以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術の課題について鋭意検討を行った結果、キャリア芯材表面を樹脂で被覆した樹脂コートキャリアにおいて、前記樹脂に少なくとも化学式(1):
(式中、Rは−A1−(SO2R1)xを表す。R1はOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR1aである。A1、R1aは置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。また、mは0〜7の範囲内から選ばれた整数であり、xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のユニットが存在する場合、R、R1、A1、R1a、m、xは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
に示すユニットを分子中に1ユニット以上含むポリヒドロキシアルカノエートを含有させることにより、耐久性に優れ、環境に左右されずに充分な帯電をトナーに与えることができ、更に、通常、高湿下において顕著に発生し易い傾向にある画像流れについても、全く画像流れのない優れた画質を得ることを可能にできることを知見して本発明に至った。
本発明で使用するポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと略記することもある)は生分解性樹脂としての基本骨格を有しており、それゆえ、従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解され、自然界の物質循環に取り込まれるという際立った特性を有している。そのため、燃焼処理を行なう必要もなく、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチックとして利用することができる。
一般にTm(溶融温度)やTg(ガラス転移温度)は、樹脂材料の耐熱性や力学的強度(例えば、弾性率)等と関連する重要な物性である。例えば、TmやTgが高い樹脂材料は耐熱性や強度において優れており、逆に、TmやTgが低い樹脂材料は成形し易い等の利点があるものの、耐熱性や強度等においては劣るとされる。従来のPHAの多くは、TmやTgが比較的低いため、押出成形加工性、機械的特性、耐熱性等に制約があり、その用途の拡大にも限界があった。
本発明で使用するPHAは、従来に比較して、熱的特性や機械的特性等の物性が改善されたものであり、耐熱性や強度等が要求される用途に応用可能である。
これら所望の物性のPHAは、本発明におけるPHAを合成可能な微生物の培養条件等を選択することによって得られる。例えば、培養時間等の制御により、数平均分子量の制御が可能である。また、溶媒抽出、再沈殿などの手段を用いた低分子量成分の除去により、数平均分子量の制御が可能である。ここで、ガラス転移温度、軟化点はPHAの分子量と相関関係を有する。また、PHA中のモノマーユニットの種類/組成比を制御することでガラス転移温度、軟化点を制御することも可能である。
PHAの分子量は、数平均分子量で1000から100万程度とするのが望ましい。
ここで、このような化合物を微生物を利用して生産した場合、前記ポリエステル樹脂はR体のみからなるアイソタクチックなポリマーであるが、物性/機能の両面において本発明の目的を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用することが可能である。また、ラクトン化合物を有機金属系触媒(例えば、アルミニウム、亜鉛、スズ等を含む有機触媒)を用いて開環重合を行なう化学合成法によりPHAを得ることも可能である。
以下に本発明で使用するPHAの製造方法例について述べる。
本発明で目的とする化学式(1)で示すポリヒドロキシアルカノエートは、出発原料として用いる化学式(24)で表される3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)アルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートと化学式(25)で示す化合物の少なくとも1種との反応で製造される。
(pは0〜7の範囲内から選ばれた整数である。R24は、H原子、Na原子またはK原子である。複数のユニットが存在する場合、pおよびR24は、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
H2N−A25−(SO2R25)x (25)
(式中、R25はOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR25aである。A25は置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。R25a は、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のアミン化合物が存在する場合、A25、R25、R25a、xは、各アミン化合物毎に独立して上記の意味を表す。)
(化学式(24)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法)
化学式(24)で表される3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)アルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(28)で示される3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの二重結合部分の酸化開裂、あるいは化学式(54)で示される3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートのメチル基部分の酸化により製造される。
(式中、sは0〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のユニットが存在する場合、sは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
(式中、lは0〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のユニットが存在する場合、lは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
このように、炭素−炭素の二重結合あるいはメチル基を酸化剤を用いて、酸化してカルボン酸を得る方法としては、過マンガン酸塩を用いる方法(J.Chem.Soc.,Perkin.Trans.1,806(1973);非特許文献1)、重クロム酸塩を用いる方法(Org.Synth.,4,698(1963);非特許文献2)、過ヨウ素酸塩を用いる方法(J.Org.Chem.,46,19(1981);非特許文献3)硝酸を用いる方法(特開昭59−190945号広報;特許文献2)、オゾンを用いる方法(J.Am.Chem.Soc.,81,4273(1959);非特許文献4)等が知られており、更にポリヒドロキシアルカノエートに関しては、前述のMacromolecular chemistry,4,289−293(2001)(非特許文献5)に、ポリヒドロキシアルカノエートの側鎖末端の炭素−炭素二重結合を酸化剤として過マンガン酸カリウムを用い、反応を酸性条件下で行うことで、カルボン酸を得る方法が報告されている。本発明においても同様の方法を用いることができる。
酸化剤として用いる前記過マンガン酸塩としては、過マンガン酸カリウムが一般的である。過マンガン酸塩の使用量は、酸化反応が化学量論的反応であるため、化学式(28)あるいは(54)で示すユニット1モルに対して、通常1モル当量以上、好ましくは、2〜10モル当量使用するのがよい。
反応系を酸性条件下にするためには通常、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などの各種の無機酸や有機酸が用いられる。しかしながら、硫酸、硝酸、塩酸などの酸を用いた場合、ポリヒドロキシアルカノエートの主鎖のエステル結合が切断され、分子量低下を引き起こす恐れがある。そのため酢酸を用いることが好ましい。酸の使用量は、化学式(28)あるいは(54)で示すユニット1モルに対して、通常、0.2〜2000モル当量、好ましくは0.4〜1000モル当量の範囲で用いられる。0.2モル当量に満たない場合には低収率となり、2000モル当量を越える場合には酸による分解物が副生するため、いずれの場合も好ましくない。また、反応を促進する目的でクラウン−エーテルを用いることができる。この場合、クラウン−エーテルと過マンガン酸塩とは、錯体を形成し、反応活性が増大する効果が得られる。クラウン−エーテルとしては、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロ−18−クラウン−6−エーテル、18−クラウン−6−エーテルが一般的に用いられる。クラウン−エーテルの使用量は、過マンガン酸塩1モルに対して、通常0.005〜2.0モル当量、好ましくは、0.01〜1.5モル当量の範囲で用いることが望ましい。
また、本発明の酸化反応における溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、たとえば、水、アセトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メチルクロリド、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等を使用できる。これらの溶媒のなかでも、ポリヒドロキシアルカノエートの溶解性を考慮すれば、メチルクロリド、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が好ましい。
本発明の前記酸化反応において、化学式(28)あるいは(54)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、過マンガン酸塩及び酸は一括して最初から溶媒とともに仕込んで反応させてもよく、それぞれを連続的若しくは断続的に系内に加えながら反応させてもよい。また、過マンガン酸塩のみを先に溶媒に溶解若しくは懸濁させておき続いて、ポリヒドロキシアルカノエート及び酸を連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよく、ポリヒドロキシアルカノエートのみを先に溶媒に溶解若しくは懸濁させておき、続いて過マンガン酸塩及び酸を連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよい。さらには、ポリヒドロキシアルカノエート及び酸を先に仕込んでおき続いて過マンガン酸塩を連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよく、過マンガン酸塩及び酸を先に仕込んでおき続いてポリヒドロキシアルカノエートを連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよく、ポリヒドロキシアルカノエート及び過マンガン酸塩を先に仕込んでおき続いて酸を連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよい。
反応温度は、通常−40〜40℃、好ましくは−10〜30℃とするのがよい。反応時間は、化学式(28)あるいは(54)で示すユニットと過マンガン酸塩の量論比及び反応温度に依存するが、通常2〜48時間とするのがよい。
また、化学式(28)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットあるいは化学式(54)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニット以外に、化学式(11)で示される3−ヒドロキシ−ω−置換アルカン酸ユニット、もしくは化学式(12)で示される3−ヒドロキシ−ω−シクロヘキシルアルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを用いた場合においても同様の条件で反応を行うことが可能である。
(化学式(28)あるいは(54)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法)
本発明に用いられる化学式(28)あるいは(54)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートは、特に限定されてはいないが、微生物生産により製造する方法、遺伝子操作した植物作物システムにより製造する方法、化学的に重合して製造する方法などを用いて製造することができる。ここで、このような化合物を微生物により生産する工程を含んだ方法で製造した場合、上記ポリヒドロキシアルカノエートはR体のみからなるアイソタクチックなポリマーであるが、物性/機能の両面において本発明の目的を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用することが可能である。また、ラクトン化合物の開環重合などを利用した化学合成を工程に含んだ方法によって上記ポリヒドロキシアルカノエートを得ることも可能である。
本発明における化学式(28)あるいは(54)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法として微生物生産を用いた場合について詳しく述べる。
出発原料である上記ポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(29)で示すω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸あるいは化学式(55)で示すω−(4−メチルフェニル)アルカン酸の少なくとも1種を含む培地中で前記微生物を培養することを特徴とする製造方法によるものである。
(tは0〜7の範囲内から選ばれた整数である。)
(qは0〜7の範囲内から選ばれた整数である。)
<PHA生産菌>
本発明の出発原料として化学式(28)あるいは(54)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法で用いる微生物は、PHA産生能を有する微生物、すなわち、一般式(29)で示されるω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸あるいは一般式(55)で示されるω−(4−メチルフェニル)アルカン酸を含む培地中で培養することにより、一般式(28)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットあるいは(54)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニットを含むPHA型のポリエステルを生産し得る微生物であれば、いかなる微生物であってもよい。利用可能なPHA産生能を有する微生物の好適な一例としては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物を挙げることができる。なかでも、PHA産生能を有するものの、フェニル基上に置換しているビニル基に対しては、それを酸化する、あるいは、エポキシ化するなどの酵素反応性を示さない菌株がより好ましいものである。
より具体的には、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物のうちでも、本発明の製造方法で用いる前記微生物としてより好ましい種として、シュードモナス・チコリアイ(Pseudomonas cichorii)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorecense)、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)、シュードモナス・アルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・スツッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・ジェッセニイ(Pseudomonas jessenii)を挙げることができる。
更には、より好適な菌株として、例えば、シュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP−7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45;FERM BP−7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161;FERM BP−7376)、シュードモナス・プチダ P91株(Pseudomonas putida P91;FERM BP−7373)を挙げることができる。これら4種の菌株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所 特許生物寄託センターに寄託されており、特開2001−288256号公報(特許文献3)および特開2002−80571号公報(特許文献4)に記載されている微生物である。
また、これらシュードモナス属微生物の他に、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)、アエロモナス属(Aeromonas sp.),コマモナス属(Comamonas sp.)などに属し、PHAを生産することが知られている菌株の多くも本願発明のPHA生合成に応用可能である。
これらの微生物は、鎖の末端に、置換または未置換フェニル基、置換または未置換フェノキシ基、置換または未置換シクロヘキシル基のような6員環原子団が置換されているω−置換−直鎖アルカン酸、または、チエニル基のような5員環原子団が置換されているω−置換−直鎖アルカン酸を原料として、対応するω−置換−3−ヒドロキシ−アルカン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する能力を有している。
<培養>
前記の微生物を、3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットあるいは3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニットの導入のための基質となる炭素源、および、3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットあるいは3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニット以外の所望のモノマーユニットの導入のための基質となる炭素源、及び、微生物の増殖用炭素源を少なくとも含んだ培地で培養することで、目的とするPHAを生産することができる。このようなPHAは、一般にR体のみから構成される、アイソタクチックなポリマーである。
本発明の製造方法において、微生物の培養工程で用いる培地としては、リン酸塩ならびにアンモニウム塩または硝酸塩等の窒素源を含む無機塩培地ならば、いかなる培地を利用することもできるが、微生物にPHAを生産する過程では、培地中の窒素源濃度を調節することで、PHAの生産性を向上せしめることも可能である。
また、培地には、微生物の増殖を促す基質として、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を添加することが可能である。すなわち、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素の形態で、ペプチド類をエネルギー源、炭素源として、添加することができる。
あるいは、培地には、微生物の増殖により消費されるエネルギー源、炭素源として、糖類、例えば、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等を用いることができる。
前記糖類に代えて、有機酸またはその塩、より具体的には、TCAサイクルに関与する有機酸、ならびに、TCAサイクルから1段階や2段階の少ない生化学的反応により誘導される有機酸、またはそれらの水溶性の塩を利用することができる。有機酸またはその塩として、例えば、ピルビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸やオキソカルボン酸類またはその水溶性の塩を用いることが可能である。あるいは、アミノ酸またはその塩、例えば、アスパラギン酸やグルタミン酸等のアミノ酸またはその塩を用いることが可能である。有機酸またはその塩を添加する際には、ピルビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、ならびにその塩からなる群から、一種または複数種を選択し、培地に添加し、溶解させることがより好ましい。あるいは、アミノ酸またはその塩を添加する際には、アスパラギン酸、グルタミン酸ならびにそれらの塩からなる群から、一種または複数種を選択し、培地に添加し、溶解させることがより好ましい。その際、必要に応じて、全部または一部を水溶性の塩の形状で添加し、培地のpHに影響を与えず、均一に溶解させることもできる。
微生物増殖のための炭素源、ならびに、ポリヒドロキシアルカノエート生産のためのエネルギー供給源として、培地に添加される上記の共存基質の濃度は、通常、培地あたり0.05%〜5%(w/v)の範囲、より好ましくは、0.2%〜2%(w/v)の範囲に選択することが望ましい。すなわち、上述する共存基質として利用される、ペプチド類、酵母エキス、有機酸またはその塩、アミノ酸またはその塩、糖類は、一種類または複数種を添加することができ、その際、これらを合計して、前記の合計濃度となる範囲で添加することが望ましい。
目的とするポリヒドロキシアルカノエートを生産するための基質、すなわち、一般式(29)で示されるω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸あるいは化学式(55)で示されるω−(4−メチルフェニル)アルカン酸の含有比率は、培地あたり0.01%〜1%(w/v)の範囲、より好ましくは0.02%〜0.2%(w/v)の範囲に選択することが望ましい。
また、目的とするポリヒドロキシアルカノエートを生産するための基質、すなわち、化学式(29)で示されるω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸あるいは化学式(55)で示されるω−(4−メチルフェニル)アルカン酸の少なくとも1種だけでなく化学式(30)で示されるω−置換アルカン酸化合物の少なくとも1種、もしくは、化学式(31)で示されるω−シクロヘキシルアルカン酸化合物の少なくとも1種を培養中に共存させることにより、化学式(28)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットあるいは化学式(55)で示す3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニット以外に、化学式(11)で示される3−ヒドロキシ−ω−置換アルカン酸ユニット、もしくは、化学式(12)で示される3−ヒドロキシ−ω−シクロヘキシルアルカン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することが可能である。さらに、他の3−ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むような共重合体を合成することも可能である。このようなモノマーユニットとして、具体的には、3−ヒドロキシヘキサン酸ユニット,3−ヒドロキシヘプタン酸ユニット,3−ヒドロキシオクタン酸ユニット,3−ヒドロキシノナン酸ユニット,3−ヒドロキシデカン酸ユニット,3−ヒドロキシドデカン酸ユニット,3−ヒドロキシテトラ酸ユニット等の、mcl−PHAを構成する3−ヒドロキシアルカン酸ユニットなどを例示することができる。また、PHAがこれらモノマーユニットを複数含むことも可能であり、各モノマーユニットや含まれる官能基の特性を利用したPHAの物性制御や複数の機能の付与、官能基間の相互作用を利用した新たな機能の発現等が可能となる。
(uは1〜8の範囲内から選ばれた整数である。R30は、フェニル構造、チエニル構造のいずれかの環構造を含んでおり、前述の化学式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)のいずれかであり、複数のユニットが存在する場合、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
(式中、R31はシクロヘキシル基への置換基を示し、R31はH原子、CN基、NO2基、ハロゲン原子、CH3基、C2H5基、C3H7基、CF3基、C2F5基またはC3F7基であり、vは0〜8の範囲内から選ばれた整数である。)
培養温度は、利用する微生物菌株が良好に増殖可能な温度であれば良く、通常、15℃〜37℃の範囲、より好ましくは、20℃〜30℃の範囲程度に選択することが適当である。
培養は、液体培養、固体培養等前記微生物が増殖し、PHAを生産する培養方法ならば、いかなる培養方法でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコ中で、振とうしつつ酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
微生物にPHAを生産・蓄積せしめる手法としては、上述する、所定の濃度で基質を添加した、リン酸塩、ならびにアンモニウム塩または硝酸塩等の窒素源を含む無機塩培地において、微生物を培養する、一段階培養法の他に、培養を二段階に分けて行う二段階培養法を採用することもできる。この二段階培養法では、一次培養として、所定の濃度で基質を添加した、リン酸塩、ならびにアンモニウム塩または硝酸塩等の窒素源を含む無機塩培地において、微生物を一旦十分に増殖させた後、二次培養として、培地に含まれる塩化アンモニウムのような窒素源を制限した上で、所定の濃度で基質を添加した培地に、一次培養で得られた菌体を移し、更に培養して、微生物にPHAを生産・蓄積せしめる。この二段階培養法を採用すると、目的とするPHAの生産性が向上する場合がある。
一般に、生産されるPHA型のポリエステルは、側鎖に、3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸ユニットの4−ビニルフェニル基あるいは3−ヒドロキシ−ω−(4−メチルフェニル)アルカン酸ユニットの4−メチルフェニル基など疎水性の原子団を有するので、水溶性は乏しく、PHA産生能を有する微生物の菌体内に蓄積されるので、培養により増殖させ、目的のPHA型のポリエステルを生産・蓄積している菌体を集菌することで、培地と分離が容易になされる。集菌した培養菌体を、洗浄・乾燥した後、目的のPHA型のポリエステルを回収することができる。
また、ポリヒドロキシアルカノエートは、通常、かかるPHA産生能を有する微生物の菌体内に蓄積される。この微生物細胞から目的のPHAを回収する方法としては、通常行なわれている方法を適用することができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒による抽出が最も簡便ではある。前記の溶媒以外に、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが用いられる場合もある。また、有機溶媒の使用が望ましくない作業環境中では、溶媒抽出法に代えて、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の酵素による処理、次亜塩素酸塩、アンモニア、EDTA等の薬剤による処理、あるいは、超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法のいずれかの方法を用いて、微生物細胞を物理的に破砕した後、目的とするPHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を採用することもできる。
本発明の製造方法に利用可能な無機塩培地の一例として、後に述べる実施例において利用している無機塩培地(M9培地)の組成を以下に示す。
(M9培地の組成)
Na2 HPO4 :6.3
KH2 PO4 :3.0
NH4 Cl :1.0
NaCl :0.5
(g/L、pH=7.0)
更には、良好な菌体の増殖、それに伴うPHAの生産性の向上を図るためには、前記M9培地などの無機塩培地に対して、必須な微量金属元素などの必須微量元素を適量添加することが必要であり、以下に組成を示す微量成分溶液を0.3%(v/v)程度添加することが極めて有効である。かかる微量成分溶液の添加は、微生物の増殖に際して使用される微量金属元素などを供給するものである。
(微量成分溶液の組成)
ニトリロ三酢酸 :1.5
MgSO4 :3.0
MnSO4 :0.5
NaCl :1.0
FeSO4 :0.1
CaCl2 :0.1
COCl2 :0.1
ZnSO4 :0.1
CuSO4 :0.1
AlK(SO4)2 :0.1
H3 BO3 :0.1
Na2 MoO4 :0.1
NiCl2 :0.1
(g/L)
(化学式(25)に示す化合物)
本発明に用いる化学式(25)に示す化合物としては、
H2N−A25−(SO2R25)x (25)
(式中、R25はOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR25aである。A25は置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。R25aは、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のアミン化合物が存在する場合、A25、R25、R25a、xは、各アミン化合物毎に独立して上記の意味を表す。)
が挙げられる。
更に詳しくは、A25は炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造を表す。A25が環構造の場合、未置換の環がさらに縮合してもよい。
A25が炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基の化合物としては、2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)、3−アミノプロパンスルホン酸、4−アミノブタンスルホン酸、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸や、そのアルカリ金属塩があげられる。
A25が、置換または未置換のフェニル基の場合は化学式(32)で表される。
(式中、R32a、R32b、R32c、R32d、R32eは、少なくとも一つはSO2R32f(R32fはOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR32hである。R32hは、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。)であり、その他に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2基、NO2基、COOR32g(R32g:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3基、C2F5基またはC3F7基を表す。)
化学式(32)で示される化合物としては、p−アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)、m−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−トルイジン−4−スルホン酸、o−トルイジン−4−スルホン酸ナトリウム塩、p−トルイジン2−スルホン酸、4−メトキシアニリン−2−スルホン酸、o−アニシジン−5−スルホン酸、p−アニシジン−3−スルホン酸、3−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム塩、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム塩、1,5−ジニトロアニリン−4−スルホン酸、2−アミノフェノール−4−ヒドロキシ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸ナトリウム塩、2,4−ジメチルアニリン−6−スルホン酸、3,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸、4−イソプロピルアニリン−6−スルホン酸、4−トリフルオロメチルアニリン−6−スルホン酸、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリン−5−スルホン酸、4−カルボキシアニリン−6−スルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、2−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、2−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。
A25が置換または未置換のナフチル基の場合は、化学式(33a)、(33b)で表される。
(式中、R33A、R33B、R33C、R33D、R33E、R33F、R33Gは、少なくとも一つはSO2R33O(R33OはOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR33sである。R33sは、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。)であり、その他に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ、OH基、NH2基、NO2基、COOR33P(R33P:H原子、Nlエ子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3基、C2F5基またはC3F7基を表す)
(式中、R33H、R33I、R33J、R33K、R33L、R33M、R33Nは、少なくとも一つはSO2R33Q(R33QはOH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR33tである。R33tは、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。)であり、その他に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ、OH基、NH2基、NO2基、COOR33R(R33R:H原子、Nlエ子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3基、C2F5基またはC3F7基を表す)
化学式(33a)、(33b)で示される化合物としては、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−7−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−2−エトキシ−6−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−スルホン酸一ナトリウム塩、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−スルホン酸一ナトリウム塩等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸メチルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸メチルエステル、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸フェニルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸フェニルエステル等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。
A25が置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造の場合は,ピリジン環、ピペラジン環、フラン環、チオール環などが挙げられる。
(化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートの製造方法)
本発明における化学式(24)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートと化学式(25)で示すアミノスルホン酸化合物との縮合反応について詳しく述べる。カルボキシル基とアミノ基の縮合反応としては、縮合剤を用いる方法、塩を形成し脱水反応により縮合を行う方法、脱水剤を用いる方法、カルボキシル基を酸クロライドに変換しアミノ基を反応させる方法など、いずれも利用が可能である。
本発明の製造方法として、縮合剤を用いる方法について詳しく述べる。
縮合剤としては、リン酸系縮合剤、カルボジイミド系縮合剤、酸塩化物系縮合剤などが利用可能であり、例えば、リン酸系縮合剤としては、亜リン酸エステル系縮合剤、リン塩化物系縮合剤、リン酸無水物系縮合剤、リン酸エステル系縮合剤、リン酸アミド系縮合剤、塩化チオニル系縮合剤を利用することが可能である。
本発明の反応では、亜リン酸エステル系の縮合剤を用いることが好ましい。この際使用される亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリル、亜リン酸ジ−o−クロロフェニル、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−クロロフェニル等が上げられる。中でも、亜リン酸トリフェニルが好ましく用いられる。また、カルボジイミド系縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、N−エチル−N‘−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC=WSCI)およびその塩酸塩(WSCI・HCl)などがあげられる。DCCあるいは、WSCIと、N―ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、あるいは3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOObt)などと組み合わせて用いてもよい。縮合剤の使用量は、化学式(25)に示す化合物に対して、0.1倍モル以上、好ましくは、等倍モル以上の範囲である。また、縮合剤そのものを反応溶媒として用いることも可能である。
本発明に用いられる化学式(25)に示す化合物の使用量は、出発原料として用いる化学式(24)に示すユニットに対して、0.1〜50.0倍モル、好ましくは、1.0〜20.0倍モルの範囲である。
本発明の反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体が挙げられる。特に好ましくは、ピリジンが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、塩基の種類、反応条件等に応じて適宜定め得る。
本発明の方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は0℃〜溶媒の沸点の範囲の温度である。ただし、用いる縮合剤に合わせた最適な温度で反応を行うことが望ましい。
本発明の方法において、反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。
本発明において、このようにして生成した化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートを含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。または、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を用いて、反応液に均一且つ、化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートに不溶な溶媒と混合し、目的とする化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートを再沈殿することにより、回収することができる。ここで得られた化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートは、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートに不溶な溶媒を用いて再沈殿する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
(化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートの製造方法)
化学式(26)に示すように、化学式(1)中のR1がOH、ハロゲン原子、ONa、OKの場合である場合は、メチルエステル化剤であるトリメチルシリルジアゾメタンを用いて、化学式(27)に示す、Rが−A27−(SO3CH3 )x(ここで、xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。)であるポリヒドロキシアルカノエートを合成することが可能である。
(式中、Rは−A26−(SO2R26)xを表す。R26はOH、ハロゲン原子、ONa、OKである。A26は置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。また、mは0〜7の範囲内から選ばれた整数であり、xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のユニットが存在する場合、R、R26、A26、m、xは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
(式中、Rは−A27−(SO3CH3)xを表す。A27は置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造を表す。また、mは0〜7の範囲内から選ばれた整数であり、xは1〜7の範囲内から選ばれた整数である。複数のユニットが存在する場合、R、A27、m、xは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
以下にその反応について詳しく述べる。
本発明の反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体が挙げられる。特に好ましくは、クロロホルム、メタノールが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、反応条件等に応じて適宜定め得る。
トリメチルシリルジアゾメタンの使用量は、化学式(26)に示す化合物の1つのSO2R26基に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは、1〜20倍モルの範囲であり、SO2R26基が複数個存在する場合はその数に応じて使用量を増せば良い。
本発明の方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は−20℃〜30℃の範囲の温度である。
本発明の方法において、反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。
本発明において、このようにして生成した化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートを含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。または、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を用いて、反応液に均一且つ、化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートに不溶な溶媒と混合し、目的とする化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートを再沈殿することにより、回収することができる。ここで得られた化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートは、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(27)に示すポリヒドロキシアルカノエートに不溶な溶媒を用いて再沈殿する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
本発明の方法により製造される、微生物産生のポリヒドロキシアルカノエートを中間原料とする、ポリヒドロキシアルカノエートポリマーには、スルホン酸基あるいはその誘導体を有するユニットが、そのポリマー分子中に含まれている。これらの構造は、かかるユニット末端における、分子中の電子の局在化を強力に促し、その電気的な性質は、従来のポリヒドロキシアルカノエートと比べ著しく異なっている可能性がある。また、このような電子の局在化により、溶媒に対する挙動も、従来のポリヒドロキシアルカノエートと異なるものとなる。一例を挙げると、ジメチルホルムアミド(DMF)のような極性溶媒にも溶解可能となる。また、熱的特性の制御、特には水素結合に由来するガラス転移温度の上昇が顕著であり、広範な用途への応用が可能となる。
本発明において使用する上記PHAは、化学式(1)のモノマーユニットがユニット比において0.2%以上40%以下の割合で含まれており、かつ、数平均分子量が1,000〜200,000であることが好ましい。化学式(1)のユニットの割合が0.2%より少なくなると、トナーに対して正電荷を誘起させる能力に劣る傾向にある。一方、化学式(1)のユニットの割合が40%よりも多くなると、耐湿性等の環境安定性の悪化や、被膜特性の低下等が生じるので好ましくない。又、使用するPHAの数平均分子量が1,000よりも少なくなると、低分子量成分が多過ぎるため、トナーが樹脂層に付着又は固着し易くなり、樹脂層の帯電付与性が低下する。一方、重合体の数平均分子量が200,000よりも大きくなると、樹脂層を形成する他の樹脂との相溶性が悪化し、環境変動や経時により安定した帯電性が得られなくなる。又、分子量が高過ぎると、溶媒中における樹脂粘度が高くなって塗工不良を生じ、被覆する樹脂層の組成が不均一になってトナー帯電が安定せず、更に、樹脂被覆層の表面粗さが安定せず、耐摩耗性が減少する等の原因となる。
尚、一般に、トナー用結着剤樹脂のガラス転移点は、50℃〜70℃程度である場合が多いので、上記PHAを使用するに際しては、芯材を被覆して形成した樹脂層表面へのトナーの付着を避ける上で、トナーのガラス転移点よりも高いガラス転移点を有するような被覆膜(樹脂層)が形成されるように、適宜に材料を選択して被覆用のPHAとするのが好ましい。
本発明の電子写真現像剤用樹脂コートキャリアは、芯材に上記したような樹脂材料が被覆されて構成されるが、その際に使用されるキャリア芯材の材質としては、従来から公知の磁性体でよく、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等やこれら磁性体をバインダー樹脂中に分散させた粒子などが挙げられる。また、磁性体をバインダー樹脂中に分散させた樹脂核体粒子を用いることもできる。
本発明で使用するキャリア芯材としては、平均粒径20〜100μmのものを使用することが好ましく、特に30〜65μmのものが好ましい。即ち、平均粒径が20μm未満であると、キャリア粒子の分布において微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなり、キャリア飛散を生じ易い。又、キャリアの平均粒子が100μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散を生じ易い。又、この場合は、ベタ部分の多いフルカラー画像において、特にベタ部の再現が悪くなる傾向がある。
また上記キャリアの表面を樹脂で被覆する方法としては、上記に挙げたような芯材の表面上に、少なくとも前記ポリヒドロキシアルカノエートを含有させた樹脂によって被覆樹脂層を形成するが、この際に用いる溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びセルソルブチルアセテート等である。
本発明の電子写真現像剤用樹脂コートキャリアを構成する芯材表面の樹脂被覆層の樹脂被覆量としては、被覆樹脂層に本発明のPHAのみを単独で用いる場合、樹脂コートキャリアの総量に対して0.1〜5.0重量%の範囲とし、他の樹脂も併せて用いる場合、PHAと他の樹脂の混合比にも依るが、樹脂コートキャリアの総量に対して0.1〜25重量%の範囲が好ましい。前記樹脂被覆層を形成するための焼付装置としては、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば、固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、若しくはマイクロウエーブによる焼付でもよい。焼付温度としては、130〜300℃程度とすることが好ましい。
上記のキャリア被覆樹脂としてのPHAはメラミンアルデヒド樹脂架橋あるいはイソシアネート架橋させてもよく、さらに他の公知の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等を併用してもよい。本発明においては、これらの樹脂の中では、フッ素系樹脂及び/またはシリコーン樹脂を使用することも好ましい。前記樹脂として、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を使用すると、トナーや外添剤によるキャリア汚染(インパクション)を防止できる効果が高い点で有利である。
また、特に用いられるトナーを正の摩擦に呈するには上記のキャリア被覆樹脂としてのPHAの他に、含フッ素ポリマー、例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体、フッ化ビニリデンとへキサフルオロプロピレンとの共重合体等を30〜70重量%含有させてもよい。
上記のキャリア被覆樹脂の他に、シリコーン系樹脂を用いても良いのは上記の通りである。オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂を、いずれも使用できる。具体的には、例えば、信越化学社製のKR−271、KR−255、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR−2410、SR−2406、SR−2411、東芝シリコーン社製のTSR−127B、TSR−144等の市販品が挙げられる。これらのストレートシリコーン樹脂には、必要に応じて触媒等を添加してもよい。又、変性シリコーン系樹脂としては、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等による変性シリコーン樹脂が使用できる。市販品としては、例えば、信越化学社製のKR−206(アルキッド樹脂変性品)、KR−9706(アクリル樹脂変性品)、ES−1001N(エポキシ樹脂変性品)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR−2101(アルキッド樹脂変性品)等が挙げられる。
本発明の電子写真現像剤用樹脂コートキャリアは、画像を形成する場合に、トナーと混合して二成分系現像剤として用いられる。この際に用いるトナーは、結着樹脂中に、着色剤、及び必要に応じて荷電制御剤等の各種の添加剤を分散させたものである。
トナーに使用する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリエステル、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体から得られる高分子化合物;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂等が挙げられる。これらは単独又は混合して用いられる。
コア/シェル構造を有し、コアが低軟化点物質で形成されたトナーも、好ましく用いられる。上記トナーは、低軟化点物質を用いているため、低温定着に有利となっている。
低軟化点物質をトナー粒子中に内包化せしめる方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した、いわゆるコア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩、又は保護コロイド作用とする分散剤の種類及び添加量を変える方法、或いは、機械的装置条件、例えば、ローラの周速、パス回数、撹拌羽根形状の如き撹拌条件、容器形状又は水系媒体中での固形分濃度を制御することにより所定のトナーを得ることができる。
トナーの外殻樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。
重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。具体的には、スチレン;o(m−,p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレンの如きスチレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン単量体が好ましく用いられる。
これらトナーは、外添剤として、少なくともシリカ微粒子及び/又は酸化チタン微粒子を用いることが、現像剤に良好に流動性を付与でき、現像剤の寿命が向上することから好ましい。またこれら微粉体を用いることで、より環境変動の少ない現像剤となる。
その他の外添剤としては、金属酸化物微粉体(酸化アルミニウム,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など)、窒化物微粉体(窒化ケイ素など)、炭化物微粉体(炭化ケイ素など)、金属塩微粉体(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩微粉体(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、樹脂微粉体(ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン樹脂など)が好ましい。これらの外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。シリカ微粉体を含め、上記の外添剤は、疎水化処理が行なわれていることが、より好ましい。
上述した外添剤は、個数平均粒径が0.2μm以下であることが好ましい。個数平均粒径が0.2μmを超えると流動性が低下し、現像及び転写時に画質が低下する。
外添剤の使用量は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.01から10質量部、より好ましくは0.05から5質量部で用いられることが良い。
外添剤は、BET法による窒素吸着による比表面積が、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは50から400m2/gの範囲のものが好適である。
トナー粒子と外添剤との混合処理は、ヘンシェルミキサーの如き混合機を使用して行うことができる。
本発明において、トナーに用いられる着色剤としては、下記のものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168が好適に利用できる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に利用できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に利用できる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、および上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い、黒色に調色したものが挙げられる。また、フルカラー用途として、ブラックトナーのみ磁性トナーを使用して、磁性一成分現像を適用しても良い。
着色剤は、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点を考慮して選択される。着色剤の含有量は、トナー用結着樹脂100質量部に対し1から20質量部であることが好ましい。
トナーに用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。カラートナーの場合は、特に、無色又は淡色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明においては、重合法を用いてトナーを製造する場合には、重合阻害性がなく、かつ、水系媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸又はそれらの誘導体の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;及びカリークスアレーンが好ましく用いられる。ポジ系荷電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩;前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;及びイミダゾール化合物が好ましく用いられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.5から10質量部であることが好ましい。しかしながら、荷電制御剤のトナー粒子への添加は必須ではない。
トナー粒子を製造する方法としては、例えば、上記した結着樹脂、荷電制御剤、着色剤等の材料をヘンシェルミキサー等の混合機で充分混合し、二軸押出機で混練後、冷却して混合物をフェザーミル等の粉砕機で粗粉砕した後、ジェット粉砕機、分級機等を用い所望の粒径の粒子とし、更に、必要に応じてシリカ微粉体等の外添剤等を添加して、ミキサーで混合する方法、懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法、又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いトナー粒子を製造する方法等が挙げられる。
本発明にかかるトナーを製造する場合には、重合方法によりトナー粒子を生成する場合には、重合開始剤として、2,2’アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には単量体に対し0.5から20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するための公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤として無機系酸化物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機系化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これらは水相に分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2から10.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて前記無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。また、これら分散剤の微細化のための0.001から0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン型、アニオン型又はカチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンダデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
トナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。単量体中に低軟化物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザー等により分散させる。好ましくは単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50から90℃の温度に設定して重合を行なう。重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体及び副生成物を除去するために反応後半又は反応終了後に、一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄及びろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300から3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
トナーは分級して粒度分布を制御しても良く、その方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明で好ましい粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
本発明において、トナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合には、カブリや機内飛散を生じやすく、現像剤の耐用寿命も低下しやすい。
また、補給用現像剤を補給しながら現像を行う現像方法において、トナーとキャリアとを混合して補給用現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のキャリア1質量部に対してトナー2〜50質量部の割合にすると良好な結果が得られる。トナーが2質量部未満の場合には、キャリアが多すぎるために、現像剤の帯電量が増加しやすく、画像濃度の変化が生じるようになる。また50質量部を超えると、トナー量が極端に多くなり、キャリアの劣化が生じると共に、現像剤の帯電量が低下しやすくなる。
次に、本発明で使用するトナーの平均粒径及び粒度分布の測定は、以下の通り行った。
電解質溶液100から150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1から5ml添加し、これに測定試料を2から20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1から3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)により17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3から40μmの粒度分布等を測定する。この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求める。
次に本発明で使用した摩擦帯電量の測定方法を記載する。トナーと本発明のキャリアをトナー重量が5%となる様に混合し、ターブラミキサーで60秒混合する。この現像剤を底部に500メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量が下記式を用いて算出される。
Q(μC/g)=(C×V)/(W1−W2)
(上記式中、W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
以下、実施例により本発明の詳細な説明する。例で示す部は全て重量部である。先ず、下記の方法によって、実施例で使用したトナーならびにPHAを作製した。
(トナーの製造例1)
スチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシルメタクリル酸ジメチル
アミノエチル共重合体(共重合比=80:15:5) 100重量部
銅フタロシアニン顔料 5重量部
低分子量ポリプロピレン 4重量部
上記の各材料を十分予備混合を行った後、溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に、得られた微粉砕物をエルボウジェット分級機を用いて分級し、正帯電性のシアン色の微粉体を得た。上記シアン微粉体100重量部と、アミノ変性シリコーンオイルで処理された正帯電性疎水性コロイダルシリカ0.8重量部とをヘンシェルミキサーにより混合して、重量平均粒径が8.2μmのシアントナーNo.1を調製した。
(トナーの製造例2)
イオン交換水710部に、0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
次に、以下の各材料を用意した。
・スチレン 165部
・n−ブチルアクリレート 35部
・C.I.ピグメントブルー15:3(着色剤) 12部
・荷電制御剤 3部
・飽和ポリエステル(極性樹脂) 10部
・エステルワックス(融点70℃) 20部
上記各材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて11000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてCa3(PO4)2等を溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、正帯電性のシアントナー粒子を得た。
得られたシアントナー粒子100部に対して、アミノ変性シリコーンオイルで処理された正帯電性疎水性コロイダルシリカ(一次粒子の個数平均粒径:0.03μm)を0.5部、アミノ変性シリコーンオイルで処理された正帯電性疎水性チタニア粉体(一次粒子の個数平均粒径:0.03μm)を0.5部外添し、重量平均粒径6.8μmのシアントナーNo.2を得た。
次に、本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートの微生物生産工程及びその後の化学処理工程を有する製造方法を以下に示す(調製例A〜C)。
(調製例A−1)
0.5%のポリペプトン(和光純薬)、6mmol/Lの5−フェニル吉草酸、及びω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸として、5−(4−ビニルフェニル)吉草酸1.5mmol/Lを前記M9培地1000mLに溶解し、2000mL容振とうフラスコに入れてオートクレーブにより滅菌した後、室温まで冷却した。調製した培地中に、予め0.5%のポリペプトンを含むM9培地で30℃、8時間振とう培養したシュードモナス・チコリアイ YN2株の培養液を2mL加え、30℃、64時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を回収し、メタノールで洗浄した後乾燥した。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、35℃で88時間攪拌することによりポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。
得られたポリマーの構造決定を、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;1H共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3;測定温度:室温)によって行った。その結果、下記式(34):
に示すユニットを、含有比率(モル%)A:B=80:20で含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(東ソー HLC−8220GPC、カラム:東ソー TSK−GEL Super HM−H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)。得られたポリマーの重量(PDW)は0.44g/L、得られたポリマーの数平均分子量Mnは86000、重量平均分子量Mwは242000であった。
(調製例A−2)
200mLフラスコに調製例A−1で得られた3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)吉草酸ユニットを20mol%含むポリエステル1.0017g、18−クラウン−6−エーテル0.8710g、ジクロロメタン60.0mL、酢酸10mlを入れて、攪拌した。フラスコを氷浴につけて、反応系を0℃にした。45分後、過マンガン酸カリウム0.6932gを加え、15時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム5%水溶液を加えて攪拌し、1.0N塩酸により液性をpH=1にした。混合溶液中のジクロロメタンをエバポレーターにより留去した後、溶液中のポリマーを回収した。さらに、純水100mlを用いて洗浄を2回繰り返した後、メタノール100mlで洗浄し、ポリマーを回収した。減圧乾燥することで目的とするPHAを0.8053g得た。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3;測定温度:室温)、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)により分析を行った。IR測定の結果、1693cm−1に新たにカルボン酸に由来する吸収が見られたことから、得られたPHAは3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニットを有することが判明した。
更に、得られたPHAのユニットの割合を算出するため、トリメチルシリルジアゾメタンを用いたPHAの側鎖末端にあるカルボキシル基をメチルエステル化することで算出を行った。
目的物であるPHA18.7mgを100mlナスフラスコに加え、クロロホルム1.4ml、メタノール0.35mlを加えて溶解した。これに2.0mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液0.4mlを加えて、室温で30分間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。これをメタノール50mlで洗浄後、ポリマーを回収した。減圧乾燥することでPHAを8.9mg得た。
前述と同様の方法を用いてNMR分析を行った。その結果、下記式(35):
に示すユニットを、含有比率(モル%)A:B=83:17で含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
また、トリメチルシリルジアゾメタンを用いたPHAの側鎖末端にあるカルボキシル基をメチルエステル化して得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;東ソー PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=61000、重量平均分子量Mw=82000であった。
(調製例A−3)
窒素雰囲気下、調製例A−2で得られた3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニットを17mol%含むポリマーを0.2007g、p−トルイジン−2−スルホン酸54.7mgを50ml二口フラスコに入れて、ピリジン10ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル0.08mlを加え、100℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール250mlに再沈殿させて、遠心分離で回収した。得られたポリマーを3日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、更に1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間、減圧乾燥させた。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:重DMSO;測定温度:室温)、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)により分析を行った。IR測定の結果、カルボン酸に由来する1693cm−1のピークが減少し、新たに、1668cm−1にアミド基に由来するピークが見られた。
次に、得られたポリマーの1H−NMRの結果より、p−トルイジン−2−スルホン酸構造のメチル基に由来するピークが、p−トルイジン−2−スルホン酸のメチル基のピークよりもシフトしていることから、得られたPHAは、下記式(36):
に示すユニットを、13mol%含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;東ソー PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=18000、重量平均分子量Mw=38000であった。
(調製例A−4)
調製例A−3で得られた、化学式(36)に示すユニットを13mol%含むポリマーを、0.1005gを50mlナスフラスコに加え、クロロホルム7ml、メタノール1.8mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)2.7mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。
更に、クロロホルム7ml、メタノール1.8mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返し、減圧乾燥することでPHAを0.0845g得た。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:重DMSO;測定温度:室温)により行った。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたPHAは、下記式(37):
に示すユニットを、11mol%含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
また、電位差滴定装置AT510(京都電子製)を用いた酸価滴定により、スルホン酸に由来するピークが見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;東ソー PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=17000、重量平均分子量Mw=36000であった。
調製法をスケールアップし、この化合物をPHA(a)とした。
(調製例B−1)
5−(4−ビニルフェニル)吉草酸1.5mmol/Lを0.75mmol/Lとする以外は調製例A−1と全く同様の方法を用いて、3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)吉草酸ユニットを9mol%、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを91mol%含むポリヒドロキシアルカノエート2999mgを得た。
(調製例B−2)
調製例B−1で合成したポリヒドロキシアルカノエートを、調製例A−2と同様の方法を用いて、3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニット7mol%及び3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニット93mol%含有するポリヒドロキシアルカノエート2990mgを得た。
(調製例B−3)
窒素雰囲気下、調製例B−2で得られた3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニットを7mol%含むポリマーを1.5002g、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸448.6mgを100ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル1.53mlを加え、100℃で6時間加熱した。
反応終了後、エタノール565mlに再沈殿させ、ろ過して回収した。得られたポリマーを純水565ml中で5.5時間攪拌し洗浄を行い、ポリマーをろ過して回収し、減圧乾燥させた後、THF150mlに溶解させて、1N塩酸150mlと混合攪拌した。14時間後、混合溶液中のTHFをエバポレーターにより留去した後、溶液中のポリマーを回収した。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:重DMSO;測定温度:室温)、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)により分析を行った。
IR測定の結果、カルボン酸に由来する1693cm−1のピークが減少し、新たに、1669cm−1にアミド基に由来するピークが見られた。また、得られたポリマーの1H−NMRの結果より、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸が導入されたことにより、メチル基に由来する1.46ppmのピークがシフトしていることから、下記式(58):
に示すユニットを7mol%含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;ポリマーラボラトリーズ PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=21000、重量平均分子量Mw=33000であった。
調製法をスケールアップし、この化合物をPHA(b)とした。
(調製例C−1)
0.5%のポリペプトン(和光純薬)、6mmol/Lの5−フェニル吉草酸、及びω−(4−ビニルフェニル)アルカン酸として、5−(4−ビニルフェニル)吉草酸0.5mmol/Lを前記M9培地1000mLに溶解し、2000mL容振とうフラスコに入れてオートクレーブにより滅菌した後、室温まで冷却した。調製した培地中に、予め0.5%のポリペプトンを含むM9培地で30℃、8時間振とう培養したシュードモナス・チコリアイ YN2株の培養液を2mL加え、30℃、40時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を回収し、メタノールで洗浄した後乾燥した。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、35℃で15時間攪拌することによりポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。
得られたポリマーの構造決定を、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;1H共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3;測定温度:室温)によって行った。
その結果、下記式(45):
に示すユニットを、含有比率(モル%)A:B=94:6で含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(東ソー HLC−8220 GPC、カラム:東ソー TSK−GEL Super HM−H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)。
得られたポリマーの重量(PDW)は0.56g/L、得られたポリマーの数平均分子量Mnは61000、重量平均分子量Mwは197000であった。
(調製例C−2)
500mLフラスコに調製例C−1で得られた3−ヒドロキシ−ω−(4−ビニルフェニル)吉草酸ユニットを6mol%含むポリエステル3.3006g、18−クラウン−6−エーテル0.8824g、ジクロロメタン200mL、酢酸33mlを入れて、攪拌した。フラスコを氷浴につけて、反応系を0℃にした。120分後、過マンガン酸カリウム0.7061gを加え、15時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム4.044gを加えて攪拌し、1.0N塩酸により液性をpH=1にした。混合溶液中のジクロロメタンをエバポレーターにより留去した後、溶液中のポリマーを回収した。ここで得られたポリマーを、純水450mlを用いて洗浄した後、メタノール300mlで洗浄した。さらに、純水300mlで2回、メタノール100mlで1回洗浄した後、ポリマーを回収した。減圧乾燥することで目的とするPHAを2.9168g得た。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3 測定温度:室温)、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)により分析を行った。その結果、1693cm−1に新たにカルボン酸に由来する吸収が見られたことから、得られたPHAは3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニットを有することが判明した。
更に、得られたPHAのユニットの割合を算出するため、調製例A−2と同様の方法で、トリメチルシリルジアゾメタンを用いたPHAの側鎖末端にあるカルボキシル基をメチルエステル化することで算出を行った。
その結果、下記式(46):
に示すユニットを、含有比率(モル%)A:B=95:5で含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
また、トリメチルシリルジアゾメタンを用いたPHAの側鎖末端にあるカルボキシル基をメチルエステル化して得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;東ソー PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=65000、重量平均分子量Mw=88000であった。
(調製例C−3)
窒素雰囲気下、調製例C−2で得られた3−ヒドロキシ−ω−(4−カルボキシフェニル)吉草酸ユニットを5mol%含むポリマーを1.3013g、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸401.9mgを100ml三口フラスコに入れて、ピリジン50ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル0.94mlを加え、100℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール500mlに再沈殿させて遠心分離で回収した。得られたポリマーを純水250ml中で2時間攪拌し洗浄を行い、ポリマーをろ過して回収し、減圧乾燥させた後、THF130mlに溶解させて、1N塩酸130mlと混合攪拌した。14時間後、混合溶液中のTHFをエバポレーターにより留去した後、溶液中のポリマーを回収した。ここで得られたポリマーを、純水100mlを用いて3回洗浄した後、減圧乾燥することで目的とするPHAを1.0059g得た。
得られたポリマーの構造決定は、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:重DMSO;測定温度:室温)、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)により分析を行った。
IR測定の結果、カルボン酸に由来する1693cm−1のピークが減少し、新たに、1669cm−1にアミド基に由来するピークが見られた。また、得られたポリマーの1H−NMRの結果より、下記式(47):
に示すユニットを4mol%含有しているポリヒドロキシアルカノエート共重合体であることが確認された。
得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;東ソー PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量Mn=22000、重量平均分子量Mw=32000であった。
調製法をスケールアップし、この化合物をPHA(c)とした。
(実施例1)
キャリアコアを以下の様に作製した。
まず、モル比で、Fe2O3=55モル%、CuO=25モル%、ZnO=20モル%になる様に秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。次に、これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、更に分級してキャリアコア粒子を得た。
得られたコア粒子の表面に以下の様に樹脂を被覆した。
スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体(共重合比=40:50:10)を被覆樹脂量がキャリアコアに対して2重量%になる様トルエンを溶媒として10重量%の溶液とし、更にPHA(a)を樹脂固形分に対して5重量%添加した後、充分な攪拌を行いキャリア被覆溶液を作製した。
この被覆溶液を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた、旋回流を形成させながら被覆を行なう被覆装置を使用して上述のコア材上に塗布した。なお、上述の樹脂被覆溶液は、流動床の装置内での移動方向に対して垂直な方向から噴霧し、又、前記樹脂液の噴霧圧は4kg/cm2とした。得られたキャリアを流動床中で温度80℃で1時間乾燥して溶剤を除去後、被覆キャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の粒径は、41μmであった。前記キャリア粒子の樹脂による被覆率を電子顕微鏡により測定した結果、均一な樹脂被覆層の形成が確認された。
得られたキャリアとトナーNo.1とをトナー濃度5.5重量%となる様に混合し現像剤を得た。
評価には、この現像剤を用いて、キヤノン製アナログ複写機NP4835改造機の青色現像器を使用しN/N環境(23℃/60%RH)での画像出力を行った。その際、評価には、画像濃度の変動、五万枚後の画像上のカブリ、帯電量の環境変動、そして感光ドラム上の画像流れを指標として用いた。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同じキャリアコア粒子に以下の様に樹脂を被覆した。
スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体(共重合比=50:45:5)を被覆樹脂量がキャリアコアに対して2重量%になる様トルエンを溶媒として10重量%の溶液とし、更にPHA(b)を樹脂固形分に対して5重量%添加した後、充分な攪拌を行いキャリア被覆溶液を作製した。この被覆溶液を用いて実施例1と同様にしてキャリアコア材上に被覆を行い、キャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の粒径は、40μmであった。前記キャリア粒子の樹脂による被覆率を電子顕微鏡により測定した結果、均一な樹脂被覆層の形成が確認された。
この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。この現像剤を実施例1と同様にして評価し、その結果を表1に示した。
(実施例3、4)
実施例1で用いたキャリアコア粒子の表面に以下の様に樹脂を被覆した。
スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(共重合比=35:57:8、ヒドロキシル価(KOHmg/g)=35)と、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(共重合比=75:25)とを同量用い、被覆樹脂量がキャリアコアに対して2重量%になる様にアセトンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合重量比=1:1)で10重量%の溶液とし、更に、実施例3ではPHA(b)、実施例4ではPHA(c)を樹脂固形分に対して5重量%添加した後、充分な攪拌を行いキャリア被覆溶液を作製した。この被覆溶液を実施例1と同様に被覆を行い、キャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の粒径は、ともに41μmであった。前記キャリア粒子の樹脂による被覆率を電子顕微鏡により測定した結果、均一な樹脂被覆層の形成が確認された。
この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。さらに、実施例1と同様にして評価し、その結果を表1に示した。
(実施例5、6)
キャリアコアを以下の様にして作製した。モル比で、Fe2O3=53モル%、CuO=25モル%、ZnO=22モル%になる様に秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、更に分級して平均粒径65μmのキャリアコア粒子を得た。
得られたキャリアコア粒子の表面に実施例1と同様の被覆樹脂を被覆樹脂量がキャリアコアに対して2重量%になる様トルエンを溶媒として10重量%の溶液とし、更に実施例5ではPHA(a)、実施例6ではPHA(b)を樹脂固形分に対して5重量%添加した後、充分な攪拌を行いキャリア被覆溶液を作製した。この被覆溶液を実施例1と同様にしてキャリアコア材上に被覆を行い、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子の粒径は、66μmであった。この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。さらに、実施例1と同様にして評価し、その結果を表1に示した。
(比較例1)
PHA(a)を用いなかった以外は実施例1と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示した。
(比較例2)
PHA(a)あるいはPHA(b)を用いなかった以外は実施例5、6と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示した。
<評価>
評価は、5万枚の画出し試験を行ない、その際に生じた画像濃度の変動、画像上のカブリの発生、帯電量の環境変動、そして感光ドラム上の画像流れの発生について、下記の方法で下記の基準で評価した。
1.画像濃度
適正露光条件下でコピーし、I.D.の評価をベタ部の画像濃度をマクベス濃度計により測定して、下記の基準でランク評価した。
○:濃度ムラも無く原稿濃度を非常に良く再現している
△:原稿濃度を再現している。(実用上問題ないレベル)
□:不均一で濃度ムラがある。(実用上問題を生じるレベル)
×:原稿濃度に比べ大きく変化している(実用できないレベル)
2.画像上のカブリ
白地画像上のトナーカブリを東京電色社製のREFLECTOMETER MODELTC−6DSを用い測定して、下記の基準でランク評価した。
○:0.5%未満
△:0.5以上〜1.5%未満
□:1.5以上〜2.5%未満
×:2.5%以上
3.帯電量の環境変動
現像剤を15℃、湿度10%環境下で一日放置後の帯電量Q(LL)と、30℃、湿度80%環境下で一日放置後の帯電量Q(HH)とを、後述する帯電量の測定方法を用いて算出した後、これらの差ΔQ(=Q(LL)−Q(HH))を求め、下記の基準でランク評価した。
〇:ΔQ=10μC未満
△:ΔQ=10μC以上15μC未満
□:ΔQ=15μC以上20μC未満
×:ΔQ=20μC以上
4.感光ドラム上の画像流れ
30℃、湿度80%環境下においてCLC700を用い、ハーフトーン画像を形成させて、下記の基準で画質の評価を行った。
○:全く画像流れが見られない
△:少々見られるが実用上問題ないレベル
□:実用上問題になるレベル
×:全面に画像流れが見られ、実用不可能なレベル
(実施例7〜12)
実施例1〜6と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いてトナーNo.1の代わりにトナーNo.2を用いた以外は実施例1〜6と全く同様にして評価した。その結果を表2に示した。
(比較例3〜4)
比較例1、2と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いてトナーNo.1の代わりにトナーNo.2を用いた以外は比較例1、2と全く同様にして評価した。その結果を表2に示した。
(実施例13)
モル比で、Fe2O3:56.3モル%、MgO:23.0モル%、SrO:20.7モル%となるよう、これらのフェライト原材料の酸化物をボールミルで湿式混合し、乾燥・粉砕した後、750℃で2時間仮焼し、クラッシャー0.1〜1.0mm程度に粉砕した。さらに、ボールミルで湿式粉砕してスラリー化し、バインダーとしてポリビニルアルコールを1.0%、空孔調整剤としてCaCO3を3%加え、スプレードライヤー法で球状粒子に造粒し、酸素ガス濃度0.5%の窒素ガス雰囲気下950℃で焼成し、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子の除去を行い、次いで風力分級機(エルボウジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級して粒度調整を行い、芯材粒子を得た。次に、下記組成の混合物を用意した。
トルエンとメチルエチルケトン(4:1)混合溶剤 1000部
スチレン・メチルメタクリレート共重合体(4:6,Mw=5万)
50部
PHA(a) 50部
上記混合物を用いて被覆用液体を調製した。次いで、上記芯材粒子に対し、被覆樹脂固形分が10.0質量%となるように溶液の配合を調整し、減圧ニーダーで撹拌混合しながら減圧乾燥して溶剤を除去し、140℃で2時間焼き付けを行い、目開き74μmの篩で篩分して、平均粒径(体積平均50%粒径)35.3μm、BET比表面積0.182m2/gの樹脂コートキャリアを得た。
この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。この現像剤を実施例1と同様にして評価し、その結果を表3に示した。
(実施例14〜16)
上記実施例13において、スチレン・メチルメタクリレート共重合体(4:6,Mw=5万)を80部、PHA(a)を20部とした点と、被覆樹脂固形分を15.0%、20.0%、25.0%とする以外は全く同様にして、それぞれ樹脂コートキャリアを得た。
この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。この現像剤を実施例1と同様にして評価し、その結果を表3に示した。
(比較例5)
上記実施例13において、スチレン・メチルメタクリレート共重合体(4:6,Mw=5万)を80部、PHA(a)を20部とした点と、被覆樹脂固形分を30.0%とする以外は全く同様にして、それぞれ樹脂コートキャリアを得た。
この得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製した。この現像剤を実施例1と同様にして評価し、その結果を表3に示した。
(実施例17〜20)
実施例13〜16と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いてトナーNo.1の代わりにトナーNo.2を用いた以外は実施例13〜16と全く同様にして評価した。その結果を表3に示した。
(比較例6)
比較例5と全く同様にして樹脂コートキャリアを得た。得られたキャリアを用いてトナーNo.1の代わりにトナーNo.2を用いた以外は比較例5と全く同様にして評価した。その結果を表3に示した。