[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、所定の通常駆動パルスで一定回数回転と判定された場合、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出していた回数に基づき、ランクダウンする駆動ランクを切り替える例である。以下、本発明に係る第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図2は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図、図3は本発明の第1の実施の形態のフローチャート図、図4は本発明の第1の実施の形態の電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図、図5は本発明の第1の実施の形態および従来技術の駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図、図6〜図9は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図である。
図1において説明する。1はリチウム電池のような充放電可能な2次電池およびソーラセルのような発電手段を有する電圧変動を伴う変動電源、2は水晶振動子(不図示)の発振により基準クロックを生成する発振回路21と、発振回路21からの基準信号を分周する分周回路22で構成される基準信号生成回路である。3は基準信号生成回路2の出力するタイミング信号に基づいて、図2(a)に示すごとき4.0ms幅で0.5ms毎の通常駆動パルスSPを生成する通常駆動パルス生成回路であり、正秒毎に出力する。なおチョッパデューティ比は16/32〜27/32で1/32毎に生成され、後述する駆動ランク選択回路10に基づき、所定のチョッパデューティ比の通常駆動パルスが選択され出力する。
4は基準信号生成回路2に基づいて、図2(d)に示すごとき7msの補正駆動パルスFPを生成し出力する補正駆動パルス生成回路であり、この補正駆動パルスFPは、後述するステップモータ8のロータ(不図示)が非回転と判定された場合、通常駆動パルスSP出力から32ms経過後に出力が行われる。
5は基準信号生成回路2に基づいて、第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B12および第2検出モードで用いる回転検出パルスF7〜F14を生成し出力する回転検出パルス生成回路である。回転検出パルスB5〜B12は図2(b)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より5ms後から12msまで1ms毎に出力する。回転検出パルスF7〜F14は図2(c)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より7ms後から14msまで1ms毎に出力する。
6はセレクタであり通常駆動パルス生成回路3、補正駆動パルス生成回路4、回転検出パルス生成回路5から出力されるパルスを後述する回転検出回路9の判定結果に基づいて選択し出力する。
7はモータドライバであり、セレクタ6から出力される信号を後述する2極ステップモータ8のコイル(不図示)に供給するとともに、ステップモータ8のロータの回転状態を、後述する回転検出回路9に伝える。このため、モータドライバ7には、ステップモータ8のコイルへの供給用に、O1,O2の2個の出力端子を有する。
8はコイルおよびロータから構成されるステップモータであり、輪列(不図示)を介して指針(不図示)を駆動する。
9は第1検出モードでの判定を行う第1検出モード判定回路91および第2検出モードでの判定を行う第2検出モード判定回路92で構成され、第1検出モードおよび第2検出モード期間中にステップモータ8のロータの回転、非回転をコイルに発生する誘起電圧から判定し、セレクタ6および後述する駆動ランク選択回路10、回転判定カウンタ回路11、第1検出モード判定カウンタ回路111を制御する回転検出回路である。
なお回転検出パルスB5〜B12は通常駆動パルスSPを出力したのと反対側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。また回転検出パルスF7〜F14は通常駆動パルスSPを出力したのと同じ側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。
具体的には、回転検出パルスの非出力時はO1、O2両端子を同電位に保ち、回転検出パルス出力時にコイルを含む閉ループの状態をハイインピーダンスの状態にする。ハイインピーダンスの状態にした瞬間、ロ−タの自由振動によってコイルに発生する誘起電圧を検出し、この検出信号によりロ−タの回転検出を行う。
10は駆動ランク選択回路であり、回転検出回路9でロータが非回転と判定された場合、後述する回転判定カウンタ回路11で所定回数、ロータが回転とカウントされた場合や、後述する第1検出モード判定カウンタ回路111で所定回数、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出したとカウントされた場合に、所定の通常駆動パルスの駆動ランクを選択し、通常駆動パルス生成回路3を制御する。ここで通常駆動パルスの16/32〜27/32のチョッパデューティ比がそれぞれ駆動ランクに相当する。チョッパデューティ比が大きいほどステップモータ8の駆動力は大きくなる。
即ち、回転検出回路9でロータが非回転と判定された場合に補正駆動パルスFPを出力させるとともに1つ上の駆動ランクにランクアップし、後述する回転判定カウンタ回路11で所定回数ロータが連続して回転と判定された場合に所定の駆動ランクにランクダウンするよう駆動ランク選択回路10を制御する。
11は回転判定カウンタ回路であり、ステップモータ8のロータが回転と判定した回数をカウントし、所定回数カウントされた場合に駆動ランク選択回路10を制御する。また回転判定カウンタ回路11は第1検出モード判定カウンタ回路111を有し、第1検出モードにおいて検出された検出信号が所定の検出パターンで検出された回数、本実施形態では所定の時点より前で検出された回数をカウントし、所定回数カウントされた場合に駆動ランク選択回路10を制御する。回転判定カウンタ回路11は、ロータの非回転判定時にはリセットされ、連続して回転判定した回数をカウントし、第1検出モード判定カウンタ回路111は、連続して回転判定した回数のうち第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数をカウントするようになっている。第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数が所定の回数以上か否かによってランクダウンする駆動ランクが変わる、すなわち、駆動ランクの変更の態様を変えるよう駆動ランク選択回路10を制御する。なお駆動ランク変更後、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路111はリセットされる。
続いて上記構成の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものである。まず正秒のタイミングで通常駆動パルス生成回路3から出力される通常駆動パルスSPがセレクタ6によって選択、出力され、モータドライバ7を介し、ステップモータ8を駆動する(ステップST1)。そして正秒から5ms後に第1検出モードの回転検出を開始する。第1検出モードではセレクタ6は回転検出パルス生成回路5から出力される回転検出パルスB5〜B12を選択、出力し、コイルのインピーダンスを変化させるようステップモータ8を制御する。そして回転検出回路9はモータドライバ7を介し、回転検出パルスB5〜B12によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行う(ステップST2)。
その一方で、回転検出回路9は第1検出モード判定回路91に対して判定動作を開始するように指示する。第1検出モード判定回路91は回転検出回路9からの検出信号の入力回数によって第1検出モードでの検出信号の有無の判定を行うものであり、回転検出回路9の検出信号が2回発生した場合に検出と判定され、直ちに回転検出パルス発生回路5から出力される第1検出モードの回転検出パルスの出力を停止し、セレクタ6へ第1検出モードの動作を終了するよう通知するとともに、第2検出モードに移行するよう指示する(ステップST2:Y)。第1検出モードにおいて回転検出回路9の検出信号が2回発生していた場合、その検出信号が回転検出パルスB5かつB6による検出信号であれば(ステップST4:Y)、第1検出モード判定カウンタ回路111で回転検出パルスB5かつB6の検出信号の発生回数がカウントされる。回転検出パルスB5、B6によって検出信号が1つも発生しないか、または1つしか発生しない場合は第1検出モード判定カウンタ回路111で発生回数をカウントせず、第2検出モードに移行する(ステップST4:N)。
そして回転検出パルスB5〜B12によって検出信号が1つも発生しないか、または1つしか発生しない場合は、回転失敗と判定して第1検出モードの動作を終了するとともに、第2検出モードに移行せず、セレクタ6によって直ちに補正駆動パルスFPが選択、出力され(ステップST2:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST3)。この場合、正秒毎の動作を数回行い、回転と判定された回数が回転判定カウンタ回路11でカウントされていた場合、そのカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、回転検出回路9において第1検出モードでの回転検出パルスB5かつB6両方とも検出された場合の回数が第1検出モード判定カウンタ回路111でカウントされていた場合、そのカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
第2検出モードに移行した場合は、セレクタ6は回転検出パルス生成回路5から出力される回転検出パルスF7〜F14を選択、出力し、第1検出モードと同様、コイルのインピーダンスを変化させるようステップモータ8を制御する。そして回転検出回路9はモータドライバ7を介し、回転検出パルスF7〜F14によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行う(ステップST6)。
第2検出モード判定回路92は回転検出回路9からの検出信号の入力回数によって第2検出モードでの検出信号の有無の判定を行うものであり、回転検出回路9の検出信号が1回発生した場合に回転成功と判定され、直ちに回転検出パルス発生回路5から出力される第2検出モードの回転検出パルスの出力を停止し、第2検出モードの動作を終了するとともに、補正駆動パルスFPを出力しないようにセレクタ6を制御する(ステップST6:Y)。そして回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数がカウントされる(ステップST7)。
ただし、回転検出パルスF7〜F14によって発生する検出信号は最大3回の検出をもって終了し、その間に検出信号が発生しない場合は回転失敗と判定して補正駆動パルスFPが出力され(ステップST6:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST3)。上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
また第2検出モードで回転成功と判定され、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していなければ、正秒の動作を終了し、引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御するが(ステップST8:N)、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していれば、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値を確認する(ステップST8:Y)。第1検出モード判定カウンタ回路111は第1検出モードの回転検出パルスB5かつB6両方とも検出された場合の回数をカウントする回路であり、回転判定カウンタ回路11で240回、回転成功と判定された回数のうち第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上あれば(ステップST9:Y)、最小の駆動力の通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST10)、上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。反対に第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上でなければ(ステップST9:N)、1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST11)、上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
続いて、出願人が行った実験結果をもとに上記の実際の回転検出を踏まえた動作について説明する。図4は第1の実施の形態の駆動ランク16/32〜27/32を1/32毎に変動させるとともに電源電圧を1.20V〜1.80Vまで0.15V刻みに変動させた場合のロータの回転、非回転判定結果を示したマトリックス図である。
図4においてFP表記の領域は通常駆動パルスSPでロータが回転できず、回転検出回路9で正常に非回転と判定され、直ちに補正駆動パルスFPを出力し確実にロータを回転させ、次の正秒のタイミングでは前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPが出力する駆動ランクを意味する。
SP表記の領域は通常駆動パルスSPでロータが回転でき、回転検出回路9で正常に回転と判定され、次の正秒のタイミングでも通常駆動パルスSPを出力し、240回連続して同じ通常駆動パルスSPで回転した場合は1個下の駆動力の通常駆動パルスSPの駆動ランクにランクダウンする駆動ランクを意味する。
太字かつ斜字のFP表記の領域は通常駆動パルスSPでロータが回転できているにも関わらず、回転検出回路9で非回転と誤判定され、補正駆動パルスFPが出力し、次の正秒のタイミングでは前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPが出力する駆動ランクを意味する。
太字かつ斜字のSP表記の領域は通常駆動パルスSPでロータが回転でき、回転検出回路9で正常に回転と判定され、次の正秒のタイミングでも通常駆動パルスSPを出力し、240回連続して同じ通常駆動パルスSPで回転した場合は最小の駆動力の通常駆動パルスSPの駆動ランクにランクダウンする駆動ランクを意味する。
上記本実施の形態の駆動ランクの領域の内容に関して実際の駆動ランクの変化を従来技術と比較して説明する。
図5は1.50Vにおいて一時的な負荷がかかり、最低限の駆動力で回転できる駆動ランクからランクアップし、負荷が無くなった後、比較的駆動力の高い太字かつ斜字のSP表記の領域に示す駆動ランク25/32で安定していた状態からの従来技術と本発明の実施の形態に係る駆動ランクの変化を模式的に示した図である。
図5(a)1.50V従来技術において従来技術の場合、240回連続して同じ通常駆動パルスSPの駆動ランク25/32で回転していた場合(a−1)、1ランク小さな駆動力の駆動ランク24/32にランクダウンする(a−2)。しかしながら駆動ランク24/32は太字かつ斜字のFP表記の領域であり1ランク大きな駆動力の駆動ランク25/32に再度ランクアップすることとなる(a−3)。即ち、一度太字かつ斜字のSP表記の領域である駆動ランク25/32になってしまうと最低限の駆動力で回転できる駆動ランク19/32までランクダウンできず、比較的駆動力の高い駆動ランク25/32で安定してしまうため、消費電流が増加してしまう。
図5(b)1.50V本発明において本実施の形態の場合、240回連続して同じ通常駆動パルスSPの駆動ランク25/32で回転していた場合(b−1)、最小の駆動力の駆動ランク16/32まで一気にランクダウンする(b−2)。駆動ランク16/32から18/32はFP表記の領域であり、正秒の動作毎、1ランク大きな駆動力17/32、18/32とランクアップを繰り返し(b−3)、SP表記の領域であり最低限の駆動力で回転できる駆動ランク19/32にランクアップしたところで駆動ランクが安定する(b−4)。なお240回連続して同じ駆動ランク19/32で回転した場合は、SP表記の領域であるため、1個下の駆動ランク18/32にランクダウンするようになっている。上記のとおり駆動ランク18/32ではFP表記の領域であるためランクアップするが、再度駆動ランク19/32で安定し、240回毎、このランクアップ、ランクダウンを繰り返すこととなる。
即ち本実施の形態は基本的にはSP表記の領域で安定して回転できるため、電源電圧が変動しても電源電圧に応じて最低限の駆動力で回転でき、低消費電流での回転が可能となる。例えばカレンダ駆動などの負荷が一時的にかかり、駆動ランクがランクアップし、太字かつ斜字のSP表記の領域になったとしても所定回数回転後は最小の駆動力の駆動ランクにランクダウンするため、高い駆動力の駆動ランクで安定することはなく、SP表記の領域で回転できるようになる。なおこの場合、最小の駆動力の駆動ランクにランクダウンするため、上記のとおり電源電圧によってはSP表記の領域で回転できるようになるまでしばらくランクアップを繰り返し、補正駆動パルスFPを数秒間連続して出力することになる。しかしながら一時的な負荷等がない限り、太字かつ斜字のSP表記の領域になることはないため針が小刻みに動いて見えるようなことは限りなく条件として少なく視認性に問題はない。
次に実際の回転検出の動作に関して各領域において代表例を挙げて波形図で説明する。図6〜図9の(a)はコイルに誘導される電流波形、図6〜図9の(b)はこのときにコイルの一方の端子O1に発生する電圧波形、図6〜図9の(c)はコイルの他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。電流波形の電流値が反転、電圧波形のO1とO2が反転するだけであり、波形図の形状は変わらないため、以降の波形図の説明は一方の相のみで行っていく。
まず図4のSP表記の領域に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで正常に回転した場合であり、図4において電源電圧1.50V、駆動ランク20/32の例で、波形図は図6である。
まず図6(a)に示す通常駆動パルスSPがコイルの一端O1に加えられ、ロータが回転を開始する。このときの電流波形が図6(a)の波形c1である。通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形はc2、c3、c4に示す誘導電流波形となる。5msの時点で第1検出モードが開始され、図2(b)に示す回転検出パルスB5がコイルに印加される。図6(a)に示すように5msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図6(c)示すように回転検出パルスB5によって生じる誘起電圧V5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えることはない。しかし8msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図6(c)に示すように回転検出パルスB8によって生じる誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に9msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB9によって生じる誘起電圧V9はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V8、V9の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V9によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの回転検出パルス、即ち図2(c)に示す10msの時点での回転検出パルスF10がコイルに印加される。図6(a)に示すように10msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため図6(b)に示すように回転検出パルスF10によって生じる誘起電圧V10はしきい値Vthを超えることはない。しかし11msになると電流波形は図6(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図6(b)に示すように回転検出パルスF11によって生じる誘起電圧V11はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V11の検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されず、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力する。
また第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えていないため、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数はカウントされない。即ち、SP表記の領域の通常駆動パルスSPで回転判定カウンタ回路11において回転と判定された回数が240回に達した場合、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数は少なくとも4回以上カウントされていることはないため、次の通常駆動パルス出力時は1ランク小さな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
続いて図4のFP領域に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで回転できなかった場合であり、図4において電源電圧1.50V、駆動ランク16/32の例で、波形図は図7である。
図7においてロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合と異なり、順に電流波形c1、c3、c5と通常駆動パルスSP出力後の電流波形のピーク値は低く、滑らかな電流波形となる。
回転検出の動作は回転できなかった場合でも同様である。5msの時点で第1検出モードが開始され、回転検出パルスB5がコイルに印加される。図7(a)に示すように5msおよび6msにおいて電流波形は電流波形c3の領域であり、電流値は正方向である。よって図7(c)に示すように回転検出パルスB5、B6による誘起電圧V5、V6はしきい値Vthを超えた検出信号となり、第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V6によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの回転検出パルス、即ち7msの時点での回転検出パルスF7がコイルに印加される。図7(a)に示すように7msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図7(b)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えることはない。また回転検出パルスF8、F9によって生じる誘起電圧V8、V9においても電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V7からV9までの検出期間内でしきい値Vthを超えている検出信号が検出されないことになる。回転検出パルスF7〜F14によって発生する検出信号は電流波形c5の領域を誤って検出し、ロータが非回転にも関わらず、回転と判定し時刻の遅れが発生することがないよう最大3回の検出をもって終了する。よって第2検出モード判定回路92は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果セレクタ6は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ8を駆動しロータを確実に回転させ、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
続いて図4の太字かつ斜字のFP表記の領域に関して説明する。図4において電源電圧1.50V、駆動ランク23/32の例で、波形図は図8である。ロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合であり、図6の波形図よりも駆動力が若干高い。即ち、カレンダなどの一時的な負荷でランクアップし、負荷が無くなった直後の波形図である。
図8において図6と比較すると、順に電流波形c1、c3、c4と電流波形c2が現れず、電流波形c1に引き続きc3が現れるような電流波形となる。
回転検出の動作は上記と同様であり、第1検出モードは図7のロータが回転できなかった場合の内容と同様であるため説明を省略する。
誘起電圧V6によって第2検出モードとなると、次のタイミングの回転検出パルス、即ち7msの時点での回転検出パルスF7がコイルに印加される。図8(a)に示すように7msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図8(b)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えることはない。また回転検出パルスF8、F9によって生じる誘起電圧V8、V9においても電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V7からV9までの検出期間内でしきい値Vthを超えている検出信号が検出されないことになる。即ち、電流波形c4の領域の手前で回転検出が終了するため、ロータが回転しているにも関わらず、回転失敗と判定され、セレクタ6は補正駆動パルスFPを選択、出力し、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。仮に図8(a)の電流波形c4の領域を検出できるよう第2検出モードの検出打ち切りまでの検出回数を最大3回から4回に増やすなどして対応することが考えられるが、検出打ち切りまでの検出回数を増やしてしまうと、ロータが回転できなかった場合において図7の電流波形c5の領域を検出してしまうこととなる。結果としてロータが非回転にも関わらず回転と判定され、時刻の遅れが発生してしまうため検出打ち切りまでの検出回数は変更できない。即ち、この駆動ランクではランクダウンできないことになる。
続いて図4の太字かつ斜字のSP表記の領域に関して説明する。図4において電源電圧1.50V、駆動ランク25/32の例で、波形図は図9である。ロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合であり、図8の波形図よりも駆動力が若干高い。即ち、カレンダなどの一時的な負荷がかかり負荷が無くなった直後、あるいは図8の波形図の駆動ランクのようにロータが回転しているにもかかわらず、回転失敗と誤判定でランクアップした次の動作の駆動ランクの波形図である。
図8において図7と同様、順に電流波形c1、c3、c4と電流波形c2が現れず、電流波形c1に引き続き電流波形c3が現れるような波形図であるが、図7と比べて電流波形c3が電流波形c1に覆いかぶさるような電流波形の形状となっている。
上記と同様に回転検出の動作を説明する。第1検出モードは図7で説明したものと同様であるため説明を省略する。
誘起電圧V6によって第2検出モードとなると、次のタイミングの回転検出パルス、即ち7msの時点での回転検出パルスF7がコイルに印加される。図9(a)に示すように7msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にある。よって図9(b)に示すように誘起電圧V7はしきい値Vthを超えることはない。また回転検出パルスF8によって生じる誘起電圧V8においても電流波形c3の領域にあり、誘起電圧V8はしきい値Vthを超えることはない。しかし9msになると電流波形は図9(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図9(b)に示すように回転検出パルスF9によって生じる誘起電圧V9はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V9の検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されず、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力する。
また第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6は両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えているため、第1検出モード判定カウンタ回路111において判定回数がカウントされる。即ち、太字かつ斜字のSP表記の領域の通常駆動パルスSPで回転判定カウンタ回路11において回転と判定された回数が240回に達した場合、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数は少なくとも4回以上カウントされるため、次の通常駆動パルス出力時は最小ランクの駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
よって図8のように回転しているにもかかわらず、電源電圧と駆動ランクの組み合わせによって回転失敗と誤判定しランクアップしてしまう条件があったとしても図9の波形図に示すような駆動ランクでは、最小の駆動力の駆動ランクに一気にランクダウンされるため、駆動力が高く消費電流の大きい駆動ランクで安定し続けることはない。最小の駆動力の駆動ランクにランクダウンするとランクダウンした直後は図7に示すような波形の駆動ランクが何回か連続で出力することにはなるが、最終的に電源電圧に対して最低限の駆動力で回れる図6の波形図に示すような駆動ランクで安定して回れるようになり、低消費電流での駆動が可能となる。
以上のように第1の実施の形態では第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧が両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えているか否かでランクダウンする駆動ランクの切り替えを行っている。即ち、電圧変動が大きく負荷変動があったとしても、最終的には最低限の駆動力で回れる駆動ランクになるため、低消費電流で安定した駆動が可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。したがって、以下のような変更を行ってもよい。
[第1実施の形態の変形例]
(1)通常駆動パルスのチョッパデューティ比の値、パルス数、チョッパ周期、回転判定回数、第1検出モードの判定カウント回数、第1検出モード、第2検出モードの判定個数、第二検出モードの打ち切り回数(第二検出パルスの出力個数)、しきい値Vthなどの各数値は上記数値に限定されるものではなく、モータや取り付けられる表示体(指針、日板など)に合わせて最適化されるべきである。
(2)図1に示すブロック線図は一例であり、上述した動作を行うものであれば他の構成を備えていても良い。例えば、第1検出モードにおいて、検出信号が所定の検出パターンであることを検出するための検出回路を第1検出モード判定回路91とは別に設けてもよいし、第1検出モード判定カウンタ回路111は回転判定カウンタ回路11とは独立に設けてもよい。ブロック線図のシステムを構成する方法としては、ランダムロジックによる制御でもマイクロコンピュータによる制御でも良い。セレクタ6をマイクロコンピュータで構成し、その他の回路はランダムロジックで構成するような構成でも良い。このようにすれば、多機種への適用における変更も比較的容易に実施できる。
(3)電圧変動の範囲が小さくなる、電圧変動範囲が異なるだけであるため、変動電源1を電圧変動のない電源や放電のみ行う一次電池に置き換えてもよい。
(4)上記実施形態では回転判定カウンタ回路11で240回、回転成功と判定された回数のうち第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上あるか否かでランクダウンする駆動ランクを切り替えたが、回転判定カウンタ回路11での回転成功と判定された設定回数の前に第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回になった段階で駆動力の高い駆動ランクと想定し、最小ランクにランクダウンしてもよい。
(5)上記実施形態では、第1検出モード判定カウンタ回路111は、連続して回転判定した回数のうち第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数をカウントするようになっているが、これを検出しなかった回数をカウントするようにしてもよい。この場合、例えば、回転成功と判定された回数のうち第1検出モードの判定回路のカウンタ値が236回以下であるか否かでランクダウンする駆動ランクを切り替えるようにすることで、上記実施形態と同様の動作が可能である。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した発生頻度に基づき、回転判定カウンタ回路11の設定回数を途中で切り替える例である。
これは、最低限の駆動力で回転できる通常駆動パルスの駆動ランクと比較して、カレンダなどの一時的な負荷でランクアップし、比較的駆動力の高い通常駆動パルスSPの駆動ランクで回転している場合は消費電流が大きいため、早めにランクダウンするよう回転判定カウンタ回路11の設定回数の値を小さくし、反対に最低限の駆動力で回転できる駆動ランクでは1個下の駆動力の駆動ランクにランクダウンして回転できず、非回転と判定され消費電流の大きな補正駆動パルスFPを出力する頻度をできる限り減らしたいため、回転判定カウンタ回路11の設定回数の値を大きくするものである。以下、本発明に係る第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図10は本発明の第2の実施の形態のフローチャート図であり、フローチャート図以外の本発明の第2の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図(図1)、パルス波形図(図2)、電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図(図4)、駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図(図5)、回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図(図6〜図9)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図1において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、回転判定カウンタ回路11は、ステップモータ8のロータが回転と判定した回数をカウントし、設定回数に達した場合に駆動ランク選択回路10を制御するが、第1検出モード判定カウンタ回路111における第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数によって、回転判定カウンタ回路11の設定回数を変更するようになっている。即ち、第1の実施の形態では回転判定カウンタ回路11の設定回数を第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出したかしていないかにかかわらず、固定としていたが、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数に基づいて回転判定カウンタ回路11の設定回数を変更し、駆動ランクをランクダウンするタイミングを切り替えている。なお連続して回転判定した回数が設定回数に達した場合、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数が所定の回数以上か否かによってランクダウンする駆動ランクが変わるよう駆動ランク選択回路10を制御することと、駆動ランク変更後およびロータの非回転判定時、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路111においてカウントされた回数がリセットされることは第1の実施の形態と同様である。
図2のパルス波形図は第1の実施の形態と同様であり説明を省略する。続いて上記構成の動作について図10のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され、ステップモータ8を駆動する(ステップST1)。
第1検出モードにおいて回転検出パルスB5〜B12によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行い(ステップST2)、検出信号の発生があれば、第2検出モードに移行するよう指示する(ステップST2:Y)。また回転検出パルスB5かつB6の検出信号があれば、その発生回数が第1検出モード判定カウンタ回路111にカウントされる。第2検出モードにおいて回転検出パルスF7〜F14によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行い(ステップST6)、検出信号の発生があれば回転成功と判定され(ステップST6:Y)、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数がカウントされる(ステップST7)。以上は第1の実施の形態と同様の内容であり、以下第1の実施の形態と異なる部分の説明である。
第2検出モードにおいて回転成功と判定され、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、設定回数(初期は240回)に達していなければ(ステップST8’:N)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値を確認する(ステップST14)。そして第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上カウントされていれば(ステップST14:Y)、回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数を60回に変更し(ステップST15)、早めにランクダウンするよう回転判定カウンタ回路11を制御する。また第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上カウントされていなければ(ステップST14:N)、回転判定カウンタ回路11の回転判定設定回数は変更せず240回とし(ステップST15)、遅めにランクダウンするよう回転判定カウンタ回路11を制御し、正秒の動作を終了し、引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
正秒毎の動作を数回行った結果、設定回数に達していれば、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値を確認する(ステップST9)。回転判定カウンタ回路11で設定回数、回転成功と判定された回数のうち第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上あれば(ステップST9:Y)、最小の駆動力の通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST10)、上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。反対に第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上でなければ(ステップST9:N)、1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST11)、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
実際の動作および回転検出においてマトリックス図、波形図に関しては第1の実施の形態で説明した図4〜図9と同様であり、異なる点のみ説明する。図4のマトリックス図において例えば一時的な負荷等により太字かつ斜字のSP表記の領域の通常駆動パルスの駆動ランクになった場合は駆動力が必要以上に高く、図9に示すような波形図となり消費電流が大きい。図9の波形図より第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6は両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えている。そのしきい値を超えた検出信号の発生が第1検出モード判定カウンタ回路111でカウントされ、数秒間の動作で第1検出モード判定カウンタ回路111が4回以上カウントされると、回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数が60回に変更され、早めにランクダウンする。そして同じ駆動ランクで連続して60回、回転と判定されると最小ランクにランクダウンする。
また図4のマトリックス図においてSP領域の通常駆動パルスの駆動ランクになった場合は最低限の駆動力で回転し、図6に示すような波形図となり消費電流が小さい。図6の波形図より第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6は両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えていない。検出信号の発生がないため、第1検出モード判定カウンタ回路111でカウントされず、回転判定カウンタ回路の回転判定の設定回数は240回となり、遅めにランクダウンする。そして同じ駆動ランクで連続して240回、回転と判定されると1個下の駆動ランクにランクダウンする。
以上のように第2の実施の形態では第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧が両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えているか否かでランクダウンする駆動ランクの切り替えを行うと同時にランクダウンの設定回数の変更を行っている。即ち、電圧変動が大きく負荷変動があり、高い駆動力の駆動ランクで安定していたとしても第1の実施の形態に比べて最低限の駆動力で回れる駆動ランクになる期間は短くなるため、さらに低消費電流で安定した駆動が可能となる。
[第2実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、以下のような変形例も可能である。
(1)上記実施形態では、第1検出モードの判定回数は4回以上か否かの1レベルであったが、複数レベルを設定して3以上の複数判定回数でランクダウンの際の駆動ランクを変更してもよい。
例えば、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値が2回になったら、回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数を120回とし、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値が4回になったら回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数を60回とする。
(2)上記実施形態では、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値、即ち図10のフローチャート図のST14において第1検出モード判定回数が4回以上カウントされたら回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数を240回から60回に変更し、早めにランクダウンするようにしたが、反対に第1検出モードの判定カウンタ回路111のカウンタ値が例えば4回連続してカウントされなかったら最低限の駆動力で回転できる駆動ランクで回転しているため回転判定カウンタ回路11の回転判定の設定回数を240回から480回に変更し、ランクダウンする頻度を減らして補正駆動パルスFPをできる限り発生させないような制御も追加してもよい。
また上記の補足として図10のフローチャート図のST14での第1検出モードの判定回数のしきい値を異なる値にしても構わない。即ち、カウントされる場合の第1検出モード判定カウンタ回路111のしきい値を4回とし、連続してカウントされない場合の第1検出モード判定カウンタ回路111のしきい値を4回として説明したが、それぞれカウントされる場合の第1検出モード判定カウンタ回路111のしきい値を8回、連続してカウントされない場合の第1検出モード判定カウンタ回路111のしきい値を4回と異なるしきい値をとっても構わない。
(3)第1検出モードの判定回数に応じてランクダウンの際の回転判定の設定回数を60回、240回としたが、電源電圧、モータや取り付けられる表示体(指針、日板など)、電源の種類に合わせて最適化されるべきものである。第1検出モードの判定回数レベルの個数も同様である。
(4)第1検出モードの判定回数が4回以上か否かでランクダウンの際の回転判定の設定回数を切り替えたが、もちろん数値として4回に限定されることはなく、数値自体、連続でカウントされていても間引いた状態でカウントされていてもよい。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した電源電圧に基づき、ランクダウンする駆動ランクを切り替える例である。
これは、カレンダなどの一時的な負荷でランクアップした後、高い駆動力の駆動ランクで所定回数回転後、ランクダウンするようになっているが、ランクダウンの際の駆動ランクを電源電圧に基づいて所定の駆動ランクにすることによって最低限の駆動力の駆動ランクになるまでのランクアップによる補正駆動パルスFPの発生回数を低減し、消費電流の低減やできる限り針が小刻みに動いて見えないようにするものである。以下、本発明に係る第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
図11は本発明の第3の実施の形態を示すブロック線図、図12は本発明の第3の実施の形態のフローチャート図であり、ブロック線図、フローチャート図以外の本発明の第3の実施の形態の電子時計の回路構成を示すパルス波形図(図2)、電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図(図4)、駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図(図5)、回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図(図6〜図9)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図11において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、100は電源電圧検出回路であり変動電源1の出力電圧を検出し、その検出結果に基づいて、駆動ランク選択回路10を制御する回路である。回転判定カウンタ回路11は、ステップモータ8のロータが回転と判定した回数をカウントし、設定回数に達した場合に駆動ランク選択回路10を制御するが、第1検出モード判定カウンタ回路111における第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した際の電源電圧によって、ランクダウンする駆動ランクを変更するよう駆動ランク選択回路10を制御するようになっている。即ち、第1の実施の形態では第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した場合は最小の駆動力の駆動ランクのみにランクダウンするようになっていたが、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した際の電源電圧によってランクダウンする駆動ランクも変更するようになっている。なお連続して回転判定した回数が設定回数に達した場合、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出した回数が所定の回数以上か否かによってランクダウンする駆動ランクが変わるよう駆動ランク選択回路10を制御することと、駆動ランク変更後およびロータの非回転判定時、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路111においてカウントされた回数がリセットされることは第1の実施の形態と同様である。
図2のパルス波形図は第1の実施の形態と同様であり説明を省略する。続いて上記構成の動作について図12のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され、ステップモータ8を駆動する(ステップST1)。
第1検出モードにおいて回転検出パルスB5〜B12によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行い(ステップST2)、検出信号の発生があれば、第2検出モードに移行するよう指示する(ステップST2:Y)。また回転検出パルスB5かつB6の検出信号があれば、その発生回数が第1検出モード判定カウンタ回路111にカウントされる。第2検出モードにおいて回転検出パルスF7〜F14によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行い(ステップST6)、検出信号の発生があれば回転成功と判定され(ステップST6:Y)、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数がカウントされる(ステップST7)。以上は第1の実施の形態と同様の内容であり、以下第1の実施の形態と異なる部分の説明である。
第2検出モードにおいて回転成功と判定され、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達し(ステップST8:Y)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値を確認する(ステップST9)。そして第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上カウントされていれば(ステップST9:Y)、電源電圧が1.65V以上かどうかでランクダウン後の駆動ランクが変わってくる(ステップST14’)。電源電圧が1.65V以上であれば(ステップST14’:Y)、最小の駆動力の駆動ランクにランクダウンし(ステップST17)、電源電圧が1.65V以上でなければ(ステップST14’:N)、7個下の駆動ランクにランクダウンするよう駆動ランク選択回路10を制御する(ステップST18)。
そして、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。また第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上でなければ(ステップST9:N)、1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST11)、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
実際の動作および回転検出においてマトリックス図、波形図に関しては第1の実施の形態で説明した図4〜図9と同様であり、異なる点のみ説明する。図4のマトリックス図において例えば一時的な負荷等により太字かつ斜字のSP表記の領域の通常駆動パルスの駆動ランクになった場合は駆動力が必要以上に高く、図9に示すような波形図となり消費電流が大きい。図9の波形図より第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6は両方とも回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えている。同じ駆動ランクで連続して240回回転と判定され、第1検出モード判定カウンタ回路111においてしきい値を超えた検出信号の発生回数が4回以上カウントされていた場合、例えば電源電圧が1.50Vで駆動ランクが25/32であれば、電源電圧が1.65V以上ではないので7個下の駆動ランク18/32にランクダウンする。同じように電源電圧が1.50Vで駆動ランクが26/32であれば7個下の駆動ランク19/32にランクダウンし、電源電圧が1.50Vで駆動ランクが27/32であれば7個下の駆動ランク20/32にランクダウンする。
またしきい値を超えた検出信号の発生回数が4回以上カウントされていた場合でも電源電圧が例えば1.80Vのような場合は21/32〜27/32いずれの駆動ランクであっても最小の駆動力の駆動ランク16/32にランクダウンするようになっている。
以上のように第3の実施の形態では太字かつ斜字のSP表記の領域での駆動ランクにおいて所定回数回転後、電源電圧によってランクダウンする駆動ランクを切り替えている。即ち、第1の実施の形態では太字かつ斜字のSP領域の駆動ランクで所定回数連続して回転と判定された場合はいかなる電源電圧でも最小の駆動ランクにランクダウンするようにしていたが、電源電圧によってランクダウンする駆動ランクを切り替えることによってランクアップの際の補正駆動パルスの発生回数を低減できる。
例えば電源電圧1.50Vで駆動ランク25/32で所定回数連続して回転と判定された場合は、第1の実施の形態では最小の駆動力の駆動ランク16/32にランクダウンするため最低限の駆動力で回転できる駆動ランク19/32になるまで3ランクアップするため、補正駆動パルスFPを3回連続で出力するが、第3の実施の形態では電源電圧1.50Vで駆動ランク25/32で駆動していた場合、駆動ランク18/32にランクダウンするため、最低限の駆動力で回転できる駆動ランク19/32になるまで1ランクアップだけで済むため、補正駆動パルスFPも1回のみの出力で済む。即ち、第3の実施の形態では第1の実施の形態に比べてランクダウン時の補正駆動パルスの発生回数を低減できるため、針が小刻みに動いて見えるようなことは限りなく減り、さらに低消費電流で視認性も良好な駆動が可能となる。
[第3実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、以下のような変形例も可能である。
(1)上記実施形態では、判定電圧は1.65Vの1レベルであったが、複数レベルを設定して3以上の複数電圧区間でランクダウンの際の駆動ランクを変更してもよい。
例えば、第1検出モードの判定回路のカウンタ値が4回以上カウントされた際の電源電圧が1.80Vでは最小駆動ランク、1.65Vでは8個下の駆動ランク、1.50Vでは7個下の駆動ランクにランクダウンする。
(2)電源電圧に応じてランクダウンする駆動ランクを最小駆動ランク、7個下の駆動ランクとしたが、電源電圧、モータや取り付けられる表示体(指針、日板など)、電源の種類に合わせて最適化されるべきものである。電圧レベルの個数も同様である。
(3)上記実施形態では、電源電圧に応じてランクダウンする駆動ランクを変更したが、第1検出モードにおいて所定の時点より前で検出信号があった駆動ランクに応じてランクダウンする駆動ランクを変更してもよい。例えば駆動ランク25/32では8個下にランクダウン、26/32では9個下にランクダウン等。また電源電圧と上記駆動ランクの組み合わせに応じてランクダウンする駆動ランクを変更してもよい。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態は、第1検出モードにおいて第1の実施の形態では回転検出パルスB5、B6によって生じる誘起電圧V5、V6を利用し、ランクダウンする駆動ランクを切り替えたが、新たに回転検出パルスF5.5を用意して回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧V5.5を利用してランクダウンする駆動ランクを切り替える例である。
第1の実施の形態では通常駆動パルスSPでロータが回転時の電流波形c3の波形差を利用し、ランクダウンする駆動ランクを切り替えたが、第4の実施の形態では通常駆動パルスSPでロータが回転時の電流波形c2の有無を利用し、ランクダウンする駆動ランクを切り替えている。
以下、本発明に係る第4の実施形態を図面に基づいて説明する。
図13は本発明の第4の実施の形態のパルス波形図、図14は本発明の第4の実施の形態のフローチャート図、図15〜図18は本発明の第4の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図であり、パルス波形図、フローチャート図、回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図以外の本発明の第4の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図(図1)、電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図(図4)、駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図(図5)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図1において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、回転検出パルス生成回路5は基準信号生成回路2に基づいて、第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B12の他にF5.5を生成し出力するとともに第2検出モードで用いる回転検出パルスF7〜F14を生成し出力する。回転検出パルスB5〜B12は図13(b)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より5ms後から12msまで1ms毎に出力する。回転検出パルスF5.5は図13(c)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より5.5ms後に出力する。回転検出パルスF7〜F14は図13(c)に示す如き0.125ms幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より7ms後から14msまで1ms毎に出力する。
回転検出回路9は第1検出モードでの判定を行う第1検出モード判定回路91および第2検出モードでの判定を行う第2検出モード判定回路92で構成され、第1検出モードおよび第2検出モード期間中にステップモータ8のロータの回転、非回転をコイルに発生する誘起電圧から判定し、セレクタ6および後述する駆動ランク選択回路10、回転判定カウンタ回路11、第1検出モード判定カウンタ回路111を制御する回転検出回路である。
但し回転検出パルスF5.5によってコイルに発生する誘起電圧は第1検出モード期間中に回転検出回路9において検出信号の有無の判定には使用するが、ステップモータ8のロータの回転、非回転の判定には使用しない。
なお回転検出パルスB5〜B12は通常駆動パルスSPを出力したのと反対側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。また回転検出パルスF5.5およびF7〜F14は通常駆動パルスSPを出力したのと同じ側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。
回転判定カウンタ回路11は、ステップモータ8のロータが回転と判定した回数をカウントし、所定回数カウントされた場合に駆動ランク選択回路10を制御する。また回転判定カウンタ回路11は第1検出モード判定カウンタ回路111を有し、第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5で検出しなかった回数をカウントし、所定回数カウントされた場合に駆動ランク選択回路10を制御する。即ち、第1の実施の形態ではB5、B6の回転検出パルスで検出した回数をカウントしたが、第4の実施の形態ではF5.5の回転検出パルスで検出しなかった回数をカウントする。回転判定カウンタ回路11は、ロータの非回転判定時にはリセットされ、連続して回転判定した回数をカウントし、第1検出モード判定カウンタ回路111は、連続して回転判定した回数のうち第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5で検出しなかった回数をカウントするようになっている。第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5で検出しなかった回数が所定の回数以上か否かによってランクダウンする駆動ランクが変わるよう駆動ランク選択回路10を制御する。なお駆動ランク変更後、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路111はリセットされる。
続いて上記構成の動作について図14のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
まず正秒のタイミングで通常駆動パルス生成回路3から出力される通常駆動パルスSPがセレクタ6によって選択、出力され、モータドライバ7を介し、ステップモータ8を駆動する(ステップST1)。そして正秒から5ms後に第1検出モードを開始する。第1検出モードではセレクタ6は回転検出パルス生成回路5から出力される回転検出パルスB5〜B12および回転検出パルスF5.5、F6.5を選択、出力し、コイルのインピーダンスを変化させるようステップモータ8を制御する。そして回転検出回路9はモータドライバ7を介し、回転検出パルスB5〜B12および回転検出パルスF5.5によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行う(ステップST2)。
その一方で、回転検出回路9は第1検出モード判定回路91に対して判定動作を開始するように指示する。第1検出モード判定回路91は回転検出回路9からの回転検出パルスB5〜B12と回転検出パルスF5.5による検出信号の入力回数によって第1検出モードでの検出信号の有無の判定を行うものであり、回転検出回路9の回転検出パルスB5〜B12による検出信号が2回発生した場合に検出と判定され、直ちに回転検出パルス発生回路5から出力される第1検出モードの回転検出パルスの出力を停止し、セレクタ6へ第1検出モードの動作を終了するよう通知するとともに、第2検出モードに移行するよう指示する(ステップST2:Y)。第1検出モードにおいて回転検出回路9の回転検出パルスB5〜B12による検出信号が2回発生していた場合、回転検出パルスF5.5による検出信号がなければ(ステップST4’:Y)、第1検出モード判定カウンタ回路111で回転検出パルスF5.5の検出信号の非発生回数がカウントされる(ステップST5’)。回転検出パルスF5.5によって検出信号が発生した場合は第1検出モード判定カウンタ回路111で回転検出パルスF5.5の検出信号の非発生回数をカウントせず、第2検出モードに移行する(ステップST4’:N)。
回転検出パルスB5〜B12によって検出信号が1つも発生しないか、または1つしか発生しない場合は、回転失敗と判定して第1検出モードの動作を終了するとともに、第2検出モードに移行せず、セレクタ6によって直ちに補正駆動パルスFPが選択、出力され(ステップST2:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示するところは第1の実施の形態と同様である(ステップST3)。
第2検出モードで回転成功と判定され、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していなければ、正秒の動作を終了し、引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御するが(ステップST8:N)、回転判定カウンタ回路11で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していれば、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値を確認する(ステップST8:Y)。第1検出モード判定カウンタ回路111は第1検出モードの回転検出パルスF5.5で検出しなかった場合の回数をカウントする回路であり、回転判定カウンタ回路11で240回、回転成功と判定された回数のうち第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上あれば(ステップST9:Y)、最小の駆動力の通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST10)、上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。反対に第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上でなければ(ステップST9:N)、1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST11)、上記と同様、回転判定カウンタ回路11のカウント値はリセットされるとともに(ステップST12)、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウント値もリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST13)。
図4の電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図、図5の駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図は第1の実施の形態と同一であり、同様であり説明を省略する。
次に実際の回転検出の動作に関して図4の各領域において代表例を挙げて波形図で説明する。図15〜図18の(a)はコイルに誘導される電流波形、図15〜図18の(b)はこのときにコイルの一方の端子O1に発生する電圧波形、図15〜図18の(c)はコイルの他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。電流波形の電流値が反転、電圧波形のO1とO2が反転するだけであり、波形図の形状は変わらないため、以降の波形図の説明は第1の実施の形態と同様、一方の相のみで行っていく。
まず図4のSP表記の領域に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで正常に回転した場合であり、図4において電源電圧1.50V、駆動ランク20/32の例で、波形図は図15である。
基本的に回転検出の動作は第1の実施形態と同様であり、省略して説明していく。
5msの時点で第1検出モードが開始され、誘起電圧V8、V9の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
第2検出モードになり、誘起電圧V11の検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されず、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力する。
第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧V5.5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えているため、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数はカウントされない。即ち、SP表記の領域の通常駆動パルスSPで回転判定カウンタ回路11において回転と判定された回数が240回に達した場合、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数は少なくとも4回以上カウントされていることはないため、次の通常駆動パルス出力時は1ランク小さな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
続いて図4のFP領域に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで回転できなかった場合であり、図4において電源電圧1.50V、駆動ランク16/32の例で、波形図は図16である。
5msの時点で第1検出モードが開始され、誘起電圧V5、V6の二つの検出信号がしきい値Vth値Vthを超えたことで、第2検出モードに切り換わる。
第2検出モードになり、誘起電圧V7からV9までの検出期間内でしきい値Vthを超えている検出信号はない。回転検出パルスF7〜F14によって発生する検出信号は最大3回の検出をもって終了する。よって第2検出モード判定回路92は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果セレクタ6は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ8を駆動しロータを確実に回転させ、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
なお第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧V5.5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えていないが、非回転判定であるため第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数のカウントには寄与しない。
続いて図4の太字かつ斜字のFP表記の領域に関して説明する。図4において電源電圧1.50V、駆動ランク23/32の例で、波形図は図17である。第1の実施の形態と同様、ロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合であり、図15の波形図よりも駆動力が若干高い。即ち、カレンダなどの一時的な負荷でランクアップし、負荷が無くなった直後の波形図である。
第1検出モードは図16のロータが回転できなかった場合の内容と同様であるため説明を省略する。
第2検出モードになり、誘起電圧V7からV9までの検出期間内でしきい値Vthを超えている検出信号がない。即ち、ロータが回転しているにも関わらず、回転失敗と判定され、セレクタ6は補正駆動パルスFPを選択、出力し、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。即ち、この駆動ランクではランクダウンできない。
なおロータが回転できなかった場合と同様、第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧V5.5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えていないが、非回転判定であるため第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数のカウントには寄与しない。
続いて図4の太字かつ斜字のSP表記の領域に関して説明する。図4において電源電圧1.50V、駆動ランク25/32の例で、波形図は図18である。第1の実施の形態と同様、ロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合であり、図17の波形図よりも駆動力が若干高い。即ち、カレンダなどの一時的な負荷がかかり負荷が無くなった直後、あるいは図17の波形図の駆動ランクのようにロータが回転しているにもかかわらず、回転失敗と誤判定でランクアップした次の動作の駆動ランクの波形図である。
第1検出モードは図16で説明したものと同様であるため説明を省略する。
第2検出モードとなり、誘起電圧V9の検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されず、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力する。
第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧V5.5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えていないため、第1検出モード判定カウンタ回路111において判定回数がカウントされる。即ち、太字かつ斜字のSP表記の領域の通常駆動パルスSPで回転判定カウンタ回路11において回転と判定された回数が240回に達した場合、第1検出モード判定カウンタ回路111の判定回数は少なくとも4回以上カウントされるため、次の通常駆動パルス出力時は最小ランクの駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路3を制御する。
第1の実施の形態と同様、図17のように回転しているにもかかわらず、電源電圧と駆動ランクの組み合わせによって回転失敗と誤判定しランクアップしてしまう条件があったとしても図18の波形図に示すような駆動ランクでは、最小の駆動力の駆動ランクに一気にランクダウンされるため、駆動力が高く消費電流の大きい駆動ランクで安定し続けることはない。最小の駆動力の駆動ランクにランクダウンするとランクダウンした直後は図16に示すような波形の駆動ランクが何回か連続で出力することにはなるが、最終的に電源電圧に対して最低限の駆動力で回れる図15の波形図に示すような駆動ランクで安定して回れるようになり、低消費電流での駆動が可能となる。
以上のように第4の実施の形態では第1検出モードにおいて回転検出パルスF5.5によって生じる誘起電圧が回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えているか否かでランクダウンする駆動ランクの切り替えを行っている。
第1の実施の形態では回転検出パルスB5、B6が第2検出モード移行判定とランクダウンする駆動ランクの切替の判定の両方を兼ねていたのに対し、第4の実施の形態では回転検出パルスB5、B6は第2検出モード移行判定のみ行い、回転検出パルスF5.5がランクダウンする駆動ランクの切替の判定を行うというように役割を別々とした。第4の実施の形態でも第1の実施の形態と同様、電圧変動が大きく負荷変動があったとしても、最終的には最低限の駆動力で回れる駆動ランクになるため、低消費電流で安定した駆動が可能となる。
[第4実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、以下のような変形例も可能である。
(1)通常駆動パルスのチョッパデューティ比の値、パルス数、チョッパ周期、回転判定回数、第1検出モードの判定カウント回数、第1検出モード、第2検出モードの判定個数、第二検出モードの打ち切り回数(第二検出パルスの出力個数)、しきい値Vthなどの各数値は上記数値に限定されるものではなく、モータや取り付けられる表示体(指針、日板など)に合わせて最適化されるべきである。
(2)第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6は第2検出モード移行判定のみ行い、回転検出パルスF5.5がランクダウンする駆動ランクの切替の判定を行うというように役割を別々としたことで、それぞれの回転検出パルスのしきい値Vthが別々となっても構わない。しきい値Vthを別々にすることでさらに精度の良い判定が可能となる。
(3)第4の実施の形態では、回転検出パルスF5.5によってコイルに発生する誘起電圧を検出信号の有無の判定には使用するが、ステップモータ8のロータの回転、非回転の判定には使用しないとし説明したが、もちろん回転、非回転の判定にも使用することは可能である。
(4)上記実施形態では、第1検出モード判定カウンタ回路111は、第1検出モードの回転検出パルスF5.5で検出しなかった場合の回数をカウントするようになっているが、これを検出した回数をカウントするようにしてもよい。
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態は、第1検出モード判定カウンタ回路(111)で計数された検出結果が、ステップモータの特定の端子のみに対して通常駆動パルス(SP)が出力された際に得られたものである場合に、前記駆動ランクの変更を制限する例である。
これは、電子時計に外部磁場が作用している場合に、ステップモータのロータの極性によって負荷が変動するため、この一時的な負荷変動により駆動ランクを最小の駆動ランクまでランクダウンしてしまうと、その後駆動ランクのランクアップと補正駆動パルスFPの出力が繰り返され、消費電力が増加してしまうため、このような場合に駆動ランクの変更を制限するものである。以下、本発明に係る第5の実施形態を図面に基づいて説明する。
図19は外部磁場が作用している際のステップモータのロータの安定位置を示す図、図20は本発明の第5の実施の形態のブロック線図、図21は本発明の第5の実施の形態のフローチャート図、図22は本発明の第5の実施の形態の電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図、図23は本発明の第5の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図及びコイルに発生する電流波形図であり、これら以外のパルス波形図(図2)、及び電子時計の回路が発生するパルスの波形図及びコイルに発生する電流波形図(図6)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図19において、(a1)は外部磁場が作用していない状態において、ステップモータのロータのN極が図中左側となる場合の静止時の安定位置を示している。このとき、ロータのN極とS極の中心を結ぶ直線Aは図中示した角度である。コイルによりステータに励磁される極性及び、それによりロータが回転する方向(図中矢印)が図中同時に示されている。なお、ロータの回転方向を一意に定めるため、直線Aの向きは、ステータに励磁される磁極中心間を結ぶ直線に対し若干傾くようになされている。
この状態で外部磁場が作用すると、(b1)に示すように、外部磁場の影響を受けて、ロータの静止時の安定位置は直線Aからさらに回転方向に角度θだけ傾斜した直線A1へと変化する。この場合、ロータは(a1)に示した場合に比して、より回転しやすい状態となっていることになる。
さらに、(a2)は外部磁場が作用していない状態において、ステップモータのロータのS極が図中左側となる場合の静止時の安定位置を示している。この場合の直線Aの向きは、先に示した(a1)の場合と同じである。
この状態で先の(b1)の場合と同じ外部磁場が作用すると、(b2)に示すように、外部磁場の影響を受けて、ロータの静止時の安定位置は直線Aからさらに反回転方向に角度θだけ傾斜した直線A2へと変化する。この場合、ロータは(a2)に示した場合に比して、より回転しにくい状態となっていることになる。
以上のことから、外部磁場が作用している場合には、ステップモータのロータの極性が反転する毎に、すなわち、ステップモータを1ステップ駆動する毎に、ロータは、交互に回転しやすい状態と回転しにくい状態になることになる。
この場合に駆動ランク選択回路10が選択する通常駆動パルスSPの駆動ランクは、ロータが回転しにくい状態であってもこれを回転させ得る図22に示す太字かつ斜字のSP表記の領域の駆動ランクとなるが、この駆動ランクの駆動パルスSPで、回転しやすい状態のロータを駆動すると、例えばロータの回転後のコイルに誘導される電流波形は、図23に示すようになる。後ほど詳述するが、図23(b)に示すように、回転検出パルスB5及び回転検出パルスB6によって生じる誘起電圧V5及びV6がしきい値電圧Vthを超えた検出信号となるため、第1の実施の形態に係る電子時計にしたがえば、駆動パルスSPの駆動ランクは最小ランクにランクダウンさせられることとなる。
一方、回転しにくい状態のロータを駆動した後のロータの回転後のコイルに誘導される図23と対になる電流波形は、図6に示したものと概ね同一である。したがって、外部磁場の作用下では、図23に示した電流波形及び検出信号と、図6に示した電流波形及び検出信号が交互に現れることになる。
そこで、本実施の形態では、図20に示すように、回転判定カウンタ回路11に第1検出モード判定カウンタ回路として、O1側第1検出モード判定カウンタ回路121及びO2側第1検出モード判定カウンタ回路122を用意し、ロータの極性毎に、第1検出モードにおける検出パルスによる検出信号が所定の検出パターンとなる回数を計数する構成を採っている。なお、第1検出モード判定カウンタ回路の構成は、ロータの極性毎に、すなわち、特定の端子に対する前記通常駆動パルス(SP)の出力毎の回数を計数することができるものであれば、図20に示したものに限定されず、任意である。
その他の点、例えば、連続して回転判定した回数が設定回数に達した場合に駆動ランクを変更するよう駆動ランク選択回路10を制御することと、駆動ランク変更後およびロータの非回転判定時、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路(すなわち、O1側第1検出モード判定カウンタ回路121及びO2側第1検出モード判定カウンタ回路122)においてカウントされた回数がリセットされること等は第1の実施の形態と同様である。
続いて上記構成の動作について図21のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
すなわち、ステップST9の第1検出モード判定カウンタ回路のカウント値を確認し、その判定回数が4回以上でなければ駆動ランクを1個下のランクにランクダウンする(ステップST11)までは第1の実施の形態と同一である。なお、ここでの第1検出モード判定カウンタ回路のカウント値は、第1検出モード判定カウンタ回路全体でのカウント値であるから、O1側第1検出モード判定カウンタ回路121及びO2側第1検出モード判定カウンタ回路122のそれぞれのカウント値の合計である。
ステップST9にて、その判定回数が4回以上であると判定された場合には、ステップST17にて、特定の端子においてのみ判定回数がカウントされたかを判定する。この判定は、例えば、O1側第1検出モード判定カウンタ回路121とO2側第1検出モード判定カウンタ回路122のいずれかの判定回数が0回である、或いは所定の回数(例えば1回)以下であることを判定することで可能である。
ステップST17での判定結果が否定的であれば、この場合の状況は外部磁場の影響でないと考えられるので、第1の実施の形態と同様に、ステップST10へと進み、駆動ランクを最小ランクにランクダウンさせ、ステップST12、13へと進み、回転判定回数及び第1検出モード判定回数をそれぞれリセットする。
これに対し、ステップ17での判定結果が肯定的であれば、この場合の状況は外部磁場の影響による一時的なものと考えられ、駆動ランクを最小ランクにランクダウンさせるべきではない。そのため、駆動ランク選択回路10における駆動ランクの変更は制限される。本実施形態では、単にステップST12、13へと進み、回転判定回数及び第1検出モード判定回数をそれぞれリセットすることで、駆動ランクの変更を行わないように構成されている。なお、これに替えて、駆動ランクを1個下のランクに変更するなど、最小ランクでない他のランクに変更するように構成してもよい。
次に実際の回転検出の動作に関して代表例により波形図で説明する。なお、図19の(b2)の状態、すなわち、ロータが回転しにくい状態にある時の波形図は図6と同一であり、その説明も第1の実施形態のものと同じであるからこれについては説明を省略する。
これに対し、図19の(b1)の状態、すなわち、ロータが回転しやすい状態にあるときの波形図は図23に示したものとなる。この場合、ロータに対し過剰な駆動力を持つ通常駆動パルスSPが印加されることとなるため、同図(a)に示すように、コイルの端子に誘起される電流波形は、通常駆動パルスSPによる波形c1の後、図6に見られるような波形c2は出現せず、ただちに波形c3が出現する(すなわち、波形c3がより早い段階で出現する)。このため、第1検出モードが開始される正秒より5msの時点で、既に電流波形は波形c3の領域にあり、回転検出パルスB5及びB6によって生じる誘起電圧V5及びV6が、回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V5、V6の二つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り替わる。
第2検出モードとなったことにより、次のタイミング、すなわち同図(c)に示す7msの時点より回転検出パルスF7がコイルに印加される。7ms、8msの時点ではこの例では、電流波形はいまだ波形c3の領域にあるため、誘起電圧V7、V8はしきい値電圧Vthを超えない。9msの時点になり、電流波形が波形c4の領域に入ると、電流値の向きが変わり、回転検出パルスF9による誘起電圧V9がしきい値電圧Vthを超え、検出信号となる。これにより、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定することになる。
この場合には、第1検出モードにおいて回転検出パルスB5、B6による検出信号が得られているため、通常駆動パルスSPが印加された側の端子についての判定回数、ここではO1側第1検出モード判定カウンタ回路121の判定回数が1加算されることになる。
[第5の実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、第1の実施の形態にて説明したと同様の変形を施してもよい。
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態を説明する。第6の実施の形態は、第1検出モード判定カウンタ回路(111)で計数された回数が所定数以上となった場合に、駆動ランクをランクアップする例である。
すなわち、第1の実施の形態のように、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上である場合に、最小の駆動力の通常駆動パルスSPとなるよう駆動ランクを選択する代わりに、駆動ランクをランクアップするようにして、第1の実施の形態と同様の効果を得るものである。以下、本発明に係る第6の実施形態を図面に基づいて説明する。
図24は本発明の第6の実施の形態のフローチャート図、図25は駆動ランク25/32で安定していた状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図である。これら以外のブロック線図(図1)、パルス波形図(図2)、電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図(図4)、及び電子時計の回路が発生するパルスの波形図及びコイルに発生する電流波形図(図6)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
本実施の形態に係る電子時計の動作について図24のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
まず、駆動パルスSPを出力し(ステップST1)、第1検出モード判定回路91により第1検出モードでの検出信号の検出の有無を判定する(ステップST2)まで、また、第1検出モードでロータの回転を検出した後(ステップST2:Y)、第2検出モード判定回路92により第2検出モードでの検出信号の検出の有無を判定する(ステップST6)までは第1の実施形態と同一である。
ロータが非回転と判定される場合、すなわち、第1検出モードで検出信号の検出に失敗した場合(ステップST2:N)及び、第2検出モードで検出信号の検出に失敗した場合(ステップST6:N)にはステップST18へと進み、現在の駆動ランクが最大ランクであるか否かを判定する。そして、現在の駆動ランクが最大ランクである場合には駆動ランクを最小ランクにランクダウンし、補正駆動パルスFPを出力してロータを回転させる(ステップST10’)。現在の駆動ランクが最大ランクでない場合には、駆動ランクを1ランクアップし、やはり補正駆動パルスFPを出力してロータを回転させる(ステップST3)。いずれの場合であっても、補正駆動パルスの出力後はステップST12、ST13へと進み回転判定回数及び第1検出モード判定回数をリセットする。
ロータが回転と判定される場合、すなわち、第2検出モードで検出信号を検出した場合(ステップST6:Y)には続くステップST7にて回転判定の回数をカウントするが、この後ステップST9にて第1検出モード判定回数が4回以上カウントされたか否かを判定するまで、及び、第1検出モード判定回数が4回に満たない場合(ステップST9:N)にステップST11へと進み、駆動パルスのランクを1ランクダウンする点は、第1の実施の形態と同様である。
第1検出モード判定回数が4回以上カウントされたと判定される場合(ステップST9:Y)には続くステップST18にて、現在の駆動ランクが最大ランクであるか否かを判定する。現在の駆動ランクが最大ランクでない場合(ステップST18:N)にはステップST3’へと進み、駆動ランクを1ランクアップする。この場合の制御は、ステップST3とは異なり、通常駆動パルスSPによりロータが回転しているため、補正駆動パルスFPを出力する必要はない。そのため、1ランクアップする際、消費電流の増加を抑えるため、補正駆動パルスFPを出力しないようにしている。なお、補正駆動パルスFPを出力するようにしても、ロータがすでに回転している状態からさらに回転することはないので、無駄な消費電流が発生する点を除けば問題はない。これに対し、現在の駆動ランクが最大ランクの場合には、ステップST10へと進み、駆動ランクを最小ランクへとランクダウンする。このいずれの場合であっても、補正駆動パルスの出力は行わず、ステップST12、ST13へと進み回転判定回数及び第1検出モード判定回数をリセットする。
かかるフローによる制御による駆動ランクの変化を例示して説明する。図25は1.50Vにおいて比較的駆動力の高い太字かつ斜字のSP表記の領域に示す駆動ランク25/32(図4参照)からの駆動ランクの変化を模式的に示した図である。
図25(c)1.50V本発明において本実施の形態の場合、240回連続して同じ通常駆動パルスSPの駆動ランク25/32で回転していた場合(c−1)、駆動ランクはランクダウンするのではなく、1ランクだけランクアップされる。その結果駆動ランクは26/32となるが、この領域もまた太字かつ斜字のSP表記の領域であるため、この状態でさらに240回連続して回転すると、さらに駆動ランクは1ランクだけランクアップし、最大の駆動ランクである駆動ランク27/32となる(c−2)。
この最大の駆動ランク27/32もまた、太字かつ斜字のSP表記の領域であるため、この状態でさらに240回連続して回転すると、これ以上駆動ランクをランクアップすることはできず、その代わりに最小の駆動ランク16/32にランクダウンされる(b−2)。駆動ランク16/32から18/32は前述の通りFP表記の領域であるから、ロータの動作毎に駆動パルスのランクアップを繰り返し(b−3)、SP表記の領域の内、最小の駆動ランクである駆動ランク19/32で駆動ランクが安定する(b−4)。駆動ランク19/32で駆動ランクが安定している状態で240回の回転毎に駆動ランク18/32へのランクダウンと直ちに駆動ランク19/32へのランクアップを繰り返す点は、第1の実施の形態と同様である。
このように、第1検出モード判定カウンタ回路111のカウンタ値が4回以上である場合に、駆動ランクをランクアップし、最大の駆動ランクである場合には最小の駆動ランクにランクダウンするようにしても、太字かつ斜字のSP表記の領域で安定することはなく、SP表記の領域で安定するため、第1の実施の形態と同様に、低消費電流での回転が可能である。
[第6の実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、第1の実施の形態にて説明したと同様の変形を施してもよい。
[第7の実施の形態]
本発明の第7の実施の形態を説明する。第7の実施の形態は、第1検出モード判定カウンタ回路(111)で計数された検出結果が、不連続に検出された検出信号に基くものである場合にも前記駆動ランクの変更の態様を違える、すなわち、最小ランクへとランクダウンする例である。
これは、電源電圧が低下した状態であってもステップモータのロータを回転させようとする場合等、より高い駆動ランク、例えば、通常駆動パルスSPのデューティが28/32〜30/32となるような駆動ランクを使用する場合に、電源電圧及び駆動ランクが共に高い条件下で、非回転と誤判定する組み合わせが存在し得るため、かかる領域での誤判定に起因して駆動ランクが高止まりし、消費電流が増加してしまうため、このような場合にも駆動ランクを適正なランクへとランクダウンさせるものである。以下、本発明に係る第7の実施形態を図面に基づいて説明する。
図26は本発明の第7の実施の形態のブロック線図、図27は本発明の第7の実施の形態のフローチャート図、図28は本発明の第7の実施の形態の電源電圧と駆動ランクを変動させた場合の回転、非回転判定結果を示したマトリックス図、図29は駆動ランク30/32からの駆動ランクの変化を模式的に示した図、図30及び図31は本発明の第7の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図及びコイルに発生する電流波形図である。パルス波形図(図2)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
本実施の形態では、図26に示すように、回転判定カウンタ回路11に第1検出モード判定カウンタ回路111に加え、第1検出モード不連続検出カウンタ回路131を設ける構成をとっている。ここでの第1検出モード判定カウンタ回路111は、第1の実施の形態におけるものと同様に、第1検出モードにおいて、所定タイミングより前に検出信号が検出された回数を計数するものであり、第1検出モード不連続検出カウンタ回路131は、第1検出モードにおいて、検出信号が不連続に検出された回数を計数するものである。第1検出モード判定カウンタ回路111及び第1検出モード不連続検出カウンタ回路131のいずれも、第1検出モードにおける検出信号が所定の検出パターンとなる回数を計数するものである点は同じである。
また、駆動ランク変更後およびロータの非回転判定時に、回転判定カウンタ回路11および第1検出モード判定カウンタ回路111に加え、第1検出モード不連続検出カウンタ回路131においてカウントされた回数がリセットされる。その他の点、例えば、連続して回転判定した回数が設定回数に達した場合に駆動ランクを変更するよう駆動ランク選択回路10を制御すること等は第1の実施の形態と同様である。
続いて上記構成の動作について図27のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、第1の実施の形態と異なる部分に関して説明する。
まず、駆動パルスSPを出力し(ステップST1)、第1検出モード判定回路91により第1検出モードでの検出信号の検出の有無を判定する(ステップST2)まで、また、第1検出モードでの検出が無い場合(ステップST2:N)にステップST3へと進み、駆動ランクを1ランクアップさせ、補正駆動パルスFPを出力する。第1検出モードでの検出があった場合(ステップST2:Y)に、所定タイミングより前の検出パルスであるB5及びB6の両方で検出したかを判定する(ステップST4)までは第1の実施の形態と同一である。
検出パルスB5及びB6の両方で検出した場合には(ステップST4:Y)、第1の実施形態と同様に続くステップST5にて第1検出モード判定カウンタ回路111により第1検出モード判定回数を1だけ増加させ計数し、ステップST6へと進む。
これに対し、検出パルスB5及びB6の両方での検出がされなかった場合には(ステップST4:N)、ステップST19へと進み、第1検出モードにおける検出信号が不連続で検出されたか否かを判定する。不連続で検出された場合(ステップST19:Y)には、ステップST20にて第1検出モード不連続判定カウンタ回路131により第1検出モード不連続判定回数を1だけ増加させ計数し、ステップST6へと進む。検出が不連続でない場合には(ステップST19:N)、第1の実施の形態と同様に、単にステップST6へと進む。
ステップST6は第1の実施の形態と同様であり、第2検出モードにおける検出信号の有無を判定する。検出されなかった場合(ステップST6:N)にはステップST3へと進み、駆動ランクを1ランクアップさせ、補正駆動パルスFPを出力する。ステップST7及びステップST8も第1の実施の形態と変化はない。
ステップST8にて、回転判定回数が240回カウントされたと判定された場合(ステップST8:Y)には、ステップST9’へと進み、第1検出モード判定回数が所定の回数、ここでは4回以上であるか、または、第1検出モード不連続判定回数が所定の回数、ここでは4回以上である場合のいずれかの条件を満たしているか否かを判定する。この条件が満たされていない場合(ステップST9’:N)には、ステップST11へと進み、駆動ランクを1ランクダウンさせる。この条件が満足されている場合(ステップST9’:Y)には、ステップST10へと進み、駆動ランクを最小ランクにランクダウンさせる。
ステップST3で駆動ランクをランクアップさせた場合、ステップST11及びステップST10で駆動ランクをランクダウンさせた場合のいずれの場合であっても、ステップST12、13へと進み、回転判定回数、第1検出モード判定回数及び第1検出モード不連続判定回数をそれぞれリセットする。
このフローを第1の実施の形態において図3に示したフローチャートと比較すると、第1検出モードで検出信号を検出した後(ステップST2:Y)、検出パルスB5及びB6で検出信号が検出された回数に加え(ステップST4、ステップST5)、検出信号が不連続に検出された回数をも計数する(ステップST19、ステップST20)ように構成されていること、及び、ステップST9にて、駆動ランクを最小ランクにランクダウンする(ステップST10)条件に、第1検出モード判定回数のカウント値による条件に加え、第1検出モード不連続判定回数のカウント値による条件が追加されている点が異なっている。
続いて、本実施形態における実際の回転検出の動作について例示して説明する。図28は、第7の実施の形態において用いられる駆動ランク16/32〜30/32を1/32毎に変動させるとともに、電源電圧を1.05V〜1.80Vまで0.15V刻みに変動させた場合のロータの回転、非回転判定結果を示したマトリックス図である。
図28において、FP表記の領域、SP表記の領域、太字かつ斜字のFP表記の領域及び太字かつ斜字のSP表記の領域は第1の実施の形態にて示した図4と同様である。すなわち、FP表記の領域では、通常駆動パルスSPでロータが回転できず、回転検出回路9で正しく非回転と判定され、SP表記の領域では、通常駆動パルスSPでロータが回転でき、回転検出回路9で正しく回転と判定される。さらに、太字かつ斜字のFP表記の領域では、通常駆動パルスSPでロータが回転できるものの、回転検出回路9では非回転と誤判定され、太字かつ斜字のSP表記の領域は、通常駆動パルスSPでロータが回転でき、回転検出回路9で正しく回転と判定される。太字かつ斜字のSP表記の領域で240回連続して回転と判断された場合には、最小の駆動ランクにランクダウンする制御が行われる。
図28の高電圧かつ高駆動ランクとなる条件には、さらに、太字かつ斜字のFP2表記の領域と太字かつ斜字のSP2表記の領域が存在する。太字かつ斜字のFP2表記の領域は、通常駆動パルスSPでロータが回転できるものの、回転検出回路9では非回転と誤判定される。このため、回転検出後、直ちに補正駆動パルスが出力され(これはロータの回転に影響を与えない)、駆動ランクが1だけランクアップされる。
そして、太字かつ斜字のSP2表記の領域は、通常駆動パルスSPでロータが回転でき、なおかつ回転検出回路9で正しく回転と判定される領域である。しかしながら、この領域で第1検出モードにおける検出信号が検出されるパターンは、先の太字かつ斜字のSP表記の領域とは異なる。そのため、第1検出モード判定カウンタ回路111によるカウンタ値を用いては、現在の状態がこの太字かつ斜字のSP2表記の領域にあることを検出できない。太字かつ斜字のSP2表記の領域を検出できず、これをSP表記の領域と同等に取り扱うこととすると、駆動ランクは、図28の例では、例えば電源電圧が1.80Vでかつ駆動ランク30/32の状態となると、その状態で安定してしまい、不必要に高い駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力することによる消費電流の増加を招く。
第1検出モード不連続検出カウンタ回路131は、太字かつ斜字のSP2表記の領域にあることを検出するためのものであり、同領域では、第1検出モードにおける検出信号が不連続に検出されるパターンとなることを利用してこれを検出し、その検出回数をカウントする。したがって、本実施形態においては、太字かつ斜字のSP2表記の領域にて240回連続して回転と判断された場合には、太字かつ斜字のSP表記の領域と同様、最小の駆動ランクにランクダウンする制御が行われる。
図29は一時的な負荷がかかる等して、1.80Vにおいて駆動ランク30/32となった状態からの駆動ランクの変化を模式的に示した図である。
図29(d)1.80V本発明において本実施の形態の場合、240回連続して同じ通常駆動パルスSPの駆動ランク30/32で回転していた場合(d−1)、最小の駆動力の駆動ランク16/32まで一気にランクダウンする(d−2)。この駆動ランク16/32はSP表記の領域であるから、240回連続で回転を検出した場合に駆動ランクをランクダウンさせようとするが、この駆動ランクは最小の駆動ランクであるからこれ以上下げることはできず、そのままの状態で安定することになる。
次に実際の回転検出の動作に関して代表例により波形図で説明する。なお、図28のFP表記の領域、SP表記の領域、太字かつ斜字のFP表記の領域及び太字かつ斜字のSP表記の領域における波形図は第1の実施の形態における波形図と特に変わりはなく、それぞれ、図7、図6、図8及び図9が該当する。これらの場合に行われる回転検出の動作もまた同様であるから、重複する説明は省略する。
これに対し、図28の太字かつ斜字のFP2表記の領域での波形図は図30に示したものとなる。この場合、ロータに対し著しく過剰な駆動力を持つ通常駆動パルスSPが印加されることとなるため、同図(a)に示すように、コイルの端子に誘起される電流波形は、通常駆動パルスSPによる波形c1の後、図6に見られるような波形c2は出現せず、ただちに波形c3が出現し、その後すぐに極性の反転した波形c4が出現する(すなわち、波形c3、c4が極めて早い段階で出現する)。このため、第1検出モードが開始される正秒より5msの時点で電流波形は波形c3の領域にあり、同図(b)に示すように、回転検出パルスB5によって生じる誘起電圧V5が、回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えた検出信号となる。しかしながら、電流波形は続く6msの時点ですぐに波形c4の領域に入るため、回転検出パルスB6〜B8によって生じる誘起電圧がしきい値Vthを超えることはなく、検出信号は検出されない。
さらに9msの時点となり、電流波形がさらに極性の反転した波形c6の領域に入ると、回転検出パルスB9により生じる誘起電圧V9が、再び閾値電圧Vthを超えるため、検出信号が検出される。これにより、第1検出モードにおいて2つの検出信号が検出されたことになり、第2検出モードへと移行する。
第2検出モードとなったことにより、次のタイミング、すなわち同図(c)に示す10msの時点より回転検出パルスF10〜F12がコイルに印加される。しかしながら、10ms〜12msの時点では、この例では、電流波形はいまだ波形c6の領域にあるため、誘起電圧V10〜V12はしきい値電圧Vthを超えることはない。第2検出モードの3回の検出パルスのいずれにおいても検出信号を検出することが無いため、回転検出回路9は、この場合にロータ非回転と誤検出をすることになる。この結果、補正駆動パルスFPが出力され、駆動ランクが1ランクアップされることになる。
他方で、図28の太字かつ斜字のSP2表記の領域での波形図は図31に示したものとなる。この場合においても、ロータに対し著しく過剰な駆動力を持つ通常駆動パルスSPが印加されることとなるため、図30の例と同様に、同図(a)に示すように、コイルの端子に誘起される電流波形は、通常駆動パルスSPによる波形c1の後、直ちに波形c3が出現し、その後すぐに極性の反転した波形c4が出現する。この場合にも、第1検出モードが開始される正秒より5msの時点で電流波形は波形c3の領域にあり、同図(b)に示すように、回転検出パルスB5によって生じる誘起電圧V5が、回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えた検出信号となる。しかしながら、電流波形は続く6msの時点ですぐに波形c4の領域に入るため、回転検出パルスB6〜B9によって生じる誘起電圧がしきい値Vthを超えることはなく、検出信号は検出されない。
さらに10msの時点となり、電流波形がさらに極性の反転した波形c6の領域に入ると、回転検出パルスB10により生じる誘起電圧V10が、再び閾値電圧Vthを超えるため、検出信号が検出される。これにより、第1検出モードにおいて2つの検出信号が検出されたことになり、第2検出モードへと移行する。
第2検出モードとなったことにより、次のタイミング、すなわち同図(c)に示す11msの時点より回転検出パルスF11〜F13がコイルに印加される。11ms及び12msの時点では、この例では、電流波形はいまだ波形c6の領域にあるため、誘起電圧V11及びV12はしきい値電圧Vthを超えることはない。ところが、13msの時点では、電流波形はさらに極性の反転した波形c7の領域にあるため、回転検出パルスF13による誘起電圧V13はしきい値電圧Vthを超え、検出信号が検出されることになる。これにより、第2検出モード判定回路92による検出がなされるため、ロータの回転は成功と判断されることになる。
このように、著しく過剰な駆動力を持つ通常駆動パルスSPがステップモータのコイルに印加された場合には、第1検出モードにおける検出信号は、第1検出モードの開始直後と、終了間際に分離して得られ、その間に検出信号が得られない回転検出パルスが存在することになるから、検出信号は不連続に検出されることになる。
この状態は、第1検出モード判定カウンタ回路111によってはこれを検出し、その出現回数をカウントできないが、第1検出モード不連続判定カウンタ回路131によってはこれを検出し、その出現回数をカウントすることができる。これにより、太字かつ斜字のSP2表記の領域で240回連続して回転を検出した場合に、駆動ランクを最小の駆動ランクにランクダウンする制御が可能となるのである。
[第7の実施の形態の変形例]
なお、本実施例は上記に限定されず、第1の実施の形態にて説明したと同様の変形を施してもよい。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、各実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
例えば、図1や図11等に示すブロック線図は一例であり、上述した動作を行うものであれば他の構成を備えていても良い。ブロック線図のシステムを構成する方法としては、ランダムロジックによる制御でもマイクロコンピュータによる制御でも良い。セレクタ6をマイクロコンピュータで構成し、その他の回路はランダムロジックで構成するような構成でも良い。このようにすれば、多機種への適用における変更も比較的容易に実施できる。
なお、電流波形は、ステップモータの電気的特性や駆動パルスの電圧値等によりその波形、すなわち出力レベルや時間的応答が変化するが、実施の形態中の第一検出パルスの判定回数、第二検出パルスの判定回数、第二検出モードの打ち切り回数(第二検出パルスの出力個数)、しきい値Vth等を電流波形に応じて適切な値とすることで、電流波形に依らずに本実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、各実施形態においてその変形例について言及したが、各実施形態において可能な変形は言及された変形例に限定されない。例えば、各実施形態が有する特徴を互いに組み合わせる変形は、本発明の技術的範囲に含まれると解すべきである。