JP2018172895A - 建築物の外壁構造 - Google Patents
建築物の外壁構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018172895A JP2018172895A JP2017070759A JP2017070759A JP2018172895A JP 2018172895 A JP2018172895 A JP 2018172895A JP 2017070759 A JP2017070759 A JP 2017070759A JP 2017070759 A JP2017070759 A JP 2017070759A JP 2018172895 A JP2018172895 A JP 2018172895A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wall structure
- building
- polymer foam
- foam
- wall
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Abstract
【課題】従来型の(フロン系ガス)のような環境負荷の高い物質を用いずに、高い断熱性能のみならず高い耐震強度を有する建築物を得ることのできる、建築物の外壁構造を提供する。【解決手段】(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)床、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有し、前記平面部材の室内側表面にポリマーフォームの層が吹き付けによって形成され、該ポリマーフォームは発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを使用しており、該ポリマーフォームの独立気泡率が90%以上、密度が30kg/m3以上であることを特徴とする、建築物の外壁構造。【選択図】なし
Description
本発明は、建築物の外壁構造に関する。
建築物の壁部の断熱等の目的で、発泡プラスチック断熱材などのポリマーフォームを壁部に施工した構造が従来から知られている。発泡プラスチック断熱材を壁部に施工する方法として、板状の発泡プラスチック断熱材を設置する方法、及び液状のポリマーフォーム組成物を吹き付けることによって発泡プラスチック断熱材層を形成する方法がある。これらのうち、ポリマーフォーム組成物を吹き付けて断熱材層を形成する方法は、通常は柱等の垂直部材及び梁等の水平部材にて構築した軸組みの中、または枠組みの外側に、木製ボードなどの平面部材を設置した後、平面部材の室内側表面にポリマーフォーム組成物を吹き付け、建設現場にて発泡及び硬化を行い、発泡プラスチック断熱材層を形成することにより行われる。
ポリマーフォーム組成物中には、発泡剤が含まれている。従来は、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)やハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物等のいわゆるフロン系ガスが発泡剤として用いられてきたが、フロン系ガスはオゾン層を破壊したり、地球温暖化の原因物質となるなど地球環境に好ましくないとの理由で、現在は使用が制限されつつある。この代替品として環境負荷が小さい炭酸ガスや水が発泡剤として用いられているが、これらを発泡剤として用いて発泡させてポリマーフォームは熱伝導率が高く、改善が求められていた。
また、建築物の壁部を構築する際に、高い断熱性能の外壁とすることを目的として、あらかじめ外壁壁体の外側に板状の発泡プラスチック断熱材を外張り施工した後、この板状の発泡プラスチック断熱材の室内側から発泡剤として炭酸ガス等を用いたポリマーフォームを吹付けによって施工する方法があるが、発泡プラスチック断熱材に比べて吹付けポリマーフォームの透湿性が高い場合、冬期に発泡プラスチック断熱材とポリマーフォームの間に結露を生じることがあり、この内部結露を防止するために吹付けポリマーフォームの室内側にポリエチレンシート等の防湿層を施工する必要があり、煩雑であった。
一方で、建築物を施工する際には、所定の耐震強度を有する建築物であることも求められている。建築基準法では、建築物の壁部の耐震強度は所定の方法によって算出された「壁倍率」で表され、この壁倍率が特定の値以上となることが求められている。建築物の耐震強度を上げるためには、壁部の軸組みや枠組みの内部に筋交を設置したり、壁部の軸組みや枠組みの室外側や室内側に構造用合板等の木製ボードを張り付けたり、壁部の軸組みや枠組みの角部に補強金具を取り付けるなどが行われているが、より簡便で効果的に耐震強度を向上する手法が求められていた。
特許文献1に、木造住宅建物の内面全域を、ボード状断熱材とその室内側の面に吹き付けられる現場発泡気密断熱層とにより気密断熱施工する木造住宅建物の気密断熱施工法が開示されている。しかし、特許文献1に開示された方法は、下屋根部の構造強度を十分に確保しながら施工法に優れた吹付けによって均一な厚みで連続性のある気密断熱層を形成することを企図したものであり、環境負荷の低減に対する認識は一切ない。
したがって本発明の目的は、従来型の(フロン系ガス)のような環境負荷の高い物質を用いずに、高い断熱性能のみならず高い耐震強度を有する建築物を得ることのできる、建築物の外壁構造を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、ハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として使用し、特定の物性を有するポリマーフォームを吹きつけによって形成することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、建築物の外壁構造であって、(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有し、前記平面部材の室内側表面にポリマーフォームの層が吹き付けによって形成され、該ポリマーフォームは発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを使用しており、該ポリマーフォームの独立気泡率が90%以上、密度が30kg/m3以上であることを特徴とする、建築物の外壁構造に関する。
また、本発明は、建築物の外壁構造の製造方法であって、
(A)(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有する壁構造を準備し、
(B)5〜20重量%のハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含有する液状のポリウレタンフォーム組成物を、前記平面部材の室内側に吹き付け、続いて
(C)該液状ポリウレタンフォーム組成物を硬化させポリウレタンフォームの層を形成する、方法に関する。
(A)(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有する壁構造を準備し、
(B)5〜20重量%のハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含有する液状のポリウレタンフォーム組成物を、前記平面部材の室内側に吹き付け、続いて
(C)該液状ポリウレタンフォーム組成物を硬化させポリウレタンフォームの層を形成する、方法に関する。
本発明の建築物の外壁構造は、(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有する。 垂直棒部材及び水平棒部材としては、従来から知られたものであり、ベイマツ、アカマツ、杉、ヒノキなどの木材、鉄骨、鉄筋コンクリート柱などを用いることができる。日本の一般住宅用の建築物に用いる場合は、木材が主に用いられる。また垂直棒部材及び水平棒部材を用いた軸組みまたは枠組みの構築方法も、従来から知られている方法を用いることができる。
平面部材としては、構造用合板、パーティクルボード、ミディアムデンシティファイバーボード、などの木製板、木片セメント板や珪酸カルシウム板などのセメント板、透湿防水シート、不織布シート、板状の発泡プラスチック断熱材などを用いることができる。
平面部材は、前記の少なくとも2つの垂直棒部材及び少なくとも2つの水平棒部材により構築された軸組みまたは枠組みに、通常は室外側から固定されるが、軸組みまたは枠組みの室内側から固定してもよい。また、同種または異なる種類の2以上の平面部材を重ねて用いて枠組みの室外側または室内側から固定するか、もしくは枠組みの室内側及び室外側からそれぞれ1または2以上の平面部材を固定してもかまわない。特に、枠組みの室外側から木製の合板を固定し、さらにその外側に発泡プラスチックボードを固定した構造は、高い断熱性能及び高い耐震強度を有する建築物を得ることができることから、好ましい。
平面部材は、前記の少なくとも2つの垂直棒部材及び少なくとも2つの水平棒部材により構築された軸組みまたは枠組みに、通常は室外側から固定されるが、軸組みまたは枠組みの室内側から固定してもよい。また、同種または異なる種類の2以上の平面部材を重ねて用いて枠組みの室外側または室内側から固定するか、もしくは枠組みの室内側及び室外側からそれぞれ1または2以上の平面部材を固定してもかまわない。特に、枠組みの室外側から木製の合板を固定し、さらにその外側に発泡プラスチックボードを固定した構造は、高い断熱性能及び高い耐震強度を有する建築物を得ることができることから、好ましい。
平面部材として発泡プラスチックボードを用いる場合には、押出法、ビーズ法などの製法によって製造された板状のポリスチレン発泡板、ウレタンフォーム板、フェノールフォーム板などを用いることができる。
押出法ポリスチレン発泡板を用いる場合には、その密度は好ましくは30kg/m3以上、さらに好ましくは33kg/m3以上であり、その厚さは好ましくは50mm以上、さらに好ましくは75mm以上である。
平面部材の室内側から、吹付けによりポリマーフォームが施工される。ポリマーフォームとしては種類を問わないが、一般的には吹付け硬質ウレタンフォームが使用される。ポリマーフォームは、ハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含有する液状のポリウレタンフォーム組成物を平面部材の室内側表面に吹付け、続いて平面部材表面で液状ポリウレタンフォーム組成物を硬化させてポリウレタンフォームの層を形成することにより得られる。液状ポリウレタンフォーム組成物中の発泡剤の含有量は好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは7〜15重量%である。
本発明で用いるハイドロフルオロオレフィンは、水素原子の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上がフッ素原子で置換されたアルケン(フッ素原子を2以上含む場合にはその一部が塩素原子に置き換えられていてもよい)であり、例として、3−フルオロプロペン、2,3−ジフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンなどが挙げられる。これらの化合物は、オゾン層破壊係数及び地球温暖化係数が低く地球環境にやさしい化合物でありながら、ポリマーフォーム組成物中のポリマーへの溶解度が高いことから、ポリマーフォームの発泡剤として非常に好ましい。
また、本発明のポリマーフォームの独立気泡率は90%以上である。このため、得られるポリマーフォームの熱伝導率が低く、断熱性能が高い壁体を構築することができる。また、得られるポリマーフォームの密度は30kg/m3以上である。このため、得られるポリマーフォームの強度が高く、耐震強度の高い建築物を得ることができる。また、本発明で得られるポリマーフォームの圧縮強さは10N/cm2以上であり、引っ張り強さは20N/cm2以上である。
さらに、本発明で得られるポリマーフォームは密度が高く独立気泡率が高いために透湿性が低い。このため、合板や発泡プラスチック断熱板などの平面部材とポリマーフォームとの境界に結露を生じにくく、ポリマーフォームの室内側表面に防湿層を施工する必要がないとの利点をも有する。
前述のように、本発明のポリマーフォームは吹付けで作製される。具体的には10〜20重量%のハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含有する液状のポリウレタンフォーム組成物を平面部材の室内側に吹き付け、続いて該液状ポリウレタンフォーム組成物を硬化させポリウレタンフォームの層を形成することによって得られる。液状ポリウレタンフォームの硬化は、周囲雰囲気において行うことができ、具体的には大気中5〜40℃で硬化させることができる。硬化時間は1分〜1時間程度である。
ポリマーフォームの厚さは好ましくは50mm以上、さらに好ましくは75mm以上である。ポリマーフォームをこの厚さ以上にすることによって、断熱性が高く、耐震性に優れる壁体を構築できる。
本発明の建築物の外壁構造は、その壁倍率が0.5以上、好ましくは(0.9)以上、さらに好ましくは1.5以上のものである。ここで壁倍率とは建築基準法で定められたものであり、面内せん断試験により得られた短期基準せん断耐力から所定の算出法によって導き出される値である。また、面内せん断試験とは、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」(財団法人日本住宅・木造技術センター企画編集・発行平成21年6月(第4版))に記載の「鉛直構面及び水平構造の剛性と許容せん断耐力を算定するための試験」のタイロッド式に則った方法である。
試験体として、幅910〜2000mm、高さ1800〜2730mmとなるよう、壁試験体を準備する。加圧装置を用いて加重をかけながら試験体を水平方向に繰り替えし変位させ、荷重−変形曲線の終局加力を行った包絡線から短期基準せん断耐力を算定する。ここで真のせん断変形角とは、柱頂部の水平変位と柱脚部の水平変位の差を試験体の高さで除した見掛けのせん断変形角から、脚部の回転による変形角を引いた値である。また、短期基準せん断耐力とは、上記包絡線から降伏耐力(比例限界を超えて塑性変形する荷重)、終局耐力(粘り強さを表す値)、最大耐力及び真のせん断変形角1/150の時の耐力を算出し、(a)降伏耐力、(b)終局耐力に0.2√(2μ−1)を乗じた値、(c)最大耐力の2/3、及び(d)真のせん断変形角1/150の時の耐力のうち、最も小さい値である。
壁倍率は、水平強度である短期基準せん断耐力を長さ1mあたりの強度に換算し、さらに1.96kN/mの基準強度で割った値である。
壁倍率は、水平強度である短期基準せん断耐力を長さ1mあたりの強度に換算し、さらに1.96kN/mの基準強度で割った値である。
本発明による外壁構造の実施態様を図1〜図4示す。図1に示した外壁構造10は、水平棒部材としての土台11と、垂直棒部材としての柱12及び間柱13と、これらの部材の室外側に固定された平面部材としての透湿防水シート15と、この平面部材の室内側に吹き付け配置されたポリマーフォーム14とから構成されている。図2に示した外壁構造20は、水平棒部材としての土台21と、垂直棒部材としての柱22及び間柱23と、これらの部材の室外側に固定された平面部材としての合板25と、この平面部材の室内側に吹き付け配置されたポリマーフォーム24とから構成されている。図3に示した外壁構造30は、水平棒部材としての土台31と、垂直棒部材としての柱32及び間柱33と、これらの部材の室外側に固定された平面部材としての板状発泡プラスチック断熱材35と、この平面部材の室内側に吹き付け配置されたポリマーフォーム34とから構成されている。図4に示した外壁構造40は、水平棒部材としての土台41と、垂直棒部材としての柱42及び間柱43と、これらの部材の室外側に固定された平面部材としての合板45及び板状発泡プラスチック断熱材46の積層体(板状発泡プラスチック断熱材46を最外層とする)と、この平面部材の室内側(合板45の表面)に吹き付け配置されたポリマーフォーム44とから構成されている。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」(財団法人日本住宅・木造技術センター企画編集・発行平成21年6月(第4版))に記載の「鉛直構面及び水平構造の剛性と許容せん断耐力を算定するための試験」のタイロッド式に則った外壁構造条件の試験体ならびに硬質吹付けウレタンフォームの構成の壁耐力試験の試験体を製作し、面内せん断試験を行った結果を表1に示す。また、壁耐力試験に使用した各断熱材の物性値について、試験体製作時に物性特定用試料を採取して測定を行った結果を表2に示し、さらに壁耐力試験後に試験体から採取した試料で測定を行った結果を表3に示す。
「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」(財団法人日本住宅・木造技術センター企画編集・発行平成21年6月(第4版))に記載の「鉛直構面及び水平構造の剛性と許容せん断耐力を算定するための試験」のタイロッド式に則った外壁構造条件の試験体ならびに硬質吹付けウレタンフォームの構成の壁耐力試験の試験体を製作し、面内せん断試験を行った結果を表1に示す。また、壁耐力試験に使用した各断熱材の物性値について、試験体製作時に物性特定用試料を採取して測定を行った結果を表2に示し、さらに壁耐力試験後に試験体から採取した試料で測定を行った結果を表3に示す。
試験の結果、表4に示す通り、筋交いのない比較例1と実施例1及び2を比較すると、低密度の吹付けウレタンフォームを充填した比較例に対して、実施例記載の硬質ウレタンフォームを充填施工することによって、壁倍率が大きく上昇していることがわかる。
また、筋交いのない外壁に押出法ポリスチレンフォーム(製品名:スタイロフォームFG、ダウ化工(株)製:厚さ50mm、密度30kg/m3以上)を外張施工することで、壁倍率を向上できることが確認できた。
また、筋交いのない外壁に押出法ポリスチレンフォーム(製品名:スタイロフォームFG、ダウ化工(株)製:厚さ50mm、密度30kg/m3以上)を外張施工することで、壁倍率を向上できることが確認できた。
次に、筋交いを設置した比較例2と実施例3を比較すると、筋交いを設置した外壁構造であっても、実施例記載の硬質ウレタンフォームを充填施工することによって、壁倍率が大きく上昇していることがわかる。さらに、耐力面材として外壁に構造用合板(厚さ9mm)を施工した比較例3と実施例4を比較した場合も、実施例記載の硬質ウレタンフォームを充填施工することによって、壁倍率が大きく上昇していることがわかる。
これらの効果は、実施例記載の吹付け硬質ウレタンフォームを充填施工したことによる効果であるが、これは単に実施例記載の吹付け硬質ウレタンフォームの密度が高いだけでなく、独立気泡率が高いために気泡構造が強固であり、表3に示す通り、汎用の炭酸ガス発泡の吹付け硬質ウレタンフォームに比べて、圧縮強さや引張強さが高いという特徴に起因するものである。特に、引張強さが高い吹付け硬質ウレタンフォームは、各界壁構造部材との接着力が高く、剪断強さにも優れるため、壁倍率の上昇に大きく寄与している。
表2に示す通り、実施例で用いた吹付け硬質ウレタンフォームと押出法ポリスチレンフォームの物性を比較した場合、当該吹付け硬質ウレタンフォームの発泡剤にハイドロフルオロオレフィンを使用し、独立気泡率が高いため、熱伝導率が低いと同時に低い透湿係数を有しており、断熱性及び低透湿性に優れることがわかる。特に透湿係数が押出発泡ポリスチレンフォームより低いため、例えば、外壁の外張断熱材として使用する押出法ポリスチレンフォームと同じ厚さの当該吹付け硬質ウレタンフォームを充填施工した場合(実施例2)、当該吹付け硬質ウレタンフォームの透湿抵抗が高くなるために、冬期において、押出法ポリスチレンフォームと硬質ウレタンフォームの境界に内部結露が発生する危険性がないため、外壁の室内側に施工する防湿層を省略することができる。
<物性等測定方法>
密度:JIS A 9526:2015に記載の圧縮強さ測定用試験片を用い、重量(g)及び体積(cm3)の測定値から算出した。
密度:JIS A 9526:2015に記載の圧縮強さ測定用試験片を用い、重量(g)及び体積(cm3)の測定値から算出した。
独立気泡率
ASTM D 2856エアピクノメーター法に従って測定した。
ASTM D 2856エアピクノメーター法に従って測定した。
熱伝導率
JIS A 9526:2015に従って測定した。
JIS A 9526:2015に従って測定した。
壁倍率
面内せん断試験により得られたデータから壁倍率を算出した。面内せん断試験は、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」(財団法人日本住宅・木造技術センター企画編集・発行平成21年6月(第4版))に記載の「鉛直構面及び水平構造の剛性と許容せん断耐力を算定するための試験」に従って、タイロッド式で実施した。終局加力を行った包絡線から、(a)降伏耐力、(b)終局耐力に0.2√(2μ−1)を乗じた値、(c)最大耐力の2/3、及び(d)真のせん断変形角1/150の時の耐力のうち、最も小さい値を短期許容せん断耐力とし、基準強度1.96kN/mで割った値である。降伏耐力、終局耐力、最大耐力及び真のせん断変形角1/150の時の耐力の求め方を、図5に記載の包絡線の例を用いて説明する。
(1)図5の耐力の最大値を最大耐力(Pmax)とする。
(2)包絡線上の最大耐力の1/10の値(0.1Pmax)と4/10の値(0.4Pmax)を結ぶ第I直線を引く。
(3)包絡線上の0.4Pmaxと、最大耐力の9/10の値(0.9Pmax)を結ぶ第II直線を引く。
(4)包絡線に接するまで第II直線を平行移動し、これを第III直線とする。
(5)第I直線と第III直線の交点の荷重を降伏耐力(Py)とし、この点からX軸に平行に第IV直線を引く。
(6)第IV直線と包絡線の交点の変位を降伏変位δyとする。
(7)原点と、(δy,Py)を結ぶ直線を第V直線とし、それを初期剛性Kと定める。
(8)最大荷重後の包絡線上の最大荷重の8/10の値(0.8Pmax)または変位1/15のいずれか小さい変位を終局変位δuと定める。
(9)包絡線とX軸及びX=δuで囲まれる面積をSとする。
(10)第V直線とX=δuとX軸に平行な直線で囲まれる台形の面積がSと等しくなるようにX軸に平行な第VI直線を引く。
(11)第V直線と第VI直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力Puと定め、その時の変位を完全弾塑性モデルの降伏変位δvとする。
(12)(δu/δv)を塑性率μとする。
(13)試験体の変位角が1/15を超えても最大荷重に達しない場合には、1/15の荷重をPmaxとする。
面内せん断試験により得られたデータから壁倍率を算出した。面内せん断試験は、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」(財団法人日本住宅・木造技術センター企画編集・発行平成21年6月(第4版))に記載の「鉛直構面及び水平構造の剛性と許容せん断耐力を算定するための試験」に従って、タイロッド式で実施した。終局加力を行った包絡線から、(a)降伏耐力、(b)終局耐力に0.2√(2μ−1)を乗じた値、(c)最大耐力の2/3、及び(d)真のせん断変形角1/150の時の耐力のうち、最も小さい値を短期許容せん断耐力とし、基準強度1.96kN/mで割った値である。降伏耐力、終局耐力、最大耐力及び真のせん断変形角1/150の時の耐力の求め方を、図5に記載の包絡線の例を用いて説明する。
(1)図5の耐力の最大値を最大耐力(Pmax)とする。
(2)包絡線上の最大耐力の1/10の値(0.1Pmax)と4/10の値(0.4Pmax)を結ぶ第I直線を引く。
(3)包絡線上の0.4Pmaxと、最大耐力の9/10の値(0.9Pmax)を結ぶ第II直線を引く。
(4)包絡線に接するまで第II直線を平行移動し、これを第III直線とする。
(5)第I直線と第III直線の交点の荷重を降伏耐力(Py)とし、この点からX軸に平行に第IV直線を引く。
(6)第IV直線と包絡線の交点の変位を降伏変位δyとする。
(7)原点と、(δy,Py)を結ぶ直線を第V直線とし、それを初期剛性Kと定める。
(8)最大荷重後の包絡線上の最大荷重の8/10の値(0.8Pmax)または変位1/15のいずれか小さい変位を終局変位δuと定める。
(9)包絡線とX軸及びX=δuで囲まれる面積をSとする。
(10)第V直線とX=δuとX軸に平行な直線で囲まれる台形の面積がSと等しくなるようにX軸に平行な第VI直線を引く。
(11)第V直線と第VI直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力Puと定め、その時の変位を完全弾塑性モデルの降伏変位δvとする。
(12)(δu/δv)を塑性率μとする。
(13)試験体の変位角が1/15を超えても最大荷重に達しない場合には、1/15の荷重をPmaxとする。
10 外壁構造
11 土台
12 柱
13 間柱
14 ポリマーフォーム
15 透湿防水シート
20 外壁構造
21 土台
22 柱
23 間柱
24 ポリマーフォーム
25 合板
30 外壁構造
31 土台
32 柱
33 間柱
34 ポリマーフォーム
35 板状発泡プラスチック断熱材
40 外壁構造
41 土台
42 柱
43 間柱
44 ポリマーフォーム
45 合板
46 板状発泡プラスチック断熱材
11 土台
12 柱
13 間柱
14 ポリマーフォーム
15 透湿防水シート
20 外壁構造
21 土台
22 柱
23 間柱
24 ポリマーフォーム
25 合板
30 外壁構造
31 土台
32 柱
33 間柱
34 ポリマーフォーム
35 板状発泡プラスチック断熱材
40 外壁構造
41 土台
42 柱
43 間柱
44 ポリマーフォーム
45 合板
46 板状発泡プラスチック断熱材
Claims (7)
- 建築物の外壁構造であって、(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有し、前記平面部材の室内側表面にポリマーフォームの層が吹き付けによって形成され、該ポリマーフォームは発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを使用しており、該ポリマーフォームの独立気泡率が90%以上、密度が30kg/m3以上であることを特徴とする、建築物の外壁構造。
- 壁倍率が0.5以上である、請求項1に記載の建築物の外壁構造。
- 前記ポリマーフォームの圧縮強さが10〜30N/cm2であり、引っ張り強さが20〜60N/cm2である、請求項1又は2に記載の建築物の外壁構造。
- 前記ポリマーフォームの厚さが50mm以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建築物の外壁構造。
- 前記ポリマーフォームとは反対側の平面部材上にポリスチレン製発泡板が形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建築物の外壁構造。
- 前記ポリスチレン製発泡板の密度が30kg/m3以上であり、厚さが50mm以上である、請求項5に記載の建築物の外壁構造。
- 請求項1に記載の建築物の外壁構造の製造方法であって、
(A)(a)柱及び間柱から選択される少なくとも2つの垂直棒部材と、(b)土台、梁及び桁から選択される少なくとも2つの水平棒部材と、(c)前記垂直棒部材及び水平棒部材の室外側に固定された平面部材を含有する壁構造を準備し、
(B)5〜20重量%のハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含有する液状のポリウレタンフォーム組成物を、前記平面部材の室内側に吹き付け、続いて
(C)該液状ポリウレタンフォーム組成物を硬化させポリウレタンフォームの層を形成する、方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017070759A JP2018172895A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 建築物の外壁構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017070759A JP2018172895A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 建築物の外壁構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018172895A true JP2018172895A (ja) | 2018-11-08 |
Family
ID=64107282
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017070759A Pending JP2018172895A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 建築物の外壁構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018172895A (ja) |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07317168A (ja) * | 1994-05-23 | 1995-12-05 | Ig Tech Res Inc | 外装構造 |
JPH09158348A (ja) * | 1995-12-08 | 1997-06-17 | Mitsui Home Co Ltd | 住宅外壁部の断熱材取付構造とその取付方法 |
JPH10266377A (ja) * | 1997-03-26 | 1998-10-06 | Aifuru Home Technol:Kk | 断熱材吹付け用積層シート、断熱層及び形成方法 |
JPH10292524A (ja) * | 1997-04-11 | 1998-11-04 | Ig Tech Res Inc | 断熱パネル及びその断熱パネルを用いた断熱下地 |
JPH11181953A (ja) * | 1997-12-18 | 1999-07-06 | Ig Tech Res Inc | 断熱パネル |
JP2009228385A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 断熱パネルおよび断熱壁構造 |
JP2016188329A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | 旭有機材株式会社 | ポリウレタンフォームの製造法及びそれによって得られたポリウレタンフォーム |
JP2017029903A (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-09 | 旭有機材株式会社 | 遠隔監視操作装置を備えた現場吹付け型発泡機 |
-
2017
- 2017-03-31 JP JP2017070759A patent/JP2018172895A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07317168A (ja) * | 1994-05-23 | 1995-12-05 | Ig Tech Res Inc | 外装構造 |
JPH09158348A (ja) * | 1995-12-08 | 1997-06-17 | Mitsui Home Co Ltd | 住宅外壁部の断熱材取付構造とその取付方法 |
JPH10266377A (ja) * | 1997-03-26 | 1998-10-06 | Aifuru Home Technol:Kk | 断熱材吹付け用積層シート、断熱層及び形成方法 |
JPH10292524A (ja) * | 1997-04-11 | 1998-11-04 | Ig Tech Res Inc | 断熱パネル及びその断熱パネルを用いた断熱下地 |
JPH11181953A (ja) * | 1997-12-18 | 1999-07-06 | Ig Tech Res Inc | 断熱パネル |
JP2009228385A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 断熱パネルおよび断熱壁構造 |
JP2016188329A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-04 | 旭有機材株式会社 | ポリウレタンフォームの製造法及びそれによって得られたポリウレタンフォーム |
JP2017029903A (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-09 | 旭有機材株式会社 | 遠隔監視操作装置を備えた現場吹付け型発泡機 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Wang et al. | Shaking table tests on seismic retrofitting of rammed-earth structures | |
TW200914695A (en) | Method for increasing wind uplift resistance of wood-framed roofs using closed-cell spray polyurethane foam | |
US8978333B2 (en) | Structure formed from panels joined with universal clamping brackets | |
CA2884025A1 (en) | Composite building components building system | |
WO2021205993A1 (ja) | 木構造建築物の石膏系耐力面材、耐力壁構造及び耐力壁施工方法 | |
JP2007138558A (ja) | 遮熱建築物の構築方法および遮熱建築物 | |
US8875474B2 (en) | Composite panel | |
JP2018172895A (ja) | 建築物の外壁構造 | |
JPH10219866A (ja) | 断熱パネル及び断熱パネルの製造方法 | |
ES2608503T3 (es) | Método de fabricación de espuma acústica | |
JP2005207146A (ja) | コンクリート建造物の内断熱構造 | |
Samali et al. | Feasibility analysis of the use of rigid polyurethane foam in modular sandwich panels for rapid assembly structures | |
JP6434760B2 (ja) | 防音断熱床構造 | |
JP2004169547A (ja) | 建築用断熱材と、この建築用断熱材を用いる木造建築物並びにその構築方法 | |
JP2011006896A (ja) | 建築物およびその耐震補強方法 | |
JP2015165087A (ja) | 木造外壁の耐力壁構造及びその施工方法 | |
JP2019157562A (ja) | 床材 | |
JP2014001525A (ja) | 断熱パネルおよび該断熱パネルを備えた外壁構造物 | |
JPH0414538A (ja) | 木造家屋の高気密断熱構造 | |
KR102478978B1 (ko) | 조적허리벽 내진보강을 위한 연성확보용 매입형 하중흡수블럭과 이의 제조 방법 및 이를 이용한 구조물의 내진 보강 구조 | |
JP5959599B2 (ja) | 遮熱建築物の構築方法および遮熱建築物 | |
WO2023058470A1 (ja) | 木構造耐力壁、木構造耐力壁の施工方法、木構造耐力壁の壁倍率増大方法、及び、石膏系耐力面材 | |
Shahbazi | Hygrothermal Performance of Drywall Reinforced with Kraft-Paper Honeycomb in the Canadian Context | |
JP2013057224A (ja) | 遮熱建築物の構築方法および遮熱建築物 | |
WO2022197173A1 (es) | Placa plástica reciclada de sistema constructivo para la construcción de vivienda |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200317 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210323 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20210622 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20211116 |