JP2018161356A - 炊飯器 - Google Patents

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Yoshimitsu Kato
善光 加藤
一也 三宅
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Abstract

【課題】内鍋上部の冷えを抑制することができる炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、本体1と、本体1の上部を覆う蓋体2と、本体1内に出し入れ自由に収容される内鍋11と、を備える。本体1と蓋体2で覆われる内鍋11は、有底筒形状の椀部15と、椀部15の外側面に水平横方向に延出させたフランジ部13と、フランジ部13の椀部15内面側に沿った位置で、垂直上方向に延出させた突起部71とで形成され、突起部71の高さAがフランジ部13の長さBよりも短く形成される。そして、フランジ部13の下面を上枠6の内鍋受け部72に載置した状態で、上枠6とフランジ部13下面との間に手掛け用の第1の空間74を形成し、突起部71の外面側で、フランジ部13から放散する熱を蓄える蓄熱用の第2の空間75を形成している。
【選択図】図3

Description

本発明は、フランジ部を有する内鍋を備える炊飯器に関する。
近年、炊飯性能や省エネ性能を向上させるため、様々な形状や材質の内鍋の炊飯器が市場で好評を得ている。例えば、特許文献1では、本体と、本体の上部を覆うように設けられる蓋体と、本体内に出し入れ自由に収容され、加熱手段により加熱され、有底筒状で開口部の外方にフランジ部を有する内鍋と、を備え、内鍋の開口部の内径が内鍋の最大内径よりも小さく形成され、内鍋の下部から下側部、中央側部、上側部の順に熱を伝えやすくして、その熱を中央部に向かいやすくする炊飯器が開示されている。
特開2011−127827号公報
特許文献1の炊飯器では、内鍋の開口部上端から外周方向にフランジ部が延びており、また本体上枠の開口部上面にフランジ部の下面を当接させる構成のため、フランジ部および開口部付近からの熱が、本体と蓋体との境界となる空間を介して外部に放熱されやすく、内鍋の上部が外気の影響で冷却されやすい構成となっていた。
従来の炊飯器の各例を図5および図6に基づき説明すると、これらの各図に共通して、101は本体、102は本体101の上部を覆うように設けられる蓋体で、これらの本体101と蓋体102とにより、炊飯器の外郭が形成される。本体101は、上面を形成する上枠103や、側面から底面を形成する外枠(図示せず)により外観を構成しており、蓋体102を開けた状態で、内鍋104を出し入れ自由に収容するために、上面を開口した有底筒状の内鍋収容部105が形成される。また、本体101と蓋体102との間には、両者の境界となる隙間106が形成される。
内鍋104は特許文献1と同様に、被炊飯物が入れられる有底筒状の椀部107と、椀部107の開口部外方に延出するフランジ部108と、を有しており、図示しない加熱手段により加熱される。図5に示すフランジ部108は、外周側にカール状の端部108Aが形成され、図6に示すフランジ部108は、外周側に直線状の端部108Bが形成されるが、何れもフランジ部108は、内鍋収容部105に内鍋104を収容したときに、上枠103の上面に形成した凸状の内鍋受け部109に載置され、内鍋収容部05と内鍋104との間に隙間を形成した状態で、内鍋104が内鍋収容部105に吊設されるようになっている。
従来の炊飯器では、内鍋受け部109の上面にフランジ部108の下面に当接させる構成のため、内鍋収容部105の上部で、椀部107の上部からフランジ部108へと伝導した熱が、内鍋受け部109を経由して上枠103に伝導して逃げてしまっていた。そのため、本体101と蓋体102との隙間106を介して外側部へ放熱することにより、内鍋104の上部が冷えてしまい、内鍋104の内面に結露が生じてしまうという課題があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、内鍋上部の冷えを抑制することができる炊飯器を提供することを目的とする。
本発明は、本体と、前記本体の上部を覆うように設けられる蓋体と、前記本体内に出し入れ自由に収容され加熱手段により加熱される内鍋と、を備えた炊飯器において、前記本体と前記蓋体で前記内鍋を覆い、前記内鍋は、有底筒形状の椀部と、前記椀部の外側面に水平横方向に延出させたフランジ部と、前記フランジ部の前記椀部内面側に沿った位置で、垂直上方向に延出させた突起部とで形成され、前記突起部の延出高さが、前記椀部外面からの前記フランジ部の延出長さよりも短く形成され、前記フランジ部の下面を、前記本体の上部に載置した状態で、前記本体の上部と前記フランジ部下面との間に手掛け用の第1の空間を形成し、前記突起部の外面側で、前記フランジ部から放散する熱を蓄える蓄熱用の第2の空間を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、突起部の延出高さよりもフランジ部の延出長さを長く形成して、フランジ部全体に対する本体の上部との接触部分を可及的に少なくすることで、フランジ部から本体の上部へ熱伝導で逃げてしまう熱を抑制すると共に、本体の上部とフランジ部の下面との間に形成した第1の空間を、本体内に内鍋を出し入れする際の指を掛けるスペースとして利用できる。また、フランジ部の延出長さを突起部の延出高さよりも長くすることで、突起部の外面側に形成した第2の空間へ放熱するフランジ部の面積を拡大させ、併せてフランジ部の体積を大きくすることで、フランジ部から放熱する作用、いわゆるフランジ部のヒートシンク作用を効果的に引き出すことが可能となる。そのため、フランジ部の上面と突起部の外面に対向する第2の空間に、フランジ部からの放熱を蓄えることが可能となり、内鍋の上部の冷えを抑制しつつも、本体内に内鍋を出し入れしやすい炊飯器を提供できる。
本発明の参考例を示す一般的な炊飯器の縦断面図である。 同上、主な電気的構成を示すブロック図である。 本発明の一実施例を示す炊飯器の要部縦断面図の概略図である。 同上、図3の要部拡大図である。 従来の炊飯器の要部縦断面図である。 従来の別な炊飯器の要部縦断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の参考例を説明する。
まず図1に基づき、本発明の参考例である一般的な炊飯器の構成について説明すると、1は有底状の本体、2は本体1の上面開口を開閉自在に覆う蓋体で、何れも樹脂製の本体1と蓋体2により、炊飯器の外郭が形成される。本体1の上部後方には蓋体2との連結部となるヒンジ部3が設けられており、蓋体2の前部側面に設けたフックボタン4を押動操作することで、蓋体2と本体1との係合が解除され、蓋体2がヒンジ部3の軸5を回転中心として自動的に開く構成となっている。
本体1は、上面を形成する上枠6や、側面から底面を形成する外枠7により外観を構成しており、蓋体2を開けた状態で、後述する内鍋11を出し入れ自由に収容するために、上面を開口した有底筒状の内鍋収容部8が形成される。11は、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内鍋であり、ここでの内鍋11は、その内側面がR状に湾曲し、且つ上端開口よりも中央胴部が広い面積を有するいわゆる上すぼみ形状の筒状体12と、筒状体12の外側面より水平状に外方へ延出させた円環状のフランジ部13と、により形成される。
フランジ部13は、内鍋11を本体1の上枠6に支える支持部として、内鍋収容部8に内鍋11を収容したときに内鍋収容部8の上面に載置され、内鍋収容部8と内鍋11との間に隙間を形成した状態で、内鍋11が内鍋収容部8に吊設される。またフランジ部13は、内鍋11を内鍋収容部8から着脱して移動する際に、内鍋11を手で持つことができるような把手部として、内鍋11の最上部にではなく、内鍋11の胴部に設けられている。
内鍋11を本体1内の内鍋収容部8に装着した状態では、フランジ部13よりも下方に位置して、筒状体12の椀部15が本体1の内鍋収容部8に収容され、フランジ部13よりも上方にある筒状体12の突出部16が、内鍋収容部8の上方に突出する。これにより内鍋11は全体として、床面などに載置可能な底壁部の外周縁から周側壁部を立ち上げてなる椀部15と、周側壁部の上周縁から内鍋11の上端に至る突出部16と、椀部15の外面上端より外周方向に延設する円環フランジ状のフランジ部13と、により構成され、特に突出部16の上端部をすぼめて周側壁部の側面に丸みを持たせることで、被炊飯物に対して強い熱対流を起こし、熱を素早く中心まで伝え、内鍋11全体に高温を維持できる羽釜形状に形成される。
内鍋11は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材料とした母材17の外面に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱体18を接合して構成される。この内鍋11の発熱体18を電磁誘導加熱するために、本体1の内部に内鍋加熱手段としての加熱コイル21が配設される。加熱コイル21は内鍋11のフランジ部13よりも下方に設けられた発熱体18に対向して、導体であるリッツ線を螺旋状に巻回して構成され、内鍋収容部8の外面底部と外面下側部にそれぞれ配置される。これにより、加熱コイル21に高周波電流を供給すると、加熱コイル21から発生する交番磁界によって内鍋11の発熱体18が発熱し、炊飯時や保温時に内鍋11ひいては内鍋11内の被炊飯物が加熱される。
内鍋収容部8の底部中央に設けた開口部には、内鍋11の椀部15の外面底部と弾発的に接触するように、内鍋温度検出手段としての内鍋温度センサ22が配置される。内鍋温度センサ22は、内鍋11の温度を検知するもので、加熱コイル21による内鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
蓋体2の上面には、蓋開操作体としてのフックボタン4の他に、表示部55や操作部56(図2を参照)を内部に組み込んだ操作パネル24や、被炊飯物への加熱に伴い内鍋11内部で発生した蒸気を、炊飯器の外部に放出するための蒸気排口たる蒸気口25などがそれぞれ配設される。また、蓋体2の下面側には、本体1に対して蓋体2を閉じた時に内鍋11のフランジ部13と突出部16を覆う凹部41が形成され、この凹部41に蓋体2の下部部材としての内蓋組立体26が配設される。内蓋組立体26は、内鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有する金属材料からなる内蓋27と、内鍋11と内蓋27との間をシールするために、当該内蓋27の外周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン28と、蓋パッキン28を内蓋27の外側全周に装着するための内蓋リング29と、内鍋11の内圧力を調整する調圧部30と、を備えている。環状に形成された蓋パッキン28は、蓋体2を閉じた蓋閉時に、内鍋11の突出部16上面および内面に当接して、この内鍋11と内蓋体22との間の隙間を塞ぎ、内鍋11から発生する蒸気を密閉する。また、蒸気口25と調圧部30は蓋体2の内部で連通しており、これらの蒸気口25や調圧部30により、内鍋11内で発生した蒸気を蒸気口25から外部へ放出する蒸気排出機構が形成される。
調圧部30は、内鍋11の内部と蒸気口25との間の蒸気通路31を開閉する調圧弁32が設けられる。この調圧弁32はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド33と連動し、内鍋11内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気通路31を開放し、内鍋11内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気通路31を閉塞するように、ソレノイド33が調圧弁32を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル21への高周波通電により内鍋11内の被炊飯物が加熱され、内鍋11の内圧が所定値に達すると、調圧弁32の自重に抗して蒸気通路31を開放することで、内鍋11内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
35は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、内鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段35は、蓋体2の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ36の他に、何れも図示しないが、蓋体2の内部において、減圧ポンプ36と内鍋11の内部との間を連通する管状の経路や、その経路を開閉する電磁弁を備えて構成される。減圧ポンプ36は、蓋体2にではなく本体1の内部に設けてもよく、またその個数も1個に限定されない。
そして本実施形態では、内鍋11を内鍋収容部8に収容し、蓋体2を閉じた状態から減圧ポンプ36を起動させると、電磁弁により経路を開放して、内鍋11内部の空気が経路および減圧ポンプ36を通って本体1の外部に排出され、密閉した内鍋11内部の圧力が低下する。また、内鍋11内部の圧力が常圧である大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧ポンプ36の動作を停止し、電磁弁により経路を閉塞して、内鍋11内部を減圧状態に保っている。さらに、内鍋11内部を減圧状態から大気圧に戻す場合には、減圧ポンプ36の動作を停止し、電磁弁により経路を開放する。つまり、本参考例における減圧手段35は、内鍋11内部を減圧状態から常圧に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
42は、凹部41の上面に設けられる金属製の放熱板であり、43は、凹部41の側面前方に設けられ蓋体2に対して可動する内蓋押えであり、44は、凹部41の側面後方に形成される凹状の案内部である。これにより、蓋体2を開けた状態で、内蓋リング29の一側に形成した凸片45を案内部44に差し込み、内蓋リング29の他側に形成した摘み46を、内蓋押え43に押し込んで係止ロックさせることにより、放熱板42に内蓋27を近接対向させた状態で、内蓋27を含む内蓋組立体26が蓋体2の下面に装着される。また、そこから内蓋押え43を手で押しながら摘み46を手前に引くことで、内蓋押え43と摘み46とのロック状態が解除され、内蓋組立体26を蓋体2の下面から簡単に離脱させることができる。
本参考例では、内鍋11を内鍋収容部8に収容し、ヒンジ部3の軸5を中心として本体1に対し蓋体2を閉じると、蓋体2の凹部41に装着された内蓋組立体26の蓋パッキン28が、内鍋11のフランジ部13にではなく、フランジ部13よりも上方に延出させた突出部16の上部端面に密着当接する。つまり、内鍋11の突出部16の上部端面は、蓋体2を閉じた時に蓋パッキン28に当接するパッキン当接部48として設けられている。また本参考例では、蓋体2の凹部41が内鍋11の突出部16全体を覆っている関係で、本体1と蓋体2との境界となる隙間49は、蓋パッキン28と内鍋11との接触部近傍にではなく、内鍋11の胴部近傍に位置している。
図1に示すように、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部に位置する突出部16を蓋体2の凹部41に収容した状態で、突出部16と内蓋27と内鍋11に収容した被炊飯物とに囲まれた沸騰空間部51が形成される。この沸騰空間部51は、炊飯時に被炊飯物となる水が温度上昇した時に、内鍋11の内部で連続沸騰を可能にする沸騰空間に相当し、最大炊飯時の水の高さにまで被炊飯物が入れられた状態でも、フランジ部13よりも上方の内蓋27に至る部分に沸騰空間部51が確保される。
本参考例では、内鍋11への加熱を行なう内鍋加熱手段として、前述した加熱コイル21の他に、蓋体2に設けた第1加熱手段52と、本体1に設けた第2加熱手段53とをそれぞれ備える。第1加熱手段52は沸騰空間部51を加熱するために、内鍋11の突出部16の外面に対向して、凹部41の内側面に配設され、第2加熱手段53はフランジ部13を加熱するために、内鍋11のフランジ部13に当接して設けられる。このとき、フランジ部13を効率よく加熱するために、第2加熱手段53上面の略全体をフランジ部13下面に当接させる構成となっている。これらの第1加熱手段52や第2加熱手段53はヒータ線を用いて構成されるが、他の加熱源を用いてもよい。また図示しないが、蓋体2の内部には、内蓋27を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ38と、蓋ヒータ38による内蓋27の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ39がそれぞれ設けられる。61は、本体1の内部後方に設けられ、マイクロコンピュータ(マイコン)などを基板に搭載して構成される制御手段である。
次に、上記構成における炊飯器の主な制御系統について、図2を参照しながら説明する。同図において、制御手段61は、内鍋温度センサ22や蓋温度センサ39からの各温度検知信号と、操作部56からの操作信号を受けて、炊飯時および保温時に内鍋11を加熱する加熱コイル21や、第1加熱手段52や、第2加熱手段53と、蓋体2を加熱する蓋ヒータ38を各々制御すると共に、ここでは図示しない前述のソレノイド33や、減圧ポンプ36や、電磁弁の動作を各々制御し、さらには表示部55の表示を制御するものである。特に本実施形態の制御手段61は、内鍋温度センサ22の検知温度に基いて主に加熱コイル21を制御して内鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ39の検知温度に基いて主に蓋ヒータ38を制御して、内蓋27を温度管理するようになっている。
制御手段61は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記内鍋11内の被調理物を炊飯加熱する炊飯制御手段62と、保温時に内鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段63と、操作部56からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に内鍋11内の被調理物が炊き上がるように、炊飯制御手段62を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段64を備えている。
65は、制御手段61からの制御信号を受けて、加熱コイル21に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、制御手段61の出力側には、制御手段61からの制御信号を受けて、放熱板42や内蓋27を加熱するように蓋ヒータ38を駆動させる蓋ヒータ駆動手段66と、第1加熱手段52を駆動させる第1加熱手段駆動手段67と、第2加熱手段53を駆動させる第2加熱手段駆動手段68と、表示部55による表示を駆動させる表示部駆動手段69が各々設けられる。前記炊飯制御手段62による炊飯時、および保温制御手段63による保温時には、内鍋温度センサ22と蓋温度センサ39からの各温度検出により、加熱コイル21による内鍋11の底部への加熱と、第1加熱手段52による内鍋11の側面への加熱と、第2加熱手段53によるフランジ部13への加熱と、蓋ヒータ38による内蓋27への加熱が行なわれるように制御する。また、炊飯制御手段62による炊飯が終了し、内鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段63による保温に自動的に移行し、内鍋温度センサ22の検知温度に基づき、加熱コイル21や第1加熱手段52、第2加熱手段53による内鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
そして上記構成において、内鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作部56の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段62による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段62は、実質的な炊飯を開始する前に、内鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、内鍋温度センサ22による内鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル21と第1加熱手段52で内鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、内鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。ひたし時には内鍋11内は減圧状態が維持されるので、内鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段62は実質的な炊飯動作を開始し、加熱コイル21により内鍋11を強加熱して、被調理物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に内鍋11の底部の温度が90℃以上になり、内蓋27の温度が90℃以上で安定したら、内鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。
なお、上述の内蓋27の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ39からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、内鍋温度センサ22と蓋温度センサ39とにより、内鍋11の底部および内蓋27がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に内鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段62は蓋ヒータ38による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋27の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ39の検知温度により管理される。そして、内鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、内鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段62による炊飯行程を終了し、保温制御手段63により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ39の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ38を通断電し、内蓋27への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、内鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段63による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル21にて内鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、内鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ38により内蓋27の下面を加熱し、さらに内鍋11の側面を第1加熱手段52で、フランジ部13を第2加熱手段53で、ご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。
次に、本実施例の炊飯器の詳細な構成と、それによる作用について、図3と図4を参照しながら説明する。図3は、本実施例の炊飯器についての要部縦断面の概略図を示しており、図4は図3の要部拡大図を示している。
本実施例では、内鍋11の形状と炊飯器内部の構成が参考例とは異なる。すなわち、内鍋11は参考例と同様に、被炊飯物を入れる有底形の筒状体12と、筒状体12の外側面より水平状に外方へ延出させた円環状のフランジ部13とを備えるものの、筒状体12は参考例のような上すぼみ形状ではなく、その内側面がほぼ垂直に立ち上がり、上端開口と中央胴部の面積がほぼ同じ寸胴形状を有する。また筒状体12は、床面などに載置可能な底壁部の外周縁から周側壁部を立ち上げてなる椀部15と、参考例の突出部16に代わり、周側壁部の上周縁から内鍋11の上端に至る突起部71と、により構成される。
突起部71の形状について、ここでは図4に示すように、椀部15の上端ひいてはフランジ部13の上面から、内鍋11の上端に至るまでの突起部71の高さAが、椀部15ひいては突起部71の外側面から、鍋11の外周端に至るまでのフランジ部13の長さBと等しいか、さもなければ小さく突起状に形成される(すなわち、A≦B)。この点、参考例の突出部16は、その高さがフランジ部13の幅よりも大きく突出しており、本実施例の突起部71とは形状が異なる。
内鍋11は、被炊飯物が入れられる有底筒形状の椀部15と、椀部15の外側面上端より水平横方向に延出させた円環状のフランジ部13と、フランジ部13の基端(内端)側にある椀部15の内面側に沿った位置で、椀部15の上周縁から垂直上方向に延出させた突起部71と、により形成される。ここでは特に、椀部15の外面からのフランジ部13の延出長さに相当するフランジ部13の長さBが、椀部15の上端からの突起部71の延出高さに相当する突出部16の高さAよりも長く形成される。このように構成することで、突起部71の外面側空間へ放熱するフランジ部13の面積が拡大し、またフランジ部13の体積がより大きくなることで、フランジ部13から放熱する作用、いわゆるヒートシンク作用を効果的に引き出すことができるようになる。フランジ部13や突起部71は椀部15と略同一の厚さに形成し、また椀部15と一体に形成して内鍋11を構成しているが、これらの各部を異なる厚さに形成してもよい。
内鍋収容部8の上部には、上枠6の上面から上方に突出した内鍋受け部72が設けられ、内鍋収容部8の外面底部と外面下側部には、図示しない加熱コイル21が配設される。内鍋受け部72は平面視で、上枠6の開口部の周方向に等間隔で複数、若しくは環状に連続して設けられ、内鍋11を内鍋収容部8に収容する時に、フランジ部13の下面を内鍋受け部72に載せることで、内鍋受け部72以外の上枠6にフランジ部13が当接することなく、内鍋11が内鍋収容部8に吊設される構成となっている。なお本実施例では、可能な限りフランジ部13と内鍋受け部72との接触を少なくするように、内鍋受け部72の上部を曲面状に形成してフランジ部13と内鍋受け部72が点や線で接触するように構成している。
また図3に示すように、本実施例の炊飯器は蓋体2を閉じた時に、本体1の内鍋収容部8および上枠6と、蓋体2の凹部41とで内鍋11全体を覆う構成となっている。この時、内鍋受け部72を含む上枠6の上面と、フランジ部13の下面と、凹部41の側周面と、により囲まれた第1の空間74が形成されると共に、ここでは図示しない蓋パッキン28が、突起部71の上部端面に形成したパッキン当接部48に密着当接して、フランジ部13の上面と、突起部71の外面と、凹部41の上面および側周面と、により囲まれた第2の空間75が形成される。
本体1と蓋体2との間に形成される第1の隙間49とは別に、フランジ部13の先端となる外周端と凹部41の側周面との間には、第2の隙間76が形成される。第1の隙間49は、第1の空間74と連通して、内鍋11を内鍋収容部8に収容した時のフランジ部13より下方の高さに形成される。また、第1の空間74や第2の空間75よりも狭い第2の隙間76は、フランジ部13の外方にあって、第1の空間74と第2の空間75にそれぞれ連通して形成される。
本実施例では、内鍋収容部8に内鍋11を着脱する際に、第1の空間74が使用者の指をフランジ部13の下面に掛けるスペースとなるように、内鍋受け部72の高さが設定される。また、フランジ部13により第1の空間74と上下に区画された第2の空間75は、フランジ部13の上面と突起部71の外面に対向して、椀部15からフランジ部13に導かれた熱が、ヒートシンク作用を有するフランジ部13から放散する際に、その熱を第1の隙間49から逃がさずに蓄える蓄熱用のスペースとして形成される。その他の構成は、前記参考例で示した炊飯器と共通する。
次に、上記構成の炊飯器について、内鍋11の熱伝導に関する作用を説明すると、炊飯や保温の際に、蓋体2を閉じた状態で加熱コイル21により内鍋11が加熱されると、ヒートシンク作用を効果的に引き出せる形状を有し、しかも第1の隙間49の近傍に配設されて相対的に温度が低いフランジ部13に、椀部15や突出部16からの熱が移動する。特に本実施例では、フランジ部13の全体に対する内鍋受け部72との接触部分ができる限り少なくなるように、フランジ部13の長さBが突出部16の高さAよりも大きく形成されるので、フランジ部13から内鍋受け部72への熱の逃げが抑制される。さらに、フランジ部13と内鍋受け部72が点または線で接触するように、内鍋受け部72の上部を平面状ではなく曲面状に形成することで、フランジ部13の下面側から内鍋受け部72へ熱伝導で逃げてしまう熱を最小限に抑制し、内鍋11の上部の冷えを効果的に抑制している。
その一方で、フランジ部13の上面側には、突起部71の外面に対向して、フランジ部13からの熱を蓄える第2の空間75が形成される。ヒートシンク作用を有するフランジ部13に伝導した熱は、そこから第2の空間75向けて発散され、第2の空間75の雰囲気温度が上昇して、温められた空気などの気体が上方向へ移動するが、上述のように突起部71と凹部41との間は、蓋パッキン28により密着状態で塞がれているために、第2の空間75の外部に放出されずにそこで留まり、フランジ部13からの熱が効果的に蓄えられる。
また、第2の空間75は狭い第2の隙間76を介して第1の空間74と接続されているが、第2の空間75はフランジ部13を境界として第1の空間74の上部に位置するため、フランジ部13から発散する熱で第2の空間75の雰囲気温度が上昇しても、そこで温められた気体は、第1の空間74から第1の隙間49を通って炊飯器の外部に移動するよりもむしろ、第2の空間75の上方に移動する。したがって、フランジ部13からの放熱を第2の空間75に蓄え、併せて第2の空間75から第1の空間74への熱の移動を抑制することで、第2の空間75と対向している突起部71の冷えを効果的に抑制することが可能になる。
このようにして本実施例の炊飯器では、フランジ部13を恰もヒートシンクのように作用させて、突起部71の冷えを抑制することで、内鍋11の上部、特に突起部71や椀部15上部の冷えを抑制し、突起部71や椀部15上部の内面に結露が生じるのを抑制することができる。併せて、加熱されていない時の内鍋11の上部の冷えを抑制できるため、内鍋11への加熱を減らすことができ、省エネ性能が向上する。
また、フランジ部13の周方向の長さBが突起部71の高さAよりも大きく形成されている上に、第1の空間74が使用者の指を掛けるスペースとして形成されているため、フックボタン4を押して蓋体2を開いた後に、露出した上枠6の上面側から第1の空間74に指を入れ、そのままフランジ部13の下面に指を掛けて内鍋11を持ち上げれば、内鍋11を内鍋収容部8より無理なく容易に取り外すことができるようになる。さらに、内鍋11を内鍋収容部8にセットする場合も、フランジ部13の下面に余裕を持った状態で指を掛けたまま、内鍋受け部72にフランジ部13を載せ、そこから第1の空間74を利用してフランジ部13から指を離すことで、内鍋11を内鍋収容部8に無理なく容易に収容することができるようになる。
以上のように本実施例では、本体1と、本体1の上部を覆うように設けられる蓋体2と、本体1内に出し入れ自由に収容され、加熱手段としての加熱コイル21により加熱される内鍋11と、を備え、本体1と蓋体2で内鍋11を覆い、内鍋11は、有底筒形状の椀部15と、椀部15の外側面に水平横方向に延出させたフランジ部13と、フランジ部13の椀部15内面側に沿った位置で、垂直上方向に延出させた突起部71とで形成され、突起部71の延出高さとなる高さAが、椀部15の外面からのフランジ部13の延出長さとなる長さBよりも短く形成され、フランジ部13の下面を、本体1の上部としての上枠6の内鍋受け部72に載置した状態で、上枠6とフランジ部13の下面との間に手掛け用の第1の空間74を形成し、突起部71の外面側で、フランジ部13から放散する熱を蓄える蓄熱用の第2の空間75を形成している。
この場合、突起部71の高さAよりもフランジ部13の長さBを長く形成して、フランジ部13全体に対する上枠6との接触部分を可及的に少なくすることで、フランジ部13から上枠6へ熱伝導で逃げてしまう熱を抑制すると共に、上枠6とフランジ部13の下面との間に形成した第1の空間74を、本体1内に内鍋11を出し入れする際の指を掛けるスペースとして利用できる。また、フランジ部13の長さBを突起部71の高さAよりも長くすることで、突起部71の外面側に形成した第2の空間75へ放熱するフランジ部13の面積を拡大させ、併せてフランジ部13の体積を大きくすることで、フランジ部13から放熱する作用、いわゆるフランジ部13のヒートシンク作用を効果的に引き出すことが可能となる。そのため、フランジ部13の上面と突起部71の外面に対向する第2の空間75に、フランジ部13からの放熱を蓄えることが可能となり、内鍋11の上部の冷えを抑制しつつも、本体1内に内鍋11を出し入れしやすい炊飯器を提供できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施例の椀部15は、床面などに載置可能な底壁部の外周縁から周側壁部を略垂直に立ち上げた形状となっているが、参考例と同様に、いわゆる上すぼみ形状の椀部15により形成されてもよい。
1 本体
2 蓋体
11 内鍋
13 フランジ部
15 椀部
21 加熱コイル(加熱手段)
71 突起部
72 内鍋受け部(本体の上部)
74 第1の空間
75 第2の空間
A 突起部の延出高さ
B フランジ部の延出長さ

Claims (1)

  1. 本体と、
    前記本体の上部を覆うように設けられる蓋体と、
    前記本体内に出し入れ自由に収容され、加熱手段により加熱される内鍋と、を備えた炊飯器において、
    前記本体と前記蓋体で前記内鍋を覆い、
    前記内鍋は、有底筒形状の椀部と、前記椀部の外側面に水平横方向に延出させたフランジ部と、前記フランジ部の前記椀部内面側に沿った位置で、垂直上方向に延出させた突起部とで形成され、
    前記突起部の延出高さが、前記椀部外面からの前記フランジ部の延出長さよりも短く形成され、
    前記フランジ部の下面を、前記本体の上部に載置した状態で、前記本体の上部と前記フランジ部下面との間に手掛け用の第1の空間を形成し、
    前記突起部の外面側で、前記フランジ部から放散する熱を蓄える蓄熱用の第2の空間を形成したことを特徴とする炊飯器。
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