JP2018162905A - 空気循環制御装置、空気循環制御方法、および、全館空調システム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示されている全館空調システムでは、換気が十分に行われないうちに暖冷房が完了してダンパが閉じられてしまわないよう、暖冷房対象区画の全てが所望の温度状態に達している時、または、予め定められた時間間隔で、全区画換気モードを実行し、全室のダンパを開けて空気の循環を行う。
しかしながら、例えば、各部屋を異なる設定温度で空調しているような場合、全室を換気してしまうと、部屋によっては設定温度からの乖離が進み、設定温度を達成している部屋においては温度達成状態を維持できないという課題があった。
図1は、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10を備えた全館空調システムの概略構成図である。
この実施の形態1では、図1に示すように、全館空調システムは、建物内の複数の部屋100a〜100cを対象に空調を行うものとする。
なお、この実施の形態1では、全館空調システムは、部屋100a〜100cの3つの部屋を空調の対象とするが、これは一例に過ぎず、全館空調システムは、例えば、2つまたは4つ以上の部屋を空調するものとしてもよいし、空調の対象を、建物内の通路等としてもよい。この実施の形態1では、空調の対象となる、建物内の複数の部屋または通路等を、まとめて区画ともいうものとする。
また、この実施の形態1では、全館空調システムは、VAV(Variable Air Volume Control)制御(可変風量制御)の機能を搭載するものを想定している。VAV制御では、建物内の区画ごとの温度設定を可能とし、ダンパ5a〜5c(詳細は後述する)が各区画への風量を調整することで、各区画の温度を設定温度に近づける制御を行う。
空調機1は、廊下等の室内に設置される室内機(図示省略)と室外に設置される室外機(図示省略)とで構成される。ここでは、空調機1は、室内機を示すものとして以下説明する。
空調機1は、熱源機11と、送風機12と、制御部13と、吹出温度検知部14と、還気温度検知部15とを備える。また、空調機1は、空気循環制御装置10を搭載する。
熱源機11は、室外機からの冷媒配管(図示省略)に接続された、蒸発器または凝縮器として機能し、冷風または温風を生成して、送風機12に出力する。
送風機12は、熱源機11が生成した冷風または温風等の空気を、ダクト3dに送出する。
空調機1は、例えば天井裏に設置されたチャンバ2に当該ダクト3dを介して接続され、空調機1が生成し、送出した冷風または温風等は、チャンバ2内へ導入される。
空調機1側からチャンバ2内へ導入された冷風または温風は、ダクト3a〜3cに分岐して、それぞれ、部屋100a〜100cに設置された吹出口4a〜4cから、各部屋100a〜100c内に送出される。すなわち、空調機1で生成された冷風または温風等の空気は、吹出口4a〜4cから、各部屋100a〜100cに供給される。
吹出口4a〜4cから吹き出された冷風または温風は、ダクト3a〜3cにつながる各部屋100a〜100cの吹出口4a〜4cに備えられたダンパ5a〜5cの開度によって送風量を調整される。調整されて送出されることで各部屋100a〜100cに供給された空気(吹出空気。図1のA参照)は、各部屋100a〜100cを通過した後、各部屋100a〜100cに設置された吹出口4a〜4cを通り、さらに、ダクト3a〜3cを通過して、空調機1に戻される(還気。図1のB参照)。
なお、この実施の形態1では、上述のとおり、吹出口4a〜4cにダンパ5a〜5cが設置され、当該ダンパ5a〜5cによって、各部屋100a〜100cへ供給される送風量が調整されるものとしたが、各部屋100a〜100cへ供給される送風量の調整は、ダンパ5a〜5cが行うものに限らず、ダンパ以外の可変風量装置が行うものであってもよく、各部屋100a〜100cへ供給される送風量が調整できるようになっていればよい。この実施の形態1では、ダンパ5a〜5c、および、ダンパ以外の可変風量装置も含め、各部屋100a〜100cへ供給される送風量を調整する装置等を、まとめて、可変風量制御部ともいうものとする。可変風量制御部は、ここでは、一例として、吹出口4a〜4cに設置されるものとしているが、これに限らず、可変風量制御部は、分岐チャンパ内またはダクト内等、空気の供給路中に設置されてもよい。
また、空調機1の還気温度検知部15は、各部屋100a〜100cから空調機1に戻される還気の温度を検知する。
吹出温度検知部14および還気温度検知部15は、例えば、温度センサである。
なお、制御部13は、リモコンから、リモコンインタフェース部(図示省略)を介して、設定温度の情報を取得するようにすればよい。
ユーザは、リモコンを操作して、各部屋100a〜100cの設定温度を所望の温度に設定することができる。
ここで、循環制御とは、区画内温度よりも設定温度に近い空気を、他の部屋100a〜100cから、対象の部屋100a〜100cに供給することによって、対象の部屋100a〜100cの区画内温度を制御することをいう。当該循環制御においては、空調機1の熱源機11を必要としない。
暖房運転の際には、空調機1は、区画内温度よりも温度が高い空気(暖気)を供給して空調の対象となる部屋100a〜100cを暖めている。
しかし、全館空調システムにおいては、暖気が空調機1の近く、または、他の部屋100a〜100cに存在する場合がある。各部屋100a〜100cの設定温度の違い、または、日当たり等の影響によって、部屋100a〜100cごとに室内の温度状況が異なるためである。
また、例えば、日当たり等の影響によって区画内温度が設定温度を超過する部屋(対象の部屋)があれば、より設定温度に近い、他の部屋の空気を供給することで、対象の部屋の区画内温度の超過を抑えることができる。
このように、区画間で熱の循環を行うことを、循環制御という。
なお、通常の個室エアコンにおいては、暖気は熱源機によって作り出さなければ存在し得ず、対象の区画への空気の供給元となる他の区画が存在しない。よって、当該循環制御は、全館空調システムのメリットの一つであると言える。
空気循環制御装置10は、設定温度取得部101と、区画内温度取得部102と、還気温度取得部103と、循環可否判定部104と、熱源機制御指示部105と、風量制御指示部106とを備える。
空気循環制御装置10は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理によって実行される。
設定温度取得部101は、取得した設定温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
区画内温度取得部102は、取得した区画内温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
還気温度取得部103は、取得した還気の温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
循環可否判定部104は、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあると判定した場合、当該室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cに関する情報を、循環区画情報として作成し、熱源機制御指示部105および風量制御指示部106に出力する。
室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cを、循環区画ともいうものとする。
当該停止制御指示が出力されると、制御部13は、熱源機11の運転を停止させる。
当該風量増加指示が出力されると、制御部13は、該当のダンパ5a〜5cを開放させる制御を行う。例えば、制御部13は、開放させるダンパ5a〜5cの開度は全開とすればよい。
また、風量制御指示部は、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、循環区画以外の部屋100a〜100cの室内へ吹出空気を供給する可変風量制御部に風量減少指示を出力する。
当該風量減少指示が出力されると、制御部13は、風量制御指示部106からの風量を増加させる指示の対象とならない部屋100a〜100cについて、室内の空気の循環が可能な区画ではないため、空気を循環させる制御は行わないようにする。
図3は、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10による循環制御の動作を説明するフローチャートである。
図3のフローチャートに沿って、空気循環制御装置10の動作を説明する。
なお、以下の説明において、一例として、全館空調システムは、図1に示すように、建物内の1フロアの部屋100a〜100cを対象に空調を行うものとする。また、部屋100a〜100cの設定温度は、それぞれ、23℃、23℃、24℃であり、部屋100a〜100cの区画内温度は、それぞれ、24℃、22℃、24℃であるものとする。また、部屋100a〜部屋100cから空調機1への還気の温度は23℃であり、空調機1によって各部屋100a〜100cへ供給される空気は、一律23℃であるものとする。
設定温度取得部101は、取得した設定温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
区画内温度取得部102は、取得した区画内温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
還気温度取得部103は、取得した還気の温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
ここでは、部屋100aは、設定温度23℃に対して区画内温度が24℃であり、区画内温度が設定温度を超過している。また、空調機1への還気の温度は23℃であり、部屋100aの区画内温度よりも低い温度になっている。
また、部屋100bは、設定温度23℃に対して区画内温度が22℃であり、設定温度に対して区画内温度が不足している。また、空調機1への還気の温度は23℃であり、部屋100bの区画内温度よりも高い温度になっている。
このように、循環可否判定部104は、空調機1への還気を供給して室内の空気を循環させることで、区画内温度が設定温度に近い温度になると判断できる部屋100a〜100cが存在する場合、部屋100a〜100cのうち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあると判定する。
つまり、循環可否判定部104は、「空調機1の還気を供給すると区画内温度が改善するか否か」で、空調機1への還気を供給して室内の空気を循環させるかどうかを判断する。循環可否判定部104は、当該判断を、還気の温度と、部屋100a〜100cの設定温度と、部屋100a〜100cの区画内温度とによって行う。なお、区画内温度が改善する、すなわち、区画内温度が設置温度に近い温度になると判断できる部屋100a〜100cは、1つでもあれば、当該部屋の空気の循環を行う。
当該停止制御指示が出力されると、制御部13は、熱源機11の運転を停止させる。
これにより、空調機1から23℃の空気を部屋100a,100bの双方の部屋に供給し、空調機1を経由して二つの部屋100a,100bの空気が循環されるようになる(図1のC参照)。
また、制御部13は、風量制御指示部106からの風量を増加させる指示の対象とならない部屋100cについては、空気を循環させる制御を行わない。これにより、循環区画以外の区画については、循環空気のやり取りは行わない。
また、このとき、空調機1の熱源機11は、運転を停止しているので(ステップST307参照)、全館空調システムの省エネに貢献することができる。
また、風量制御指示部106は、循環可否判定部104が循環区画ありと判定した場合、当該循環区画以外の可変風量制御部に風量減少指示を出力するようにしたので、目標を達成している区画の温度達成状態を維持したまま、その他の区画について、設定温度に近づけるよう、建物内の各区画の空気を循環させることができる。
2 チャンバ
3a〜3d ダクト
4a〜4c 吹出口
5a〜5c ダンパ
10 空気循環制御装置
11 熱源機
12 送風機
13 制御部
14 吹出温度検知部
15 還気温度検知部
100a〜100c 部屋
101 設定温度取得部
102 区画内温度取得部
103 還気温度取得部
104 循環可否判定部
105 熱源機制御指示部
106 風量制御指示部
Claims (5)
- 複数の区画における設定温度の情報を取得する設定温度取得部と、
前記複数の区画の区画内温度の情報を取得する区画内温度取得部と、
前記複数の区画に供給する風量を制御する可変風量制御部と、
空調機で生成され、前記複数の区画に設置された吹出口から各区画へ供給された後、各区画を通って前記吹出口から前記空調機に戻される空気である還気の温度の情報を取得する還気温度取得部と、
前記設定温度取得部が取得した設定温度、前記区画内温度取得部が取得した区画内温度、および、前記還気温度取得部が取得した還気の温度の情報に基づき、区画内の空気の循環が可能な循環区画の有無を判定する循環可否判定部と、
前記循環可否判定部が前記循環区画ありと判定した場合、当該循環区画の前記可変風量制御部に風量増加指示を出力する風量制御指示部
とを備えた空気循環制御装置。 - 前記風量制御指示部は、
前記循環可否判定部が前記循環区画ありと判定した場合、当該循環区画以外の前記可変風量制御部に風量減少指示を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の空気循環制御装置。 - 前記循環可否判定部が前記循環区画ありと判定した場合、前記空調機から前記各区画へ供給する空気を生成する熱源機の運転を停止させる停止制御指示を出力する熱源機制御指示部
を備えた請求項1記載の空気循環制御装置。 - 設定温度取得部が、複数の区画における設定温度の情報を取得するステップと、
区画内温度取得部が、前記複数の区画の区画内温度の情報を取得するステップと、
可変風量制御部が、前記複数の区画の風量を制御するステップと、
還気温度取得部が、空調機で生成され、前記複数の区画に設置された吹出口から各区画へ供給された後、各区画を通って前記吹出口から前記空調機に戻される空気である還気の温度の情報を取得するステップと、
循環可否判定部が、前記設定温度取得部が取得した設定温度、前記区画内温度取得部が取得した区画内温度、および、前記還気温度取得部が取得した還気の温度の情報に基づき、区画内の空気の循環が可能な循環区画の有無を判定するステップと、
風量制御指示部が、前記循環可否判定部が前記循環区画ありと判定した場合、当該循環区画へ供給する風量増加指示を出力するステップ
とを備えた空気循環制御方法。 - 前記複数の区画を空調する全館空調システムであって、
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の空気循環制御装置を備えた
ことを特徴とする全館空調システム。
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