以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、この実施形態では、本発明の通信端末装置の実施形態として複合機(MFP)を例に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るMFP100のハードウェア構成を示すブロック図である。
MFP100は、CPU101,ROM102,RAM103、モデム104、NCU(Network Control Unit)105、操作パネル106、表示部107を備えている。MFP100は、更に、プリンタ部108、スキャナ109を備えている。MFP100は、NCU105を介して公衆回線に接続されており、更に電話機120にも接続される。電話機120は一般の電話機が使用され、電話発呼や電話着呼が可能である。また、この電話機120に留守番電話機を接続して、留守番電話機能を動作させることも可能である。本実施形態では、電話機120に留守番電話機を接続して、留守TELモードで動作する場合を説明する。
CPU101は、システムバス110に接続された各デバイスを総括的に制御するとともに、ROM102に記憶されたファームウェアモジュールを実行する。尚、このファームウェアモジュールは、少なくとも2つ以上のモジュールを有し、ファームウェアモジュールの更新は、それぞれのモジュールごとに行うことが可能である。またCPU101は、制御プログラムとしてのファームウェア・モジュールに基づき後述の各フローチャートで示す処理を実行する。RAM103は、CPU101の主メモリ、ワークエリアとして機能する他に、装置の各種設定を保存するためのバックアップ可能なメモリとしても機能している。モデム104は、CPU101の制御の下で、ファクシミリ信号を送信するためにデジタルデータを音声信号に変換し、逆に、受信した音声信号をデジタルデータに変換する。
NCU105は網制御部であり、CPU101の制御の下で公衆回線へ接続する回路の切り替え、公衆回線と電話機120が接続されている状態で、電話機120が回線を捕捉したかどうかを検知する。公衆回線への接続は、公衆回線と電話機120とを接続するか、又は公衆回線をMFP100の制御部と直接接続して電話機120を切り離すかにより実施される。またNCU105は、電話機120が回線を捕捉した後で、回線上のCNG信号等の信号を検知することができる。更に、NCU105は、ナンバーディスプレイ回線に接続された場合、CAR信号の検出や、その後に回線から通知される電話番号情報を検出することもできる。
操作パネル106は、ユーザからの指示を入力する操作部であり、表示部107、電源キー、テンキー、ワンタッチキー、スタートキー、ストップキー、セットキー、各種設定キー、LED等を備える。表示部107は操作パネル106に設けられており、CPU101の制御によって、ユーザに対するメッセージを表示して情報を伝える。またこのMFPの各種設定や動作を決定する画面では、ユーザに対して設定や動作を複数表示して、ユーザによる選択や指示を促す。
プリンタ部108は、例えば電子写真方式で記録紙(シート)に画像を形成(印刷)する。スキャナ109は、記録紙(或いは原稿)に印刷されている画像の読み取りを行う。スキャナ109には、オプションとしてオートドキュメントフィーダ(不図示)が装着されており、複数枚の原稿を順次搬送して自動的に読み取ることができる。
図2は、本実施形態に係るMFP100のRAM103に記憶された装置情報の構成を説明する図である。
実施形態に係るRAM103は、その内部に装置情報保存領域201を有しており、ここに、このMFP100の動作に必要な情報が保存されている。装置情報保存領域201には、受信モード202、再着信タイマ値203、留守電監視動作204の情報が保存されている。
受信モード202は、公衆回線からの着信に対してどのような動作を行うかを決める受信モード設定を保存する領域である。この受信モード202には、「自動受信モード」、「FAX/TELモード」、「留守TELモード」、「手動モード」のいずれかを示す値が格納される。「自動受信モード」では、着信があると必ずファクシミリ受信を開始する。「FAX/TELモード」では、回線を捕捉した後に電話か、ファクシミリかを判断してそれぞれに応答する。「留守TELモード」では留守番電話機を接続し、留守番電話機が応答した後に、ファクシミリ着信の場合はファクシミリ受信を開始する。「手動モード」では常に電話機120での応答を待ち、ファクシミリ受信処理は動作しない。受信モード202は、操作パネル106の表示部107を介してユーザが指定し設定したモードを保存する。
図8は、実施形態に係るMFP100で、受信モード202を設定するときに表示部107に表示される設定画面の一例を示す図である。
操作パネル106を操作して、受信モード202の設定が選択されると図8に示す画面が表示部107に表示される。図8において、現在選択されているモードが白黒反転して表示されており、図8では、留守TELモード804が選択されている。ここで操作パネル106のセットキー(図示せず)を押下すると、RAM103の受信モード202に「留守TELモード」が保存される。尚、図8の画面では、「留守TELモード」以外に、「自動受信モード」「FAX/TELモード」「手動モード」が設定できる。
再着信タイマ値203は、着信があった時に、その着信が再着信であるか否かを判定する再着信タイマの設定時間を保存する領域である。再着信タイマは、着信が消滅したときに起動し、再着信タイマ値203に保存されている時間だけ動作する。着信が消滅したということは、接続された留守番電話機(電話機120)が正しく動作していなかったということであり、もしファクシミリの着信であった場合は、ファクシミリ受信が行えていないことになる。その場合は、ファクシミリ送信機側のリダイヤル機能により、一定時間内に再度ファクシミリ着信を受ける可能性が高い。そこで、再着信であるかどうかを判定するために再着信タイマを使用し、着信があった時は、再着信タイマの動作状態をみることで、再着信か否かを判定している。再着信と判定された場合は、ファクシミリ着信と判定して、電話機120が正しく応答しない場合は、ファクシミリ受信を開始する。この再着信タイマ値203は、本実施形態では300秒であるが、操作パネル106によって、任意の値に設定できるようにしてもよい。
留守電監視動作204は、受信モード202の設定が「留守TELモード」である場合に、本実施形態で説明する留守番電話機の監視動作を実施するか否かの情報を保存する領域である。ここには「ON」、「OFF」のいずれかを示す値が格納される。留守電監視動作204が「ON」の場合は、本実施形態で説明する留守番電話機(電話機120)の応答を監視して、着信が消滅するまで応答がない場合は、再着信タイマによる計時を開始させ、再着信の場合は強制ファクシミリ受信動作を実行する。留守電監視動作204は、操作パネル106、表示部107を介してユーザが、留守電監視動作を実行するかどうか指定した設定値を保存する。
図9は、実施形態に係るMFP100で、留守電監視動作204を設定するときに表示部107に表示される画面例を示す図である。
操作パネル106を操作して、留守電監視動作204の設定が選択されると図9に示す画面が表示部107に表示される。図9では、現在選択されている設定が白黒反転して表示されており、図9では「ON」が選択されている。ここで操作パネル106のセットキー(図示せず)を押下すると、留守電監視動作204に「ON」が保存される。
留守電監視タイマ値205は、留守電監視動作を継続する留守電監視タイマの設定時間を保存する領域である。公衆回線からの着信に対して、この留守電監視タイマの設定時間だけ留守番電話機(電話機120)が応答するのを待ち、この時間内に留守番電話機からの応答がない場合は強制ファクシミリ受信動作を実行する。留守電監視タイマ値205は、MFP100が出荷される時点では35秒に初期化されているが、その後は接続された留守番電話機(電話機120)が応答する時間を測定し、その測定した時間値に基づいて決定された時間値が保存される。この詳細は図6を参照して説明する。
留守電応答時間履歴207は、MFP100に接続された留守番電話機(電話機120)が、回線からの着信に対して回線捕捉で応答するまでの実測時間を保存する領域である。本実施形態では、領域は1〜5までの5回分の計測値を保存できるように構成されている。これら領域は周期的に利用され、次に保存すべき留守電応答時間履歴の番号は、留守電応答時間ID206により指定される。留守番電話機(電話機120)が応答するまでの計測時間を保存する処理では、留守電応答時間ID206からID番号を取得し、留守電応答時間履歴207の中の、そのID番号に対応する領域に保存する。そして留守電応答時間ID206を次のID番号に更新して(例えば+1し、+した結果5を超えると1にする)保存する。留守電応答時間ID206は、MFP100の出荷時には「1」であり、留守電応答時間履歴207の1番目の領域(留守電応答時間履歴1)を指している。留守電応答時間履歴207の全ての領域には、MFP100の出荷時に「FF(16進数)」が保存され、出荷時点では領域内に有効な時間情報がないことを示している。
着信番号保存領域208は、着信の際に相手側から通知された電話番号が保存される。電話番号は、回線がナンバーディスプレイサービスに加入している場合に、回線から送出される。その電話番号をMFP100でも認識して、着信番号保存領域208に保存する。ここに保存された電話番号は、再着信待ち状態での着信に対して、最初の着信と同じ番号からの着信かどうかを判定するために使用される。電話番号通知の有無は、回線契約によって変わってくるので、付加的に使用する。
図3は、本実施形態に係るMFP100による着信処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM102に記憶されており、プログラムの実行時に、このプログラムがRAM103に展開されCPU101の制御の下に実行されて、このフローチャートで示す処理が実現される。
この処理は、公衆回線から着信があることにより開始され、先ずS301でCPU101は、RAM103記憶されている受信モード202を調べ、「留守TELモード」かどうかを判定する。「留守TELモード」であればS302に進みCPU101は、留守番電話機(電話機120)の応答時間を測定するためのタイマによる計時をスタートさせる。次にS303に進みCPU101は、再着信タイマが動作中か否かを判定する。この再着信タイマは、CPU101が、着信が消滅したと判定したときに起動され(図4を参照して後述する)、RAM103の再着信タイマ値203に保存されている時間だけ動作する。S303でCPU101が、再着信タイマが動作中でないと判定した場合はS304に進み、CPU101は、送信元がファクシミリ信号を再送信したことによる着信でないと判断して通常の留守TELモードで処理を行う。通常の留守TELモードでの処理の詳細は、図4で説明する。
一方、S303でCPU101が再着信タイマが動作中であると判定した場合はS305に進みCPU101は、送信元がファクシミリ信号を再送信したことによる着信であると判断して強制ファクシミリ受信が動作する留守TELモードで処理を行う。こうして、再着信タイマが動作中の場合の着信はファクシミリ着信である可能性が高いと判断して、留守TELモードでの動作でも、強制的にファクシミリ受信処理を行うことができる。強制ファクシミリ受信の処理の詳細は、図5で説明する。
一方、S301でCPU101が「留守TELモード」でないと判定した場合はS306に進みCPU101は、RAM103の受信モード202に保存されている受信モードで処理を行う。この処理の詳細な説明は、実施形態の説明とは関係がないので、ここではその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係るMFP100による着信処理のS304(図3)の通常の留守TEL動作を説明するフローチャートである。
S401でCPU101は、公衆回線と電話機120とを接続する回線の状態を、NCU105を介して監視し、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉したかどうかを判定する。S401で留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していない場合はS402に進みCPU101は、公衆回線からの着信信号が消滅したかを判定する。ここで着信信号が消滅していないと判定するとS401に戻って、再度、電話機120が回線を捕捉したかを判定する。
S402でCPU101が、着信が消滅したと判定した場合は、公衆回線から着信があったのに電話機120が応答しないままに着信が消滅していると考えられ、電話機120が留守番電話機として動作していないと判断される。そこでCPU101はS403に進み、RAM103に記憶されている留守電監視動作204に「ON」が設定されているかを判定する。ここで留守電監視動作204が「ON」であれば、「留守TELモード」で留守番電話機120の監視動作を実施するように設定されていることになる。S403で留守電監視動作204に「ON」が設定されている判定するとS404に進み、CPU101は再着信タイマによる計時をスタートする。その際のタイマ値はRAM103の再着信タイマ値203に記憶している設定値を使用する。こうして再着信タイマによる計時をスタートさせることで、次の着信が再着信タイマ動作中に発生した場合(図3のS303でYES)はS305に進み、強制的にファクシミリ受信を行う。こうして留守TEL動作においても、送信元がファクシミリ機器の場合は、強制的にファクシミリ受信を行うことができる。
次にS405に進みCPU101は、接続された留守番電話機(電話機120)が動作していなかったことを通知するメッセージを表示部107に表示する。これは、留守番電話機(電話機120)が正しく動作していないという問題をユーザに通知して、その問題を解決してもらうためである。留守番電話機(電話機120)が正しく動作すれば、ファクシミリ受信ができないといった問題も解決する。
図7は、S405で表示部に表示される警告メッセージの一例を示す図である。
図7では、接続されている留守番電話機が応答していない旨と、確認を促すメッセージが表示されている。
続いてS413に進みCPU101は、S302で計時を開始した留守番電話機の応答時間を測定するタイマによる計時を停止する。ここでは着信が消滅してしまったので、ここでの計時値は使用せずに、留守TELモードでの動作を終了する。
またS403でCPU101が、留守電監視動作204が「ON」でないと判定した場合はS413に進みCPU101は、S302でスタートした留守番電話機の応答時間を測定するタイマによる計時を停止する。この場合も着信が消滅してしまったので、ここでの測定値は使用せず、留守TELモードでの動作を終了する。
一方、S401でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していると判定した場合はS406に進みCPU101は、S302で計時を開始した留守番電話機の応答時間を測定するタイマによる計時を停止する。そしてその時に測定したタイマ値をRAM103に一時的に保持する。この値は、公衆回線からの着信に対して留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉するまでの実測時間である。次にS407に進みCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉した回線上にCNG信号が検知されたか否かを判定する。CNG信号は1100Hzの単一周波数が500msのオン、3000msのオフの周期で送られてくる信号であり、周波数とケーデンスを基準にして検知される。S407でCPU101は、CNG信号が検知されないと判定するとS408に進み、NCU105を介して電話機120が捕捉している回線接続が切断されたか判定する。回線接続が切断されていない場合はS407に戻ってCPU101は、再度、CNG信号を検知できたかを判定する。こうしてS408で回線が切断されたと判定すると、この着信は通話のためであったと判断して、そのまま処理を終了する。
一方、S407でCPU101が、CNG信号を検知したと判定するとS409に進む。この場合はファクシミリ信号の着信であるので、CPU101はNCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続を、MFP101側(装置側)に切り替える。続いてS410に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従って、ファクシミリ信号の受信処理を開始させる。こうしてファクシミリ信号の受信処理が終了するとS411に進みCPU101は、S406で測定してRAM103に保持した留守番電話の応答時間を、RAM103の留守電応答時間履歴207に保存する。より詳しくは、CPU101は、留守電応答時間ID206からID番号を取得し、留守電応答時間履歴207の中の取得したID番号に対応する領域に保存し、留守電応答時間ID206を更新して保存する。こうして留守電応答時間履歴207には、正常にファクシミリ信号を受信できた留守番電話機の応答時間だけを残すように制御している。
続いてS412に進みCPU101は、RAM103の留守電監視タイマ値205の値を再計算して決定する処理を行う。これはS411で、留守電応答時間履歴207が更新されたので、その値を含めて留守電監視タイマ値205を更新するものである、この処理の詳細は図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係るMFP100による着信処理のS305(図3)の強制ファクシミリ受信が動作する留守TEL動作処理を説明するフローチャートである。
S501でCPU101は、留守電監視タイマによる計時をスタートする。この場合のタイマ値(計時値)は、RAM103上の留守電監視タイマ値205に保存されている値を使用する。この留守電監視タイマ値205には、留守番電話機が応答しない場合に強制的にファクシミリ受信を開始するまでの時間が保存されている。次にS502に進みCPU101は、公衆回線と電話機120を接続する回線の状態を監視しているNCU105からの信号に基づいて、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉したかどうかを判定する。S502でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していないと判定した場合はS503に進みCPU101は、S501で計時を開始した留守電監視タイマがタイムアップしたかどうかを判定する。ここでCPU101が留守電監視タイマがタイムアップしていないと判定するとS504に進み、CPU101は公衆回線からの着信信号が消滅したか否かを判定する。S504でCPU101が、着信信号が消滅していないと判定するとS502に進み、再度、電話機120が回線を捕捉したかを判定する。そしてS504でCPU101が、着信が消滅したと判定した場合は、着信に対する留守TELモードでの動作処理を終了する。
一方、S502でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していると判定した場合はS505に進みCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉した回線でCNG信号が検知できたか否かを判定する。S505でCNG信号が検知されない場合はS506に進み、CPU101はNCU105を介して、電話機120が捕捉している回線接続が切断されたかどうか判定する。ここで回線接続が切断されていないと判定するとS505に戻って、CPU101は、再度、CNG信号を検知できたかを判定する。S506でCPU101が、回線が切断されていると判定した場合は、着信は通話のためであったと判定されるので、処理を終了する。
またS505でCPU101がCNG信号を検知した場合はS507に進み、この場合はファクシミリ信号の着信であるためCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続をMFP101に切り替える処理を行う。続いてS508に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従って、ファクシミリの受信処理を開始する。
一方、S503でCPU101が、留守電監視タイマによる計時がタイムアップしたと判定した場合はS509に進む。これは、留守番電話機(電話機120)が応答するのを待つための待ち時間内に、電話機120が回線を捕捉しない場合である。この場合は、送信元のファクシミリ機器がファクシミリ信号を再発呼したことによる着信である可能性が高いのでCPU101は、強制的にファクシミリ受信を開始する。即ち、S509でCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続をMFP101側に切り替える処理を行う。続いてS510に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従って、ファクシミリの受信処理を開始する。
これにより相手からの着信がファクシミリ信号であれば、正しくファクシミリ信号の受信を実行してファクシミリ受信処理を終了することができる。但し、相手からの着信が電話着信だった場合は、ファクシミリ受信は行われないので、ITU−T.30手順中のエラー処理に従って、ファクシミリ通信を終了して、処理を終了することになる。
図6は、本実施形態に係るMFP100による図4のS412の留守電監視タイマ値の決定処理を説明するフローチャートである。
まずS601でCPU101は、RAM103の留守電応答時間履歴207に保存されている値を調べ、その値が「FF」を含むか否かを判定する。こでは前述したように、MFP100の出荷時には、留守電応答時間履歴207は全て「FF」で初期化されているため、S601では、留守電応答時間履歴207の全てに有効な測定値が保存されているか否かを判定している。S601で留守電応答時間履歴207の保存値が「FF」を含むときはS605に進みCPU101は、RAM103の留守電監視タイマ値205の値を更新せずにそのまま保持する。これは、留守電応答時間履歴207の保存値が「FF」を含むため、工場出荷直後か、或いは接続された留守番電話機の応答時間の実測例が十分に取得できていないと考えられるため、監視タイマ値の更新処理を実施しないことを意味している。
一方、S601でCPU101が、留守電応答時間履歴207の保存値が「FF」を含まないと判定した場合はS602に進みCPU101は、保存されている複数の留守電応答時間履歴207の平均値を算出する。その際に、最大と最小の値を除いた残りの値の平均値を算出するが、単にこれらの平均値を求めても良い。次にS603に進みCPU101は、S602で算出した平均値にマージン値を加算した値を求める。ここでマージン値を加算するのは、強制的にファクシミリ受信を動作させる場合、留守番電話機が本来応答する時間よりも遅く、ファクシミリ受信を動作させるためである。本実施形態では、このマージン値を3秒とする。そしてS604に進みCPU101は、S603で求めた時間値を留守電の監視タイマの設定時間値として、RAM103の留守電監視タイマ値205に保存する。こうして保存された留守電監視タイマ値205の時間値が、MFP100に接続された留守番電話機(電話機120)の留守電応答動作の時間に基づく、最適化された強制ファクシミリ受信動作を開始するタイミングを規定することになる。
図10は、本実施形態に係るMFP100がナンバーディスプレイ回線で動作する場合の着信待ち処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM102に記憶されており、プログラムの実行時に、このプログラムがRAM103に展開されCPU101の制御の下に実行されて、このフローチャートで示す処理が実現される。
まずS1001でCPU101は、RAM103に記憶されている受信モード202を調べ、「留守TELモード」かどうかを判定する。S1001でCPU101が「留守TELモード」であると判定するとS1002に進みCPU101は、公衆回線上でCAR信号を検出しているか否かを判定する。このCAR信号は、ナンバーディスプレイサービスにおける情報受信端末起動信号であり、番号通知シーケンスの起動を意味している。S1002でCPU101が、CAR信号を検出したと判定するとS1003に進みCPU101は、留守番電話機(電話機120)がCAR信号に対して、回線上で直流ループを形成して公衆回線に対して応答したか判定する。ここで応答を検出するとS1004に進みCPU101は、公衆回線から送られてくる電話番号情報を入手して、RAM103の一時保存領域(図示せず)に保存してS1006へ処理を進める。一方、S1003でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が応答していないと判定した場合はS1005に進みCPU101は、CAR信号に対する応答待ち時間を過ぎたかどうかを判定する。ここでCPU101が、応答待ち時間が経過していないと判定した場合はS1003に戻って留守番電話機(電話機120)が公衆回線に対して応答したかを調べるが、応答待ち時間が経過したときはCPU101は応答待ちを止めてS1006へ進む。尚、このCAR信号に対しては、規格上は6秒以内に応答することになっている。
S1006でCPU101は、公衆回線からの着信信号を検出したかをどうか判定する。S1006でCPU101が、着信信号を検出したと判定するとS1007に進みCPU101は、留守番電話機(電話機120)の応答時間を測定するためにタイマによる計時をスタートさせる。続いてS1008に進みCPU101は、再着信タイマが動作中かどうか判定する。この再着信タイマは、CPU101が、着信が消滅したと判定した時に起動し(S1104、図11を参照して後述する)、RAM103の再着信タイマ値203に保存されている時間だけ動作している。S1008でCPU101が、再着信タイマが動作中でないと判定するとS1009に進み、通常の留守TEL動作処理を行う。この通常の留守TEL動作処理の詳細は、図11を参照して後述する。一方、S1008でCPU101が、再着信タイマが動作中であると判定した場合はS1010に進みCPU101は、強制ファクシミリ受信が動作する留守TEL動作処理を行う。これは再着信タイマが動作中の場合の着信は、ファクシミリ信号の着信である可能性が高いので、留守TELモードでの動作処理でも強制ファクシミリ受信が動作する処理を実行させる。この強制ファクシミリ受信が動作する留守TELモードでの処理の詳細は、図12を参照して後述する。
一方、S1001でCPU101が、「留守TELモード」が保存されていないと判定した場合はS1011に進み、CPU101は、RAM103の受信モード202に保存されている受信モードでの処理を行う。この処理の詳細な説明は、実施形態の説明とは関係ないので省略する。
図11は、本実施形態に係るMFP100による通常の留守TEL動作(図10のS1009)を説明するフローチャートである。
CPU101は、公衆回線と電話機120を接続する回線の状態を、NCU105を介して監視しており、S1101で、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉したかどうか判定する。S1101でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していないと判定するとS1102に進みCPU101は、公衆回線からの着信信号が消滅したかどうか判定する。ここで着信信号が消滅していない場合はS1101に進みCPU101は、再度、電話機120が回線を捕捉したかを確認する。
S1102でCPU101が着信が消滅したと判定した場合は、公衆回線から着信があったのに、電話機120が応答しないままに着信が消滅していると考えられ、電話機120が留守番電話として動作していないと判定される。そこでS1103に進みCPU101は、図4のS403と同様に、RAM103に記憶されている留守電監視動作204にONが設定されているかどうか判定する。留守電監視動作204が「ON」であれば、留守番電話機(電話機120)の応答を監視して、応答がない場合は強制ファクシミリ受信動作を実行するように設定されていることを意味する。よって、S1103でCPU101が、留守電監視動作204がOFFと判定したときはS1114に進みCPU101は、S1007で計時をスタートした留守番電話の応答時間の測定タイマによる計時を停止して、この処理を終了する。
一方、S1103でCPU101が、留守電監視動作204がONと判定したときはS1104に進んで、再着信タイマによる計時をスタートする。その際のタイマ値はRAM103の再着信タイマ値203の設定値を使用する。このように再着信タイマによる計時をスタートさせることにより、次の着信が再着信タイマ動作中に発生した場合(S1008がYES)はS1010に進み、強制的にファクシミリ受信が動作できる留守TEL動作処理が実現できる。そしてS1105に進みCPU101は、接続されている留守番電話機(電話機120)が動作していなかったことを報知するメッセージ(例えば図7)を表示部107に表示する。これは、留守番電話機(電話機120)が正しく動作していないという問題をユーザに知らせて、それを解決してもらうためである。ここで留守番電話機(電話機120)が正しく動作すれば、ファクシミリ受信できないといった問題も解決する。ここまでの処理は図4のS403〜S450と同じである。
次にS1113に進みCPU101は、回線から通知されて図10のS1004でRAM103に保存した相手機の電話番号情報を、RAM103の着信番号保存領域208に保存する。この相手機の電話番号情報は、留守番電話機が応答しなかった際の発呼側の電話番号情報として扱われる。そしてS1114に進みCPU101は、S1007で計時をスタートした留守番電話の応答時間を測定するためのタイマの計時を停止する。ここでは着信が消滅してしまったので、ここでの測定値は使用しない。そして留守TELモードでの処理を終了する。
またS1101でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していると判定した場合はS1106に進みCPU101は、S1007で計時をスタートした留守電応答時間を測定するタイマの計時を停止する。そして、それまでに計時した留守電応答時間の計測したタイマ値をRAM103に一時的に保持する。このタイマ値は、留守番電話機(電話機120)が、公衆回線からの着信に対して回線を捕捉するまでに実測時間である。次にS1107に進みCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉した回線上にCNG信号を検知できたかを判定する。ここでCNG信号が検知されない場合はS1108に進みCPU101は、NCU105を介して、電話機120が捕捉している回線接続が切断されたかを判定する。そして回線接続が切断されていないと判定した場合はS1107に戻って、再度、CNG信号を検知できたかを判定する。S1108でCPU101が、回線が切断されていると判定すると、その着信は通話のためであったと判定して、この処理を終了する。
一方、S1107でCPU101がCNG信号を検知した場合はS1109に進む。この場合はファクシミリ信号の着信であるためCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続をMFP101側に切り替える処理を行う。そしてS1110に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従ってファクシミリの受信処理を開始させる。こうしてファクシミリ信号の受信処理を行って、その受信処理が終了した後、S1111に進みCPU101は、S1106で測定して保持している留守番電話機の応答時間をRAM103の留守電応答時間履歴207に保存する。詳しくは、CPU101は、留守電応答時間保存ID206からID番号を取得し、留守電応答時間履歴207の中の取得したID番号の領域に保存し、留守電応答時間保存ID206に次のIDを保存する処理を行う。こうして留守電応答時間履歴207には、正常にファクシミリ信号を受信できたときの留守番電話の応答時間だけを残すように制御している。
次にS1112に進みCPU101は、RAM103の留守電監視タイマ値205の値を再計算して決定する。これはS1111で、留守電応答時間履歴207が更新されたので、その値を含めて留守電監視タイマ値205を更新するもので、その処理の詳細は、前述の図6で説明したS412の処理と同じである。このように図11のS1106〜S1112の処理は、前述の図4のS406〜S412の処理に相当している。
図12は、本実施形態に係るMFP100による強制ファクシミリ受信を実行する留守TEL動作処理(図10のS1010)を説明するフローチャートである。尚、図12の処理は、前述の図5のフローチャートで示す処理とほとんど同じであるが、S1209が含まれる点が異なっている。
まずS1201でCPU101は、留守電監視タイマによる計時をスタートする。この場合のタイマ値は、RAM103の留守電監視タイマ値205に保存されている時間値を使用する。前述したように、この留守電監視タイマ値205には、その時間内に留守番電話機が応答しない場合に、強制的にファクシミリ受信を開始する時間値が保存されている。次にS1202に進みCPU101は、公衆回線と電話機120を接続する回線の状態を、NCU105を介して監視し、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉したかどうかを判定する。ここで留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していないと判定した場合はS1203に進みCPU101は、S1201で計時をスタートした留守電監視タイマがタイムアップしたかどうかを判定する。ここで留守電監視タイマがタイムアップしていないと判定した場合はS1204に進みCPU101は、公衆回線からの着信信号が消滅したかどうか判定する。ここで着信信号が消滅していないと判定した場合はS1202に進みCPU101は、再度、電話機120が回線を捕捉したかを確認する処理を実行する。そしてS1204でCPU101が、着信が消滅したと判定した場合は、着信に対する留守TEL動作処理を終了する。
一方、S1202でCPU101が、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉していると判定した場合はS1205に進みCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉した回線上でCNG信号が検知できたかを判定する。ここでCNG信号が検知されない場合はS1206に進みCPU101は、NCU105を介して、電話機120が捕捉している回線接続が切断されたかを判定する。ここで回線接続が切断されていないと判定した場合はS1205に戻ってCPU101は、再度、CNG信号を検知できたかを確認する。またS1206でCPU101が、回線が切断されていたと判定した場合は、着信は通話のためであったと判定されるので、処理を終了する。
またS1205でCNG信号が検知された場合は、ファクシミリ信号の着信であるためS1207に進みCPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続をMFP101側に切り替える処理を行う。そしてS1208に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従って、ファクシミリ信号の受信処理を開始させて、この処理を終了する。
一方、S1203でCPU101が、留守電監視タイマによる計時によりタイムアップしたと判定した場合は、留守番電話機(電話機120)が回線を捕捉するのを待っているのに電話機120が回線を捕捉しない場合である。従って、この場合はS1209に進みCPU101は、S1113(図11)で保存した直前の着信時の電話番号と、S1004(図10)で保存した現在の着信の電話番号とが一致しているかどうか判定する。ここで一致していると判定した場合は、同じ電話番号の装置からの再着信であり、ファクシミリ信号の再着信である可能性が高いためS1210に進みCPU101は、強制的にファクシミリ信号の受信を開始する。即ち、CPU101は、NCU105を制御して、電話機120が捕捉している公衆回線との接続をMFP101側に切り替える。そしてS1211に進みCPU101は、モデム104を制御して公衆回線に対してDIS信号を送出させ、ITU−T.30手順に従って、ファクシミリ信号の受信処理を開始する。
これにより、相手からの着信がファクシミリ信号であれば、正しくファクシミリ信号が受信されて、この処理を終了する。但し、相手からの着信が電話着信だった場合は、ファクシミリ信号は受信されないので、ITU−T.30手順中のエラー処理に従って、ファクシミリ通信を終了して、処理を終了することになる。
またS1209でCPU101が、電話番号が一致しないと判定した場合は、同じ電話番号の装置からの再着信ではないのでS1204に進んでCPU101は、着信消滅が発生しているかを判定する。ここでは、留守番電話が回線を捕捉するか、或いは着信が消滅するのを待つのみである。
以上説明したように本実施形態によれば、留守TELモードで、接続された留守番電話機が公衆回線からの着信に応答しない場合でも、その後の一定時間以内の再着信に対しては、ファクシミリ信号の受信に移行するようにできる。
また、接続された留守番電話機の応答時間を測定して、正常動作時の応答時間を判定することで、ファクシミリ信号の受信を開始させるタイミングを、留守番電話機の動作に応じて最適化できるという効果が得られる。
さらに、接続される留守番電話機の留守電機能が正しく実行されていない場合に、その問題をユーザに通知することにより、早期にユーザへ問題の発生を知らせることができるという効果が得られる。
またナンバーディスプレイ回線に接続された場合は、回線から通知される電話番号情報に基づいて同じ装置からの再着信かどうかを判定し、同じ電話番号の装置からの再着信である場合だけファクシミリ信号の受信を開始するようにできる。これにより、ファクシミリ送信元のファクシミリ信号の再送に対処できるようになる。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。