JP2018165794A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 エコロジーな材料であるPHA樹脂をトナーに用いた場合の特性を活かしつつ、PHA樹脂の結晶化による性能の経時的変化を抑えたトナーを提供することにある。また、出力された画像が高温/高湿環境下においても長期間にわたり安定して維持でき、高品質の出力画像が得られるトナーを提供する。【解決手段】 式(1)で示されるユニットを含む重合体(三環式ジテルペンにて側鎖を変性したポリヒドロキシアルカン酸樹脂)を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置が広く普及する中、厚紙や薄紙などの画像出力用のメディアの自由度、高速印刷対応および省エネが求められている。電子写真方式の画像形成装置は、トナーを紙に定着させる際のエネルギー消費が大きく、この観点からトナーにおいては、紙への定着性能を向上させる材料の研究開発が盛んに行われている。
その中で、エコロジーの観点から、非石油由来の原料、すなわち、植物や微生物などの生物から得られるバイオマス材料を用いてトナーを製造する試みが行われてきている。
バイオマス由来の材料を用いてトナーを製造する場合、バイオマス製品中のバイオマス炭素含有率を測定し、公開することは,市場において消費者の選択の幅を広げることができるとともに、信頼性を確保することができる。トナー中の天然由来成分の含有率は、放射性炭素14(14C)の濃度によるバイオマス製品におけるバイオマス炭素含有率測定法により測定可能である。バイオマス炭素含有率は,ASTM D6866法に基づき、現代炭素率(pMC,percent of Modern Carbon)から求めることができる。現代炭素率(pMC)の値は,標準物質中に含まれる放射性炭素14の濃度とサンプル中に含まれる放射性炭素14の濃度を比較することにより求めることができる。化成品中の放射性炭素14の濃度は,液体シンチレーションカウンター(LSC)と加速器質量分析(AMS)装置により求めることができる。
また、プラスチック成形品などの廃棄物による環境汚染を解決するための方法として、微生物の合成する生分解性樹脂を成形材料として用いることが知られている。微生物由来の生分解性樹脂としては、例えば、
ポリ−3−ヒドロキシ−n−酪酸(以下「PHB」と略す場合もある。)や、3−ヒドロキシ−n−酪酸(以下「3HB」と略す場合もある。)と3−ヒドロキシ−n−吉草酸(以下「3HV」と略す場合もある。)との共重合体(以下「PHB/V」と略す場合もある。)などのポリヒドロキシアルカノエート(以下「PHA」と略す場合もある。)、
バクテリアセルロースやプルランなどの多糖類、
ポリ−γ−グルタミン酸や、ポリリジンなどのポリアミノ酸
などが知られている。特に、PHAは、従来のプラスチックと同様に、溶融加工などにより各種製品に利用することができるうえ、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材などとしての応用も期待されている。
このように、ポリ乳酸(PLA)やポリヒドロキシアルカン酸(PHA)といった樹脂は、微生物から製造することができ、安定的に量産が可能になりつつある。
特に、これらバイオマス由来材料の中で、PHAは、生産性、耐水性という特性で、トナーに用いる材料としての利点を有している。また、主なメディアである紙への親和性が高く、トナーに使用した場合に定着性に優れる利点も有している。
しかしながら、上記バイオマス材料は、エコロジーである一方、加水分解しやすく、経時的変化が生じやすいという点で、高温/高湿環境での特性が不安定になりやすいため、トナーに用いる際には、まだ改良すべき余地がある。
特許文献1には、PLA樹脂にロジン由来の化合物をトナーに用いて、ロジン由来の化合物による疎水性の向上を図る技術が開示されている。
特許文献2には、フェニルスルファニル構造を有するPHA樹脂をトナーに用いて、トナーの帯電性の向上を図る技術が開示されている。
また、世界各国の様々な環境下において、コピーおよびプリントがなされる機会が増えてきている。例えば、熱帯地域のような高温/高湿環境や、寒帯地域のような低温低湿環境などで使用される場合である。このような温湿度が大きく異なる状況においても、その環境によらず、安定した性能の画像出力が求められる。その中で、トナーの品質および性能は、温湿度の影響を受けやすく、温湿度の変化に対して品質および性能の変化が少ない材料開発が求められている。
特に、バイオプラ由来の樹脂を含むトナーを紙などのメディアに定着させて画像出力した後、高湿環境下に長期放置した場合、定着されたトナーの樹脂の結晶化が進んで脆くなり、メディアからトナーが剥がれやすくなる課題が生じやすい。また、高湿環境下でトナーを放置した後に画像出力する場合にも、初期のトナーから最適な定着条件が変化して、定着時にトナーがオフセットしてしまう定着不良が発生しやすくなる。このように、トナーに用いる材料のエコロジー化を進めるにあたって、これら高温/高湿環境によるトナーの性能変化に関する課題を解決する必要性が大きくなってきている。
特開2013−242388号公報 特開2003−306534号公報
本発明の目的は、エコロジーな材料であるPHA樹脂をトナーに用いた場合の特性を活かしつつ、PHA樹脂の結晶化による性能の経時的変化を抑えたトナーを提供することにある。また、出力された画像が高温/高湿環境下においても長期間にわたり安定して維持でき、高品質の出力画像が得られるトナーを提供することにある。
本発明は、下記式(1)で示されるユニットを含む重合体を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナーである。
Figure 2018165794
(式(1)中、Rは、三環式ジテルペン由来の1価の基を示す。mは、1以上10以下の整数であり、ユニットごとに違う値をとりうる。)
本発明によれば、PHA樹脂の結晶化による性能の経時的変化を抑えたトナーを提供することができる。また、出力された画像が高温/高湿環境下においても長期間にわたり安定して維持でき、高品質の出力画像が得られるトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、下記式(1)で示されるユニットを含む重合体を含有するトナー粒子を有する。
Figure 2018165794
上記式(1)中、Rは、三環式ジテルペン由来の1価の基を示す。mは、1以上10以下の整数であり、ユニットごとに違う値をとりうる。
上記式(1)で示されるユニットを含む重合体は、三環式ジテルペンで変性されたPHA樹脂である。
〈PHA樹脂〉
ポリエステルの一種であるPHAは、ヒドロキシアルカン酸(以下「ヒドロキシアルカノエート」ともいう。)1種が重合した単独重合体およびヒドロキシアルカン酸2種以上が共重合した共重合体の総称である。さらに詳しくは、PHAは、下記式(10)で示されるヒドロキシアルカン酸が縮合重合して生成する重合体であり、下記式(11)で示されるユニットを有するポリエステルである。
Figure 2018165794
Figure 2018165794
PHAは、人工的に合成することもできるが、植物油に含まれる天然成分であるヒドロキシアルカン酸から微生物がエネルギー貯蔵物質として合成・蓄積する有機ポリマーとしても知られている。PHAは、生分解性を有し、環境への適合性に優れるという特徴も有している。
ここで、上記式(10)および(11)中のRは、脂肪族系飽和炭化水素基(アルキル基)または水素原子であり、C2m+1で表される(ただし、mおよびnはともに整数であって、m≧0、n≧1である。)。Rとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの直鎖状アルキル基や、イソプロピル基、ターシャリーブチル基などの分岐状アルキル基などが挙げられる。
上記式(10)中の炭素原子が直鎖状に配置される場合のヒドロキシアルカン酸としては、例えば、
(m=1,n=1)の3−ヒドロキシブチレート(3HB)、
(m=2,n=1)の3−ヒドロキシバレレート(3HV)、
(m=0,n=1)の3−ヒドロキシプロピオネート、
(m=0,n=2)の4−ヒドロキシブチレート、
(m=1,n=2)の4−ヒドロキシバレレート、
(m=0,n=3)の5−ヒドロキシバレレート、
(m=3,n=1)の3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)、
(m=4,n=1)の3−ヒドロキシヘプタノエート、
(m=5,n=1)の3−ヒドロキシオクタノエート、
(m=6,n=1)の3−ヒドロキシノナノエート、
(m=7,n=1)の3−ヒドロキシデカノエート
などが挙げられる。
これらの中でも、本発明において用いられるPHA樹脂は、微生物による製造性が高いn=1の樹脂である。モノマーとしては、例えば、3HB(3−ヒドロキシ酪酸)、3HV(3−ヒドロキシ吉草酸)などが挙げられる。PHA樹脂は、熱可塑性や熱伝導性に優れている。また、紙(セルロース)への親和性が高く、トナー粒子に用いられる結着樹脂としての長所を有している。
ヒドロキシアルカン酸の重合体であるPHAとしては、例えば、
3HBの単独重合体である、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)、
3HBと3HVの二元共重合体である、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)(PHBV)、
3HBと3HHとの二元共重合体である、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、
3HBと3HVと3HHとの三元共重合体である、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBHV)
などが挙げられる。
PHAを生産する微生物は、生存のためのエネルギー源として、PHAを菌体内で生産し、蓄積する。PHAを生産する微生物として、例えば、3HBの単独重合体であるPHBの生産菌としては、1925年に発見されたbacillus megateriumが最初である。他にも、
カプリアビダス・ネケイター(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、
アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)
などの天然微生物が知られている。これらの微生物の菌体内では、PHBが生産され、蓄積される。
また、3HBとその他のヒドロキシアルカン酸との共重合体生産菌としては、例えば、
PHBVおよびPHBH生産菌である、アエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、
ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)生産菌である、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)
などが知られている。特に、PHBHに関しては、PHBHの生産性を上げるために、PHA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファスAC32株などの微生物を適切な条件で培養して、菌体内にPHBHを蓄積させた微生物菌体を用いることもできる。アルカリゲネス・ユートロファスAC32株に関しては、Alcaligenes eutrophus AC32,FERMBP−6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p.4821−4830(1997)を参照。さらに、生産したいPHAに合わせて、各種PHA合成関連遺伝子を導入した遺伝子組み替え微生物を用いることもでき、その生産性を上げるためには、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
特に、生分解性樹脂としての分解性と柔軟な材質と紙への親和性を持つ点に注目する場合、エステル結合をある程度多く持つPHAが有利となる。上記式(1)においてm=1である3−ヒドロキシアルカン酸類由来のユニットを有するPHAは、主鎖のエステル結合の間隔が短くなるために好ましい。それらの中でも、3HB、3HVおよび3HHからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー由来のユニットを有する重合体が好ましい。
本発明のトナーのトナー粒子に含有させるPHA樹脂としては、単独重合体のPHAと共重合体のPHAとのいずれも使用することができる。単独重合体に比べて、共重合体では、加熱時の粘度変化が穏やかになる傾向があり、トナー粒子に使用される樹脂として好適である。
PHAが共重合体である場合、構成する各ユニットの組成比について、特に限定されるものではないが、トナーの熱特性への影響や効果を考慮して適宜選択できる。さらに、本発明のトナーの熱特性への影響や効果を考慮して、本発明においては、1種のPHAを単独で使用してもよいし、複数種のPHAをブレンドして使用してもよい。
PHAとしてPHBHを単独で使用する場合、PHBHにおける3HBと3HHとの組成比、すなわち、3HB/3HHは、加熱時の粘性およびその変化の穏やかさを考慮すると、99/1〜80/20(モル比)の範囲が好ましい。この範囲であれば、トナーの定着強度および非オフセット温度幅への妨げになりにくい。
PHAとしてPHBHVを単独で本発明に使用する場合、PHBHV中の3HB由来のユニットの含有量は、1mol%以上95mol%以下であることが好ましい。また、3HV由来のユニットの含有量は、1mol%以上96mol%以下であることが好ましい。また、3HH由来のユニットの含有量は、1mol%以上30mol%以下であることが好ましい。この範囲であれば、トナーの定着強度および非オフセット温度幅への妨げになりにくい。
これまで、多くの微生物がPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた。このようなPHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成や培養条件などにより、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られている。これまで主に、物性の改良という観点から、産生されるPHAの組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。特には、3HB、3HV、3−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸(以下「3HHx」と略す場合もある。)、4−ヒドロキシ−n−酪酸(以下「4HB」と略す場合もある。)をはじめとする比較的簡単な構造のユニットを重合させたPHAの生合成が検討され、種々の微生物による生産が報告されている。
しかしながら、これらの短鎖長(short−chain−length)の3−ヒドロキシアルカン酸由来のユニットを有するPHA(以下「scl−PHA」と略す場合もある。)は、融点と熱分解温度が接近しているため、熱分解しやすい傾向にある。その結果、溶融混練による製造安定性が悪い。また、PHBは結晶性が高いため、脆く、伸びなどが小さくなり、機械的特性が低下して、定着後のトナーが剥がれやすくなる傾向がある。そのため、これ単独の使用は、トナー粒子の材料として課題が残る。
近年、炭素数が4以上12以下程度の中鎖長(medium−chain−length)の3−ヒドロキシアルカン酸由来のユニットを有するポリヒドロキシアルカノエート(以下「mcl−PHA」と略す場合もある。)についての研究が精力的に行われている。非環状脂肪族炭化水素、オクタン酸、ヘキサン酸、グルコン酸ナトリウムなどを炭素源として、mcl−PHAの生産が確認されている。
しかしながら、これらのmcl−PHAは、融点が低く、50℃を超えるとべたつき、軟化がひどくなり、それ単体での成形品は、実用性が低いものである。
ところで、PHAは、いずれも微生物による炭化水素などのβ酸化や糖からの脂肪酸合成により合成された、側鎖にアルキル基のみを有するユニットからなるPHA(以下「usual−PHA」と略す場合もある。)、または、それに準じるもの(例えば、他に末端部以外に二重結合をもつアルケニル基を側鎖に有するもの。)である。これらは、プラスチックとしての幅広い応用、特に、トナーへの応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言えないのが現状である。
PHAの利用範囲をさらに拡大していくためには、物性の改良をより幅広く検討していくことが重要である。そのためには、さらに多様な構造のユニットを含むPHAの開発、探索が必要である。
一方、置換基を側鎖に導入したタイプのPHA、(以下「unusual−PHA」と略す場合もある。)は、導入した置換基を所望とする特性などに応じて選択することで、導入した置換基の特性などに由来する有用な機能や特性を具備した「機能性ポリマー」としての展開も期待できる。すなわち、そのような機能性と生分解性とを両立可能であるような優れたPHAの開発、探索もまた重要な課題である。置換基としては、例えば、
芳香環を含むもの(フェニル基、フェノキシ基など)、
エステル基、
末端部に二重結合を持つ不飽和基(アルケニル基、アルカジエニル基)、特にアリル基、
シアノ基、
ハロゲン化炭化水素基、
エポキシ基
などが挙げられる。
例えば、フェニル基またはその部分置換体を含むものとしては、例えば、
5−フェニル吉草酸を基質とした、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸由来のユニットを含むPHAの生産、
5−(4’−トリル)吉草酸を基質とした、3−ヒドロキシ−5−(4’−トリル)吉草酸由来のユニットを含むPHAの生産、
5−(2’,4’−ジニトロフェニル)吉草酸を基質とした、3−ヒドロキシ−5−(2’,4’−ジニトロフェニル)吉草酸および3−ヒドロキシ−5−(4’−ニトロフェニル)吉草酸由来のユニットを含むPHAの生産
などが報告されている。また、フェノキシ基またはその部分置換体を含むものとしては、例えば、
11−フェノキシウンデカン酸を基質とした、3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸と3−ヒドロキシ−9−フェノキシノナン酸のPHAコポリマーの生産、
6−フェノキシヘキサン酸からの、3−ヒドロキシ−4−フェノキシ酪酸由来のユニットおよび3−ヒドロキシ−6−フェノキシヘキサン酸由来のユニットを含むPHAの生産、
8−フェノキシオクタン酸からの、3−ヒドロキシ−4−フェノキシ酪酸由来のユニット、3−ヒドロキシ−6−フェノキシヘキサン酸由来のユニットおよび3−ヒドロキシ−8−フェノキシオクタン酸由来のユニットを含むPHAの生産、
11−フェノキシウンデカン酸からの、3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸由来のユニットおよび3−ヒドロキシ−7−フェノキシヘプタン酸由来のユニットを含むPHAの生産
などが報告されている。
また、
3−ヒドロキシ−5−(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(MFP)P)由来のユニットまたは3−ヒドロキシ−5−(ジフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)P)由来のユニットを含むPHAホモポリマー、
3H5(MFP)P由来のユニットまたは3H5(DFP)P由来のユニットを含むPHAコポリマー
などが報告されている。その効果として、融点が高く、良好な加工性を有しながら、立体規則性、撥水性を与えることができる。
さらには、このようなフッ素基置換体以外に、シアノ基やニトロ基の置換体の研究もなされている。例えば、
オクタン酸とp−シアノフェノキシヘキサン酸またはp−ニトロフェノキシヘキサン酸を基質とした、3−ヒドロキシ−p−シアノフェノキシヘキサン酸または3−ヒドロキシ−p−ニトロフェノキシヘキサン酸由来のユニットを含むPHAの生産
が報告されている。これらは、側鎖がアルキル基である一般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香環を有しており、それに由来する物性を有するポリマーを得るうえで有益である。
その他、シクロヘキシル基を有するunusual−PHAの例としては、シクロヘキシル酪酸またはシクロヘキシル吉草酸からPHAを生産するとの報告がある。
本発明に係るPHAの数平均分子量は、1,000以上500,000以下であることが好ましく、1,000以上300,000以下であることがより好ましい。1,000以上であれば、トナー粒子に上記式(1)で示されるユニットを含む重合体以外の結着樹脂を用いる場合、該結着樹脂に相溶しやすく、不連続なドメインを形成しやすくなるため、帯電量不足になりにくい。また、トナーの流動性に悪影響を与えにくい。また、500,000以下であれば、トナー中に分散させるのが容易になる。
本発明に係るPHAの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、あらかじめ上記PHAを0.1質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、多サンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。
また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1以上10以下の範囲内にある上記PHAを使用することが好ましい。
本発明において使用するPHAは、20℃以上150℃以下、特には40℃以上150℃以下の融点を持つことが好ましい。または、融点は持たないが、20℃以上150℃以下、特に40℃以上150℃以下のガラス転移点を持つことが好ましい。上記融点が20℃以上または融点を持たずガラス転移点が20℃以上の場合は、トナーの流動性や、保存性に悪影響を与えにくい。また、融点が150℃以下または融点を持たずガラス転移点が150℃以下の場合は、荷電制御剤をトナー中に混練することが容易になり、帯電量分布が広くなりにくい。
この場合における融点Tmおよびガラス転移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7(商品名)などの高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行えばよい。
〔PHAの製造方法〕
(微生物)
本発明の方法で用いる微生物は、n=1の上記式(11)で示されるユニットを含むPHA(3HB、3HV、3HHxなど)を生産しうる微生物であればいかなる微生物であってもよい。例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。さらに詳しくは、微生物が、
シュードモナス・チコリアイYN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERMBP−7375)、
シュードモナス・チコリアイH45株(Pseudomonas cichorii H45、FERMBP−7374)、
シュードモナス・ジェッセニイP161株(Pseudomonas jessenii
P161、FERMBP−7376)、
シュードモナス・プチダP91株(Pseudomonas putida P91、FERMBP−7373)
などが挙げられる。これら4種の微生物は、独立行政法人産業技術総合研究所(旧経済産業省工業技術院)生命工学工業技術研究所に寄託されており、特願平11−371863号(特開2001−178484号公報)に記載されている微生物である。
(培養工程)
本発明に係るPHAの製造方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、PHAの生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
増殖用基質としては、酵母エキス、ポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能である。さらに、
糖類、TCA回路中の中間体として生じる有機酸、または、
TCA回路からさらに1段階または2段階の生化学反応により得られる有機酸もしくはその塩、アミノ酸もしくはその塩、炭素数4以上12以下の直鎖アルカン酸もしくはその塩
などから用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択することができる。
これらのうち、糖類としては、例えば、
グリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースなどのアルドース、
グリセロール、エリスリトール、キシリトールなどのアルジトール、
グルコン酸などのアルドン酸、
グルクロン酸、ガラクツロン酸などのウロン酸、
マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖
などが挙げられる。
また、有機酸またはその塩としては、例えば、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、フマル酸またはその塩などが挙げられる。
また、アミノ酸またはその塩としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸またはその塩などが挙げられる。
これらの中では、ポリペプトン、糖類が好ましい。また、糖類の中では、グルコース、フルクトース、マンノースが好ましい。これらの基質は、通常培地あたり、0.1%以上5%以下(質量/体積)の割合で含有していることが好ましい。さらには、0.2%以上2%以下の割合で含有していることが好ましい。
微生物にPHAを生産・蓄積させる方法としては、一旦十分に増殖させて後に、塩化アンモニウムなどの窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的のユニットの基質となる化合物を加えた状態で、さらに培養すると生産性が向上する場合がある。具体的には、上記の工程を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。例えば、
ポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−1)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離などで回収する。その後、これに続く、有機酸またはその塩を含む培地中で、工程1−1で培養された微生物をさらに培養する工程(工程2−1)を行う方法や、
糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−2)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離などで回収する。その後、これに続く、糖類を含む培地中で、工程1−2で培養された微生物をさらに培養する工程(工程2−2)を行う方法
などが挙げられる。
これらの培養方法の場合、2段階目の培養(工程2−1および2−2)に用いる培地は、窒素源となる化合物を著しく制限するか、または含有しない状態にすることにより、PHAの生産量を増大させることが可能な場合もある。
培養温度としては、上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば好ましい。具体的には、15℃以上40℃以下であることが好ましく、20℃以上35℃以下であることがより好ましく、20℃以上30℃以下であることがより好ましい。
培養は、液体培養、固体培養など微生物が増殖し、PHAを生産する培養方法なら、いかなる培養方法でも用いることができる。例えば、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養などが挙げられる。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法などが挙げられる。
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩など)など、当該微生物の増殖に必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでもよい。例えば、MSB培地、M9培地などが挙げられる。
無機塩培地(M9培地)の組成例を以下に示す。
[M9培地]
NaHPO 6.2g
KHPO 3.0g
NaCl 0.5g
NHCl 1.0g
(培地1L中、pH7.0)
さらに、良好な増殖およびPHAの生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成分溶液を0.3%(体積/体積)程度添加する必要がある。
[微量成分溶液]
ニトリロ三酢酸 1.5g
MgSO 3.0g
MnSO 0.5g
NaCl 1.0g
FeSO 0.1g
CaCl 0.1g
CoCl 0.1g
ZnSO 0.1g
CuSO 0.1g
AlK(SO 0.1g
BO 0.1g
NaMoO 0.1g
NiCl 0.1g
(溶液1L中)
(分離工程)
本発明において、上記のように培養された微生物細胞から目的のPHAを分離する方法としては、通常行われている方法を適用することができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトンなどの有機溶媒による抽出が簡便ではあるが、それ以外にジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい環境中においては、
SDSなどの界面活性剤による処理、リゾチームなどの酵素による処理、EDTAなどの薬剤による処理、または、
超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法
によって微生物細胞を物理的に破砕し、PHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用いることもできる。
なお、本発明において、微生物の培養、微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、および、菌体からのPHAの回収は、上記方法に限定されるものではない。
〈三環式ジテルペン〉
次に、本発明に用いるPHA樹脂の側鎖に導入されている三環式ジテルペンについて説明する。
三環式ジテルペンとしては、松類から得られる天然樹脂(ロジン)に含まれるもの、例えば、アビエチン酸類およびその誘導体などを使用することができる。具体的には、
アビエチン酸、レボピマール酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、エリオチン酸、サンダラコピマール酸、
上記種々の化合物の混合物、
上記種々の化合物に水素を付加したもの、
上記種々の化合物の二量体、
上記種々の化合物とマレイン酸との反応生成物、
上記種々の化合物とグリセリンとのエステル化物、
上記種々の化合物とペンタエリスリトールとのエステル化物
などが挙げられる。
それらの中で、例えば、本発明で好適に使用される三環式ジテルペンの中のアビエチン酸は、下記式(12)で示される化合物である。
Figure 2018165794
本発明においては、下記式(13)で示される化合物のようなアビチエン酸の還元誘導体、アビチエンアルコールを用いることが、未反応の三環式ジテルペンが樹脂中に残った場合にトナー粒子中の顔料およびワックスの分散が良好になるため好ましい。
Figure 2018165794
上記三環式ジテルペン由来の1価の基としては、
アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、レボピマール酸およびサンダラコピマール酸
からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の1価の基であることが好ましい。
〈三環式ジテルペン変性PHA樹脂〉
本発明に係るPHAの構造で重要なことは、上記式(1)で示されるユニットのように、側鎖に三環式ジテルペン構造を有することである。三環式ジテルペン構造を有するユニットが、PHAの結晶化を抑制し、高温環境下で定着画像における定着トナーの粘度の変化を抑制でき、優れた定着維持性を得ることができる。
PHA樹脂鎖の末端のみの変性は、結晶化の抑制に対して効果が小さい。
アビエチン酸類やその誘導体などの三環式ジテルペン化合物でPHA樹脂側鎖を変性することにより、高温においても樹脂の特性が変化しにくくなり、トナーの紙などのメディアへの密着性を高いまま維持させることができる。これは、PHA樹脂のポリマー鎖の絡み合いに、嵩高く硬い分子構造を持つ三環式ジテルペンが適度に組み込まれ、PHA樹脂の結晶性を下げることにより、脆くなりにくく、溶融したトナー粒子同士の凝集力および紙との密着性を保持できるためと考えられる。
本発明のトナーのトナー粒子に使用する樹脂を製造する際には、PHA樹脂の側鎖にカルボン酸を有し、三環式ジテルペンがヒドロキシ基を有する三環式ジテルペンアルコールであることが好ましい。これにより、PHA樹脂の主鎖に対して側鎖として三環式ジテルペンがエステル反応により結合し、三環式ジテルペンで変性されたPHA樹脂、具体的には、側鎖に三環式ジテルペンを有するPHA樹脂が製造できる。上記式(1)で示されるユニットとしては、例えば、
下記式(2)で示されるユニット、
下記式(3)で示されるユニット、
下記式(4)で示されるユニット、
下記式(5)で示されるユニット、
下記式(6)で示されるユニット、
下記式(7)で示されるユニット、
下記式(8)で示されるユニット、
下記式(9)で示されるユニット
が挙げられる。
Figure 2018165794
Figure 2018165794
上記式(2)〜(9)中、mは、1以上10以下の整数であり、ユニットごとに違う値をとりうる。
PHA樹脂100質量部に対し、三環式ジテルペンアルコールの配合量が1質量部以上であれば、結晶化抑制の効果が発現しやすい。一方、三環式ジテルペンアルコールの配合量が50質量部以下であれば、PHA樹脂との相溶性が低下しにくく、白く濁りにくくなる。三環式ジテルペンアルコールが多くなるほど、PHA樹脂と反応せずに残る割合が多くなる傾向にある。未反応の三環式ジテルペンアルコールが少ないほど、トナーの帯電安定性が低下しにくい。
三環式ジテルペン変性PHA樹脂の製造方法としては、まず、三環式ジテルペンとPHAが反応して結合する官能基を付加したうえで、これらを湿式または乾式で混合する。その後、溶融温度まで加温しながら二軸混練機などによる溶融混練で製造することができる。さらに、三環式ジテルペンを組み込んだPHAモノマーを重合させて製造することもできる。
〈PHAのトナー粒子への添加〉
本発明において、上記PHAをトナー粒子に含有させる方法としては、トナー粒子に内添する方法とトナー粒子に外添する方法がある。定着後においてトナー粒子の他の材料と十分に混ざり、本発明の効果を出やすいため、他の材料と一緒にトナー粒子に内添することが好ましい。
本発明のトナーにおいては、外添剤を除くトナー粒子100質量部に対して、PHAの割合が1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。このような範囲となるように材料を配合することにより、特に熱とともに圧力が加わる定着方法を採用した画像形成方法において、高品位な定着画像を得られるトナーを得ることができる。PHAの割合が1質量部以上であれば、PHA由来の紙への親和性効果が得やすく、定着オフセットが発生しにくい。PHAの割合が50質量部以下であれば、グロスが得られやすい。また、PHAの分子量分布が狭い場合、トナー粒子中のPHAの割合が過剰であると、定着可能温度幅が狭くなることがある。
PHAを外添する場合には、トナー粒子100質量部に対して、PHAの割合は0.01質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。特に、メカノケミカル的にトナー粒子の表面に固着させることが好ましい。
本発明に係るPHAは、トナー粒子中の結着樹脂に対する相溶性が良好であり、特に、ポリエステル系の結着樹脂に対する相溶性がきわめて良好である。本発明に係るPHAを含有させたトナー粒子を有するトナーは、比帯電量が高く、その経時安定性も良好である。そのため、トナーを長時間保存しても、画像形成の際に安定して鮮明な画像が得られる。また、本発明に係るPHAは、無色で負の帯電性を有するため、負帯電のブラックトナーおよびカラートナーいずれについても用いることができる。
さらに、本発明に係るPHAを構成するユニットの種類/組成比を適宜選択することにより、幅広い相溶性の制御が可能である。ここで、荷電制御剤がトナー粒子の結着樹脂中でミクロ相分離構造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの電気的連続性が生じないため、安定に電荷を保持することが可能となる。
また、本発明に係るPHAは、重金属を含まないようにすることで、懸濁重合法や乳化重合法でトナーを作成する際、重金属による重合禁止作用がないので、安定してトナーを製造することができる。
また、相溶化剤を用いることで、本発明に係るPHAによって形成される不連続なドメインの粒径を小さくすることができる。すなわち、本発明に係るPHAに対して相溶性を有し、トナー粒子の結着樹脂に対しても相溶性を有する重合体を相溶化剤として含有させることができる。相溶化剤としては、
本発明に係るPHAの合成する際のモノマーと同一または類似の構造を有するモノマー由来のユニットを50モル%以上含有する第一の重合体鎖と、
トナー粒子中の結着樹脂を合成する際のモノマーと同一または類似の構造を有するモノマー由来のユニットを50モル%以上含有する第二の重合体鎖と
がグラフト状またはブロック状に結合した重合体などが挙げられる。トナー粒子中の相溶化剤の含有量は、本発明に係るPHAに対して、30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
〈トナー粒子〉
本発明のトナーは、本発明に係るPHAのほか、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子を有することが好ましい。
以下に本発明のトナーを構成する他の材料、トナー粒子、および、トナーの製造方法について説明する。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナーを製造する際に一般的に用いられているものであればいずれも使用することができる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーなどが挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができる。
スチレン系ポリマーとしては、例えば、
スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体や、これらと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、
スチレンとジエン系モノマー(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体や、これらと共重合可能な他のモノマーの共重合体
などが挙げられる。
ポリエステル系ポリマーとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重縮合物などが挙げられる。
エポキシ系ポリマーとしては、例えば、芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反応物や、これの変性物などが挙げられる。
ポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレンや、エチレンやプロピレンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
ポリウレタン系ポリマーとしては、例えば、芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
より具体的には、例えば、以下の樹脂が挙げられる。
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単独重合体、
スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体、
ポリ塩化ビニル、
フェノール樹脂、
天然変性フェノール樹脂、
天然樹脂変性マレイン酸樹脂、
アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、
ポリ酢酸ビニル、
シリコーン樹脂、
ポリエステル、
ポリウレタン、
ポリアミド、
フラン樹脂、
エポキシ樹脂、
キシレン樹脂、
ポリビニルブチラール、
テルペン樹脂、
クマロン−インデン樹脂、
石油系樹脂
などが挙げられる。
本発明においては、本発明に係るPHAがトナー粒子中で相溶しやすく、高い分散性が得られやすいことから、結着樹脂は、ポリエステル系ポリマー(ポリエステル樹脂)が好ましい。
(他の生分解性結着樹脂)
本発明においては、生分解性プラスチックについても好ましく使用できる。生分解性プラスチックとしては、例えば、
「エコスター」「エコスタープラス」(萩原工業)、
「バイオポール」(アイ・シー・アイ・ジャパン)、
「アジコート」(味の素)、
「プラクセル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル化学)、
「ショーレックス」「ビオノーレ」(昭和電工)、
「ラクティ」(島津製作所)、
「レイシア」(三井化学)
などが挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、顔料もしくは染料を単独で用いてもよいし、顔料および染料を併せて用いてもよい。
マゼンタ用の着色剤の顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35
などが挙げられる。
マゼンタ用の着色剤の染料としては、例えば、
C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、
C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料
などが挙げられる。
シアン用の着色剤の顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、
フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料
などが挙げられる。
イエロー用の着色剤の顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バットイエロー1、3、20
などが挙げられる。
トナー粒子中の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上60質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
(離型剤)
ワックスとしては、例えば、
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス、
酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物、
カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス、
脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの、
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類、
ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、
ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類、
ソルビトールなどの多価アルコール類、
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル化物、
リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類、
メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、
エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類、
m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類、
ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、
脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、
ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、
植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物、
などが挙げられる。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス、カルナバワックスなどの脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
(その他添加剤)
トナー粒子には、必要に応じて、荷電制御剤を含有させることもできる。トナー粒子に含有させる荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば、
サリチル酸金属化合物、
ナフトエ酸金属化合物、
ジカルボン酸金属化合物、
スルホン酸またはカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、
スルホン酸塩またはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、
カルボン酸塩またはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、
ホウ素化合物、
尿素化合物、
ケイ素化合物、
カリックスアレーンなどが挙げられる。
ポジ系荷電制御剤としては、例えば、
四級アンモニウム塩、
四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、
グアニジン化合物、
イミダゾール化合物
などが挙げられる。
荷電制御剤は、トナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
〈無機微粒子〉
本発明のトナーには、流動性、付着力、帯電性を制御するため、無機微粒子をトナー粒子の表面に外添することが好ましい。
無機微粒子としては、例えば、
酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、
チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、
ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、
窒化ケイ素、窒化ホウ素、
炭化ケイ素、
モンモリロナイト、マイカ、ハイドロタルサイト、フォルステライト、タルク、
シリコーン樹脂、
ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩、
これら組成の複合物
などの微粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムが好ましい。さらには、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムがより好ましい。
〈トナー製造方法〉
トナー粒子を製造する方法としては、本発明に係るPHAおよび結着樹脂と、着色剤およびワックスなどを溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕および分級する粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法でのトナーの製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、本発明に係るPHA、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび荷電制御剤などの成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に本発明に係るPHA、ワックス、着色剤などを分散させる。混練吐出温度は、100℃以上170℃以下の範囲が好ましい。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸または2軸押し出し機が好ましい。例えば、
KTK型2軸押し出し機((株)神戸製鋼所製)、
TEM型2軸押し出し機(東芝機械(株)製)、
PCM混練機((株)池貝製)、
2軸押し出し機(ケイ・シー・ケイ社製)、
コ・ニーダー(ブス社製)、
ニーデックス(日本コークス工業(株)製)
などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロールなどで圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。冷却速度は、1℃/分以上50℃/分以下であることが好ましい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、さらに、微粉砕機で微粉砕する。微粉砕機としては、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(ターボ工業(株)製)や、エアージェット方式による微粉砕機が挙げられる。
その後、必要に応じて、
慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、
遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)
などの分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、本発明のトナーは、以下のようないわゆる重合法によって作製することもできる。すなわち、この場合には、本発明に係るPHAと、重合性モノマー、着色剤としての顔料、染料、または、磁性体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワックス、その他の添加剤などの材料を混合分散する。そして、界面活性剤などの存在下、水系分散媒体中で懸濁重合することにより、重合性着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液分離する。その後、乾燥し、必要に応じて、分級を行って、本発明のトナー粒子を得ることができる。
その後、無機微粒子や樹脂粒子などの外添剤を加えて混合(外添)する。
混合装置としては、例えば、攪拌部材を有する回転体と、攪拌部材と間隙を有して設けられた本体ケーシングとを有する混合装置によって行われる。このような混合装置としては、例えば、
ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)、
スーパーミキサー((株)カワタ製)、
リボコーン((株)大川原製作所製)、
ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン(株)製)、
スパイラルピンミキサー(太平洋機工(株)製)、
レーディゲミキサー((株)マツボー製)、
ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)、
ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)
などが挙げられる。特に、均一に混合しシリカ凝集体をほぐすためには、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)が好ましい。
混合の装置条件としては、処理量、撹拌軸回転数、撹拌時間、撹拌羽根形状、槽内温度などが挙げられる。
さらに、疎水化表面処理された無機微粒子をトナー粒子の表面に埋め込んで固着させることが好ましい。
固着させる方法としては、例えば、
高速撹拌機で撹拌混合する際にトナー粒子の結着樹脂のTg付近まで温度を高くして外添する方法、
ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)などの機械的衝撃力が高い混合装置を使用する方法、
外添混合後にトナーを熱処理する方法、
重合トナーなど溶媒中でトナー粒子を形成させる際に無機微粒子を最後に添加する方法
などが挙げられる。それらの中でも、無機微粒子をトナー粒子と低温で混合した後に熱風で表面改質処理する方法が無機微粒子を均一に固着できるので好ましい。
本発明のトナーは、流動性・帯電性とドット/ライン再現性の観点から、重量平均粒子径が3.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以上8.0μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が3.0μm以上であれば、転写効率の低下しにくく、感光体上に転写残トナーが残りにくく、カブリ、転写不良による画像の不均一ムラが生じにくい。また、重量平均粒子径が9.0μm以下であれば、文字やライン画像の飛び散りが生じにくい。
本発明において、トナーの平均粒径および粒度分布は、コールターカウンターTA−II型またはコールターマルチサイザー(コールター社製)などを用いた。そして、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機バイオス(株)製)およびPC−9801パーソナルコンピューター(日本電気(株)製)を接続して測定した。その際に使用する電解液として、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。電解液としては、市販のISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用した。具体的な測定法としては、上記電解液100〜150mL中に、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用した)を0.1〜5mL加え、さらに、測定試料を2〜20mg加えて測定用試料とした。測定の際には、この測定試料が懸濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行った。その後、上記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出した。それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒子径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
本発明のトナーは、一成分系現像剤および二成分系現像剤のいずれにも適用可能である。本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーと磁性キャリアと混合して使用される。
磁性キャリアとしては、例えば、表面酸化または未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライトなどが挙げられる。
磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において、好ましく使用できる。被覆方法としては、樹脂を溶剤中に溶解または懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子の表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と樹脂粒子とを混合する方法などが適用できる。
トナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、二成分系現像剤中のトナーの濃度を2質量%以上15質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、4質量%以上13質量%以下である。
本発明のトナーは、磁性材料をトナー粒子中に含有させて磁性トナーとしてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性材料としては、例えば、
マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの酸化鉄、
鉄、コバルト、ニッケルなどの金属、
鉄、コバルト、ニッケルなどの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金、
それらの混合物
などが挙げられる。
磁性材料としては、平均粒子径が2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
トナー粒子中の磁性材料の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
以下に本発明を実施例および比較例により説明する。
[実施例1]
〈トナー粒子の結着樹脂の製造〉
〈PHA樹脂の製造例〉
〈予備調製1〉
500mL容振盪フラスコを20本用意し、各々についてポリペプトン(和光純薬工業(株))0.5質量%、10−ウンデセン酸10mmol/Lを上記M9培地200mLに溶解させた。そして、500mL容振盪フラスコに入れてオートクレーブにより滅菌した後、室温まで冷却した。調整した培地中に、あらかじめポリペプトン0.5%を含むM9培地で8時間振盪培養したシュードモナス・チコリアイYN2株の培養液を各々に2mL加え、30℃、64時間培養した。培養後、培養液を纏めて、遠心分離により菌体を回収し、メタノール洗浄した後、乾燥させた。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、35℃で72時間攪拌することによりポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロロホルムを0.45μmメンブランフィルターにより濾過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノール中に再沈殿し、ポリマーを回収した。その後、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソーTSK−GELSuperHM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量(Mn):94000、重量平均分子量(Mw):183000であった。
得られたPHAの構造を特定するため、以下の条件でNMR分析を行った。
〈測定機器〉
FT−NMR:BrukerDPX400共鳴周波数:H=400MHz
〈測定条件〉
測定核種:H使用溶媒:TMS/CDCl測定温度:室温
その結果、ユニットとして、3−ヒドロキシ−10−ウンデセン酸由来のユニット、3−ヒドロキシ−8−ノネン酸由来のユニット、3−ヒドロキシ−6−ヘプテン酸由来のユニットを含む、PHA共重合体Aであることが確認された。
〈酸化反応による脂肪族カルボキシPHA合成〉
予備調製1で得られたポリヒドロキシアルカノート重合体A303mgを200mL容ナスフラスコ中に加え、ジクロロメタン20mLを加えて溶解させた。これを氷浴下に置き、酢酸3mL、18−クラウン−6−エーテル300mgを加えて攪拌した。
次に、氷浴下で過マンガン酸カリウム241mgをゆっくり加えて、室温で20時間攪拌した。反応終了後、水50mLおよび亜硫酸水素ナトリウムを加えた。その後、1.0mol/L(1.0N)塩酸により液性をpH1にした。混合溶液中のジクロロメタンをエバポレーターにより留去した後、溶液中のポリマーを回収した。これをメタノール100mLで洗浄し、さらに純水100mLで3回洗浄した後、ポリマーを回収した。減圧乾燥することで目的とするPHAを247mg得た。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソーTSK−GEL Super HM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量(Mn):36000、重量平均分子量(Mw):114000であった。
得られたPHAの構造を特定するため、上述の条件でNMR分析を行った。
その結果、ユニットとして、3−ヒドロキシ−9−カルボキシノナン酸由来のユニット、3−ヒドロキシ−7−カルボキシヘプタン酸由来のユニット、3−ヒドロキシ−5−カルボキシ吉草酸由来のユニットを含む、PHA共重合体Bであることが確認された。
以上の方法を複数バッチ製造することにより、320gのPHA共重合体Bを製造した。
〈三環式ジテルペンアルコールの製造〉
(1)触媒の調整(ゾルーゲル法)
100mLのナス型フラスコにルテニウム−トリスアセチルアセトナト2.0gおよび濃硝酸20mLを加えて80℃で16時間撹拌した。ついで、過剰の濃硝酸をエバポレーターで留去した後、得られたルテニウム化合物を10mLのエタノールに溶解させた。また、100mLの三角フラスコ中でスズ−テトラエトキシド3.0gをエタノール10mLに溶解させた。
別に、1Lのナス型フラスコにアルミニウム−トリスイソプロキシド95.8gおよびヘキシレングリコール200gを加えて130℃で撹拌して溶液とした。80℃まで放冷した後、上記のルテニウム−エタノール溶液およびスズ−エタノール溶液を加え、100mmHgの減圧下、80℃で4時間撹拌した。ついで、水50gを加えて、同条件下で3時間撹拌してゲル状物質を得た。このゲル状物質を170℃の油溶中、エバポレーターで減圧しながら加熱乾燥して、内部にルテニウム化合物およびスズ化合物が均一に分散したアルミナゲル(ルテニウム含有量2.0%、スズ含有量4.7%)32.6gを得た。さらに、得られたアルミナゲルを、空気中、400℃で2時間焼成した後、水素気流中、600℃で4時間還元処理し、触媒を調製した。
(2)水素化反応
内容積500mLの電磁撹拌式オートクレーブ中にアビエチン酸(ガスクロマトグラフ分析による純度が94%のもの)20.0gおよびデカリン180gを仕込んだ。その後、上記(1)の方法により調製した触媒2.0gを加え、水素圧100kg/cm、温度280℃の反応条件で反応させた。反応液は適宜抜き出して分析した。12時間の反応の後、純度91%のアビエチルアルコール17.9gを得て、これを三環式ジテルペンアルコールAとした。
なお、生成物の分析は、反応液から触媒を濾別し、エバポレーターで溶媒を留去した後ガスクロマトグラフィーにより行い、生成物の保持時間と市販のアビエチルアルコールの保持時間が一致したことにより、アビエチルアルコールの生成を確認した。また、生成物のIRスペクトルを測定した結果、原料のアビエチン酸にみられたカルボニル基に由来する1700cm−1の吸収が著しく減少し、対応する生成アビエチルアルコールのヒドロキシ基に由来する3400cm−1付近の吸収が認められた。
〈三環式ジテルペン変性PHA樹脂の作製〉
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、分留装置および窒素導入管を備えた反応容器中に、三環式ジテルペンアルコールAを600g、反応触媒として水酸化カリウム4.0gを投入した。これらの原料を、窒素雰囲気下で撹拌し温度140℃前後で圧力0.7MPa以下に保ち、エチレンオキサイド3000gを5時間以上かけて導入した内容物を濾過し、三環式ジテルペンアルコール誘導体Aを得た。
さらに、PHA重合体Bと、三環式ジテルペンアルコール誘導体Aを混練機(商品名:二軸混練機PCM−60、(株)池貝製)にて溶融混練した(シリンダー設定温度:180〜200℃、回転数:200rpm、供給量:5kg/時)。そうして、三環式ジテルペン変性PHA(ガラス転移点:66℃、軟化温度:157℃、重量平均分子量:35500、Mw/Mn=9.9、THF(テトラヒドロフラン)不溶分:0%)を得た。生成物のIRスペクトルを測定した結果、三環式ジテルペンアルコールAにみられたヒドロキシ基に由来する3400cm−1付近の吸収が著しく減少していた。NMRの分析から、上記式(2)で示されるユニットが生成されていることが確認された。こうして得られた重合体を、三環式ジテルペン変性PHA樹脂1とした。
〈トナー結着樹脂の製造〉
〈ポリエステル樹脂製造例〉
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:71.9質量部(0.20mol;多価アルコール総モル数に対して100.0モル%)
・テレフタル酸:26.8質量部(0.16mol;多価カルボン酸総モル数に対して96.0mol%)
・チタンテトラブトキシド:0.6質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管および熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量して投入した。次に、フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、6時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:1.3質量部(0.01mol;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、3時間反応させ(第2反応工程)、重量平均分子量(Mw)が15000である非晶性ポリエステル樹脂を得た。
〈ビニル系樹脂製造例〉
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピークが100℃):20質量部
・スチレン:59質量部
・アクリル酸−n−ブチル:18.5質量部
・アクリロニトリル:2.5質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたビニル系樹脂重合体を得た。得られたビニル系樹脂重合体Dの軟化点は110℃、ガラス転移点は64℃であり、重合体EのTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料の不飽和結合を1つ以上有するポリエチレンに相当するピークは認められなかった。
〈トナー粒子の製造例〉
〈トナー粒子の製造例1〉
・三環式ジテルペン変性PHA樹脂:125質量部
・ポリエステル樹脂:70質量部
・ビニル系樹脂:5質量部
・炭化水素ワックス(最大吸熱ピークのピーク温度:90℃):5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:35質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:0.5質量部
上記原料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数1200rpm、回転時間5分で混合して混合物を得た。次に、吐出温度が135℃になるよう温度設定し、回転数350rpmに設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混合物を混練した。得られた混練物を冷却速度20℃/分で冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子Aを得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を3000rpmで分級を行った。得られたトナー粒子1は、重量平均粒子径(D4)が7.2μmであった。
トナー粒子1の100質量部に、疎水性シリカ粒子(NX130、日本アエロジル(株)製を1.2質量部添加し、ヘンシェルミキサー(FM−10C型、日本コークス工業(株)製)で、回転数:4000rpm、回転時間:3分で混合し、トナー1を得た。
[実施例2]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からデヒドロアビエチン酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂2を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂2を用いたトナー2を製造した。
[実施例3]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からネオアビエチン酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂3を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂3を用いたトナー3を製造した。
[実施例4]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からパラストリン酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂4を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂4を用いたトナー4を製造した。
[実施例5]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からピマール酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂5を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂5を用いたトナー5を製造した。
[実施例6]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からイソピマール酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂6を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂6を用いたトナー6を製造した。
[実施例7]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からレボピマール酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂7を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂7を用いたトナー7を製造した。
[実施例8]
使用した三環式ジテルペンをアビエチン酸からサンダラコピマール酸に変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂8を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂8を用いたトナー8を製造した。
[実施例9]
使用した三環式ジテルペンとして、アビエチン酸から、
ピマール酸、
パラストリン酸、
イソピマール酸、
アビエチン酸、
デヒドロアビエチン酸、
ネオアビエチン酸
を含むトールロジンを、それぞれの三環式ジテルペンカルボン酸を単離抽出しない状態のものに変更した以外は、実施例1と同様にして三環式ジテルペン変性PHA樹脂9を作製した。そして、三環式ジテルペン変性PHA樹脂9を用いたトナー9を製造した。
[比較例1]
三環式ジテルペン変性PHA樹脂1を未変性のPHA樹脂(三環式ジテルペン変性PHA樹脂1を変性する前の樹脂)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー10を製造した。
[比較例2]
三環式ジテルペン変性PHA樹脂1を三環式ジテルペン変性PLA樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー11を製造した。
トナー1〜11を表1に示す。
Figure 2018165794
〈評価方法・評価基準〉
〈高温環境下で放置後の定着性の変化〉
トナー1〜11をポリメチルメタクリレート樹脂で被覆した個数平均粒子径50μmの樹脂被覆フェライトキャリアとトナー/キャリアの質量比7〜14%(トナー帯電量が20〜40μC/gの範囲に入るよう調整)で混合した。このようにして、二成分系現像剤1〜11を作製した。
二成分系現像剤1〜11を用いて、キヤノン(株)製のフルカラー複写機(imageRUNNER ADVANCE C9075PRO)を使用し、低温低湿環境下(10℃/15%RH)において、定着温度を150℃に設定し、画像出力した。
出力画像は単色モードのシアンの4A横で10cm幅の縦帯画像で、紙上のシアンの反射濃度が1.40になるように調整した。
評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
その後、出力画像を40℃/20%RHの高温環境下に1週間置いた後、次の方法にて定着画像剥がれ試験を行った。
得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で5回摺擦したときの、摺擦前後の濃度低下率を以下の基準で評価した。得られた出力画像の反射濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用いて9か所の平均値を測定した。
(評価基準:高温環境下で放置後の定着性の維持性能)
A:濃度低下率が3%未満
B:濃度低下率が3%以上6%未満
C:濃度低下率が6%以上10%未満
D:濃度低下率が10%以上
Aが最も優れており、Dが最も劣っている。
〈高湿環境下で放置後の定着性の変化〉
トナー1〜11をポリメチルメタクリレート樹脂で被覆した個数平均粒子径50μmの樹脂被覆フェライトキャリアとトナー/キャリアの質量比7〜14%(トナー帯電量が20〜40μC/gの範囲に入るよう調整)で混合した。このようにして、二成分系現像剤1〜11を作製した。
二成分系現像剤1〜11を用いてキヤノン(株)製のフルカラー複写機(imageRUNNER ADVANCE C9075PRO)を使用し、高湿環境下(25℃/80%RH)において、画像出力した。
まず、ベタ白(印字率0%)で1000枚通紙(画像出力、現像器はトナーを消費せずに回転)を行った後、出力画像は単色モードのシアンのA4横で10cm幅の縦帯画像で、紙上のシアンの反射濃度が1.40になるように調整した。
評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
その後、現像器を取り出して120時間放置し、複写機本体を立ち上げてから現像器を本体内に戻し、同じ現像条件で再度同じ画像の画像出力を行った。得られた出力画像の反射濃度を、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用いて9か所の平均値を測定し、放置前後の反射濃度と比較して以下の基準により評価した。
(評価基準:放置前後の出力画像の反射濃度差)
A:Δ0.06未満
B:Δ0.06以上Δ0.10未満
C:Δ0.10以上Δ0.15未満
D:Δ0.15以上
Aが最も優れており、Dが最も劣っている。
〈評価結果〉
Figure 2018165794

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示されるユニットを含む重合体を含有するトナー粒子を有することを特徴とするトナー。
    Figure 2018165794

    (式(1)中、Rは、三環式ジテルペン由来の1価の基を示す。mは、1以上10以下の整数であり、ユニットごとに違う値をとりうる。)
  2. 前記トナー粒子が、前記式(1)で示されるユニットを含む重合体以外の結着樹脂を含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記三環式ジテルペン由来の1価の基が、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、レボピマール酸およびサンダラコピマール酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物由来の1価の基である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記式(1)で示されるユニットが、下記式(2)で示されるユニット、下記式(3)で示されるユニット、下記式(4)で示されるユニット、下記式(5)で示されるユニット、下記式(6)で示されるユニット、下記式(7)で示されるユニット、下記式(8)で示されるユニットおよび下記式(9)で示されるユニットからなる群より選択される少なくとも1種のユニットである請求項3に記載のトナー。
    Figure 2018165794

    Figure 2018165794

    (式(2)〜(9)中、mは、1以上10以下の整数であり、ユニットごとに違う値をとりうる。)
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