JP2018170266A - 二次電池用電解質および二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[3] [1]又は[2]に記載の二次電池用電解質を有するリチウムイオン二次電池。
図1は、本実施形態にかかるリチウム二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウム二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解質が、ケース50内に収容されている。
本実施形態にかかる二次電池用電解質((以下、単に「電解質」という。)は、リチウム塩と化学式(1)で表される化合物(A)とを含有することを特徴とする。
本実施形態におけるリチウム塩は、電解質中で解離してリチウムイオンを供給する電解質である。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、Li(C2O4)2、Li(C2O4)F2、LiN(SO2(CF2)pF)2(ただし、pは1〜5の整数を示す。)、FSO2N(Li)SO2F、FSO2N(Li)SO2CF3、CF3SO3Liおよび下記化合物(2)(ただし、qは1〜5の整数を示す。)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらのリチウム塩は、リチウムイオン二次電池用のリチウム塩として知られる化合物である。
リチウム塩は、LiN(SO2CF3)2(pが1である化合物)、LiN(SO2C2F5)2(pが2である化合物)、FSO2N(Li)SO2F、FSO2N(Li)SO2CF3、CF3SO3Li、LiPF6および化合物(2)(ただし、qは1〜5の整数を示す。)からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
本実施態様の化合物(A)は、下記化学式(1)で表される化合物である。
mは1〜10の整数である。化合物(A)は電子吸引性基であるホスホン酸ジエステル構造を有し、かつ、この電子吸引性基とグライム構造間の結合鎖を適正な長さにすることにより、本発明の電解質を用いた二次電池における4.4V以上でのサイクル特性を向上させうる化合物である。本発明の電解質においては、化合物(A)は、その一部又は全部が、リチウム塩と錯体を形成し、本発明の作用を発現していると考えられ、該作用が発現されるためには、mは1〜7の整数であることがより好ましく、2〜4の整数が更に好ましい。
無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
置換炭素数1〜6のアルコキシ基とは、置換基を有する炭素数1〜6のアルコキシ基である。この置換基は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではなく、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルアミノ基、炭素数6〜10のアリール基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、フェニル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
R3は水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましく、水素原子もしくはメチル基であることがより好ましい。
本実施態様の化合物(A)としては、上記化学式(1)で表される化合物であって、式中、nは2〜6の整数であり;mは3もしくは4の整数であり;R1、R2は、それぞれ独立してメトキシ基もしくはエトキシ基であり;R3は水素原子もしくはメチル基である化合物が特に好ましい。
前記リチウム塩の含有量が、前記化合物(A)に対して0.5〜3倍モルであることが好ましく、0.5〜2.0倍モルであることがより好ましく、0.8〜1.5倍モルであることが更に好ましい。かかる構成によれば、選択された濃度により解離性が良好となり、サイクル特性が改善される。
従来、電解質にグライム系溶媒(グライム分子を含む溶媒)を用いたリチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」という。)では、充電・放電を繰り返すとサイクル特性が低下することがあった。そこで、サイクル特性が低下する原因は、化学式(3)に示すように、単体のグライム分子とリチウム塩で形成したグライム-リチウム塩錯体において、グライム系溶媒が電極表面において電気的に酸化されて劣化することであると考えられる。式中の「X−」は、リチウム塩(LiX)由来のアニオンを表す。
しかしながら、強い電子吸引性のため、電子密度低下により配位能力低下し、リチウム塩の解離能が下がり、イオン伝導度が低下することになる。その結果、電池のインピーダンスが増大し、過電圧が増大する。それに伴い、電池のサイクル特性が低下する。
本発明の電解質は、該電解質が相分離しない範囲内であれば、前記リチウム塩、前記化合物(A)、以外にその他の溶媒が含まれていてもよい。
その他の溶媒としては、たとえば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、3−フルオロプロピルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等のカルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン等の環状エステル、プロパンサルトン等の環状スルホン酸エステル、スルホン酸アルキルエステル、リン酸アルキルエステル、ハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。
前記その他の溶媒の含有量は、該電解質に用いる全溶媒量を100体積%としたとき、10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましい。
また、本発明の電解質は、機能を向上させるために、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、たとえば、従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性およびサイクル特性を改善するための特性改善助剤が挙げられる。
電解質が過充電防止剤を含有する場合、電解質中の過充電防止剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。電解質に過充電防止剤を0.1質量%以上含有させることにより、過充電による二次電池の破裂・発火を抑制することがさらに容易になり、二次電池をより安定に使用できる。
電解質が特性改善助剤を含有する場合、電解質中の特性改善助剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。
(正極活物質層)
正極活物質層24は、正極活物質、正極用バインダー、及び、必要に応じた量の正極用導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質層24に用いる正極活物質26は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極用導電助剤は、正極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極活物質層)
負極は、負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質を有し、必要に応じて負極バインダーと負極用導電助剤とをさらに有する。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウム二次電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、SiOx(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極用導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極に用いるバインダーは正極と同様のものを使用できる。またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解質を密封するものである。ケース50は、電解質の外部への漏出や、外部からのリチウム二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解質と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
本実施形態にかかるリチウム二次電池100の製造方法について説明する。
なお、実施例1〜60に用いた化合物について、表1〜3および5に示した。具体的には、化学式(1)で表される化合物(A)としては、化合物No.と、化学式(1)のn、m、R1、R2、R3にそれぞれ該当する構造式を記載した。
(合成例1)
化合物No.1の合成方法を以下に示す。
化合物No.1と同様の方法で化合物No.2〜30、32〜45を合成した。それぞれの構造は表1〜表4に示す。
化合物No.31の合成方法を以下に示す。
二次電池のサイクル特性の評価を、以下に示す方法により行う。
LiCoO2正極−リチウム金属箔からなる単極セルのシート状二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.1Cに相当する定電流で4.4Vまで充電し、0.1Cに相当する定電流で3Vまで放電するサイクルを5サイクル行い、二次電池を安定させる。5サイクル目以降は、0.2Cの定電流で4.4Vまで充電し、さらに4.4Vの定電圧で電流値が0.02Cになるまで充電を行い、0.2Cの定電流で3Vまで放電するサイクルを繰り返し、一回目の放電容量に対する80サイクル目の放電容量の維持率を評価成績とする。
ただし、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
また、充電電圧を4.4Vから4.5Vとする条件についても、前述と同様のサイクル特性の評価を行う。
(実施例1)
<電解質の作製>
化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2とをモル比1:1で混合して電解質を作成した。
正極活物質としてLiCoO2(AGCセイミケミカル社製、商品名「セリオンC」)、正極導電助材としてカーボンブラック(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック」)、およびバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを準備した。これらを混合し、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状とし、該スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体上に均一に塗布した。正極活物質と導電材とバインダーの質量比は、95:2:3とした。塗布後に、溶媒は除去した。その後正極活物質層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極シートを作製した。
負極活物質として金属リチウムを用い、厚さ100μmの金属リチウム箔を銅箔からなる負極集電体上へ貼り付け、負極シートを作製した。
上記で作製した正極および負極と、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んでケースに入れ、このケースに、上記で調整した電解質を注入した後、真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
<二次電池のサイクル特性の評価>
前述の評価方法を用いて、充電電圧を4.4V、4.5Vとする条件について、サイクル特性の評価を行った。それぞれの評価結果を表1に示す。
合成例2〜42で得られた化合物No.2〜42をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に、実施例2〜42の電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表1〜表3に示す。
合成例1で得られた化合物No.1を用い、化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2との混合モル比は、化合物No.1に対してリチウム塩が0.45モル倍であること以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表3に示す。
合成例1で得られた化合物No.1を用い、化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2との混合モル比は、化合物No.1に対してリチウム塩が0.50モル倍であること以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表3に示す。
合成例1で得られた化合物No.1を用い、化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2との混合モル比は、化合物No.1に対してリチウム塩が2.00モル倍であること以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表3に示す。
合成例1で得られた化合物No.1を用い、化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2との混合モル比は、化合物No.1に対してリチウム塩が3.00モル倍であること以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表3に示す。
合成例1で得られた化合物No.1を用い、化合物No.1とリチウム塩であるLiN(SO2CF3)2との混合モル比は、化合物No.1に対してリチウム塩が3.50モル倍であること以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表3に示す。
化合物No.43〜45をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に、電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表4に示す。
下記化学式(9)〜(11)でそれぞれ表す化合物No.46〜48をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に、電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表4に示す。
合成例1で得られた化合物No.1と混合するリチウム塩として、表5に示すリチウム塩を用いたこと以外は、実施例1と同様に電解質を作製し、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表5に示す。
表5に示す正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様に、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたリチウムイオン二次電池を評価した。それぞれの結果を表5に示す。
表1〜5に示すように、本発明の化合物(A)を含む電解質を備える実施例1〜60の二次電池は、充電電圧4.4V、4.5Vの全ての条件において、比較例1〜6の二次電池よりもサイクル特性に優れる。
注2:上記化学式(10)で表す化合物No.47
注3:上記化学式(11)で表す化合物No.48
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