以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の警報器を詳細に説明する。図1には、本発明の一実施形態の警報器100の主要な構成要素がブロック図で概略的に示されている。また、図2Aおよび図2Bには、警報器100の外観の一例が、正面図および側面図で示されている。
図1に示されるように、本実施形態の警報器100は、電源部1と、少なくとも2つの状態を有し、警報器100の外部からの操作により状態を遷移させるスイッチ2と、電源部1からの電力の供給状態およびスイッチ2の状態に基づいて予め定められた処理を実行することにより警報器100の動作を全体的に制御する制御部4と、を備えている。警報器100は、周囲環境の変化を検知し、ユーザーなどに報知する。警報器100は、好ましくは、複数の動作モードを有し、各動作モードにおいて規定された手順に沿って動作する。そのため、警報器100は、さらに、警報器100の動作モードを設定する動作モード制御部3を備えている。動作モード制御部3は、少なくとも、電源部1から警報器100の内部回路への電力供給開始および再開時における動作モードを設定する。警報器100は、さらに、制御部4にそれぞれ接続されている検知部6および報知部7を備えている。また、本実施形態の警報器100は、制御部4および動作モード制御部3に接続されている記憶装置8を備えている。そして、本実施形態の警報器100では、制御部4は、スイッチ2が所定の第1状態から第1状態と異なる所定の第2状態へと切り換えられたときに所定の第1処理を実行するように構成されている。制御部4は、さらに、スイッチ2が第1状態にされたまま電源部1からの電力供給が停止された場合は、電源部1からの電力供給が再開されたときに前述の所定の第1処理と異なる所定の第2処理を実行するようにも構成されている。
電源部1は、動作モード制御部3や、制御部4などの警報器100の内部回路に電力を供給する。図1では、電源部1以外の構成要素間の接続が明瞭となるように、電源部1と他の構成要素との接続を示す線が図示されていないが、電源部1は、動作モード制御部3や制御部4などの電力供給を要する各構成要素に接続されている。電源部1は、商用電源からの電力を供給してもよいし、乾電池などの一次電池やバッテリなどの二次電池を備え、これらの電池に蓄えられている電力を供給するものでもよい。商用電源からの電力を供給する場合、電源部1は、商用電源に接続される電源プラグ1aを備えていてもよい。電源部1は、たとえば、商用電源から供給される交流電力を所望の電圧の直流電力に変換するインバータや、警報器100内の消費電流が変動する場合でも一定の電圧を供給するように備えられる電圧レギュレータなどによって構成され得る。また、電池電圧の低下を検出する電圧検出器や電流リミッタなどを含んでいてもよい。
検知部6は、主に、警報器100の周囲の監視対象領域の物理現象を監視して監視データを出力する各種のセンサから構成される。各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素(CO)ガス、メタンガス(CH4)またはプロパンガス(C3H8)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、または煙センサ、臭気センサなどであってよく、1つまたは複数個のセンサで検知部6が構成されていてもよい。検知部6は制御部4によってその動作が制御され得る。
報知部7は、たとえば、発光ダイオード、ブザーおよび/またはスピーカーなどの、ユーザーなどへの報知手段により構成され、光の放射、鳴動、および/または音響を発することにより警報を発する。また、報知部7は、警報を発する以外にも、警報器100の状態や、警報を発するに至らない監視領域の環境に関する情報をユーザーなどに伝えるために動作してもよい。
記憶装置8は、半導体メモリや、磁気ディスクまたは光ディスクなどの任意の記憶媒体により構成され、特に、電源部1からの電力供給が停止されても記憶内容を保持し得る不揮発性メモリで構成される。記憶装置8は、マイコンなどの内部のフラッシュメモリであってもよい。たとえば、記憶装置8は、SRAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリである。記憶装置8には、少なくとも、スイッチ2に対する操作に関する情報が記憶される。
スイッチ2は、少なくとも2つの状態をとり得る、動作モード制御部3および制御部4に対する入力手段である。スイッチ2は、たとえば、ユーザーなどに直接操作される、押しボタン式やトグル式またはスライド式などの任意の回路開閉器である。その場合、スイッチ2は、回路を閉じている状態(たとえば第1状態)と、回路を開放している状態(たとえば第2状態)との2つの状態を有し得る。たとえば、スイッチ2の一端である第1端子が動作モード制御部3および制御部4に接続され、他端である第2端子が、グランドラインに接続される。その場合、スイッチ2が第1状態にあるときには、動作モード制御部3および制御部4にグランド電位が入力される。そして、スイッチ2が第2状態にある場合は、動作モード制御部3および制御部4のスイッチ2に接続されている端子は開放状態となる。
スイッチ2は、たとえば、外部からの操作が継続している間だけ特定の状態をとり得る自動復帰型のスイッチであってもよい。ユーザーは、操作することによって、たとえば第1状態に切り替えることができ、単に操作を止めるだけで、第1状態と異なる状態(第2状態)に切り替えることができる。スイッチ2が自動復帰型のスイッチである場合、前述の所定の第1状態は、外部からの操作が継続しているときのスイッチ2の状態であることが好ましい。後述のように、制御部4は、スイッチ2が第1状態に切り替えられてから第2状態に切り替えられるまでの時間に応じて、実行する処理を選択し得る。スイッチ2への操作が継続しているときの状態が所定の第1状態として扱われると、ユーザーなどは、一度の操作と、その操作を単にやめるだけで、その間の時間に応じた異なる種類の動作の実行を警報器に指示することができる。自動復帰型のスイッチとしては、押圧される操作部を備える、所謂タクティールスイッチが例示される。ユーザーは単に操作部を押すことと、操作部から手を離すこととによってスイッチ2の2つの状態を切り換えることができる。
また、スイッチ2は、ユーザーなどの間接的な操作によって状態を遷移させるものでもよい。たとえば、スイッチ2は、警報器100に設けられたスイッチ2以外の入力手段(図示せず)の操作に応じて出力レベルを変化させる任意の回路素子などであってもよい。その場合、スイッチ2は、スイッチ2を構成する回路素子が、たとえば論理値としてのLoレベルを出力する状態と、Hiレベルを出力する状態との2つの状態をとり得る。また、スイッチ2は、このような他の入力手段の操作に応じて記憶内容を変化させる記憶素子などであってもよい。たとえば、4ビットの容量の記憶素子は、「0000」から、「1111」までの24個の状態をとり得る。スイッチ2がこのような記憶素子である場合、スイッチ2は、動作モード制御部3などからの要求に応じて、他の入力手段の操作に応じて保持している記憶内容を動作モード制御部3などに対して出力してもよい。
スイッチ2は、警報器100に自己点検の実施を指示するためにユーザーなどに操作される点検スイッチであってもよい。すなわち、制御部4が、スイッチ2の状態の変化に応じて所定の点検手順が規定された点検プログラムを実行するように構成されていてもよい。たとえば、制御部4は、検知部6や報知部7に点検用の信号を送信し、検知部6や報知部7から適切な応答があるか否かを判断し、報知部7などを動作させることによってその判断結果をユーザーなどに知らせる。制御部4は、複数の点検プログラムを有していてもよく、スイッチ2が所定の状態を維持する時間に応じて、実行する点検プログラムを選択してもよい。この点については、図7Bなどを参照して後述する。
動作モード制御部3は警報器100の動作モードを設定する。動作モード制御部3は、電力供給の停止時におけるスイッチ2の状態に基づいて、その後の電力供給の再開時の警報器100の動作モードを設定してもよい。換言すると、動作モード制御部3は、電源部1からの電力供給が一旦停止された後の、電力供給の再開時の警報器の動作モードを、電力供給の再開時のスイッチ2の状態だけでなく、その電力供給の再開前に行われた電力供給の停止時のスイッチ2の状態に基づいて設定してもよい。
制御部4は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有し、警報器100の動作を全体的に制御する。すなわち、制御部4は、通常の監視モードにおいて、検出部6による周囲環境の監視から、報知部7による異常の報知にいたる動作を全体的に制御する。制御部4は、たとえば、市販のマイコンやASICなどの半導体装置などを含み、内蔵されたプログラムに沿って動作するように構成されている。また、制御部4は、動作モード制御部3によって設定される警報器100の動作モードに従って、内蔵されたプログラムのうちから実行すべきプログラムを選択し、選択したプログラムに規定された処理を実行するように構成されている。さらに、制御部4は、スイッチ2の状態の変化に応じて所定の処理を実行する。たとえば、制御部4は、スイッチ2の状態の変化に基づく入力信号に応じた出力信号を出力するように構成された、個々の半導体装置などからなる電気回路を有していてもよく、スイッチ2の状態に応じた処理を規定するプログラムに沿って動作するように構成されていてもよい。そのような処理の一部として、制御部4は、前述のように、スイッチ2が所定の第1状態から所定の第2状態へと切り換えられたときに所定の第1処理を実行する。さらに、そのような処理の一部として、制御部4は、スイッチ2が第1状態にされたまま電源部1からの電力供給が停止され、その後、電源部1からの電力供給が再開されたときには、第1処理と異なる所定の第2処理を実行する。
このように、本実施形態では、スイッチ2が現時点でとり得る(少なくとも2種類の動作の指示が可能な)たとえば2つの状態だけでなく、スイッチ2の過去の時点(電力供給の再開時の前の電力供給の停止時)の状態も、警報器100に特定の動作を指示するために用いられ得る。すなわち、本実施形態によれば、最も少ない場合で単に2つの状態しかとり得ないスイッチ2を、電力供給の開始および停止の操作と組み合わせることで、警報器100に対する少なくとも2つよりも多い種類の動作や処理の実行を指示するために利用することができる。多くのスイッチを警報器に設けることが困難な場合でも、ユーザーなどが、多様な種類の処理の実行を警報器に指示することができる。
動作モード制御部3は、制御部4と同様に、演算機能や比較機能を有し、たとえば、市販のマイコンやASICなどの半導体装置などにより構成され得る。たとえば、動作モード制御部3は、マイコンなどに内蔵されたプログラムに規定された手順を実行することにより、電力供給の開始(再開)時における警報器100の動作モードを設定する。動作モード制御部3および制御部4は、同一の半導体装置内の異なる構成要素によって構成されてもよく、1つの半導体装置の構成要素が、ある時間枠において動作モード制御部3として機能し、別の時間枠で制御部4として機能してもよい。
動作モード制御部3は、電力供給の再開時に、記憶装置8に書き込まれている情報を参照してもよい。前述のように、記憶装置8は、不揮発性メモリによって構成され、記憶装置8には、少なくともスイッチ2に対する操作に関する情報が記憶される。従って、記憶装置8の記憶内容を参照することにより、過去のスイッチ2の状態を識別することができる。動作モード制御部3は、記憶装置8の記憶内容を参照することにより、以前の電力供給における電力供給の停止時のスイッチ2の状態を識別するように構成されていてもよい。そして、その知り得たスイッチ2の状態に基づいて、電力供給の再開時の警報器100の動作モードを、所定の動作モードに設定してもよい。たとえば、動作モード制御部3は、電源部1からの電力供給の停止時にスイッチ2が所定の第1状態にある場合に、電力供給の再開時の動作モードを、制御部4によって所定の第1処理が実行される所定の動作モードに設定するように構成されてもよい。
なお、「所定の第1状態」は、たとえば、スイッチ2が前述の回路開閉器で構成されている場合、回路が閉じられている状態であってもよく、その場合、回路が開放されている状態が「所定の第2状態」であってもよい。或いは、「所定の第1状態」が、回路が開放されている状態であってもよく、その場合、回路が閉じられている状態が「所定の第2状態」であってもよい。また、スイッチ2がデジタル回路の回路素子である場合、「所定の第1状態」は、Loを出力する状態であってもよく、その場合、Hiを出力する状態が「所定の第2状態」であってもよい。或いは、「所定の第1状態」が、Hiを出力する状態であってもよく、その場合、Loを出力する状態が「所定の第2状態」であってもよい。また、スイッチ2が、2つより多い状態を取り得る場合も、任意の状態が「所定の第1状態」であってもよく、互いに異なるその他の状態が、それぞれ、「所定の第2状態」、「第3状態」、・・・、「第n状態」であってもよい。スイッチ2のどのような状態を「所定の第1状態」、「所定の第2状態」、「第3状態」、・・・、「第n状態」として扱うかは、動作モード制御部3や制御部4が実行する手順を規定するプログラムに記述され得る。
警報器100がとり得る動作モードとしては、通常の周囲環境の監視モードの他、前述の警報器100の自己点検モード、検知部6や報知部7を所定の状態に設定する状態設定モード、および、ユーザーによる付加の選択が可能なように備えられる特定の報知機能の付加と解除とを切り換える機能付加切換モードなどが例示される。また、警報器100は、外部機器(たとえば、図3に示される外部機器200)との通信機能を有していてもよく、警報器100は、とり得る動作モードとして、外部機器との通信の準備モード、および、実際に外部機器との通信を行う通信モードなどを有していてもよい。通常の監視モード以外のこれらの動作モードは、それぞれ、通常の監視モードと時間的に分離して警報器100に対して設定されてもよく、監視モードと共に同じ時間枠で並行して設定されてもよい。
なお、通信の「準備モード」は、警報器100と外部機器との間で行われる通信に用いられる通信規格に応じて設けられる動作モードであり、伝送されるべき情報の送受信の前に必要となる処理および/または設定を行うモードである。たとえば、通信の「準備モード」は、特定の通信機器との回線(リンク)の設定、信頼性の高い無線通信を行うために必要な相手方の機器に対する認証処理や各機器内での相手方の機器の登録処理、および/または、相手方の機器の状態などに応じた各機器内の状態設定などが行われるモードである。通信の「準備モード」において、互いのID番号や暗号化キーの交換が行われてもよい。たとえば、警報器100がBluetooth(登録商標)を用いて通信を行う場合には、通信の「準備モード」において所謂ペアリングが行われる。
「所定の第1処理」および「所定の第2処理」は、それぞれ、警報器100において実行される任意の処理のうちの1つもしくは一連の処理であり、「所定の第1処理」および「所定の第2処理」は互いに異なる処理である。警報器100において実行される任意の処理としては、前述のような警報器100の自己点検の実施、ユーザーによる選択が可能なように備えられているオプション機能の付加と解除との切換え、前述のように警報器100が通信機能を有している場合の通信の準備モードにおける外部機器との間の回線の設定やペアリング、通信回線の接続状態の確認および報知、および、警報作動下における警報の停止、などが例示される。しかし、警報器100において実行される任意の処理は、これらに限定されない。警報器100において実行されるいずれの処理が、「所定の第1処理」であってもよく「所定の第1処理」以外のいずれの処理が「所定の第2処理」であってもよい。
なお、警報器100の自己点検において点検される事項は任意であり、たとえば、検知部6の各センサ機能の点検であってもよく、音声や光を発することによる、ガス漏れや、異常な温湿度もしくは乾燥状態についての報知機能の点検であってもよく、外部の機器との通信機能の点検であってもよい。また、「ユーザーによる選択が可能なように備えられているオプション機能」も任意であり、たとえば、検知部6の各センサの検出性能の維持などの面から警報器100に使用期限が設定されている場合に、その使用期限が近付いていることをユーザーに知らせる機能、温湿度の検知結果に基づいてユーザーに換気や水分補給、または、空調設備の作動もしくは停止などを音声や光を用いて促す機能、などであってもよい。
図2Aおよび図2Bに示されるように、警報器100は、略直方体状に形成されている筐体101を有し得る。筐体101内に、図1に示される各構成要素が収められ得る。筐体101の材料は特に限定されないが、筐体101は、たとえば、難燃性の合成樹脂によって形成され得る。筐体101には、警報器100が通電状態であることや、外部環境が異常状態にあることを視覚的に報知する表示部71、および、筐体101内で発せられた警報音などを放出する放音部72が設けられている。表示部71や放音部72は、前述の報知部7による報知機能を担っている。警報器100が有し得る筐体101の形状は、図2Aおよび図2Bに示される形状に限定されるものではなく、警報器100は、全体として略直方体以外の形状であってもよい。
筐体101には、さらに、警報器100のユーザーなどに操作される操作部2aが備えられている。操作部2aは、筐体101における、表示部71などが設けられる正面F側から押下され得るように、筐体101に設けられている。本実施形態の警報器100が図2Aおよび図2Bに示される筐体101を有する場合、操作部2aが押下されることにより、前述のスイッチ2の状態が切り替えられてもよい。図2Aおよび図2Bに示される筐体101を有する警報器100では、ユーザーは、電力供給の再開時の前の電力供給の停止時に、操作部2aを押下することによりスイッチ2の状態を所定の状態(たとえば第1状態)に遷移させることができる。ユーザーは、そのようにスイッチ2を所定の状態にすることによって、電力供給の再開時に制御部4に所定の第2処理を実行させることができる。また、ユーザーは、操作部2aの押下を止めることによってスイッチ2の状態を第1状態から第2状態へと切り替えることができる。ユーザーは、そのようにスイッチ2の状態を切り換えることによって、制御部4に所定の第1処理を実行させることができる。たとえば、操作部2aを一旦押下し、その押下を止めることによって、ユーザーは、第2処理として、制御部4に警報器100の点検を実施させることができる。
図2Aおよび図2Bは、電源部1(図1参照)が、商用電源を供給する警報器100の例を示している。そのため、筐体101の、図2Aおよび図2B上、下側の端面から延びる電源コードによって、電源プラグ1aが、筐体101内に収容されている電源部1の他の構成要素と接続されている。警報器100では、所定の第2処理が実行され得る電力供給の再開時における電力供給の再開、およびこの再開時の前の電力供給の停止が、電源プラグ1aの商用電源のコンセントへの挿抜により行われてもよい。また、別途電源スイッチなどが設けられて、電力の供給および停止が、その電源スイッチの操作によって切り替えられるようにしてもよい。なお、電源プラグ1aの商用電源のコンセントへの挿抜により電力供給の開始と停止が行われる方が、別途電源スイッチなどが設けられて、電力の供給と停止とがその電源スイッチの操作によって安易に切り換えられ得る場合よりも、ユーザーの誤操作によって意図せずに所定の第2処理が実行されるのを少なくすることができる。また、警報器100が電池式の警報器であり、電源部1が電池を備える場合には、電池の装着によって電力供給の「開始」が行われてもよい。この場合、電源部1からの電力供給の「停止」は、電池の取り外しによって行われてもよい。
図3には、図2Aに示される筐体101を有し、前述のように通信機能を有する本実施形態の警報器100が、通信回線Cで接続されている外部機器200と共に示されている。外部機器200としては、警報器100の検知対象である都市ガスまたはLPGの使用量を計量するガスメータに配される無線通信機や、警報器100が備えていない検知対象(たとえば二酸化炭素など)を検知する機能を有する外部の検知器などが例示される。たとえば、前述の通信の準備モード中に、警報器100と外部機器200との間での通信に必要な互いの認証処理などが行われ、通信回線Cが設定される。その後、伝送されるべき情報が、通信回線Cを介して警報器100と外部機器200との間で送受信される。たとえば、外部機器200がガス管の閉栓が可能なガスメータに配される無線通信機である場合、警報器100は、ガス漏れを検知したときに、通信回線Cを介してガス管の閉栓を外部機器200に指示してもよい。また、外部機器200が外部の検知器である場合、警報器100は、通信回線Cを介して外部機器200から検知結果を受信し、必要に応じて警報を発してもよい。なお、警報器100は、通信機能を有する場合、通信の準備モードにおいて必要な処理や設定を行い、警報器100内の信号と通信可能な信号との間の相互変換を実施して外部機器200との間で信号を送受信する通信部(図示せず)を備えていてもよい。
つぎに、本実施形態の警報器100の動作を図4および図5を参照しながら説明する。図4には、本実施形態の警報器100の動作の一例を示すフローチャートが示されている。なお、図4は、2つよりも多い状態をとり得るスイッチ2を備える警報器100の動作の例を示している。
図4に示されるように、警報器100では、電源部1(図1参照)からの電力供給が開始または再開される(ステップS0)と、前回(ステップS0での電力供給開始前)の電力供給の停止時に、スイッチ2(図1参照)が所定の第1状態にあったかどうかが判断される(ステップS1)。この判断方法については後述する。なお、以下の説明では、「電力供給の開始」は電力供給の再開の意味も含む用語として用いられている。
ステップS1の判断が肯定的(ステップS1で“Y”、以下、肯定的判断結果は、単に「Y」とも称される)であると、動作モード制御部3(図1参照)は、警報器100を第1動作モード、たとえば、外部機器との通信の準備モードに設定する(ステップS2)。そして、制御部4(図1参照)によって、第1動作モードにおいて実行することが規定されている所定の第2処理が実行される(ステップS3)。たとえば、第1動作モードが通信の準備モードである場合、第2処理として、外部機器との回線設定(外部機器との縁組動作)やBluetooth(登録商標)におけるペアリングなどが行なわれる。
ステップS1の判断が否定的(ステップS1で“N”、以下、否定的判断結果は、単に「N」とも称される)である場合、図4の例では、前回の電力供給の停止時に、スイッチ2が、第1状態と異なる所定の第2状態にあったかどうかが判断される(ステップS1A)。ステップS1Aの判断結果が「Y」であった場合、ステップS4において、スイッチ2が現時点で、すなわち、電力供給の再開時に、第1状態にあるかどうかが判断される。ステップS4の判断が「Y」の場合、制御部4によって、所定の処理(第3処理)が実行される(ステップS5)。図4の例では、第3処理は、電力供給の停止時にスイッチ2が第2状態にあり、かつ、電力供給の再開時にスイッチ2が第1状態にあるときに実行される。第3処理は、前述の説明において列挙された、警報器100において実行される任意の処理のうちの1つもしくは一連の処理である。たとえば、第3処理は、警報器100の使用期限が近付いていることをユーザーに知らせる機能の付加と解除との切り換え処理であってもよい。
図4の例では、ステップS1AまたはステップS4の判断が「N」の場合、ステップS5は実行されずに、警報器100の制御はステップS6Aへと進む。ステップS6Aにおいて、記憶装置8(図1参照)の所定の記憶領域の記憶内容が消去される。この目的や作用は後述される。
電力供給の開始または再開(以下、特にいずれかに限定する必要が無い場合は、電力供給の開始または再開は、単に「開始など」や「開始(再開)」とも記述される)に伴う処理はステップS7で終了し、その後、警報器100は、通常の監視モードで動作する。なお、周囲環境の監視が行われる監視モードは、電力供給の開始などに伴って第1動作モードなどの他の動作モードと並行して設定されてもよい。また、第1動作モードなどのような電力供給の開始などに伴って設定される動作モードの終了後に警報器100が監視モードに移行されてもよい。
本実施形態では、後述のように、その後のステップにおいて、スイッチ2が第1状態へと遷移することによって処理内容が変化する。一方、スイッチ2は、電力供給の開始時には、任意の状態をとり得る。図4は、電力供給の開始時に既にスイッチ2が第1状態にある場合は、電力供給の開始後にスイッチ2が第1状態に遷移した場合と同様に扱わない場合の例を示しており、ステップS6Bで、スイッチ2が第1状態にあるかどうかが判断される。ステップS6Bの判断結果が「Y」の場合は、ループA0でステップS6Bが繰り返される。すなわち、電力供給の開始時にスイッチ2が第1状態にある場合は、スイッチ2が、一旦、第1状態以外の状態に操作されるまでステップS6Bが繰り返される。また、このステップS6Bの反復中に電力供給が停止された場合には、その後の電力供給の再開時に意図せずに第2処理が実行されることがないように、ステップS6Bの前に記憶装置8の内容が消去されている(ステップS6A)。電力供給の開始時に既にスイッチ2が第1状態にあった場合も電力供給の開始後に第1状態に遷移された場合と同様に扱う場合は、ステップS6Bの判断結果が「Y」のときに、警報器100の制御は、後述のステップS10に移される。なお、前述のように、警報器100の周囲環境の監視は、ステップS6Bの反復中も実施され得る。
ステップS6Bの判断結果が「N」の場合、スイッチ2の状態が記憶装置8に書き込まれ(ステップS7)、その後、さらに、スイッチ2の状態が遷移したかどうかが判断される(ステップS8)。ステップS8の判断結果が「N」の場合は、ループA1でステップS8が繰り返される。ステップS8の判断結果が「Y」である場合、さらに、ステップS9でスイッチ2が第1状態にあるかどうかが判断される。ステップS9の判断結果が「N」の場合は、ステップS7に戻ってスイッチ2の状態が記憶装置8に書き込まれる。一方、ステップS9の判断結果が「Y」の場合は、ステップS10でスイッチ2の状態が記憶装置8に書き込まれ、ステップS11で、さらにスイッチ2が遷移したかどうか、すなわち、第1状態から第1状態以外の状態へ遷移したかどうかが判断される。要するに、ステップS8で、スイッチ2が遷移したと判断されると、いずれの状態に遷移した場合でも、その遷移後のスイッチ2の状態が記憶装置8に書き込まれる。ステップS7を経た後の記憶装置8には、常にスイッチ2の現時点の状態が書き込まれている。そして、スイッチ2が第1状態に遷移した場合だけ、警報器100の制御はステップS11に進められる。
ステップS11の判断結果が「N」の場合は、ループA2でステップS11が繰り返される。ステップS11の判断結果が「Y」である場合、さらに、ステップS12でスイッチ2が第2状態にあるかどうかが判断される。ステップS12の判断結果が「N」の場合は、ステップS7に戻ってスイッチ2の状態が記憶装置8に書き込まれる。一方、ステップS12の判断結果が「Y」の場合、すなわち、スイッチ2が第1状態から第2状態へと切り替えられた場合は、所定の第1処理が制御部4によって実行される(ステップS13)。たとえば、警報器100の点検が実行される。その後、ループBで警報器100の制御はステップS7に戻される。
このように、ステップS7およびS10で、その時点におけるスイッチ2の状態が記憶装置8に記憶される。スイッチ2の状態の遷移に応じてその遷移後の状態を記憶しながら、電源部1からの電力供給が停止されるまで警報器100の動作が継続される。ステップS7、S9、S10、S12およびS13での処理は警報器100の内部の動作なので極めて短時間に行われる。従って、電力供給の停止という人為的な操作は、現実的には、ステップS8またはステップS11の反復中に行われる。ステップS8またはステップS11の反復中に電力供給が停止されたときには、不揮発性メモリによって構成される記憶装置8内に、電力供給の停止時のスイッチ2の状態が書き込まれている。動作モード制御部3や制御部4は、前述のステップS1やステップS1Aで、この記憶装置8の所定の記憶領域に書き込まれている情報を参照することによって、電力供給の再開時の前の電力供給の停止時のスイッチ2の状態を判断することができる。
スイッチ2が、第1状態と第2状態との2つの状態だけを取り得る場合は、図4に例示されるフローチャートに沿って制御される本実施形態の警報器100は、具体的に、図5に例示されるフローチャートに沿って制御されてもよい。図5に示される例では、ステップS1で、前回(ステップS0での電力供給の開始前)の電力供給の停止時に、スイッチ2が所定の第1状態にないと判断されると、前回の電力供給の停止時にスイッチ2が所定の第2状態にあったと判断され得るので、図4におけるステップS1Aは省略され、ステップS4が実行される。図4の例と同様に、ステップS1およびS4それぞれの判断結果に応じて、ステップS2およびS3、もしくは、S5が実行されるか、または、これらのステップが実行されずに警報器100の制御がステップS6Aに進められる。
図5は、スイッチ2が、第1状態と第2状態との2つの状態だけを取り得る場合の例であるため、図4のステップS7およびステップS10のように、スイッチ2の状態そのものが記憶装置8に記憶される必要はない。すなわち、図5のステップS10およびステップS11Aのように、単に所定の内容の書き込み、およびその消去が、記憶装置8の所定の記憶領域に対して行われるだけでもよい。まず、ステップS3、S4またはS5の実行後、記憶装置8の所定の記憶領域の記憶内容が消去され(ステップS6A)、ステップS6Bで、スイッチ2が現時点で第1状態にあるかどうかが判断される。ステップS6Bの判断結果が「Y」の場合、すなわち、スイッチ2が、一旦第2状態へと操作されることなく電力供給の開始時から第1状態にある場合は、ループA0でステップS6Bが繰り返される。ステップS6Bでの判断結果が「N」の場合、すなわち、スイッチ2がステップS6Bの時点で第2状態にある場合は、ステップS8において、引き続き、スイッチ2の状態が監視される。ステップS8で、スイッチ2が遷移、すなわち第1状態へと遷移したと判断されると、記憶装置8の所定の記憶領域(ステップS6Aで記憶内容が消去された記憶領域)に所定の内容(たとえば“1”)が書き込まれる(ステップS10)。ステップS8での判断が「N」の場合、ループA1で、ステップS8が繰り返される。
その後もスイッチ2の監視は継続され(ステップS11)、ステップS11での判断が「N」の場合、ループA2でステップS11が繰り返される。スイッチ2が遷移した、すなわち、第1状態から第2状態に遷移したと判断されると(ステップS11の判断結果が「Y」)、記憶装置8の所定の記憶領域の記憶内容が消去される(ステップS11A)。そして、制御部4によって所定の第1処理、たとえば警報器100の点検などが実行される(ステップS13)。そしてループBで警報器100の制御はステップS8に戻される。
ステップS10、S11AおよびS13での処理は警報器100の内部の動作なので極めて短時間に行われる。従って、電力供給の停止という人為的な操作は、現実的には、ステップS8またはステップS11の反復中に行われる。ステップS8の反復中に電力供給が停止された場合は、その停止時にスイッチ2は第1状態以外の状態、すなわち第2状態にあり、かつ、記憶装置8の所定の領域には所定の内容は書き込まれていない。一方、ステップS11の反復中に電力供給が停止された場合は、その停止時にスイッチ2は第1状態にあり、記憶装置8の所定の領域には所定の内容が書き込まれている。従って、動作モード制御部3および制御部4は、電力供給の再開時に、ステップS1において、記憶装置8の所定の記憶領域を参照することにより、直前の電力供給の停止時にスイッチ2が第1状態にあったかどうかを判断することができる。
つぎに、本発明の他の実施形態の警報器について、図6、図7Aおよび図7Bを参照して説明する。図6には、他の実施形態の一例の警報器110の主要な構成要素がブロック図で概略的に示されている。図7Aおよび図7Bには、警報器110の動作の一例を示すフローチャートが示されている。
図6に示されるように、本実施形態の警報器110は、制御部4が、タイマ回路4aを備えている点で、前述の一実施形態の警報器100と異なっている。また、図6に示される例では、動作モード制御部3は第2タイマ回路3aを含んでいる。これらを除いて、警報器110の主要な構成要素は前述の一実施形態の警報器100の構成要素と同様である。警報器100の構成要素と同様の構成要素については、図6に同じ符号が付され、その説明は適宜省略される。
タイマ回路4aは、少なくとも、スイッチ2が所定の第1状態以外の状態から所定の第1状態に切り換えられたときからの経過時間をカウントする。また、第2タイマ回路3aは、電力供給の開始時からの経過時間をカウントする。タイマ回路4aおよび第2タイマ回路3aは、制御部4や動作モード制御部3を構成するマイコンなどに備えられている計時機能を有する機能ブロックであってもよく、マイコンなどと別に備えられるカウンタICなどであってもよく、個々のゲート素子などを組み合わせて形成されたクロックカウンタなどであってもよい。タイマ回路4aおよび第2タイマ回路3aは、特定の時点からの経過時間をカウントできるものであれば、これらに限定されない。なお、タイマ回路4aおよび第2タイマ回路3aは、図6の例と異なり、制御部4や動作モード制御部3と別個に設けられてもよく、タイマ回路4aおよび第2タイマ回路3aが同一の回路素子などを共用していてもよい。
本実施形態では、制御部4は、スイッチ2が所定の第1状態から所定の第2状態へと切り換えられたときに第1処理として実行する処理を、タイマ回路4aによってカウントされる経過時間に基づいて、すなわち、スイッチ2が第1状態以外の状態から第1状態へと切り換えられたときからの経過時間に基づいて選択するように構成されている。1つのスイッチ2の操作だけで、スイッチ2が第1状態にある時間に応じて設定された複数種類の処理それぞれについて、その実行を警報器100に指示することができる。
また、制御部4は、スイッチ2が第1状態以外の状態から第1状態へと切り換えられたときからの経過時間が所定の制限時間(以下、第1制限時間ともいう)を超過した後に、スイッチ2が第1状態から第2状態に切り換えられたときには、所定の第1処理を実行しないように構成されてもよい。たとえば、床付近の壁面などに設置された警報器110の前に何らかの物品が一定時間放置され、押しボタン式のスイッチ2がその物品によって押し込まれた場合などに、意図せずに第1処理が実行されるのが防がれ得る。特に、スイッチ2が、前述のような自動復帰型のスイッチであり、操作されているときの状態が第1状態として扱われる場合、警報器に対する正規の操作手順として長時間の継続的なスイッチ操作を強いることは少ないので、第1状態を一定時間以上維持したあとの第2状態への切り換わりの際には、何らの処理もしないことが好ましいことがある。
さらに、制御部4は、スイッチ2が第1状態以外の状態から第1状態へと切り換えられたときからの経過時間が前述の第1制限時間を経過した後でも、スイッチ2が第1状態を維持する場合であって、電力供給の停止時にスイッチ2が第1状態にある場合は、一旦停止された電源部1からの電力供給が再開されたときに所定の第2処理を実行するように構成されていてもよい。スイッチ2の操作と電力供給の停止という2つの操作が組み合わされているため、意図せずに第2処理が実行される可能性は低く、むしろ、スイッチ2の操作と電力供給の停止とを短時間のうちに行うことが困難な場合に有益である。
また、図6の例では、動作モード制御部3は、第2タイマ回路3aを用いることによって、電力供給の開始時から所定の時間(PT1)内にスイッチ2が所定の第1状態へと操作されたときだけ、電力供給の再開時の動作モードを所定の動作モードに設定するように構成されていてもよい。そして、その所定の動作モードにおける特定の処理として、所定の第2処理が実行されてもよい。
図7Aおよび7Bを参照して、警報器110の動作について説明する。なお、図7Aおよび図7Bは、図5と同様に、第1および第2の状態の2つの状態だけをとり得るスイッチ2を備える警報器110の動作の一例を示している。
図7Aおよび図7Bに示される警報器110の動作の例では、ステップS1において、電力供給の開始からスイッチ2の第1状態への遷移までの時間が判断基準に含まれている点、ステップS0A、S8A、S10A、S13A〜S13FおよびS14を含んでいる点が、前述の図5に示される例と異なっている。主にこれらのステップについて、以下に説明する。なお、図7A中の結合子Iは図7B中の結合子Iに繋がり、図7B中の結合子IIは図7A中の結合子IIに繋がっている。
図7Aに示されるように、電力供給が開始(再開)されると、まず、ステップS0Aで、第2タイマ回路3aがリセットされ、すなわち、第2タイマ回路3aがカウント値ゼロの状態に設定され、第2タイマ回路3aのカウント動作がスタートする。第2タイマ回路3aによる、電力供給開始後の経過時間の計時が開始される。
ステップS1で、前回の電力供給の開始から所定の時間内にスイッチ2が第1状態へと操作され、かつ、電力供給の停止時にスイッチ2が第1状態にあったかどうかが判断される。前回の電力供給中には、スイッチ2が電力供給の開始から所定の時間以内に第1状態へと遷移されたときに所定の内容が記憶装置8の所定の記憶領域に書き込まれる。従って、動作モード制御部3や制御部4は、記憶装置8を参照することによってステップS1における判断をすることができる。記憶装置8への所定の内容の書き込みについて、以下に説明する。
前述の図5の例と同様に、ステップS8にて、スイッチ2の状態が監視され、スイッチ2が遷移した、すなわち、第1状態へと遷移したと判断されると、ステップS8Aで、第2タイマ回路3aによって計時された時間が所定の時間PT1以内であるかどうかが判断される。「所定の時間PT1」には、任意の時間が設定され得る。そして、ステップS8Aでの判断結果が「Y」の場合だけ、記憶装置8の所定の記憶領域に所定の内容(たとえば“1”)が書き込まれる(ステップS10)。図7Bの例では、ステップS10Aにてタイマ回路4aがスタートされる。この点については、ステップS13A〜S13FおよびS14と共に後述する。
その後もスイッチ2の監視は継続され(ステップS11)、スイッチ2が遷移した、すなわち、第2状態に遷移したと判断されると、記憶装置8の所定の領域の記憶内容が消去される(ステップS11A)。そして、ステップS13A〜S13FおよびS14を経て、警報器110の制御はステップS8に戻される。ステップS8およびステップS11での判断が「N」の場合、ループA1またはループA2でステップS8またはステップS11がそれぞれ繰り返される。
前述の図5に示される例と同様に、電力供給の停止は、現実的には、ステップS8またはステップS11の反復中に行われる。ステップS8の反復中に電力供給が停止されたときは、記憶装置8の所定の領域には所定の内容は書き込まれていない。一方、ステップS11の反復中に電力供給が停止されたときは、その停止時にスイッチ2は第1状態にあり、そして、電力供給の開始から所定の時間以内にスイッチ2が第1状態に遷移したときだけ、記憶装置8の所定の領域に所定の内容が書き込まれている。従って、動作モード制御部3や制御部4は、電力供給の再開時に、記憶装置8の所定の記憶領域を参照することによって、直前の電力供給の開始から所定の時間内にスイッチ2が第1状態へと操作され、かつ、電力供給の停止時にスイッチ2が第1状態にあったかどうかを判断することができる。
なお、図7Bに示されるステップS8Aは省略されてもよい。ステップS8Aの代わりに、たとえば、ステップS8でスイッチ2が第1状態に遷移したと判断されたときに、その時点で第2タイマ回路3aによって計時されている、電力供給の開始時からの経過時間が記憶装置8に記憶されてもよい。この場合、動作モード制御部3や制御部4は、記憶装置8に記憶されている経過時間、および前述の所定の記憶領域の記憶内容に基づいて、ステップS1での判断を適切に行うことができる。
前述のように、図6、図7Aおよび図7Bに示される例では、警報器110はタイマ回路4aを備えており、ステップS10A、S13A〜S13FおよびS14が実行される。図7Aおよび図7Bに示されるように、ステップS8でスイッチ2が第1状態に遷移したと判断されると、ステップS10Aにて、タイマ回路4aのカウント動作がスタートする。すなわち、スイッチ2が第1状態へと操作されてからの経過時間がタイマ回路4aによって計時される。
そして、ステップS11でスイッチ2が第2状態に遷移したと判断されると、スイッチ2が第1状態に遷移してから第2状態に遷移するまでの時間に応じた処理が、制御部4によって実行される。すなわち、ステップS13A〜S13Cにおいて、タイマ回路4aによって計時された経過時間が、所定の時間PT21〜PT23と順次比較される。なお、図7Bの例において、所定の時間PT21〜PT23は、PT21<PT22<PT23である。ステップS13Aの判断結果が「Y」の場合、制御部4は第1処理として所定の処理Aを実行する(ステップS13D)。ステップS13Aでの判断結果が「N」で、ステップS13Bの判断結果が「Y」の場合、制御部4は第1処理として所定の処理Bを実行する(ステップS13E)、ステップS13Bでの判断結果が「N」で、ステップS13Cの判断結果が「Y」の場合、制御部4は第1処理として所定の処理Cを実行する(ステップS13F)。このように、制御部4は、第1処理として実行する処理をタイマ回路4aによってカウントされる経過時間に基づいて選択するように構成されていてもよい。
ステップS13D〜S13Fのいずれかでの所定の処理の実行後、タイマ回路4aがカウント値ゼロの状態にリセットされる(ステップS14)。図7Bの例では、ステップS13Cの判断結果が「N」の場合は、更なる処理が行われることなく、ステップS14でタイマ回路4aがリセットされる。すなわち、前述の第1制限時間として設けられている所定の時間PT23より長くスイッチ2が第1状態を維持している場合は、その後にスイッチ2が第2状態に遷移しても特定の処理は実施されない。このように、制御部4は、スイッチ2が第1状態へと切り換えられたときからの経過時間が所定の制限時間(第1制限時間)を超過した後にスイッチ2が第2状態に切り換えられたときには第1処理を実行しないように構成されてもよい。
また、制御部4は、ステップS1で、前回の電力供給の開始から所定の時間内にスイッチ2が第1状態へと操作され、かつ、電力供給の停止時にスイッチ2が第1状態にあったと判断されると、所定の第2処理を実行する。ステップS1の判断は、たとえば、記憶装置8の所定の記憶領域の記憶内容を参照することによって為され得る。記憶装置8の所定の記憶領域には、スイッチ2が第1状態へと切り換えられたときからの経過時間に応じて何らかの情報が書き込まれることも無ければ、その記憶内容が消去されることも無い。制御部4は、スイッチ2が第1状態へと切り換えられたときからの経過時間に関係なく、所定の第2処理を実行し得る。このように、制御部4は、スイッチ2が第1状態へと切り換えられたときからの経過時間が所定の制限時間(第1制限時間)を経過した後でも、スイッチ2が第1状態を維持する場合には、一旦停止された電源部1からの電力供給が再開されたときに第2処理を実行するように構成されていてもよい。
ステップS14の終了後、警報器110の制御はステップS8に戻される。図7Bは、所定の時間として3つの時間が規定されている例であるが、3つ以外の数の所定の時間が規定され、各所定の時間に対してタイマ回路4aによって計時された経過時間が比較され、そして、その経過時間に応じて、第1処理として予め定められた処理が実行されてもよい。
タイマ回路4aによって計時された経過時間、すなわち、スイッチ2が第1状態を維持していた時間に応じてステップS13Dなどで実施される所定の処理としては、前述のような警報器の点検が例示される。たとえば、前述の処理Aが、各センサ機能の点検の実施であってもよく、処理Bが、音声を発することによる、ガス漏れや温湿度についての報知機能の点検の実施であってもよく、処理Cが、オプション機能として設けられている乾燥についての警報機能の付加と解除との切換処理であってもよい。スイッチ2が第1状態を維持していた時間に応じて第1処理として実行される処理は任意であり、これらに限定されない。
なお、図6、図7Aおよび図7Bは、本実施形態の警報器の一例である警報器110のブロック図や、その動作の一例のフローチャートに過ぎず、たとえば、本実施形態の警報器は、たとえば第2タイマ回路3aを含んでいなくてもよく、ステップS0AおよびステップS8Aが実行されなくてもよく、ステップS1において、電力供給の開始からスイッチ2の第1状態への遷移までの時間が判断基準に含まれていなくてもよい。
さらに、実施形態の警報器100、110は、図4、5、7Aおよび7Bそれぞれに示されたフローチャート中の各ステップの一部が省略された処理フローで動作してもよい。たとえば、各図中のステップS1A、S4およびS5が省略されてもよい。すなわち、警報器100、110では、スイッチ2が所定の第1状態に遷移し、その後、第1状態と異なる状態(第2状態)に遷移した時に、第1処理として警報器100の自己点検が実施され、スイッチ2が第1状態にあるまま電源部1からの電力供給が停止されたときは、その後の電力供給の再開時に、第2処理として、外部機器200との縁組動作が実行されてもよい。すなわち、スイッチ2は、少なくとも、警報器100、110に点検実施を指示するためのスイッチであり、かつ、縁組動作実施を指示するために用いられ得るスイッチである。また、電力供給の停止時にスイッチ2が第2状態にあった場合は、電力供給の再開時には、第2処理は実施されずに、警報器100、110の制御がステップS6A(図4など参照)に移行してもよい。
ここで、スイッチ2は、外部からの操作が継続している間だけ閉状態をとり得る自動復帰型の押しボタン式回路開閉器であってもよく、所定の第1状態はスイッチ2の閉状態であり、第2状態は開状態であってもよい。また、電力供給の停止および開始(再開)は、電源プラグのコンセントへの挿抜により行われてもよい。従って、電力の供給中にスイッチ2が押下された状態で電源プラグがコンセントから抜かれ、再度コンセントに差し込まれた場合に、警報器100、110において縁組動作が実行されてもよい。縁組動作において、外部機器200と警報器100、110との間で、パケット交換が行われ、相手方の機器の認証や登録処理が行われてもよい。
また、他の実施形態の警報器110のように、スイッチ2が閉状態にされている時間に応じて、第1処理として異なる種類の点検動作が実施されてもよく、スイッチ2が所定の時間より長く閉状態であった場合には、その後にスイッチ2が開状態に遷移しても、第1処理が行われなくてもよい。しかし、そのようにスイッチ2が所定の時間を越えて閉状態にされ続けた場合でも、スイッチ2が第1状態にあるまま電力供給が停止された場合は、その後の電力供給の再開時に警報器100、110において縁組が実行されてもよい。
以上のように、実施形態の警報器によれば、たとえば1つのスイッチを介して、ユーザーなどが、多様な種類の処理の実行を警報器に指示することができる。すなわち、スイッチは、そもそも単独で操作されることによって、前述のように、自己点検の実施や、警報発動時のブザーなどの鳴動の停止、および、オプション機能の付加や解除などを指示するために用いられ得るが、前述の各実施形態によれば、さらに、電力供給の開始および停止とスイッチの操作とを組み合わせることで、より多様な動作や処理をスイッチの操作によって警報器に指示することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。