JP2017061605A - 熱硬化性粉体塗料、塗装品、及び塗装品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料、塗装品、及び塗装品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料を提供する。【解決手段】湿式製法で製造された粉体粒子であって、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%以上0.05質量%以下である粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性粉体塗料、塗装品、及び塗装品の製造方法に関する。
粉体塗料の静電塗装は、塗装工程における揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)の排出量が少なく、しかも塗装後、被塗物に付着しなかった粉体塗料を回収し再利用できることから、地球環境保護の面で注目されている。粉体塗料として、種々のものが開示されている。
例えば、特許文献1には、平均粒径0.01μmから2μmの重合体微粒子を含む平均粒径3μmから70μmの会合粒子からなる塗料粉体、が開示されている。
国際公開第1995/25145号
本発明は、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%未満である場合又は0.05質量%超である場合に比べて、鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
湿式製法で製造された粉体粒子であって、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%以上0.05質量%以下である粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。
請求項2に係る発明は、
前記熱硬化性粉体塗料の、温度範囲80℃乃至200℃、昇温速度1℃/分、周波数1rad/秒の条件で測定された粘弾性スペクトルが、下記(1)、(2)及び(3)を満たす、請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
(1)貯蔵弾性率G’が10000Paを下回り始める温度T1が120℃以下である。
(2)120℃以下に損失正接が1を超える温度領域がある。
(3)損失正接が1を超える温度領域よりも高い温度領域に損失正接が1を下回り始める温度T2があり、前記温度T2が120℃超190℃以下である。
請求項3に係る発明は、
前記粘弾性スペクトルが、さらに下記(4)を満たす、請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
(4)20℃≦(前記温度T2−前記温度T1)<100℃
請求項4に係る発明は、
前記粉体粒子の体積平均粒径が4μm以上12μm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項5に係る発明は、
前記粉体粒子の平均円形度が0.965以上0.995以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項6に係る発明は、
前記粉体粒子の表面に付着した外部添加剤を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項7に係る発明は、
前記外部添加剤が、ヘキサメチルジシラザンにより表面処理されたシリカ粒子である、請求項6に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項8に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装された塗装品。
請求項9に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法。
請求項1、2、3に係る発明によれば、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%未満である場合又は0.05質量%超である場合に比べて、鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料が提供される。
請求項4に係る発明によれば、粉体粒子の体積平均粒径が4μm未満である場合又は12μm超である場合に比べて、鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料が提供される。
請求項5に係る発明によれば、粉体粒子の平均円形度が0.965未満である場合又は0.995超である場合に比べて、鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、外部添加剤を含まない場合に比べて、鮮映性に優れる塗膜を形成する熱硬化性粉体塗料が提供される。
請求項8、9に係る発明によれば、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%未満である場合又は0.05質量%超である場合に比べて、塗膜の鮮映性に優れる塗装品又は塗装品の製造方法が提供される。
本実施形態に係る粉体塗料の粘弾性スペクトルの一例である。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書において、「熱硬化性粉体塗料」を単に「粉体塗料」ともいう。
<熱硬化性粉体塗料>
本実施形態に係る粉体塗料は、湿式製法で製造された粉体粒子であって、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%以上0.05質量%以下である粉体粒子、を含む。
本実施形態に係る粉体塗料は、鮮映性に優れる塗膜を形成する。
製品塗装の技術に「鏡面塗装」がある。鏡面塗装は、塗膜を磨いて、鏡のように景色が映り込むほど鮮映性の高い表面を作り出す技術である。これまで、粉体塗料の塗装そのもので(つまり磨きの工程を経ることなく)鏡面塗装に近い鮮映性の高い塗膜を形成することは難しかった。粉体塗料の塗装で鏡面塗装に近い鮮映性の高い塗膜を形成するには、(a)焼付け前の塗膜の均一性が高いこと、及び、(b)粉体塗料の溶融流動性が高いこと、を満足する必要があると考えられている。
粉体塗料を構成する粉体粒子は一般的に、材料を混合し溶融させた後に粒子状に粉砕する方法(いわゆる混練粉砕法)で製造されているが、混練粉砕法で製造された粉体粒子は、粒度分布が広く、また、粒子の形状が不定形なので、少なくとも(a)を満足することは難しい。
一方、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法など)で製造された粉体粒子は、粒度分布が狭く且つ粒子の形状が球状に近いので、(a)を満足させやすいと考えられる。しかし、(b)を満足することは難しかった。その理由の一つとして、従来、被塗物の厚さの不均一性によって被塗装面の温度上昇にムラがあっても塗膜が硬化するように、粉体塗料の硬化温度は樹脂の組成や硬化剤の種類により比較的低めに設計されているという事情がある。粉体塗料の硬化のしやすさや製造コストを考慮すれば、上記設計(樹脂の組成や硬化剤の種類)および焼付けの条件を変更することなしに、湿式製法で製造された粉体粒子において(b)を満足させ、鮮映性を高めることが望ましい。
本発明者は鋭意検討の結果、湿式製法で製造された粉体粒子において、粉体粒子のEDTA含有量が0.0001質量%以上0.05質量%以下であることにより、(a)をより満足し、さらに(b)も満足し、塗膜の鮮映性が高まることを見出した。その機序として下記が推測される。
焼付け前の塗膜の均一性の高さは、被塗装面に粉体塗料が均一性高く付着することにより実現され、粉体塗料の付着の均一性の高さは、粉体塗料を構成する粉体粒子の粒度分布が狭いことと、粉体粒子1粒子当たりの帯電量が高いことで達成される。湿式製法で製造した粉体粒子は、粒度分布は狭いが、1粒子当たりの帯電量は、混練粉砕法で製造した粉体粒子よりも劣る傾向がある。その理由として、湿式製法の製造工程で用いる水性媒体(主に水)に由来する不純物としての金属イオンの影響が考えられる。
これに対して、湿式製法の製造工程でEDTAを適量用いると、EDTAが不純物としての金属イオンをキレートし、粉体粒子1粒子当たりの帯電量を高めると推測される。
一方、粉体塗料の溶融流動性は、樹脂が溶融することによる低粘度化と、樹脂の硬化が進行することによる高粘度化との均衡によって決まる。溶融流動性が低い、つまり、樹脂が充分に溶融して低粘度化し流動する前に樹脂の硬化が進行してしまうと、塗膜の鮮映性は高まらない。湿式製法で製造した粉体粒子では、製造工程で用いる水性媒体(主に水)に由来する不純物としての金属イオンが樹脂の周りに散在しており、この金属イオンが、(i)樹脂のアニオン性基(例えばカルボキシル基)とイオン架橋を過剰に形成し、樹脂の低粘度化を阻害する、及び(ii)樹脂と硬化剤との反応を促進する触媒の働きをして、樹脂の硬化速度を意図しないほどに速める、と考えられる。その結果、粉体塗料の溶融流動性が高まらないと推測される。
これに対して、湿式製法の製造工程においてEDTAを適量用いると、EDTAが不純物としての金属イオンをキレートすることにより(i)及び(ii)が抑制され、粉体塗料の溶融流動性を高めると推測される。
不純物としての金属イオンをキレートするためのキレート剤としては、EDTAが好適である。キレート剤の含有量が多いほど粉体粒子1粒子当たりの帯電量が低下する傾向があるところ、EDTAは、各種キレート剤の中でも効率よく金属イオンをキレートするので、使用量が比較的少量でよく好ましい。ただし、粉体粒子のEDTA含有量が0.05質量%超では、粉体粒子1粒子当たりの帯電量が低くなるので、本実施形態においては、EDTA含有量は0.05質量%以下である。
一方、EDTA含有量が0.0001質量%未満では、湿式製法の製造工程において用いたEDTAが少な過ぎ、不純物としての金属イオンを充分にキレートできず、粉体粒子1粒子当たりの帯電量を高めること、並びに(i)及び(ii)を抑制することが難しい。
以上の機序により、本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子のEDTA含有量が0.0001質量%以上0.05質量%以下であることにより、(a)をより満足し、さらに(b)も満足し、鮮映性に優れる塗膜を形成すると推測される。
本実施形態において、粉体粒子のEDTA含有量は、より好ましくは0.001質量%以上であり、更に好ましくは0.01質量%以上であり;より好ましくは0.04質量%以下であり、更に好ましくは0.03質量%以下である。本実施形態において、粉体粒子のEDTA含有量は、例えば、0.001質量%以上0.05質量%以下であり、0.001質量%以上0.04質量%以下であり、0.01質量%以上0.04質量%以下であり、0.01質量%以上0.03質量%以下である。
本実施形態に係る粉体塗料は、塗膜の鮮映性により優れる観点から、温度範囲80℃乃至200℃、昇温速度1℃/分、周波数1rad/秒の条件で測定された粘弾性スペクトルにおいて下記(1)、(2)及び(3)を満たすことが好ましく、さらに下記(4)を満たすことがより好ましい。
(1)貯蔵弾性率G’が10000Paを下回り始める温度T1が120℃以下である。
(2)120℃以下に損失正接が1を超える温度領域がある。
(3)損失正接が1を超える温度領域よりも高い温度領域に損失正接が1を下回り始める温度T2があり、前記温度T2が120℃超190℃以下である。
(4)20℃≦(温度T2−温度T1)<100℃
粉体塗料の粘弾性スペクトル及び上記(1)乃至(4)について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る粉体塗料の粘弾性スペクトルを示す概略図であり、貯蔵弾性率G’及び損失正接(tanδ)と温度との関係を示す。図1において、実線のグラフが貯蔵弾性率G’を示し、破線のグラフが損失正接(tanδ)を示す。
図1に示す粘弾性スペクトルでは、貯蔵弾性率G’は、温度範囲80℃乃至200℃において、温度が上昇するに伴い低下し、さらに温度が上昇すると増加に転じる。温度T1は、貯蔵弾性率G’が10000Paを下回り始めた時点の温度である。
この貯蔵弾性率G’の変動は、温度上昇に伴って粉体塗料に含まれる樹脂が溶融するので弾性が低下し(つまり軟化し)、さらに温度が上昇すると樹脂の硬化が進行するので弾性が増加することを反映している。
一方、tanδは、温度範囲80℃乃至200℃において、温度が上昇するに伴い増加し、120℃以下において1を超え、さらに温度が上昇すると低下に転じ1を下回る。温度T2は、tanδが1を下回り始めた時点の温度である。tanδが1を超える温度領域は、少なくともその一部が120℃以下に存在していればよく、120℃以下から120℃超の温度範囲にまたがって存在していてもよい。
このtanδの変動は、温度上昇に伴って粉体塗料に含まれる樹脂が溶融して流動性が増し、さらに温度が上昇すると樹脂の硬化が進行するので流動性が低くなることを反映している。
そして、120℃以下において、貯蔵弾性率G’が10000Paを下回り始め且つtanδが1を超えること((1)且つ(2))は、比較的低温(120℃以下)で樹脂が充分に軟化し且つ流動することを意味している。
一方、tanδが1を超えた後に1を下回り且つtanδが1を下回り始める温度が120℃超190℃以下であること((3))は、通常の焼付けの温度範囲内において、樹脂が充分に軟化し流動した後に硬化することを意味している。
(1)、(2)及び(3)を満たすことは、上記の事象がともに実現されることを意味しており、この場合、粉体塗料に含まれる樹脂の軟化と硬化とが均衡して進行し、その結果、塗膜の鮮映性が高まる。さらに(4)を満たすことは、粉体塗料に含まれる樹脂の軟化と硬化とがより均衡して進行することを意味しており、この場合、塗膜の鮮映性がより高まる。
以上に述べた観点から、温度T1は、120℃以下であり、より好ましくは80℃以上120℃以下であり、更に好ましくは90℃以上120℃以下であり、更に好ましくは90℃以上110℃以下である。
また、温度T2は、120℃超190℃以下であり、より好ましくは125℃以上180℃以下であり、更に好ましくは130℃以上170℃以下である。
温度T2と温度T1の温度差(温度T2−温度T1)は、20℃以上100℃未満であり、より好ましくは30℃以上80℃以下であり、更に好ましくは40℃以上70℃以下である。
本実施形態において、粉体塗料の粘弾性スペクトルは、粘弾性測定装置(ARES測定システム、TAインスツルメンツ社)を用い、正弦波振動法により測定する。具体的には下記の方法で測定する。
粉体塗料を錠剤(直径25mm×厚さ1mm)に成形し、直径25mmのパラレルプレートにセットし、100℃で5分間溶融させた後80℃まで降温して、80℃で10分間温度を安定させた後、温度80℃から200℃まで昇温速度1℃/分で加熱しながら、測定周波数1rad/秒、測定間隔0.5℃で貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”を測定する。損失正接(tanδ)は、(損失弾性率G”÷貯蔵弾性率G’)で定義される。
以下、本実施形態に係る粉体塗料の詳細について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子に着色剤を含まない透明粉体塗料(クリア塗料)、及び粉体粒子に着色剤を含む着色粉体塗料のいずれであってもよい。本実施形態において粉体粒子は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含有することが好ましい。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を含み、さらに、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を含んでいてもよい。本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)が抑制されて被塗装面に均一性高く付着すること、及び粉体粒子の流動性を高めることにより、より鮮映性に優れる塗膜を形成する観点から、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を有することが望ましい。
[粉体粒子]
粉体粒子の構造は特に限定されるものではない。粉体粒子は、芯部と、芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、を有する構造であることが好ましい。つまり、粉体粒子は、コア/シェル構造を有する粒子であることが好ましい。
本実施形態において、粉体粒子のEDTA含有量は、28℃において0.5MのNaOH水溶液50mLに粉体粒子0.1gを分散させて調製した分散液のEDTA含有量(質量基準)と定義し、下記の操作1)乃至6)に従って求めた値をいう。
1)粉体粒子0.1gを秤量し、これに0.5MのNaOH水溶液50mL、及び20質量%界面活性剤(テイカパワー、テイカ社)を適量加え、28℃においてボールミルを用いて2時間攪拌する。
2)1)で得た液を、回転数2000rpmで30分間、遠心分離する。
3)2)で得た上澄み液を、JIS規格5Aの濾紙に通す。
4)3)で得た濾液8.5mLと、酢酸緩衝溶液1.0mL(1M酢酸20.0mL、1M酢酸ナトリウム30.0mL、及びイオン交換水100mLを充分に混合した溶液)と、0.19質量%塩化鉄(III)水溶液0.5mLとを三角フラスコに秤量し、充分に混合する。
5)4)で得た試料のEDTA含有量を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定する。HPLCの装置及び条件は下記のとおりである。
分析装置:LaChromElite L−2000、日立ハイテクノロジーズ
カラム:Gelpack GL−W520−S(直径7.8mm×300mm)、日立化成
検出器:L−2455型ダイオードアレイ検出器、日立ハイテクノロジーズ
測定波長:UV190nm〜400nm
定量波長:UV284nm
移動相:50mMリン酸水素2カリウム
送液速度:1.0mL/min
サンプル注入量:10μL
カラム温度:50℃
6)下記の計算式に従って、分散液のEDTA含有量を算出する。
分散液のEDTA含有量=HPLC試料のEDTA含有量×(50mL÷8.5mL)
粉体粒子の体積平均粒径D50vは、被塗装面に粉体塗料がより均一性高く付着し、結果、塗膜の鮮映性をより高める観点から、4μm以上12μm以下が好ましく、4.5μm以上11μm以下がより好ましく、5μm以上10μm以下が更に好ましい。
粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvは、粗粉に起因する凹凸及び微粉に起因する流動性低下を抑制して、結果、塗膜の鮮映性及び平滑性をより高める観点から、1.50以下が好ましく、1.40以下がより好ましく、1.30以下が更に好ましい。
粉体粒子の平均円形度は、焼付け前の塗膜において空隙が形成されにくく、結果、塗膜の鮮映性及び平滑性をより高める観点から、0.965以上0.995以下が好ましく、0.970以上0.995以下がより好ましく、0.975以上0.995以下が更に好ましい。
粉体粒子の体積平均粒径D50v、及び体積粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として50μmのアパーチャーを用いて1μm以上30μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積基準の累積分布を小径側から描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。体積粒度分布指標GSDvは(D84v/D16v)として算出される。
粉体粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000、シスメックス)を用いて測定される。具体的には、予め不純固形物を除去した水100ml以上150ml以下の中に、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml以上0.5ml以下加え、ここに測定試料を0.1g以上0.5g以下加える。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分間以上3分間以下分散処理を行ない、分散液濃度を3000個/μl以上1万個/μl以下とする。この分散液に対して、フロー式粒子像分析装置を用いて、粉体粒子の平均円形度を測定する。
粉体粒子の平均円形度は、粉体粒子について測定されたn個の各粒子の円形度(Ci)を求め、下記式により算出される値である。下記式中、Ciは、円形度(=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長)を示し、fiは、粉体粒子の頻度を示す。
[芯部]
粉体粒子が芯部と樹脂被覆部とを有する構造である場合、芯部は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含むことが好ましく、さらに、着色剤等のその他添加剤を含んでいてもよい。
−熱硬化性樹脂−
熱硬化性樹脂は、熱硬化反応性基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、粉体塗料の粉体粒子に従来使用されている様々な種類の樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。熱硬化性樹脂として非水溶性(疎水性)の樹脂を適用すると、粉体塗料(粉体粒子)の帯電特性の環境依存性が低減される。また、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、水性媒体中で乳化分散を実現する点からも、熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。非水溶性(疎水性)とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部未満であることを意味する。
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性(メタ)アクリル樹脂及び熱硬化性ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
・熱硬化性(メタ)アクリル樹脂
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、熱硬化反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂である。熱硬化性(メタ)アクリル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、熱硬化反応性基を有するビニル単量体を用いることがよい。熱硬化反応性基を有するビニル単量体は、(メタ)アクリル単量体((メタ)アクリロイル基を有する単量体)であってもよいし、(メタ)アクリル単量体以外のビニル単量体であってもよい。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の熱硬化反応性基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、酸無水基、(ブロック)イソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル樹脂の熱硬化反応性基としては、(メタ)アクリル樹脂が製造容易な観点から、エポキシ基、カルボキシル基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。粉体塗料の貯蔵安定性及び塗膜外観が優れる観点から、熱硬化反応性基の少なくとも一種はエポキシ基であることが好ましい。
熱硬化反応性基としてエポキシ基を有するビニル単量体としては、例えば、各種の鎖式エポキシ基含有単量体(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等)、各種の(2−オキソ−1,3−オキソラン)基含有ビニル単量体(例えば、(2−オキソ−1,3−オキソラン)メチル(メタ)アクリレート等)、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル単量体(例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。
硬化性反応性基としてカルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、各種のカルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等)、各種のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのモノエステル類(例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノtert−ブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノtert−ブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル等)、各種のイタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル等)などが挙げられる。
硬化性反応性基として水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、各種の水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等)、上記各種の水酸基含有(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加反応生成物、各種の水酸基含有ビニルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等)、上記各種の水酸基含有ビニルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物、各種の水酸基含有アリルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル等)、上記各種の水酸基含有アリルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物などが挙げられる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の構成単位となる硬化性反応性基を有しない(メタ)アクリル単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等)、各種の(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等)、各種のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート(例えば、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等)、他の各種の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等)、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体(例えば、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、各種のアミノ基含有単量体(例えば、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体以外にも、硬化反応性基を有しない他のビニル単量体が共重合されていてもよい。
他のビニル単量体としては、各種のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等)、フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン化オレフィン(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、各種の芳香族ビニル単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、各種の不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのジエステル(例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル等)、各種の酸無水基含有単量体(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸等)、各種のリン酸ステル基含有単量体(例えば、ジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等)、各種の加水分解性シリル基含有単量体(例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、各種の脂肪族カルボン酸ビニル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9以上11以下の分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、環状構造を有するカルボン酸の各種のビニルエステル(例えば、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等)などが挙げられる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、塗膜の平滑性に優れる観点から、数平均分子量が1,000以上20,000以下であることが好ましく、1,500以上15,000以下であることがより好ましい。
・熱硬化性ポリエステル樹脂
熱硬化性ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを少なくとも重縮合した重縮合体である。熱硬化性ポリエステル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行う。この調整により、熱硬化反応性基として、カルボキシル基及び水酸基の少なくとも一方を有する熱硬化性ポリエステル樹脂が得られる。
多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、これら酸の無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、これら酸の無水物;マレイン酸、イタコン酸、これら酸の無水物;フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、これら酸の無水物;シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸;等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビス−ヒドロキシエチルテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール、オクタンジオール、ジエチルプロパンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート等が挙げられる。
熱硬化性ポリエステル樹脂は、多塩基酸及び多価アルコール以外の他の単量体が重縮合されていてもよい。
他の単量体としては、例えば、一分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有する化合物(例えば、ジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート等)、モノエポキシ化合物(例えば、「カージュラE10(シェル社)」等の分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル)など)、種々の1価アルコール(例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、種々の1価の塩基酸(例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等)、種々の脂肪酸(例えば、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の等)等が挙げられる。
熱硬化性ポリエステル樹脂の構造は、分岐構造のものでも、線状構造のものでもよい。
熱硬化性ポリエステル樹脂は、塗膜の平滑性に優れる観点から、酸価と水酸基価との合計が10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、且つ数平均分子量が1000以上100,000以下であるポリエステル樹脂が好ましい。
芯部に含まれる熱硬化性樹脂は、低温で焼き付けた場合でも塗膜の平滑性に優れる観点から、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下であることが好ましく、55℃以下であることがより好ましい。また、芯部に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ブロッキング等の保管安定性の観点から、40℃以上であることが好ましい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
芯部の熱硬化性樹脂の含有量は、20質量%以上99質量%以下が好ましく、30質量%以上95質量%以下が好ましい。
−その他の樹脂−
芯部は、非硬化性樹脂を含んでいてもよい。但し、芯部において全樹脂に占める非硬化性樹脂の割合は、塗膜の硬化密度(架橋密度)向上の観点から、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれていないことが好ましい。即ち、芯部に含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂のみであることが好ましい。
芯部が非硬化性樹脂を含む場合、非硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
−熱硬化剤−
熱硬化剤は、熱硬化性樹脂の熱硬化反応性基の種類に応じて選択する。
具体的には、熱硬化性樹脂の熱硬化反応性基がエポキシ基の場合、熱硬化剤としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の酸;これら酸の無水物;これらの酸のウレタン変性物;などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化剤としては、塗膜物性及び貯蔵安定性の観点から、脂肪族二塩基酸が好ましく、塗膜物性の点から、ドデカン二酸が特に好ましい。
熱硬化性樹脂の熱硬化反応性基がカルボキシル基の場合、熱硬化剤としては、例えば、種々のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル等)、エポキシ基含有アクリル樹脂(例えば、グリシジル基含有アクリル樹脂等)、種々の多価アルコール(例えば、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等)のポリグリシジルエーテル、種々の多価カルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)のポリグリシジルエステル、種々の脂環式エポキシ基含有化合物(例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート等)、ヒドロキシアミド(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド等)などが挙げられる。
熱硬化性樹脂の熱硬化反応性基が水酸基の場合、熱硬化剤としては、例えば、ブロック型イソシアネート、アミノプラスト等が挙げられる。ブロック型イソシアネートを構成するイソシアネート化合物としては、有機ジイソシアネート、有機ジイソシアネートの重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をも含む)、有機ジイソシアネートの多価アルコール付加物、有機ジイソシアネートの低分子量ポリエステル樹脂(例えば、ポリエステルポリオール)付加物、有機ジイソシアネートの水付加物などが挙げられる。ここで、有機ジイソシアネートとしては、各種の脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、各種の環状脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等)、各種の芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)などが挙げられる。イソシアネート基のブロック剤としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物が挙げられる。
熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化剤の含有量は、芯部の熱硬化性樹脂に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤は、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えば、ベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料;などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO);などが挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤の含有量は、顔料の種類、塗膜に求められる色彩、明度、及び深度等に応じて選択する。例えば、着色剤の含有量は、芯部及び樹脂被覆部の全樹脂に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下が好ましい。
−その他添加剤−
その他添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。具体的には、その他添加剤としては、例えば、表面調整剤(シリコーンオイル、アクリルオリゴマー等)、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
[樹脂被覆部]
樹脂被覆部は、樹脂を含む。樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていてもよいし、他の添加剤(芯部で説明した熱硬化剤、その他添加剤等)を含んでいてもよい。樹脂被覆部は、粉体粒子表面のブリード発生を低減する観点からは、樹脂のみで構成されていることが好ましい。
樹脂被覆部の樹脂は、非硬化性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。樹脂被覆部の樹脂は、塗膜の硬化密度(架橋密度)向上の観点から、熱硬化性樹脂であることがよい。樹脂被覆部の樹脂として熱硬化性樹脂を適用する場合、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性(メタ)アクリル樹脂及び熱硬化性ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。樹脂被覆部の熱硬化性樹脂は、芯部の熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。樹脂被覆部の樹脂として非硬化性樹脂を適用する場合、非硬化性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
樹脂被覆部に含まれる樹脂は、低温で焼き付けた場合でも塗膜の平滑性に優れる観点から、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下であることが好ましく、55℃以下であることがより好ましい。また、樹脂被覆部に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ブロッキング等の保管安定性の観点から、40℃以上であることが好ましい。
粉体粒子表面における樹脂被覆部の被覆率は、粉体粒子表面のブリード発生を抑制する観点から、30%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がより好ましい。
粉体粒子表面における樹脂被覆部の被覆率は、X線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により求められる。具体的には、XPSは、測定装置としてJPS−9000MX(日本電子)を用い、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施する。
上記条件で得られたスペクトルから、粉体粒子表面の芯部の材料に起因する成分と被覆樹脂部の材料に起因する成分とをピーク分離することによって、樹脂被覆部の被覆率を定量する。ピーク分離は、測定されたスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。ピーク分離のベースとなる成分スペクトルは、粉体粒子の作製に用いた、芯部の樹脂、硬化剤、顔料、添加剤、樹脂被覆部の樹脂を単独に測定して得られたスペクトルを用いる。そして、全スペクトル強度の総和に対する樹脂被覆部の樹脂に起因するスペクトル強度の比率から、被覆率を求める。
樹脂被覆部の厚さは、粉体粒子表面のブリード発生を抑制する点で、0.05μm以上0.7μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。
樹脂被覆部の厚さは、次の方法により測定される値である。粉体粒子をエポキシ樹脂等に包埋し、ダイヤモンドナイフ等で切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)等で観察し、複数の粉体粒子の断面画像を撮影する。粉体粒子の断面画像から樹脂被覆部の厚さを20か所測定して、その平均値を採用する。クリア塗料などの断面画像において樹脂被覆部と芯部との区別が難しい場合は、染色を行って観察することで、測定を容易にすることもできる。
粉体粒子の全熱硬化性樹脂の含有量は、粉体粒子全体に対して、20質量%以上99質量%以下が好ましく、30質量%以上95質量%以下が好ましい。
粉体粒子の全熱硬化剤の含有量は、粉体粒子全体の全熱硬化性樹脂に対して、1質量%以上35質量%以下が好ましく、3質量%以上25質量%以下が好ましい。
[2価以上の金属イオン]
粉体粒子は、粉体塗料の保管性の観点からは、2価以上の金属イオン(以下、単に「金属イオン」とも言う。)を含むことがよい。2価以上の金属イオンは、粉体粒子が芯部と樹脂被覆部とを有する構造である場合には、芯部及び樹脂被覆部のいずれに含まれていてもよい。2価以上の金属イオンは、粉体粒子に含まれる樹脂が有するカルボキシル基又は水酸基と相互作用しイオン架橋を形成する。このイオン架橋により、粉体粒子表面への各種成分のブリードが抑制され、粉体塗料の保管性が向上する。
2価以上の金属イオンとしては、例えば、2価以上4価以下の金属イオンが挙げられる。具体的には、例えば、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、及びカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンが挙げられる。
金属イオンの供給源(粉体粒子に添加剤として含ませる化合物)としては、例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体等が挙げられる。これらは、例えば、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として粉体粒子に添加する。ほかに、例えば、熱硬化反応を促進する触媒として粉体粒子に添加したり、特に用途を限らず添加したりする。
金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
無機金属塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)、多硫化カルシウム等が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩等が挙げられる。金属錯体として、具体的には、例えば、エチレンジアミン四酢酸、プロパンジアミン四酢酸、ニトリル三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等の公知のキレート酸をベースにした金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。
金属イオンは価数が高いほど、網目状のイオン架橋を形成しやすく、粉体塗料の保管性をより良化する観点から好適である。このため、金属イオンとしては、Alイオンが好ましい。つまり、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。さらに、粉体塗料の保管性をより良化する観点から、金属イオンの供給源のうち、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好ましい。このため、金属イオンの供給源としては、特に、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。
金属イオンの含有量は、粉体塗料の保管性をより良化する観点から、粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
金属イオンの含有量を0.002質量%以上とすると、金属イオンによるイオン架橋が適度に形成され、粉体粒子表面のブリード発生を抑え、塗装塗料の保管性が高まる。一方、金属イオンの含有量を0.2質量%以下とすると、金属イオンによるイオン架橋の過剰な形成が起らず、塗膜の平滑性に優れる。
粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として添加される金属イオンの供給源(例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体)は、粉体粒子の粒度分布及び形状の制御に寄与する。
具体的には、金属イオンの価数は高いほど、狭い粒度分布を得る観点から好適である。また、狭い粒度分布を得る観点から、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好適である。このため、これらの観点からも、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましく、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が特に好ましい。
また、金属イオンの含有量が0.002質量%以上になるように凝集剤を添加すると、水性媒体中における樹脂粒子の凝集が進行し、狭い粒度分布の実現に寄与する。また、芯部となる凝集粒子に対して、樹脂被覆部となる樹脂粒子の凝集が進行し、芯部表面全体に対する樹脂被覆部の形成の実現に寄与する。一方、金属イオンの含有量が0.2質量%以下になるように凝集剤を添加すると、凝集粒子中のイオン架橋の過剰な形成を抑え、融合合一するときに、生成される粉体粒子の形状が球状に近づきやすくなる。このため、これらの観点からも、金属イオンの含有量は、0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
粉体粒子における金属イオンの含有量は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis;XRF)により測定される。具体的には、例えば、まず、樹脂と金属イオンの供給源とを混合し、金属イオンの濃度が既知の樹脂混合物を得る。この樹脂混合物200mgから、直径13mmの錠剤成形機を用いてペレットサンプルを得る。このペレットサンプルの質量を精秤し、ペレットサンプルの蛍光X線強度測定を行って、ピーク強度を求める。同様に、金属イオンの供給源の添加量を変更したペレットサンプルについても測定を行い、これらの結果から検量線を作成する。そして、この検量線を用いて、測定対象となる粉体粒子中の金属イオンの含有量を定量分析する。
金属イオンの含有量の調整方法としては、例えば、1)金属イオンの供給源の添加量を調整する方法、2)粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集工程において、金属イオンの供給源として凝集剤(例えば、金属塩、無機金属塩重合体)を添加した後、凝集工程の最後にキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸など)を添加し、キレート剤と金属イオンとの錯体を形成させ、その後の洗浄工程等で形成された錯塩を除去して、金属イオンの含有量を調整する方法、等が挙げられる。
[外部添加剤]
外部添加剤は、粉体粒子間の凝集の発生を抑制する。これにより、少量の粉体塗料で平滑性の高い塗膜を形成し得る。外部添加剤の具体例としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の粒子が挙げられる。
外部添加剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シランカップリング剤、シラン、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量は、例えば、無機粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部である。
外部添加剤としては、塗膜の鮮映性により優れる観点から、シリカ粒子が好ましく、表面が疎水化処理されたシリカ粒子がより好ましく、表面がヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理されたシリカ粒子が更に好ましい。
外部添加剤の体積平均粒子径は、10nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。体積平均粒子径が10nm以上50nm以下の外部添加剤を用いることで、スプレーガン等で粉体塗料を塗布する際に、空気流で粉体粒子がほぐれて1次粒子として飛翔しやすくなり、粉体粒子が1次粒子の状態で被塗物に付着しうる。
外部添加剤の外添量としては、例えば、粉体粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
<粉体塗料の製造方法>
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、必要に応じて、粉体粒子に対して、外部添加剤を外添することで得られる。
本実施形態において粉体粒子は、湿式製法で製造される。湿式製法としては、例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等が挙げられ、粉体粒子は、これらの製法のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。これらの中でも、体積粒度分布指標GSDv及び平均円形度を前記範囲に容易に制御できる観点から、凝集合一法により、粉体粒子を得ることがよい。
具体的には、
熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して第1凝集粒子を形成する第1凝集工程と、
前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、エチレンジアミン四酢酸とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記第2樹脂粒子を凝集して、前記第2樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する第2凝集工程と、
前記前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱して、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
この凝集合一法により製造された粉体粒子は、第1凝集粒子が融合合一した部分が芯部となり、第1凝集粒子の表面に付着した第2樹脂粒子が融合合一した部分が樹脂被覆部となる。
この凝集合一法において、「樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液」にかえて、「熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液」を用いてもよい。この場合、樹脂被覆部は熱硬化剤も含むことになる。
以下、各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤を含む粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
−分散液準備工程−
まず、凝集合一法で使用する各分散液を準備する。具体的には、芯部の熱硬化性樹脂を含む第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液、熱硬化剤が分散された熱硬化剤分散液、着色剤が分散された着色剤分散液、樹脂被覆部の樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液を準備する。
または、第1樹脂粒子分散液及び熱硬化剤が分散された熱硬化剤分散液に代えて、芯部の熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された複合粒子分散液を準備する。
以下、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子及び複合粒子を「樹脂粒子」と総称して説明する。
樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水性媒体が挙げられる。
水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等を用いた一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば、転相乳化法により樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
転相乳化法とは、分散すべき樹脂をその樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水性媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を水性媒体中に粒子状に分散する方法である。
具体的には、(メタ)アクリル樹脂粒子分散液の場合、(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体を水性媒体に乳化し、水溶性開始剤及び連鎖移動剤を加え加熱し、乳化重合することによって、(メタ)アクリル樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散を得る。
ポリエステル樹脂粒子分散液の場合、ポリエステル樹脂を構成する単量体を加熱溶融し減圧下で重縮合させ、得られた重縮合体に溶剤(例えば、酢酸エチル等)を加え溶解し、さらにアルカリ性水溶液を加えながら攪拌し転相乳化することによって、ポリエステル樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散を得る。
複合粒子分散液は、樹脂と熱硬化剤とを混合して、分散媒に分散(例えば、転相乳化等の乳化)することで、複合粒子分散液を得る。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、1μm以下がよく、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μmが更に好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、LA−700、堀場製作所)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を描き、全粒子に対して体積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
樹脂粒子分散液の調製方法と同様にして、熱硬化剤分散液、及び着色剤分散液も調製される。つまり、熱硬化剤分散液及び着色剤分散液の、分散媒、界面活性剤、分散方法、粒子の体積平均粒径、及び粒子含有量は、樹脂粒子分散液のそれらと同様である。
−第1凝集工程−
次に、第1樹脂粒子分散液と、熱硬化剤分散液と、着色剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とをヘテロ凝集させ目的とする粉体粒子の径に近い径を有する、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とを含む第1凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、第1樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、第1樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上且つガラス転移温度以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
第1凝集工程においては、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子分散液と、着色剤分散液と、を混合し、混合分散液中で、複合粒子と着色剤とをヘテロ凝集させて、第1凝集粒子を形成してもよい。
第1凝集工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤としての金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体は、粉体塗料に含まれる金属イオンの供給源となる。金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体の例示は、既述の通りである。
−第2凝集工程−
次に、得られた第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第2樹脂粒子分散液と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)とを混合する。第2樹脂粒子は第1樹脂粒子と同種であってもよいし、異種であってもよい。
そして、第1凝集粒子及び第2樹脂粒子が分散された混合分散液中で、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子を付着するように凝集して、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した第2凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、第1凝集工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第1凝集粒子分散液に、第2樹脂粒子分散液及びEDTAを混合する。この際、第1凝集粒子の表面に対する第2樹脂粒子の凝集を促進させるため、第1凝集粒子分散液に対する加熱を継続しながら第2樹脂粒子分散液及びEDTAを混合してもよい。次いで、混合後の分散液のpHを例えば6.5以上10.0以下程度の範囲に調整し、凝集の進行を停止させる。
これにより、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着するようにして凝集した第2凝集粒子が得られる。
本実施形態においては、第2樹脂粒子分散液を混合した後、混合分散液のpHを上記範囲に調整する前に、EDTAを添加することが好ましい。EDTAと、水性媒体に不純物として含まれている金属イオン及び凝集剤に由来する金属イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Fe2+等)とが錯体を形成し、余分な金属イオンをキレートする。
EDTAの添加量は、全樹脂粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましく、0.3質量部以上1.5質量部以下がより好ましい。
第2凝集粒子分散液には、EDTA以外の他のキレート剤をも添加してよい。他のキレート剤としては、水溶性のキレート剤が挙げられ、具体的には、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
EDTAを含むキレート剤の総添加量は、全樹脂粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましく、0.3質量部以上1.5質量部以下がより好ましい。
−融合合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、例えば、第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば、第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合合一し、粉体粒子を形成する。
以上の工程を経て、粉体粒子が得られる。
融合合一工程の終了後、分散液中に形成された粉体粒子に対して、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を施し、乾燥した状態の粉体粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流式乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、必要に応じて、得られた乾燥状態の粉体粒子に、外部添加剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行う。さらに、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使って粉体塗料の粗大粒子を取り除いてもよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、静電塗装、流動浸漬など周知の粉体塗装技術に適用される。
<塗装品、塗装品の製造方法>
本実施形態に係る塗装品は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装された塗装品である。そして、本実施形態に係る塗装品の製造方法は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法である。
具体的には、塗装品は、被塗装面に粉体塗料を塗装した後、加熱(焼付け)して粉体塗料を硬化させた塗膜を形成することにより得られる。粉体塗料の塗装及び加熱(焼付け)は、一括して行ってもよい。粉体塗料の塗装は、静電塗装、流動浸漬等の周知の塗装方法を適用する。
焼付けの加熱温度(焼付温度)は、90℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上220℃以下がより好ましく、100℃以上200℃以下が更に好ましく、120℃以上200℃以下が更に好ましい。焼付けの加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)に応じて調節する。
粉体塗料の塗膜の厚さは、例えば10μm以上100μm以下であり、25μm以上60μm以下が好ましい。
粉体塗料を塗装する対象物品は、特に、制限はなく、各種の金属部品、セラミック部品、樹脂部品等が挙げられる。これら対象物品は、板状品、線状品等の各物品への成形前の未成形品であってもよいし、電子部品用、道路車両用、建築内外装資材用等に成形された成形品であってもよい。また、対象物品は、被塗装面に、予め、プライマー処理、めっき処理、電着塗装等の表面処理が施された物品であってもよい。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り「部」は質量基準である。
<樹脂の物性の測定方法>
ポリエステル樹脂の物性の測定方法は、以下のとおりである。
[ガラス転移温度]
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠した示差走査熱量測定により求めた。測定は、具体的には下記のとおり行った。
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(DSC−50型、島津製作所)に試料をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、昇温速度10℃/分で0℃から100℃まで加熱して(1回目の昇温過程)、DSC曲線を得、次に、降温速度−10℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で0℃から150℃まで加熱して(2回目の昇温過程)、DSC曲線を得た。なお、0℃及び100℃にてそれぞれ10分間ずつホールドした。
測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットした。
非晶性樹脂のガラス転移温度は、2回目の昇温過程のDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの交点の温度をもってガラス転移温度とした。
[酸価及び水酸基価]
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価の測定は、JIS K0070−1992に準拠して測定した。
[重量平均分子量及び数平均分子量]
ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。GPCによる分子量測定は、測定装置としてHLC−8120GPC、SC−8020(東ソー)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(6.0mmID×15cm)(東ソー)を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、試料濃度0.5質量%、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μL、測定温度40℃とし、RI検出器で検出を行った。検量線は、東ソー「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作成した。
<実施例1:青色粉体塗料C1の作製>
[着色剤分散液C1の調製]
・シアン顔料(C. I. Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、電子写真グレード、大日精化工業) :150部
・アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 20部
・イオン交換水 :350部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、スギノマシン)を用いて1時間分散し、固形分濃度を25質量%に調製して、着色剤分散液C1を得た。着色剤分散液C1は、シアン顔料の体積平均粒径が0.13μmであった。
[着色剤分散液W1の調製]
・酸化チタン(CR−60、石原産業) :200部
・アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 10部
・イオン交換水 :300部
・1.0質量%硝酸水溶液 : 15部
上記の材料と直径3mmのアルミナビーズ(アズワン社)600部とを1000mLボトル(アイボーイ、アズワン社)に投入し、卓上ボールミルにて回転数150rpmで24時間混合し、固形分濃度を25質量%に調製して、着色剤分散液W1を得た。着色剤分散液W1は、酸化チタン顔料の体積平均粒径が0.35μmであった。
[ポリエステル樹脂PES1の調製]
・テレフタル酸 :100モル部
・エチレングリコール : 60モル部
・ネオペンチルグリコール: 38モル部
・トリメチロールプロパン: 2モル部
上記の材料を攪拌機、温度計、窒素ガス導入口、及び精留塔を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂PES1は、ガラス転移温度62℃、酸価12mgKOH/g、水酸基価55mgKOH/g、重量平均分子量12000、数平均分子量4000であった。
[複合粒子分散液E1の調製]
コンデンサー、温度計、水滴下装置、及びアンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(BJ−30N、東京理化器械)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル300部とイソプロピルアルコール30部との混合溶剤を投入し、これに下記の材料を投入した。
・ポリエステル樹脂PES1 :240部
・熱硬化剤(VESTAGON B1530、エボニック社) : 60部
・ベンゾイン :1.5部
・アクリルオリゴマー(アクロナール4F、BASF社) : 3部
上記材料の投入後、スリーワンモーターを用いて回転数150rpmで攪拌を施し、材料を溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液30部を5分間で滴下し、10分間混合した後、さらにイオン交換水900部を毎分5部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して、ポリエステル樹脂PES1及び熱硬化剤を含有する複合粒子の分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。
その後、アニオン界面活性剤(Dowfax2A1、ダウケミカル社、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度25質量%に調製した。これを複合粒子分散液E1とした。複合粒子分散液E1における複合粒子の体積平均粒径は145nmであった。
[凝集工程]
・複合粒子分散液E1:180部(固形分45部)
・着色剤分散液W1 :160部(固形分40部)
・着色剤分散液C1 : 8部(固形分2部)
・イオン交換水 :200部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社)で混合及び分散した。次いで、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを3.5に調整した。これに1質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液12部を加え、ホモジナイザーで分散操作を継続した。
攪拌機及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を調整しながら、毎分0.2℃で昇温し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで、複合粒子分散液E1を80部(固形分20部)ゆっくりと投入した。
投入後30分間保持した後、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(キレスト40、キレスト社)を樹脂固形分に対して1.5質量%添加し、次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整し、さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを樹脂固形分に対して0.3質量%添加した。
[融合合一工程]
その後、85℃まで昇温し、2時間保持した。光学顕微鏡で、分散液中の粒子がほぼ球形化していることを確認した。
[濾過工程、洗浄工程、乾燥工程]
融合合一工程の終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、回転数300rpmで15分間攪拌し洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させ、これを青色粉体粒子C1とした。青色粉体粒子C1の物性を表1に示す。
[外部添加剤の外添]
100部の青色粉体粒子C1と、外部添加剤として0.5部の疎水性シリカ粒子(RX300、ヘキサメチルジシラザンで表面修飾した疎水性フュームドシリカ、日本アエロジル社)を、サンプルミル(SK−M10、協立理工)を用いて回転数13000rpmで30秒間攪拌し混合した。その後、目開き45μmの振動篩で篩分して青色粉体塗料C1を得た。
<実施例2:青色粉体塗料C2の作製>
実施例1の凝集工程において、体積平均粒径が3.6μmとなったところで複合粒子分散液E1を添加した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C2及び青色粉体塗料C2を作製した。
<実施例3:青色粉体塗料C3の作製>
実施例1の凝集工程において、体積平均粒径が9.8μmとなったところで複合粒子分散液E1を添加し、EDTAの添加量を3.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C3及び青色粉体塗料C3を作製した。
<実施例4:青色粉体塗料C4の作製>
実施例1の凝集工程において、EDTAを0.1質量%添加し、次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.3に調整した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C4及び青色粉体塗料C4を作製した。
<実施例5:青色粉体塗料C5の作製>
実施例1の複合粒子分散液E1の調製において、ポリエステル樹脂PES1を260部に、熱硬化剤(VESTAGON B1530、エボニック社)を40部に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C5及び青色粉体塗料C5を作製した。
<実施例6:青色粉体塗料C6の作製>
実施例1の複合粒子分散液E1の調製において、熱硬化剤をVESTAGON B1358(エボニック社)に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C6及び青色粉体塗料C6を作製した。
<実施例7:青色粉体塗料C7の作製>
実施例6において、ポリエステル樹脂PES1を210部、熱硬化剤を90部に変更した以外は実施例6と同様にして、青色粉体粒子C7及び青色粉体塗料C7を作製した。
<実施例8:青色粉体塗料C8の作製>
[ポリエステル樹脂PES2の調製]
・テレフタル酸 :80モル部
・イソフタル酸 :20モル部
・2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール:70モル部
・ネオペンチルグリコール :28モル部
・トリメチロールプロパン : 2モル部
上記の材料を攪拌機、温度計、窒素ガス導入口、及び精留塔を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂PES2は、ガラス転移温度50℃、酸価15mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g、重量平均分子量13500、数平均分子量3800であった。
[複合粒子分散液E2の調製]
実施例1の複合粒子分散液E1の調製において、ポリエステル樹脂PES1をポリエステル樹脂PES2に変更した以外は同様の操作にて、複合粒子分散液E2を得た。複合粒子分散液E2における複合粒子の体積平均粒径は130nmであった。
以下、実施例1において、複合粒子分散液E1を複合粒子分散液E2に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C8及び青色粉体塗料C8を作製した。
<実施例9:青色粉体塗料C9の作製>
[ポリエステル樹脂PES3の調製]
・テレフタル酸 :80モル部
・イソフタル酸 :20モル部
・2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール:78モル部
・ネオペンチルグリコール :20モル部
・トリメチロールプロパン : 2モル部
上記の材料を攪拌機、温度計、窒素ガス導入口、及び精留塔を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂PES3は、ガラス転移温度47℃、酸価13mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/g、重量平均分子量13000、数平均分子量3500であった。
[複合粒子分散液E3の調製]
実施例1の複合粒子分散液E1の調製において、ポリエステル樹脂PES1をポリエステル樹脂PES3に変更した以外は同様の操作にて、複合粒子分散液E3を得た。複合粒子分散液E3における複合粒子の体積平均粒径は180nmであった。
以下、実施例1において、複合粒子分散液E1を複合粒子分散液E3に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C9及び青色粉体塗料C9を作製した。
<実施例10:青色粉体塗料C10の作製>
実施例1において、外部添加剤をRY300(ジメチルシリコーンオイル処理、日本アエロジル社)に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C10及び青色粉体塗料C10を作製した。
<実施例11:青色粉体塗料C11の作製>
実施例1において、外部添加剤をAlu130(酸化アルミ粒子、オクチルシラン処理、日本アエロジル社)に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C11及び青色粉体塗料C11を作製した。
<実施例12:青色粉体塗料C12の作製>
実施例1において、外部添加剤をRX50(ヘキサメチルジシラザン処理、1次粒子径約50nm、日本アエロジル社)に変更した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子C12及び青色粉体塗料C12を作製した。
<比較例1:青色粉体塗料XC1の作製>
実施例1の凝集工程において、EDTAを添加せず、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5に調整した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子XC1及び青色粉体塗料XC1を作製した。
<比較例2:青色粉体塗料XC2の作製>
実施例3の凝集工程において、EDTAの添加量を樹脂固形分に対して3.5質量%に変更した以外は実施例3と同様にして、青色粉体粒子XC2及び青色粉体塗料XC2を作製した。
<比較例3:青色粉体塗料XC3の作製>
実施例1の凝集工程において、EDTAを3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(HIDS)(日本触媒)に変更し、樹脂固形分に対して3.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、青色粉体粒子XC3及び青色粉体塗料XC3を作製した。
<評価>
[塗膜試料の作製]
粉体塗料を、鏡面仕上げのアルミ板のテストパネル(30cm×30cm)に、正面30cmの距離から、コロナガン(XR4−110C、旭サナック社)で塗布した後、被塗物を190℃に設定した高温チャンバーに入れて30分間加熱(焼付け)し、塗膜試料を得た。
[塗膜の平滑性及び鮮映性]
表面粗さ測定機(SURFCOM 1400A、東京精密)を用いて、測定装置のマニュアルに従って、塗膜試料の表面の中心線平均粗さRa(単位:μm)及びろ波中心線うねりWca(単位:μm)を測定した。双方とも、数字が小さいほど塗膜の表面平滑性に優れることを示す。
Raは、一般的な表面の平滑性指標であり、光沢度と相関が高いことが知られている。Wcaは、大きなうねりも含めた平滑性指標であり鮮映性と関連する。本実施においては、Wca0.1以下が、蛍光灯の形がはっきりと映る鮮映性を意味する。
[塗膜の耐溶剤性]
得られた塗膜を、メチルエチルケトン溶剤に浸した綿棒で10往復こすった後、12時間室温で放置した後の表面状態を目視で観察した。いずれの塗膜においても損傷は無かった。

Claims (9)

  1. 湿式製法で製造された粉体粒子であって、エチレンジアミン四酢酸の含有量が粉体粒子全体の質量に対して0.0001質量%以上0.05質量%以下である粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。
  2. 前記熱硬化性粉体塗料の、温度範囲80℃乃至200℃、昇温速度1℃/分、周波数1rad/秒の条件で測定された粘弾性スペクトルが、下記(1)、(2)及び(3)を満たす、請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
    (1)貯蔵弾性率G’が10000Paを下回り始める温度T1が120℃以下である。
    (2)120℃以下に損失正接が1を超える温度領域がある。
    (3)損失正接が1を超える温度領域よりも高い温度領域に損失正接が1を下回り始める温度T2があり、前記温度T2が120℃超190℃以下である。
  3. 前記粘弾性スペクトルが、さらに下記(4)を満たす、請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
    (4)20℃≦(前記温度T2−前記温度T1)<100℃
  4. 前記粉体粒子の体積平均粒径が4μm以上12μm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  5. 前記粉体粒子の平均円形度が0.965以上0.995以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  6. 前記粉体粒子の表面に付着した外部添加剤を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  7. 前記外部添加剤が、ヘキサメチルジシラザンにより表面処理されたシリカ粒子である、請求項6に記載の熱硬化性粉体塗料。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装された塗装品。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法。
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