[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、第1検出モードが終了し、第2検出モード移行後、第2検出モードで初めて回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数に基づき、ランクダウンする駆動ランクを切り替える例である。以下、本発明に係る第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図2は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図、図3は本発明の第1の実施の形態のフローチャート図、図4〜図7は本発明の第1の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図である。
図1において、1は電池等の電源、2は水晶振動子(不図示)の発振により基準クロックを生成する発振回路21と、発振回路21からの基準信号を分周する分周回路22で構成される基準信号生成回路である。3は基準信号生成回路2に基づいて、図2(a)に示すごとき4.0ms幅で0.5ms毎の通常駆動パルスSPを生成する通常駆動パルス生成回路であり、正秒毎に出力する。なおチョッパデューティ比は温度等の環境変化に対応するため16/32〜27/32と複数用意し、1/32毎に生成され、後述する駆動ランク選択回路10に基づき、所定のチョッパデューティ比の通常駆動パルスが選択され出力する。
4は基準信号生成回路2に基づいて、図2(d)に示すごとき7msの補正駆動パルスFPを生成し出力する補正駆動パルス生成回路であり、この補正駆動パルスFPは、後述するステップモータ8のロータ(不図示)が非回転と判定された場合、通常駆動パルスSP出力から32ms経過後に出力が行われる。
5は基準信号生成回路2に基づいて、第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B12および第2検出モードで用いる回転検出パルスF6.5〜F13.5を生成し出力する回転検出パルス生成回路である。回転検出パルスB5〜B12は図2(b)に示す如き32μs幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より5ms後から12msまで0.5ms毎に出力する。回転検出パルスF6.5〜F13.5は図2(c)に示す如き32μs幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より6.5ms後から13.5msまで
0.5ms毎に出力する。
6はセレクタであり通常駆動パルス生成回路3、補正駆動パルス生成回路4、回転検出パルス生成回路5から出力されるパルスを後述する回転検出回路9の判定結果に基づいて選択し出力する。
7はモータドライバであり、セレクタ6から出力される信号を後述する2極ステップモータ8のコイル(不図示)に供給するとともに、ステップモータ8のロータの回転状態を、後述する回転検出回路9に伝える。このため、モータドライバ7には、ステップモータ8のコイルへの供給用に、O1,O2の2個の出力端子を有する。
8はコイルおよびロータから構成されるステップモータであり、輪列(不図示)を介して指針(不図示)を駆動する。
9は第1検出モードでの判定を行う第1検出モード判定回路91および第2検出モードでの判定を行う第2検出モード判定回路92を少なくとも有した回路で構成され、第1検出モードおよび第2検出モード期間中にステップモータ8のロータの回転、非回転をコイルに発生する誘起電圧から判定し、セレクタ6および後述する駆動ランク選択回路10、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11を制御する回転検出回路である。
なお回転検出パルスB5〜B12は通常駆動パルスSPを出力したのと反対側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。また回転検出パルスF6.5〜F13.5は通常駆動パルスSPを出力したのと同じ側の端子に出力され、コイルを含む閉ループのインピーダンスを急激に変化させることにより、通常駆動パルスSP印加後のロータの自由振動によって発生した誘起電圧を増幅して回転検出回路9によって検出する。
具体的には、回転検出パルスの非出力時はO1、O2両端子を同電位に保ち、回転検出パルス出力時にコイルを含む閉ループの状態をハイインピーダンスの状態にする。ハイインピーダンスの状態にした瞬間、ロ−タの自由振動によってコイルに発生する誘起電圧を検出し、この検出信号によりロ−タの回転検出を行う。
10は駆動ランク選択回路であり、回転検出回路9でロータが回転と判定された場合、かつ後述する第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11で所定回数カウントされた場合に、所定の通常駆動パルスの駆動ランクを選択し、通常駆動パルス生成回路3を制御する。ここで通常駆動パルスの16/32〜27/32のチョッパデューティ比がそれぞれ駆動ランクに相当する。チョッパデューティ比が大きい、即ちチョッパデューティ比27/32に近いほどコイルに供給する電流量は多くなりステップモータ8の駆動力が大きくなる。
そして回転検出回路9でロータが非回転と判定された場合に補正駆動パルスFPを出力させるようセレクタ6を制御するとともに次の通常駆動パルス出力時は1つ上の駆動ランクにランクアップするように駆動ランク選択回路10を制御する。なお最大駆動ランク27/32で非回転と判定された場合は最小駆動ランク16/32に移行するようになっている。
11は第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路であり、第2検出モードにおいて最初に回転検出信号が発生するまでの第2検出モードの回転検出パルス出力数を確認するになっている。第2検出モードにおいて回転検出パルス出力数が所定回数カウントさ
れた場合に、次ステップの通常駆動パルスの駆動ランクを所定の駆動ランクにランクダウンするよう駆動ランク選択回路10を制御する。なお最小駆動ランク16/32で所定回数カウントされた場合はランクダウンせず、駆動ランク16/32を維持する。
続いて上記構成の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものである。まず正秒のタイミングで通常駆動パルス生成回路3から出力される通常駆動パルスSPがセレクタ6によって選択、出力され、モータドライバ7を介し、ステップモータ8を駆動する(ステップST1)。そして正秒から5ms後に第1検出モードの回転検出を開始する。第1検出モードではセレクタ6は回転検出パルス生成回路5から出力される回転検出パルスB5〜B12を選択、出力し、コイルのインピーダンスを変化させるようステップモータ8を制御する。そして回転検出回路9はモータドライバ7を介し、回転検出パルスB5〜B12によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行う(ステップST2)。
その一方で、回転検出回路9は第1検出モード判定回路91に対して判定動作を開始するように指示する。第1検出モード判定回路91は回転検出回路9からの検出信号の入力回数によって第1検出モードでの検出信号の有無の判定を行うものであり、回転検出回路9の検出信号が3回発生した場合に検出と判定され、直ちに回転検出パルス発生回路5から出力される第1検出モードの回転検出パルスの出力を停止し、セレクタ6へ第1検出モードの動作を終了するよう通知するとともに、第2検出モードに移行するよう指示する(ステップST3:Y)。
そして回転検出パルスB5〜B12によって検出信号が1つも発生しない、1つしか発生しない、または2つしか発生しない場合は、回転失敗と判定して第1検出モードの動作を終了するとともに、第2検出モードに移行せず(ステップST3:N)、セレクタ6によって直ちに補正駆動パルスFPが選択、出力され(ステップST8)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST9)。なおこの場合、第2検出モードには移行しないため、第2検出モードの回転検出パルス出力数はカウントされず特に関係ないが、システム構成を簡易化する目的で、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11において第2検出モードの回転検出パルス出力数のカウンタ値をリセットする動作を行ってから、正秒の動作が終了するようになっている(ステップST10)。
第2検出モードに移行した場合は、セレクタ6は回転検出パルス生成回路5から出力される回転検出パルスF6.5〜F13.5を選択、出力し、第1検出モードと同様、コイルのインピーダンスを変化させるようステップモータ8を制御する。そして回転検出回路9はモータドライバ7を介し、回転検出パルスF6.5〜F13.5によってコイルに発生する誘起電圧の検出を行うと同時に、第2検出モードにおいて最初に回転検出信号が発生するまで回転検出パルスの出力数をカウントする(ステップST4)。
第2検出モード判定回路92は回転検出回路9からの検出信号の入力回数によって第2検出モードでの検出信号の有無の判定を行うものであり、回転検出回路9の検出信号が2回発生した場合に回転成功と判定され、直ちに回転検出パルス生成回路5から出力される第2検出モードの回転検出パルスの出力を停止し、第2検出モードの動作を終了するとともに、補正駆動パルスFPを出力しないようにセレクタ6を制御する(ステップST5:Y)。
そして第2検出モード移行後、3発目以降で最初に回転検出信号が発生していた場合は、次の正秒の通常駆動パルス出力時には引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルス
SPを出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST6:Y)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値がリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。また1発目あるいは2発目で最初に回転検出信号が発生していた場合は、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST6:N)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値がリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
なお第2検出モードにおいて、回転検出パルスF6.5〜F13.5によって発生する検出信号は最大6回の検出をもって終了し、その間に検出信号が発生しない、または1つしか発生しない場合は回転失敗と判定し(ステップST5:N)、上記と同様、セレクタ6によって直ちに補正駆動パルスFPが選択、出力され(ステップST8)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST9)。そして第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値がリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
次に実際の回転検出の動作に関して波形図で説明する。図4〜図7の(a)はコイルに誘導される電流波形、図4〜図7の(b)はこのときにコイルの一方の端子O1に発生する電圧波形、図4〜図7の(c)はコイルの他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。電流波形の電流値が反転、電圧波形のO1とO2が反転するだけであり、波形図の形状は変わらないため、以降の波形図の説明は一方の相のみで行っていく。
まず図4に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで正常に回転し、比較的低消電で駆動している場合であり、駆動ランク20/32の例である。
図4(a)に示す通常駆動パルスSPがコイルの一端O1に加えられ、ロータが回転を開始する。このときの電流波形が図4(a)の波形c1である。通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形はc2、c3、c4に示す誘導電流波形となる。5msの時点で第1検出モードが開始され、図2(b)に示す回転検出パルスB5がコイルに印加される。図4(a)に示すように5msでは電流波形は電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向である。よって図4(c)に示すように回転検出パルスB5によって生じる誘起電圧V5は回転検出回路9のしきい値電圧Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値は正方向に変わる。よって図4(c)に示すように回転検出パルスB7によって生じる誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に7.5ms、8msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB7.5、B8によって生じる誘起電圧V7.5、V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V7.5、V8の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V8によって第2検出モードとなったことにより次のタイミングの回転検出パルス、即ち図2(c)に示す8.5msの時点での回転検出パルスF8.5がコイルに印加される。図4(a)に示すように8.5msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため、図4(b)に示すように回転検出パルスF8.5によって生じる誘起電圧V8.5はしきい値Vthを超えることはない。しかし9.5msになると電流波形は図4(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、図4(b)に示すように回転検出パルスF9.5によって生じる誘起電圧V9.5は
しきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に10msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、回転検出パルスF9.5、F10によって生じる誘起電圧V9.5、V10はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V9.5、V10の2つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また8msで第2検出モードに移行し、9.5msで最初にしきい値Vthを超えた回転検出信号が発生する、即ち第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生したため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
続いて図5に関して説明する。図4と同じくロータが通常駆動パルスSPで正常に回転した場合であり、駆動ランク20/32であるが、歯車の加工ばらつき等による一時的な輪列負荷(負荷トルクmax30μNm増程度)で図4に比べてモータが回転しづらくなった場合の例である。図4を基準とし図4の状態から電池の容量が減るなどして電源電圧が多少低下した場合(max0.1V減程度)も類似した波形変化となる、基本的に回転検出の作用としては同じであるため説明は省略する。
以下、図5の説明を行うにあたって図4と同じ内容に関しては省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形はc2、c3、c4に示す誘導電流波形となるが、図4に比べて電流波形c3、c4が遅れたタイミングで発生するようになる。即ち、通常駆動パルスSP出力終了以降はロータが自由振動状態となるが、次の正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力するまでモータへ駆動エネルギの供給は行われず、ロータが自由振動中はロータ等の摩擦トルクや保持トルク、慣性量等の機械的要因が支配的となってくる。したがって大きな波形パターンは変わらず、基本的に負荷に応じて電流波形のピーク電流値が多少上下、また電流波形c3が時間的に前後する程度の変化が生じる。そのため第1検出モード、第2検出モードの回転検出信号も比較的遅いタイミングで発生する。以下図5の波形図に基づいて回転検出の動作を説明すると、図5(a)に示すとおり8.5msで電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値が正方向に変わる。9ms、9.5msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB8.5、B9、B9.5によって生じる誘起電圧V8.5、V9、V9.5の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V9.5によって第2検出モードとなり、図2(c)に示す10msの時点での回転検出パルスF10がコイルに印加される。図5(a)に示すように10msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため、回転検出パルスF10よって生じる誘起電圧V10はしきい値Vthを超えることはない。しかし11msになると電流波形は図5(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、回転検出パルスF11によって生じる誘起電圧V11はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に11.5msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、回転検出パルスF11、F11.5によって生じる誘起電圧V11、V11.5はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V9.5、V10の2つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また図4と同じように第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生したため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パル
スSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
即ち、図4の波形図でも図5の波形図でも第1検出モードおよび第2検出モードの回転検出信号の発生タイミングが異なるだけで、第1検出モードが終了し、第2検出モード移行後、第2検出モードで初めて回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数は基本的には変わらない。よって通常駆動パルスSPの駆動ランクは前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを維持し、歯車の加工ばらつき等による一時的な輪列負荷変動があっても駆動ランクは変わることなく低消電での駆動が可能となっている。
次の図6に関して説明する。図6の通常駆動パルスSPの駆動ランクは20/32であるが、カレンダ作動等の大きな負荷が作用し、上記通常駆動パルスSPで回転できなくなった場合の例である。以下、図6の説明を行うにあたって図4、図5と同じ内容に関しては省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
図6においてロータが通常駆動パルスSPで回転できた場合と異なり、順に電流波形c1、c2、c5と通常駆動パルスSP出力後の電流波形のピーク値は低く、滑らかな電流波形となる。
回転検出の動作は回転できなかった場合でも同様である。図6(a)に示すように6msで電流波形は電流波形c5の領域になり、電流値が正方向に変わる。6.5ms、7msでも電流波形は電流波形c5の領域にあり、回転検出パルスB6、B6.5、B7によって生じる誘起電圧V6、V6.5、V7の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V7によって第2検出モードとなり、図2(c)に示す7.5msの時点での回転検出パルスF7.5がコイルに印加される。図7(a)に示すように7.5msでは電流波形は電流波形c5の領域にあり、電流値は正方向にあるため、回転検出パルスF7.5よって生じる誘起電圧V7.5はしきい値Vthを超えることはない。また回転検出パルスF8〜F10によって生じる誘起電圧V8〜V10においても電流波形c5の領域にあり、誘起電圧V7.5からV10までの検出期間内でしきい値Vthを超えている検出信号が検出されないことになる。回転検出パルスF7.5から数えて6回目の回転検出パルスである回転検出パルスF10においてしきい値Vthを超えている検出信号が検出されないことになる。よって第2検出モード判定回路92は回転失敗と判定して判定を打ち切り、その結果セレクタ6は補正駆動パルスFPを選択してステップモータ8を駆動しロータを確実に回転させ、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
以上、カレンダ作動等の大きな負荷が作用し、上記通常駆動パルスSPで回転できなくなった場合でも正常に回転失敗と判定する。
最後に図7に関して説明する。ロータが通常駆動パルスSPで正常に回転しているが、カレンダ作動等の大きな負荷が作用した後、その負荷が無くなり、比較的駆動力の高い通常駆動パルスSPの駆動ランク24/32で回転している例である。以下、図7の説明を行うにあたって図4、図5、図6と同じ内容に関しては省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形c2が現れず、電流波形はc3、c4に示す誘導電流波形となる。即ち、通常駆動パルスSPの駆動力が高く、早いタイミングで回転が終了している。
以下図7の波形図に基づいて回転検出の動作を説明すると、図7(a)に示すとおり第1検出モード開始直後5msの時点で電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値が正方向となる。5ms、5.5ms、6msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB5、B5.5、B6によって生じる誘起電圧V5、V5.5、V6の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。なお詳細な説明は省略するが、さらに駆動力の高い通常駆動パルスSPが出力された場合はさらに早いタイミングで回転が終了するため、電流波形c3を検出信号として拾えなくなる。
この場合は第2検出モードに移行できず、補正駆動パルスを出力し、ランクアップするようになっている。最大駆動ランク27/32でも電流波形c3が拾えず、最小ランクに移行し、最終的に最低限の通常駆動パルスで回転できる駆動ランク、今回の例では駆動ランク20/32であるが、最小ランク16/32から正秒毎にランクアップし駆動ランク20/32に落ち着くようになっている。
図7の波形図の説明の続きになるが、誘起電圧V6によって第2検出モードとなり、図2(c)に示す6.5msの時点での回転検出パルスF6.5がコイルに印加される。図7(a)に示すように6.5msの時点で電流波形は図7(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、回転検出パルスF6.5によって生じる誘起電圧V6.5はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に7msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、回転検出パルスF6.5、F7によって生じる誘起電圧V6.5、V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V6.5、V7の2つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また6.5msで第2検出モードに移行し、6.5msの時点で最初にしきい値Vthを超えた回転検出信号が発生する、即ち第2検出モードに移行後、回転検出パルス1発目で初めて回転検出信号が発生したため、次の通常駆動パルス出力時には1つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
以上、カレンダ作動等の大きな負荷が作用し、その負荷が無くなり、比較的駆動力の高い通常駆動パルスSPで回転していた場合でも即時にランクダウンするため、無駄な消費電流の増加を抑えることが可能である。
以上のように駆動力が高い場合は第2検出モードにおいて早いタイミングで回転検出信号が発生し、逆に駆動力が低い場合は遅いタイミングで回転検出信号が発生する傾向である。そこで第1の実施の形態では第1検出モード終了後、第2検出モードで初めて検出信号が発生したタイミングに基づいて駆動ランクの切り替えの判定を行っている。また加工ばらつきによる負荷変動や電源電圧の変動があっても回転検出のロバスト性が高く、安定した回転検出が可能であることはもちろんのこと、仮に急激な負荷で駆動ランクが上がったとしても負荷が無くなれば速やかにランクダウンするようになっており、状況に合わせた最適な駆動が可能である。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
したがって、以下のような変更を行ってもよい。
[第1の実施の形態の変形例]
(1)通常駆動パルスのチョッパデューティ比の値、パルス数、チョッパ周期、第1検出モード、第2検出モードの判定個数、第二検出モードの打ち切り回数(第二検出パルスの
出力個数)、第2検出モードにおいて初めて検出信号が発生するまでの第2検出モード回転検出パルス出力数、閾値Vthなどの各数値は上記数値に限定されるものではなく、モータや取り付けられる表示体(指針、日板など)に合わせて最適化されるべきである。
(2)図1に示すブロック線図は一例であり、上述した動作を行うものであれば他の構成を備えていても良い。ブロック線図のシステムを構成する方法としては、ランダムロジックによる制御でもマイクロコンピュータによる制御でも良い。セレクタ6をマイクロコンピュータで構成し、その他の回路はランダムロジックで構成するような構成でも良い。このようにすれば、多機種への適用における変更も比較的容易に実施できる。
(3)第1の実施の形態では第2検出モードにおいて初めて検出信号が発生するまでの第2検出モード回転検出パルス出力数としたが、回転判定時の第2検出モード回転検出パルス出力数でも同様の効果が得られる。
(4)さらに駆動ランク切り替えのロバスト性を高めるため正秒の動作を数回行った後に通常駆動パルスの駆動ランクの切り替えを行ってもよい。具体的には正秒の動作を4回行った際に第2検出モードにおいて3発目以降で初めて回転検出信号が発生した回数が正秒の動作4回運針中に1回もしくは0回の場合に駆動ランクをランクダウンし、上記以外の場合、即ち初めて回転検出信号が発生した回数が正秒の動作4回運針中に2〜4回の場合は前回と同じ駆動ランクを維持するといった3発目以降で初めて回転検出信号が発生した回数の頻度に基づいて駆動ランクを変更するという内容である。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では第2検出モード回転検出パルス出力数をカウントし、回転検出パルス出力数が3個以上か否かでランクダウンするかどうか判定を行っていたが、第2の実施の形態は、第2検出モード回転検出パルス出力数に応じてランクダウンする駆動ランクを切り替える例である。
以下、本発明に係る第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図8は本発明の第2の実施の形態のフローチャート図であり、図9は本発明の第2の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図であり、本発明の第2の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図(図1)、パルス波形図(図2)、回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図(図4、図5、図6、図7)は第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図1において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11は、第2検出モードにおいて最初に回転検出信号が発生するまでの第2検出モードの回転検出パルス出力数をカウントし、設定回数に達した場合に駆動ランク選択回路10を制御するが、第2検出モードの回転検出パルス出力数によって、駆動ランク選択回路10の駆動ランクを変更するようになっている。即ち、第1の実施の形態では上記設定回数を3回と固定し、ランクダウンするか否か判定していたが、設定回数が少ない、即ち第2検出モードの回転検出パルス出力数が少ないほどランクダウンする駆動ランク数が大きくなり、設定回数が多い、即ち第2検出モードの回転検出パルス出力数が多いほどランクダウンする駆動ランク数が小さくなるよう駆動ランク選択回路10を制御する。
図2のパルス波形図は第1の実施の形態と同様であり説明を省略する。続いて上記構成の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作
を示したものであり、第1の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、異なる部分に関して説明する。
正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され、ステップモータ8を駆動するところから(ステップST1)、第2検出モードが開始される(ステップST4)までは第1の実施の形態と同様の内容である。
また第1検出モード、第2検出モードにおいて回転失敗と判定された場合についても第1の実施の形態と同様の内容であるため説明を省略する。
第2検出モードにおいて回転成功と判定された場合(ステップST5:Y)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値、即ち最初に回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数に応じてランクダウンする駆動ランクが変化するようになっている。
回転検出パルス出力数が1個の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから1発目で初めて検出信号が発生した場合(ステップST11:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも2ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST12)。
回転検出パルス出力数が2個の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから2発目で初めて検出信号が発生した場合(ステップST11:Y)(ステップST6:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST7)。
回転検出パルス出力数が3個以上の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから3発目以降で初めて検出信号が発生した場合(ステップST6:Y)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する。
駆動ランク選択回路10に指示した後、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値はリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
次に実際の回転検出の動作に関して波形図で説明する。なお第1の実施の形態で説明した波形図に関しては説明を省略する。まず第2の実施の形態で新たに用意した図9の波形図について説明する。
図9の(a)はコイルに誘導される電流波形、図9の(b)はこのときにコイルの一方の端子O1に発生する電圧波形、図9の(c)はコイルの他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、第1の実施の形態と同様、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。電流波形の電流値が反転、電圧波形のO1とO2が反転するだけであり、波形図の形状は変わらないため、以降の波形図の説明は一方の相のみで行っていく。
図9はロータが通常駆動パルスSPで正常に回転しているが、第1の実施の形態で説明した図7のようなカレンダ作動等の大きな負荷とは言わないまでも温度環境変化等による軽微な負荷が作用した後、その負荷が無くなり、比較的駆動力の高い通常駆動パルスSPの駆動ランク22/32で回転している例である。以下、図9の説明を行うにあたって第
1の実施の形態で説明した図4〜図7と同じ内容に関しては省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形c2が現れず、電流波形はc3、c4に示す誘導電流波形となる。即ち、通常駆動パルスSPの駆動力が高く、早いタイミングで回転が終了している。
以下図9の波形図に基づいて回転検出の動作を説明すると、図9(a)に示すとおり第1検出モード開始直後5msの時点で電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値が正方向となる。5.5ms、6msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB5、B5.5、B6によって生じる誘起電圧V5、V5.5、V6の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V6によって第2検出モードとなり、図2(c)に示す6.5msの時点での回転検出パルスF6.5がコイルに印加される。図9(a)に示すように6.5msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため、回転検出パルスF6.5よって生じる誘起電圧V6.5はしきい値Vthを超えることはない。しかし7msになると電流波形は図9(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、回転検出パルスF7によって生じる誘起電圧V7はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に7.5msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、回転検出パルスF7、F7.5によって生じる誘起電圧V7、V7.5はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V7、V7.5の2つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また6.5msで第2検出モードに移行し、7msの時点で最初にしきい値Vthを超えた回転検出信号が発生する、即ち第2検出モードに移行後、回転検出パルス2発目で初めて回転検出信号が発生したため、次の通常駆動パルス出力時には1つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
第1の実施の形態で説明した図7は通常駆動パルスSPの駆動ランク24/32であり図9の通常駆動パルスSPの駆動ランク22/32に比べて駆動力が高い。図7では第2検出モードに移行後、回転検出パルス1発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には2つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
また第1の実施の形態で説明した図4、図5は通常駆動パルスSPの駆動ランク20/32であり図9の通常駆動パルスSPの駆動ランク22/32に比べて駆動力が低い。図4、図5では第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
なお第1の実施の形態で説明した図6は通常駆動パルスSPの駆動ランク20/32であるが、カレンダ作動等の大きな負荷が作用し、通常駆動パルスSPで回転できなくなった場合であり、第2の実施の形態でも正常に回転失敗と判定して判定を打ち切り、補正駆動パルスFPを選択してステップモータ8を駆動しロータを確実に回転させ、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
以上のように第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なり、第1検出モード終了後
、第2検出モードで初めて検出信号が発生したタイミングに基づいて駆動ランクのランクダウン量を変更した。そのため第1の実施の形態よりも適切な駆動ランクに速やかにランクダウンするようになっている。即ち、通常駆動パルスSPの駆動力が比較的大きい場合は、駆動ランクのランクダウン量が大きく、通常駆動パルスSPの駆動力が比較的小さい場合は、駆動ランクのランクダウン量が小さくなるようになっている。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって第1の実施の形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
したがって、第1の実施の形態で述べた変更を行ってもよく、また以下のような変更を行ってもよい。
[第2の実施の形態の変形例]
(1)第2の実施の形態では第2検出モードにおいて初めて検出信号が発生するまでのタイミングで駆動ランクのランクダウン量を切り替えたが、早いタイミングで検出信号が得られた場合の駆動ランクに基づいて駆動ランクのランクダウン量を切り替えてもよい。具体的には第2検出モード移行後、初めて検出信号が発生したタイミングが1発目あるいは2発目といった早いタイミングであり、その際の通常駆動パルスSPの駆動ランクの駆動力がかなり高い駆動ランク24/32であれば2ランクダウンし、駆動ランクが比較的高い駆動ランク22/32であれば1ランクダウンするといった内容である。
(2)また、正秒の動作を数回行った後に早いタイミングで検出信号が得られた場合の頻度に基づいて駆動ランクのランクダウン量を切り替えてもよい。具体的には正秒の動作を4回行った際に第2検出モード移行後、初めて検出信号が発生したタイミングが1発目あるいは2発目といった早いタイミングであり、初めて検出信号が発生したタイミングが1発目である回数が正秒の動作4回運針中に4回もしくは3回の場合に駆動ランクを2ランクダウンし、初めて検出信号が発生したタイミングが2発目である回数が正秒の動作4回運針中に2回もしくは1回の場合に駆動ランクを1ランクダウンするといった内容である。運針毎、ランクの切り替えの判断を行う第2の実施の形態に比べてさらにロバスト性を高めている。
[第3の実施の形態]
第1、第2の実施の形態では駆動ランクのチョッパデューティ比が32分割(/32)であったが、逓倍回路などを利用するなどして1ランク間の駆動力の変化量を低減、即ちチョッパデューティ比の分割数を32分割(/32)から64分割(/64)にし、サンプル毎の消費電流値のばらつきを抑えたいといった要求がある。第3の実施の形態は、第1検出モードが終了し、第2検出モード移行後、第2検出モードで初めて回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数に基づき、ランクダウンする駆動ランクを切り替えるだけでなく、回転と判定された回数が正秒の動作を数回行った後に所定回数カウントされた場合にも駆動ランクをランクダウンする例である。以下、本発明に係る第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
図10は本発明の第3の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図11は本発明の第3の実施の形態のフローチャート図であり、図12は本発明の第3の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図であり、本発明の第3の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルスの波形図(図2)、回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図(図4、図5、図6、図7、図9)は第1、第2の実施の形態と同一であり、第1、第2の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図10において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、通常駆動パルス生成回路3は基準信号生成回路2に基づいて、図2(a)に示すごとき4.0ms幅で0.5ms毎の通常駆動パルスSPを生成する回路であり、正秒毎に出力する。なおチョッパデューティ比は32/64〜54/64と複数用意し、1/64毎に生成され、第1、第2の実施の形態に比べて駆動力が細分化されている。駆動ランク選択回路10に基づき、所定のチョッパデューティ比の通常駆動パルスが選択され出力する点は第1、第2の実施の形態と同様である。
回転判定数カウンタ回路12は第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11で第2検出モードにおいて回転検出パルス出力数が所定回数カウントされていた場合に、ステップモータ8のロータが連続して回転と判定した回数をカウントし、所定回数カウントされた場合に駆動ランク選択回路10を制御する。なお駆動ランク変更後、回転と判定した回数はリセットされる。
図2のパルス波形図は第1、第2の実施の形態と同様であり説明を省略する。続いて上記構成の動作について図11のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは正秒毎の動作を示したものであり、第1、第2の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、異なる部分に関して説明する。
正秒のタイミングで通常駆動パルスSPが出力され、ステップモータ8を駆動するところから(ステップST1)、第2検出モードが開始される(ステップST4)までは第1の実施の形態と同様の内容である。
また第1検出モード、第2検出モードにおいて回転失敗と判定された場合についても第1の実施の形態と同様の内容であるため説明を省略する。
第2検出モードにおいて回転成功と判定され(ステップST5:Y)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11で最初に回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数が3個以上の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから3発目以降で初めて検出信号が発生した場合(ステップST6:Y)、回転判定数カウンタ回路12で回転成功と判定した回数がカウントされる(ステップST13)。回転判定数カウンタ回路12で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していなければ(ステップST14:N)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には引き続き前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値はリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
また、回転判定数カウンタ回路12で回転成功と判定した回数が、正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していれば(ステップST14:Y)、次の正秒の通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST15)、回転判定数カウンタ回路12のカウンタ値がリセットされるとともに(ステップST16)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値はリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
なお、回転失敗と判定された場合(ステップST3:N)(ステップST5:N)や1発目あるいは2発目で最初に回転検出信号が発生していた場合(ステップST6:N)も駆動ランクを変更するが、これらの場合も回転判定数カウンタ回路12のカウンタ値がリセットされるとともに(ステップST16)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウ
ンタ回路11のカウンタ値はリセットされ、正秒の動作を終了する(ステップST10)。
次に実際の回転検出の動作に関して波形図で説明する。なお第1、第2の実施の形態で説明した波形図に関しては説明を省略する。まず第2の実施の形態で新たに用意した図12の波形図について説明する。
図12の(a)はコイルに誘導される電流波形、図12の(b)はこのときにコイルの一方の端子O1に発生する電圧波形、図12の(c)はコイルの他方の端子O2に発生する電圧波形である。なお、第1、第2の実施の形態と同様、端子O1とO2の発生波形は1秒ごとに位相が逆になる交番パルスとなる。電流波形の電流値が反転、電圧波形のO1とO2が反転するだけであり、波形図の形状は変わらないため、以降の波形図の説明は一方の相のみで行っていく。
図12はロータが通常駆動パルスSPで正常に回転しているが、第1の実施の形態で説明した図4の比較的低消電で駆動している駆動ランク40/64、即ち20/32の状態から温度環境変化等による軽微な負荷が作用、1ランクアップした後、その負荷が無くなり、通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64で回転している例である。以下、図12の説明を行うにあたって第1、第2の実施の形態で説明した図4〜図7、図9と同じ内容に関しては省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
通常駆動パルスSPの出力が終了すると、ロータは自由振動状態となり、電流波形はc2、c3、c4に示す誘導電流波形となる。図12(a)に示すとおり第1検出モード開始直後5msの時点では電流波形c2の領域にあり、電流値は負方向であるが、5.5msになると電流波形は電流波形c3の領域になり、電流値が正方向となる。6ms、6.5msでも電流波形は電流波形c3の領域にあり、回転検出パルスB5.5、B6、B6.5によって生じる誘起電圧V5.5、V6、V6.5の3つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで第2検出モードに切り換わる。
誘起電圧V6.5によって第2検出モードとなり、図2(c)に示す7msの時点での回転検出パルスF7がコイルに印加される。図12(a)に示すように7msでは電流波形は電流波形c3の領域にあり、電流値は正方向にあるため、回転検出パルスF7よって生じる誘起電圧V7はしきい値Vthを超えることはない。しかし8msになると電流波形は図12(a)に示すように電流波形c4の領域になり、電流値は負方向に変わり、回転検出パルスF8によって生じる誘起電圧V8はしきい値Vthを超えた検出信号となる。同様に8.5msでも電流波形は電流波形c4の領域にあり、回転検出パルスF8、F8.5によって生じる誘起電圧V8、V8.5はしきい値Vthを超えた検出信号となる。誘起電圧V8、V8.5の2つの検出信号がしきい値Vthを超えたことで、第2検出モード判定回路92は回転成功と判定し、補正駆動パルスFPは出力されない。
また7msで第2検出モードに移行し、8msの時点で最初にしきい値Vthを超えた回転検出信号が発生する、即ち第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生したため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
チョッパデューティ比の分割数を32分割(/32)から64分割(/64)にするなどして、1ランク間の駆動力の変化量が小さくなった場合、第1の実施の形態の構成では最低限の通常駆動パルスSPで回転できる駆動ランク40/64、即ち20/32にランクダウンできず、駆動ランク41/64で回転を維持することとなる。そのため低消費電力で回転しているとは言えない。
そこで第3の実施の形態では、上記に鑑みて駆動ランク41/64で回転を維持した場合、即ち第2検出モードにおいて回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生し、回転成功と判定された回数が正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達していれば駆動ランクを1ランクダウンするようになっている。よって最低限の駆動力で回転できる駆動ランク40/64に正常にランクダウンでき低消費電力での回転が可能となる。
また第1、第2の実施で説明に使用した波形図を第3の実施の形態の構成に適用すると、第1の実施の形態で説明した図7は通常駆動パルスSPの駆動ランク24/32、即ち第3の実施の形態では48/64であり、図12の通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64に比べて駆動力が高い。図7では第2検出モードに移行後、回転検出パルス1発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には1つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
第2の実施の形態で説明した図9は通常駆動パルスSPの駆動ランク22/32、即ち第3の実施の形態では44/64であり、上記と同様、図12の通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64に比べて駆動力が高い。図9では第2検出モードに移行後、回転検出パルス2発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には1つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
第1の実施の形態で説明した図6は通常駆動パルスSPの駆動ランク20/32、即ち第3の実施の形態では40/64であるが、カレンダ作動等の大きな負荷が作用し、通常駆動パルスSPで回転できなくなった場合であり、第3の実施の形態でも正常に回転失敗と判定して判定を打ち切り、補正駆動パルスFPを選択してステップモータ8を駆動しロータを確実に回転させ、次の通常駆動パルス出力時は前回よりも1ランク大きな駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
第1の実施の形態で説明した図4、図5は通常駆動パルスSPの駆動ランク20/32、即ち第3の実施の形態では40/64であり図12の通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64に比べて駆動力が低い。図4、図5では第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。よって正秒の動作で上記40/64の駆動ランクをしばらく維持する。第3の実施の形態では第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生し、回転成功と判定した回数が正秒毎の動作を数回行った結果、240回に達すると1つ下の駆動ランクにランクダウンするようになっている。即ちこの場合、駆動ランク39/64にランクダウンするが、仮に駆動ランク39/64で駆動力が少なく回転失敗と判定されると即座に補正駆動パルスFPが出力し、次回の正秒動作時には駆動ランク40/64に1ランクアップすることとなる。補正駆動パルスFPは確実にロータを回転させるパルスであり駆動力が高く消費電流も大きい。しかしながらランクダウンによる補正駆動パルスFPの発生は基本的に240回に1回しか発生しないため消費電流の増加としては微小であり特に問題ないレベルである。
以上のように第3の実施の形態では第1検出モード終了後、第2検出モードで初めて検出信号が発生したタイミングに基づいて駆動ランクの切り替えの判定を行うと同時に、第1検出モード終了後、第2検出モードで初めて検出信号が発生したタイミングが遅い場合、かつ回転成功と判定した回数が正秒の動作で所定回数に達した場合は駆動ランクをランクダウンするようになっている。よって1ランク間の駆動力の変化量が小さい場合でも、駆動力が高い場合には速やかにランクダウンすることが可能であり、また駆動力が低い場合には最低限の駆動力、即ち低消費電流での駆動が可能である。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって第1、第2の実施の形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
したがって、第1、第2の実施の形態で述べた変更を行ってもよく、また以下のような変更を行ってもよい。
[第3の実施の形態の変形例]
(1)第3の実施の形態では第2検出モードにおいて初めて検出信号が発生するまでのタイミングが3発目以降と遅く、回転と判定された回数が正秒の動作を数回行った後に240回カウントされた場合に駆動ランクをランクダウンしたが、ランクダウン後、回転と判定された回数の閾値を240回から例えば480回と増やしてもよい。この場合、最低限の駆動力の駆動ランクにランクダウンするまでの時間はかかってしまうものの、回転と判定された回数の閾値を増やすことにより1つ下の通常駆動パルスSPの駆動ランクの駆動力が少なく、仮に回転失敗と判定された場合に発生する消費電流の大きな補正駆動パルスFPの発生頻度を減らすこととなり、低消電化につながる。
(2)第3の実施の形態ではチョッパデューティ比の分割数を32分割(/32)から64分割(/64)と固定したが、第2検出モードにおいて3発目以降と遅いタイミングで初めて検出信号が発生した場合にチョッパデューティ比の分割数を例えば32分割(/32)から64分割(/64)と切り替えてもよい。また第3の実施の形態では第2検出モードにおいて初めて検出信号が発生するまでのタイミングが3発目以降と遅く、回転と判定された回数が正秒の動作を数回行った後に240回カウントされた場合に駆動ランクをランクダウンしたが、ランクダウンに応じて例えば32分割(/32)から64分割(/64)というように徐々にチョッパデューティ比が小さくなるよう分割数を切り替えると同時に、回転失敗と判定されるなどしてランクアップする場合にランクアップに応じて例えば64分割(/64)から32分割(/32)というように徐々にチョッパデューティ比が大きくなるよう分割数を切り替えてもよい。上記構成を追加することにより第3の実施の形態に比べて駆動力が高い場合には速やかにランクダウンできることはもちろんのこと、チョッパデューティ比の分割数が大きくなるため、ランクアップ毎に1ランク間の駆動力の変化量が大きくなる。即ち、一度ちょっとした負荷変動で回転失敗と判定されランクアップするようなことがあり、その後同じような負荷変動がたとえあったとしても回転失敗することは極めて少なくなる傾向であり、駆動ばらつきに対するロバスト性は高くなる。また第3の実施の形態と同様、駆動力が低い場合にはランクダウン毎にチョッパデューティ比の分割数が小さくなるため、最低限の駆動力、即ち低消費電流での駆動が可能となる。
(3)予めチョッパデューティ比の分割数を32分割(/32)と64分割(/64)を用意しておき、
時計用途や時計の構成に応じてマスタースライス等で切り替えることも可能である。
[第4の実施の形態]
第1〜第3の実施の形態では低消電化に特化した内容であったが、第4の実施の形態では通常駆動パルスSPの出力タイミングの間隔を短くし、モータを高速駆動した場合の例である。モータの高速駆動には時計の負荷が変動した場合でも負荷変動に合わせて安定した回転が要求される。そこで第4の実施の形態は、第1検出モードが終了し、第2検出モード移行後、第2検出モードで初めて回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数に基づき、駆動ランクをランクアップあるいはランクダウンさせできる限り補正駆動パルスFPの発生頻度を減らし、安定した高速駆動の実現を可能とした。以下、本発明に係
る第4の実施形態を図面に基づいて説明する。
図13は本発明の第4の実施の形態の電子時計の回路構成を示すブロック線図、図14は本発明の第4の実施の形態の電子時計の回路が発生するパルス波形図、図15は本発明の第4の実施の形態のフローチャート図であり、本発明の第4の実施の形態の回路が発生するパルスの波形図およびコイルに発生する電流波形図(図4、図7、図9、図12)は第1、第2、第3の実施の形態と同一であり、第1、第2、第3の実施の形態で説明したものと同じ構成要素には同じ番号をつけて説明を省略する。
図13において第1の実施の形態と異なる点を説明すると、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11は、第2検出モードにおいて最初に回転検出信号が発生するまでの第2検出モードの回転検出パルス出力数をカウントし、第2検出モードの回転検出パルス出力数によって、駆動ランク選択回路10の駆動ランクを変更するようになっている。即ち、第1の実施の形態では上記第2検出モードの回転検出パルス出力数が3回かどうかでランクダウンするか否か判定し、駆動ランク選択回路10を制御していた。また第2の実施の形態では上記第2検出モードの回転検出パルス出力数が少ないほどランクダウンする駆動ランク数が大きくなり、上記第2検出モードの回転検出パルス出力数が多いほどランクダウンする駆動ランク数が小さくなるよう駆動ランク選択回路10を制御していた。しかしながら第3の実施の形態では上記第2検出モードの回転検出パルス出力数が少ないほど駆動ランクはランクダウンするようになっており、上記第2検出モードの回転検出パルス出力数が多いほど駆動ランクがランクダウンするようになっている。つまり駆動力が高いほど、次の動作の通常駆動パルスSPの駆動ランクはランクダウンし、駆動力低いほど次の動作の通常駆動パルスSPの駆動ランクはランクアップするようになっている。
通常駆動パルス生成回路3は基準信号生成回路2に基づいて、図14(a)に示すごとき4.0ms幅で0.5ms毎の通常駆動パルスSPを生成し出力する回路である。なおチョッパデューティ比は第3の実施の形態と同様であり32/64〜54/64と複数用意し、1/64毎に生成され、駆動ランク選択回路10に基づき、所定のチョッパデューティ比の通常駆動パルスが選択され出力する。
回転検出パルス生成回路5は基準信号生成回路2に基づいて、第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B7.5および第2検出モードで用いる回転検出パルスF6.5〜F9を生成し出力する回路である。回転検出パルスB5〜B12は図14(b)に示す如き32μs幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より5ms後から7.5msまで0.5ms毎に出力する。回転検出パルスF6.5〜F9は図14(c)に示す如き32μs幅のパルスであり、通常駆動パルスSP出力より6.5ms後から13.5msまで0.5ms毎に出力する。高速駆動を達成するため第1〜第3の実施の形態に比べて回転検出期間が短くなっている。
駆動周波数選択回路13は回転検出回路9の判定結果に基づき、次ステップの動作の通常駆動パルスSPの出力タイミングを変えるようセレクタ6を制御する回路である。ロータが回転と判定された場合は図14(d1)に示す如き、通常駆動パルスSP出力から10ms後に次ステップの動作の通常駆動パルスSPを出力するようになっており、ロータが非回転と判定された場合は図14(d2)に示す如き、通常駆動パルスSP出力から32ms後に補正駆動パルスFPを出力し、通常駆動パルスSP出力から64ms後に次ステップの動作の通常駆動パルスSPを出力するようになっている。なお最大駆動ランク54/64で非回転と判定された場合は最小駆動ランク32/64に移行するようになっている。
続いて上記構成の動作について図15のフローチャートを用いて説明する。フローチャートは通常駆動パルス出力から次の通常駆動パルス出力までの1ステップ毎の動作を示したものである。第1、第2第3の実施の形態と同一であるところに関しては省略し、異なる部分に関して説明する。
まず通常駆動パルスSPが出力され、ステップモータ8を駆動するところから(ステップST1)、第2検出モードが開始される(ステップST4)までは回転検出パルスB5〜B12のところが第4の実施の形態ではB5〜B7.5になっているだけであって第1検出モードの回転検出の動作は第1の実施の形態と同様の内容である。また第2検出モードにおいて回転検出パルスF6.5〜B13.5のところが第4の実施の形態ではF6.5〜F9になっているだけであって回転成功失敗と判定されるまで(ステップST5)の第2検出モードの回転検出の動作も第1の実施の形態と同様の内容であるため説明を省略する。
第1検出モード、第2検出モードで回転失敗と判定された場合(ステップST3:N)(ステップST5:N)、セレクタ6によって直ちに補正駆動パルスFPが選択、出力される(ステップST8)。補正駆動パルスFPが出力されるため、その分通常駆動パルスSPの出力を遅いタイミングで行う必要があり、回転失敗と判定された場合は通常駆動パルスSP出力から64ms後に次の通常駆動パルスSPを出力するようセレクタ6を制御する(ステップST18)。
また第1〜第3の実施の形態と同様、次ステップの通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示し(ステップST9)、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11において第2検出モードの回転検出パルス出力数のカウンタ値をリセットする動作を行ってから、1ステップの動作が終了するようになっている(ステップST10)。
第2検出モードにおいて回転成功と判定された場合(ステップST5:Y)、通常駆動パルスSPの出力を早いタイミングで行うことが可能である。回転成功と判定された場合は通常駆動パルスSP出力から10ms後に次の通常駆動パルスSPを出力するようセレクタ6を制御する(ステップST17)。
そして第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値、即ち最初に回転検出信号が発生するまでの回転検出パルス出力数に応じて駆動ランクが変化するようになっている。
回転検出パルス出力数が1個の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから1発目で初めて検出信号が発生した場合(ステップST11:N)、次ステップの通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク小さな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST12)。
回転検出パルス出力数が2個の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから2発目で初めて検出信号が発生した場合(ステップST11:Y)(ステップST6:N)、次ステップの通常駆動パルス出力時には通常駆動パルス生成回路3から前回と同じ駆動ランクの通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する。
回転検出パルス出力数が3個以上の場合、即ち、第2検出モードが開始されてから3発目以降で初めて検出信号が発生した場合(ステップST6:Y)、次ステップの通常駆動
パルス出力時には前回の通常駆動パルスSPよりも1ランク大きな駆動力を有する通常駆動パルスSPを選択、出力するよう駆動ランク選択回路10に指示する(ステップST9)。
駆動ランク選択回路10に指示した後、第2検出モード回転検出パルス出力数カウンタ回路11のカウンタ値はリセットされ、1ステップの動作を終了する(ステップST10)。
次に実際の回転検出の動作に関して波形図で説明する。なお波形図は第1、第2、第3の実施の形態で説明した波形図(図4、図7、図9、図12)を用いて説明する。
図7は通常駆動パルスSPの駆動ランク48/64であり、説明として使用する波形図の中では最も駆動力が高い。図7では第2検出モードに移行後、回転検出パルス1発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には1つ下の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
図9は通常駆動パルスSPの駆動ランク44/64であり、説明として使用する波形図の中で図7に次ぐ駆動力である。図9では第2検出モードに移行後、回転検出パルス2発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には前回と同じ駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
図12は通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64であり説明として使用する波形図の中で図9に次ぐ駆動力である。図12では第2検出モードに移行後、回転検出パルス3発目で初めて回転検出信号が発生するため、次の通常駆動パルス出力時には1つ上の駆動力の通常駆動パルスSPを出力するよう駆動ランク選択回路10を制御する。
図4は通常駆動パルスSPの駆動ランク40/64であり説明として使用する波形図の中で図12に次ぐ駆動力である。基本的に通常駆動パルスSPの駆動ランク41/64で駆動力を1ランクアップするため駆動ランク40/64になることは無い。また仮に駆動ランク40/64になったとしても回転検出パルスはF6.5〜F9までしか用意していないため図4に示すような誘起電圧V9.5、V10は発生しないため、回転失敗と判定され、補正駆動パルスFPが出力し、次ステップは通常駆動パルス出力から64msと遅いタイミングで通常駆動パルスが出力するようになっている。万が一、回転検出パルスF6.5〜F10と用意し、図4に示すように駆動ランク40/64で回転成功と判定させようとした場合、通常駆動パルス出力から10msのタイミングで次ステップの通常駆動パルスSPが出力されることとなり、10msではロータの自由振動が収まっていないため、次ステップでは正常な回転が保証されず、場合によっては止まりや逆転といった異常運針が起きる可能性があり望ましくない。
以上のように第4の実施の形態では第1検出モード終了後、第2検出モードで初めて検出信号が発生したタイミングに基づいて駆動ランクの切り替えの判定を行うと同時に、回転成功と判定された場合は早いタイミングで次ステップの通常駆動パルスを出力し、回転失敗と判定された場合は遅いタイミングで次ステップの通常駆動パルスを出力するようになっている。モータの高速駆動中に電源電圧の変動や負荷変動が生じ、通常駆動パルスSPの駆動力が変わったとしても速やかにランクアップあるいはランクダウンを行い、第2検出モードに移行後、回転検出パルス2発目で初めて回転検出信号が発生するような駆動力、即ち通常駆動パルス44/64近辺の駆動ランクに落ち着くようになっている。そのため回転成功と判定された場合は基本的に波形が変わりにくく、安定した高速駆動が可能になるとともに、仮に大きな負荷が作用するなどして回転失敗と判定された場合は補正駆動パルスFPを出力し、遅いタイミングで通常駆動パルスSPを出力するため確実な回転
を可能としている。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、実施の形態は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではない。したがって第1、第2、第3の実施の形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
したがって、第1、第2、第3の実施の形態で述べた変更を行ってもよく、また以下のような変更を行ってもよい。
[第4の実施の形態の変形例]
(1)第1〜第3の実施の形態では主にモータの低消電駆動に特化した構成であり、第4の実施の形態では主にモータの高速駆動に特化した構成であった。これら構成を同じモータで扱い、低消電駆動する場合と高速駆動する場合で切り替えてもよい。
(2)第4の実施の形態では第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B12をB5〜B7.5、第2検出モードで用いる回転検出パルスF6.5〜F13.5をF6.5〜F9と減らし回転検出期間を縮小するとともに、次のステップの通常駆動パルスSPの出力タイミングを通常駆動パルスSP発生から10ms後とした。高速性という点では劣ってしまうが、第1検出モードで用いる回転検出パルスB5〜B12、第2検出モードで用いる回転検出パルスF6.5〜F13.5と第1〜第3の実施の形態と同じ回転検出期間のまま、次のステップの通常駆動パルスSPの出力タイミングを通常駆動パルスSP発生から14.5ms以降としても、第4の実施の形態で説明した構成は適用可能である。