JP2018171592A - 界面活性剤 - Google Patents

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亜沙子 小笠原
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将虎 城籔
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啓 塩原
拓郎 木村
Takuro Kimura
拓郎 木村
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チ タオ
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
    • C08F2/22Emulsion polymerisation
    • C08F2/24Emulsion polymerisation with the aid of emulsifying agents

Abstract

【課題】化学的安定性及び樹脂フィルムの耐水性を向上する。
【解決手段】式(1)で表される反応性界面活性剤を含む界面活性剤。
Figure 2018171592

(Rは各々独立にベンジル基、フェニル−1−メチルメチレン基又はフェニル−1,1−ジメチルメチレン基;Dはアリル基、1−プロペニル基、イソブテニル基又は2−メチル−2−プロペニル基;m1及びm2は1又は2;AはC2〜10のアルキレン基;nは1〜100の整数)
【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、界面活性剤、及びそれを用いた樹脂水分散体の製造方法に関する。
従来、例えば乳化重合用乳化剤として用いられる界面活性剤としては、石けん類やドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤が利用されている。これらの乳化剤を用いたポリマーディスパージョンから得られたポリマーフィルムでは、使用した乳化剤が遊離の状態でポリマーフィルム中に残留するため、フィルムの耐水性、接着性が劣る等の問題点がある。そこで、上記の問題点の改善策として、共重合性の不飽和基を有する反応性界面活性剤が数多く提案されている(例えば、特許文献1,2)。
従来技術においては、共重合性の不飽和基としてアクリル基又はメタクリル基を有する反応性界面活性剤が提案されているが、モノマーとの共重合性に劣る場合があり、そのため、得られた樹脂フィルムの耐水性に劣る場合がある。
特開昭62−104802号公報 特開2002−301353号公報
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、化学的安定性が良好で、かつ樹脂フィルムの耐水性が良好な樹脂水分散体を与えることができる界面活性剤を提供することを目的とする。
本実施形態に係る界面活性剤は、下記一般式(1)で表される反応性界面活性剤を含むものである。
Figure 2018171592
式(1)中、Rは、以下に示す基から選択された1種又は2種の基を表し、Dは下記化学式D−1又はD−2のいずれかで表され、これらの式中のRは水素原子又はメチル基を表し、m1及びm2は平均値でそれぞれ1〜2であり、Aは炭素数2〜10のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し1〜100の数である。
Figure 2018171592
Figure 2018171592
本実施形態に係る樹脂水分散体の製造方法は、上記界面活性剤の存在下に重合性化合物を水中で重合するものである。
本実施形態によれば、化学的安定性が良好で、樹脂フィルムの耐水性に優れる樹脂水分散体を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[界面活性剤]
本実施形態に係る界面活性剤は、下記一般式(1)で表される反応性界面活性剤(A)を含むものである。反応性界面活性剤(A)は、重合性の不飽和基を持つ非イオン界面活性剤である。
Figure 2018171592
一般式(1)中、Dは、下記化学式D−1又はD−2のいずれかで表される重合性の不飽和基を表す。Dは、一分子中に複数含まれるとき、それらは相互に同一でも異なってもよい。また、反応性界面活性剤(A)全体としても、Dは全て同一でも、Dが異なる化合物の混合物でもよい。
Figure 2018171592
化学式D−1及びD−2におけるRは水素原子又はメチル基を表す。そのため、Dは具体的には、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、又は(メタ)アリル基を表す。Dとしては、これら1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、又は(メタ)アリル基がいずれか単独で存在していてもよく、混合物として存在していてもよい。好ましくは1−プロペニル基である。なお、(メタ)アリル基とは、アリル基及び/又はメタリル基を意味する。
基Dの置換基数m1は、反応性界面活性剤(A)全体の平均値で1〜2の範囲内である。m1は、耐水性の点から、1<m1<1.5であることが好ましい。化学式D−1及び化学式D−2でそれぞれ表される基は、両者のモル比である(D−1)/(D−2)の値が2より大きいことが好ましい。Dの置換位置は、オルト位及び/又はパラ位であることが好ましく、より好ましくはオルト位である。
一般式(1)中、Rは、以下に示す基から選択された1種又は2種の基を表す。Rは、一分子中に複数含まれるとき、それらは相互に同一でも異なってもよい。また、反応性界面活性剤(A)全体としても、Rは全て同一でも、Rが異なる化合物の混合物でもよい。
Figure 2018171592
基Rの置換基数m2は、反応性界面活性剤(A)全体の平均値で1〜2の範囲内である。m2は、1<m2<1.5であることが好ましい。上記m1とm2との数の合計は3以下であることが好ましく、より好ましくは、2<m1+m2<3である。Rの置換位置は、オルト位及び/又はパラ位であることが好ましい。
一般式(1)中のAは、炭素数2〜10のアルキレン基(即ち、アルカンジイル基)を表し、直鎖状でも分岐状でもよい。これらのうち、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。AOで表されるオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシジエチルメチレン基、オキシジプロピルメチレン基、オキシジイソプロピルメチレン基、オキシジブチルメチレン基などが挙げられる。一般式(1)における(AO)鎖部分は、例えば、炭素数2〜10のアルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(1,4−ブチレンオキサイド)等の1種又は2種以上を用いた付加重合体として形成することができる。オキシアルキレン基の付加形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイドを用いた単独付加体でもよく、2種類以上のアルキレンオキサイドを用いたランダム付加体、ブロック付加体、或いはそれらランダム付加とブロック付加の組み合わせでもよい。
上記オキシアルキレン基としてはオキシエチレン基が特に好ましい。2種類以上のオキシアルキレン基を選択する場合には、その1種類はオキシエチレン基であることが好ましい。(AO)鎖部分は、好ましくはオキシエチレン基を50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%含有する(ポリ)オキシアルキレン鎖である。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜100の範囲の数であり、好ましくは5〜80であり、更に好ましくは10〜50である。平均付加モル数を多くすることにより、機械的安定性を向上することができるので好ましい。
反応性界面活性剤(A)の製造方法は、特に限定されない。例えば、芳香環に置換基を有するフェノール誘導体とハロゲン化アリルを公知の方法で反応させ、その後、アルカリ存在下でクライゼン転位させることにより芳香環に重合性基を有するフェノール誘導体を得て、次いで、該フェノール誘導体にアルキレンオキサイドの付加を行うことにより、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。
一例としてスチレン化フェノールの1−プロペニル基導入について説明する。フェノール誘導体としてスチレン化フェノールを用いて、スチレン化フェノールとハロゲン化アリルを、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの塩基性物質とともに反応させる。これにより、アリルスチレン化フェニルエーテルが得られ、これをアルカリ存在下で加熱することにより、アリルスチレン化フェノールが得られる。この段階にて、ハロゲン化アリル及び塩基性物質の量を調整することにより、スチレン化フェノールに対しアリル基の1置換体や2置換体等を得ることができる。得られたアリルスチレン化フェノールを水酸化アルカリの存在下で加熱することにより、アリル基が1−プロペニル基に転位して(メタリル基から2−メチル−1−プロペニル基への転移についても同様)、プロペニルスチレン化フェノールが得られる。なお、反応条件によっては未転位のアリルスチレン化フェノールを混在させることもできる。該プロペニルスチレン化フェノールに、公知の方法で所定量のアルキレンオキシドを付加することにより、反応性界面活性剤(A)が得られる。アリル基から1−プロペニル基への転位反応とアルキレンオキシドの付加反応を一工程で行ってもよい。
本実施形態に係る界面活性剤は、反応性界面活性剤(A)のみからなるものでもよく、あるいはまた、反応性界面活性剤(A)と他の界面活性剤(B)からなる界面活性剤混合物でもよい。例えば、一実施形態に係る界面活性剤は、反応性界面活性剤(A)を含む非イオン界面活性剤を、50質量%以上含むものでもよく、85質量%以上含むものでもよく、95質量%以上含むものでもよく、該非イオン界面活性剤のみからなるものでもよい。一実施形態において、界面活性剤は、反応性界面活性剤(A)を50質量%以上含むものでもよく、60質量%以上含むものでもよく、70質量%以上含むものでもよい。反応性界面活性剤(A)の比率を大きくすることにより、低泡性及び耐水白化性を向上することができる。
本実施形態に係る界面活性剤は、他の界面活性剤(B)としてアニオン界面活性剤を含んでもよいが、好ましくはアニオン界面活性剤を含まないことである。実質的に非イオン界面活性剤のみで構成することにより、乳化重合により得られる樹脂水分散体において、化学的安定性をより向上することができる。また、樹脂水分散体におけるラテックス粒子の粒径が大きくなることにより、低粘度化や高濃度化が可能になるというメリットもある。
上記の他の界面活性剤(B)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテルなどの非イオン界面活性剤(B1)が好ましいものとして例示され、これらを1種又は2種以上用いてもよい。一実施形態として、重合性の不飽和基を有する非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシアルキレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル、及び/又は、ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテルを、他の非イオン界面活性剤(B1)として用いてもよい。
ここで、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数10〜18のアルキル基であることが好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルのアルケニル基は、炭素数16〜18のアルケニル基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテルのアルキル基は、炭素数10〜12のアルキル基であることが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルプロペニルフェニルエーテルのアルキル基は、炭素数8〜12のアルキル基であることが好ましい。
これらの他の非イオン界面活性剤(B1)の具体例におけるポリオキシアルキレン鎖について、オキシアルキレン基としては、炭素数2〜10のもの、好ましくは炭素数2〜4のもの、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などが挙げられ、好ましくはオキシエチレン基である。オキシアルキレン基の付加形態は特に限定されず、単独付加体でもよく、また2種以上のランダム付加体やブロック付加体でもよい。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、1〜100でもよく、5〜80でもよく、10〜50でもよい。また、ポリオキシアルキレン鎖は、オキシエチレン基を50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%含有することが好ましい。
一実施形態において、反応性界面活性剤(A)とともに他の非イオン界面活性剤(B1)を含む場合、両者の割合は、特に限定されず、例えば、質量比で、A/B1=5/5〜9/1でもよく、A/B1=6/4〜8/2でもよい。
本実施形態に係る界面活性剤は、従来の反応性界面活性剤が用いられる用途である乳化重合用乳化剤、懸濁重合用乳化剤、樹脂改質剤(撥水性向上、親水性調整、相溶性向上、帯電防止性向上、防曇性向上、耐水性向上、粘接着性向上、染色性向上、造膜性向上、耐候性向上、耐ブロッキング性向上等)、繊維加工助剤等に使用することができる。これらの中でも、乳化重合用乳化剤として用いることが特に好ましい。
[樹脂水分散体の製造方法]
本実施形態に係る樹脂水分散体の製造方法は、上記界面活性剤の存在下に重合性化合物(以下、モノマーという)を水中で重合するものである。重合方法は、乳化重合でも懸濁重合でもよい。以下、好ましい実施形態である乳化重合について詳細に説明する。
乳化重合を行う方法としては、公知の方法を特に限定なく用いることができ、モノマーの投入方法に基づいて分類される一括重合法、モノマー滴下法、エマルション滴下法、シード重合法、多段階重合法、パワーフィード重合法などから適宜選択することができる。
また、使用される重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等を使用できる。重合促進剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第1鉄アンモニウム等が使用できる。また、連鎖移動剤として、α−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素などを用いてもよい。
乳化重合に適用されるモノマーは特に限定されず、種々のものに適用可能である。例えば、(メタ)アクリレート系エマルション、スチレン系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、ハロゲン化オレフィン系エマルション、SBR(スチレン/ブタジエン)エマルション、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)エマルション、BR(ブタジエン)エマルション、IR(イソプレン)エマルション、NBR(アクリロニトリル/ブタジエン)エマルション等の樹脂水分散体の製造に使用でき、2種以上のモノマーを混合して乳化重合することもできる。
(メタ)アクリレート系エマルションを構成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの他、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルと、他のモノマー(例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ブタジエン、塩化ビニリデン、アリルアミン、ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸アルキロールアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル等)との併用が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
スチレン系エマルションのモノマーとしては、スチレン単独の他、スチレンと、他のモノマー(例えば、アクリロニトリル、ブタジエン、フマルニトリル、マレインニトリル、シアノアクリル酸エステル、酢酸フェニルビニル、クロロメチルスチレン、ジクロロスチレン、ビニルカルバゾール、N,N−ジフェニルアクリルアミド、メチルスチレン、マレイン酸等)との併用が挙げられる。
酢酸ビニル系エマルションのモノマーとしては、酢酸ビニル単独の他、酢酸ビニルと、他のモノマー(例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニリデン、シクロペンタジエン、クロトン酸、アクロレイン、アルキルビニルエーテル等)との併用が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系エマルションのモノマーとしては、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンの他、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンと、他のモノマー(例えば、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等)との併用が挙げられる。
本実施形態の界面活性剤の使用量は、モノマー100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
なお、乳化重合時の重合安定性を向上させる目的で、公知の保護コロイド剤を併用することができる。併用できる保護コロイド剤の一例としては、完全けん化ポリビニルアルコール(PVA)、部分けん化PVA、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
また、必要に応じて、分子量調整剤を使用してもよい。分子量調整剤としては、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等のメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド等のスルフィド類、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
上記乳化重合により得られた樹脂水分散体は、常法に従い、塗料や粘着剤としての塗膜形成や沈殿剤による固形ポリマーの回収に用いられる。すなわち、得られた樹脂水分散体を、常温下、或いは必要に応じて加熱により乾燥させることによりポリマーフィルムが得られる。また、沈殿剤として従来から使用されている酸や塩を添加し、撹拌して、ポリマーを凝集させ、ろ過等を行うことにより、固形ポリマーの回収を行うことができる。
本実施形態に係る樹脂水分散体は、例えば、粘着剤、接着剤、被覆剤、含浸補強剤等として、樹脂、金属、紙、木材、布の他、コンクリートなどに適用することができる。また、該樹脂水分散体、又はそれから取り出した固形ポリマーは、樹脂、ゴム、ポリマーの改質剤に使用することができる。
以下、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中「%」は特に記載がない限り質量基準である。また、構造式中、EOはオキシエチレン基を表す。
[製造例1:界面活性剤(a1)]
撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、スチレン化フェノール(モノスチレン化フェノール:ジスチレン化フェノール:トリスチレン化フェノール=72:27:1の混合物)230g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内温を40℃に昇温した。次にアリルクロライド91g(1.2モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行った。反応生成物を濾過し、副生したNaClを除去した後、減圧下にアセトンを除去し、アリルスチレン化フェニルエーテル314gを得た。このアリルスチレン化フェニルエーテルをオートクレーブに仕込み、200℃で5時間撹拌保持した。この段階で転位反応が起こり、2−アリルスチレン化フェノールとした。この2−アリルスチレン化フェノール290gをオートクレーブに移し、水酸化カリウムを触媒とし、圧力1.5kg/cm、温度130℃の条件にて、エチレンオキサイド440g(10モル)を付加させることにより、実施例に係る界面活性剤(A)として次式で表される化合物(界面活性剤(a1))を得た。このエチレンオキサイドの付加反応時に、アリル基は1−プロペニル基に定量的に変化した。
Figure 2018171592
[製造例2:界面活性剤(a2)]
エチレンオキサイドの量を440g(10モル)から1320g(30モル)に増やした他は、製造例1に準じて、次式で表される化合物(界面活性剤(a2))を得た。
Figure 2018171592
[製造例3:界面活性剤(a3)]
エチレンオキサイドの量を440g(10モル)から2200g(50モル)に増やした他は、製造例1に準じて、次式で表される化合物(界面活性剤(a3))を得た。
Figure 2018171592
[樹脂水分散体の調製例]
スチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸系ポリマーディスパージョンの調製
モノマーとしてスチレン50.00g、アクリル酸ブチル100.00g、アクリル酸2.5gを、下記表1に記載の乳化剤10.65g及びイオン交換水155.35gとともに、ホモミキサーで混合して混合モノマー乳濁液を調製した。これとは別に、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下漏斗を備えた反応器に、イオン交換水160.50g、炭酸水素ナトリウム0.25gを仕込んだ。滴下漏斗に上記事前調製した混合モノマー乳濁液のうち36gを仕込み、反応器に一括添加し、80℃に昇温させた。その後、15分間撹拌を継続した後に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水20gに溶解して加えて重合を開始させた。次いで、重合開始剤の添加15分後より3時間かけて、混合モノマー乳濁液の残り282.5gを滴下して重合させた。さらに、続けて2時間熟成した後、冷却してアンモニア水でpHを8に調整することによりポリマーディスパージョン(樹脂水分散体)を得た。
表1中の界面活性剤(b1)及び(c1)は以下の通りである。
・界面活性剤(b1):ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル、第一工業製薬(株)製「アクアロンKN−20」
・界面活性剤(c1):アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、(株)ADEKA社製「アデカリアソープER−20」
得られたポリマーディスパージョン及びポリマーフィルムについて、以下の評価試験を行った。その詳細結果を表1に示す。
[機械的安定性]
ポリマーディスパージョンの50gを秤取し、マーロン型試験機にて荷重10kg、回転数1,000rpmで5分間処理し、生成した凝集物を80メッシュの金網でろ過し、残渣を水洗後、105℃で2時間乾燥させ、ディスパージョンの固形分に対する質量%を求め、以下の基準に基づいて評価した。なお、本測定において凝集物量が少ないほど、高せん断条件下におけるポリマーディスパージョンの機械的安定性が高いことを意味する。
A:0.1質量%未満
B:0.1質量%以上0.3質量%未満
C:0.3質量%以上
[化学的安定性]
ポリマーディスパージョン10mLに6mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLを加え、25℃で5分間撹拌した後、200メッシュのろ布を用いてろ過した。続いて、残渣を水洗し、さらに105℃で2時間乾燥させた。得られた乾燥物の重量を測定し、使用したポリマーディスパージョンの固形分質量に対する割合(質量%)を算出し、下記の基準で評価した。なお、本測定において、乾燥物(凝集物)の割合が少ないほど、ポリマーディスパージョンの化学的安定性(耐電解質性)が高いことを意味する。
A:0.1質量%未満
B:0.1質量%以上0.5質量%未満
C:0.5質量%以上
[低泡性]
ポリマーディスパージョン20mLと水10mLを100mLのネスラー管に入れ、手振り(反転30回、1回/1秒)で起泡させ、静置5分後における泡の量(mL)を目視で測定し、以下の基準に基づいて評価した。
A:5mL未満
B:5mL以上10mL未満
C:10mL以上
[耐水白化試験]
ポリマーディスパージョンを市販のガラス板に膜厚120μm(dry)になるように塗布し、20℃×65%RHの雰囲気下で24時間乾燥させた。得られたポリマーフィルムを25℃のイオン交換水に浸漬し、16ポイントの印刷文字の上にガラス板を置き、ポリマーフィルムを通して文字を透かして見たときに、その文字が判別できなくなるまでの日数を測定した。その結果を、以下の基準に基づいて評価した。
A:7日以上
B:3日以上7日未満
C:3日未満
Figure 2018171592
表1に示すように、比較例1に係る反応性非イオン界面活性剤(c1)に対し、実施例に係る反応性非イオン界面活性剤(a1)〜(a3)では、ポリマーディスパージョンの機械的安定性及び低泡性に優れ、化学的安定性も維持されていた。また、ポリマーフィルムの耐水白化性にも優れていた。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される反応性界面活性剤を含む界面活性剤。
    Figure 2018171592
    式(1)中、Rは以下に示す基から選択された1種又は2種の基を表し、Dは下記化学式D−1又はD−2のいずれかで表され、これらの式中のRは水素原子又はメチル基を表し、m1及びm2は平均値でそれぞれ1〜2であり、Aは炭素数2〜10のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し1〜100の数である。
    Figure 2018171592
    Figure 2018171592
  2. 前記一般式(1)で表される反応性界面活性剤を含む非イオン界面活性剤を85質量%以上含む、請求項1に記載の界面活性剤。
  3. 乳化重合用乳化剤である、請求項1又は2に記載の界面活性剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の界面活性剤の存在下に重合性化合物を水中で重合する、樹脂水分散体の製造方法。
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