JP7134320B1 - ナノカーボン配合凝集物およびその製造方法 - Google Patents

ナノカーボン配合凝集物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性の良好なナノカーボン配合凝集物を効率的に取得する。【解決手段】ナノカーボン配合凝集物の製造方法であって、(1)ナノカーボン100質量部に対して、1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る工程、および(2)上記固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る工程、を含んでなり、JIS K 6219-3に準拠して測定される上記ナノカーボン配合凝集物の硬度が10g以下である方法を用いる。【選択図】図3

Description

本発明は、ナノカーボン配合凝集物およびその製造方法に関する。
近年、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう。)、カーボンナノファイバー(以下、「CNF」ともいう。)、カーボンナノコイル(以下、「CNC」ともいう。)、グラフェン(以下、「GPN」ともいう。)等のナノカーボン材料の様々な分野における応用が期待されている。中でも、CNTは夢の次世代材料として注目され、帯電防止剤や導電性付与材としての使用はもちろん、タイヤ、キャパシタ、Li電池の導電助剤、繊維強化プラスチックス等への活用に向けた用途開発が進められている。
CNTは直径が数nm~約500nmで、長さが10μm~1000μm程度であり、アスペクト比が大きく、チューブ状構造の炭素の結晶である。その種類は多岐にわたり、単層構造を有するシングルウオールCNT、多層構造を有するマルチウオールCNTの範疇に入る2層のダブルウオールCNT等がある。また、両端が封鎖されているものから、片末端だけが封鎖されているもの、両末端とも開いているものがあり、また、丸め方の構造にもアームチェア型等いくつか種類がある。
一般に、CNTは、種々の合成樹脂やゴム等の基材に配合されることで、基材に電気伝導性や高弾性、高強度、熱伝導性等を付与することが知られている。
しかしながら、ナノカーボンを使用するにあたっては、その低い嵩密度による粉塵飛散の問題や、ナノカーボン粒子の凝集による分散不良等の課題がある。そのため「夢の素材」と期待された割には実用化が進んでいない。
近年、ナノカーボン配合凝集物の嵩密度を向上させ、粉塵飛散を防止するための様々な手法が報告されている。例えば、特許文献1では、水溶性ポリマーを所定濃度で含有する水溶液をCNTに含浸させて固体凝集物とし、それを剪断破砕処理した後に乾燥することで、簡易かつ簡便に嵩密度が高く飛散性の低いCNT配合凝集物を効率的に取得しうることが、本出願人により報告されている。しかしながら、特許文献1には、CNT配合凝集物による分散性については何ら報告されていない。
CNTもしくはグラフェン等のナノカーボンと凝集媒体とのナノカーボン配合凝集物を調製する場合、凝集媒体がナノカーボンに均一に付着浸透せず、不均一なナノカーボン配合凝集物が形成されて粒度分布が歪になり、その結果、CNT配合凝集物の品質が一定せず、ハンドリング性が低下することがある。したがって、分散性の向上したナノカーボン配合凝集物を効率的に取得ことは、当該技術分野において依然として重要な課題といえる。
特許第6714134号公報
本発明は、分散性の良好なナノカーボン配合凝集物を効率的に取得することを一つの目的としている。
本発明者らは、今般、バインダー剤を所定濃度で含有する溶液をCNTに含浸させて凝集物とし、それを解砕処理することで分散性の良好なナノカーボン配合凝集物を効率的に取得しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
本発明の一実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物の製造方法であって、
(1)ナノカーボン100質量部に対して、1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る工程、および
(2)上記固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る工程、
を含んでなり、
JIS K 6219-3に準拠して測定される上記ナノカーボン配合凝集物の硬度が10g以下である、方法が提供される。
また、本発明の別の実施形態によれば、上記方法により得られた、ナノカーボン配合凝集物が提供される。
本発明によれば、分散性の良好なナノカーボン配合凝集物を効率的に取得することができる。本発明は、分散性が良好であり、嵩密度が高く飛散性の低いナノカーボン配合凝集物を効率的に取得する上で有利に利用することができる。また、本発明によれば、ナノカーボン配合凝集物の分散性を向上させることにより、加工性・ハンドリング性等の作業性を向上させることが可能である。また、本発明によれば、閉鎖系の固相状態で配合処理、解砕処理を連続的に実施してナノカーボン配合凝集物を提供しうることから、環境負荷を低減する上で有利である。また、本発明によれば、大掛かりな設備を必要とせず、ナノカーボン配合凝集物を低原価で簡便にかつ迅速に量産できることから、工業生産上特に有利である。
参考例1で得られたCNT配合凝集物のAFM写真(100倍)。 実施例1で得られたCNT配合凝集物のAFM写真(100倍)。 CNT配合凝集物の凝集塊の大きさの分布
本発明の一実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物の製造方法であって、
(1)ナノカーボン100質量部に対して、1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る工程、および
(2)上記固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る工程、
を含んでなり、
JIS K 6219-3に準拠して測定される上記ナノカーボン配合凝集の硬度が10g以下である、方法が提供される。
以下、本発明によるナノカーボン配合凝集物の製造方法を工程毎に詳細に説明する。
[工程(1)]
本発明の一実施形態によれば、工程(1)において、ナノカーボン100質量部に対して、1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る。理論に拘束されるものでないが、上記各成分を所定の配合量で接触させることにより、凝集現象と被覆現象が好適なバランスで生じ、固体凝集物が生成するものと考えられる。すなわち、凝集現象においては、2つ以上のナノカーボン粒子の間に存在するバインダー剤と液媒体が界面張力で粒子を結合して大きなナノカーボン含有粒子を形成し、一方で、ナノカーボン含有粒子表面に付着したバインダー剤と液媒体は、ナノカーボン含有粒子を被覆して層を形成する。このような凝集現象と被覆現象を繰り返して、固体凝集物は安定して生成するものと考えられる。
本発明でいう「ナノカーボン」とは、ナノメートル(10億分の1m)の大きさの構造をもつカーボンからなる物質群の総称である。ナノカーボンとしては、CNT、CNF、CNC、GPN、フラーレンまたはGPN等が挙げられるが、好ましくはCNTまたはGPNであり、より好ましくはCNTである。なお、本発明でいう「グラフェン(GPN)」とは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシートだけでなく、複数のシートからなるが商業的にグラフェンの名前が付けられている物質を含む。
本発明において使用するCNTに特に制限はなく、単層構造を有するシングルウオールCNT、多層構造を有するマルチウオールCNTの範疇に入る2層のダブルウオールCNT等いずれの形態であってもよい。また、CNTは製造方法により得られる形態が異なることが知られているが、本発明においては、アーク放電型、触媒気相製造法、レーザーアブレーション法、その他の方法を含め、いずれの製造方法により得られたものであってもよい。
本発明のナノカーボン配合凝集物の製造方法に使用される原料としてのCNTは、電気的・機
械的な特性や分散性等の物性の優位性を確保する観点から、繊維径は、好ましくは1nm~200nmであり、より好ましくは1nm~150nmであり、さらに好ましくは1nm~100nmである。
また、CNTの繊維長は、導電性や機械的特性、分散性の確保や繊維の切断の回避の観点から、好ましくは0.1μm~2000μmであり、より好ましくは0.1μm~1000μmであり、さらに好ましくは0.1μm~500μmである。
CNTのアスペクト比としては、通常10~10000程度であり、六角網目状のグラファイトシートが円筒状をなした構造物が好適に用いられる。単層のCNT、多層のCNTいずれでもよく、最終の目的に応じて選択することができる。また、CNTの製造方法に関しても制限されるものではなく、炭素含有ガスを触媒と接触させる熱分解法、炭素棒間にてアーク放電を発生させるアーク放電法、カーボンターゲットにレーザーを照射するレーザー蒸発法、金属微粒子の存在下で炭素源のガスを高温で反応させるCVD法、一酸化炭素を高圧下で分解するHiPco法等のいずれでもよい。また、金属原子をドープしたCNTでもよい。また、これらのCNTは、単独または複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の一実施形態によれば、バインダー剤としては、ナノカーボン表面の濡れ性を改善する観点から、例えば、両親媒性の高分子または低分子化合物等の界面活性剤が使用されるが、好ましくはポリオキシアルキレン鎖を有するグラフト型ポリマー、アミン系ポリマーまたはセルロース系ポリマー等である。
ポリオキシアルキレン鎖を有するグラフト型ポリマーとしては、例えば、ポリオキシアルキレン鎖をグラフト鎖として有する多官能櫛型の機能性ポリマーが挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖をグラフト鎖として有する多官能櫛型の機能性ポリマーとしては、例えば、(a)下式(I)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル単位、(b)無水マレイン酸単位、(c)スチレン単位で構成され、これらの組成比がモル%で(a):(b):(c)=25~75:25~75:0~50であるアリルアルコール・無水マレイン酸・スチレン共重合物とポリオキシアルキレンモノアルキルアルコールとのグラフト化物が挙げられる。
Figure 0007134320000002
上記(c)のスチレン単位が0モル%の場合は、スチレン単位が含まれない場合であり、この場合は、機能性ポリマーは、(a)下記式(I)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル単位、(b)無水マレイン酸単位で構成され、これらの組成比がモル%で(a):(b)=25~75:25~75であるアリルアルコール・無水マレイン酸共重合物とポリオキシアルキレンモノアルキルアルコールとのグラフト化物である。
上記(c)のスチレン単位を含む場合において、上記(a)~(c)の好ましい組成比は、モル%で(a):(b):(c)=25~40:25~40:20~50となるものが好ましい。
上記成分(b)のエチレンオキサイド単位の付加モル数、好ましくは、式(I)中のmは、5~50モルである。
また、Rは炭素数1~5の直鎖または分岐を有するアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基の直鎖のもの;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基の分岐鎖のもの;シクロプロピル基、シクロペンチル基の環状のもの等が挙げられる。
本発明に用いるアリルアルコール・無水マレイン酸・スチレン共重合物とポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化物としては、例えば、下記式(II)、また、アリルアルコール・無水マレイン酸共重合物とポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化物としては、下記式(III)に示すものが例示され、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
Figure 0007134320000003
より具体的な例としては、上記式(II)中、m=11、n=20となるグラフト化物、市販品ではマリアリムAKM-0531(日油社製);上記式(II)中、m=13、n=18、質量平均分子量:40000となるグラフト化物、市販品ではマリアリムAAB-0851(日油社製);上記式(II)中、m=28、n=20となるグラフト化物、市販品ではマリアリムAFB-1521(日油社製)等が挙げられる。なお、上記式(II)中のnは、正の数である〔下記式(III)中も同様〕。
Figure 0007134320000004
より具体的な例としては、上記式(III)中、m=11、n=14となるグラフト化物〔メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド11モル付加)アリルエーテルと無水マレイン酸の共重合体〕、市販品ではマリアリムSC-0505K(日油社製)等が挙げられる。
本発明の一実施形態によれば、アミン系ポリマーとしてはジアリルアミン系カチオンポリマーを好適に使用することができる。ジアリルアミン系カチオンポリマーはジアリルアミンの塩酸塩、硫酸塩等の2級アミン塩のポリマー、ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジアルキルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩のポリマー等が挙げられるが、これらのうち、4級アンモニウム塩のポリマーが好ましく、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロイド)(PDADMAC)等のポリマーが特に好ましい。
また、本発明の別の実施形態によれば、アミン系ポリマーは、少なくとも1種の4級アンモニウム基を有するモノマーおよび少なくとも1種の4級アンモニウム基を有さない多官能性モノマーの重合により得られるコポリマーであってもよい。4級アンモニウム基を有するモノマーと多官能性モノマーに対する質量比は、好ましくは90/10~10/90であり、より好ましくは75/25~40/60であり、さらに好ましくは60/40~50/50である。
アミン系ポリマーである上記コポリマーの構成要素のうち、4級アンモニウム基を有するモノマーは、好ましくは、下記式(IV):
Figure 0007134320000005
(式(IV)において、Rは、HまたはC~C-アルキルであり、Rは、Hまたはメチルであり、Rは、C~C-アルキレンであり、R、RおよびRは、それぞれ独立にHまたはC~C30-アルキルであり、Xは、-O-または-NH-であり、Yは、Cl、Br、I、硫酸水素塩またはメト硫酸塩である。)のモノマーから選択されてもよい。好ましい式(I)のモノマーとしては、RおよびRがそれぞれHであるか、または、RがHでありRがCHまたは好ましくは同様にHである。
特に好ましい式(IV)のモノマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートメトクロリド(DMA3*MeCl)とも称される[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドまたはジメチルアミノエチルメタクリレートメトクロリド(DMAEMA*MeCl)とも称されるトリメチル-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチル]アザニウムクロリドである。
また、アミン系ポリマーである上記コポリマーの構成要素のうち、少なくとも1種の4級アンモニウム基を有さない多官能性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、イタコン酸またはマレイン酸のメチルエステルまたはエチルエステル、アクリル酸エチルまたはアクリル酸メチル等が挙げられる。
また、一実施形態によれば、アミン系ポリマーである上記コポリマーの構成要素のうち、上記4級アンモニウム基を有さない多官能性モノマーは、好ましくは、下記式(V):
Figure 0007134320000006
(式中、Rは、HまたはC~C-アルキルであり、Rは、Hまたはメチルであり、RおよびR10は、互いに独立に、HまたはC~C30-アルキルである)で表されるモノマーから選択される。
上記式(V)のモノマーは、好ましくは、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはジアルキルアミノアクリルアミドである。
また、上記した多官能性モノマーにおいて、4級アンモニウム基を有さない多官能性モノマーとしては、下記式(VI):
Figure 0007134320000007
(式中、Raは、HまたはC~C50-アルキルであり、Rbは、HまたはC1~C4-アルキルであり、Rcは、Hまたはメチルであり、
nは、0~100の整数である)で表される非アミン系モノマーでもよい。
上記式(VI)の非アミン系モノマーにおいて、Raは、好ましくはC~C30-アルキルであり、より好ましくはC16~C22-アルキルであり、Rbは、好ましくはHであり、nは、好ましくは3~50である。
式(III)の非アミン系モノマーは、好ましくは、脂肪族アルコールエトキシレートまたはそのメタクリレートである。
上記式(I)、上記式(II)、および上記式(III)のモノマーは各々、アミン系ポリマーを構成するコポリマー中において複数種を用いてもよい。したがって、例えば、上記式(III)のモノマーのR基は、C16およびC18等、異なる鎖長を有するモノマーがコポリマー中に存在してもよい。
一実施形態によればアミン系ポリマーを構成するコポリマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルと、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルおよびこれらの組み合わせから選択されるモノマー単位とから構成されるコポリマーである。より具体的には、上記コポリマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸ジC~CアルキルアミノC~Cアルキルと、(メタ)アクリル酸C~Cアルキル、および(メタ)アクリル酸モノヒドロキシC~Cアルキルおよびこれらの組み合わせから選択されるモノマー単位して含んでなるコポリマーであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル・(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマーであり、さらに好ましくはメタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマーである。このようなメタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマーとしては、市販のものを使用してもよく、例えば、オイドラギット(登録商標)E100(デグサ社)が挙げられる。
本発明の一実施形態によれば、セルロース系ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、疎水変性カルボキシメチルセルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性ヒドロキシプロピルセルロース、カチオンおよび疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオンおよび疎水変性ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくはカルボキシメチルセルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオンおよび疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、またはこれらの混合物であり、より好ましくはカルボキシメチルセルロースである。
セルロース系ポリマーの具体的な例としては、Finnfix GDA(CP Kelcoによって販売)、例えば、商品名Finnfix SH1(CP Kelco)として販売されているカルボキシメチルセルロースのアルキルケテン二量体誘導体、または商品名Finnfix V(CP Kelcoによって販売)として販売されているブロック系カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
上記した以外のバインダー剤との具体例としては、カチオン化でんぷん、カチオン化グァーガム、変性ポリビニルアルコール、カチオン化ポリアクリルアミド、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、メラミン樹脂誘導体、ポリビニルアミンまたはその誘導体、ポリビニルピリジンまたはその誘導体、ポリメタクリル酸エステル誘導体、ポリアクリル酸エステル誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム誘導体、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリダドマック、ポリアルキレンポリアミンまたはその誘導体、ポリアリルアミンまたはその誘導体等のカチオン基(1~4級アンモニウム塩等)を主鎖または側鎖に導入されたポリマー、クエン酸、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
バインダー剤の分子量は、バインダー剤を含浸させるナノカーボンの種類にもよるが、ナノカーボンを液媒体中で分散安定化させる観点から、質量平均分子量が1,000~100,000程度であってもよいが、好ましくは1,000~50,000であり、より好ましくは1,500~3,000である。また、固体凝集物とした後に剪断して粒状物とした際の粒状物どうしの付着性(凝集性)の観点からは、質量平均分子量が8,000~50,000であることが好ましい。なお、質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により、定法に従って測定することができる。
また、本発明の一実施形態によれば、工程(1)において使用する液媒体は、例えば、有機溶剤オイル、可塑剤、水等であり、好ましくはプロセスオイルである。
本発明の一実施形態において、上記工程(1)を実施する温度は特に限定されないが、例えば、5~50℃であり、好ましくは30~40℃である。
また、本発明の一実施形態において、上記工程(1)は、2工程に分けて実施することができる。
すなわち、本発明の好ましい実施形態において、上記工程(1)は、
(1a)バインダー剤と液媒体とを含有するバインダー液を準備する工程、および
(1b)バインダー液をナノカーボンに含浸させて固体凝集物を得る工程
を含んでなる。
本発明の一実施形態においては、工程(1a)において、バインダー剤と液媒体と混合することによりバインダー液を調製する。
バインダー剤の使用量は、ナノカーボン100質量部に対して0.1~10質量部の範囲内で適宜設定することができるが、好ましくは0.15~5質量部であり、より好ましくは0.2~2質量部である。
また、液媒体の使用量は、ナノカーボン100質量部に対して43~233質量部の範囲で適宜設定することができるが、好ましくは80~200質量部であり、より好ましくは100~150質量部である。
また、上記のように、工程(1)を工程(1a)および(1b)のようにして実施する場合は、バインダー液におけるバインダー剤の濃度は、例えば、0.1~5質量%であり、好ましくは0.2~3質量%であり、より好ましくは0.2~2質量%である。
バインダー剤および液媒体を上述のような所定量に調整することは、工程(1b)においてバインダー液を滴下する際に、液滴の大きさを適切な範囲留め、バインダー液の含浸処理を効率的に行うことができる。
本発明の一実施形態においては、バインダー剤と液媒体との混合は、公知の撹拌装置を使用して撹拌により実施することができるが、均一な混合物の調製の観点からは、斜坑型撹拌翼槽を使用することが好ましい。
上記撹拌装置における撹拌速度は、例えば、5~20rpmであり、好ましくは5~12rpmであり、より好ましくは7~10rpmである。上記撹拌は、工程(1b)において、バインダー液をナノカーボンに添加する際に継続してもよい。
また、本発明の一実施形態によれば、工程(1b)において、バインダー液をナノカーボンに含浸させて固体凝集物を得る。
バインダー液の使用量は、ナノカーボン100質量部に対して44~243質量部の範囲で適宜設定することができるが、好ましくは80~200質量部であり、より好ましくは100~150質量部である。
工程(1b)における含浸処理は、ナノカーボンに対してバインダー液を滴下することにより実施することが好ましい。上記含浸処理は、公知の撹拌装置内で実施してよいが、均一な混合物の調製の観点からは、傾斜型撹拌槽を使用することが好ましい。本発明の好ましい実施形態によれば、傾斜型撹拌槽内にナノカーボンを仕込み、斜坑型撹拌槽を所定の回転数にて回転させながら、バインダー液を傾斜型撹拌槽中のナノカーボンに滴下する。
また、本発明の一実施形態によれば、工程(1b)における含浸処理は、減圧雰囲気、加圧雰囲気またはそれらを組み合わせた条件下で実施される。このように減圧および加圧操作を繰り返して行うことは、バインダー液の吸着速度を調節する上で好ましい。また、工程(1b)において、圧力条件を調整することは、ナノカーボン内部へバインダー液を均一に浸透させ、さらにはナノカーボン表面の濡れ性を向上させる上でも有利である。
本発明の好ましい実施形態によれば、工程(1b)における含浸処理は減圧雰囲気下で実施される場合、減圧条件は、例えば、5~50Paであり、好ましくは10~40Paであり、より好ましくは10~20Paである。
本発明の好ましい実施形態によれば、工程(1b)における含浸処理が加圧雰囲気下で実施される場合、加圧条件は、例えば、0.1~5MPaであり、好ましくは0.2~5MPaであり、より好ましくは0.5~3MPaである。
工程(1b)において、上述のような所定量でナノカーボンにバインダー液を添加することにより、可塑性を備えた軟性の固体凝集物として好適に調製することができる。
[工程(2):固体凝集物の解砕処理工程]
次いで、本発明の一実施形態によれば、上記工程(1)において得られた固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る。
本発明の解砕処理は、塊状の固体凝集物を解きほぐす分散処理をいい、解膠をも含めた広い意味に用いる。解砕処理は、剪断装置を用いて実施することが好ましく、剪断破砕装置を用いることがより好ましい。ここで、剪断とは、剪断力を試料に加えて試料を微細化する処理をいう。剪断装置としては、高速で回転する刃と固定されたカッティングヘッドの刃によって投入された固体凝集物が細分化されるものや、大きな相対速度を持つ2面のディスク間の間隙に起きる剪断力と衝撃を利用して固体凝集物の剪断と高速撹拌を同時に行うような装置が挙げられる。より具体的な剪断装置としては、コミトロール、コロイドミル、電動ミル、マスコロイダー、フードプロセッサー、パルパーフィニッシャー、ロータリーカッターミル、ミクロマイスター、ナノカッター、解砕機等が挙げられ、好ましくはナノカッターである。
剪断装置の運転条件は、特に限定されないが、効率的なナノカーボン配合凝集物の生産の観点から設定することが好ましい。具体的には、解砕処理時の剪断装置中の温度は、例えば、20℃~90℃程度である。また、剪断装置を用いて解砕処理を実施する場合、剪断装置における刃の回転速度は、350~600rpm程度、好ましくは500~600rpm程度である。
解砕処理は、1回行ってもよく、2回以上繰り返し行ってもよい。
本発明によれば、工程(1)で得られた固体凝集物を工程(2)の解砕処理に付して、乾燥工程を経ることなく、直接的にナノカーボン配合凝集物を提供することができる。したがって、一実施態様によれば、本発明の方法は、乾燥処理工程を含まない。本発明の製造方法は、乾燥工程経ずに簡便に実施しうることから、短時間でナノカーボン配合凝集物を効率的に取得する上で有利である。
[ナノカーボン配合凝集物]
本発明の一実施形態によれば、上記方法により得られたナノカーボン配合凝集物が提供される。本発明の好ましい実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物は非乾燥状態の製品(保管物、包装品等)として提供される。
本発明のナノカーボン配合凝集物は硬度が10g以下に調整されることから、優れた分散性およびハンドリング性を発揮する上で有利である。本発明において「硬度」とは、JIS K 6219-3に準拠して測定された硬度を意味する。ナノカーボン配合凝集物の硬度は20g以下の範囲内であればよいが、好ましくは5~15gであり、より好ましくは5~10gである。
また、本発明の一実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物の嵩密度は、好ましくは0.5~2.3g/cmであり、より好ましくは0.8~2.0g/cmであり、さらに好ましくは0.8~1.5g/cmである。本発明の製造方法により得られるナノカーボン配合凝集物は、上記のように嵩密度が非常に高く、従って、例えば合成樹脂等への混錬工程において、貯蔵タンク内でのブリッジの発生防止や供給時の自動計量化が可能となり、輸送や在庫コストの低減化にもつながる等のメリットもある。
本発明の一実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物は、粒状である。ナノカーボン配合凝集物の平均粒径は、好ましくは0.15~2.0mmであり、より好ましくは0.25~1.8mmであり、さらに好ましくは0.25~1.0mmである。なお、平均粒径とは、ナノカーボン配合凝集物の顕微鏡観察により、ランダムに抽出した100個の凝集物のそれぞれについて粒径を算出し、平均した値をいうものとする。
また、本発明のナノカーボン配合凝集物は、優れた分散性を奏しうることから、粒度のバラツキを好適に抑制した集合体として提供することができる。したがって、本発明の一実施形態よれば、ナノカーボン配合凝集物は組成物として提供される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ナノカーボン配合凝集物において、JIS K 6219-1:2005(ゴム用カーボンブラック-造粒粒子の特性-第1部:微粉の求め方)に準拠して測定されるナノカーボン配合凝集物の粒度(R)は、例えば、0.1~5%であり、好ましくは0.2~3%であり、より好ましくは0.2~1.5%である。
なお、上記粒度(R)は、以下の式に基づき算出することができる。
Figure 0007134320000008
R:粒度(%)
E:ふるい面上のナノカーボンの質量(g)
B:試料(全成分を含んだもの)の質量(g)
また、本発明の一実施態様によれば、以下が提供される。
[1]ナノカーボン配合凝集物の製造方法であって、
(1)ナノカーボン100質量部に対して、0.1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る工程、および
(2)上記固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る工程、
を含んでなり、
JIS K 6219-3に準拠して測定される上記ナノカーボン配合凝集の硬度が20g以下である、方法。
[2]上記ナノカーボンが、カーボンナノチューブおよびグラフェンから選択される少なくとも一つのものである、[1]に記載の方法。
[3]上記バインダー剤が、高分子界面活性剤である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]上記バインダー剤が、ポリオキシアルキレン鎖を有するグラフト型ポリマー、アミン系ポリマーおよびセルロース系ポリマー、クエン酸、および炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つのものである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]上記液媒体が、有機溶剤および水から選択される少なくとも一つのものである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]上記工程(1)が、
(1a)上記バインダー剤と上記液媒体を含有するバインダー液を準備する工程、および
(1b)上記バインダー液をナノカーボンに含浸させて上記固体凝集物を得る工程
を含んでなる、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[7]上記工程(1b)が、減圧雰囲気、加圧雰囲気およびそれらを組み合わせからなる群から選択される条件下で実施される、[6]に記載の方法。
[8]上記減圧雰囲気が50~5Paである、[7]に記載の方法。
[9]上記加圧雰囲気が0.1~5MPaである、[7]または[8]に記載の方法。
[10]工程(2)における解砕処理が、剪断装置を用いて実施される、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]上記ナノカーボン配合凝集物が非乾燥状態で提供される、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]上記ナノカーボン配合凝集物の嵩密度が、0.8~2.0g/cmである、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]上記ナノカーボン配合凝集物の平均粒径が、0.15~2.0mmである、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の方法により得られた、ナノカーボン配合凝集物。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特段の記載のない限り、本明細書における単位および測定方法は、日本工業規格(JIS)の規定に従う。
以下の実験に使用したCNT(商品名:K-Nanos-100P,100T,210T,300T、500T、Kumho Petrochemical社製)の物性は、表1に示される通りであった。
Figure 0007134320000009
[参考例1]
傾斜型撹拌槽(PT40SMV、マゼラー社製)内に粉体ナノカーボン(CNT)2kgを仕込み、減圧した。次いで、液媒体(プロセスオイル、日本サン石油社製)を傾斜型撹拌槽内のCNTに対して2kgを滴下した。滴下終了後には、撹拌羽根を回転させたまま減圧および加圧操作を繰り返し行い、CNTに液媒体が浸透するのを促進させて固体凝集物を得た。
次に、得られた固体凝集物を、多段式のロータリーカッターミルにより連続的に剪断破砕処理し、目的とするCNT配合凝集物を得た。
CNT配合凝集物について、以下の手法により物性(嵩密度、炭素含有率、平均粒子径、粒度、粒子の硬度)を測定した。
(嵩密度)
嵩密度は、JIS K 6219に規定されるカーボンブラックの嵩密度の測定法に準拠して求めた。
(炭素含有率)
炭素含有率は、JIS K 6218-2に準拠して測定された灰分(%)を100%から差し引くことにより求めた。
(平均粒子径)
走査型電子顕微鏡(SEM)により、CNT配合凝集物の形態観察を実施した。観察は300倍のSEM画像を用いて、任意に100個のCNT配合凝集物の外径を計測し、その数平均値をもってCNT配合凝集物の平均粒径(mm)とした。
(粒度)
また、JIS K 6219-1:2005に準拠してCNT配合凝集物の粒度(R)を、以下の式に基づき算出した。
Figure 0007134320000010
R:粒度(%)
E:ふるい面上のナノカーボンの質量(g)
B:試料(全成分を含んだもの)の質量(g)
(粒子の硬度)
粒子の硬度は、JIS K 6219-3(カーボンブラック-造粒粒子の硬さの求め方)に準拠して測定した。
上記測定の結果は表2に示される通りであった。
Figure 0007134320000011
得られたCNT配合凝集物のシートを、端部から2mm幅で切片を切り出し、切断面を原子間力顕微鏡(MFP-3D-SA-J、オックスフォード・インストゥルメンツ社製)を用いて、スキャンサイズ40μm×40μmにてACモード(タッピングモード)にて観察(100倍)した。AFM写真を図1に示す。
[実施例1]
傾斜型撹拌槽(PT40SMV、マゼラー社製)内に粉体ナノカーボン(CNT)2Kgを仕込み、減圧した。次に、斜坑型撹拌槽(ST-J-ASC-36、新東社製)中で、液媒体(プロセスオイル、日本サン石油社製)と、バインダー剤(マリアリム AKM0531、日油社製)とを撹拌(100rpm)してバインダー液(バインダー剤濃度10質量%、4g)を調製し、減圧雰囲気(10Pa)にてバインダー液を撹拌しながら傾斜型撹拌槽内のCNTに対して滴下した。滴下終了後には、撹拌羽根を回転させたまま減圧および加圧操作を繰り返し行い、CNTに対するバインダー液の浸透を促進させ、軟凝集物を得た。
得られたCNT配合凝集物について、上記と同様にして評価を行った。AFM観察を行った。AFM写真を図2に示す。
[実施例2]
バインダー剤として、ポリエチレンワックス(バインダー剤濃度10質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてCNT配合凝集物を製造し、上記と同様にしてAFM観察を行った。
[参考例2]
下記表3に示す各成分を下記表に従って配合した混練物を製造し、上記と同様にしてAFM観察を行った。
Figure 0007134320000012
[参考例3]
下記表4に示す各成分を下記表に従って配合した混練物を製造し、上記と同様にしてAFM観察を行った。
Figure 0007134320000013
実施例1~2のCNT配合凝集物、および参考例1~3の混練物のそれぞれのAFM観察写真から、任意の5箇所における凝集塊の大きさと個数を数え、その平均値を求めた。凝集塊の分布を図3に示す。図3から、実施例1のCNT配合凝集物中の凝集塊の大きさは3~60μmであることがわかる。
以上に示される通り、実施例のCNT配合凝集物の粒子の硬度は10g以下であり、硬度粒度分布が狭かった。実施例のCNT配合凝集物では、粒子の硬度が低レベルに抑制され、その結果バラツキが抑制され、分散性が向上しているものと考えられる。
実施例1では、乾燥工程を行う必要がないことから、造粒工程における焼き締まりによる粒子の硬度上昇を回避され、CNT配合凝集物の粒子の分散性の向上に寄与しているものと考えられる。また、実施例1では、閉鎖系内で、嵩密度が高く飛散性のCNT配合凝集物を連続的、効率的に生成することから、CNTの飛散を防止することができ、安全に対するリスクを抑制できると考えられる。
本発明によれば、分散性が良好であり、嵩密度が高く飛散性の低いナノカーボン配合凝集物を効率的に製造することができる。また、本発明によれば、ナノカーボン配合凝集物の分散性を向上させ、加工性・ハンドリング性等の作業性を著しく向上させることができる。また、本発明によれば、閉鎖系の固相状態で配合処理を実施し、さらに連続的な解砕処理によりナノカーボン配合凝集物粒子を製造できることから、環境負荷を低減する上で有利である。また、本発明によれば、大掛かりな設備を必要とせず、粒度分布の良好なナノカーボン配合凝集物を低原価で迅速に量産できることから、工業生産上特に有利である。

Claims (13)

  1. ナノカーボン配合凝集物の製造方法であって、
    (1)ナノカーボン100質量部に対して、0.1~10質量部のバインダー剤および43~233質量部の液媒体を含浸させて固体凝集物を得る工程、および
    (2)前記固体凝集物を解砕処理してナノカーボン配合凝集物を得る工程、
    を含んでなり、
    JIS K 6219-3に準拠して測定される前記ナノカーボン配合凝集物の硬度が20g以下である、方法。
  2. 前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブおよびグラフェンから選択される少なくとも一つのものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記バインダー剤が界面活性剤である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記バインダー剤が、ポリオキシアルキレン鎖を有するグラフト型ポリマー、アミン系ポリマーおよびセルロース系ポリマー、クエン酸、および炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記液媒体が、有機溶剤および水から選択される少なくとも一つのものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記工程(1)が、
    (1a)前記バインダー剤と前記液媒体を含有するバインダー液を準備する工程、および
    (1b)前記バインダー液をナノカーボンに含浸させて前記固体凝集物を得る工程
    を含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記工程(1b)が、減圧雰囲気、加圧雰囲気およびそれらを組み合わせからなる群から選択される条件下で実施される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記減圧雰囲気が5~50Paである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記加圧雰囲気が0.1~5MPaである、請求項7または8に記載の方法。
  10. 工程(2)における解砕処理が、剪断装置を用いて実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ナノカーボン配合凝集物が非乾燥状態で提供される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ナノカーボン配合凝集物の嵩密度が、0.8~2.0g/cmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ナノカーボン配合凝集物の平均粒径が、0.15~2.0mmである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
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