次に、本発明の警報器について、具体的な構成例を示す図1〜6を参照しながら説明する。本発明の警報器の一実施形態は、図1にその構成例の概略ブロック図が示されるように、駆動用の電力を供給する電源1からの通電によって駆動され、監視領域の異常を検出するセンサ5a、5b・・・と、少なくとも2種類の表示領域41a、41bを有し、電源1の電力の状態またはセンサ5a、5b・・・により検出された状態を少なくとも2種類の表示領域41a、41bにより表示する非通電式の表示部4を有している。そして、制御部3は、その電源1の電力の状態またはセンサ5a、5b・・・により検出された状態が第1表示領域41aにすべきか、他の表示領域にすべきかを判定し、その判定が変る場合にのみ表示領域41a、41bの変更をする表示制御手段(図3のフロー)を有しており、制御部3は、さらに、表示部4の表示領域41a、41bの変更がない場合であっても、第1の設定時間t1の間隔ごとに表示部4の表示領域41a、41bを正規の表示領域41a、41bにする正規表示操作手段(図4のフロー参照)を有している。
電源1は、電池である場合に非通電式表示部4を適用するのに、特に有効である。しかし、電池には限定されない。電池の場合、通常の乾電池でもリチウムイオン電池でも、充電式の二次電池でも良く、商用電源に接続しなくても動作する電池であれば何でも良い。
また、図1には図示されていないが、電池の場合、その出力電圧Vbatが必ずしも安定しないので、図示しない電圧レギュレータ(REG)が接続され、この電圧レギュレータにより制御部(マイクロプロセッサ)3の動作を正確に行えるように、定電圧Vddを発生させる場合がある。また、基板のグランド(以下、単にGNDという)との間に図示しないスイッチが接続される場合もある。このようなスイッチが挿入されていることにより、いずれかのセンサ5a、5b・・・の検出データにより、警報音が発せられた場合、そのスイッチがオフにされて、一定期間警報音を停止させることができるように形成されている場合がある。しかし、このような場合でも、停止時間が一定の時間に達した場合には、再度警報音が鳴るように構成される。業者が原因を解明して、その理由が解消されない限りユーザが勝手に警報音を鳴らなくすると危険であるからである。
制御部(マイクロプロセッサ)3は、メモリや比較回路などを含んでおり、演算処理を行い、所定の信号を出力するように形成されている。これもICとして市販されているものを使用することができ、ガス漏れ検出や煙、COなどの検出用のセンサ5a、5b・・・などを管理して、そのセンサ5a、5bからの検出信号に基づいて、図示しないLEDやブザーなどにより異常時の警報を発する構成になっている。本実施形態では、通常のこれらの表示の他に、電気消耗の少ない非通電式の表示部が設けられており、その非通電式の表示部4の制御管理も行っている。この表示部4の制御管理に、通常行われる表示制御手段のみならず、正規表示操作手段を含んでいることに特徴がある。これらの手段に関しては、後述する。なお、センサの動作、管理および警報手段に関しては、従来のこの種の警報器と同じであるため、その詳細の説明は省略する。
本実施形態における、非通電式の表示部4は、表示を切り替える際には、通電によって切り替えられるが、表示が切り替えられない場合には、通電をしないで同じ表示を続ける、という意味で非通電式と称している。すなわち、間歇的に通電はされるが、表示部としては通電しないで表示をしているもので、LEDによる点灯または点滅の表示などと区別され、電力を消費することなく表示を維持するものであればよい。図1に示される実施形態では、非通電式の表示部4として、原理的には図7に示されるのと同様の構造のものを用いている。
すなわち、たとえば図2に側面図で示されるように、永久磁石41cのN極とS極とを両端側にそれぞれ有するディスク41を回転軸42により回転するように形成された表示部材43と、そのディスク41を挟むように鉄心44の両端部が位置するように設けられると共に、その鉄心44にコイル45が巻かれ、コイル45の両端部と中心部にそれぞれ第1端子45a、第2端子45b、第3端子45cが形成された電磁石46、とにより構成されている。このディスク41の両面には、この例に全く制約されないが、たとえば第1面が緑色にされて第1表示領域41aとされ、第2面が黒色にされて第2表示領域41bとされ、たとえば黒色の第2表示領域41bは電池1の容量が低下、または電源1の出力が遮断(電池1が外された場合も含む)されたことを示す色とし、緑色の第1表示領域41aは電池1の容量が規定値以上の十分な容量(電圧)を有している、すなわち正常である場合と設定することができる。
このディスク41は、永久磁石板などにより形成し、その両面に着色して目立つようにしても良いし、2枚の平板部材の間に永久磁石を挟み込む構造にすることもできる。いずれの場合でも、その両面に蛍光塗料、または蓄光塗料を塗布しておくことにより、夜でも目立ちやすく、また、蓄光塗料であれば夜になってからでも相当時間光らせることができるため好ましい。なお、表示色の例を電池1の容量が問題のないときは緑色にし、電池容量が低下または遮断されている場合を黒色の例にしたが、これらの色には限定されない。しかし、電源1に問題がない場合にはできるだけ明るい色にすることが目立ちやすいので好ましい。
また、この例では、表示部材43がディスク41の表裏を変える回転構造の例で示されているが、表裏を変える回転でなくても、円板の一面の半分ずつで色を変えて、同一平面内で回転させる構造にしても良く、また、回転ではなく平行移動させて少なくとも2色の色を変える構造にしても良い。
また上記例では、表示を2つとしているが、それに限らず、たとえば3色以上の表示領域を形成し、たとえば電池の容量がまだしきい値には至っていないが、低下していることを知らせる表示を加えてもよいし、センサなどの検出値が警報音を発するところまではいっていないが、ガスが検出されていることを知らせる表示など、各異常状態の段階を示すための表示を加えて、複数の表示をすることもできる。
鉄心44は、鉄などの強磁性で、保持力の大きい材料で、コイル45の電流を0にしても磁力を若干維持することができる材料であることが好ましい。そうすることにより、磁極の向きを変える必要がないとき(たとえば電源1の出力電圧がしきい値電圧との関係で変化しないとき)コイルに電流を流すことなく鉄心44と表示部材43とを吸引させておくことができ、ラッチ式にすることができる。ただし、余り保持力が大きいと表示部43の表示を切り替えるときに大きな電流を必要とするので、電源1の消耗を防止するという観点からは好ましくない。
このような非通電でラッチ式の表示部4で、たとえばコイル45の中間部の第2端子45bを共通端子としてGNDに接続し、一端部側の第1端子45aに正のパルス電圧を印加すると、図2の矢印Aで示すように電流が流れ、図2に示されるように鉄心44の両端部にN極とS極とが現れる。それに伴いディスク41のN極とS極とが鉄心44の異なる磁極に引き付けられるように回転し、図2に示されるような極性の関係となる。この状態で上面である第1面に第1表示領域41aの色が表示窓から見えるようになっている。従って、たとえば動作を開始するため電源1として電池が挿入されたときに、マイクロプロセッサ3で電池の出力する電圧Vbatを、予めメモリなどに記憶させている電圧低下の限界値である所定の電圧(しきい値電圧)Vrefと比較して、電池の出力電圧Vbatが所定の電圧Vref以上であれば、第1端子45aにパルスを印加して図2に示される状態とし、表面に現れる色を第1表示領域(たとえば緑色)41aとし、電池の出力の電圧Vbatは所定の電圧Vref以上であり正常であることを表示する。このコイル45に印加するパルスは、たとえば6V程度で、時間(パルス幅)は、数ms程度でよく、消費電力としては、1μWh程度と殆ど消費せず、しかもマイクロプロセッサ3により、電池の出力電圧の確認は定期的に行われるが、電池の出力電圧Vbatがしきい値電圧Vref以上であれば、この表示部4への指示は何も出されず、そのままの状態を維持することができるため、このラッチ式の表示部4での電力消費も殆ど生じない。
なお、前述の例では、コイル45が1本で巻回され、その中点を共通端子45bとし、両端にそれぞれ正の電圧が印加される構成になっているが、それぞれ別々のコイルとして形成され、それぞれに電圧が印加されるようにされてもよく、また、図2のコイルの半分だけの1本で、その両端に印加する電圧の正負を逆にして印加することもできる。さらに、半分ずつの2本のコイルを並べて形成し、それぞれのコイルを並列に接続してもよい。並列にすると、合成抵抗が半分になり、印加電圧が1/2で同じ合成電流が得られる。1本のコイルあたりは電流が半分になるが、コイルの巻数が2倍になるため、同じ起磁力が得られる。
一方、電池の出力電圧Vbatが所定のしきい値電圧Vrefよりも低くなったら、マイクロプロセッサ3からラッチ式の表示部4のコイル45の第3端子45cに正のパルスを印加する。そうすると、コイル45を流れる電流は、前述の図2に示される方向と逆方向に流れ、鉄心44に発生する磁極も図2に示される極性と逆の極性、すなわち図2の左側の端部がN極、右側の端部がS極となる。それに伴い表示部材43が半回転し、ディスク41の第2面の第2表示領域41bが表示窓側に露出する。ディスク41の第2の表示41bを、たとえば黒色にしておけば、表示部材43が黒色になっていれば、電池の出力電圧が低下して交換する必要があるか、電源が接続されていないことを示している。
前述の表示部材43の回転は、図示されていないが、半回転したらストッパでそれ以上回転しないようにされているため、また、電磁石46は電流を停止しても磁極線が残留する磁性体を鉄心44として用いているため、短時間のパルス電圧を印加するだけで、電池の出力電圧にしきい値電圧を超える低下が生じない限り電流を流さないで、そのままの状態を維持する。
この動作により、殆ど電力を消耗することなく、常に正しい電源の状態を表示部で表示することができる。この一連の動作は、制御部3のマイクロプロセッサによる表示制御手段により図3のステップS1〜S5に示されるように行われるが、その説明は後述する。
また、図1には図示されていないが、電源1と並列にコンデンサを接続しておいて、またはコンデンサを接続しなくても内部の浮遊容量を利用して、図示しない電源スイッチがオフにされたり、商用電源のコンセントが抜かれたり、電池が取り外されたりして、通電できない状態になった場合でも、残留電力を利用して表示部4の表示を第2表示領域41bに切り替えることもできる。
図1には、制御部3と接続して点検スイッチ6が設けられている。この点検スイッチ6は、たとえば1か月とか、数か月単位で、警報器のセンサ類が正常に動作しているか否かを確かめるスイッチで、ユーザが実施するように勧められている。警報器には、この点検スイッチ6のように、外部から操作する外部操作手段が設けられている。
非通電式の表示部4では、表示の変更がある場合のみに表示部4が駆動されて、その表示領域が変更される。しかし、本発明では、表示部4が変更されるときのみにコイル45に電流を流すのではなく、それ以外にも、定期的に、たとえば電源の状態を表示部4で表示している場合に、その電源1の状態をチェックし、表示部4の表示がどのような状態であれ、電源1の状態の表示になるようにコイルに電流を流して、表示部4の表示を正規の表示領域41a、41bにする正規表示操作手段(図4参照)が制御部3に設けられていることに特徴がある。
この理由は、前述のように、電磁石46の鉄心45に保持力のある磁性体が用いられ、少々の振動でも、その状態を維持できるように形成されているが、外部から磁界が近付くと、表示部材43の磁石41cは容易に反応して回転してしまい、外部磁界によって、その表示が変更されてしまうことが起り得る。特に、最近では、健康管理上の観点からマグネット製品を身につけるケースも多く、人が近付くと意図しない表示部材43の反転が起り得る。そのような予期しない反転が起ると、警報器の信頼性が低下し、非常に危険な状態になる。そこで本発明では、表示部材43の表示が定期的に正常な表示領域41a、41bになるように正規表示操作手段が設けられている。
なお、このような意図しない表示部材43の反転は、前述のように、人が身につける磁気製品などに基づくことが主な原因であるため、表示部4の正規表示操作は、人の近付く可能性が高い、警報器の設置時とか、警報器の点検スイッチ6の作動時など、外部操作手段に触れるときに、通常の定期的にチェックする第1の設定時間よりも短い第2の設定時間または第3の設定時間の間隔で行われる。このような作業時に反転する事故については、終了後に正確な表示をすればよいように思われるが、ユーザにはその辺の事情が分からないし、設置時にユーザはよく注視していることが多い。そこで、異常表示になっていると、最初から誤表示だという印象を持たれ、信用を損ねる危険性があるため、随時修復しておくことが重要であるからである。
次に、電源1が電池の場合で、その電池の容量(電圧)が所定の電圧以上あり問題のない状態か、電圧が低下して電池の取り換えの必要がある状態かを非通電式の表示部4により表示している場合を例にとり、図3〜6のフローチャートを参照しながら、制御部3の表示制御手段および正規表示操作手段の動作について説明をする。なお、この表示は、電池1の容量状態を表示する場合のみならず、たとえばガス漏れ検知センサで、警報を発するほどのガス漏れはないが、いくらかのガス漏れがあり、換気の必要がある状態であることなどを、このような非通電式の表示部4により表示をすることもできる。
まず、この種の非通電式表示部4の通常の省電力の動作について、電源1の容量が正常か否かを表示する例で、図3を参照しながら説明する。まず、電源(電池)1が投入されると、電池1の電圧Vbatが基準しきい値電圧Vref以上であるか否かを判定する(S1)。電池1の電圧VbatがVref以上であれば(S1でY)、ステップS2に進み、そのステップS1での判定結果が、前回の判定結果と同じであるか否か調べる(S2)。この場合、前回の判定結果は、適宜保存されて比較できるようになっている。同じである(S2でY)なら、表示部4に何も操作しないで、ステップS1に戻り、同じ操作が繰り返される。ステップS2での判定が、前回の判定と異なっている(S2でN)なら、表示部4を第1表示領域41aにするように、第1端子45aに正の電圧を印加して通電を行う(S3)。
ステップS1の判定で、Vbat<Vrefである(S1でN)なら、ステップS4に進み、その判定結果が前回の判定結果と同じか否かを判定する(S4)。その判定が前回の判定結果と同じである(S4でY)なら、表示部4に何も操作をしないで、ステップS1に戻り、同じ操作が繰り返される。その判定が前の判定結果と異なっている(S4でN)なら、表示部4を第2表示領域41bにするように第3端子45cに正の電圧を印加して通電する(S5)。
以上のように、前回の判定結果と異なる判定が出たときのみに、表示部4のコイル45に通電をして、その表示領域41a、41bを変更し、前回の判定結果と異なっていないときは、何ら操作をしないことにより、無駄な電力の消費を防いでいる。なお、この表示部4の変更が必要か否かのチェックは、常時行ってもよいし、あまり変化の生じにくい状態の表示の場合なら、タイマを入れて、所定の時間ごとに繰り返すようにしてもよい。図3に示される例では、特にタイマを入れずに常時チェックする構成になっている。この所定時間ごとに行う場合は、予めそのように設定してもよいし、状況に応じて設定することもできる。たとえば数日連続して変化がない場合には、このインターバルを1時間程度から1日単位ぐらいに延ばしたり、後述するような特別モードで正規表示操作手段が作動した場合には、所定の時間通常よりも短い時間のインターバルで設定したりして、チェックをするように設定することもできる。
一方、前述のように、磁石を用いたこのようなラッチ式の非通電式表示部4では、前述のように、外部磁界の接近により、意に反してその表示領域が変化する場合が起り得る。そこで本発明は、そのような意図しない変化による問題を生じないように、正規表示操作手段が制御部3内に設けられている。この正規表示制御手段には、大きく分けて2種類の方法があり、第1の手段は、定期的にチェックして、その都度正規表示にする場合、第2の手段は、警報器の設置時や、外部操作手段が操作された場合など、特別の場合に短いインターバルで正規の表示にする場合である。図4に示されるフローチャートは、その正規表示にする操作を定期的に行う第1の手段の一例である。すなわち、この正規表示操作手段は、たとえば1時間とか数時間などの第1の設定時間t1ごとに、表示すべき状態を検出し、表示部4がどういう状態を表示していようとも、その正規の表示になるように、表示部4が駆動される。また、第2の手段は、特別モードともいうべきもので、たとえば人が近づくことにより、人が所持するマグネットにより、誤表示になる可能性が強いことに鑑み、人が近づく割合が多い警報器の設置時や、定期点検などの外部操作手段が操作される際の、人が警報器に触れる場合に行われる手段で、第1の手段より頻繁にその正規表示にする操作が行われる手段である。この2種類の態様の一連の動作を図4と図5〜6を参照して、前述の電源1が電池の場合に、その電池の容量が正常か、低下して取り換える必要があるかの表示の場合を例にとり、説明する。
図4の定期的に正規表示操作手段が行われる場合について説明する。定期的に正規表示手段が動作する場合、その動作のインターバルが第1の設定時間t1として予め設定される。この第1の設定時間t1は、通常は予め設定されるが、後発的に外部操作手段などにより変更することもできるし、ある事象の変化に応じて自動的に変更するように設定することもできる。前述のように、たとえば1時間とか、数時間とか、状況に応じて設定することができる。この第1の設定時間t1は、たとえば警報器に設けられる外部操作手段の1つにより途中で変更することもできる。さらに、後述する警報器の設置後第1所定時間の間は短いインターバルでチェックされるが、その後もある時間の間、その中間くらいのインターバルでチェックを行うなどの変更をすることもできる。勿論、これらはプログラムで設定しておくこともできる。そして、動作の開始と共に、第1タイマのカウントが開始され(S11)、その第1の設定時間t1がカウントされる。
次に、第1の設定時間t1を経過したか否かを判定する(S12)。前述のステップS11で第1タイマのカウントを開始しているので、その第1タイマにより経過時間がカウントされる。そして、第1タイマのカウントによる時間が、第1の設定時間t1を経過したか否かを判定する(S12)。第1タイマのカウント時間が第1の設定時間t1に達したら(S12でY)、電池1の電圧Vbatが正常か否か、すなわち、Vbat≧Vrefか否かを判定する(S13)。第1タイマのカウントによる時間が第1の設定時間t1に達していない(S12でN)なら、ステップS12に戻り、第1の設定時間t1になるまで繰り返す。
ステップS13で、Vbat≧Vrefである(S13でY)なら、ステップS14に進み、表示部4を第1表示領域41aにするように通電を行う(S14)。この場合は、表示部4の表示が第1表示領域41aになっていてもこの動作が行われる。ステップS13で、Vbat<Vrefである(S13でN)なら、表示部4を第2表示領域41bにするように通電を行う(S15)。なお、この動作は電池の容量が低下して、第2の表示領域が示されている場合でも、改めて第2の表示領域41bにする通電が行われる。電池が消耗しているにも拘らず、誤表示があると、一番危険であるからである。すなわち、表示部4の表示がどういう状態になっているかに拘わらず、電池1の状態に応じて、このような操作が行われる。その結果、表示部4が、意に反して変更されていても、正常な表示に正される。この第1表示領域41aまたは第2表示領域41bにする通電が行われた後は、第1タイマのカウントをリセットし(S16)、ステップS12に戻り、同じ動作が繰り返される。この動作は、電源1が動作しなくなるまで、永遠に繰り返される。しかし、この第1の設定時間は、前述のように、途中で変更することもできる。以上が定期的に行う正規表示操作手段の一例である。
次に、定期的な正規表示操作のみならず、警報器が人に触れる機会の多い、警報器の設置時や、動作点検スイッチなど、外部操作手段のスイッチが操作された場合に、特別な正規表示の操作が行われる実施形態について説明をする。説明の明確化のため、図4に示される定期的な正規表示操作手段とは別に並列して行われる(特別の正規表示操作手段)例で説明されるが、図4に示される定期的な正規表示操作手段と一体的に行うこともできる。すなわち、警報器の設置時には、たとえば作業者が警報器に電池をセットし、それからネジなどにより、天井や壁などに取り付けられる。その際に、作業者がマグネット製品を身につけていると、表示部4の表示に意に反した変更が生じる可能性があるため、短い周期でその表示の正常化を行うが、その取り付ける時間は、通常では30分程度である。従って、その第1所定時間T1の間、特別の正規表示操作手段が作動するようになっている。設置完了時に、きちんとした表示になっていれば問題が無いようにも思えるが、実際には、設置時には、ユーザが見ている場合が多く、目の前で警報器の電池が無い表示になると、電池が入っていないという不安な気持ちになる場合があるので、設置の作業中であっても、常に正規の表示になっていることが好ましい。そこで、このような変化しやすい期間には、頻繁に正規表示操作を行うように形成されている。
まず、警報器が設置される場合の特別モードの例が図5に示されている。この場合、この特別モードの動作を行う時間が第1所定時間T1として、また、正規表示操作手段が動作するインターバルを第2の設定時間t2として、予め設定される。この第1所定時間T1は、たとえば警報器の設置の場合であれば、30分程度を設定しておけばよいが、1時間程度にすることもできるし、15分程度にすることもできる。また、第2の設定時間t2も、予め設定しておくことができる。また、前述の例と同様に、第1所定時間T1、第2の設定時間t2も、後から変更することができる。この第2の設定時間t2は、一般的には、警報器の設置時には、人間が行うため、人間が保持する磁気製品や取付工具などの磁化により、表示器4の意図しない変更が起こりやすいことから前述の定期的なチェックよりも短いインターバルで正規表示操作が行われることが好ましい。そのため、前述の第1の設定時間t1よりも短くし、頻繁に正規表示の操作を行えるように、t2<t1に設定される。このように、第2の設定時間t2が短いと、度々正常な状態にされるため、意に反して誤表示になっても直ちに修正され、誤表示の認識を与えることがなく好ましい。しかし、1回あたりの正常表示操作が少ない電力とはいえ、電力を消耗するので、電池を長持ちさせようとするには好ましくない。これらの相関関係に鑑みて第2の設定時間t2が設定される。この第2の設定時間t2は、たとえば5分程度とか、数分程度、または10分程度などに設定される。
まず、図5に示されるように、第2タイマのカウントを開始する(S21)。この第2タイマは、第1所定時間T1のカウントをするもので、通常は電池の挿入から開始されるが、作業者がほぼ取り付けた状態からカウントするようにしてもよい。すなわち、警報器を取り付ける際には、常に人手に触れていて、作業者が磁気製品を保持していると、常にその磁気製品により表示部4は影響を受けている。従って、その取り付け作業が一段落した状態でカウントを開始するのが好ましい。取り付けが終わった後でも、動作確認などでまだ数十分は作業者が警報器に近づく場合が多い。前述のように、この第1所定時間T1の後に、前述の定期的な正規表示操作手段を行う。
また、第3タイマのカウントも開始される(S22)。この第3タイマは、第2の設定時間t2、すなわちこの特別モードでチェックを行うインターバルをカウントするタイマである。次に、ステップS23で、第2の設定時間t2が経過したか否かが判定され、経過していない(S23でN)ときは、ステップS23に戻り、第2の設定時間t2になるまで繰り返される。なお、この設定時間t2が経過するまでの間でも、前述の図4に示される正規表示操作手段は動作していてもよい。第2の設定時間t2を経過した(S23でY)とき、ステップS24に進み、Vbat≧Vrefかが判定される(S24)。Vbat≧Vrefである(S24でY)なら、第1表示領域41aにする通電を行う(S25)。ステップS24で、Vbat<Vrefである(S24でN)なら第2表示領域41bにする通電を行う(S26)。これらの操作は、表示部4の表示がいずれの表示になっていても、常に行われる。そして、このいずれかの表示操作を行った後に、第3タイマのカウントをリセットする(S27)。その後、電源投入から第1所定時間T1が経過したかが判定される(S28)。第1所定時間T1が経過していなければ(S28でN)、ステップS23に戻り、上記フローが繰り返される。ステップS28で、所定時間T1が経過している(S28でY)とき、この特別な警報器設置時の正規表示操作手段は終了する。
次に、第2の手段である特別モードの他の例として、操作スイッチなど、外部操作手段に触れた場合の正規表示操作手段の動作について、図6を参照しながら説明する。なお、ここでは、点検スイッチ6がオンにされた場合が例示されているが、点検スイッチ6に限らず、前述のように、人が警報器に近づくときに誤動作をしやすいことに基づいて、正規表示操作を行うものであり、このような点検スイッチに限らず、警報器のオン・オフをするスイッチや、その他の操作が行われた場合も想定されている。なお、点検スイッチ6は、前述のように、各センサが正常に機能しているか否かを定期的に確認するスイッチであり、ユーザが1ヶ月に1回程度点検スイッチをオンにすることが推奨されている。しかし、このような点検スイッチに限らず、警報器が警報を発しているときに、一時的に静止させるスイッチやその他各種スイッチに触れるような場合を含んでいる。
このモードは、点検スイッチ6など、外部操作手段が操作されたことにより、この第2の特別モードによる正規表示操作手段が始動する。この場合も、予め第2所定時間T2および第3の設定時間t3が定められている。なお第2所定時間T2および第3の設定時間t3も後から変更できるようにしてもよい。第2所定時間T2は、このようなスイッチがオンにされた場合などの特別な正規表示の操作での動作をどれだけの時間行うかを定めるもので、前述の警報器の設置の時間より早く済むことが想定されるため、一般的にはT2≦T1になる。しかし、これには制限されない。たとえばT2は、15〜30分程度に設定される。また、第3の所定時間t3は、このモードでのチェックをするインターバルを定めるもので、第2の設定時間t2と同じでもよいし、もっと間隔をあけてt2≦t3にしてもよい。
この特別モードのスタート共に、第4タイマのカウントを開始し(S31)、第5タイマのカウントを開始する(S32)。この第4タイマは、第2所定時間T2をカウントするもので、第5タイマは第3の設定時間t3をカウントするものである。ステップS33で、第3の設定時間t3が経過したか否かを判定する。この第3の設定時間t3が経過していないとき(S33でN)は、ステップS33に戻り、第3の設定時間t3になるまで繰り返す。なお、この設定時間t3が経過するまでステップ35が繰り返される間、図4に示される手段が並列に行われてもよい。すなわち、設定時間t3の経過を待つ間に通常の監視動作が行われてもよい。そして、第3の設定時間t3を経過した(S33でY)ら、Vbat≧Vrefか否かを判定する(S34)。Vbat≧Vrefの場合(S34でY)、第1表示領域41aにする通電を行う(S35)。Vbat<Vrefである(S34でN)なら、第2表示領域41bにする通電を行う(S36)。すなわち、この場合も、表示部4の表示がどういう表示になっていても、ステップS35またはステップS36の操作が行われる。そして、いずれかの表示操作が行われた後に、第5タイマを終了する(S37)。その後、スイッチがオンにされてから第2所定時間T2が経過したかを第4タイマにより調べる(S38)。第2所定時間T2を経過していない(S38でN)なら、ステップS32に戻り、同様のステップを繰り返す。また、第2所定時間T2が経過している(S38でY)なら、第4タイマのカウントを終了し(S39)、この警報器のスイッチ操作による特別な正規表示の操作は終了する。なお、この操作は、たとえば電池式の警報器で、電池容量が低下しているという表示になっていても、同様に繰り返される。電池容量が低下している場合に誤表示(たとえば、電池容量が十分にあるという表示)があるのが、一番危険であるからである。
以上の例では、電池の容量が所定のしきい値電圧以上か否かの例について説明したが、この例に限らず、たとえばガスセンサでガス漏れの検出をするセンサで、警報を鳴らしてガス漏れを報知する段階までは至っていないが、換気の注意を促したい場合に、ガス検知のある値を基準として、それ以上のガスを検知した場合に、表示部4の表示を変えるように設定することもできる。
前述の定期的な正規表示操作手段で行う第1の設定時間は、たとえば設定時間そのものを段々長くしたり、段々短くしたり変更する設定にすることもできる。
また電池電圧低下後は、第1の設定時間、第2の設定時間を長くするようにし、電池電圧の低下を抑制し、警報器が長く駆動するようにしてもよい。またこの場合に時間の経過にあわせて、段階的に第1の設定時間を長く変更するようにしてもよい。
また外部操作手段が所定期間(たとえば、1ヶ月)操作されていない場合には、表示部の表示は安定した状態にあると考えられるので、第1の設定時間を長くするようにし、省電力を図ってもよい。
また警報器が設置されてから所定期間(たとえば、3ヶ月)経過した場合は、表示部の表示は安定した状態にあると考えられるので、第1の設定時間を長くするようにし、省電力を図ってもよい。
また、外部操作手段のスイッチが操作されることにより特別モードに入る場合には、スイッチ操作の終了後、所定の時間が経過してから正規表示操作を1度行い、その後前述の図6のフローに入るようにしてもよい。また、スイッチ操作の終了後に正規表示操作手段が1回行われ、その後は通常の定期的な正規表示操作手段のフローに従ってもよい。
本発明によれば、以上説明されたように、磁気素子が用いられた非通電式の表示部が用いられ、外部磁界の接近により、意に反して表示部の表示が変っても、定期的に正規の表示にする操作手段が設けられているため、信頼性の高い警報器が得られ、ユーザも安心して利用することができる。