JP2018173472A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物の硬化膜、当該硬化膜を備えた電気・電子機器および電気・電子機器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、永久膜(硬化膜)の耐久性という観点から、高温下、高湿下といった過酷な条件下でも、感光性樹脂組成物から得られた永久膜(硬化膜)が劣化せず、膜の外観が良好に保たれる性質が求められる場合がある。
しかし、本発明者らの検討において、従来の感光性樹脂組成物において、得られる永久膜(硬化膜)は、過酷条件下では劣化が進行し、膜の外観が悪化する(例えば、膜にシワが形成される)場合などがあった。
アルカリ可溶性樹脂(A)、
ナフタレン骨格を有する酸発生剤(B)および
架橋剤(C)
を含み、永久膜の形成に用いられる感光性樹脂組成物
が提供される。
上記の感光性樹脂組成物の硬化膜
が提供される。
上記の硬化膜を備えた電気・電子機器
が提供される。
基板上に、上記の感光性樹脂組成物を供する工程、
前記感光性樹脂組成物を加熱乾燥して感光性樹脂膜を得る工程、
前記感光性樹脂膜を露光する工程、
前記露光された感光性樹脂膜を現像して、パターニングされた樹脂膜を得る工程、および
前記パターニングされた樹脂膜を加熱して、硬化膜を得る工程、
を含む、電気・電子機器の製造方法
が提供される。
なお、「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
このため、高温高湿等の過酷な条件に置かれた後においても、永久膜(硬化膜)表面に気泡などを生じることが無く、結果、膜の劣化が抑えられ、膜の外観が良好に保たれると考えられる。
硬化膜のガラス転移温度が高いということは、その硬化膜の熱サイクル特性が優れている、すなわち、加熱と冷却が繰り返されるような条件下での膜の劣化や変性が抑えられることを意味する。これは硬化膜を特に半導体プロセスに適用する際に望ましい性質である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、後述の実施例の条件で硬化させたときの、その硬化膜のガラス転移温度が200℃以上であることが好ましく、200〜350℃であることがより好ましく、250〜350℃であることがさらに好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)(以下、成分(A)などともいう)を含む。アルカリ可溶性樹脂(A)は、例えばフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、アクリル系/メタアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体、ならびに当該前駆体を脱水閉環して得られる樹脂、等が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂(A)は、2種以上を混合して用いてもよい。
R11およびR12は、それぞれ独立して、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜20の飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルエーテル基、炭素数3〜20の飽和または不飽和の脂環式基、または炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる1価の置換基であり、これらはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、またはカルボニル結合を介して結合していてもよく、
p、およびqは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
X1、およびY1は、それぞれ独立して、単結合、または不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、および炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる2価の置換基であり、
ただし、Y1は、2つのベンゼン環のうちいずれか一方に結合する。
lおよびmは構成比を示し、l+m=1であり、0≦l≦1、0≦m≦1であり、
R11'、R12'、R11"およびR12"は、それぞれ独立して、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜20の飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルエーテル基、炭素数3〜20の飽和または不飽和の脂環式基、または炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる1価の置換基であり、これらはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合を介して結合していてもよく、
pおよびqは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
X1'、Y1'、X1"およびY1"は、それぞれ独立して、単結合、または不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、および炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる2価の置換基である。
上記構造は、用いるビフェノール化合物と、重合性化合物の種類から当業者に理解されうる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、ナフタレン骨格を有する酸発生剤(B)(以下、酸発生剤(B)、成分(B)などともいう)を含む。
酸発生剤(B)は、熱および/または光照射(i線照射など)により、酸を発生する化合物である。
pは、0から7の整数を表す。
R1は、複数ある場合は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。
R2およびR3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、シアノ基又はアリール基を表す
RxおよびRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。RxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合またはアミド結合を含んでいてもよい。
Zは、対アニオンを表す。
上記各原子団におけるシクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基を挙げることができる。
上記各原子団におけるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖及び分岐アルコキシ基、炭素数3〜8の環状アルコキシ基を挙げることができる。
Rfは、それぞれ独立に、フッ素原子またはフッ化アルキル基を表す。2つのRfが互いに結合して環構造を形成してもよい。
フッ化アルキル基は、直鎖または分岐であることが好ましい。また、炭素数1〜6であることが好ましい。
フッ化アルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
また、R2およびR3は、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
また、RxおよびRyは、アルキル基が好ましい。
また、pは、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0〜1がさらに好ましい。
これら原子団の構造を適切に選択することで、酸発生剤の分解性と安定性のバランスを調整できる。また、膜からより揮発しにくくすることで、膜劣化を抑える効果をより高めることも期待できる。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはアルキルカルボニル基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
rは0〜7の整数を表す。
Zは、対アニオンを表す。
上記各原子団におけるシクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基を挙げることができる。
上記各原子団におけるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖及び分岐アルコキシ基、炭素数3〜8の環状アルコキシ基を挙げることができる。
Zは、具体的には、一般式(NA−1)にて説明したものと同様である。
また、R14としては、アルキル基またはアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
また、R15としては、アルキル基が好ましい。
これらの選択により、酸発生後の分解物が膜から一層揮発しにくくなり、より膜の劣化が抑えられると考えられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、架橋剤(C)を含む。架橋剤(C)は、典型的には、アルカリ可溶性樹脂(A)と反応可能な基(架橋性基)を有している。架橋剤(C)を含む本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて樹脂膜を作製し、これを露光、現像によりパターニングした後に加熱硬化すると、架橋剤(C)は、酸発生剤(B)から発生した酸、または、熱の作用により、アルカリ可溶性樹脂(A)と架橋する。
(3)イソシアネート基を有する化合物:たとえば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4'−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
(4)ビスマレイミド基を有する化合物:たとえば、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3'−ジメチル−5,5'−ジエチル−4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4'−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、上述の酸発生剤(B)に加え、それ以外の酸発生剤(D)、すなわち、ナフタレン骨格を有しない酸発生剤(酸発生剤(D)という)を含んでもよい。この酸発生剤(D)は、例えば、g線、i線、深紫外線などの光照射により酸を発生するものである。
ジアゾキノン化合物のQとしては、下式(a)または下式(b)を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の透明性を向上することができる。したがって、感光性樹脂組成物の外観をよくすることができる。
また、特に、感光性樹脂組成物がポジ型であり、ジアゾキノン化合物を含む場合、ジアゾキノン化合物の含有量は、組成物中のアルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を100質量部としたとき、1〜40質量部であることが好ましく、2〜30質量部であることがより好ましい。これにより、現像性を良好にすることができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤(F)を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物により基材上に樹脂膜を形成する際、樹脂膜と基材間の密着性が向上する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、有機溶剤(F)を含むことが好ましい。すなわち、感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、酸発生剤(B)、架橋剤(C)等を有機溶剤に溶解または分散させたものである。有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。有機溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、界面活性剤(G)を含んでもよい。界面活性剤(G)を含むことにより、当該感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂膜を得る際の塗布性が良好となり、均一な厚みの塗布膜を得ることができる。また、塗布膜を現像する際の残渣やパターン浮き上がりを防止することができる。界面活性剤(G)としては、特に非イオン系界面活性剤が好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、反応促進剤(H)を含んでもよい。反応促進剤(H)を含むことにより、アルカリ可溶性樹脂(A)と架橋剤との架橋を促進することができる。反応促進剤(H)としては、たとえば窒素を含む複素五員環化合物が挙げられる。具体的には、たとえばピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾール等である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、溶解促進剤、酸化防止剤、フィラー、光重合開始剤、末端封止剤および増感剤等の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに含んでいてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物を調製する方法は特に限定されない。感光性樹脂組成物が最終的に含む成分に応じて、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、上記各成分を、有機溶剤(F)に混合して溶解または分散することで調製することができる。これにより、ワニス状の感光性樹脂組成物が得られる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化膜、および、その硬化膜を備えた電気・電子機器は、上記で説明した感光性樹脂組成物を、熱等で硬化することにより得ることができる。
基板上に、上述の感光性樹脂組成物を供する工程、
感光性樹脂組成物を加熱乾燥して感光性樹脂膜を得る工程、
感光性樹脂膜を活性光線で露光する工程、
露光された感光性樹脂膜を現像して、パターニングされた樹脂膜を得る工程、および
パターニングされた樹脂膜を加熱して、硬化膜を得る工程、
により、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化膜、および、その硬化膜を備えた電気・電子機器を製造することができる。
ここで、「電気・電子機器」とは、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路、テレビ受像機やモニター等のディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術を応用した素子、デバイス、最終製品、その他電気に関係する機器一般のことをいう。
本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化膜は、電気・電子機器の内部において、例えば保護膜、絶縁膜、ダム材などとして適用される。
基板は特に限定されず、例えばシリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板、SiCウエハー、GaNウエハーなどが挙げられる。基板は、未加工の基板以外に、例えば半導体素子または表示体素子が表面に形成された基板も含む。接着性の向上のため、基板表面をシランカップリング剤などの接着助剤で処理しておいてもよい。
感光性樹脂組成物を供する工程については、スピナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などにより行うことができる。
加熱乾燥の温度は、通常80〜140℃、好ましくは90〜120℃である。
また、加熱乾燥の時間は、通常30〜600秒、好ましくは30〜300秒程度である。この加熱乾燥で溶剤を除去することにより、感光性樹脂膜を形成する。加熱は、典型的にはホットプレートやオーブン等で行う。この感光性樹脂膜の厚さとしては、1〜500μmが好ましい。
露光用の活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できる。波長でいうと200〜500nmの活性光線が好ましい。パターンの解像度と取り扱い性の点で、光源は水銀ランプのg線、h線又はi線であることが好ましく、特にi線が好ましい。また、2つ以上の光線を混合して用いてもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション又はステッパ−が好ましい。
なお、露光後、必要に応じて、感光性樹脂膜を再度加熱してもよい(露光後加熱:Post Exposure Bake)。その温度は、例えば80〜150℃、好ましくは90〜120℃である。また、時間は、例えば30〜600秒、好ましくは30〜300秒である。
現像工程においては、適当な現像液を用いて、例えば浸漬法、パドル法、回転スプレー法などの方法を用いて現像を行うことができる。現像により、塗膜から、露光部(ポジ型の場合)又は未露光部(ネガ型の場合)が溶出除去され、パターニングされた樹脂膜を得ることができる。
現像液には、例えばメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や、界面活性剤などが添加されていてもよい。
現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。この水溶液におけるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。
上記のようにして得られた、パターニングされた樹脂膜を加熱することにより、硬化膜を得ることができる。この加熱温度は、典型的には150〜400℃程度であるが、本実施形態においては特に160〜300℃が好ましく、180〜200℃がより好ましい。この温度範囲とすることで、架橋反応の速度(低温での硬化性)と、膜全体での均一な硬化とを高度に両立させることができると考えられる。加熱時間は特に限定されないが、例えば15〜300分の範囲内である。この加熱処理は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどにより行うことが出来る。加熱処理を行う際の雰囲気気体としては、空気であっても、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであってもよい。また、減圧下で加熱してもよい。
実施例1〜11および比較例1〜4のそれぞれについて、以下のように感光性樹脂組成物を調製した。まず、表1に従い配合された各成分を混合、溶解させて窒素雰囲気下で撹拌した後、孔径0.2μmのポリエチレン製フィルターで濾過することにより、ワニス状の感光性樹脂組成物を得た。表中の各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1中の各成分の含有量の単位は、質量部である。
以下の各樹脂を用いた。
<フェノール樹脂(A−1)の合成方法>
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製丸底フラスコ内に、フェノール94.11g(1.00mol)と、37%ホルマリン水溶液64.93g(0.80mol)と、シュウ酸・二水和物6.3g(0.05mol)と、118gのγ−ブチロラクトンとを仕込んだ。その後、窒素を流しつつ、かかる丸底フラスコを、油浴中で反応液を還流させながら100℃で6時間の重縮合反応を行った。
次に、得られた反応液を室温まで冷却した後、158gのアセトンを添加し均一になるまで撹拌混合した。その後、丸底フラスコ内にある反応液を水10Lに滴下混合することにより、樹脂成分を析出させた。そして、析出した樹脂成分を濾別して回収した後、60℃での真空乾燥を行うことにより、下記式(A−1)で表されるフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂(A−1)の重量平均分子量は、12,000であった。
<フェノール樹脂(A−2)の合成>
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製丸底フラスコ内に、m−クレゾール64.88g(0.60mol)と、p−クレゾール43.26(0.40mol)と、37%ホルマリン水溶液64.93g(0.80mol)と、シュウ酸・二水和物6.3g(0.05mol)と、132gのγ−ブチロラクトンとを仕込んだ。その後、窒素を流しつつ、かかる丸底フラスコを、油浴中で反応液を還流させながら100℃で6時間の重縮合反応を行った。
次に、得られた反応液を室温まで冷却した後、176gのアセトンを添加し均一になるまで撹拌混合した。その後、丸底フラスコ内にある反応液を水10Lに滴下混合することにより、樹脂成分を析出させた。そして、析出した樹脂成分を濾別して回収した後、60℃での真空乾燥を行うことにより、下記式(A−2)で表されるフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂(A−2)の重量平均分子量は、13,000であった。
<フェノール樹脂(A−3)の合成>
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製丸底フラスコ内に、4,4'−ビフェノール186.2g(1.00mol)と、37%ホルマリン水溶液64.93g(0.80mol)とシュウ酸・二水和物6.3g(0.05mol)と、210gのγ−ブチロラクトンとを仕込んだ。その後、窒素を流しつつ、かかる丸底フラスコを、油浴中で反応液を還流させながら100℃で6時間の重縮合反応を行った。
次に、得られた反応液を室温まで冷却した後、280gのアセトンを添加し均一になるまで撹拌混合した。その後、丸底フラスコ内にある反応液を水10Lに滴下混合することにより、樹脂成分を析出させた。そして、析出した樹脂成分を濾別して回収した後、60℃での真空乾燥を行い、下記式(A−3)で表されるフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂(A−3)の重量平均分子量は、21,000であった。
・界面活性剤:FC4430(住友スリーエム株式会社製)を用いた。
実施例1〜5および比較例1〜3の組成物については、以下手順で評価用の硬化膜を得た。
(1)6インチシリコンウエハ上に、スピンコーターを用いて組成物を塗布した。
(2)ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約10〜12μmの樹脂膜を得た。
(3)加熱オーブンに投入し、窒素を流しながら5℃/分で室温から200℃まで昇温後、そのまま200℃で60分の加熱処理を行った。その後、室温まで冷却した。
上記手順で得た硬化膜付きウエハーを、ダイシング装置にて、幅4.5mm×長さ9cmにカットした。
2%のフッ酸水溶液中で、そのカットしたシリコンウエハより硬化膜を剥離し、純水で洗浄後、60℃で10時間乾燥して、幅4.5mm×長さ9mm以上の試験片を得た。
この試験片について、熱機械的分析(TMA、装置:セイコーインスツル株式会社製 TMA/SS6000)によりガラス転移温度を求めた。
測定は、1stラン:30℃から160℃(昇温10℃/分)、2ndラン:160℃から10℃(降温10℃/分)、3rdラン:10℃から400℃(昇温10℃/分)、窒素=200mL/分、荷重30Nの条件で行い、得られた3rdランの結果中の曲線データから変曲点を読み取りガラス転移温度とした。ガラス転移温度が250℃以上のものを◎(特に良好)、200℃以上250℃未満のものを○(良好)、100℃以上200℃未満のものを×(不良)とした。
実施例1〜5および比較例1〜3の組成物については、以下手順で行った。
(1)シリコン基板、シリコン基板にCuが表面コーティングされている基板、および、シリコン基板にAlが表面コーティングされている基板のそれぞれに、スピンコーターで各実施例および比較例の感光性樹脂組成物を塗布した。
(2)各基板をホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚10〜12μmの樹脂膜を得た。
(3)上記で得られた樹脂膜を、基板ごと現像液(2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)に120秒間浸漬し現像を行った。この後に純水で10秒間リンスし、圧縮空気により樹脂膜表面の純水を除去した。
(4)上記で得られた樹脂膜を、基板ごと加熱オーブンに投入し、窒素を流しながら5℃/分で室温から200℃まで昇温後、そのまま200℃で60分の加熱処理を行い、室温まで冷却して硬化膜を得た。
(5)上記で得られた硬化膜を、温度125℃、湿度100%、圧力2.3atmの条件で、168時間(1週間)処理した。この処理は、Hastest Solutions Inc.のPC−R8Dで行った。
○:硬化膜の外観が良好
×:硬化膜の外観が不良(シワ等が観察される)であり、電子・電子機器への適用に際し問題がある
なお、今回の評価では、同一の感光性樹脂組成物において、シリコン基板による評価と、シリコン基板にCuが表面コーティングされている基板による評価と、シリコン基板にAlが表面コーティングされている基板による評価とで、顕著な差があるものは無かった。
Claims (10)
- アルカリ可溶性樹脂(A)、
ナフタレン骨格を有する酸発生剤(B)および
架橋剤(C)
を含み、永久膜の形成に用いられる感光性樹脂組成物。 - 前記酸発生剤(B)が、ナフタレン骨格を有するオニウム塩化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記オニウム塩化合物が、カチオン部にナフタレン骨格を有する化合物を含む、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、フェノール樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
R11およびR12は、それぞれ独立して、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜20の飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルエーテル基、炭素数3〜20の飽和または不飽和の脂環式基、または炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる1価の置換基であり、これらはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、またはカルボニル結合を介して結合していてもよく、
pおよびqは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
X1、およびY1は、それぞれ独立して、単結合、または不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、および炭素数6〜20の芳香族構造を有する有機基からなる群から選ばれる2価の置換基であり、
ただし、Y1は、2つのベンゼン環のうちいずれか一方に結合する。 - i線露光用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化膜を備えた電気・電子機器。
- 基板上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を供する工程、
前記感光性樹脂組成物を加熱乾燥して感光性樹脂膜を得る工程、
前記感光性樹脂膜を露光する工程、
前記露光された感光性樹脂膜を現像して、パターニングされた樹脂膜を得る工程、および
前記パターニングされた樹脂膜を加熱して、硬化膜を得る工程、
を含む、電気・電子機器の製造方法。 - 前記露光する工程が、i線により露光する工程である、請求項9に記載の電気・電子機器の製造方法。
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