次に、本発明の警報器について、具体的な構成例を示す図1〜11を参照しながら説明する。本発明の警報器の一実施形態は、図1および図2に、概略のブロック図、および表示部の不具合検出に関連する部分の回路の一例が示されるように、所定の電圧VBATで電力を供給する電源21と、電源21からの通電によって駆動され、監視領域の異常を検出するセンサにより主に構成される検出部3と、電源21からの通電によって表示状態が設定される表示部4と、表示部4の表示状態を決定し、表示部4への通電を制御することにより表示状態を設定する表示制御手段51を有する制御部5とを有している。さらに、本実施形態の警報器1は、表示部4への通電電圧の変化に基づいて表示部4の断線およびショートのいずれか、または、両方の不具合が検出され得る検出動作を行うように構成された不具合検出手段14と、外部から操作し得るように設けられる外部操作手段12とを備えている。そして、本実施形態では、不具合検出手段14により表示部4の不具合が検出される場合は、少なくとも外部操作手段12が操作されたときに表示部4の不具合が報知されるように構成されている。
また、本実施形態では、図1に示されるように、表示制御手段51と表示部4との間にスイッチ手段11が接続されている。スイッチ手段11は、表示制御手段51によりオン/オフ動作が制御され、それにより、表示部4と電源部2およびグランド電位との接続および遮断が切り替えられ、表示部4への電源21からの通電が制御される。また、不具合検出手段14は、表示部4とスイッチ手段11との間の通電経路に接続され、スイッチ手段11を介して電源部2から表示部4に印加される通電電圧の変化に基づいて、表示部4の断線やショートといった不具合の検出動作を行う。そして、本実施形態の警報器1は、故障報知手段16を有しており、不具合検出手段14により不具合が検出されるときは、たとえばユーザーなどによる外部操作手段12の操作に応じて、不具合状態にあることが故障報知手段16により報知される。
電源21は、たとえば、乾電池などの一次電池やリチウムイオン電池などの二次電池であってよく、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータなどであってもよい。本実施形態では、図2に示されるように、電源21に抵抗R1の一端が接続され、さらに抵抗R1の他端とグランド電位との間にコンデンサ22が接続されて電源部2が構成され、電源21の電力が抵抗R1を介して電圧Vddでスイッチ手段11に供給される。
コンデンサ22は、電源21の電力を蓄える蓄電手段として設けられており、たとえば、電源21が電池であり、電池残量の表示用に、前述の非通電で表示状態が維持される表示器が表示部4に用いられる場合には、図2に示されるように電源21からの電源供給ラインとグランド電位との間に設けられるのが好ましい。たとえば、電池が脱落したり、ユーザーにより電源スイッチなどが操作されて電池からの電源供給が遮断されたりしたときに、電池からの電力供給が無い状態でも、コンデンサ22に蓄えられた電力により、表示部4の表示を電池からの電力供給が無いことを示す表示に変えることができるからである。本実施形態では、後述のように、抵抗R1が設けられることによるコンデンサ22の充放電を利用し、表示部4への通電電圧の変化に基づいて、表示部4の断線やショートの不具合が検出される。すなわち、本実施形態の警報器1では、表示部4の断線やショートの検出とは関係なく他の目的で用いられる部品(コンデンサ22)を、表示部4の不具合検出のための部品として兼用することができる。このように本実施形態の警報器1は、少ない追加部品で表示部4の不具合の検出を可能にするものである。
検出部3は、前述のように、主に、警報器1の周囲の監視対象領域の物理現象を監視して監視データを出力する各種のセンサから構成される。各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素(CO)ガス、メタンガス(CH4)またはプロパンガス(C3H8)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、または煙センサ、臭気センサなどであってよく、1つまたは複数個のセンサで検出部3が構成されていてもよい。検出部3は制御部5によってその動作が制御されてよく、また、検出部3から出力される監視データは、制御部5に送られ、警報器1の周囲の環境が異常状態にあるか否かが判断され、制御部5の制御に基づいて、発光ダイオード、ブザー、スピーカーなどの警報手段により警報が発せられるように構成されてよい。なお、このような警報手段は、後述の異常検出手段19による異常検出対象となる電気部材であってよい。各種のセンサから構成される検出部3による周囲環境の監視から、異常の警報にいたる動作は、従来のこの種の警報器と同じであるため、その詳細の説明は省略する。
制御部5は、好ましくは、入力信号の演算処理機能、基準値との比較機能、および各入力データ、演算結果や比較結果などの記憶機能などを有し、主に、市販のマイコンやASICなどの半導体装置で構成され、内蔵されたプログラムに沿って動作するように構成されていてよい。制御部5には、このようなマイコンなどの他に、EEPROMなどの記憶素子や、トランジスタやダイオードなどの個別半導体素子、抵抗やコンデンサなどの受動素子を含んでいてもよい。本実施形態では、制御部5は、スイッチ手段11のオン/オフを制御する表示制御手段51および後述する正規表示操作手段52を含んでいる。また、図2に示されるように、不具合検出手段14を含んでいてもよい。
表示制御手段51は、表示部4の表示状態を決定し、スイッチ手段11のオン/オフを制御することにより、決定した表示状態に表示部4が設定されるように表示部4への通電を制御する。たとえば、表示制御手段51は、電源21の出力電圧VBATの大きさに応じて、表示部4の表示状態を決定するように構成されてよい。すなわち、電圧VBATが所定の値よりも大きいときに表示部4を第1の表示状態に設定し、所定の値よりも小さいとき、もしくは、たとえば電源21が電池である場合に電池がセットされていないときには第2の表示状態に設定するように構成されてよい。この場合、表示制御手段51、スイッチ手段11および表示部4は、所定の電圧を下回る電源21の電圧低下もしくは電源21が電池である場合の電池の脱落などの検知手段として機能し得る。図1には、表示制御手段51が、このような検知手段を構成する場合の例が示されており、表示制御手段51は、電源21の出力電圧VBATで電力を供給する電源部2の電源供給ラインに接続されている。
なお、表示制御手段51は、表示部4が前述の非通電で表示状態が維持され得るタイプの表示器である場合は、表示状態の変更が必要な場合だけ表示部4への通電を行うように構成されてよい。たとえば、表示部4が電源21の出力電圧VBATの大きさに応じて表示部4の表示状態を決定するように構成されている場合、出力電圧VBATが、所定の閾値電圧以下に転じたとき、および、所定の閾値以上に復帰したときに表示状態の変更が必要と判断し、そのように判断したときだけ表示部4に通電を行うように構成されてよい。
また、表示制御手段51は、表示部4の変更が必要か否かに関係なく、不具合検出手段14による表示部4の不具合の検出動作に必要な通電を行うためにスイッチ手段11を制御するように構成されてもよい。
表示制御手段51は、電源21の電圧の低下などに基づいて表示部4の通電を制御する場合、たとえば、所定の閾値電圧を発生させる基準電圧源もしくは閾値電圧が記録された記憶素子、この閾値電圧と電源21の電圧とを比較する比較回路、および、この比較回路による比較結果に基づいて、スイッチ手段11の駆動信号を出力する出力回路などで構成され得る。制御部5に市販のマイコンなどが用いられる場合は、表示制御手段51は、マイコンなどに内蔵される素子により構成されてよい。しかしながら、表示制御手段51は、電源21の電圧に基づいて表示部4の表示状態を制御するものでなくてもよく、たとえば、警報を発するほどのガス漏れや煙発生などの異常はないが、その予兆があることなどが表示部4により表示されるように、各センサなどからの監視データに基づいて、表示部4の表示状態を制御するように構成されてもよい。
本実施形態では、スイッチ手段11のオンおよびオフ動作により、表示部4と、電源部2およびグランド電位との間の電気的な接続と遮断とが切り替えられる。スイッチ手段11のオン動作とオフ動作とは、前述のように表示制御手段51からの駆動信号により制御される。スイッチ手段11は、たとえば、3つの端子を有し、そのうち2つの端子の電気的な接続および分離が残りの1つの端子への入力信号により制御される電気回路の開閉素子である。スイッチ手段11は、表示部4への通電が適切に行われ得る程度に低い抵抗値で2つの端子が接続され、かつ、通電が確実に停止される程度に高い絶縁抵抗で2つの端子が絶縁されるものであれば特に限定されず、電磁リレーなどが用いられてよく、好ましくは小型で制御も容易な電界効果型トランジスタ(FET)や接続型トランジスタなどのような半導体素子が用いられる。
図2には、スイッチ手段11に4つの電界効果型トランジスタが用いられる例が示されている。表示部4は2つの通電端子S1、S2を有しており、第1通電端子S1は、P型トランジスタQ1およびN型トランジスタQ2それぞれのドレインに接続されており、第2通電端子S2は、P型トランジスタQ3およびN型トランジスタQ4それぞれのドレインに接続されている。P型トランジスタQ1、Q3それぞれのソースは、電池21から抵抗R1を介して電圧Vddで電力を供給する電源ラインに接続されている。また、N型トランジスタQ2、Q4それぞれのソースは、グランド電位に接続されている。そして、トランジスタQ1〜Q4のゲートは、それぞれ表示制御手段51に接続されている。これにより、トランジスタQ1〜Q4を介した電源21から表示部4への通電が、表示制御手段51により制御され得る。なお、抵抗R4〜R7がトランジスタQ1〜Q4のゲート−ソース間にそれぞれ接続されていることにより、表示制御手段51の出力が不定(ハイインピーダンス)の場合でも、トランジスタQ1〜Q4が安定してオフ状態に保たれる。
図2に示される例では、表示部4の第1通電端子S1とグランド電位との間に抵抗R2および抵抗R3が直列に接続され、抵抗R2と抵抗R3との接続点が不具合検出手段14に接続されている。これにより、第1通電端子S1の電圧が、不具合検出手段14、(制御部5に不具合検出手段14が含まれている図2の例では)具体的には制御部5の許容入力電圧範囲以下に分圧されて不具合検出手段14に入力される。
不具合検出手段14は、図1および図2に示される例では、表示部4の第1通電端子S1の電圧の変化に基づいて表示部4の断線および/またはショートといった不具合を検出するように構成されており、たとえば、第1通電端子S1の電圧が抵抗R2およびR3によって分圧された値と所定の閾値とを所定のタイミングで比較することにより表示部4の不具合を検出する。従って、所定の閾値電圧を発生する1つまたは複数の基準電圧源もしくは閾値が記録される記憶素子、および比較回路、ならびに、所定のタイミングまでの時間をカウントするタイマー回路などにより主に構成することができる。従って、前述の表示制御手段51と同様に、制御部5の主要部分を構成し得るマイコンなどに内蔵される回路素子によって構成することができる。このため、不具合検出手段14は、図2に示されるように、制御部5内に含められ得る。なお、表示制御手段51、スイッチ手段11および不具合検出手段14による表示部4の不具合検出動作については、後述する。
図1に示されるように、本実施形態の警報器1には、故障報知手段16が接続されており、たとえば、不具合検出手段14が表示部4に不具合があると判定した場合に、故障報知手段16により、不具合が生じていることが報知される。故障報知手段16は、後述のように、警報器1内の表示部4以外の部分の異常が異常検出手段19により検出されたことを報知するように構成されていてもよい。故障報知手段16は、ユーザーなどが感知可能な音や光を生成したり、外観を変化させたりできるものであれば特に限定されず、ユーザーの視覚により故障情報が認識される各種ランプや発光ダイオードなどの燈火装置、または、液晶もしくは有機ELを用いたディスプレイ装置などの故障表示手段であってよく、また、このような表示手段と、ブザーやスピーカーなどの音声発生装置とが組み合わされて用いられてもよい。好ましくは、故障表示手段には、消費電力の少ない発光ダイオードが用いられる。
外部操作手段12は、ユーザーなどが警報器1を外部から操作できるように警報器1の筐体91(図3参照)などの一部に設けられ、所定の電圧や電気信号を入力したり、制御部5の電気回路の一部を接地したりできるように制御部5に電気的に接続されている。外部操作手段12が設けられることにより、ユーザーが警報器1に所望のタイミングで所望の特定の動作をさせることが可能となる。外部操作手段12は、このように機能し得るものであれば、その具体的な構成は特に限定されず、たとえば、図3に示されるような押しボタン式やスライド式などのスイッチ類であってよく、多少複雑な情報入力も可能なように幾つかのキーを備えたキーボード、または、タッチパネル式のディスプレイなどであってもよい。
また、外部操作手段12が設けられる目的も、表示部4の不具合の報知を指示するためだけでなく、警報器1に他の動作について指示する目的も併せ持つようにされてもよい。たとえば、外部操作手段12が操作されるのに応じて、後述する異常検出手段19により外部操作手段12の操作以前に行われた表示部4以外の部分の異常検出動作の結果が併せて表示されるように構成されてもよく、或いは、外部操作手段12が操作されるのに応じて不具合検出手段14による表示部4の不具合検出動作および/または異常検出手段19による異常検出動作が行われ、それらの結果が、それぞれ報知されるように構成されてもよい。
表示部4は、通電されることにより表示状態が設定される表示器により主に構成され、たとえば、前述の故障報知手段16に用いられる表示手段と同様に、各種ランプや発光ダイオードなどの燈火装置やディスプレイ装置で構成されてよい。しかしながら、後述のように、本実施形態の表示部4の不具合検出動作には、表示部4への通電とその停止とが伴うため、表示部4は、通電により一度設定された表示状態が、通電が停止されても維持され得るタイプの表示器であることが好ましい。また、そのようなタイプの表示器は、常時通電される必要がないため通常は非通電の状態で用いられ、そのため不具合が顕在化し難いので、本実施形態のように、容易に不具合が検出され得る構成とされるのが好ましい。常時通電されないという点では、検出部3によりガス漏れなどの周囲環境の異常が検出されたときのみ通電されるLEDやブザーおよびスピーカーなどの警報手段も非通電式の表示器と同様であり、従って、表示部4に加えて、これらの警報手段に、本実施形態の不具合検出手段14がスイッチ手段11と共に適用されてもよい。
通電により一旦設定された表示状態が通電終了後も維持され得る非通電式の表示器としては、磁気反転素子を用いた表示器が例示され、本実施形態の表示部4も、このようなタイプの市販の表示器により構成されてよい。磁気反転素子を用いる表示器40は、たとえば図10に示されるように、鉄心44と共に電磁石46を構成するコイル45に設けられた端子(図10に示される例ではセット端子45a、コモン端子45b、およびリセット端子45c)のうちのいずれか2つの間に電流を流すことにより、N極とS極とを有するディスク41が、コイル45内の電流の向きで定まる電磁石46の端部の極性に応じて回転し、表裏いずれかの面を視認側(たとえばコイル45の側と反対側)に向けて停止するように構成されている。鉄心44には、比較的残留磁化の大きい材料が用いられ、一旦コイル45への通電が行われてディスク41の所望の面が視認側に向けられれば、通電を要することなく磁力によりその状態を維持するように構成されている。
図10に例示される磁気反転素子を用いる表示器40は、図11に示されるように、永久磁石41cのN極とS極とが両端に位置するように形成されたディスク41が回転軸42に固定されてなる表示部材43と、ディスク41を挟むように鉄心44の両端部が位置するように設けられると共に、その鉄心44にコイル45が巻回された電磁石46、とにより構成されている。このディスク41の両面は、たとえば第1面が橙色にされて第1の表示41aとされ、第2面が黒色にされて第2の表示41bとされ、たとえば、表示器40が、電源21が電池である場合に電池の電圧低下などの表示用に用いられる場合は、黒色の第2の表示41bは電池の容量が規定値以下に低下、または電池が脱離していることを示し、橙色は電池の容量が規定値以上の十分な容量(電圧)を有していることを示すものと設定することができる。なお、第1および第2の表示41a、41bの色は、これらに限定されず、任意の色が用いられてよい。
このような磁気反転素子を用いる表示器40により本実施形態の警報器1の表示部4を構成する場合、セット端子45a、コモン端子45bおよびリセット端子45cのいずれか2つを第1通電端子S1または第2通電端子S2として使用することにより、所望の表示状態に制御することができる。たとえば、コイル45のセット端子45aを第1通電端子S1として電源部2(図1参照)に、コモン端子45bを第2通電端子S2としてグランド電位に、スイッチ手段11を介してそれぞれ接続すると、図11の矢印Aで示す向きに電流が流れ、図11に示されるように鉄心44の両端部にN極とS極とが現れる。それに伴いディスク41のN極とS極とが鉄心44の異なる磁極に引き付けられるように回転し、図11に示される状態で停止し、第1の表示41aの色が視認側(図11に示される例ではコイル45側と反対側)に露出する。反対に、セット端子45aをグランド電位に、コモン端子45bを電源部2に接続すると、図11に矢印Aで示される方向と逆方向に電流が流れ、鉄心44に発生する磁極も図11に示される極性と逆になり、ディスク41のN極およびS極が、図11に示される状態から鉄心44の反対側の端部に引き付けられ、ディスク41の第2の表示41bを表示窓側に露出させることができる。
図10および図11に示される磁気反転素子を用いる表示器40を表示部4に用いる場合、前述の説明のようにセット端子45aとコモン端子45bとを第1および第2通電端子S1、S2として用いるのではなく、リセット端子45cとコモン端子45bとを、または、セット端子45aとリセット端子45cとを第1および第2通電端子S1、S2として用いてもよい。いずれの端子を用いても、印加する電圧の極性を変えることにより、表示器40の表示状態を第1の表示41aおよび第2の表示41bのいずれにも設定することができる。また、コモン端子45bをグランド電位に接続し、第1の表示41aを表示させるときはセット端子45aを電源部2に、第2の表示41bを表示させるときはリセット端子45cを電源部2に接続するようにして表示状態を制御することもできる。
図1に示される表示部4や外部操作手段12などを有する本実施形態の警報器1の外観の一例が図3に示されている。警報器1は、図1に示される各手段や構成部分を収容する筐体91で外装されており、図3上、筐体91の下端部に外部操作手段12として押しボタンスイッチ12aが設けられている。また、筐体91の、図3上、左下のコーナー部分には、表示窓94が設けられており、表示窓94の奥に配置される表示部、たとえば磁気反転素子を用いた表示器40(図10参照)の表示部材43が露出するようになっている。
また、図3上、押しボタンスイッチ12aの上方には、前述の故障報知手段として発光ダイオード16a、および、検出部3による周囲環境の異常を検出した場合の警報手段として発光ダイオード18a〜18eが、2列にわたって備えられている。たとえば、発光ダイオード18aは規定値を超えるCO2の検出について、発光ダイオード18bはガス漏れについて、そして発光ダイオード18c〜18eは火災についての警報手段であってよい。発光ダイオード18c〜18eは、火災の程度に応じていずれかだけが、または全部が点灯するように、または、注意喚起のために順に点滅するように制御されてもよい。また、筐体91には、図3上、右上の位置に、開口92が設けられ、警報手段の1つとして、開口92の奥に配置される図示しないブザーやスピーカーなどの鳴動音が筐体91に遮られることなく警報器1から発せられるようになっている。
また、筐体91の側面には、警報器1の挿抜式の電源スイッチ93が設けられている。警報器1は、図3上、背面側を部屋の壁や天井に向けて設置されるが、警報用の装置という性格上、常に異常の検出が可能な状態であることが好ましいため、設置後、安易に停止状態にされないように、比較的ユーザーの手の届き難い筐体91の側面に電源スイッチ93が設けられている。一方、前述の押しボタンスイッチ12a、表示窓94や各発光ダイオード16a、18a〜18e、および開口92は、ユーザーが操作または認知し易いように、部屋の中心側に向けられる筐体91の前面(図3上、正面)に設けられている。本実施形態の警報器1の外観や、表示部4などの各構成要素に応じて設けられる表示窓94や、各発光ダイオードなどの配置は、図3に例示されるものに限定されず、種々の形状の筐体の任意の位置に配置されてよい。
次に、本実施形態の警報器1の表示部4の不具合検出動作(以下、単に「本実施形態の検出動作」ともいう)について、図2に示される回路を例に説明する。
本実施形態の検出動作は、表示部4への通電に伴って行われる。また、図2に例示される回路を用いた本実施形態の検出動作では、表示部4が、図10に示される磁気反転素子を用いた表示器40のように、2つの端子間に流れる電流の方向に関して、一方向およびその反対方向の両方向で使用される表示器である場合に、いずれの方向に電流が流れる通電であっても、その通電に伴って表示部4の不具合を検出することができる。まず、図2に示される表示部4の第1通電端子S1から第2通電端子S2に向かって電流が流れる、すなわち第1通電端子S1が第2通電端子S2よりも高電位となる通電(通電A)に伴って表示部4の不具合の検出動作が行われる場合について説明する。
図4は、本実施形態の表示制御手段51により制御されるトランジスタQ1〜Q4(以下、トランジスタQ1、Q2、Q3およびQ4は、それぞれ単にQ1、Q2、Q3およびQ4ともいう)のゲート電圧のうち、Q1およびQ4の各ゲート電圧VG1およびVG4、ならびに、表示部4の第1通電端子S1の電圧VS1、VS1a、VS1cの変化を示すタイミングチャートである。図4において、V1H(たとえば略Vdd)、V4L(たとえば略グランド電位)は、Q1およびQ4がそれぞれオフとなる電圧を示し、V1LおよびV4Hは、Q1およびQ4がそれぞれオンする電圧を示している(図6におけるV3HおよびV2L、ならびに、V3LおよびV2Hも、それぞれQ3およびQ2に関して同様の意味の電圧を示している)。なお、通電Aに伴う不具合検出では、Q2およびQ3はオフ状態から変化しないので、図4への記載は省略する。図5A〜5Cには、図4に示される期間t11〜t13それぞれにおけるQ1〜Q4のオン/オフの状態が示されており、理解され易いようにQ1〜Q4はスイッチの電気記号を用いて示されている。
まず、表示部4が通電される前の期間(t11)では、表示制御手段51により、Q1のゲート電圧がV1Hに、Q4のゲート電圧がV4Lになるようにそれぞれ制御され、その結果、図5Aに示されるようにQ1〜Q4は全てオフ状態となるため、表示部4に電流は流れない。この状態では、第1通電端子S1の電圧は、抵抗R2およびR3(図2参照)を介して接続されているグランド電位と同じレベルとなり、略0ボルトとなる。
つぎに、表示部4が所定の期間(t12)通電される。具体的には、表示制御手段51により、Q1のゲート電圧がV1Lに、Q4のゲート電圧がV4Hになるようにそれぞれ制御される。それにより、図5Bに示されるようにQ1およびQ4がオンとなり、表示部4の第1通電端子S1が、電圧Vddで電力を供給する電源部2の電源ラインに電気的に接続され、一方、第2通電端子S2がグランド電位に接続される。その結果、図5Bに二点鎖線で示される経路で電流i1が流れる。
本実施形態では、コンデンサ22が抵抗R1を介して電源21に接続されているため、Q1およびQ4がオンした直後は、電流i1は電源21から供給されるのではなく、主にコンデンサ22が放電することにより流れることとなる。そのため、略電源21の出力電圧VBATまで充電されていたコンデンサ22の端子間電圧、すなわち電圧Vddが時間と共に低下する。そのため、表示部4が正常な場合の第1通電端子S1の電圧VS1は、Q1がオンするとVBAT近くまで上昇した後、電圧Vddの低下に伴って図4に示されるように低下することとなる。
そして、本実施形態では、図4に示されるように、表示部4への通電開始から所定の期間(t12)経過後、Q1のゲート電圧がV1Lのままの状態で、表示制御手段51によりQ4のゲート電圧が再びV4Lになるように制御され、図5Cに示されるように、Q1がオン状態のまま、Q4がオフ状態になる。すなわち、表示部4の第1通電端子S1が電源部2に電気的に接続されたまま、第2通電端子S2とグランド電位との間の電気的接続が遮断され、表示部4への通電が停止する。一方、電源21とコンデンサ22とは、R1を介して接続されているため、Q4がオンしている間放電していたコンデンサ22は、Q4がオフ状態になると、一転して電源21により充電され、それに伴って電圧Vddが上昇する。このときQ1はオン状態にあるため、表示部4が正常なときの第1通電端子S1の電圧VS1も、図4に示されるように、Q1がオン状態でQ4がオフ状態である期間(t13)の間、上昇する。そして、所定の期間経過後、期間t14では、Q1のゲート電圧がV1Hになるように制御され、Q1〜Q4が、再び、図5Aに示されるように全てオフ状態となり、第1通電端子S1の電圧も、期間t11と同様に略0ボルトとなる。
本実施形態の検出動作のうち、通電Aに伴う検出動作では、図4に示される期間t12および期間t13の間の第1通電端子S1の電圧の変化に基づいて表示部4の不具合を検出することができる。すなわち、期間t12および期間t13の間の第1通電端子S1の電圧は、コンデンサ22が接続されている回路のインピーダンスに依存し、そのため、表示部4への通電経路に断線またはショートなどの不具合があると正常な場合の電圧に比べて変化するので、この変化により不具合が検出され得る。たとえば、図2に例示される回路で表示部4の通電経路が断線していると、Q1〜Q4のオン/オフに関わらずコンデンサ22は放電しないので、電圧Vddも電源21の電圧VBATと略同じままとなり、期間t12およびt13中の第1通電端子S1の電圧も略VBATと同じ電圧のままとなる。
一方、表示部4の通電経路がショート、すなわち、第1および第2通電端子S1、S2間が短絡している場合は、Q1およびQ4がオンすると、コンデンサ22の両端がショートする状態となるため、Q1およびQ4がオンした直後にコンデンサ22が一気に放電し、電圧Vdd、および第1通電端子S1の電圧も略0ボルトとなる。その後、期間t13でQ4がオフ状態になると、第1および第2通電端子S1、S2間がショートしていても、グランド電位との接続は遮断されるため、コンデンサ22が充電され始める。このため、表示部4の通電経路がショートしている場合の第1通電端子S1の電圧VS1aは、図4に示されるように略0ボルトから上昇し始める。要するに、第1通電端子S1の電圧は、断線およびショートのいずれにおいても、正常時と異なる変化をすることとなる。従って、少なくともQ1がオン状態にある期間t12および期間t13中の所定の時点の第1通電端子S1の電圧と、予め不具合検出基準として設定した閾値電圧とを比較することにより、表示部4の断線およびショートを検出することができる。また、特定の時点の第1通電端子S1の電圧ではなく、Q1およびQ4がオンにされた後の所定の期間中の電圧の変化量を、所定の閾値と比較することにより、表示部4の不具合を検出してもよい。
つぎに、図2に示される表示部4の第2通電端子S2から第1通電端子S1に向かって電流が流れる、すなわち第2通電端子S2が第1通電端子S1よりも高電位となる通電(通電B)に伴って表示部4の不具合検出が行われる場合について説明する。通電Bでは、前述の通電Aと異なり、トランジスタQ2およびQ3をオンにすることにより表示部4への通電が行われる。
図6は、前述の図4におけるQ1およびQ4のゲート電圧と同様に、Q2およびQ3の各ゲート電圧VG2およびVG3、ならびに、表示部4の第1通電端子S1の電圧VS1、VS1b、VS1dの変化を示すタイミングチャートである。通電Bに伴う不具合検出では、Q1およびQ4はオフ状態から変化しないので図6への記載は省略する。また、図7Aおよび図7Bには、図6に示される期間t22およびt23それぞれにおける、Q1〜Q4のオン/オフの状態が、図5A〜5Cと同様の方法で示されている。
図6に示されるように、期間t21では、前述の図4の期間t11と同様に、Q1〜Q4は全てオフ状態であり、表示部4に電流が流れることも無く、第1通電端子S1の電圧は略0ボルトである。
つぎに、表示部4が所定の期間(t22)通電される。具体的には、表示制御手段51により、Q3のゲート電圧がV3Lに、Q2のゲート電圧がV2Hにそれぞれ制御される。それにより、図7Aに示されるようにQ3およびQ2がオンし、表示部4の第2通電端子S2が、電源部2の電圧Vddの電源ラインに電気的に接続され、一方、第1通電端子S1がグランド電位に接続される。その結果、図7Aに二点鎖線で示される経路で電流i2が流れる。
通電Bでは、前述の通電Aと異なり、第1通電端子S1はグランド電位に接続されるため、その電圧は、期間t22においても、期間t21と略同じ0ボルトとなる。その後、前述の通電AのQ4と同様に、表示制御手段51によりQ2のゲート電圧だけが再びV2Lになるように制御され、図7Bに示されるように、Q3がオン状態のまま、Q2がオフになる。すなわち、表示部4の第2通電端子S2が電源部2に電気的に接続されたまま、第1通電端子S1とグランド電位との間の電気的接続が遮断され、表示部4への通電が停止する。それに伴って、第1通電端子S1の電圧は、抵抗R2およびR3(図2参照)に流れる電流による表示部4での多少の電圧降下はあるものの、第2通電端子S2と略同じ電圧になる。そして、このときの第2通電端子S2は、通電Aに伴う不具合検出における期間t13での第1通電端子S1と同じ状況にあるため、表示部4が正常なときの第1通電端子S1の電圧VS1は、図6に示されるように、Q2がオフするのに伴って急激に上昇した後、図4に示される期間t13での第1通電端子S1の電圧と同様に、Q2オフ後の期間(t23)中、コンデンサ22の充電に伴って上昇する。
一方、表示部4の通電経路が断線またはショートしていても、期間t22では、Q2がオンしているため、正常時と同様に略0ボルトとなる。従って、Q2およびQ3が共にオンしている状態では、第1通電端子S1をモニタしても、正常時と、断線時および短絡時のいずれとの識別もできない。しかしながら、本実施形態では、期間t22の後、Q3がオンのままQ2だけがオフにされる。そうすると、期間t22の間もコンデンサ22がある程度充電された状態を維持している正常時と違って、表示部4が短絡していると期間t22の間にコンデンサ22が略完全に放電してしまっているため、表示部4が短絡しているときの第1通電端子S1の電圧VS1bは、図6に示されるように、略0ボルトからコンデンサ22の充電に伴って上昇する。また、表示部4が断線している場合は、第1通電端子S1が第2通電端子S2側と電気的に接続されることはないため、Q2がオフにされた後も、略0ボルトのままとなる。すなわち、Q2がオフにされた後の期間t23では、表示部4が正常な場合の第1通電端子S1の電圧は、断線時および短絡時のいずれの電圧とも異なることとなる。従って、通電Bにおいても、Q3がオンのままQ2がオフにされた後の期間t23中の所定の時点における第1通電端子S1の電圧と、予め設定された閾値電圧とを比較することにより、表示部4の断線およびショートを検出することができる。
本実施形態の検出動作における表示部4への通電期間(たとえば図4の期間t12および図6の期間t22)の長さ、ならびに、この通電期間終了後、第1および第2通電端子S1、S2のいずれかと電源部2との電気的接続が遮断されるまでの期間(たとえば図4の期間t13および図6の期間t23)の長さは、通電開始後の第1および第2通電端子S1、S2の電圧の具体的な変化傾向に応じて適宜設定されてよい。換言すると、これらの期間中の第1および第2通電端子S1、S2の電圧の変化に基づいて表示部4の不具合検出ができるように、表示部4の通電経路の抵抗値や、スイッチ手段の抵抗値などに応じて、コンデンサ22の静電容量値や抵抗R1の抵抗値が選択される。
表示部4の断線およびショートを検出する基準となる閾値電圧は、表示部4への通電電圧の具体的な変化に応じて設定される。たとえば、前述の通電Aに伴って検出動作が行われる場合は、図4中の期間t12およびt13では、前述のように、表示部4が正常なときの第1通電端子S1の電圧VS1は、図4に示されるように変化する。一方、前述のように、表示部4がショートしているときの第1通電端子S1の電圧VS1aは図4に示されるように変化し、表示部4が断線しているときは、第1通電端子の電圧は、略VBATと同じ電圧となる。従って、たとえば、図4に相対的な大きさが例示される閾値電圧Vth1、Vth2が不具合検出手段14に設定され、期間t12およびt13中のどこかの時点で、またはこれらの期間中ずっと、第1通電端子S1の電圧が閾値電圧Vth2よりも高いときに表示部4の断線を検出し、閾値電圧Vth1よりも低いときに表示部4のショートを検出するように不具合検出手段14が構成されてもよい。
また、前述の通電Bに伴って検出動作が行われる場合は、前述のように、不具合検出が可能な図6中の期間t23では、表示部4が正常なときの第1通電端子S1の電圧VS1は、図6に示されるように変化する。一方、表示部4がショートしているときの第1通電端子S1の電圧VS1bは図6に示されるように変化し、表示部4が断線しているときは略0ボルトとなる。従って、たとえば、図6に相対的な大きさが例示される閾値電圧Vth4が不具合検出手段14に設定され、期間t23中のどこかの時点で、またはこれらの期間中ずっと、第1通電端子S1の電圧が閾値電圧Vth4よりも低いときに表示部4の断線またはショートを検出するように不具合検出手段14が構成されてもよい。なお、必要に応じて、図6に示されるように、表示部4が正常なときの第1通電端子S1の電圧VS1よりも大きな閾値電圧Vth5が設けられてもよい。なお、断線およびショートのいずれかが殆ど起こり得ない事情がある場合は、通電Aおよび通電Bいずれにおいても、上限または下限いずれかの閾値電圧だけが設定されてもよい。
前述のように、通電Aに伴って表示部4の不具合検出動作を行う場合と、通電Bに伴って検出動作を行う場合とで、不具合の検出基準となる閾値電圧が変えられてよい。換言すると、通電Aおよび通電Bのいずれかに伴って検出動作を行う際に、第1通電端子S1の電圧に基づいて不具合検出動作を行う場合と、第2通電端子S2の電圧に基づいて不具合検出動作を行う場合とで、閾値電圧が変えられてよい。たとえば、前述のように、断線の検知に関しては、通電Aおよび通電Bのいずれに伴う検出動作であるかによって、閾値電圧が異なり得る。また、図4および図6にそれぞれ示される下限側の閾値電圧Vth1および閾値電圧Vth4も、前述のように、表示部4での電圧降下などに応じて、互いに異なる大きさに設定されるのが好ましい。従って、不具合検出手段14は、複数の閾値電圧を記録できる記憶素子または複数の閾値電圧を生成し得る基準電圧源を有し、これら複数の閾値電圧の中から適切なものを選択できるように構成されているのが好ましい。
また、不具合検出手段14は、表示部4が通電Aおよび通電Bのいずれの方向に通電されているかに応じて適切に閾値電圧を選択できるように、表示部4への通電方向についての情報を表示制御手段51から入手し得るように構成されているのが好ましい。なお、表示部4への通電の開始時と終了時に、表示制御手段51から不具合表示制御手段14に通電開始および終了の情報が伝えられるように構成されるのはいうまでもない。
本実施形態の検出動作に基づいて表示部に不具合があると判定されると、前述のように、少なくとも外部操作手段12が操作されたときに、ユーザーへの報知動作が行われる。しかしながら、不具合の検出動作自体は、外部操作手段12の操作と別に、任意のタイミングで行われてよい。
たとえば、本実施形態の検出動作が所定の時間(第1設定時間)ごとに定期的に行われるように表示制御手段51および不具合検出手段14が構成されていてもよい。定期的に検出動作が行われることにより、不具合が長期間放置されることが少なくなる。また、定期的に検出動作が行われる場合、各検出動作で表示部4の断線やショートが検出されたときに、直ぐに表示部4が不具合状態にあると判定するのではなく、たとえば、複数回連続して、または、所定の期間内に規定の回数より多く、断線またはショートが検出されたときに、表示部4に不具合が生じていると判定するように、不具合検出手段14が構成されてもよい。
表示部4の通電端子の電圧の変化にはばらつきがあり、不具合検出手段14による電圧の測定にも誤差が存在し得る。また、表示部4の通電経路に、偶発的に導電性の異物が付着したり、急激な温湿度の変化により通電経路上に一時的に結露が生じたり、或いは、コネクタなどが通電経路に用いられている場合に、外力や温度変化などによる応力で一時的に結合部分が接触不良になっていたりすることがあるが、このような状態は、時間と共に自然に正常状態に回復する場合もあり得る。従って、定期的に行われる検出動作において、1度断線やショートが検出されただけで不具合ありと判定し、その判定に基づいて不具合が報知されたのでは、ユーザーや警報器の保守作業員が、特に必要も無いのに、不具合回復のための対処を迫られることになり得る。しかしながら、前述のように、断線またはショートが複数回検出されたときに表示部4に不具合ありと判定するように構成されることにより、ユーザーや保守作業員が無用の対処に追われることが少なくなる。
なお、定期的に不具合の検出動作を行う場合の第1設定時間は任意に設定され得る。たとえば、30分ごと、1時間ごと、12時間ごと、或いは24時間ごとであってもよいし、それ以上の間隔が空けられてもよい。また、表示部4に不具合があると判定する断線やショートの検出回数も任意に設定され得る。たとえば、その回数は、2回、5回、または10回、或いはそれ以上であってもよい。
また、定期的に表示部4の不具合の検出動作が行われる場合、前述のように複数回の断線またはショートの検出により不具合ありと判定するように構成されているか否かに関わらず、断線またはショートの検出後、不具合ありと判定する場合も含めて、定期的な不具合検出動作を継続するように表示部制御手段51および不具合検出手段14が構成されてもよい。そして、不具合ありと判定した後に継続する不具合の検出動作において、断線およびショートが検出されなければ、表示部4の不具合が解消されたと判定するように不具合検出手段14が構成されてもよい。
また、この場合、一度の不具合検出動作で断線またはショートが検出されないだけでは不具合が解消されたと判定せずに、複数回続けて断線またはショートが検出されなかったときに、表示部4の不具合が解消されたと判定するように不具合検出手段14が構成されてもよい。前述のように、表示部4の通電端子の電圧の変化にはばらつきがあり、また、その測定にも誤差が含まれ得るし、偶発的な要因で断線やショートが一時的に検出されないこともあり得るので、このように複数回続けて断線もショートも検出されないことをもって不具合が解消されたと判定されることが好ましい。そのように不具合検出手段14が構成されることにより、不具合が存在しているにも関わらず、不具合の報知動作などが誤って停止されることが少なくなる。不具合が解消されたと判定するのに必要な断線またはショートが検出されない検出動作の回数は任意の回数が設定されてよい。たとえば、2回、または5回、或いはそれ以上であってもよい。
なお、既に行われた表示部4の不具合の検出動作における断線またはショートの検出結果や、連続して断線またはショートが検出された、または検出されなかった回数は、制御部5が有し得る記憶素子やカウンターなどにより記録およびカウントされ得る。
本実施形態の検出動作は、表示部4への通電に伴って行われる。この表示部4への通電は、表示部4の不具合の検出のために行われるものであってもよいが、他の目的で行われる表示部4への通電に付随して、表示部4の不具合の検出動作を行うように不具合検出手段14が構成されてもよい。他の目的で行われる通電に伴って検出動作を行うことにより、不具合検出のために必要な表示部4への通電で消費される電力を節約することができる。たとえば、表示部4が、前述のように、非通電式の表示器であり、表示制御手段51によって表示部4の表示状態の変更が必要と判断され、その判断に基づいて表示部4の表示状態を変えるために行われる通電に伴って不具合の検出動作が行われてもよい。
また、たとえば、表示部4が、図10に示されるような磁気反転素子を用いた非通電式の表示器であり、表示制御手段51の制御に基づく表示部4への通電が、表示部4の表示状態の変更が必要と判断されるときだけ行われる場合に、表示部4の表示状態が意図せずに変更され得ることへの対策として行われる通電に伴って、表示部4の不具合の検出動作が行われてもよい。すなわち、表示部4が、磁気反転素子を用いた非通電式の表示器の場合、一旦、正規の表示状態(たとえば、表示部4が電源部2の電池の残量表示である場合に、電池の残量が規定値以下であるときに、そのことを正しく表示する状態)に設定された後、通電されていない間に、メモなどの固定用マグネットや磁気装飾品などの表示部4への接近により、表示状態が正規の表示状態から変えられてしまうおそれがある。そのような誤った表示状態が長く続かないように、本実施形態の警報器1には、図1に示されるように、正規表示操作手段52が設けられてよい。
正規表示操作手段52は、表示制御手段51による表示部4への通電の制御とは別に、定期的に、表示部4がその時点で本来表示すべき状態、すなわち正規の表示状態になるように表示部4への通電を制御する。たとえば、表示部4が電源部2の電圧が規定値以上であるか否かを表示するものである場合、定期的に電源部2の電圧をチェックし、そのときの表示部4の表示状態がどうであるかに関係なく、表示部4がそのときの電源部2の電圧に応じた正規の表示状態になるように、スイッチ手段11を制御して表示部4への通電を行うように構成される。正規表示操作手段52による定期的な正規表示操作は、任意の時間ごとに行われてよく、たとえば、30分ごと、または1時間ごとに行われても、或いは、それ以上の間隔で行われてもよい。本実施形態の検出動作は、このような正規表示操作手段52による定期的な通電の一部、または全部に伴って行われてもよい。換言すると、前述の定期的に行われる表示部4の不具合の検出動作は、正規表示操作手段52による通電に伴って行われるものであってよい。
また、正規表示操作手段52による定期的な正規表示操作は、1つの設定時間ごとではなく、複数の設定時間が設けられ、この複数の設定時間ごとに定期的に正規表示操作が行われてもよい。たとえば、標準モードの設定時間ごとの正規表示操作に代えて、または、これに加えて特別モードといえる設定時間ごとに正規表示操作を行うように正規表示操作手段が構成されてもよい。たとえば、警報器1の設置時や、外部操作手段12が操作されるときなどは、マグネットや磁気装飾品などが近付けられる可能性が高いため、このような設置後や操作後は、所定時間の間、標準モードの設定時間に代えて、またはこれに加えて、たとえば標準モードの設定時間よりも短い特別モードの設定時間で定期的に正規表示操作が行われるのが好ましい。そして、この所定時間の間、特別モードの設定時間(第2設定時間)ごとに行われる正規表示操作による表示部4への通電に伴って、表示部4の不具合の検出動作を行うように不具合検出手段14が構成されてもよい。
なお、正規表示操作手段52は、表示制御手段51と同様に、制御部5に市販のマイコンなどが用いられる場合は、マイコンなどに内蔵される素子により構成されることが可能で、表示制御手段51を構成する素子と同じ素子により一部または全部が構成されてよい。
また、本実施形態の検出動作は、外部操作手段12が操作されたときに行われてもよい。すなわち、本実施形態の警報器1では、外部操作手段12が操作されたときに、表示部4の不具合が報知されるが、外部操作手段12の操作に応じて新たに表示部4への通電を行うように表示制御手段51が構成され、この通電に伴って検出動作を行うように不具合検出手段14が構成されてもよい。
或いは、外部操作手段12が操作されたときは、不具合検出手段14による表示部4の不具合の検出動作は行わず、外部操作手段12が操作される前に行われた不具合の検出動作、たとえば、前述のように、不具合の検出動作が定期的に行われる場合に、外部操作手段12の操作前に行われた最後の検出動作の結果に基づいて、表示部4の不具合が報知されるように構成されてもよい。こうすることにより、ユーザーなど外部操作手段12の操作者が、表示部4に不具合が生じているか否かを速やかに知ることができる。また、前述のように、ユーザーなどが不具合の有無の報知を指示するために外部操作手段12を操作するたびに不具合の検出動作を行う場合に比べて、表示部4への通電により消費する電力を少なくすることができる。
本実施形態の警報器1には、図1に示されるように、故障報知手段16が設けられており、表示部4に不具合があると判定されるときは、故障報知手段16により報知されてよい。故障報知手段16は、前述のように、ユーザーなどの視覚により認知されるように報知する発光ダイオードなどの故障表示手段であってよく、このような表示手段と、ブザーやスピーカーなどの音声発生装置とが組み合わせて用いられてもよい。たとえば、表示部4の不具合が報知されるときは、図8Aに示されるように、故障報知手段として備えられている発光ダイオード16aが点灯または点滅するように構成されてもよい。また、併せて、開口92の奥に配置された図示しないブザーまたはスピーカーが鳴動し、これらの音が開口92から発せられてもよい。
本実施形態の警報器1は、図1に示されるように、異常検出手段19を有していてもよい。異常検出手段19は、警報器1の表示部4以外の部分の異常を検出するように構成される。異常検出手段19により異常を検出される対象部分は特に限定されないが、たとえば、前述の報知手段16として設けられるブザーやスピーカー、または、検出部3を構成する各種センサであってよい。異常検出手段19は、たとえば、スピーカーなどの異常検出対象の接続端子などに所定の電圧または電流を印加し、スピーカーなどに流れる電流や、接続端子の電圧を所定の閾値と比較することにより異常を検出するように構成される。従って、異常検出手段19は、所定の電圧や電流を生成する電源回路、電流または電流の検出回路、および、検出した電流値などと閾値とを比較する比較回路などから構成され得る。
異常検出手段19により表示部4以外の部分の異常が検出されたときは、前述の故障報知手段16により報知するように構成されてよい。たとえば、図8Bに示されるように、図8Aに例示される表示態様と同様に、発光ダイオード16aが点灯または点滅するように構成されてよく、併せて、ブザーまたはスピーカーの鳴動音が開口92から発せられてもよい。或いは、ユーザーなどが、不具合検出手段14による表示部4の不具合検出と識別し得るように、発光ダイオード16aなどの故障表示手段の表示態様を、表示部4の不具合検出時と異ならせてもよい。たとえば、表示部4の不具合検出時は発光ダイオード16aを連続的に点灯させ、表示部4以外の部分の異常検出時には発光ダイオード16aを点滅させたり、他の発光ダイオード18a〜18eを一定期間、点灯または点滅させたりしてもよい。
さらに、異常検出手段19による表示部4以外の部分の異常検出時は、故障報知手段16による報知に加えて、表示部4の表示状態を変えることにより異常の検出をユーザーなどに報せるように構成されてもよい。たとえば、表示部4が電源部2の電圧が規定値以上であるか否かなど、警報器1の表示部4以外の部分の正常性を表示するものである場合、たとえば、対象部分が正常であることを示す第1の表示41a(図11参照)から、対象部分が正常でないことを示す第2の表示41b(図11参照)を表示するように構成されてもよい。図8Bは、そのように構成されている警報器1の異常検出手段19による異常検出時の表示態様の一例であり、表示窓94には、表示器40(図10参照)の表示部材43の第2の表示41bが露出している。
表示部4が、前述のように、警報器1の表示部4以外の部分の正常性を表示するものである場合、通常、対象部分が正常であることを示す第1の表示41aが表示されていることが多く、その状態から表示部4が断線またはショートなどの不具合状態に陥った場合は、表示部4は表示状態を変更することができないため、そのまま、第1の表示41aが表示され続けることとなり得る。前述の図8Aは、そのような状態を例示しており、表示窓94には表示部材43の第1の表示41aが露出している。
従って、異常検出手段19による異常検出時には、前述のように、表示部4を、表示部4以外の部分が正常でないことを示す表示状態のように、通常、そのような状態となることが少ない表示状態に変えるように構成することにより、異常検出手段19による表示部4以外の部分の異常検出時と、不具合検出手段14による表示部4の不具合検出時とで、少なくとも表示部4の表示態様を異ならせることができる。このように構成されれば、たとえ音声などによる報知が無くても、ユーザーは警報器1を見るだけで、表示部4に断線やショートなどの不具合があることを認知でき、速やかに適切な対処を行うことが可能になる。
なお、本実施形態の検出動作において表示部4に不具合ありと判定されていないときは、表示部4は表示状態を変えることができる状態にあるため、表示部4自身で、不具合が無いことを表示するようにも構成され得る。たとえば、表示部4が図10に示される非通電式の表示器40である場合、表示部4に不具合があると判定されていないときは、外部操作手段12の操作に応じて、表示部4の表示状態が少なくとも一度変わるように、表示部4に一方向およびその逆方向の通電を少なくとも一度ずつ行うように表示制御手段51が構成されてもよい。この場合、最終的に、表示部4の表示状態を正しい表示とするために、前述の正規表示操作手段52による正規表示操作が行われることが好ましい。このように構成することにより、ユーザーなどが、外部操作手段12の操作に応じて、表示部4に不具合がないことを明確に認知することができる。
以上の説明では、主に図2に示される回路を参照し、2つの通電端子のどちら向きにも通電され得る表示部4を含む本実施形態の警報器1について説明したが、本発明の警報器は、一方向だけに通電される表示部を含んでいてもよく、その場合、表示部4は、図9に示されるように接続されてよい。図9には、通電電流が第1通電端子S1から第2通電端子S2に流れる通電だけが行われる表示部4aの周辺の回路が示されており、第1通電端子S1は、図2に示される回路と同様にトランジスタQ1を介して電源部2に接続されているが、グランド電位には接続されていない。また、第2通電端子S2はスイッチ手段11(図1参照)を介することなく直接グランド電位に接続されている。なお、図9に示される回路は、トランジスタQ2〜Q4が存在しない点を除いて、図2に示される回路と同じなので、同一の構成要素についての説明や図9中の符号は省略する。
図9に示される他の実施形態の警報器では、表示部4は、第1通電端子S1から第2通電端子S2に電流が流れる通電、すなわち前述の通電Aしかされないため、図2に示されるトランジスタQ2およびQ3は不要となり、また、前述の図4に示される期間t12で第1通電端子S1の電圧と所定の閾値電圧との比較を行うように不具合検出手段14が構成されることにより表示部4の断線およびショートの両方を検出することができるので、第2通電端子S2とグランド電位との接続を遮断する必要も無いため、図2に示されるトランジスタQ4も不要となる。
また、一実施形態の警報器や他の実施形態の警報器では、図3に示されるような前面だけではなく側面などにも表示窓94を設け、どの方向からでも表示部4が見えるように複数の表示器で表示部4が構成されていてもよく、表示器それぞれに対して不具合検出手段14が適用されてもよい。この場合、複数の表示器が並列に接続される場合は、いずれか1つの表示器の通電端子の電圧だけに基づいて、いずれかの表示器に不具合があることが検出されるように構成されてよい。或いは、各表示器が独立して駆動される場合は、各表示器に対して不具合検出手段14が設けられてよく、または、不具合検出手段14を1つだけ設けて、各表示器との接続を切り替えられる構造にすることにより表示器ごとに不具合を検出できるように不具合検出手段14が構成されてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、表示部への通電時に、その通電電圧が時間と共に変化し、その変化に基づいて表示部の断線およびショートの検出動作を行うように構成された不具合検出手段が備えられている。それにより、電源部の電源供給ラインとグランド電位との間に接続される表示部であり、かつ、通常、非通電状態で使用されるため、不具合の有無が顕在化し難い表示部などであっても、適宜、表示部に短時間の通電を行うだけで、容易に表示部の断線およびショートを検出することができる。そのため、表示部が動作不能となったまま放置されるということが少なくなる。また、外部から操作可能に設けられる外部操作手段が操作されたときに表示部の不具合が報知されるように構成されているので、ユーザーが不具合の疑念を抱いたときに直ぐに不具合の有無を知ることができ、ユーザーの不安を早く払しょくすることができる。その結果、ユーザーが安心して警報器を使い続けられるようになる。