以下、本発明の炊飯器に係る好ましい第1実施形態について、図1〜図4を参照しながら詳しく説明する。
炊飯器全体の構成を図1に基づいて説明すると、1は有底状の本体、2は本体1の上面開口を開閉自在に覆う蓋体で、何れも樹脂製の本体1と蓋体2により、炊飯器の外郭が形成される。本体1の上部後方には蓋体2との連結部となるヒンジ部3が設けられており、蓋体2の前部側面に設けたフックボタン4を押動操作することで、蓋体2と本体1との係合が解除され、蓋体2がヒンジ部3の軸5を回転中心として自動的に開く構成となっている。
本体1には、有底筒状で非磁性材料などからなる鍋収容体6が形成され、この鍋収容体6には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内鍋11が着脱自在に設けられる。内鍋11は、その内側面がR状に湾曲し、且つ上端開口よりも中央胴部が広い面積を有するいわゆる上すぼみ形状の筒状体12と、筒状体12の外側面より水平状に外方へ延出させた円環状のフランジ部13と、により形成される。
フランジ部13は、内鍋11を本体1に支える支持部として、鍋収容体6に内鍋11を収容したときに鍋収容体6の上面に載置され、鍋収容体6と内鍋11との間に隙間を形成した状態で、内鍋11が鍋収容体6に吊設される。またフランジ部13は、内鍋11を鍋収容体6から着脱して移動する際に、内鍋11を手で持つことができるような把手部として設けられる。図1には、炊飯器の仕様として炊飯時に内鍋11に収容できる最大の水量を、最大炊飯時の水の高さHmaxとして示しているが、本実施形態のフランジ部13は、内鍋11の最上部にではなく、最大炊飯時の水の高さHmaxに位置して、内鍋11の胴部に設けられている。これにより、内鍋11の外側に延出したフランジ部13は、最大炊飯時の水の高さHmaxの目安とすることができる。また、内鍋11を本体1に装着した状態では、フランジ部13よりも下方にある筒状体12の椀部15が、本体1の鍋収容体6に収容され、フランジ部13よりも上方にある筒状体12の突出部16が、鍋収容体6の上方に突出する。これにより内鍋11は全体として、床面などに載置可能な底壁部の外周縁から周側壁部を立ち上げてなる椀部15と、周側壁部の上周縁から内鍋11の上端に至る突出部16と、椀部15と突出部16との境界外面より外周方向に延設する円環フランジ状のフランジ部13と、により構成され、特に突出部16の上端部をすぼめて周側壁部の側面に丸みを持たせることで、被炊飯物に対して強い熱対流を起こし、熱を素早く中心まで伝え、内鍋11全体に高温を維持できる羽釜形状に形成される。
内鍋11は、カーボンを主成分とする材料からなる母材17によって構成される。この母材17を電磁誘導加熱するために、本体1の内部に内鍋加熱手段としての加熱コイル21が配設される。加熱コイル21は内鍋11のフランジ部13よりも下方に設けられ、導体であるリッツ線を螺旋状に巻回して構成され、鍋収容体6の外面底部と外面下側部にそれぞれ配置される。これにより、加熱コイル21に高周波電流を供給すると、加熱コイル21から発生する交番磁界によって内鍋11の母材17が発熱し、炊飯時や保温時に内鍋11ひいては内鍋11内の被炊飯物が加熱される。
内鍋11は、カーボン凝結体などのカーボンを主成分とする材料からなる母材17によって構成されるため、誘導加熱したときに渦電流が発生し易いとともに、熱伝導率が高く熱が鍋全体に均一且つ速やかに伝達する、また、遠赤外線が十分に放出され、ご飯を内部からふっくらさせることができ、ご飯の炊きむらも低減できる。
鍋収容体6の底部中央に設けた開口部には、内鍋11の椀部15の外面底部と弾発的に接触するように、内鍋温度検出手段としての内鍋温度センサ22が配置される。内鍋温度センサ22は、内鍋11の温度を検知するもので、加熱コイル21による内鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
蓋体2の上面には、蓋開操作体としてのフックボタン4の他に、表示部や操作部を含むパネルとしての操作パネル24や、被炊飯物への加熱に伴い内鍋11内部で発生した蒸気を、炊飯器の外部に放出するための蒸気排口たる蒸気口25などがそれぞれ配設される。また、蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体26が配設される。内蓋組立体26は、内鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有する金属材料からなる内蓋27と、内鍋11と内蓋27との間をシールするために、当該内蓋27の外周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン28と、蓋パッキン28を内蓋27の外側全周に装着するための内蓋リング29と、内鍋11の内圧力を調整する調圧部30と、を備えている。環状に形成された蓋パッキン28は、蓋体2を閉じた蓋閉時に、内鍋11のフランジ部7上面に当接して、この内鍋11と内蓋体22との間の隙間を塞ぎ、内鍋11から発生する蒸気を密閉する。また、蒸気口25と調圧部30は蓋体2の内部で連通しており、これらの蒸気口25や調圧部30により、内鍋11内で発生した蒸気を蒸気口25から外部へ放出する蒸気排出機構が形成される。
調圧部30は、内鍋11の内部と蒸気口25との間の蒸気通路31を開閉する調圧弁32が設けられる。この調圧弁32はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド33と連動し、内鍋11内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気通路31を開放し、内鍋11内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気通路31を閉塞するように、ソレノイド33が調圧弁32を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル21への高周波通電により内鍋11内の被炊飯物が加熱され、内鍋11の内圧が所定値に達すると、調圧弁32の自重に抗して蒸気通路31を開放することで、内鍋11内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
35は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、内鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段35は、蓋体2の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ36の他に、何れも図示しないが、蓋体2の内部において、減圧ポンプ36と内鍋11の内部との間を連通する管状の経路や、その経路を開閉する電磁弁を備えて構成される。減圧ポンプ36は、蓋体2にではなく本体1の内部に設けてもよく、またその個数も1個に限定されない。
そして本実施形態では、内鍋11を鍋収容体6に収容し、蓋体2を閉じた状態から減圧ポンプ36を起動させると、電磁弁により経路を開放して、内鍋11内部の空気が経路および減圧ポンプ36を通って本体1の外部に排出され、密閉した内鍋11内部の圧力が低下する。また、内鍋11内部の圧力が常圧である大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧ポンプ36の動作を停止し、電磁弁により経路を閉塞して、内鍋11内部を減圧状態に保っている。さらに、内鍋11内部を減圧状態から大気圧に戻す場合には、減圧ポンプ36の動作を停止し、電磁弁により経路を開放する。つまり、本実施形態における減圧手段35は、内鍋11内部を減圧状態から常圧に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
蓋体2の下面側には、本体1に対して蓋体2を閉じた時に、内鍋11のフランジ部13と突出部16を覆う凹部41が形成される。この凹部41の上面には、金属製の放熱板42が設けられる。また、凹部41の側面前方には、蓋体2に対して可動する内蓋押え43が設けられ、凹部41の側面後方には、凹状の案内部44が形成される。これにより、蓋体2を開けた状態で、内蓋リング29の一側に形成した凸片45を案内部44に差し込み、内蓋リング29の他側に形成した摘み46を、内蓋押え43に押し込んで係止ロックさせることにより、放熱板42に内蓋27を近接対向させた状態で、内蓋27を含む内蓋組立体26が蓋体2の下面に装着される。また、そこから内蓋押え43を手で押しながら摘み46を手前に引くことで、内蓋押え43と摘み46とのロック状態が解除され、内蓋組立体26を蓋体2の下面から簡単に離脱させることができる。
本実施形態では、内鍋11を鍋収容体6に収容し、ヒンジ部3の軸5を中心として本体1に対し蓋体2を閉じると、蓋体2の凹部41に装着された内蓋組立体26の蓋パッキン28が、内鍋11のフランジ部13にではなく、フランジ部13よりも上方に延出させた突出部16の上部端面に密着当接する。つまり、内鍋11の突出部16の上部端面は、蓋体2を閉じた時に蓋パッキン28に当接するパッキン当接部48として設けられている。また本実施形態では、蓋体2の凹部41が内鍋11の突出部16全体を覆っている関係で、本体1と蓋体2との境界となる隙間49は、蓋パッキン28と内鍋11との接触部近傍にではなく、内鍋11の胴部近傍に位置している。
図1に示すように、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部に位置する突出部16を蓋体2の凹部41に収容した状態で、突出部16と内蓋27と内鍋11に収容した被炊飯物とに囲まれた沸騰空間部51が形成される。この沸騰空間部51は、炊飯時に被炊飯物となる水が温度上昇した時に、内鍋11の内部で連続沸騰を可能にする沸騰空間に相当し、最大炊飯時の水の高さHにまで被炊飯物が入れられた状態でも、フランジ部13よりも上方の内蓋27に至る部分に沸騰空間部51が広く確保される。
本実施形態では、内鍋11への加熱を行なう内鍋加熱手段として、前述した加熱コイル21の他に、蓋体2に設けた第1加熱手段52と、本体1に設けた第2加熱手段53とをそれぞれ備える。第1加熱手段52は沸騰空間部51を加熱するために、内鍋11の突出部16の外面に対向して、凹部41の内側面に配設され、第2加熱手段53はフランジ部13を加熱するために、内鍋11のフランジ部13に当接して設けられる。これらの第1加熱手段52や第2加熱手段53はヒータ線を用いて構成されるが、他の加熱源を用いてもよい。また図示しないが、蓋体2の内部には、内蓋27を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータと、蓋ヒータによる内蓋27の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサがそれぞれ設けられる。
61は、本体1の内部後方に設けられ、マイクロコンピュータ(マイコン)などを基板に搭載して構成される制御手段である。制御手段61は、内鍋温度センサ22や蓋温度センサからの各温度検知信号と、操作部からの操作信号を受けて、炊飯時および保温時に内鍋11を加熱する加熱コイル21や第1加熱手段52や第2加熱手段53と、蓋体2を加熱する蓋ヒータを各々制御すると共に、前述したソレノイド33や、減圧ポンプ36や、電磁弁の動作を各々制御し、さらには表示部の表示を制御するものである。特に本実施形態の制御手段61は、内鍋温度センサ22の検知温度に基いて主に加熱コイル21を制御して内鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサの検知温度に基いて主に蓋ヒータを制御して、内蓋27を温度管理するようになっている。
制御手段61は、記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、操作部からの炊飯開始の指示を受けて、内鍋11に投入した米の吸水を促進させるひたしと、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる加熱と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続と、被炊飯物をドライアップ状態のご飯に炊き上げる炊き上げと、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらしの各行程を順に実行して、内釜6内部の被炊飯物に対する加熱を制御する炊飯制御手段と、内鍋11内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御する保温制御手段と、をそれぞれ備えている。
次に、内鍋11の詳細な構成を図2に基いて説明する。内鍋11のフランジ部13は、前述した支持部と把手部としての機能を実現するために、内鍋11の重量を約1.5kgとし、米と水を入れた内鍋11の最大重量を約3.5kgに規定している。図2に示すように、フランジ部13の寸法は、内鍋11を鍋収容体6から取出す際などの使用性を考慮して、根元から先端までの幅d1を約16mmとし、先端部はフランジ部13からの放熱を抑える目的で表面積を減らすために、その厚さt1を3.5mmとしている。一方、フランジ部13として強度の必要な根元部の厚さt2は、先端部の厚さt1よりも厚く6.5mmとし、応力のかかる根本付け根部は丸みを持たせ、半径R1=2.5mmで補強している。
図3は、加圧時における内鍋11上部とその周辺の構成を示し、また図4は、真空減圧時における内鍋11上部とその周辺の構成を示している。これらの各図において、沸騰空間部51に複数記された矢印Pは、蓋パッキン28に作用する力の方向を示している。
弾性材料からなる柔軟な蓋パッキン28は、内蓋27の外周部と内蓋リング29との間に狭着され、断面が逆U字状に折り返されたパッキン基部65と、内蓋27の外側に露出したパッキン基部65の外端から略水平方向に延びる舌片状の真空パッキン66と、同じくパッキン基部65の外端から垂下する舌片状の圧力パッキン67と、を一体に形成して構成される。また、内蓋リング29の下側面には、真空パッキン66の動きを規制する突起68が形成される。これに対して、蓋パッキン28に当接するパッキン当接部48は、内鍋11の最上端から内周方向に向けて下方に傾いた上端傾斜面71と、この傾斜面71の下端から連続して、より下方に傾いた上端内面72と、により構成される。
次に、上記構成についてその作用を説明する。炊飯を行なうには、本体1に対して蓋体2を開けた状態で、被炊飯物となる米や水を入れた内鍋11を鍋収容体6に装着し、蓋体2を再び閉じる。そして、操作パネル24の操作部をタッチ操作して、炊飯開始を指示すると、制御手段61は、炊飯制御手段によるひたしからむらしに至る一連の炊飯行程と、その後の保温制御手段による保温行程を順に実行するために、加熱コイル21や第1加熱手段52や第2加熱手段53の他に、蓋ヒータや、ソレノイド33や、減圧ポンプ36や、電磁弁の動作を各々制御し、さらには操作パネル24を構成する表示部の表示を制御する。
特に炊飯時には、ひたしの後に被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる強加熱が行われ、炊飯加熱部となる加熱コイル21からの交番磁界により、カーボンを主成分とした内鍋11の母材17が発熱して、鍋収容体6に収容されたフランジ部13の下側で、内鍋11内の被炊飯物が強く連続的に加熱される。本実施形態では内鍋11の内部でフランジ部13よりも上方の内蓋27に至る範囲に広い沸騰空間部51が設けられているので、この沸騰空間部51で被炊飯物の連続沸騰が可能となり、米の周囲から溶出する大量のおねばを沸騰空間部51に引き出すことが可能となる。また、内鍋11の内部は沸騰時に圧力が上昇するが、フランジ部13よりも上方に広く確保された沸騰空間部51によって、うまみ成分となるおねばが内蓋27に設けた調圧部30を通して蒸気口25へ放出するのを抑制し、丸みを帯びた内鍋11の内面形状と相俟って、結果的に内鍋11の内部で炊き上がるご飯の周囲へ、米のうまみ成分を効率的に付着させることができる。さらに、炊飯時に強加熱で沸騰させた後、沸騰を継続させる加熱を行なったときに、おねばが蒸気口25から出てふきこぼれる問題も、前述の広い沸騰空間部51により軽減できる。
次に、蓋体2と内鍋11との密閉構造について説明すると、図3に示すように、加圧手段となる加熱コイル21や調圧部30によって、内鍋11内の圧力を大気圧よりも高くする加圧時には、蓋パッキン28に作用する矢印Pの力によって、圧力パッキン67が内鍋11の上端内面72に当接して押し付けられ、蓋体2と内鍋11との間をシールする。これに対して図4に示すように、調圧部30を含む減圧手段35によって、内鍋11内の圧力を大気圧よりも低く減圧する真空時には、蓋パッキン28に作用する矢印Pの力によって、真空パッキン66が内蓋リング29の突起68に規制されながら、内鍋11の上端傾斜面71に当接して押し付けられ、蓋体2と内鍋11との間をシールする。とりわけ本実施形態では、内鍋11の最上端から斜めに上端傾斜面71を形成して、その上端傾斜面71の面積を確保することで、真空パッキン66が内鍋11の上面に恰も吸盤で吸い付くようにシールできる構造となっている。
図1に示すように、内鍋11を本体1の鍋収容体6に装着し、ヒンジ部3の軸5を中心にして、内蓋27を備えた蓋体2を閉じると、蓋体2の下向きに開口した凹部41に、フランジ部13を含む内鍋11の突出部16が入り込み、突出部16の上部端面をパッキン当接部48として、蓋パッキン28が内鍋11に当接密着する構成となっている。つまり本実施形態では、蓋体2の内部となる凹部41に内鍋11の突出部16が位置すると共に、内鍋11のパッキン当接部48に蓋パッキン28が当接できるように、内蓋27が凹部41の上面側に位置しているため、本体1と蓋体2との隙間49の近傍に内蓋27や蓋パッキン28を配置しない構成となっている。従って、炊飯や保温の際に、蓋パッキン28周辺の熱は、それよりも下方に位置して離れた隙間49には到達しにくく、本体1の外部への熱の逃げを抑制できることから、蓋パッキン28の内面や、蓋パッキン28近傍の内蓋27の内面と内鍋11の内面の冷えを抑制して、炊飯器として結露しにくい構造を実現できる。
また、少なくとも炊飯のむらし中や保温時には、内鍋11にご飯が入った状態で第1加熱手段52を通電して、沸騰空間部51を加熱することで、沸騰空間部51内での結露の発生を抑制する。これにより、沸騰空間部51内で冷えて結露した水が、内鍋11の内面を伝ってご飯に流れ落ちる不具合を防止できる。また、少なくとも炊飯のむらし中や保温時には、第2加熱手段53を通電してフランジ部13を加熱することもできる。これにより、フランジ部13の近傍において、内鍋11の内側面で冷えて結露した水が、内鍋11の内面を伝ってご飯に流れ落ちる不具合を防止できる。第1加熱手段52と第2加熱手段53は、所定期間内で同時または交互に、あるいは何れか一方だけを通電させてもよい。
さらに、内鍋11は、カーボン凝結体などのカーボンを主成分とする材料からなる母材17によって構成され、誘導加熱したときに渦電流が発生し易いとともに、熱伝導率が高く熱が鍋全体に均一且つ速やかに伝達する。また、遠赤外線が十分に放出され、ご飯を内部からふっくらさせることができ、炊きむらも低減できるものであるため、上述した強加熱がさらに強められ、米のうまみ成分を一層効果的にご飯の周囲へ付着させることができる。また、カーボンを主成分とする材料からなる内鍋11は、従来のアルミニウムを主材料としたものに比べ一層軽量化され、使い勝手が良好になる。なお、アルミニウムで形成された母材の外面に、カーボンを主成分とする材料からなる発熱体を設けて内鍋11を構成してもよい。
以上のように、本実施形態における炊飯器は、本体1と、本体1に対して開閉可能に設けられる蓋体2と、蓋体2を開けたときに、本体1の上部に載せられるフランジ部13を外側面に有し、カーボン凝結体などのカーボンを主成分とする材料からなる内鍋11と、フランジ部13の下部を形成する椀部15を、本体1内の鍋収容部である鍋収容体6に収容するとともに、フランジ部13の上部を蓋体2内に収容した状態で、米や水の被炊飯物を入れた内鍋11に対して、例えば電磁誘導による炊飯加熱を行なう炊飯加熱部としての加熱コイル21と、を設けており、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部を形成する突出部16を蓋体2内の凹部41に収容した状態で、炊飯時に内鍋11の内部で沸騰空間が沸騰空間部51として形成される。
この場合、炊飯加熱部となる加熱コイル21は、本体1内の鍋収容体6に椀部15を収容した内鍋11に対して炊飯加熱を行なうが、内鍋11の最上部にではなく外側面にフランジ部13を設けることで、フランジ部13よりも上方の内鍋11内部に沸騰空間部51が形成され、被炊飯物の沸騰時に沸騰空間部51内で圧力が上昇するので、被炊飯物となる米の周囲から溶出するおねばが、蓋体2に設けた蒸気口25へ放出するのを抑制できると共に、内鍋11内でご飯の周囲にうまみ成分を効率的に付着させ、炊飯を行なうことができる。また、沸騰空間部51を設けることで、炊飯時に強加熱で被炊飯物を沸騰させ、その後で沸騰を継続させたときに、おねばが蒸気口25から炊飯器の外部に放出して吹きこぼれになる問題を軽減できる。
また、内鍋11は、カーボンを主成分とする材料からなる母材17によって構成され、誘導加熱したときに渦電流が発生し易いとともに、熱伝導率が高く熱が鍋全体に均一且つ速やかに伝達する。また、遠赤外線が十分に放出され、ご飯を内部からふっくらさせることができ、炊きむらも低減できるものであるため、上述した強加熱により米のうまみ成分を一層効果的にご飯の周囲へ付着させることができる。また、カーボンを主成分とする材料からなる内鍋11は従来のアルミニウムを主材料としたものに比べ一層軽量化され使い勝手が良好である。そのため、カーボンを主成分とする材料からなる内鍋11により、内鍋11内でご飯にうまみ成分を一層効率的に付着させるとともに、内鍋11の軽量化を図り、炊きむらを抑制することができる。
その他に本実施形態では、蓋体2の内側部に沸騰空間部51を加熱する第1加熱手段52を設けている。
この場合、少なくとも炊飯のむらし中、および保温時に、第1加熱手段52が沸騰空間部51を加熱することで、沸騰空間部51内で冷えて結露した水が、内鍋11の内面を伝ってご飯に流れ落ちる不具合を防止できる。
また本実施形態では、フランジ部13を加熱する第2加熱手段53を本体1に設けている。
この場合、少なくとも炊飯のむらし中、および保温時に、第2加熱手段53がフランジ部13を加熱することで、フランジ部13の近傍において、内鍋11の内側面で冷えて結露した水が、内鍋11の内面を伝ってご飯に流れ落ちる不具合を防止できる。
本実施形態における炊飯器は、有底筒状の内鍋11の外側へ、水平状に外方へ延出させたフランジ部13を設け、このフランジ部13を本体1の上部へ載置するものであって、フランジ部13よりも上方に延出させた筒状体12の上部端面を、内鍋11のパッキン当接部48として形成し、蓋体11の下面に備えたパッキンとしての蓋パッキン28を、パッキン当接部48に接触させる構成を有している。
この場合、内鍋11に設けたカーリングやフランジ部にパッキンを当接させるのではなく、フランジ部13よりも上方に延出させた筒状体12の上部端面に蓋パッキン28を当接させることで、内鍋11の外側面に設けたフランジ部13から上方の内鍋11の部分である筒状体12の突出部16を、蓋体2で覆う構成にすることができる。また、筒状体12の上部端面を内鍋11のパッキン当接部48とすることで、フランジ部13が内蓋2の最上部に位置しない場合であっても、蓋パッキン28を内鍋のパッキン当接部46に接触させて、炊飯時に内鍋11内が沸騰により圧力上昇したときに、蒸気が内鍋11の上部周囲から漏れない構成とすることができる。
本実施形態の炊飯器は、筒状体12の外側面に外方へ延出させたフランジ部13を形成してなる内鍋11と、フランジ部13の下面を支え、フランジ部13の下方を収納する本体1の鍋収容体6と、フランジ部13を含む内鍋の上部を覆う蓋体2と、フランジ部13よりも上方に延出させた筒状体12の上部に当接するパッキンとしての蓋パッキン28と、蓋パッキン28を外周囲に備え、内鍋11の上部開口部を塞ぐ内蓋27と、蓋体2に設けた蒸気排口としての蒸気口25と、本体1の上部後方で、内蓋27を内部に備えた蓋体2を、本体1に対して開閉可能にするヒンジ部3と、を備えている。
この場合、内鍋11のフランジ部13の上方へ筒状体12の延出部となる突出部16を設け、本体に対して蓋体を閉じた時に、その突出部16を蓋体2の内部に位置させると共に、蓋体2の内部に蓋パッキン28を備えた内蓋27を配置することで、蓋体2と本体1との隙間の近傍に蓋パッキン28や内蓋27を配置しない構成にすることができる。そのため、蓋体2と本体1との隙間49を通して、蓋パッキン28の周辺の熱が本体1の外部へ逃げにくくすることができ、蓋パッキン28の内面や、蓋パッキン28近傍の内蓋27の内面と内鍋11の内面の冷えを抑制して、保温時に結露しにくい構造を実現できる。
これにより、結露水が内鍋11の内面を伝ってご飯に流れ落ちたり、蓋体2を開いた時に、結露水が飛散したりするといった保温時の問題を改善でき、特に室温が10℃以下など低温化での保温性能の改善を図ることができる。
また、本実施形態のフランジ部13は、内鍋11を本体1に支える支持部と、内鍋11を着脱して移動する際に、内鍋11を手で持つ把手部として設けられ、蓋パッキン28の当接部となるパッキン当接部48は、フランジ部13より上方に延出した筒状体12の突出部の上端面に設けている。
この場合、フランジ部13が内蓋27の最上部に位置しない場合であっても、筒状体12の突出部16の上端面に設けたパッキン当接部48に、内蓋27の外周部に装着した蓋パッキン28を接触させることで、炊飯時に内鍋11内が沸騰により圧力上昇したときに、蒸気が内鍋11の上部周囲から漏れない構成とすることができる。
図5は本発明の第2実施形態を示し、上述した第1実施形態と同一箇所には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。
本実施形態において、内鍋11Aは複合セラミックスなどのセラミックスを主成分とする材料からなる母材17Aによって構成され、母材17Aの外面に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱体18を接合している。また、第1実施形態においてフランジ部13に設けられた第2加熱手段53を省略している。その他は第1実施形態と同じである。なお、母材17Aを構成するセラミックスとして磁性を有するファインセラミックスを用いることにより、前記発熱体18を省略して母材17Aを発熱体としてもよい。
内鍋11Aが蓄熱性や保温性に優れたセラミックスを主成分とする材料からなるため、セラミックスの高断熱効果で熱を封じ込め、高温を維持して露付きを防止することができ、高断熱効果で得た強火が内鍋11内を一気に沸騰させ、お米のうまみを引き出すことができ、炊きむらも抑制できる。このため、フランジ部13に設けられた第2加熱手段53を省略しても、露付きの防止や省エネ効果が得られ、構造も簡単になる。また、遠赤外線が十分に放出され、ごはんを内部からふっくらさせることができ、炊きむらも低減できる。また、第1実施形態と同様に、強加熱により米のうまみ成分を一層効果的にご飯の周囲へ付着させることができる。
このように、本実施形態においては、本体1と、本体1に対して開閉可能に設けられる蓋体2と、蓋体2を開けたときに、本体1の上部に載せられるフランジ部13を外側面に有し、セラミックスを主成分とする材料からなる内鍋11と、フランジ部13の椀部15を、本体1内の鍋収容体6に収容するとともに、フランジ部13の上部を蓋体2内に収容した状態で、米や水の被炊飯物を入れた内鍋11に対して、例えば電磁誘導による炊飯加熱を行なう炊飯加熱部としての加熱コイル21と、を設けており、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部を形成する突出部16を蓋体2内の凹部41に収容した状態で、炊飯時に内鍋11の内部で沸騰空間が沸騰空間部51として形成される。
そのため、被炊飯物の沸騰時に沸騰空間部51内で圧力が上昇するので、米の周囲から溶出するおねばが、蓋体2に設けた蒸気口25へ放出するのを抑制できると共に、セラミックスの蓄熱効果と相俟って内鍋11内でご飯の周囲にうまみ成分を一層効率的に付着させ、炊飯を行なうことができる。また、セラミックスを主成分とする材料からなる内鍋は蓄熱性や保温性に優れるので、加熱手段を省略しても、露付きの防止や省エネ効果が得られ、構造が簡単になるとともに、炊きむらを抑制することができる。
図6は本発明の第3実施形態を示し、上述した第1,2実施形態と同一箇所には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。
本実施形態においては、内鍋11Bは鉄を主成分とする材料からなる母材17Bによって構成されている。その他は第1実施形態と同じである。
内鍋11Bが鉄を主成分とする材料からなる鉄器であるため、鉄の蓄熱効果で熱を封じ込め、土鍋のような発熱効果で高温を維持することができ、強火が内鍋11内を一気に沸騰させ、お米のうまみを引き出すことができる。第1実施形態と同様に、強加熱により米のうまみ成分を一層効果的にご飯の周囲へ付着させることができる。また、内鍋11の肉厚を薄くしても適度な重量感を維持することができ、材料使用量を削減できる。
また、アルミニウムで形成された母材の外面に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱体18を接合して内鍋を構成しているものにおいては、発熱体18としてステンレスに代えて、ステンレスよりも誘導加熱による熱が内側に伝わりやすい鉄を主成分とする材料を用いてもよく、この場合の母材の材質は適宜選定できる。これにより、ステンレスに比べて熱伝導率の高い発熱体により母材を効率的に加熱することができ、炊飯効率を向上させて良好な炊き上がりを得るとともに、省エネ効果も得ることができる。
このように、本実施形態においては、本体1と、本体1に対して開閉可能に設けられる蓋体2と、蓋体2を開けたときに、本体1の上部に載せられるフランジ部13を外側面に有し、鉄を主成分とする材料からなる内鍋11と、フランジ部13の椀部15を、本体1内の鍋収容体6に収容するとともに、フランジ部13の上部を蓋体2内に収容した状態で、米や水の被炊飯物を入れた内鍋11に対して、例えば電磁誘導による炊飯加熱を行なう炊飯加熱部としての加熱コイル21と、を設けており、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部を形成する突出部16を蓋体2内の凹部41に収容した状態で、炊飯時に内鍋11Bの内部で沸騰空間が沸騰空間部51として形成される。
そのため、被炊飯物の沸騰時に沸騰空間部51内で圧力が上昇するので、米の周囲から溶出するおねばが、蓋体2に設けた蒸気口25へ放出するのを抑制できると共に、鉄の蓄熱効果と相俟って内鍋11B内でご飯の周囲にうまみ成分を一層効率的に付着させ、炊飯を行なうことができる。また、肉薄な内鍋で重量感を与えることが可能で、材料使用量を削減できる。
図7は本発明の第4実施形態を示し、上述した第1〜3実施形態と同一箇所には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。
本実施形態においては、内鍋11Cは熱伝導性の良いアルミニウムを主材料とした母材17Cの外面に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱体18を接合し、母材17Cおよび発熱体18の外面にクロム、ボロン、銅等のメッキ層80を設けている。この場合、メッキ層80は第1〜第3実施形態の内鍋11の外面に設けてもよく、メッキの種類は母材17Cや発熱体18の材質に応じて適宜選定することができる。そして、この内鍋11Cの外面に形成されたメッキ層80によって発熱効率が高められ、炊飯効率を向上させて良好な炊き上がりを得るとともに、省エネ効果も得ることができる。また、内鍋11としての外観も良好になる。
このように、本実施形態においては、本体1と、本体1に対して開閉可能に設けられる蓋体2と、蓋体2を開けたときに、本体1の上部に載せられるフランジ部13を外側面に有し、外面にクロムやボロンまたは銅などのメッキ層80を有する内鍋11と、フランジ部13の椀部15を、本体1内の鍋収容体6に収容するとともに、フランジ部13の上部を蓋体2内に収容した状態で、米や水の被炊飯物を入れた内鍋11に対して、例えば電磁誘導による炊飯加熱を行なう炊飯加熱部としての加熱コイル21と、を設けており、蓋体2を閉じたときに、フランジ部13の上部を形成する突出部16を蓋体2内の凹部41に収容した状態で、炊飯時に内鍋11Cの内部で沸騰空間が沸騰空間部51として形成される。
そのため、被炊飯物の沸騰時に沸騰空間部51内で圧力が上昇するので、米の周囲から溶出するおねばが、蓋体2に設けた蒸気口25へ放出するのを抑制できると共に、前記メッキ層80による発熱効果と相俟って内鍋11C内でご飯の周囲にうまみ成分を効率的に付着させ、炊飯を行なうことができる。また、内鍋11の外面にメッキ層80を施すことで、内鍋11の発熱効率が良く、外観も良好にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、加熱コイル21以外の加熱源を炊飯加熱部として用いても構わない。また、上記実施形態で示した各部の寸法や重量などはあくまでも一例であり、その寸法や重量に本発明が限定されるものではない。その他、内鍋11の外形形状も適宜変更して構わない。