JP2018172248A - 光学素子製造用型セット - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の形状の成形素材を用いて、簡易な工程で光学素子を製造することができ、かつ、簡易な構成によって加熱処理前における成形素材へのキズの発生を抑制することができる光学素子製造用型セットを提供すること。
【解決手段】型セット10は、上型11および下型12と、スリーブ13と、プレス量規制部材14とを備え、上型11は、本体部112と、スリーブ13の内周面13aよりも外側に突出したフランジ部113とを有し、プレス量規制部材14は、型セット10が加熱されていない状態では、テーパ部14bをフランジ部113に接触させてフランジ部113を係止し、上型11および下型12の光学創生面111,121が離間した状態を保持し、型セット10が加熱されている状態では、テーパ部14bをフランジ部113から離間させてフランジ部113の係止を解除し、上型11および下型12の相対的な近接動を可能とする。
【選択図】図2
【解決手段】型セット10は、上型11および下型12と、スリーブ13と、プレス量規制部材14とを備え、上型11は、本体部112と、スリーブ13の内周面13aよりも外側に突出したフランジ部113とを有し、プレス量規制部材14は、型セット10が加熱されていない状態では、テーパ部14bをフランジ部113に接触させてフランジ部113を係止し、上型11および下型12の光学創生面111,121が離間した状態を保持し、型セット10が加熱されている状態では、テーパ部14bをフランジ部113から離間させてフランジ部113の係止を解除し、上型11および下型12の相対的な近接動を可能とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、光学素子製造用型セットに関する。
ガラスレンズ等の光学素子の成形方法の一つとして、一対の金型と、金型の位置決めを行う筒状のスリーブと、スリーブの外周に配置された筒状のプレス量規制部材とを備える型セットを用いた循環式の成形方法が知られている。この成形方法では、異なる温度に加熱された複数のヒータプレート上に型セットを順次搬送し、型セット内の成形素材を押圧することにより、当該成形素材を所望の形状へと徐々に変形させる。
このような循環式の成形方法として、例えば特許文献1には、型セットに対して第1〜第3の加熱処理、メインプレス処理、冷却プレス処理および冷却処理を順番に実施する方法が開示されている。
ここで、特許文献1における成形方法では、成形素材を型セット内に配置した際に、上型の自重によって成形素材が下型の方向に押し付けられるため、成形素材における、上型との接触部にキズが形成されてしまうという問題がある。なお、型セットの上型のサイズおよび重量は、成形する光学素子のサイズに応じて大きくなるため、成形する光学素子のサイズが大きい程、前記したキズ発生の問題は顕著となる。
このような問題を解決するために、例えば特許文献2では、型セットを組み付けた状態において、上型と成形素材とが非接触となるように構成した型セットが提案されている。また、例えば特許文献3では、スリーブに挿入したピンで上型を支持することにより、上型と成形素材とが非接触となるように構成した型セットが提案されている。
しかしながら、特許文献2における型セットは、成形素材の形状がメニス形状に限定されるため、成形可能な光学素子の形状も限定されてしまうという問題がある。また、特許文献3における型セットは、型セットの構成が複雑になり、また、ピンの引き抜きや引き抜き後のピンの回収等の作業が別途必要となるため、製造工程が複雑になるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、任意の形状の成形素材を用いて、簡易な工程で光学素子を製造することができ、かつ、簡易な構成によって加熱処理前における成形素材へのキズの発生を抑制することができる光学素子製造用型セットを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、光学素子製造用型セットは、互いに対向する光学創生面を有する第一の金型および第二の金型と、前記第一の金型および前記第二の金型の周囲に設けられた筒状のスリーブと、前記スリーブの周囲に設けられた筒状のプレス量規制部材と、を備える光学素子製造用型セットであって、前記第一の金型は、前記スリーブに挿入された本体部と、前記スリーブの内周面よりも外側に突出したフランジ部と、を有し、前記プレス量規制部材は、前記フランジ部と接触可能な保持部を有し、前記光学素子製造用型セットが加熱されていない状態では、前記保持部を前記フランジ部に接触させて前記フランジ部を係止し、前記第一の金型および前記第二の金型のそれぞれの光学創生面が離間した状態を保持し、前記光学素子製造用型セットが加熱されている状態では、前記保持部を前記フランジ部から離間させて前記フランジ部の係止を解除し、前記第一の金型および前記第二の金型の相対的な近接動を可能とすることを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子製造用型セットは、上記発明において、前記プレス量規制部材は、前記光学素子製造用型セットが加熱されている状態において、熱膨張によって拡径することにより、前記保持部を前記フランジ部から離間させることを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子製造用型セットは、上記発明において、前記プレス量規制部材は、前記第一の金型、前記第二の金型および前記スリーブよりも線膨張係数が大きい材料で構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子製造用型セットは、上記発明において、前記フランジ部および前記保持部の接触部は、それぞれテーパ状であることを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子製造用型セットは、上記発明において、前記保持部は、前記ブレス量規制部材の内周面よりも内側に突出したフランジ部からなることを特徴とする。
本発明によれば、型組み付け時等の、型セットが加熱されていない状態では、第一の金型および第二の金型のそれぞれの光学創生面が離間した状態が保持されているため、加熱処理前における成形素材へのキズの発生を抑制することができる。また、本発明によれば、任意の形状の成形素材へのキズの発生を抑制し、かつ簡易な工程で光学素子を製造することができる。さらに、本発明によれば、プレス量規制部材を利用して上型を保持するため、大幅な改良等を必要とせず、簡易な構成によって、成形素材へのキズの発生を抑制することができる。
以下、本発明に係る光学素子製造用型セットの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
[成形装置の構成]
成形装置1は、図1に示すように、加熱軟化させた成形素材(例えばガラス素材)Mをプレス成形することにより光学素子(例えばガラスレンズ)Oを成形するものである。成形装置1は、光学素子製造用型セット(以下、「型セット」という)10と、置換室20と、成形室30と、を主に備えている。
成形装置1は、図1に示すように、加熱軟化させた成形素材(例えばガラス素材)Mをプレス成形することにより光学素子(例えばガラスレンズ)Oを成形するものである。成形装置1は、光学素子製造用型セット(以下、「型セット」という)10と、置換室20と、成形室30と、を主に備えている。
置換室20は、型セット10を収容するチャンバ21を備えている。この置換室20では、図示しない搬送アームによって搬送された型セット10に対して、図1に示すようにチャンバ21を下降させる。そして、チャンバ21内を真空引きし、不活性ガス(窒素)を導入することにより、型セット10の内部の雰囲気を窒素雰囲気に置換する。その後、チャンバ21を上昇させ、図示しない搬送アームによって型セット10を成形室30に搬送する。
成形室30は、加熱ステージ31と、プレスステージ32と、冷却ステージ33と、を備えている。加熱ステージ31では、上プレート34および下プレート35に設けられたヒータ36によって、型セット10内の成形素材Mを加熱することにより、成形素材Mを軟化させる。また、加熱ステージ31では、加熱中の成形素材Mを押圧(仮プレス)する。プレスステージ32では、ヒータ36によって成形素材Mを加熱しつつ、型セット10内の成形素材Mを押圧(本プレス)する。また、冷却ステージ33では、ヒータ36の加熱温度を低下させることにより、プレス後の成形素材Mを冷却する。なお、冷却ステージ33では、冷却中の成形素材Mを押圧(冷却プレス)した後、当該成形素材Mを取り出し可能な温度まで冷却する。その後、型セット10は成形室30から排出され、型セット10から成形後の光学素子Oが回収された後、型セット10内に新たな成形素材Mが配置され、次の成形が実施される。
加熱ステージ31、プレスステージ32および冷却ステージ33におけるそれぞれの上プレート34には、シャフト37を介して、型セット10を加圧するための加圧シリンダ38が設けられている。また、成形室30は、型セット10を置換室20から成形室30に導入する際に開閉する入口シャッター301と、型セット10を成形室30から排出する際に開閉する出口シャッター302と、を備えている。
[型セットの構成(実施の形態1)]
本発明の実施の形態1に係る型セット10の構成について、図1および図2を参照しながら説明する。型セット10は、図2に示すように、上型(第一の金型)11と、下型(第二の金型)12と、スリーブ13と、プレス量規制部材14と、を備えている。
本発明の実施の形態1に係る型セット10の構成について、図1および図2を参照しながら説明する。型セット10は、図2に示すように、上型(第一の金型)11と、下型(第二の金型)12と、スリーブ13と、プレス量規制部材14と、を備えている。
上型11および下型12は、それぞれ段付きの円柱形状(凸状)に形成されており、それぞれの光学創生面111,121が対向するように配置されている。これらの光学創生面111,121は、光学素子Oの光学機能面を創生するための面である。上型11および下型12は、図1に示すように成形装置1内に搬送された際に、成形素材Mを挟んで互いの光学創生面111,121が対向する状態となる。
上型11は、本体部112と、本体部112とフランジ部113と、を備えている。本体部112は、上型11のうち、スリーブ13に収容(挿入)される部分であり、円柱状に形成されている。前記した光学創生面111は、この本体部112の下型12側の端部に形成されている。
フランジ部113は、上型11のうち、スリーブ13に収容されない部分であり、逆台形状に形成されている。フランジ部113は、本体部112と一体的に形成されており、上型11において、光学創生面111の反対側に設けられている。また、フランジ部113は、スリーブ13の内周面13aよりも外側に突出している。また、台形状のフランジ部113の上底は、上型11の上面11aを構成している。
フランジ部113の側面には、テーパ状の面からなるテーパ部113aが設けられている。このテーパ部113aは、図2のような型組み付け時の状態、すなわち型セット10が加熱されていない状態では、プレス量規制部材14のテーパ部14bと接触しており、当該テーパ部14bによって係止されている。また、テーパ部113aは、押圧方向において下型12から上型11に向かう方向、かつ、上型11の中心から径方向外側に向かう方向に傾斜している。
スリーブ13は、上型11および下型12を支持し、かつ両者の位置決めを行うためのものである。スリーブ13は、円筒状に形成されており、上型11および下型12の周囲に設けられている。また、スリーブ13は、下型12に嵌合されている。
プレス量規制部材14は、加圧シリンダ38による上型11のプレス量を規制するためのものである。プレス量規制部材14は、筒状に形成されており、上型11、下型12およびスリーブ13の周囲に設けられている。プレス量規制部材14の内周面14aと、スリーブ13の外周面13bとの間には、所定のクリアランスが形成されている。プレス量規制部材14は、図1に示すように、プレスステージ32において型セット10内の成形素材Mを押圧した際に、その上面14cが上プレート34の下面に当て付くことにより、プレス量を規制する。
プレス量規制部材14は、図2に示すように、内周面14aの側にテーパ状の面からなるテーパ部(保持部)14bが設けられている。このテーパ部14bは、プレス量規制部材14の上面14cから内周面14aにかけて形成されており、図2のような型組み付け時の状態、すなわち型セット10が加熱されていない状態において、上型11のフランジ部113のテーパ部113aと接触している。このように、フランジ部113のテーパ部113aと、プレス量規制部材14のテーパ部14bとの接触部は、それぞれテーパ状に形成されている。また、テーパ部14bは、押圧方向において上型11から下型12に向かう方向、かつ、プレス量規制部材14の径方向外側から中心に向かう方向に傾斜している。なお、テーパ部113a,14bの角度および長さ等の詳細については後記する。
このような構成を備えるプレス量規制部材14は、図1に示すように、型セット10が加熱ステージ31にまだ搬送されておらず、当該型セット10が加熱されていない状態(例えば型セット10が置換室20内にある状態)では、テーパ部14bを、上型11のフランジ部113のテーパ部113aに接触させて当該フランジ部113を係止し、上型11および下型12のそれぞれの光学創生面111,121が離間した状態を保持している。
一方、プレス量規制部材14は、図1に示すように、型セット10が加熱ステージ31に搬送され、当該型セット10が加熱されている状態では、テーパ部14bを、上型11のフランジ部113のテーパ部113aから離間させてフランジ部113の係止を解除し、上型11および下型12の相対的な近接動を可能とする。
ここで、プレス量規制部材14は、上型11、下型12およびスリーブ13よりも線膨張係数が大きい材料で構成されている。例えば上型11、下型12およびスリーブ13が超硬合金で構成されている場合、プレス量規制部材14は、これよりも線膨張係数が大きいSUS316等で構成する。このように、プレス量規制部材14を上型11、下型12およびスリーブ13よりも線膨張係数が大きい材料で構成することにより、型セット10が加熱ステージ31で加熱されている状態では、プレス量規制部材14の内外径が熱膨張により拡径し、テーパ部14bが上型11のフランジ部113のテーパ部113aから離間する。
[型セットの作用(実施の形態1)]
以下、本実施の形態に係る型セット10の作用について、図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10を備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法の説明の中で、型セット10の作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。
以下、本実施の形態に係る型セット10の作用について、図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10を備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法の説明の中で、型セット10の作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。
(型組み付け工程)
型組み付け工程では、図2に示すように、下型12にスリーブ13を嵌合した後、下型12の光学創生面121上に成形素材Mを配置する。なお、成形素材Mとしては、例えばガラス素材である「S−BAL42」を用いることができる。また、成形素材Mは、任意の形状のものを用いることができる。続いて、スリーブ13の外周側にプレス量規制部材14を挿入し、スリーブ13に上型11の本体部112を挿入する。
型組み付け工程では、図2に示すように、下型12にスリーブ13を嵌合した後、下型12の光学創生面121上に成形素材Mを配置する。なお、成形素材Mとしては、例えばガラス素材である「S−BAL42」を用いることができる。また、成形素材Mは、任意の形状のものを用いることができる。続いて、スリーブ13の外周側にプレス量規制部材14を挿入し、スリーブ13に上型11の本体部112を挿入する。
ここで、スリーブ13内に上型11の本体部112を挿入していくと、フランジ部113のテーパ部113aとプレス量規制部材14のテーパ部14bとが接触する。その際、テーパ部113aおよびテーパ部14bは、それぞれテーパ状に形成されているため、両者が接触することにより、上型11の光学創生面111の中心軸とプレス量規制部材14の内径の中心軸とが同軸上に寄り、2つの中心軸が同軸上で一致する。また、上型11および下型12も、スリーブ13によって中心軸が一致するように位置決めされているため、型セット10を構成する全ての部材の中心軸が一致した状態となる。
型組み付け工程の完了時は、図2に示すように、上型11および下型12のそれぞれの光学創生面111,121が所定の距離をおいて離間しており、かつ上型11の光学創生面111と成形素材Mとが所定の距離をおいて離間した状態が保持されている。そして、型セット10の組み付けおよび成形素材Mの配置が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10を成形装置1の置換室20に搬送する。
(置換工程)
置換工程では、図1に示すように、置換室20において、型セット10の内部の雰囲気を窒素雰囲気に置換する。そして、図示しない搬送アームによって、型セット10を成形室30の加熱ステージ31に搬送する。
置換工程では、図1に示すように、置換室20において、型セット10の内部の雰囲気を窒素雰囲気に置換する。そして、図示しない搬送アームによって、型セット10を成形室30の加熱ステージ31に搬送する。
(加熱工程)
加熱工程では、図1に示すように、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10を挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された直後の上型11は、プレス量規制部材14のテーパ部14bによって支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
加熱工程では、図1に示すように、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10を挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された直後の上型11は、プレス量規制部材14のテーパ部14bによって支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
一方、型セット10の温度が、例えば439℃付近に達すると、図1に示すように、熱膨張によってプレス量規制部材14の内外径が拡径する。そして、上型11のフランジ部113のテーパ部113aとプレス量規制部材14のテーパ部14bとの接触が解除され、上型11が未保持状態となる。すなわち、プレス量規制部材14のテーパ部14bによって上型11の移動が規制されていた状態が解除され、当該上型11によって成形素材Mを押圧可能な状態となる。
なお、上型11が未保持状態となる温度(以下、「保持解除温度」という)は、後記する上型11の再保持温度を考慮して設定することができ、例えば成形素材Mの歪点−100℃より高く設定、あるいは成形素材Mの転移点(Tg)付近に設定することができる。本実施の形態では、一例として、上型11の保持解除温度を、成形素材Mの歪点−100℃より高い、439℃に設定している。なお、前記した保持解除温度は、より具体的には、上型11が未保持状態となり、かつ上型11が成形素材Mに最初に接触した際の温度のことを示している。
未保持状態となった上型11は、図1に示すように下型12に向かって移動し、成形素材Mに接触する。その際、上型11は、プレス量規制部材14のテーパ部14bに沿って徐々に降下し、成形素材Mに対してゆっくりと接触する。そのため、上型11の接触による成形素材Mのキズは、非常に軽微なものとなるか、あるいはキズ自体の発生が抑制される。
加熱工程では、前記したように上型11が成形素材Mに接触した後、型セット10が600℃になるまで加熱を継続しつつ、成形素材Mを押圧する仮プレスを実施する。そして、型セット10の加熱が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10をプレスステージ32に搬送する。
(押圧工程)
押圧工程では、図1に示すように、プレスステージ32において、例えば620℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10を挟み、成形素材Mを押圧する本プレスを実施する。本工程では、上プレート34の下面がプレス量規制部材14の上面14cに当て付くまで押圧を行う。そして、成形素材Mの押圧が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10を冷却ステージ33に搬送する。
押圧工程では、図1に示すように、プレスステージ32において、例えば620℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10を挟み、成形素材Mを押圧する本プレスを実施する。本工程では、上プレート34の下面がプレス量規制部材14の上面14cに当て付くまで押圧を行う。そして、成形素材Mの押圧が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10を冷却ステージ33に搬送する。
(冷却工程)
冷却工程では、図1に示すように、冷却ステージ33において、成形素材Mを冷却する。本工程では、成形素材Mを冷却しつつ、上プレート34に設けられた押圧部材39によって成形素材Mを押圧する冷却プレスを実施する。なお、冷却プレスは、成形後の光学素子Oの精度を向上させるために実施されるものである。
冷却工程では、図1に示すように、冷却ステージ33において、成形素材Mを冷却する。本工程では、成形素材Mを冷却しつつ、上プレート34に設けられた押圧部材39によって成形素材Mを押圧する冷却プレスを実施する。なお、冷却プレスは、成形後の光学素子Oの精度を向上させるために実施されるものである。
冷却工程では、型セット10が例えば450℃まで冷却されると、熱収縮によってプレス量規制部材14の内外径が縮径する。そして、上型11のフランジ部113のテーパ部113aとプレス量規制部材14のテーパ部14bとが再び接触する。また、更に冷却を継続すると、フランジ部113のテーパ部113aがプレス量規制部材14のテーパ部14bに沿って移動することにより、上型11が下型12から離れる方向に移動し、上型11と成形素材Mとの接触が解除される。なお、このように、上型11が再び保持状態となり、かつ上型11と成形素材Mとの接触が解除された際の温度のことを、「再保持温度」と定義する。
冷却工程では、取り出し可能な温度(例えば100℃)まで成形素材Mを冷却した後、図示しない搬送アームによって、型セット10を成形室30から排出する。
(取り出し工程)
取り出し工程では、排出後の型セット10から上型11を取り外し、光学素子Oを取り出す。そして、光学素子Oを引き続き製造する場合は、上型11を取り外した状態で新たな成形素材Mを下型12に配置して型組み付け工程を実施した後、前記した置換工程〜取り出し工程を繰り返す。
取り出し工程では、排出後の型セット10から上型11を取り外し、光学素子Oを取り出す。そして、光学素子Oを引き続き製造する場合は、上型11を取り外した状態で新たな成形素材Mを下型12に配置して型組み付け工程を実施した後、前記した置換工程〜取り出し工程を繰り返す。
[テーパ部の設定方法(実施の形態1)]
以下、本実施の形態に型セット10におけるテーパ部113a,14bの設定方法について説明する。図2に示した上型11のフランジ部113のテーパ部113aのテーパ角d1およびテーパ長c、プレス量規制部材14のテーパ部14bのテーパ角g1およびテーパ長fは、以下の式(1)〜式(5)に基づいて設定する。
以下、本実施の形態に型セット10におけるテーパ部113a,14bの設定方法について説明する。図2に示した上型11のフランジ部113のテーパ部113aのテーパ角d1およびテーパ長c、プレス量規制部材14のテーパ部14bのテーパ角g1およびテーパ長fは、以下の式(1)〜式(5)に基づいて設定する。
d1=[{1+α1(t2−z)}/{1+α2(t2−z)}]*[e/{2(b2−b1)}]−[e/{2(b2−b1)}] ・・・(1)
c>b1−b2 ・・・(2)
c>k ・・・(3)
g1>d1 ・・・(4)
f−i>0 ・・・(5)
c>b1−b2 ・・・(2)
c>k ・・・(3)
g1>d1 ・・・(4)
f−i>0 ・・・(5)
ここで、上記の式(1)〜式(5)における各パラメータの意味は以下の通りである。
z:室内環境温度
t2:上型11の再保持温度
b1:成形前における上型11および下型12間の距離(図2参照)
b2:成形後における上型11および下型12間の距離(図2参照)
e:常温時における上型11の外径(図2参照)
α1:上型11、下型12およびスリーブ13の線膨張係数
α2:プレス量規制部材14の線膨張係数
i:冷却プレスのプレス量
k:成形素材Mの厚さ
z:室内環境温度
t2:上型11の再保持温度
b1:成形前における上型11および下型12間の距離(図2参照)
b2:成形後における上型11および下型12間の距離(図2参照)
e:常温時における上型11の外径(図2参照)
α1:上型11、下型12およびスリーブ13の線膨張係数
α2:プレス量規制部材14の線膨張係数
i:冷却プレスのプレス量
k:成形素材Mの厚さ
上記のパラメータのうち、上型11の再保持温度t2、成形前後の上型11および下型12間の距離b1,b2以外は、予め判明または設定されている値である。従って、上型11の再保持温度t2と、成形前後の上型11および下型12間の距離b1,b2とを決定した上で、上記式(1)〜式(5)に基づいて、テーパ部113aのテーパ角d1およびテーパ長cと、テーパ部14bのテーパ角g1およびテーパ長fとを設定する。
以上説明したような型セット10によれば、型組み付け時等の、型セット10が加熱されていない状態では、上型11および下型12のそれぞれの光学創生面111,121が離間した状態が保持されているため、加熱処理前における成形素材Mへのキズの発生を抑制することができる。また、型セット10によれば、成形素材Mの形状に左右されることなく、任意の形状の成形素材Mへのキズの発生を抑制することができ、かつ簡易な工程で光学素子Oを製造することができる。さらに、型セット10によれば、プレス量規制部材14を利用して上型11を保持するため、大幅な改良等を必要とせず、簡易な構成によって、成形素材Mへのキズの発生を抑制することができる。
[型セットの構成(実施の形態2)]
本発明の実施の形態2に係る型セット10Aの構成について、図1および図3を参照しながら説明する。型セット10Aは、図3に示すように、上型11Aおよびプレス量規制部材14A以外は、実施の形態1に係る型セット10と同様の構成を備えている。
本発明の実施の形態2に係る型セット10Aの構成について、図1および図3を参照しながら説明する。型セット10Aは、図3に示すように、上型11Aおよびプレス量規制部材14A以外は、実施の形態1に係る型セット10と同様の構成を備えている。
上型11Aは、本体部112Aと、フランジ部113Aと、を備えている。本体部112Aは、円柱状に形成されており、側周面112aの一部にフランジ部113Aが設けられている。本体部112Aのうち、フランジ部113Aの下側はスリーブ13に収容される部分であり、フランジ部113Aの上側はスリーブ13に収容されない部分である。また、本体部112Aの上面は、上型11Aの上面11aを構成している。
フランジ部113Aは、本体部112Aの側周面112aに沿って突起状に形成されており、本体部112Aの側周面112aから突出している。また、フランジ部113Aは、スリーブ13の内周面13aよりも外側に突出している。
フランジ部113Aの側面には、テーパ状の面からなるテーパ部113Aaが設けられている。このテーパ部113Aaは、図3のような型組み付け時の状態、すなわち型セット10Aが加熱されていない状態では、プレス量規制部材14Aのフランジ部141のテーパ部141aと接触しており、当該テーパ部141aによって係止されている。
プレス量規制部材14Aは、内周面14aにフランジ部(保持部)141が設けられている。このフランジ部141は、プレス量規制部材14Aの内周面14aよりも内側に突出している。
フランジ部141の側面には、テーパ状の面からなるテーパ部141aが設けられている。このテーパ部141aは、図3のような型組み付け時の状態、すなわち型セット10Aが加熱されていない状態において、上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaと接触している。このように、フランジ部113Aのテーパ部113Aaと、フランジ部141のテーパ部141aとの接触部は、それぞれテーパ状に形成されている。なお、テーパ部113Aa,141aの角度等の詳細については後記する。
このような構成を備えるプレス量規制部材14Aは、型セット10Aが加熱ステージ31にまだ搬送されておらず、当該型セット10Aが加熱されていない状態では、テーパ部141aを、上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaに接触させて当該フランジ部113Aを係止し、上型11Aおよび下型12のそれぞれの光学創生面111,121が離間した状態を保持する。
一方、プレス量規制部材14Aは、型セット10Aが加熱ステージ31に搬送され、当該型セット10Aが加熱されている状態では、テーパ部141aを、上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaから離間させてフランジ部113Aの係止を解除し、上型11Aおよび下型12の相対的な近接動を可能とする。
ここで、プレス量規制部材14Aは、前記したプレス量規制部材14と同様に、上型11A、下型12およびスリーブ13よりも線膨張係数が大きい材料で構成されている。そして、型セット10Aが加熱ステージ31で加熱されている状態では、プレス量規制部材14Aの内外径が熱膨張により拡径し、フランジ部141のテーパ部141aが上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaから離間する。
[型セットの作用(実施の形態2)]
以下、本実施の形態に係る型セット10Aの作用について、図1、図3〜図5を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10Aを備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法の説明の中で型セット10Aの作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。なお、本実施の形態における型組み付け工程、置換工程および押圧工程は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以下、本実施の形態に係る型セット10Aの作用について、図1、図3〜図5を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10Aを備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法の説明の中で型セット10Aの作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。なお、本実施の形態における型組み付け工程、置換工程および押圧工程は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
(加熱工程)
加熱工程では、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Aを挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された直後の上型11Aは、プレス量規制部材14Aのフランジ部141のテーパ部141aによって支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
加熱工程では、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Aを挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された直後の上型11Aは、プレス量規制部材14Aのフランジ部141のテーパ部141aによって支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
一方、型セット10Aの温度が、例えば540℃付近に達すると、熱膨張によってプレス量規制部材14Aの内外径が拡径する。そして、上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaとフランジ部141のテーパ部141aとの接触が解除され、上型11Aが未保持状態となる。すなわち、フランジ部141のテーパ部141aによって上型11Aの移動が規制されていた状態が解除され、当該上型11Aによって成形素材Mを押圧可能な状態となる。
なお、上型11Aの保持解除温度は、実施の形態1よりも高い温度に設定する。上型11Aの保持解除温度は、テーパ部113Aa,141aの設計に応じて設定することができ、例えば成形素材Mの歪点以上に設定することができる。また、上型11Aの保持解除温度は、保持が解除された上型11Aが落下して成形素材Mと接触した際に、当該成形素材Mへのキズを抑制するために、成形素材Mの粘度が急激に低くなる転移点(Tg)付近に設定してもよい。本実施の形態では、一例として、上型11の保持解除温度を、成形素材M(「S−BAL42」)の歪点である540℃に設定している。
未保持状態となった上型11Aは、図4に示すように、下型12に向かって落下し、成形素材Mに接触する。その際、成形素材Mが歪点以上の温度まで加熱されているため、上型11Aは、実施の形態1よりも更に粘度が低い状態の成形素材Mに接触する。そのため、本実施の形態では、実施の形態1と比較して、上型11Aの接触による成形素材Mのキズが、より一層軽微なものとなるか、あるいはキズ自体の発生が抑制される。
加熱工程では、前記したように上型11Aが成形素材Mに接触した後、型セット10Aが600℃になるまで加熱を継続しつつ、成形素材Mを押圧する仮プレスを実施する。そして、型セット10Aの加熱が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10Aをプレスステージ32に搬送する。
(冷却工程)
冷却工程では、冷却ステージ33において、成形素材Mを冷却する。本工程では、成形素材Mを冷却しつつ、上プレート34に設けられた押圧部材39によって成形素材Mを押圧する冷却プレスを実施する。
冷却工程では、冷却ステージ33において、成形素材Mを冷却する。本工程では、成形素材Mを冷却しつつ、上プレート34に設けられた押圧部材39によって成形素材Mを押圧する冷却プレスを実施する。
冷却工程では、型セット10Aが例えば450℃まで冷却されると、図5に示すように、熱収縮によってプレス量規制部材14Aの内外径が縮径する。なお、本実施の形態は、実施の形態1とは異なり、プレス量規制部材14Aが縮径しても、上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaとフランジ部141のテーパ部141aとが再び接触することはなく、上型11Aが再び保持状態となることもない。
これにより、本実施の形態に係る冷却工程では、上型11Aと成形素材Mとの接触が解除されることがないため、取り出し可能な温度(例えば100℃)まで、冷却プレスの状態を維持し、成形素材Mにプレス圧を加えることができる。従って、光学素子Oの形状の精度をより向上させることができる。
冷却工程では、取り出し可能な温度まで成形素材Mを冷却した後、図示しない搬送アームによって、型セット10Aを成形室30から排出する。
(取り出し工程)
取り出し工程では、排出後の型セット10Aからまずプレス量規制部材14Aを取り外し、次に上型11Aを取り外し、光学素子Oを取り出す。そして、光学素子Oを引き続き製造する場合は、プレス量規制部材14Aおよび上型11Aを外した状態で新たな成形素材Mを下型12に配置して型組み付け工程を実施した後、前記した置換工程〜取り出し工程を繰り返す。
取り出し工程では、排出後の型セット10Aからまずプレス量規制部材14Aを取り外し、次に上型11Aを取り外し、光学素子Oを取り出す。そして、光学素子Oを引き続き製造する場合は、プレス量規制部材14Aおよび上型11Aを外した状態で新たな成形素材Mを下型12に配置して型組み付け工程を実施した後、前記した置換工程〜取り出し工程を繰り返す。
[テーパ部の設定方法(実施の形態2)]
以下、本実施の形態に型セット10Aにおけるテーパ部113Aa,141aの設定方法について説明する。図3に示した上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaのテーパ角d2、プレス量規制部材14のフランジ部141のテーパ部141aのテーパ角g2は、以下の式(6)および式(7)に基づいて設定する。
以下、本実施の形態に型セット10Aにおけるテーパ部113Aa,141aの設定方法について説明する。図3に示した上型11Aのフランジ部113Aのテーパ部113Aaのテーパ角d2、プレス量規制部材14のフランジ部141のテーパ部141aのテーパ角g2は、以下の式(6)および式(7)に基づいて設定する。
d2=[{1+α1(t3−z)}/{1+α2(t3−z)}]*{e/(2*b3)}−{e/(2*b3)} ・・・(6)
g2>d2 ・・・(7)
g2>d2 ・・・(7)
ここで、上記の式(6)および式(7)における各パラメータの意味は以下の通りである。
z:室内環境温度
t3:上型11Aの保持解除温度
b3:成形前における上型11Aと成形素材Mとの距離(図3参照)
e:常温時における上型11Aの外径(図3参照)
α1:上型11A、下型12およびスリーブ13の線膨張係数
α2:プレス量規制部材14Aの線膨張係数
z:室内環境温度
t3:上型11Aの保持解除温度
b3:成形前における上型11Aと成形素材Mとの距離(図3参照)
e:常温時における上型11Aの外径(図3参照)
α1:上型11A、下型12およびスリーブ13の線膨張係数
α2:プレス量規制部材14Aの線膨張係数
上記のパラメータのうち、上型11Aの保持解除温度t3、成形前における上型11Aと成形素材Mとの距離b3以外は、予め判明または設定されている値である。従って、上型11Aの保持解除温度t3と、成形前における上型11Aと成形素材Mとの距離b3とを決定した上で、上記式(6)および式(7)に基づいてテーパ部113Aaのテーパ角d2と、テーパ部141aのテーパ角g2とを設定する。
以上説明したような型セット10Aによれば、実施の形態1と同様に、任意の形状の成形素材Mを成形することができ、かつ、簡易な構成によって加熱処理前における成形素材Mへのキズの発生を抑制することができる。
また、型セット10Aは、実施の形態1のように、上型11Aがプレス量規制部材14Aによって再保持されることがないため、再保持温度を考慮して上型11Aの保持解除温度を設定する必要がない。そのため、型セット10Aでは、上型11Aの保持解除温度を、実施の形態1よりも高い温度に設定することができる。従って、型セット10Aの加熱時に、上型11Aが、実施の形態1よりも更に粘度の低い状態の成形素材Mに接触するため、成形素材Mへのキズの発生がより一層抑制される。
[型セットの構成(実施の形態3)]
本発明の実施の形態3に係る型セット10Bの構成について、図6A〜図7Bを参照しながら説明する。型セット10Bは、図6Aに示すように、上型11Bおよびプレス量規制部材14B以外は、実施の形態1に係る型セット10と同様の構成を備えている。
本発明の実施の形態3に係る型セット10Bの構成について、図6A〜図7Bを参照しながら説明する。型セット10Bは、図6Aに示すように、上型11Bおよびプレス量規制部材14B以外は、実施の形態1に係る型セット10と同様の構成を備えている。
上型11Bは、本体部112Bと、フランジ部113Bと、を備えている。本体部112Bは、上型11Bのうち、スリーブ13に収容される部分であり、円柱状に形成されている。フランジ部113Bは、上型11Bにおいて、本体部112Bの端部(下型12と反対側の端部)から成形素材Mの押圧方向に連続して設けられている。また、フランジ部113Bは、スリーブ13の内周面13aよりも外側に突出している。また、フランジ部113Bの上面は、上型11Bの上面11aを構成している。
フランジ部113Bの側面には、一対の保持ピン114が設けられている。この保持ピン114は、上型11Bの径方向外側に向かって延伸しており、プレス量規制部材14Bの外側に突出している。また、保持ピン114は、後記するように、成形素材Mの押圧前において、プレス量規制部材14Bの上面14cに当接しており、当該上面14cによって係止されている。
プレス量規制部材14Bは、上面14cから押圧方向に沿って、所定深さの一対の溝部142が設けられている。この溝部142の幅は、上型11Bの保持ピン114の径以上の幅に形成されている。
このような構成を備えるプレス量規制部材14Bは、型セット10Bがプレスステージ32にまだ搬送されていない状態では、上面14cに上型11Bの保持ピン114を接触させて当該保持ピン114を係止し、上型11Bおよび下型12のそれぞれの光学創生面111,121が離間した状態を保持する。
一方、プレス量規制部材14Bは、型セット10Bがプレスステージ32に搬送された後は、図7Aおよび図7Bに示すように、溝部142に保持ピン114を落下させて保持ピン114の係止を解除し、上型11Bおよび下型12の相対的な近接動を可能とする。
ここで、プレス量規制部材14Bは、前記したプレス量規制部材14と同様に、上型11B、下型12およびスリーブ13よりも線膨張係数が大きい材料で構成してもよく、あるいは上型11B、下型12およびスリーブ13と同じ材料で構成してもよい。
[型セットの作用(実施の形態3)]
以下、本実施の形態に係る型セット10Bの作用について、図1、図6A〜図8を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10Bを備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法を説明しながら、型セット10Bの作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。なお、本実施の形態における型組み付け工程、置換工程、冷却工程および取り出し工程は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以下、本実施の形態に係る型セット10Bの作用について、図1、図6A〜図8を参照しながら説明する。なお、以下では、型セット10Bを備える成形装置1を用いた光学素子Oの製造方法を説明しながら、型セット10Bの作用について説明する。光学素子Oの製造方法では、型組み付け工程と、置換工程と、加熱工程と、押圧工程と、冷却工程と、取り出し工程をこの順番で行う。なお、本実施の形態における型組み付け工程、置換工程、冷却工程および取り出し工程は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
(加熱工程)
加熱工程では、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Bを挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された上型11Bは、保持ピン114によってプレス量規制部材14Bの上面14cに支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
加熱工程では、加熱ステージ31において、例えば600℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Bを挟み、成形素材Mを加熱する。ここで、加熱ステージ31に搬送された上型11Bは、保持ピン114によってプレス量規制部材14Bの上面14cに支持されているため、成形素材Mとは非接触の状態である。
なお、加熱ステージ31における加熱温度は、例えば成形素材Mの歪点以上に設定してもよく、あるいは成形素材Mの転移点(Tg)付近に設定してもよい。本実施の形態では、一例として、加熱ステージ31における加熱温度を600℃に設定している。加熱工程では、型セット10Bの加熱が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10Bをプレスステージ32に搬送する。
(押圧工程)
押圧工程では、プレスステージ32において、例えば620℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Bを挟み、成形素材Mを押圧する本プレスを実施する。本工程では、本プレスの前に、まず図6Aおよび図7Aに示すように、上型11Bの保持ピン114に対して突き出しピン40を突き出し、上型11Bの保持ピン114を押す出すことにより、上型11Bを回転させる。これにより、図7Bに示すように、保持ピン114を、プレス量規制部材14Bの溝部142に落下させる。これにより、上型11Bが未保持状態となり、当該上型11Bによって成形素材Mを押圧可能な状態となる。
押圧工程では、プレスステージ32において、例えば620℃に加熱された上プレート34および下プレート35によって型セット10Bを挟み、成形素材Mを押圧する本プレスを実施する。本工程では、本プレスの前に、まず図6Aおよび図7Aに示すように、上型11Bの保持ピン114に対して突き出しピン40を突き出し、上型11Bの保持ピン114を押す出すことにより、上型11Bを回転させる。これにより、図7Bに示すように、保持ピン114を、プレス量規制部材14Bの溝部142に落下させる。これにより、上型11Bが未保持状態となり、当該上型11Bによって成形素材Mを押圧可能な状態となる。
未保持状態となった上型11Bは、図7Bに示すように、下型12に向かって落下し、成形素材Mに接触する。その際、成形素材Mが620℃まで加熱されているため、上型11Bは、実施の形態2よりも更に粘度が低い状態の成形素材Mに接触する。そのため、本実施の形態では、実施の形態2と比較して、上型11Bの接触による成形素材Mのキズが、より一層軽微なものとなるか、あるいはキズ自体の発生が抑制される。
押圧工程では、図8に示すように、上型11Bが未保持状態となった後に本プレスを実施し、上プレート34の下面がプレス量規制部材14Bの上面14cに当て付くまで押圧を行う。そして、成形素材Mの押圧が完了すると、図示しない搬送アームによって、型セット10Bを冷却ステージ33に搬送する。
以上説明したような型セット10Bによれば、実施の形態1,2と同様に、任意の形状の成形素材Mを成形することができ、かつ、加熱処理前における成形素材Mへのキズの発生を抑制することができる。
また、型セット10Bは、実施の形態1,2のように、プレス量規制部材14,14Aの熱膨張差によって上型11,11Aの保持を解除するのではなく、上型11Bの保持ピン114をプレス量規制部材14Bの溝部142に落下させることにより上型11Bの保持を解除するため、加熱工程における加熱条件を自由に設定することができる。従って、上型11Bを、実施の形態1,2よりも更に粘度の低い状態の成形素材Mに接触させることが可能となり、成形素材Mへのキズの発生がより一層抑制される。
以上、本発明に係る光学素子製造用型セットについて、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、型セット10,10Aでは、上型11,11Aのフランジ部113,113Aが本体部112,112Aの側周面112aの全周に亘って連続的に形成されていたが、本体部112,112Aの側周面112aの一部に間欠的に形成されていてもよい。
また、型セット10Aでは、プレス量規制部材14Aのフランジ部141が、プレス量規制部材14Aの内周面14aの全周に亘って連続的に形成されていたが、プレス量規制部材14Aの内周面14aの一部に間欠的に形成されていてもよい。
また、型セット10,10Aでは、プレス量規制部材14,14Aを、上型11,11A、下型12およびスリーブ13よりも線膨張係数が大きい材料で構成していたが、上型11,11A、下型12、スリーブ13、プレス量規制部材14,14Aを、全て線膨張係数が同じ材料で構成してもよい。この場合、例えば加熱工程において、プレス量規制部材14,14Aのみを集中的に加熱することにより、当該プレス量規制部材14,14Aとその他の部材との間に熱膨張量の差を持たせ、上型11,11Aの保持を解除する。
1 成形装置
10,10A,10B 光学素子製造用型セット(型セット)
11,11A,11B 上型(第一の金型)
11a 上面
111 光学創生面
112,112A,112B 本体部
112a 側周面
113,113A,113B フランジ部
113a,113Aa テーパ部
114 保持ピン
12 下型(第二の金型)
121 光学創生面
13 スリーブ
13a 内周面
13b 外周面
14,14A,14B プレス量規制部材
14a 内周面
14b テーパ部(保持部)
14c 上面
141 フランジ部(保持部)
141a テーパ部
142 溝部
20 置換室
21 チャンバ
30 成形室
301 入口シャッター
302 出口シャッター
31 加熱ステージ
32 プレスステージ
33 冷却ステージ
34 上プレート
35 下プレート
36 ヒータ
37 シャフト
38 加圧シリンダ
40 突き出しピン
M 成形素材
O 光学素子
10,10A,10B 光学素子製造用型セット(型セット)
11,11A,11B 上型(第一の金型)
11a 上面
111 光学創生面
112,112A,112B 本体部
112a 側周面
113,113A,113B フランジ部
113a,113Aa テーパ部
114 保持ピン
12 下型(第二の金型)
121 光学創生面
13 スリーブ
13a 内周面
13b 外周面
14,14A,14B プレス量規制部材
14a 内周面
14b テーパ部(保持部)
14c 上面
141 フランジ部(保持部)
141a テーパ部
142 溝部
20 置換室
21 チャンバ
30 成形室
301 入口シャッター
302 出口シャッター
31 加熱ステージ
32 プレスステージ
33 冷却ステージ
34 上プレート
35 下プレート
36 ヒータ
37 シャフト
38 加圧シリンダ
40 突き出しピン
M 成形素材
O 光学素子
Claims (5)
- 互いに対向する光学創生面を有する第一の金型および第二の金型と、
前記第一の金型および前記第二の金型の周囲に設けられた筒状のスリーブと、
前記スリーブの周囲に設けられた筒状のプレス量規制部材と、
を備える光学素子製造用型セットであって、
前記第一の金型は、
前記スリーブに挿入された本体部と、
前記スリーブの内周面よりも外側に突出したフランジ部と、
を有し、
前記プレス量規制部材は、
前記フランジ部と接触可能な保持部を有し、
前記光学素子製造用型セットが加熱されていない状態では、前記保持部を前記フランジ部に接触させて前記フランジ部を係止し、前記第一の金型および前記第二の金型のそれぞれの光学創生面が離間した状態を保持し、
前記光学素子製造用型セットが加熱されている状態では、前記保持部を前記フランジ部から離間させて前記フランジ部の係止を解除し、前記第一の金型および前記第二の金型の相対的な近接動を可能とすることを特徴とする光学素子製造用型セット。 - 前記プレス量規制部材は、前記光学素子製造用型セットが加熱されている状態において、熱膨張によって拡径することにより、前記保持部を前記フランジ部から離間させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子製造用型セット。
- 前記プレス量規制部材は、前記第一の金型、前記第二の金型および前記スリーブよりも線膨張係数が大きい材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子製造用型セット。
- 前記フランジ部および前記保持部の接触部は、それぞれテーパ状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学素子製造用型セット。
- 前記保持部は、前記プレス量規制部材の内周面よりも内側に突出したフランジ部からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学素子製造用型セット。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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