、溶剤、ビヒクルに配合、分散する際、初期分散性のみでなく最終分散性も悪くなるという傾向があり、また、15gよりも小さくなるにつれ、包装時、輸送時、在庫時、配合混錬時等に粉化が起き、環境汚染を起し易いという傾向があるので好ましくない。特に硬さが10gよりも小さくなるか、硬さが30gよりも大きくなるとこの傾向が著しいので好ましくない。
硬さの測定は、造粒粒子の硬さの求め方、JIS−K6219−3A法に準拠して測定することができる。測定する機器としては、手動と自動のものがあり何れを選択してもよい。
本発明のCNTの造粒物は、各種の基体樹脂や、ゴム、ビヒクル等に配合・混錬することにより各種製品として、例えば、半導体トレイ、透明導電膜、車等に用いる帯電防止から導電性成形体などに用いられる。基体樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、PVC樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂を例示することができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を例示することができる。
また、水や溶媒等ビヒクルに分散し導電性インクや導電性塗料、キャパシタ、リチュームイオン電池の導電助剤、燃料電池としても使用できる。さらには、SBRやBR、NR、IR、NBR、EPDM、ウレタンゴム、シリコンゴム等に配合しタイヤや各種ゴム製品に応用することもできる。
本件発明の請求項4に記載のCNTの造粒物の発明は、請求項3において、造粒物の飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下である構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下であるので、作業環境の負荷を下げ、安全性を著しく大きくすることができる。
(2)飛散性の改善に合わせて、と大きいのでであった。
ここで、飛散量(再発粉じん量)が、1mg以下、好ましくは0.5mg以下、さらに好ましくは0.1mg以下である。この特性は、造粒物の硬さとも関係するが、同じ硬さでもバインダーを用いて造粒した場合にのみ達成できることも判った。
嵩密度(BD)については、上記JIS−K6219に規定されている、CBの嵩密度の測定法に準拠して求めた。
その結果、嵩密度は0.08〜0.25g/ccであった。このことから、取り扱い性を著しく向上させることができることがわかった。また、嵩密度が原料のCNT粉体や水のみで造粒したCNTの造粒物に比べて大きいので、飛散性を小さくすることができた。これにより、輸送時の取り扱い性や保管時の省スペース性を向上させることがわかった。
CNTの飛散量(再発粉じん量)に関しては、柴田科学製のsky−2型を用い、10L/分の気流中に下部よりCNTを投入し、飛散量は装置出口にセットしたろ紙に吸着した重量で算出される。
本発明のCNTの造粒方法は、煩雑な工程も必要とせず、かつ、危険物となる溶剤を使用しないので装置の建設コストを下げ、かつ、省エネルギー性や省力化に優れるとともに、低原価で高品質のCNTの造粒物を造粒することができる。
また、本発明のCNTの造粒物は、高品質でかつ、嵩密度が高いので、飛散量が極めて少なく環境への負荷を著しく低減化し安全性に優れ、また、適度の粒径と硬さを有するので、空送設備の閉塞事故を防ぎ、かつ、定量供給性にすぐれる。
本発明の実施例1にて得られたCNTの造粒物を示す写真である。 本発明の比較例1にて得られたCNTの造粒物を示す写真である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。なお、文中の配合比率は、質量基準である。
(実施例1)
CNT粉体(KUMHO製100P)18gをフードプロセッサー(パナソニック製MKK81)に入れ2200rpmで撹拌しながら、水性樹脂(ポリエチレンオキサイド、明成化学品R−150、これを樹脂Aと記す)2gを純水120gに溶解して得られた低濃度水性樹脂溶液を30gずつ小分けし、まず、最初の30gを投入し1分間撹拌した。次に撹拌容器の壁に付いたCNTを掻き落とした後、再度低濃度水性樹脂溶液を30g投入し2200rpmで1分間撹拌した。この操作を続けて2回実施し120gの低濃度水性樹脂溶液の全量を投入した。次いで造粒状態を見ながら純水を少量ずつ追加し所望の造粒物が出来るまで撹拌を続けた。最終的に追加した純水は、15gであった。造粒物は、100℃に設定した熱風乾燥器で7時間乾燥し、0.5〜3mm径の球状のCNTの造粒物を得た。この試作品の評価として、硬さ、嵩密度、飛散量、初期分散性を求めた。その結果を表1に示した。
CNTの造粒物の硬さの測定は、ゴム用CB造粒粒子の特性第3部:造粒粒子の硬さの求め方、JIS−K6219−3A法に準拠して測定した。
また、嵩密度(BD)については、上記JIS−K6219に規定されているCBの嵩密度の測定法に準拠して求めた。
さらに、CNTの飛散量(再発粉じん量)に関しては、柴田科学製のsky−2型を用い、中央労働災害防止協会が定めた方法に従い、10L/分の気流中に下部より10μm以下に粉砕したCNTの造粒物を投入し、飛散量は装置出口にセットしたろ紙に吸着した重量で算出した。
次にCNT造粒物の粒径は、造粒物をメジャーと共に置きそれを光学顕微鏡で観察することで実施した。測定の一例を図1に示した。
CNTの造粒物の初期分散性の測定は、ロール温度130℃に設定した6インチ2本ロールにポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製商品名ノバテックLF280H)を99g投入しロールに巻き付かせた、その上から1gを少量ずつ添加し、全量添加した後から10分間混錬し、厚さ約3mmのシートを取り出した。このシートから、打ち抜き刃を用い直径3mmのサンプルを作り、160℃に加熱したプレス機で5分間プレスし蛍光灯の光が透過する薄膜を成形した。この薄膜を光学顕微鏡で観察することで分散性を評価した。初期分散性の評価基準としては、分散性が最も良好であった粉末CNT(KUMHO社のKnanos100P)を10点、最も悪かった比較例2を5点として他を評価した。
(実施例2)
実施例1で用いたCNT粉体19gに、樹脂A 1gを純水120gに溶解し低濃度水性樹脂溶液を作成したものを用い、また追加純水として20gを用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた評価結果は、表1に示した。
(実施例3)
実施例1で用いたCNT粉体16gに樹脂A 4gを純水120gに溶解し低濃度水性樹脂溶液を作成したものを用い、また追加純水を5g用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた評価結果は、表1に示した。
(実施例4)
実施例1の水性樹脂をカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム製CMC1120。以下樹脂Bと記す)に変更した以外は、その濃度及び追加純水の使用量並びに造粒方法は実施例1と同様に行った。得られた評価結果は、表1に示した。
(実施例5)
水性樹脂として、塩化ビニール系エマルジョン樹脂である商品名ビニルブラン715S(日新化学工業製、固形分25%、平均粒子径90nm、TG25℃。樹脂Cと記す) 8gを純水120gに200HZの超音波で15分間分散した低濃度水性樹脂溶液に変更した以外は、実施例1と同じ量及び方法で造粒物を得た。得られた評価結果は、表1に示した。
(実施例6)
実施例1において、CNT粉体を18gとし、樹脂Aを0.56gに変更した以外は、実施例1と同様にしてCNTの造粒物を得た。その評価結果を表1に示した。
(比較例1)
水性樹脂を用いず純水145gのみでCNT粉体20gを造粒した後、100℃に設定した熱風乾燥器で7時間乾燥した。乾燥後の粒は、0.3〜3mm径の造粒物ではあったが、肉眼観察では殆どが1mm以下の微粒子の造粒物であった。また、目視判定による粒度分布も各実施例に比べ広いことが分かった。その評価結果を表1に示した。
次にCNTの造粒物の粒径は、造粒物をメジャーと共に置きそれを光学顕微鏡で観察することで実施した。測定の一例を図2に示した。
(比較例2)
水性樹脂の代わりに、バインダー用樹脂として熱可塑性樹脂の低分子量ポリエチレンであるハイワックス320P(三井化学製。樹脂Dと記す)3.19gをトルエン197gに70℃で撹拌しながら溶解し樹脂バインダー溶液を得た。次に、実施例1で用いたものと同じCNT粉体50gを10Lステンレス製丸型容器に入れそこに純水4950g入れた後、ホモジナイザー型撹拌機を用い約6000rpmで30分間撹拌した。次いで、撹拌機の羽をスクリュー型に変更し、約1000rpmで撹拌しながら、樹脂バインダー溶液を少量ずつ全量滴下後、さらに造粒性を観察しながらトルエン276g追加した。得られた造粒物を60mesh篩で水を除去後(ろ過水は、回収し排水処理場で処理した)、ドラフト内で10時間風乾し、次いで70℃に設定した真空乾燥器で8時間乾燥し水とトルエンを完全に除去した。乾燥後の粒は、0.5〜3mm径の球状の造粒物であった。その評価結果を(表1)に示した。
上記実施例1〜6及び比較例1〜2のCNTの造粒物を製造するに際して、危険物取扱所の要否、危険物取扱主任者の要否、防爆設備の要否、排水処理設備の要否について、下記表2に示す。
表1の結果から、実施例1〜6の本願発明のCNTの造粒方法で得られたCNTの造粒物は、粒径が0.5〜3mmの範囲内にあり、30g以下の硬さで、嵩密度については、原料CNTの7.2〜9.8倍の嵩密度を有していることが示されている。また、本願発明のCNTの造粒方法で得られたCNTの造粒物の飛散量は、原料CNTに比較して極めて大きく低下し、初期分散性も良好であることが示されている。そして、CNTの造粒物の製造コストを大きく低下させることが示されている。これに対して、比較例1で製造されたCNTの造粒物は、水性樹脂を用いずに、水のみで造粒しているので、嵩密度も低く、飛散量が大きいことが示されている。比較例2で製造されたCNTの造粒物は、水性樹脂に変えて低分子量ポリエチレン及びトルエンを使用して造粒したものであるが、得られたCNTの造粒物は、硬さも硬く飛散量も少なく飛散性は優れているが、初期分散性が劣り、かつ、CNTの造粒物の製造コストが極めて高くなることが示されている。
表2では、CNTを造粒するに際して、危険物取扱所の要否、危険物取扱主任者の要否、防爆設備の要否、排水処理設備の要否について記載したものである。本願発明のCNTの造粒方法では、トルエン等の可燃性溶媒を用いる必要がなく、危険物取扱所、危険物取扱主任者、防爆設備、排水処理設備は必要がない。一方、比較例2では、トルエンを使用しているために、危険物取扱所、危険物取扱主任者、防爆設備、排水処理設備が必要となる。
本発明のCNTの造粒方法を用いることにより、適切な硬さを有し、飛散性の少ないCNTの造粒物を煩雑な析出工程も必要とせず、かつ、危険物となる溶剤も使用することなく、従来よりも簡単な工程で製造することができる。そのために、健康被害をもたらす危険性も低く、従来技術と比較して、大幅に低いコストでCNTの造粒物を製造することができる。
さらに、本発明のCNTの造粒方法で得られるCNTの造粒物は、適度な硬度を有するために、熱可塑性樹脂等の基体樹脂を用いた樹脂組成物を製造するに当たり、CNTの造粒物を定量供給することができ、連続的に均一な混合状態の樹脂組成物を得ることができる。
本件発明の請求項4に記載のCNTの造粒物の発明は、請求項3において、造粒物の飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下である構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下であるので、作業環境の負荷を下げ、安全性を著しく大きくすることができる。
ここで、飛散量(再発粉じん量)が、1mg以下、好ましくは0.5mg以下、さらに好ましくは0.1mg以下である。この特性は、造粒物の硬さとも関係するが、同じ硬さでもバインダーを用いて造粒した場合にのみ達成できることも判った。
嵩密度(BD)については、上記JIS−K6219に規定されている、CBの嵩密度の測定法に準拠して求めた。
その結果、嵩密度は0.08〜0.25g/ccであった。このことから、取り扱い性を著しく向上させることができることがわかった。また、嵩密度が原料のCNT粉体や水のみで造粒したCNTの造粒物に比べて大きいので、飛散性を小さくすることができた。これにより、輸送時の取り扱い性や保管時の省スペース性を向上させることがわかった。
CNTの飛散量(再発粉じん量)に関しては、柴田科学製のsky−2型を用い、10L/分の気流中に下部よりCNTを投入し、飛散量は装置出口にセットしたろ紙に吸着した重量で算出される。
本発明は、上記目的を達成するもので、以下の構成を有している。
本件発明の請求項1に記載のCNT造粒方法の発明は、造粒機内で、カーボンナノチューブ粉体200〜5000質量部を撹拌する撹拌工程と、水性樹脂を水で希釈化する水性樹脂希釈化工程と、前記撹拌工程で撹拌されているカーボンナノチューブ粉体に前記水性樹脂希釈化工程で得られた低濃度水性樹脂溶液100質量部を少量ずつ添加しながら混合し造粒する混合・造粒工程と、前記造粒工程で得られたカーボンナノチューブ造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)水で希釈化された水性樹脂をバインダーとしてCNT粉体を造粒化し、安全性に優れ取り扱い性に優れたCNTの造粒物を得ることができる。
(2)水性樹脂がバインダーとなって造粒化されているので、造粒物の圧縮強度等が大きく粉化抵抗力を大きくすることができる。
(3)造粒物の飛散量(再発粉じん量)を1mg以下にすることができ、環境汚染リスクを極めて低くすることができる。これは、造粒物の硬さとも関係するが、同じ硬さでも低濃度水溶性樹脂用液をバインダーとして造粒した結果であると思われる。
(4)製造過程で溶剤や油類を全く使用しないので、防爆設備を必要とせず、また、危険物取扱所や危険物取扱主任者の配置も必要とせず、装置の簡素化が図られるとともに省エネルギー化や省力化を図ることができる。
(5)特許文献3に比べ、製造設備投資額を大幅に低減させ、省資源性、省力性に優れ、CBの造粒に近似したコストで、CNTの造粒物を生産できる。
(6)CNTの凝集体の内部に水性樹脂を効率的に浸透させ、適度な粒径と硬さを有する造粒物の造粒化を行うことができる。
(7)乾燥したCNTの造粒物の硬さを適度に保つことができ、取り扱い時の粉化や飛散性が低減でき、さらには、樹脂やインキ、塗料、電池等に用いた際の分散性を好適なものにすることができる。
CNTと水性樹脂との混合比率は、水性樹脂100質量部に対して、CNTを好ましくは200〜5000質量部、より好ましくは300〜3000質量部である。300質量部より少なくなるにつれ造粒物が固くなり、分散性が悪くなる傾向があり、また、3000質量部を超えるにつれ取り扱い時の粉化や飛散量が多くなり、安全性の面でも好ましくないという傾向があり、200質量部より少ないか、5000質量部より多いとこれらの傾向が著しいので好ましくない。
本件発明の請求項3に記載のCNTの造粒方法の発明は、請求項1又は2に記載の発明において 前記カーボンナノチューブの造粒物粒径0.1〜5mm、粒の硬さが10g重〜30g重である構成を有している。
この構成により、以下の作用を得ることができる。
(1)CNTの造粒物は、粒径が0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmの球状で、粒の硬さが10g重〜30g重、であるので、造粒物が原因でホッパー等にブリッジを形成するのを防ぐとともに空送中の配管の閉塞等を防ぐことができる。
(2)適度の硬さと粒径を有しており、流動性も優れているため、自動計量も可能となり樹脂マスターバッチや樹脂コンパウンドの製造工程において無人化も可能となり省力性に優れる。
(3)装置のメンテナンス時に造粒物の周囲への飛散を防ぐことができ、安全性を著しく向上させることができる。
ここで、CNTの造粒物の粒径は0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mmの球状の造粒物が好ましい。粒径が0.3mmよりも小さくなるにつれホッパー等からの流動性が低下し、使用環境において造粒物の飛散量が多くなるという傾向があり、また、粒径が3mmよりも大きくなるにつれ合成樹脂等との混錬・分散時に造粒物の微粒子化や破砕が困難になり分散不良になりやすいという傾向があるので好ましくない。特に粒径が0.1mmよりも小さくなるか、粒径が5mmよりも大きくなるとこの傾向が著しいので好ましくない。
CNTの造粒物の粒径は、造粒物をメジャーと共に置きそれを光学顕微鏡で観察することで行うことができる。
CNTの造粒物の硬さは、10g〜30g、好ましくは15g〜25gの物が好ましい。硬さが、25gを超えるにつれ合成樹脂やゴム、水、溶剤、ビヒクルに配合、分散する際、初期分散性のみでなく最終分散性も悪くなるという傾向があり、また、15gよりも小さくなるにつれ、包装時、輸送時、在庫時、配合混錬時等に粉化が起き、環境汚染を起し易いという傾向があるので好ましくない。特に硬さが10gよりも小さくなるか、硬さが30gよりも大きくなるとこの傾向が著しいので好ましくない。
硬さの測定は、造粒粒子の硬さの求め方、JIS−K6219−3A法に準拠して測定することができる。測定する機器としては、手動と自動のものがあり何れを選択してもよい。
本件発明の請求項4に記載のCNTの造粒方法は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の発明において、前記カーボンナノチューブ造粒物の嵩密度が0.08〜0.25g/cc、飛散(再発粉じん量)が、1mg以下である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3のいずれか1で得られる作用に加え、以下の作用を得ることができる。
(1)飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下であるので、作業環境の負荷を下げ、安全性を著しく大きくすることができる。
(2)飛散性の改善に合わせて、嵩密度が大きいので取扱い性を向上させることができる。
(3)嵩密度は0.08〜0.25g/ccなので、取り扱い性を著しく向上させることができ、また飛散性を小さくすることができた。これにより、輸送時の取り扱い性や保管時の省スペース性を向上させることが可能である。
ここで、飛散量(再発粉じん量)が、1mg以下、好ましくは0.5mg以下、さらに好ましくは0.1mg以下である。この特性は、造粒物の硬さとも関係するが、同じ硬さでもバインダーを用いて造粒した場合にのみ達成できることも判った。
嵩密度(BD)については、上記JIS−K6219に規定されている、CBの嵩密度の測定法に準拠して求めた。
その結果、嵩密度は0.08〜0.25g/ccであった。このことから、取り扱い性を著しく向上させることができることがわかった。また、嵩密度が原料のCNT粉体や水のみで造粒したCNTの造粒物に比べて大きいので、飛散性を小さくすることができた。これにより、輸送時の取り扱い性や保管時の省スペース性を向上させることがわかった。
CNTの飛散量(再発粉じん量)に関しては、柴田科学製のsky−2型を用い、10L/分の気流中に下部よりCNTを投入し、飛散量は装置出口にセットしたろ紙に吸着した重量で算出される。
本発明のCNTの造粒方法は、煩雑な工程も必要とせず、かつ、危険物となる溶剤を使用しないので装置の建設コストを下げ、かつ、省エネルギー性や省力化に優れるとともに、低原価で高品質のCNTの造粒物を造粒することができる。
また、本発明で得られるCNTの造粒物は、高品質でかつ、嵩密度が高いので、飛散量が極めて少なく環境への負荷を著しく低減化し安全性に優れ、また、適度の粒径と硬さを有するので、空送設備の閉塞事故を防ぎ、かつ、定量供給性にすぐれる。

Claims (4)

  1. 造粒機内で、CNT粉体を撹拌する撹拌工程と、水性樹脂を水で希釈化する水性樹脂希釈化工程と、前記撹拌工程で撹拌されているCNT粉体に前記水性樹脂希釈化工程で得られた低濃度水性樹脂溶液を少量ずつ添加しながら混合し造粒する混合・造粒工程と、前記造粒工程で得られた造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有することを特徴とするカーボンナノチューブの造粒方法。
  2. 前記カーボンナノチューブ粉体200〜5000質量部に対して、前記低濃度水性樹脂溶液100質量部を少量ずつ添加して造粒することを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの造粒方法。
  3. 請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの造粒方法で造粒されたカーボンナノチューブの造粒物であって、粒径0.1〜5mm径、粒の硬さが30g以下であることを特徴とするカーボンナノチューブの造粒物
  4. 水性樹脂をバインダーとするカーボンナノチューブ造粒物であって、造粒物の飛散性(再発粉じん量)が、1mg以下であることを特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブの造粒物
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