JP2018168239A - 粉体塗料及び静電粉体塗装方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)体積粒度分布指標GSDvが1.50以下である。
(2)平均円形度が0.96以上である。
(3)1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度が90℃以上115℃以下である。
(4)示差走査熱量測定において発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。
請求項1に係る発明は、
誘電損率が40×10−3以上150×10−3以下である粉体粒子を含む、
粉体塗料。
請求項2に係る発明は、
前記粉体粒子が、体積平均粒径が1nm〜100nmのコロイダルシリカを前記粉体粒子の全質量に対し、3質量%以上20質量%以下含有する、請求項1に記載の粉体塗料。
請求項3に係る発明は、
前記コロイダルシリカの含有量が、前記粉体粒子の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下含有する、請求項2に記載の粉体塗料。
請求項4に係る発明は、
前記粉体粒子の含水率が、前記粉体粒子の全質量に対し、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料。
請求項5に係る発明は、
前記粉体粒子の含水率が、前記粉体粒子の全質量に対し、0.2質量%以上3質量%以下である、請求項4に記載の粉体塗料。
請求項6に係る発明は、
前記粉体粒子が、酸化チタンを前記粉体粒子の全質量に対し、25質量%未満含有する、請求項1に記載の粉体塗料。
請求項7に係る発明は、
前記粉体粒子が、酸化チタンを前記粉体粒子の全質量に対し、25質量%以上50質量%以下含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉体塗料。
請求項8に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粉体塗料であって、帯電した粉体塗料を吐出して、粉体塗料を付塗装物に静電付着させる工程と、
被塗装物に静電付着した粉体塗料を加熱して、塗装膜を形成する工程と、を有する
静電粉体塗装方法。
本実施形態の粉体塗料は、誘電損率が40×10−3以上150×10−3以下である粉体粒子を含む。
本実施形態の粉体塗料によれば、静電反発の発生が抑制され、かつ、得られる塗膜の平滑性に優れる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
ここで、粉体粒子を含み、誘電損率が40×10−3以上15×10−3以下である粉体塗料を用いることにより、上記静電反発の発生が抑制される。
上記効果が得られる詳細な機構は不明であるが、下記のように推測している。
粉体粒子の誘電損率が40×10−3以上であることにより、塗布時の粉体粒子同士の静電反発が抑えられ、塗膜を形成した場合に静電反発の発生が抑制される。
また、粉体塗料の誘電損率が150×10−3以下であることにより、塗布している最中には粉体塗料が電荷を有するため、粉体粒子の静電的な付着に優れ、例えば塗布時の気流により粉体粒子が飛ばされてしまうことが抑制され、平滑性に優れた塗膜が形成される。
以下、本実施形態の粉体塗料の詳細について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、誘電損率が40×10−3以上150×10−3以下である粉体粒子を含む。
上記粉体粒子の誘電損率は、40×10−3以上150×10−3以下であり、50×10−3以上120×10−3以下であることが好ましく、60×10−3以上100×10−3以下であることがより好ましい。
粉体塗料における粉体粒子の誘電損率は、以下の方法により測定する。
初めに、外添剤を除去するため、500mlビーカーに、アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK)5.0g、イオン交換水995g、粉体塗料5.0gを投入し、超音波震盪機で30分間分散した後、2,000回転/分で20分間遠心分離を行い、上澄み液を廃棄し、沈殿物を回収した。この沈殿物を、イオン交換水995g、アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK)5.0gの混合溶液に投入し、泡立たない程度の速度で60分間撹拌し、再度、超音波震盪機で30分間分散した後、2,000回転/分で20分間遠心分離を行い、上澄み液を廃棄し、沈殿物を回収した。
回収した沈殿物を、イオン交換水1,000gに投入し、ウルトラタラックスを用い5,000回転/分で5分間分散した後、4枚羽撹拌機で150回転/分で30分間撹拌分散し、これをアスピレーターでろ過した。得られた固形分を、再度、イオン交換水1000gに投入し、ウルトラタラックスを用い5,000回転/分で5分間分散した後、4枚羽撹拌機で150回転/分で30分間撹拌分散し、これをアスピレーターでろ過した。この操作を、アスピレーターろ過液の伝導度が10μS/cm以下になるまで繰り返した。ろ過液の伝導度が10uS/cm以下になったら、固形分を凍結乾燥機(凍結温度−40℃、乾燥温度30℃)で乾燥した。
得られた乾燥粉を粉体粒子として、下記方法により誘電損率を測定した。
まず、粉体粒子5gをペレット状に成型し、20℃、相対湿度60%下において、電極〔SE−71型固体用電極、安藤電気(株)製〕間にセットし、LCRメーター(4274A型、横河ヒューレットパッカード製)にて、5V、周波数100kHzで測定する。
なお、誘電損率は下記の式(1)によって求められる。
(14.39/(W×D2))×Gx×Tx×1012 ・・・式(1)
ここで、W=2πf(f:測定周波数100kHz)、D:電極直径(cm)、Gx:電導度(S)、Tx:試料厚み(cm)を表す。
上記粉体粒子の誘電損率は、例えば、粉体粒子に含まれる水分量や、粉体粒子に含まれる酸化チタンなどの着色剤の種類、粒径、疎水性の有無及び含有量などによって決定される。
熱硬化性樹脂は、熱硬化反応性基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、従来、粉体塗料の粉体粒子として使用される様々な種類の樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。熱硬化性樹脂として非水溶性(疎水性)の樹脂を適用すると、粉体塗料(粉体粒子)の帯電特性の環境依存性が低減される。また、粉体粒子を凝集合一法により作製する場合、水性媒体中で乳化分散を実現する点からも、熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。なお、非水溶性(疎水性)とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部未満であることを意味する。
熱硬化性ポリエステル樹脂に含まれる熱硬化反応性基としては、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、酸無水物基、及び、ブロックイソシアネート基等が挙げられるが、合成が容易な点から、カルボキシル基、及び水酸基が好ましい。
熱硬化性ポリエステル樹脂は、硬化反応性基を有するポリエステル樹脂である。熱硬化性ポリエステル樹脂に含まれる熱硬化反応性基としては、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、酸無水物基、ブロックイソシアネート基等が挙げられるが、合成が容易な点から、カルボキシル基、及び水酸基が好ましい。
熱硬化性ポリエステル樹脂の熱硬化反応性基の導入は、ポリエステル樹脂を合成する際の多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行う。この調整により、熱硬化反応性基として、カルボキシル基、及び水酸基の少なくとも一方を有する熱硬化性ポリエステル樹脂が得られる。
また、ポリエステル樹脂を合成した後、熱硬化性反応基を導入して、熱硬化性ポリエステル樹脂を得てもよい。
他の単量体としては、例えば、1分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有する化合物(例えばジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート等)、モノエポキシ化合物(例えば「カージュラE10(シェル社製)」等の分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル)など)、種々の1価アルコール(例えばメタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、種々の1価の塩基酸(例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等)、種々の脂肪酸(例えばひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の等)等が挙げられる。
酸価と水酸基価との合計を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上しやすくなる。数平均分子量を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上すると共に、粉体塗料の貯蔵安定性も向上しやすくなる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、熱硬化反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂である。熱硬化性(メタ)アクリル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、熱硬化反応性基を有するビニル単量体を用いることがよい。熱硬化反応性基を有するビニル単量体は、(メタ)アクリル単量体((メタ)アクリロイル基を有する単量体)であってもよいし、(メタ)アクリル単量体以外のビニル単量体であってもよい。
他のビニル単量体としては、各種のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1等)、フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン化オレフィン(例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、各種の芳香族ビニル単量体(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、各種の不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのジエステル(例えばフマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル等)、各種の酸無水物基含有単量体(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸等)、各種の燐酸ステル基含有単量体(例えばジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2−(メアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等)、各種の加水分解性シリル基含有単量体(例えばγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、各種の脂肪族カルボン酸ビニル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9以上11以下の分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、環状構造を有するカルボン酸の各種のビニルエステル(例えばシクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等)などが挙げられる。
硬化性反応性基を有さないアクリル単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等)、各種の(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等)、各種のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート(例えばエチルカルビトール(メタ)アクリレート等)、他の各種の(メタ)アクリル酸エステル(例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等)、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体(例えばN−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、各種のアミノ基含有単量体(例えばtert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等)。
数平均分子量を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上しやすくなる。
なお、後述するように、粉体粒子がコア・シェル型粒子である際、樹脂被覆部の樹脂として熱硬化性樹脂を適用する場合には、上記の熱硬化性樹脂の含有量は、芯部及び樹脂被覆部の全熱硬化性樹脂の含有量を意味する。
熱硬化剤は、熱硬化性樹脂の熱硬化反応性基の種類に応じて選択する。
ここで、熱硬化剤とは、熱硬化性樹脂の末端基である熱硬化反応性基に対して、反応可能な官能基を有している化合物を意味する。
なお、後述するように、粉体粒子がコア・シェル型粒子である際、樹脂被覆部の樹脂として熱硬化性樹脂を適用する場合には、上記の熱硬化剤の含有量は、芯部及び樹脂被覆部の全熱硬化性樹脂に対する含有量を意味する。
本実施形態に係る粉体粒子は、静電反発の抑制の観点から、コロイダルシリカを含有することが好ましい。本実施形態において、コロイダルシリカとは、液体媒体中でコロイドとなる性質を有するシリカ粒子をいう。
コロイダルシリカは、結晶水を有する状態で粉体粒子に含まれることが好ましい。
例えば、含水率が2質量%以上のコロイダルシリカを粉体粒子に添加することにより、粉体粒子の誘電損率が調整される。
コロイダルシリカの含水率は、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが更に好ましい。
コロイダルシリカの体積平均粒径は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、8nm以上80nm以下がより好ましく、15nm以上50nm以下が更に好ましい。
上記体積平均粒径は、ナノトラックUPA−ST(マイクロトラック・ベル社製動的光散乱式粒度測定装置)を用いて測定される。また、測定条件は、サンプル濃度は20%、測定時間は300秒とする。この装置は、分散質のブラウン運動を利用して粒子径を測定するものであり、溶液にレーザー光を照射し、その散乱光を検出することにより粒子径を測定する。測定される粒度分布を基にして、分割された粒度範囲(チャンネル)に対して個々の粒子の体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径として求める。
コロイダルシリカの含有量は、粉体粒子の全質量に対し、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、4質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤は、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えばベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO)等が挙げられる。
例えば、着色剤の含有量は、粉体粒子を構成する全樹脂に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下がより好ましい。
粉体塗料がクリア塗料である場合、粉体粒子に含まれる着色剤が少ない又は全くないため、静電反発が発生しやすいと推測される。そのため、クリア塗料において粉体粒子の誘電損率を40×10−3以上とした場合には、着色塗料において粉体粒子の誘電損率を40×10−3以上とした場合よりも、静電反発の発生が大きく抑制されると考えられる。
また、本実施形態において、粉体塗料を着色塗料とする場合には、酸化チタンの含有量は、25質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、粉体粒子が酸化チタンを含有する場合、上記酸化チタンは硫酸法により製造された酸化チタンであることが好ましい。
酸化チタンの製造法としては、塩素法と硫酸法が挙げられるが、酸化チタン自体の誘電損率が高く、静電反発を更に抑制する観点から、本実施形態においては硫酸法による酸化チタンを用いることが好ましい。
粉体粒子には、2価以上の金属イオン(以下、単に「金属イオン」とも称する)を含むことがよい。この金属イオンは、後述するように、粉体粒子がコア・シェル型粒子である際には、粉体粒子の芯部及び樹脂被覆部のいずれにも含まれる成分である。
粉体粒子に2価以上の金属イオンを含むと、粉体粒子で金属イオンによるイオン架橋を形成する。例えば、熱硬化性樹脂の官能基(例えば、熱硬化性樹脂として、熱硬化性ポリエステル樹脂を使用した場合、熱硬化性ポリエステル樹脂のカルボキシル基又は水酸基)と金属イオンとが相互作用し、イオン架橋を形成する。このイオン架橋により、粉体粒子の内包物(熱硬化剤、及び熱硬化剤以外に必要に応じて添加される着色剤、その他の添加剤等)が粉体粒子の表面に析出する現象(所謂、ブリード)が抑制され、保管性が高まりやすくなる。また、このイオン架橋は、粉体塗料の塗装後、熱硬化をするときの加熱により、イオン架橋の結合が切れることで、粉体粒子の溶融粘度が低下し、平滑性の高い塗装膜を形成しやすくなる。
金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
無機金属塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)、多硫化カルシウム等が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩等が挙げられる。金属錯体として、具体的には、例えば、エチレンジアミン4酢酸、プロパンジアミン4酢酸、ニトリル3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等の公知のキレートをベースにした金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。
金属イオンの含有量を0.002質量%以上とすると、金属イオンによる適度なイオン架橋が形成され、粉体粒子のブリードを抑え、塗装塗料の保管性が高まりやすくなる。一方、金属イオンの含有量を0.2質量%以下とすると、金属イオンによる過剰なイオン架橋の形成を抑え、塗装膜の平滑性が高まりやすくなる。
その他の添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。
具体的には、その他の添加剤としては、例えば、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、表面調整剤(レベリング剤)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
本実施形態において、粉体粒子は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含有する芯部と、該芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、を有するコア・シェル型粒子であってもよい。
この際、芯部は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤の他、必要に応じて、前述したコロイダルシリカ、着色剤、その他の添加剤等を含有してもよい。
樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていてもよいし、他の成分(芯部を構成する成分として説明した熱硬化剤、その他の添加剤等)を含んでいてもよい。
但し、ブリードを低減させる点から、樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていることがよい。なお、樹脂被覆部が、樹脂以外の他の成分を含む場合でも、樹脂は樹脂被覆部全体の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)を占めることがよい。
樹脂被覆部の樹脂として、熱硬化性樹脂を適用する場合、この熱硬化性樹脂としては、芯部の熱硬化性樹脂と同様なものが挙げられ、好ましい例も同様である。但し、樹脂被覆部の熱硬化性樹脂は、芯部の熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。
なお、樹脂被覆部の樹脂として、非硬化性樹脂を適用する場合、非硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
具体的には、XPS測定は、測定装置として日本電子(株)製、JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施する。
上記条件で得られたスペクトルから、粉体粒子表面の芯部の材料に起因する成分と被覆樹脂部の材料に起因する成分をピーク分離することによって、粉体粒子表面の樹脂被覆部の被覆率を定量する。ピーク分離は、測定されたスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。
分離のベースとなる成分スペクトルは、粉体粒子の作製に用いた熱硬化性樹脂、硬化剤、顔料、添加剤、被覆用樹脂を単独に測定して得られたスペクトルを用いる。そして、粉体粒子で得られた全スペクトル強度の総和に対しての被覆用樹脂に起因するスペクトル強度の比率から、被覆率を求める。
樹脂被覆部の厚さは、次の方法により測定された値である。粉体粒子をエポキシ樹脂などに包埋し、ダイヤモンドナイフなどで切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察、複数の粉体粒子の断面画像を撮影する。粉体粒子の断面画像から樹脂被覆部の厚みを20か所測定して、その平均値を採用する。クリア粉体塗料などで断面画像において樹脂被覆部の観察が難しい場合は、染色を行って観察することで、測定を容易にすることもできる。
−体積粒度分布指標GSDv−
粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvは、塗装膜の平滑性、及び粉体塗料の保管性の点で、1.50以下であることが好ましく、1.40以下がより好ましく、1.30以下が更に好ましい。体積粒度分布指標GSDvが1.40以下であれば、塗膜の平滑性の悪化が抑制される。
また、粉体粒子の体積平均粒径D50vは、少量で平滑性の高い塗装膜を形成する点から、1μm以上25μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下が更に好ましい。
更に、粉体粒子の平均円形度は、0.97以上であることが好ましく、0.98以上がより好ましく、0.99以上が更に好ましい。
粉体粒子の平均円形度が0.97以上であれば、静電反発の抑制により優れる。
静電反発の抑制により優れる理由の詳細は不明であるが、粉体粒子の平均円形度が0.97以上であれば、塗布膜の形成時に、塗布膜における粉体粒子の密度が高くなり、粉体粒子の単位質量当たりの表面積が小さくなることから塗布膜中の粉体粒子の電荷保持量も小さくなるため、粉体粒子同士の静電反発が抑制されると推測している。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50,000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。
そして、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として算出される。
粉体粒子の含水率は、静電反発の抑制の観点から、粉体粒子の全質量に対し、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
粉体粒子の含水率は、TGAによる100℃までの熱減量により測定される。
本実施形態の粉体粒子は、無機粒子を含むことが好ましい。
前記無機粒子は、粉体粒子の表面に外添される。
外添方法としては特に制限はなく、粉体塗料の分野で公知の外添方法を使用することが可能である。
無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4を含む粒子が好ましく挙げられる。
本実施形態において用いられる無機粒子としては、静電反発の抑制により優れる観点から、チタニア粒子又は酸化亜鉛粒子が好ましく、チタニア粒子がより好ましい。
上記チタニア粒子の結晶形態としては、主にルチル型とアナターゼ型が知られており、そのいずれであっても本実施形態において用いることが可能であるが、塗膜の耐光性の観点から、ルチル型が好ましい。
本実施形態において、無機粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機粒子の体積平均粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、15nm以上90nm以下がより好ましく、20nm以上80nm以下が更に好ましい。
無機粒子の体積平均粒径が上記範囲であれば、粉体粒子への付着性に優れ、粉体塗料により得られる塗膜の平滑性がより向上する。
無機粒子の体積平均粒径は、下記方法により測定する。
まず、測定対象となる粉体塗料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する。そして、画像解析によって、測定対象となる無機粒子100個それぞれの円相当径を求め、その体積基準の分布における小径側から体積基準での累積50%の円相当径を体積平均粒径とする。
測定対象となる無機粒子100個の円相当径を求める画像解析は、解析装置(ERA−8900:エリオニクス社製)を用いて、倍率10,000倍の二次元画像を撮影し、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて、0.010000μm/pixel条件で投影面積を求め、式:円相当径=2×(投影面積/π)1/2で円相当径を求める。
なお、粉体塗料から、複数種類の外部添加剤の体積平均粒径を測定するには、各外部添加剤を区別する必要がある。具体的には、各種類の外部添加剤は、SEM−EDX(エネルギー分散型X線分析装置付きの走査型電子顕微鏡)による元素マッピングをおこない、各種類の外部添加剤に由来する元素を該当する外部添加剤に対応付けることで区別する。
本実施形態において用いられる無機粒子のアスペクト比は、1以上10以下であることが好ましい。
アスペクト比が上記範囲であれば、無機粒子が粉体粒子から遊離しにくく、かつ、粉体塗料により得られる塗膜の平滑性がより向上するため好ましい。
上記アスペクト比は、得られる塗膜の平滑性をより向上させる観点からは、1以上2未満であることが好ましく、1以上1.5以下であることがより好ましい。
また、上記アスペクト比は、無機粒子の粉体粒子からの遊離を防ぐ観点からは、2以上5以下であることが好ましく、2.5以上4.5以下であることがより好ましい。
上記アスペクト比は、粉体粒子上の無機粒子に対し、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:SU8010)の影像を付属の画像解析ソフトウェア(三谷商事(株)製、製品名:WinROOF)により粒子形状分析を行うことにより、長径(L)と短径(S)の比(L/S)として測定する。
本実施形態において用いられる無機粒子は、表面が予め疎水化処理されていてもよいが、粉体塗料により得られる塗膜の平滑性をより向上する観点からは、過剰に疎水化処理されていないことが好ましい。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機酸化物粒子を浸漬等することにより行うことができる。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において用いられる無機粒子は、体積固有抵抗が1×105Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下であることが好ましく、1×106Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることがより好ましく、1×107Ω・cm以上1×1011Ω・cm以下であることが更に好ましい。
体積固有抵抗が上記範囲内であれば、粉体塗料により得られる塗膜の平滑性がより向上するため好ましい。
無機粒子の体積固有抵抗は、下記方法により測定する。
まず、粉体粒子から無機粒子を分離する。そして、20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離した無機粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、無機粒子層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せ無機層を挟み込む。無機粒子間の空隙をなくすため、無機粒子層上に設置した電極板の上に4kgの荷重をかけてから無機粒子層の厚み(cm)を測定する。無機層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、無機粒子の体積固有抵抗(Ω・cm)を計算する。上記測定は、温度20℃、相対湿度50%の条件下において行う。無機粒子の体積固有抵抗(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρは無機粒子の体積固有抵抗(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは無機粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本実施形態においては、印加電圧が1000Vの時の体積固有抵抗を用いる。
・式:ρ=E×20/(I−I0)/L
無機粒子の含有量としては、粉体塗料により得られる塗膜の平滑性向上の観点から、粉体粒子の全質量に対し、0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.3質量%以上1.5質量%以下がより好ましい。
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、粉体粒子に対して外部添加剤を外添することにより得られる。
一方、湿式製法には、例えば、1)熱硬化性樹脂を得るための重合性単量体を乳化重合させた分散液と、他の原料の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、粉体粒子を得る凝集合一法、2)熱硬化性樹脂を得るための重合性単量体と、他の原料の溶液とを水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、3)熱硬化性樹脂と、他の原料の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等がある。なお、湿式製法の方が、熱的な影響が小さいことから好適に使用できる。
また、水系溶媒中で上述したコロイダルシリカを粉体粒子に含有させることにより、含水率が高いコロイダルシリカを粉体粒子に含有させられる。これにより、粉体粒子の含水率がより高くなり、粉体粒子の誘電損率がより高くなるため、静電反発がより抑制される。
また、上記製法により得られた粉体粒子を芯部(コア)にして、更に樹脂粒子を付着、加熱融合して、コア・シェル型粒子である粉体粒子を得てもよい。
具体的には、
熱硬化性樹脂を含む第1樹脂粒子、及び熱硬化剤が分散された分散液中で、前記第1樹脂粒子と前記熱硬化剤とを凝集して、又は、熱硬化性樹脂、及び熱硬化剤を含む複合粒子とが分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する工程(第1凝集粒子形成工程)と、
前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記第2樹脂粒子を凝集し、前記第2樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程(第2凝集粒子形成工程)と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程(融合合一工程)と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
なお、この凝集合一法により製造された粉体粒子は、第1凝集粒子が融合合一した部分が芯部となり、第1凝集粒子の表面に付着した第2樹脂粒子が融合合一した部分が樹脂被覆部となる。
そのため、第1凝集粒子形成工程で形成された第1凝集粒子を、第2凝集粒子形成工程を経ず、融合合一工程へと供し、第2凝集粒子の代わりに融合及び合一すれば、単層構造の粉体粒子が得られる。
第1凝集粒子凝集工程において、更にコロイダルシリカを添加することにより、コロイダルシリカを含有する粉体粒子が得られる。コロイダルシリカは、乾燥物として添加してもよいし、分散物として添加してもよいが、分散物として添加することが好ましく、水分散物として添加することがより好ましい。
なお、以下の説明では、着色剤を含む粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
まず、凝集合一法において使用する各分散液を準備する。
具体的には、芯部の熱硬化性樹脂を含む第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液、熱硬化剤が分散された熱硬化剤分散液、着色剤が分散された着色剤分散液、樹脂被覆部の樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液を準備する。
また、第1樹脂粒子分散液、及び熱硬化剤分散液に代えて、芯部用の熱硬化性樹脂、及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された複合粒子分散液を準備する。
なお、粉体塗料の製造方法の各工程において、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子、及び複合粒子を、総じて「樹脂粒子」と称し、これらの樹脂粒子の分散液を「樹脂粒子分散液」と称して説明する。
水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水性媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を水性媒体中に粒子状に分散する方法である。
例えば、樹脂粒子分散液が、ポリエステル樹脂粒子が分散されたポリエステル樹脂粒子分散液の場合、かかるポリエステル樹脂粒子分散液は、原料単量体を加熱溶融及び減圧下重縮合した後、得られた重縮合体を、溶剤(例えば酢酸エチル等)を加えて溶解し、更に、得られた溶解物に弱アルカリ性水溶液を加えながら撹拌、及び転相乳化することによって得られる。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
塩基性化合物としてはアンモニア、沸点が250℃以下の有機アミン化合物等が挙げられる。好ましい有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
塩基性化合物は、熱硬化性ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2倍当量以上9.0倍当量以下を添加することが好ましく、0.6倍当量以上2.0倍当量以下を添加することがより好ましい。0.2倍当量以上であれば、塩基性化合物添加の効果が認められ易い。9.0倍当量以下であれば、油相の親水性が過剰に増すことが抑制されるためと思われるが、粒径分布が広くなりにくく良好な分散液を得られ易い。
次に、第1樹脂粒子分散液と、熱硬化剤分散液と、着色剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とをヘテロ凝集させ、目的とする粉体粒子の径に近い径を持つ、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とを含む第1凝集粒子を形成する。
上述の混合分散液に、更にコロイダルシリカを加えることにより、第1凝集粒子にコロイダルシリカを含有させられる。
なお、凝集終了後、凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、凝集剤を過剰に添加した場合、粉体粒子の金属イオンの含有量の調整が実現される。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下がよく、0.1質量部以上3.0質量部未満が好ましい。
次に、得られた第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第2樹脂粒子分散液とを混合する。
なお、第2樹脂粒子は第1樹脂粒子と同種であってもよいし、異種であってもよい。
そして、混合分散液のpHを、例えば6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、例えば、第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合合一し、粉体粒子を形成する。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引ろ過、加圧ろ過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流式乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
なお、上記の混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。
更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使って粉体粒子の粗大粒子を取り除いてもよい。
本実施形態に係る静電粉体塗装方法は、本実施形態に係る粉体塗料であって、帯電した粉体塗料を吐出して、粉体塗料を被塗装物に静電付着させる工程(以下「付着工程」と称する。)と、被塗装物に静電付着した粉体塗料を加熱して、塗装膜を形成する工程(以下「焼付工程」と称する)と、を有する。
付着工程は、本実施形態に係る粉体塗料であって、帯電した粉体塗料を吐出して、粉体塗料を被塗装物に静電付着させる。
具体的には、付着工程では、例えば、静電粉体塗装機の吐出口と被塗布物の塗装面(導電性を有する面)との間に静電界を形成した状態で、静電粉体塗装機の吐出口から、帯電した粉体塗料を吐出し、粉体塗料を被塗装物の被塗装面に静電付着して、粉体塗料の膜を形成する。つまり、例えば、接地した被塗布物の被塗装面を陽極、静電粉体塗装機を陰極として電圧を印加し、両極に静電界(静電場)を形成し、帯電した粉体塗料を飛翔させて、被塗布物の塗装面に静電付着して、粉体塗料の膜を形成する。
なお、付着工程では、静電粉体塗装機の吐出口と被塗装物の塗装面とを相対的に移動しつつ、実施してもよい。
焼付工程では、被塗装物に静電付着した粉体塗料を加熱して、塗装膜を形成する。具体的には、加熱により、粉体塗料の膜の粉体粒子を溶融すると共に硬化させることで、塗装膜を形成する。
加熱温度(焼付温度)は、粉体塗料の種類に応じて選択される。一例として、加熱温度(焼付温度)は、例えば、90℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上220℃以下がより好ましく、120℃以上200℃以下が更に好ましい。なお、加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)に応じて調節する。
本実施形態に係る粉体塗料を用いることにより、静電反発が抑制され、かつ、平滑性に優れる塗膜が得られる。そのため、本実施形態に係る粉体塗料を被塗装物に付着させた後に、更に、本実施形態に係る粉体塗料又は他の粉体塗料を付着させ、一括で焼き付けを行った場合には、粉体塗料同士の界面及び最外層の平滑性に優れた塗膜が得られる。
<着色剤分散液(C1)の調製>
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3、(銅フタロシアニン)): 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK): 15質量部
・イオン交換水: 450質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.13μm、着色剤分散液(C1)の固形分比率は25質量%であった。
着色剤分散液(C1)の調製で用いたシアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Red 122、(キナクリドン))を用いた以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様の方法で固形分比率は25質量%の着色剤分散液(M1)を得た。
着色剤分散液(C1)の調製で用いたシアン顔料の代わりにイエロー顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Yellow 74、(モノアゾ顔料))を用いた以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様の方法で固形分比率は25質量%の着色剤分散液(Y1)を得た。
・酸化チタン(石原産業製 A−220): 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK): 15質量部
・イオン交換水: 400質量部
・0.3mol/lの硝酸: 4質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて3時間分散して酸化チタンを分散させてなる白色顔料分散液を調製した。レーザー回折粒度測定器を用いて測定したところ顔料分散液における酸化チタンの体積平均粒径は、0.25μm、白色顔料分散液固形分比率は25%であった。
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械(株)製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに下記組成物を投入した。
・ポリエステル樹脂(PES1)[テレフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンの重縮合体(モル比=100/60/38/2(mol%)、ガラス転移温度=62℃、酸価(Av)=12mgKOH/g、水酸基価(OHv)=55mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=12,000、数平均分子量(Mn)=4,000]: 240質量部
・ブロックイソシアネート硬化剤VESTAGONB1530(EVONIK社製): 60質量部
・ベンゾイン: 1.5質量部
・アクリルオリゴマー(アクロナール4F BASF社): 3質量部
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械(株)製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径は145nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が25質量%になるように調整した。これをポリエステル樹脂・硬化剤複合分散液(E1)とした。
−凝集工程−
・ポリエステル樹脂・硬化剤複合分散液(E1):180質量部(固形分45質量部)
・白色顔料分散液(W1): 160質量部(固形分40質量部)
・イオン交換水: 200質量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて混合及び分散した。次いで、1.0質量%硝酸水溶液を用い、pHを3.5に調整した。これに10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.50質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌の回転数を調整しながら、50℃まで昇温し、50℃で15分保持した後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.5μmとなったところで、シェルとしてポリエステル樹脂・硬化剤複合分散液(E1)60質量部をゆっくりと投入した。
投入後30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0とした。その後、90℃まで昇温し、5時間保持した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、ろ過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引ろ過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引ろ過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させて白色粉体粒子(1)を得た。
この白色粉体粒子(1)の粒径を測定したところ、体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、混合分散系を以下の構成にした。
・ポリエステル樹脂・硬化剤複合分散液(E1):180質量部
・白色顔料分散液(W1): 160質量部
・イオン交換水: 200質量部
・コロイダルシリカ(型番、日産化学社製):スノーテックスOS 2.1質量部
・イオン交換水: 200質量部
以上を混合及び分散し、10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.60質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を行った以外は白色粉体粒子(1)と同様にして白色粉体粒子(2)を得た。
この白色粉体粒子(2)の体積平均粒径D50vは6.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.2質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.60質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(3)を得た。
この白色粉体粒子(3)の体積平均粒径D50vは6.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.3質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.72質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(4)を得た。
この白色粉体粒子(4)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.4質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.74質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(5)を得た。
この白色粉体粒子(5)の体積平均粒径D50vは6.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。<白色粉体粒子(5)の作製>
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.5質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.77質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(6)を得た。
この白色粉体粒子(6)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.7質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.8質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(7)を得た。
この白色粉体粒子(7)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(7)に対し、着色剤分散液(C1)を50質量部加えた以外は白色粉体粒子(7)と同様にして青色粉体粒子(1)を得た。
この青色粉体粒子(1)の体積平均粒径D50vは6.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(7)に対し、着色剤分散液(M1)を50質量部加えた以外は白色粉体粒子(7)と同様にして赤色粉体粒子(1)を得た。
この赤色粉体粒子(1)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(7)に対し、着色剤分散液(Y1)を70質量部加えた以外は白色粉体粒子(7)と同様にして黄色粉体粒子(1)を得た。
この赤色粉体粒子(1)の体積平均粒径D50vは6.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.7質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.1質量部にし、融合合一条件を80℃、5時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(8)を得た。
この白色粉体粒子(8)の体積平均粒径D50vは6.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.98であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.8質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.6質量部にし、融合合一条件を80℃、3時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(9)を得た。
この白色粉体粒子(9)の体積平均粒径D50vは6.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.97であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.8質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.9質量部にし、融合合一条件を75℃、3時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(10)を得た。
この白色粉体粒子(9)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.96であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.9質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.8質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(11)を得た。
この白色粉体粒子(11)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを3.1質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.0質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(12)を得た。
この白色粉体粒子(12)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを3.3質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.0質量部にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(13)を得た。
この白色粉体粒子(13)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを3.5質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.6質量部にし、融合合一条件を90℃、6時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(14)を得た。
この白色粉体粒子(14)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを3.8質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.8質量部にし、融合合一条件を92℃、6時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(15)を得た。
この白色粉体粒子(15)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを6質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を1.8質量部にし、融合合一条件を94℃、6時間にした以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(16)を得た。
この白色粉体粒子(16)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.7質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.1質量部、10%塩化ナトリウム水溶液30質量部に変更した以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(17)を得た。
この白色粉体粒子(17)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.36、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.7質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.04質量部、10%塩化ナトリウム水溶液50質量部に変更した以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(18)を得た。
この白色粉体粒子(18)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.45、平均円形度は、0.99であった。
−凝集工程−
白色粉体粒子(1)に対し、コロイダルシリカを2.8質量部にし、ポリ塩化アルミニウム水溶液を0.01質量部、10%塩化ナトリウム水溶液70質量部に変更した以外は白色粉体粒子(2)と同様にして白色粉体粒子(19)を得た。
この白色粉体粒子(18)の体積平均粒径D50vは6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.53、平均円形度は、0.99であった。
各実施例及び比較例において、表1に記載した粉体粒子を含む粉体塗料を使用し、次のようにして静電粉体塗装を実施した。
粉体塗料を旭サナック製コロナガンXR4−110Cを装填した。
そして、鏡面仕上げのアルミ板の30cm×30cmの四角形テストパネル(被塗装物)に対して、パネル正面から30cmの距離(パネルとコロナガンの吐出口との距離)で、旭サナック製コロナガンXR4−110Cを上下左右にスライドさせて、粉体塗料を吐出して、パネルに静電付着させた。コロナガンの印加電圧は80kV、入力エア圧は0.55MPa、吐出量200g/分とし、パネルに付着させる粉体塗料の付着量を50g/m2、90g/m2、180g/m2、220g/m2とした4個の塗装面を作製した。なお各付着量は±5g/m2の範囲であれば良いものとした。
その後、180℃に設定した高温チャンバーに入れて30分加熱(焼付)した。このようにして、パネルに対して、静電粉体塗装を実施した。
各付着量における上記方法により焼付を行う前の吐出された粉体粒子による膜の表面を観察し、下記5段階の評価により評価した。評価結果は表2に記載した。
A:表面の凹みが、220g/m2の付着量の塗装面でも確認されない。
B:表面の凹みが、220g/m2の付着量の塗装面で面積1cm2に対し、1個以上10個未満。ただし50g/m2、90g/m2、180g/m2では確認されない。
C:表面の凹みが、220g/m2の付着量の塗装面で面積1cm2に対し、11個以上20個未満。180g/m2で1個以上10個未満、ただし50g/m2、90g/m2は確認されない。
D:表面の凹みが、220g/m2の付着量の塗装面で面積1cm2に対し、21個以上30個未満。180g/m2で11個以上20個未満、90g/m2で1個以上10個未満、ただし50g/m2では確認されない。
E:50g/m2で確認される。
許容されるのはDまでで、評価結果が複数及ぶときは、段階の低いほうを優先とした。例えば220g/m2の付着量の塗装面で3個確認され、180g/m2で4個確認された場合、段階の低いCとした。結果を表2に示す。
各付着量における上記方法により焼付を行った後の塗膜表面を観察し、下記5段階の評価により評価した。評価結果は表2に記載した。
A:いずれの塗膜表面にも塗膜荒れが認められない。
B:50g/m2、90g/m2、180g/m2では確認できないが220g/m2で、わずかな塗膜荒れが認められる。
C:180g/m2で、塗膜荒れが認められる。
D:90g/m2で、塗膜荒れが認められる。
E:50g/m2で、塗膜荒れが認められる。
なお、許容されるのはDまでとした。結果を表2に示す。
Claims (8)
- 誘電損率が40×10−3以上150×10−3以下である粉体粒子を含む、
粉体塗料。 - 前記粉体粒子が、体積平均粒径が1nm〜100nmのコロイダルシリカを前記粉体粒子の全質量に対し、3質量%以上20質量%以下含有する、請求項1に記載の粉体塗料。
- 前記コロイダルシリカの含有量が、前記粉体粒子の全質量に対し、5質量%以上20質量%以下含有する、請求項2に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子の含水率が、前記粉体粒子の全質量に対し、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子の含水率が、前記粉体粒子の全質量に対し、0.2質量%以上3質量%以下である、請求項4に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子が、酸化チタンを前記粉体粒子の全質量に対し、25質量%未満含有する、請求項1に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子が、酸化チタンを前記粉体粒子の全質量に対し、25質量%以上50質量%以下含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粉体塗料。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粉体塗料であって、帯電した粉体塗料を吐出して、粉体塗料を付塗装物に静電付着させる工程と、
被塗装物に静電付着した粉体塗料を加熱して、塗装膜を形成する工程と、を有する
静電粉体塗装方法。
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