JP2018168251A - ポリオレフィン樹脂フィルム及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性に優れ、かつNOx変色が抑制されたポリオレフィン樹脂フィルム、及び、該ポリオレフィン樹脂フィルムを用いた積層体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン、酸化チタン及びリン系酸化防止剤を含有し、上記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものであるポリオレフィン樹脂フィルムであり、好ましくは、更に、重量平均分子量1000以下のヒンダードアミン系光安定剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂フィルム及び積層体に関する。
基材に意匠を付与するために、化粧フィルムを基材に貼り付ける方法が知られており、多くの用途で用いられている。従来、化粧シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や塩化ビニルからなるフィルムが用いられていたが、近年、環境対応への要求や、コストダウンの要求等に応えるべく、ポリオレフィン樹脂フィルムも用いられるようになってきている。
ポリオレフィン樹脂フィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂成分に、酸化防止剤、光安定剤、無機充填剤等の各種添加剤を配合した樹脂組成物をフィルム状に成形して製造したものが一般的である。ここで、酸化防止剤としては、種々のものが知られており、ポリオレフィン樹脂に対する酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤が一般的に使用されている。また、光安定剤は、ポリエチレンやポリプロピレンの耐候性を向上させるために配合される添加剤であり、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤が使用されている。
従来のポリオレフィン樹脂フィルムとしては、例えば、少なくともポリエチレン及びポリプロピレンのいずれか一方と、フェノール系酸化防止剤と、特定の構造を有するヒンダードアミン系光安定剤とを含有し、上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、ポリエチレンとポリプロピレンとの合計量に対して、0.05〜5重量%であるものが特許文献1に開示されている。特許文献1のポリオレフィン樹脂フィルムによれば、NOxガスによる変色を防止することができる。
特開2011−236369号公報
ところで、従来のポリオレフィン樹脂フィルムは、その使用態様によっては、変色が生じることがあった。例えば、光、熱、湿度といった刺激に対する耐久性(耐候性)を確認する試験において、40℃×90%といった高温高湿環境下で長期間光を当てた場合や、NOxガスリッチな環境下に暴露された場合に変色が生じることが分かっており、これらの変色を防止することが求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐候性に優れ、かつNOx変色が抑制されたポリオレフィン樹脂フィルム、及び、該ポリオレフィン樹脂フィルムを用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、変色のないポリオレフィン樹脂フィルムを得る方法について種々検討し、成形加工時における樹脂の劣化の抑制や、フィルムとしての耐久性を付与するために配合されていたフェノール系酸化防止剤が変色の原因であり、何らかの刺激条件が揃ったときに顕著な変色が発生すると考えた。また、刺激条件としては、顔料として配合していた酸化チタンによる光触媒反応、湿度(水分)、塩基性化合物が考えられた。そこで、光触媒活性の低い酸化チタンの使用や、酸化防止剤の種類の変更について更に検討した。この検討の結果、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、粒子表面に結合させる表面処理が施された酸化チタンが耐候性の向上(光、熱、湿度といった刺激による黄変の抑制)に効果があることが分かり、リン系酸化防止剤がNOx変色の抑制に効果があることが分かった。以上のことから、特定の表面処理が施された酸化チタン及びリン系酸化防止剤を組み合わせて使用することによって、耐候性に優れ、かつNOx変色が抑制されたポリオレフィン樹脂フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、ポリオレフィン、酸化チタン及びリン系酸化防止剤を含有し、上記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものであることを特徴とする。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、更に、重量平均分子量1000以下のヒンダードアミン系光安定剤を含有することが好ましい。
本発明の積層体は、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを基材に貼り付けたものであることを特徴とする。
本発明によれば、耐候性に優れ、かつNOx変色が抑制されたポリオレフィン樹脂フィルム、及び、該ポリオレフィン樹脂フィルムを用いた積層体を実現できる。また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、インキ剥離性及び成形性においても良好である。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを用いた積層体の一例を模式的に示した断面図である。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、ポリオレフィン、酸化チタン及びリン系酸化防止剤を含有し、上記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものであることを特徴とする。なお、本明細書において、「フィルム」は、「シート」と同義であり、厚さによって両者を区別していない。
[ポリオレフィン]
上記ポリオレフィンとしては特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、それらの混合物が好適に用いられる。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。ポリプロピレンとしては、例えば、単独重合ポリプロピレン(h−PP)、ランダム共重合ポリプロピレン(r−PP)、ブロック共重合ポリプロピレン(b−PP)、メタロセンポリプロピレン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記ポリオレフィンは、JIS K 7210に準拠して測定されたメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が、0.1〜4.0g/10minであることが好ましく、0.4〜2.0g/10minであることがより好ましい。MFRが上記範囲にあると、カレンダー加工によりフィルムを成形するのに適している。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、ポリオレフィン以外の樹脂成分を含有していてもよいが、樹脂成分としてポリオレフィンのみを含有することが好ましい。
[酸化チタン]
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、酸化チタンを含有する。白色顔料の酸化チタンを配合することにより、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、基材に貼り付けられた際に、下地となる基材を保護するとともに隠蔽し、耐久性及びデザイン性を向上させることができる。
上記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものである。上記表面処理を施された酸化チタンを用いることにより、耐候性向上(光、熱、湿度といった刺激による黄変の抑制)の効果が得られる。また、上記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種が粒子表面に結合していれば、Al等の他の物質が粒子表面に結合したものであってもよい。
上記表面処理の方法は特に限定されず、従来公知の表面処理法を用いることができる。例えば、スラリー系で粒子表面に沈着させる方法、高温高圧下で溶解度差により粒子表面に沈着させる方法等の湿式処理法や、酸化チタンの乾燥時又は粉砕時に表面処理剤を添加する方法、高温で表面処理剤を蒸気の状態で添加する方法等の乾式処理法や、機械的に混錬する方法や、粒子表面における化学反応により処理する方法が挙げられる。スラリー系で粒子表面に沈着させる方法では、酸化チタンを含むスラリーを調製し、これに表面処理剤を溶液の状態で添加し、酸化チタンに吸着させるか、あるいは酸化チタンの表面に化学反応により沈着させることが行われる。
上記酸化チタンは、塩素法によって作製された酸化チタンであることが好ましい。塩素法は、顔料用の酸化チタンの工業的製造方法として実用化されており、具体的には、原料(ルチル鉱石)をコークス・塩素と反応させ、一度ガス状の四塩化チタンにし、ガス状の四塩化チタンを冷却して液状にした後、高温で酸素と反応させ、塩素ガスを分離することによって酸化チタンを得る方法である。塩素法によって作製された酸化チタン粒子は、もう一つの顔料用の酸化チタンの工業的製造方法である硫酸法によって作製された酸化チタン粒子とは異なる表面状態を有することから、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理を好適に実施することができる。
上記酸化チタンの含有量は特に限定されず、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの所望の色味に応じて適宜調整してよいが、ポリオレフィン100重量部に対して、20〜50重量部とすることが好ましい。
[リン系酸化防止剤]
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、リン系酸化防止剤を含有する。リン系酸化防止剤を配合することにより、成形加工時の樹脂の劣化を防止することができる。また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの耐久性を向上させることができる。更に、酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を選択したことにより、NOx変色を抑制することができる。本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤ではなくリン系酸化防止剤を用いており、少なくともリン系酸化防止剤の含有量がフェノール系酸化防止剤の含有量よりも多く、フェノール系酸化防止剤を実質的に含有しないことが好ましい。
上記リン系酸化防止剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2018168251
上記リン系酸化防止剤は、ベンゼン環に2つの3級ブチル基(tBu)が結合した構造を含むものであることが好ましく、上記具体例の中では、下記式(1)に示す化合物(IUPAC名:3,9−Bis(2,6−di−tert−butyl−4−methylphenoxy)−2,4,8,10−tetraoxa−3,9−diphosphaspiro[5.5]undecane)、下記式(2)に示す化合物(IUPAC名:2,2’−Methylenebis(4,6−di−tert−butylphenyl)が該当する。
Figure 2018168251
上記式(1)及び(2)に示す化合物の中でも、上記式(2)に示す化合物は、フィルム表面への析出(ブルーム)が生じにくく、加水分解性の懸念もないため、特に好ましい。
上記リン系酸化防止剤の含有量は特に限定されず、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの所望の色味に応じて適宜調整してよいが、例えば、ポリオレフィン100重量部に対して、0.1〜0.5重量部とされる。
[ヒンダードアミン系光安定剤]
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、更に、ヒンダードアミン系光安定剤を含有してもよい。上記ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2018168251
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環(窒素原子を含む6員環)の窒素原子にアルキル基又はアルコキシル基が結合した構造を分子内に有するものが好ましく、上記具体例の中では、下記式(3)に示す化合物(IUPAC名:1,2,3,4−Butanetetracarboxylic acid, tetramethyl ester, reaction products with 1,2,2,6,6−pentamethyl−4−piperidinol and β,β,β’,β’−tetramethyl−2,4,8,10−tetraoxaspiro[5.5]undecane−3,9−diethanol)、下記式(4)に示す化合物(IUPAC名:Bis(1−undecanoxy−2,2,6,6−tetramethylpiperidin−4−yl)carbonate)等が該当する。
Figure 2018168251
また、上記ヒンダードアミン系光安定剤は、重量平均分子量1000以下であることが好ましい。重量平均分子量1000以下のヒンダードアミン系光安定剤(低塩基性)を配合することにより、重量平均分子量1000を超えるヒンダードアミン系光安定剤(高塩基性)を配合した場合と比べて、耐候性の向上(光、熱、湿度といった刺激による黄変の抑制)及びNOx変色の抑制という本発明の効果をより充分に発現させることができる。上記重量平均分子量は500〜1000であることがより好ましい。
上記重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値が用いられる。上記重量平均分子量(Mw)の測定条件は以下の通りである。
装置名:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:G7000HXL 7.8mmID×30cm 1本 GMHXL 7.8mmID×30cm 2本 G2500HXL 7.8mmID×30cm 1本(東ソー社製)
サンプル濃度:1.5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン100重量部に対して、0.01〜10重量部とされる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、必要に応じて、紫外線吸収剤、充填剤、着色剤(顔料)、難燃剤、帯電防止剤、補強剤、滑剤、改質剤、防カビ剤、発泡剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、ポリオレフィン樹脂フィルムに一般的に配合されるものを使用することができる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン・酸化アンチモン・酸化ニッケル固溶体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの表面には、必要に応じて、エンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工により表面にエンボス形状(凹凸形状)を付与すれば、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの質感を向上させることができる。また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの表面には、基材や積層される層との密着性を向上させるための表面処理が施されてもよい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、35〜200μmであることが好ましい。上記厚さが35μm未満では、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムが柔軟になり過ぎて施工性が低下するおそれや、耐候性が低下するおそれがある。一方、上記厚さが200μmを超えると、基材の表面形状への追従性が不充分となるおそれがある。また、フィルムの厚さを薄くすることは、フィルムの製造コストや環境負荷を低減できる点で好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によって作製することができる。具体的には、所定量の各原料を溶融混練して樹脂組成物とした後、これをカレンダー加工によってフィルムとすることによって製造することができる。具体的には、ポリオレフィン等の樹脂成分、塩素法酸化チタン、リン系酸化防止剤、更には必要に応じて、ヒンダードアミン系光安定剤や他の各種添加材を配合した後、これを連続混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等によって、通常、150〜200℃の温度で加熱混練して溶融し、樹脂組成物(混錬物)を調製する。続いて、この混練物を、ロール温度150〜220℃、好ましくは、160〜190℃のカレンダーロールに供給し圧延することより、所要厚さのフィルムをカレンダー加工によって得ることができる。カレンダー加工によれば、優れた表面平滑性及び高い厚み精度を有するフィルムとして成形することができる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、製造後、各種表面処理が施されてもよい。上記表面処理としては、例えば、コロナ処理(コロナ放電処理)、プラズマ処理、紫外線処理、電子線処理(電子線放射処理)等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、更に、必要に応じて、裁断、ロール状への巻き取り等の処理が行われる。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの用途は特に限定されず、種々の基材に貼り付けて用いることができるが、浴室、台所、洗面所、トイレ等の水回りの壁装に好適に用いられる。本発明のポリオレフィン樹脂フィルムによれば、塗装よりも簡易かつ安全な方法で、優れた耐久性及び意匠性を基材に付与することができる。
本発明の積層体は、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを基材に貼り付けたものであることを特徴とする。図1は、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを用いた積層体の一例を模式的に示した断面図である。図1に示した積層体は、透明フィルム11、印刷層12、本発明のポリオレフィン樹脂フィルム(ベースフィルム)13、プライマー層14、接着剤層15及び基材16が順に配置された構造を有する。
透明フィルム11は、例えば、透明樹脂によって形成されたフィルムである。透明樹脂としては、例えば、アクリル樹脂が挙げられる。透明フィルム11の厚みは特に限定されないが、例えば、100〜1000μmの範囲とされる。透明フィルム11は、印刷面の耐擦傷性を向上する目的等で設けられる。
印刷層12は、ベースフィルム13の表面全体を覆うものであってもよく、部分的に覆うものであってもよい。例えば、印刷層が、任意の図柄や情報等に対応する平面形状である場合には、印刷層がベースフィルム13の表面を部分的に覆うことになる。
印刷層12を形成するための印刷方法は特に限定されず、例えば、インクジェット印刷が用いられる。インクがベースフィルム13の表面に定着することで印刷層12が形成される。上記インクとしては、従来公知のインクを使用することができ、例えば、溶剤、顔料、ビヒクル等を含有するものが挙げられる。
プライマー層14は、例えば、シランカップリング剤、及び、シラン化合物とポリオレフィンとの反応生成物を主成分として含有する層である。使用するシランカップリング剤の種類は特に限定されず、従来公知のポリオレフィンとの接着性向上に適したシランカップリング剤を利用できる。プライマー層14は、各種のアプリケータを用いてプライマー組成物を塗工し、通常常温にて乾燥させて形成される。塗工方法としては、例えば、ハケ塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤバー法、ブレード法、ロールコーティング法等を用いて塗工できる。プライマー層14の厚みは特に限定されないが、例えば、2〜40μmの範囲とされる。
接着剤層15は、プライマー層14及び/又は基材16の表面に塗工した接着剤を硬化させた層である。上記接着剤としては、従来公知の接着剤を使用することができ、基材の材質等に応じて適宜選択すればよい。
基材16としては特に限定されないが、例えば、キッチン扉等の建築資材が好適である。すなわち、本発明の積層体は、キッチン用扉の裏貼りに用いられることが好ましい。上記基材16の材質は特に限定されず、例えば、ベニヤ板等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを基材へ貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、ラッピング、熱成形、真空成形が挙げられる。ラッピングの具体例としては、ドライヤーでフィルムを温めて軟らかくしながら、基材に沿わせて貼り付ける方法が挙げられる。また、真空成形の具体例としては、真空・圧空成形機としてTOM成形機を使用し、ヒーターの加熱温度80〜140℃で、基材にフィルムを貼り付ける方法が挙げられる。真空成形によれば、フィルムと基材の間に空気が入ることを効果的に防止できる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂(サンアロマー社製の「T−4005」)55重量部と、ポリエチレン系樹脂(京葉ポリエチレン社製の「T−8150」)45重量部と、リン系酸化防止剤(ADEKA社製の「アデカスタブPEP−36」、上記式(1)に示す化合物)0.3重量部と、NO−アルキル構造を含む重量平均分子量681の塩基性の非常に低いヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製の「アデカスタブLA−81」、上記式(4)に示す化合物)0.2重量部と、塩素法で製造された酸化チタン(日弘ビックス社製の「PO−CB0089」)42重量部と、炭酸カルシウム(充填剤)16重量部と、それぞれ微量のプレートアウト防止剤(付着防止剤)、ハイドロタルサイト(熱安定加工助剤)及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤とをバンバリーミキサーで混合し、180℃で溶融混練した。次に、得られた混錬物を、コモンヘッド型ミキシングロールに供給し、ロール温度165〜190℃で圧延し、厚さ60μmのポリオレフィン樹脂フィルムを製造した。上記酸化チタン「PO−CB0089」は、Si、Zn、ポリオール、シロキサン及びAlを、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものであった。
(実施例2)
ポリエチレン系樹脂「T−4005」55重量部と、ポリエチレン系樹脂「T−8150」45重量部と、リン系酸化防止剤(ADEKA社製の「アデカスタブHP−10」、上記式(2)に示す化合物) 2−ethylhexyl phosphite)0.1重量部と、NO−アルキル構造を含む重量平均分子量681の塩基性の非常に低いヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製の「アデカスタブLA−81」)0.5重量部と、塩素法で製造された酸化チタン「PO−CB0089」42重量部と、炭酸カルシウム(充填剤)16重量部と、それぞれ微量のプレートアウト防止剤(付着防止剤)、ハイドロタルサイト(熱安定加工助剤)及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とをバンバリーミキサーで混合し、180℃で溶融混練した。次に、得られた混錬物を、コモンヘッド型ミキシングロールに供給し、ロール温度165〜190℃で圧延し、厚さ60μmのポリオレフィン樹脂フィルムを製造した。
(比較例1)
ポリエチレン系樹脂「T−4005」55重量部と、ポリエチレン系樹脂「T−8150」45重量部と、ADEKA社製の「アデカスタブ2112」と「アデカスタブAO−60」を1:1の比率でブレンドしたフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製の「アデカスタブA−611」)0.2重量部と、分子量約2000の高塩基性のヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製の「アデカスタブLA−63P」)0.2重量部と、硫酸法で製造された酸化チタン(日弘ビックス社製の「PO−CB0076」)44重量部と、炭酸カルシウム(充填剤)16重量部と、それぞれ微量のプレートアウト防止剤(付着防止剤)、ハイドロタルサイト(熱安定加工助剤)及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤とをバンバリーミキサーで混合し、180℃で溶融混練した。次に、得られた混錬物を、コモンヘッド型ミキシングロールに供給し、ロール温度165〜190℃で圧延し、厚さ60μmのポリオレフィン樹脂フィルムを製造した。上記酸化チタン「PO−CB0076」は、Alを酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものであった。
(評価試験1)
実施例1、2及び比較例1で作製したポリオレフィン樹脂フィルムについて、下記の方法により評価した。その結果を下記表1に示した。
(1−1)破断強度及び破断時伸び
JIS K6732に準拠し、引張速度200mm/min、測定温度23℃±2の条件でタテ方向(フィルムの長さ方向、すなわちフィルム成形時の流れ方向)及びヨコ方向(フィルムの幅方向)における破断強度(N)及び破断時伸び(%)を測定した。
(1−2)加熱伸縮率
JIS K6732に準拠し、100℃、30分の条件で加熱した際のタテ方向及びヨコ方向における伸縮率(%)を測定した。
Figure 2018168251
上記表1から分かるように、実施例1、2及び比較例1のポリオレフィン樹脂フィルムは、いずれも破断強度、破断時伸び及び加熱伸縮率が目標値を超えており、良好な耐久性及び成形性を有するものであった。
(実施例3及び比較例2〜7)
酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び酸化チタンの種類を下記表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン樹脂フィルムを製造した。
(評価試験2)
実施例1、3及び比較例2〜7で作製したポリオレフィン樹脂フィルムについて、下記の方法により評価した。その結果を下記表2に示した。
(2−1)NOx評価
JIS L 0855(窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験方法)を参考に下記の方法でポリオレフィン樹脂フィルムのNOxガスによる変色の度合を評価した。評価サンプルとしては、実施例1、3及び比較例2〜7のポリオレフィン樹脂フィルムをそれぞれ30mm×60mmに切断した試験片を3つずつ準備した。
(1)デシケーター内を洗浄した後、デシケーター内に評価サンプルを入れた。
(2)100mlの蒸留水を入れたビーカーをデシケーター内へ入れた。
(3)0.1gの亜硝酸ナトリウムを10g(98%)の硫酸に入れ、直ちにデシケーターのふたを閉めた。
(4)デシケーターを60℃に設定したオーブン内に入れ、20時間放置した。
(5)取り出した評価サンプルの変色度合(ΔE)を、分光光度計(コニカミノルタホールディングス社製、SPECTROPHOTO METER CM−3600d)を用いて測定した。
(2−2)暗所黄変評価
恒温恒湿槽(暗所)内に試験片を入れ、試験片から200mm離して電球(パナソニック社製、「パルックボールプレミアEFA10ED/7H2/2T」)を取り付け、40℃×90%の環境下で試験片を20日間放置し、色調の変化を測定した。
Figure 2018168251
上記表2から分かるように、実施例1及び3のポリオレフィン樹脂フィルムは、NOx評価及び暗所黄変評価のいずれについても良好な結果であった。一方、比較例2〜5のポリオレフィン樹脂フィルムは、フェノール系酸化防止剤を用いたため、NOx評価及び暗所黄変評価のいずれにおいても、実施例1及び3のポリオレフィン樹脂フィルムよりも変色の程度が大きかった。比較例6及び7のポリオレフィン樹脂フィルムは、リン系酸化防止剤を用いたものの硫酸法酸化チタンが用いられたため、暗所黄変評価において、実施例1及び3のポリオレフィン樹脂フィルムよりも変色の程度が大きかった。
11 透明フィルム
12 印刷層
13 ポリオレフィン樹脂フィルム(ベースフィルム)
14 プライマー層
15 接着剤層
16 基材

Claims (3)

  1. ポリオレフィン、酸化チタン及びリン系酸化防止剤を含有し、
    前記酸化チタンは、Si、Zn、ポリオール及びシロキサンの少なくとも一種を、酸化チタン粒子の表面に結合させる表面処理が施されたものである
    ことを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルム。
  2. 更に、重量平均分子量1000以下のヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン樹脂フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン樹脂フィルムを基材に貼り付けたものであることを特徴とする積層体。
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