JP2011042538A - カーボンナノチューブ樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂をバインダーとしてカーボンナノチューブを被覆(コーティング)し浸透させることで、カーボンナノチューブを高配合で粒状化させ、カーボンナノチューブの飛散性の大幅な低減とともに加工性・ハンドリング性・作業性・安全性・ポリマーマトリックスとの濡れ性・分散性を著しく向上させたカーボンナノチューブ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】熱硬化性樹脂を5〜40wt%含有し、熱硬化性樹脂でカーボンナノチューブを被覆し顆粒状化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブ(以下CNTと記す)樹脂組成物及びその製造方法に関する。
CNTは直径が数nm〜約500nmで、長さが10nm〜数10μm程度でアスペクト比が大きく、チューブ状構造の炭素の結晶である。その種類は多岐にわたり、単層構造を有するシングルウォールカーボンナノチューブ、多層構造を有するマルチウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブの範疇に入る二層のダブルウォールカーボンナノチューブなどがあり、また、その両端が封鎖されているものから、片末端のみが封鎖されているもの、両末端とも開いているものがあり、また、その丸め方の構造にもアームチェアー型等いくつか種類がある。CNTの製造方法もアーク放電型、触媒気相製造法、レーザーアブレーション法やその他の方法があり、それぞれ一長一短がある。
また、CNTは次世代材料として注目を浴びており、帯電防止剤や導電性付与材剤としての使用はもちろん、半導体、燃料電池用電極、ディスプレーの陰極線等の用途開発がされている。
一般に、種々の合成樹脂(以下樹脂と略す)にCNTを配合して、樹脂に電気伝導性や高強度、高弾性、熱伝導性等を付与することが知られている。
ところが、CNTは嵩密度が1〜5g/100ccと非常に低く、多量の空気を巻き込んでいるため飛散性が高い。製造業者においては、飛散による環境汚染に対する取り扱いの困難性、空送時の貯蔵タンク内でのブリッジの発生、嵩密度の低さゆえの工程内での輸送時間および梱包時の充填時間が長い等安全上、作業上の多くの課題を抱えている。一方、使用する顧客においては上記性質の故に、運搬時および樹脂や液体ポリマーマトリックスへの配合・混合・混練時における取り扱いにおいて定量性を確保することは困難である。さらに、CNTのポリマーマトリックスとの濡れ性が悪く、特に樹脂配合においては、配合の初期段階において非常に馴染みにくいため、分散性が悪く両者の混練に長時間を要し作業性に欠けるという課題がある。
CNTと同様に嵩密度の低い粉体としては、カーボンブラックがあり、これを樹脂やエラストマー等の固体もしくは液体エラストマーマトリックスへ高配合する場合、コンパクターに掛けたり、固体マトリックスをパウダー状態にしたりと様々な工夫がなされている。一方、カーボンブラックを始めとする導電性フイラーの製造者においては、従来これらを造粒化し嵩密度を上げ、粒硬度を高めて使用してきた。
このような状況から、CNTの造粒化も容易に想像されるものの、一次粒子が球状であるカーボンブラックに比較してCNTは結晶構造が大きく発達しており、表面官能基が少なく、チューブ状かつ繊維状で大きなアスペクト比を持ち、弾力性が高く、嵩密度がカーボンブラックに比較してさらに低いため、造粒化技術には大きな問題があった。
この課題を解決するため、特許文献1や2に開示されているように高速気流中衝撃法が提案されている。また、特許文献3には、水溶性樹脂の析出によるCNT樹脂組成物の製造方法が提案されている。
特開2005−239531号公報 特開2006−143532号公報 特開2009−62461号広報
しかしながら上記従来の技術においては、次の様な課題を有していた。
(1)(特許文献1)又は(特許文献2)に開示の技術においては、高速気流中で粉体を解砕し、さらに複合化する装置が用いられている。この装置の本来の用途は、粉体母粒子表面に異種の粉体微粒子を高速気流衝撃により付着させるというものであり、一種類のCNTのみの造粒化は極めて困難であるだけでなく、もし出来たとしてもその造粒物の粒子径は200μm以下と非常に小さいものであり、ミリメートルオーダーの粒状化は困難であった。
そのため、飛散性にともなう安全性や環境汚染性、ハンドリング性について課題を残している。
(2)さらに、バインダーを用いない通常の造粒物の場合、粉状物を用いる場合より輸送、充填時等での飛散性や環境汚染度さらには、樹脂や液体ポリマーマトリックス等への配合・混合・混練時の作業性は格段に向上するものの、昨今益々厳しくなってきている、「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応」を満足するには、飛散性一つを取っても十分といえず、また、樹脂等への配合時の初期配合性や分散性も満足いくものではないという課題を有していた。
(3)(特許文献3)に開示の技術においては、析出作業が煩雑であるうえ、CNTの被覆に使用する樹脂が水溶性でなければならず、水溶性でない場合には水溶性を付与する官能基を導入しなければならない等、使用できる樹脂に制限があることに加え、当文献によるCNT樹脂組成物のCNT配合量が高々10%程度にしかならない等の課題があった。
CNTの安全性に関する提言としては、英国王立協会と王立工学会(RS/RAE)が「2004、Box5,4」で発表した、「CNTの健康リスクのアセスメントと評価」等がありこの中での結論として、「予備的研究では、ある形態のCNTは中皮腫の進行を引き起こすことがありうる」としている。この結論に関しては、現在も専門家の間で確認研究がなされておりその結果を待つ必要があるが、現段階でも言えるのは、CNTを可能な限り安全な形態に処理し、取り扱う過程における安全性を高める努力が必要であるということである。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、官能基の導入など煩雑な作業の必要がなく、親水性・疎水性問わず熱硬化性樹脂をバインダーとしてCNTを被覆(コーティング)し浸透させることで、CNTを高配合で粒状化させ、飛散性の大幅な低減とともに加工性・ハンドリング性等の作業性・ポリマーマトリックスとの濡れ性・分散性を著しく向上させたCNT樹脂組成物を提供することを目的としている。
また、本発明は、官能基の導入など煩雑な作業がなく、親水性・疎水性問わず熱硬化性樹脂をバインダーとしてCNTを被覆(コーティング)し浸透させることで、CNTを高配合で粒状化させ、飛散性の大幅な低減とともに加工性・ハンドリング性等の作業性・ポリマーマトリックスとの濡れ性・分散性を著しく向上させたCNT樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために本発明のCNT樹脂組成物及びその製造方法は以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のCNT樹脂組成物は熱硬化性樹脂を5〜40wt%含有し、前記熱硬化性樹脂で被覆され顆粒状化されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)CNTの内部に熱硬化性樹脂が浸透するとともに外表面を熱硬化性樹脂が被覆(コーティング)するので、CNTの飛散度合が極端に低くなり、取扱性を著しく向上させる。
(2)本発明のCNT樹脂組成物はCNTの内部が熱硬化性樹脂で満たされ、外表面は熱硬化性樹脂で被覆されており、かつCNT−CNT間での強い凝集のない状態で嵩密度の大きい顆粒状の造粒物となっているので、分散媒体であるポリマーマトリクス(以下基体樹脂と記す)に分散させた場合、マトリックス中への分散性に優れ、著しく優れた濡れ性・分散性を発揮する。
ここで、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂など、種々のものが使用される。中でもエポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂としては、(1)基本液状タイプ(グレード828等)、(2)希釈タイプ(グレード815等)、(3)基本固形タイプ(グレード1001等)、(4)溶液タイプ(グレード838X90等)、(5)ビスフェノール液状タイプ(グレード806タイプ)、(6)ビスフェノール固形タイプ(4004P等)、(7)フェノキシタイプ(グレード1256等)、(8)多官能タイプ(グレード1032H60等)などが挙げられる。
CNTは、カーボンブラック、ダイヤモンド、黒鉛やフラーレンなどと違い、直径が数nm〜約500nm、長さが数10nm〜数10μmというアスペクト比の大きなチューブ状の炭素同位体である。
このCNTには、その製造法や後処理などにより様々なものがあるが、大きく分けると、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブなどがある。ここではこれらを総称してカーボンナノチューブとする。ここで、マルチウォールカーボンナノチューブについては、その直径や長さが製法や後処理法により分布をもちうるが、ここでは、その平均値を、そのCNTの直径と長さとして表記する。
CNTの製造方法としては、アーク放電法、触媒気相製造法、レーザーアブレーション法やその他の方法がある。これらの製造法によりCNTの最終形状がかわる。特に、一部の製造方法では、CNTが凝集体として得られる。それらは強いバンドルなどによる凝集と、CNTが複雑に絡み合った状態を形成しており、そのままではCNTとしての特性を発揮することができない。したがって、実用的には、副生成物や不純物を取り除き精製された状態にすること、および,熱硬化性樹脂や溶剤中でCNTの凝集体を「解砕」し繊維としての特性を引き出すことが重要である。そのために、CNTの極めて細い繊維を、0.1Kg/l以下、かつ、CNTの繊維間に空隙が確認される程度に、非常に嵩高い(見かけ比重の低い)状態にすることが重要である。本発明で、使用されうるCNTについては、特に制限はないが、通常、短径が数nm〜約500nm、長さが数10nm〜数10μmのものがある。これらに関して、単独使用する場合、複数種を使用する場合、両方についてのその制限はないが、単独使用の場合は、直径が200nm以下、長さが数μm程度のものが好適である。
本発明は熱硬化性樹脂が5〜40wt%の割合となっている。
熱硬化性樹脂の被覆量が40wt%を超えるときは充填材として充填される相手側の合成樹脂に混錬する際に目標とするCNT量を配合するには、CNT樹脂組成物が多量に必要になりマスターバッチとしての有用性に欠ける。
また、本発明のCNT樹脂組成物を異種の合成樹脂に充填する場合には、異種の合成樹脂に対する本発明のCNT樹脂組成物の混合割合が多くなると、衝撃強度などの樹脂物性が低下することがある。従って、被充填合成樹脂に対する本発明のCNT樹脂組成物の混合割合は少ないことが望ましいが、本発明は、CNTが著しく高配合されたCNT樹脂組成物なので本発明の組成物を少量配合するだけでCNTの配合量は可及的に多くすることができる。
一方、本発明のCNT樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の配合量が5wt%未満のときは、熱硬化性樹脂を被覆(コーティング)していない造粒物と同じような効果しか発現せず、他の樹脂と混錬するとき粒状物が粉化し樹脂組成物中のCNTの一部が飛散して、環境面や安全面で好ましくない傾向がある。
本発明のCNT樹脂組成物を合成樹脂へ充填(配合)する場合は両者を適当な割合で配合し、130〜270℃に加熱して合成樹脂を溶融させた状態でミキシングロール、エキストルーダー、バンバリーミキサー等を用いて行われる。
本発明のCNT樹脂組成物を用いることにより、作業現場でのCNTの飛散がなく安全性に優れ、且つ、短い混練時間で合成樹脂に所望量のCNTを含有させることができ作業性に優れる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のCNT樹脂組成物であって、前記CNTの繊維径が1〜200nm、繊維長が1〜100μmである構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下の様な作用が得られる。
(1)CNTへの熱硬化性樹脂による被覆が斑なく、均一に行われ、この結果粒状化により嵩密度が増大し飛散性の改善が著しく、また、基体樹脂への分散性を著しく向上させることができる。
なお、CNTの繊維径が200nm、または繊維長が100μmを超えると、CNTとしての物性・性能が悪化するので好ましくない。CNTの繊維径が1nm、または繊維長が1μm未満のものは高収率での製造が不可能で使用できない。
請求項3に記載の発明は、CNT樹脂組成物の製造方法であって、(1)非水溶性の溶剤に熱硬化性樹脂を溶解させて樹脂バインダー溶液を調製する溶解工程と、(2)カーボンナノチューブと水の混合物を、懸濁して懸濁液を得る懸濁工程と、(3)前記溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液を前記懸濁工程で得られた懸濁液へ添加し混合して、カーボンナノチューブを水相から樹脂相へ移行させ、樹脂被膜形成と顆粒化を行う混合行程と、(4)前記混合工程で得られた混合液を静置後、水相と樹脂相を分離除去する分離行程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)熱硬化性樹脂を溶剤に溶解させて、CNTと水との均一懸濁液に添加・攪拌することで、十分に解きほぐされたCNTがフラッシング作用により、水相から樹脂層へ移行し、このときCNTが十分に解きほぐされた状態で樹脂バインダーによってフラッシングされながらこの移行が進行していくので、CNTの熱硬化性樹脂による被覆(コーティング)・浸透が斑なく均一に得られ易い。
(2)混合工程では、攪拌によって樹脂相を整粒する効果が得られるので、CNT樹脂組成物が、CNTの取り扱い上有利となる大きさの顆粒状(径は100μm〜5mm、平均500μm〜3mm)にまで造粒化でき、使用時の飛散性の改善・ハンドリング性、作業性などの取扱性の向上・及び基体樹脂中への成型時における分散性の向上を図ることができ、かつ後の分離・乾燥行程で水とCNT樹脂組成物の分離をごく簡単に行えるので生産性に優れる。
(3)CNT周辺を樹脂で被覆(コーティング)しているので、粉体強度が高く飛散し難く、CNTが高配合された樹脂組成物が得られる。
溶解工程は、熱硬化性樹脂を非水溶性の溶剤に溶解させる工程である。ここで使用する溶剤は熱硬化性樹脂を溶解し得る非水溶性の種々任意のものを使用できる。溶解の程度を簡易的に調べる方法としては、アドバンテック社製の円形ろ紙#5Cで全ての液がろ過できる程度が目安となり、ろ過残が少しでも存在する場合は溶剤を変更する必要がある。
非水溶性溶剤の例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、テトロヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン等の有機溶剤等がある。
また、エポキシ樹脂等一部の熱硬化性樹脂においては、既に非水溶性の有機溶剤に溶解した液状タイプもあり、そのまま或いは溶剤を追加して使うこともできる。
懸濁工程では、CNTを水へ配合し、均一に懸濁する。懸濁液中のCNT濃度は、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。0.5重量%未満では水―CNT懸濁液の粘度が低いため、攪拌時に分散し難くCNTの解砕、分散が悪い
傾向があり、更にワンバッチの生産性も悪くなる傾向があり、0.1%未満ではそれらの傾向が著しいので好ましくない。5重量%を超えると水―CNT懸濁液の粘度が上昇し、CNTの分散を十分に行うことができず大きなCNT凝集塊が多くなり、樹脂被覆が十分に行えないためCNT樹脂組成物として性能が悪くなる傾向があり、10重量%を超えるとその傾向が著しいので好ましくない。
CNTの水への分散の程度は、懸濁液をスポイトで硝子板上に取り、ヘラで展色し、未分散塊を目視と指で調べて、ザラザラとした質感・感触がなくなるまで懸濁させる。この処理によりCNTは凝集塊の状態から十分に解きほぐされた状態になる。
懸濁方法は、水等の分散媒に、CNTを機械的攪拌によって行うのが好ましい。また、超音波照射を併用してもよい。
この懸濁行程によって、CNTの凝集が解きほぐされ熱硬化性樹脂の被覆が斑なく均一に行われ、CNTが高配合された樹脂組成物になっても、基体樹脂に混錬などにより分散する際、十分にCNTが解きほぐされた状態で分散される。
混合行程では、溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液を、例えば60cc/分などの添加速度が均一の条件下で行う必要があり、不均一に混合するとCNTへの熱硬化性樹脂の吸着が不均一になって、最終性能に悪影響を及ぼす。
また、滴下はチューブポンプ、ダイアグラムポンプ、ギアポンプ等で行い、CNTと水との懸濁液の温度が50℃以下、好ましくは25℃以下の温度条件で行うのがよい。50℃以下なら問題ないが、これより高温になると樹脂バインダー溶液や添加液の表面張力が低下するためフラッシング性が悪くなる。
滴下状態に関して、液滴形状は必ずしも粒状でなくても良い。攪拌速度に応じて細い液柱状で連続した滴下状況であってもよい。
この際、添加液の温度には特に制限はなく、常温付近の温度範囲であればよい。
混合工程での攪拌では、懸濁溶液の液温にもよるが30分以内で攪拌速度は100rpm〜2000rpmが好ましい。30分以上攪拌を続けたりまた、攪拌速度2000rpm以上で攪拌すると、生成された樹脂組成物が破砕されスラリー状になる傾向がある。さらに、攪拌速度100rpm未満では、水懸濁液中のCNTが樹脂バインダー溶液に移行しづらい傾向にある。
CNTと水との均一懸濁液の攪拌中に、樹脂バインダー溶液を液滴状あるいは細い液柱状で添加すると樹脂相と水相の二相が形成される。CNTは初め、主に水相中に存在するが、さらに攪拌を続けると、水相中のCNTは樹脂相中に移行(フラッシング作用)する。このとき溶剤が存在すると、表面張力により攪拌下でCNTと樹脂とからなる粒状組成物を球状で得ることができるので、粒状組成物の取り扱いが容易となり有利である。樹脂相中ではCNT表面の官能基が硬化剤の役目を果たして、硬化強度は弱いものの、熱硬化性樹脂によるCNTのコーティングが進行する。CNTを樹脂相に移行させたのち、混合系から水と溶剤を除去することによりCNTと熱硬化性樹脂とからなる粒状組成物が得られる。
分離行程では、CNT樹脂組成物がCNTの取り扱い上有利となるほどまでに大きな粒子に造粒化成長しているので、分離作業は篩を使用して容易に行うことができる。この分離工程を経た後、CNT樹脂組成物中の、CNTを攪拌した水や樹脂バインダー溶液中の溶剤等を蒸発させて乾燥させる。
乾燥工程では、蒸気乾燥や真空乾燥などの方法で乾燥を行うことができる。この際の温度としては蒸気乾燥器の場合は200℃以下、真空乾燥器の場合は150℃以下が好ましい。これよりも高い温度の場合はCNTを被覆(コーティング)した熱硬化性樹脂が劣化し、最終性能が悪くなる。また、乾燥機で乾燥する前に、バット等に造粒物を広げドラフト等で常温、自然乾燥させると後の工程が容易となる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のCNT樹脂組成物の製造方法であって、前記溶解工程で、硬化剤が添加される構成を有している。
この構成により、請求項3に記載の発明の作用に加えて以下のような作用を得ることができる。
(1)CNT周辺を強固に樹脂で被覆(コーティング)できる。
請求項3に記載の混合工程では、CNTが樹脂相に移行し、樹脂相中でCNT表面の官能基が硬化剤として働き、硬化強度は弱いが熱硬化性樹脂によるCNTのコーティングが始まる。しかし、より強固にコーティングしたい場合は、硬化剤を溶解工程で樹脂とともに加えて溶解させることで、混合工程でより強固にCNTを熱硬化性樹脂でコーティングすることが出来る。
硬化剤としては、特に制限はされないが、比較的低温で硬化時間が短いイミダゾール化合物が好ましい。代表的なイミダゾール系化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルー4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジルー2−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−メチルイミダゾール、2,4ジアミノー6−〔2−メチルイミダゾール(1)〕−エチルSトリアジン等が挙げられる。硬化剤の使用量は、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計量に対する割合として、通常1〜30wt%、好ましくは5〜25wt%さらに好ましくは、10〜20wt%とされる。硬化促進剤の種類および使用量は、常法に従い、使用する硬化剤の種類にあわせて選択することができる。
硬化剤の量が樹脂と硬化剤の合計量に対して、25wt%を超えると硬化速度が過剰に速くなる傾向があり、30wt%を超えるとその傾向が著しいので好ましくない。一方、5wt%未満の場合、硬化剤を加えていない場合と同等の硬化強度しか得られない傾向にあり、1wt%未満ではその傾向が著しいので好ましくない。
請求項5に記載の発明は、CNT樹脂組成物の製造方法であって、
(1)熱硬化性樹脂を、非水溶性溶剤あるいは非水溶性と水溶性の混合した混合溶剤へ溶解する溶解工程と、(2)カーボンナノチューブを水に懸濁する懸濁工程と、(3)前記溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液に界面活性剤や両親媒性溶剤等の乳化剤と硬化剤を添加し混合して乳化する乳化行程と(4)前記乳化工程で得られた樹脂エマルジョンを前記懸濁工程で得られた懸濁液へ添加し混合してカーボンナノチューブを水相から樹脂相へ移行させ、熱硬化性樹脂によるカーボンナノチューブへの被膜形成と顆粒化を行う混合工程と、(6)前記混合工程で得られた混合液を静置後水と溶剤を分離除去する分離行程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を得ることができる。
(1)熱硬化性樹脂の乳化重合および懸濁重合をCNTと水との均一懸濁液中で行うことによって、CNTを熱硬化性樹脂で被覆することができる。
(2)乳化重合および懸濁重合が進行しながら熱硬化性樹脂がCNTを取り込むので、CNTの被覆効率が向上する。
樹脂エマルジョンの調整には、界面活性剤やアルコール等の両親媒性溶剤を使用できる。界面活性剤としては、樹脂エマルジョンの形成が可能な限り、特に制限されないが、非イオンまたは両性であって金属を含有しない界面活性剤が好ましい。また、O/Wエマルジョンに適したHLB8〜18の界面活性剤が好ましい。樹脂エマルジョンの直径は10ミクロン以下、特に5ミクロン以下にするのが好ましい。樹脂エマルジョンの使用により、CNTへの樹脂被覆が均一で安定的に、かつ高効率で進行し、良質のCNT樹脂組成物が得られる。この際、熱硬化性樹脂の被覆強度(密着度)を強めるために、液媒体中あるいは液媒体から分離後、加熱処理してもよい。加熱処理条件としては、50〜100℃で1時間以上行うのが好ましい。50℃未満では加熱処理の効果が得難い傾向にあり、100℃を超えると被覆した樹脂へのダメージとなるので好ましくない。
硬化剤としては、前途のものが使用される。
請求項6に記載の発明は、CNT組成物の製造方法であって、請求項3乃至5のうちいずれか一項に記載のCNT樹脂組成物の製造方法において、前記非水溶性の溶剤の添加量が、CNTのDBP吸収量(JIS K 6217法)の0.8〜1.5倍容量添加であることを特徴とする構成を有している。
この構成によって、請求項3乃至5のうちいずれか一項に記載ので得られる作用に加え、以下の様な作用を得ることができる
(1)熱硬化性樹脂組成物によるCNTへの樹脂被覆とその組成物の顆粒化は、添加した溶剤の量に左右され、CNTのDBP吸収量の0.8倍容量より少ないとCNT内部への溶剤の浸透が弱く、樹脂被覆が悪くなる。1.5倍容量より多いとエマルジョン化して、造粒化が困難となってしまう。しかし、CNTのDBP吸収量の0.8〜1.5倍容量の間で添加することによって、CNT周辺を極めて薄い熱硬化性樹脂の層でコーティングし、さらに造粒化することが可能となる。
ここで、DBP吸収量の測定は、カーボンブラックのオイル吸収量として定められている、JIS k 6217法で求めるのが好ましい。
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載のCNT樹脂組成物の製造方法であって、前記混合工程の後、整粒工程を有することを特徴とする構成を有している。
この構成により、請求項3乃至6のうちいずれか一項の作用に加え、以下の様な作用が得られる。
(1)整粒工程を有することによって造粒物の形状を均一にそろえ、これによって生成されたCNT樹脂組成物の使用時における飛散性を低くするように改善し、ハンドリング性、作業性などの取扱性の向上及び分散性の向上を図ることができる。
以上の様に、本発明のCNT樹脂組成物によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)粉体状で存在するCNTを単に粒状化するのではなく、CNT粒子の周りを極めて少量の熱硬化性樹脂でコーテイング(マイクロカプセル化)した造粒物とすることにより、CNT自体の飛散度合いが極端に低くなり、取り扱い性が著しく向上する結果、CNT製造業者およびこれを使用する顧客における、取り扱い現場での作業環境が大幅に改善され、さらに、CNT配合量の定量を要するさまざまな工程で著しい定量精度を確保できる様なCNT樹脂組成物を提供することができる。
(2)ポリマーマトリックスとの濡れ性が飛躍的に改善され、マトリックスへの濡れが良くなり分散時間が短縮でき、破断を抑えることもできるうえ、熱硬化性樹脂を被覆(コーテイング)していない造粒物や非造粒化物と比較して安定してポリマーマトリックス中への高配合が可能となる、工業的利用価値が極めて高い、CNT樹脂組成物を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)CNTの樹脂被覆を阻害されることがないので、CNT内部まで全体的に均一に樹脂被覆することが可能となり、物性が安定化するので、飛散性・分散性・取扱性・定量性に優れたCNT樹脂組成物を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、
(1)CNTの熱硬化性樹脂によるコーティングが斑なく均一に得られ易いので、物性が安定化し、他のバインダーを使用しないCNT造粒化物や粉体物よりも飛散性・分散性・取扱性が著しく向上するうえ、CNT配合量の定量を要するさまざまな工程で著しく定量精度を確保できる様なCNT樹脂組成物を提供することができる。
(2)CNTが十分に解きほぐされた状態で樹脂により被覆され、かつ嵩密度を高く造粒化でき、そのうえCNT−CNT間の強い凝集がないので、従来のCNT樹脂組成物に比べて著しくCNTを高配合でき、かつ基体樹脂への分散性に優れたCNT樹脂組成物を提供することができる。
(3)懸濁液中のCNTをほとんど失うことなく高収率でコーティングしてCNT樹脂組成物を生成し、かつ被覆に使用する樹脂が従来のCNT樹脂組成物に比べて少なくて済むので低原価で量産性に優れたCNT樹脂組成物の造粒化物を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加え、
(1)CNT周辺を強固に樹脂で被覆(コーティング)しているので、粉体強度が非常に高く飛散し難く、CNTが高配合された樹脂組成物を提供することができる。
請求項5の発明によれば、
(1)熱硬化性樹脂の乳化重合および懸濁重合をCNTと水との均一懸濁液中で行うことによって、CNTを高い効率で熱硬化性樹脂にて被覆することができるので、樹脂のCNTへの被覆率を低く見積もって反応させたとしても、分散性が良好でかつ低い粉化率を達成することができる。
請求項6の発明によれば、請求項3乃至5のうちいずれか一項の効果に加え、
(1)熱硬化性樹脂を溶解する非水溶性の溶剤量の条件を定めることで、CNT周辺をごく薄い樹脂の層で被覆(コーティング)してCNTを高配合させた顆粒状の樹脂組成物を生成し、かつCNTの取り扱い上有利となる大きさの粒状物にまで造粒化されたCNT樹脂組成物を提供することができる。
請求項7の発明によれば、請求項3乃至6のうちいずれか一項の効果に加え、
(1)攪拌を、CNT樹脂組成物を過度の攪拌で破砕することなく、造粒物を均一に、かつCNTの取り扱い上有利となる大きさの粒状物にまで造粒化されたCNT樹脂組成物を提供することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
CNTとして、触媒基層製造法により製造された表1で示すナノシル社製「NC7000」を準備した。尚、マルチウォールカーボンナノチューブについては、その直径や長さが製法や後処理により分布をもちうるが、ここでは、その平均値を、そのCNTの直径と長さとして表記する。
(実施例1)
CNT50gを純水4950gと共にホモミキサーを用い6000rpmで30分間撹拌しスラリーを得た。このスラリーを数滴スポイトでガラス盤上に取りヘラで展色し、未分散塊を目視と指で調べた結果、ザラザラした未分散塊は皆無であった。次いで、このスラリーをスクリュー型撹拌機付容器に移し1000rpmで混合しながら、エポキシ樹脂(旧シェルエポキシ製、製品名「エピコート828」)2.6gを完全に溶解した300gのトルエン溶液を60g/分の速度で滴下した。トルエン溶液滴下後約15分で、水に分散していたCNTは全量トルエンに溶解した樹脂側に移行し約1mm径の顆粒物が得られた。
次いで、得られた顆粒物を60meshの篩で水切り後、真空乾燥機に入れ70℃で10時間乾燥し実施例1のCNT樹脂組成物を得た。得られた顆粒物中の、残存トルエン量は100ppm、水は700ppmであった。
(実施例2〜4)
実施例1のCNTに対するエポキシ樹脂の被覆量を10wt%、20wt%、35wt%に変更した以外は、実施例1と使用器具や反応条件等は同様にして行い実施例2〜4のCNT樹脂組成物を得た。
(実施例5)
前記CNT50gを純水2000gに入れ、ホモミキサー型攪拌機を用い6000rpmで30分間撹拌した。次いで、トルエン60gにフエノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、製品名「1032H60」)5.6gを溶解させた溶液を作り、ここに硬化剤1.1gを加えて十分に溶解した後、水600gとエタノール100gを加え、ホモジナイザーにより7000rpmで30分撹拌して樹脂エマルジョンを調整した。ここで使用した硬化剤は、2−エチルー4−メチルイミダゾール(ジャパンエポキシレジン社製、製品名「EM124」)である。得られた樹脂エマルジョンの直径は5ミクロンであった。次いで、上記の水に分散させたCNTを1000rpmのスクリュー型撹拌機で混合しながら、樹脂エマルジョン液を60g/分の速度で加えた。この条件下では、CNTが樹脂側に移行せず顆粒状にならなかったので、トルエンを200g追加し顆粒化した。この工程での全ての溶剤滴下に要した時間は、20分であった。次いで、60メッシュの篩で水切り後、真空乾燥機に入れ1Torr70℃で10時間乾燥し顆粒状のCNT樹脂組成物を得た。
(比較例1)
実施例1のCNT50gを純水4950gに入れ、ホモミキサー型撹拌機を用い6000rpmで30分間分散した。次いで、スクリュー型撹拌機の付いた容器に移し1000rpmで撹拌しながら、トルエン溶液300gを60g/分の速度で滴下しCNTをトルエン側に移行し顆粒物を得た。乾燥工程等は実施例1と同様である。
(比較例2)
実施例1で用いた粉末状CNTそのものである。
〈試験例1(粉化率の測定)〉
CNT樹脂組成物5gを入れた100ccの三角フラスコを30mm間を150rpmで往復する卓上振とう器(ケニス社製 MK161)に乗せ10分間水平往復運動をおこなった。次に、10cm径の100メッシュ篩に全量を移し、篩の上部に蓋をした後、下部の篩側から掃除機(三洋電機社製、SC-XD1000)の吸引力を最低とし10秒間吸引した。次いで、100メッシュ篩上のCNT樹脂組成物を秤量し、粉化率を算出した。
また、分散性の評価は、液状分散液を作成し求めた。
〈試験例2(分散性の評価方法)〉
0.5mm径のジルコニアビーズとガラスビーズの混合メヂア230gが入った円筒形200ccのガラス瓶に、溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)92gと高分子量共重合体のアルキルアンモニウム塩系分散剤であるBYK9076(ビックケミー社製)5gを入れ完全に溶解した後、CNT樹脂組成物3gを投入、十分にウエッテングしペイントシェーカーにかけ5時間分散させ分散液を得た。
分散性の評価は、前記分散液を溶剤PMA6で希釈後、スピンコーター(1500rpm、15sec)でガラス板に塗布し、塗布面をマイクロマップ(菱化システム社製、MM3500)を用い0.5ミクロン以上の異物をカウントする方法で実施した。
評価の基準は、熱硬化性樹脂によるコーティングがなされていないCNTの凝集塊である突起状の異物が10個以下は◎、10〜30個を○、30〜100個を△、100個以上を×とした。
Figure 2011042538
Figure 2011042538
表2の実施例1〜3からは、樹脂のCNTへの被覆率が、CNTと熱硬化性樹脂の全質量に対して、5〜20wt%に上がるにつれて粉化率と分散性が向上している。実施例4では、粉化率は最低ではあるが、分散性は実施例3よりも低い結果となった。実施例5では、熱硬化性樹脂の乳化重合を進行させながらCNTを被覆したが、被覆率が低くても良好な粉化率と分散性を得ることができた。比較例では、どちらも被覆していないので、粉化率も分散性も悪い結果となっている。また、実施例品は粉化率が低いので飛散性が低いのに対し、比較例品は飛散率が高く、作業環境を悪化させることが分かった。
CNT樹脂組成物およびその製造方法に関し、CNTの内部や外表面を熱硬化性樹脂で被覆(コーティング)し浸透することにより、CNTの飛散性を著しく低下させハンドリング性が著しく向上し、基体樹脂との密着性が著しく向上し、さらに混錬時のCNTの定量供給性・分散性が著しく向上するので、コンパウンドのロット内の品質のバラツキが著しく小さく、また飛散性の大幅な低減によりCNTのロスがなくなり、CNTを理論上の配合率まで確実に配合できるのでコンパウンドの物性が向上し、かつ人体に対する安全性も向上すると共に、粒状物の機械的強度が大きくハンドリング性・作業性・安全性などの取扱性に優れ、CNTのポリマーマトリックスとの濡れ性や分散性向上による、マトリクスへの分散時間の短縮を可能にしたCNT樹脂組成物とその製造方法を提供する。

Claims (7)

  1. 熱硬化性樹脂を5〜40wt%含有し、前記熱硬化性樹脂で被覆され顆粒状化されていることを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物。
  2. カーボンナノチューブの繊維径が1〜200nm、繊維長が1〜100μmであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物。
  3. (1)非水溶性の溶剤に熱硬化性樹脂を溶解させて樹脂バインダー溶液を調製する溶解工程と、
    (2)カーボンナノチューブと水の混合物を、懸濁して懸濁液を得る懸濁工程と、
    (3)前記溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液を前記懸濁工程で得られた懸濁液へ添加し混合して、カーボンナノチューブを水相から樹脂相へ移行させ、樹脂被膜形成と顆粒化を行う混合行程と、
    (4)前記混合工程で得られた混合液を静置後、水相と樹脂相を分離除去する分離行程と、
    を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記溶解工程で、硬化剤が添加されることを特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物の製造方法。
  5. (1)熱硬化性樹脂を、非水溶性溶剤あるいは非水溶性と水溶性の混合した混合溶剤へ溶解する溶解工程と、
    (2)カーボンナノチューブを水に懸濁する懸濁工程と、
    (3)前記溶解工程で得られた樹脂バインダー溶液に界面活性剤や両親媒性溶剤等の乳化剤と硬化剤を添加し混合して乳化する乳化行程と
    (4)前記乳化工程で得られた樹脂エマルジョンを前記懸濁工程で得られた懸濁液へ添加し混合してカーボンナノチューブを水相から樹脂相へ移行させ、熱硬化性樹脂によるカーボンナノチューブへの被膜形成と顆粒化を行う混合工程と、
    (6)前記混合工程で得られた混合液を静置後水と溶剤を分離除去する分離行程と、を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記非水溶性の溶剤の添加量が、カーボンナノチューブのDBP吸収量(JIS K 6217法)の0.8〜1.5倍容量添加であることを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記混合工程の後、整粒工程を有することを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物の製造方法。
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