JP2018159204A - コンクリート柱の補強工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、薄い厚さで既存のコンクリート柱の外周部分に容易に形成できるようにするコンクリート柱の補強工法を提供する。【解決手段】既存のコンクリート柱20の外周部分に、内部に鉄筋11,12が配筋された40〜70mmの薄い厚さの耐震補強用のモルタル層10を形成して耐震補強する補強工法であって、鉄筋11,12を配筋する配筋工程と、吹付けモルタル15を吹き付ける吹付け工程と、形成されたモルタル層10の表面仕上げを行う仕上げ工程と、モルタル層10の養生を行う養生工程とを含んで構成される。吹付け工程では、スランプ値が8〜13cmであり、乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が0.1N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上である吹付けモルタル15を吹き付ける。吹付けモルタル15は、内側層15aと外側層15bとに分けて吹き付ける。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート柱の補強工法に関し、特に既存のコンクリート柱の周囲に、鉄筋が配筋されたモルタル層を形成して、既存のコンクリート柱を耐震補強するコンクリート柱の補強工法に関する。
阪神淡路大震災以降、耐震設計基準が見直されたことから、新たな基準に適応するように、例えば高速道路や鉄道等の高架橋を形成するコンクリート柱や、その他の種々のコンクリート柱を含む、膨大な数の既存のコンクリート柱に対して、耐震補強する必要に迫られている。既存のコンクリート柱を耐震補強する工法として、コンクリート柱の外周部分に補強用の強筋を配筋すると共に、型枠を設置し、型枠内にコンクリートを打設して硬化させることにより補強するRC巻立て工法や、コンクリート柱の外周部分に鋼板を巻き立て、巻き立てた鋼板と既存のコンクリート柱との間の隙間に無収縮モルタルを充填して補強する鋼板巻立て工法等が知られている。
これらの従来の既存のコンクリート柱を耐震補強する工法では、RC巻立て工法の場合、補強部分の厚さが厚くなるため、建築限界や、河川管理施設等構造令による河積阻害率(河積阻害率=(河川内の橋脚幅×基数)÷河川幅)による制約を受ける施工箇所では、適用することは困難である。鋼板巻立て工法の場合、補強材料となる鋼板が重量物で高価になると共に、施工時に揚重設備が必要になるため、経済性や施工性に課題がある。
一方、既存のコンクリート柱を耐震補強する工法として、巻立て鉄筋及び吹付けモルタルによってコンクリート柱の外周部分に補強体を形成する工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 特許文献1の工法では、作業員の手作業によって巻立て鉄筋を組み立てることが可能になると共に、型枠を設置することなく吹付けモルタルを吹き付けて、既存のコンクリート柱の外周部分に補強体を形成することができるので、既存のコンクリート柱を効率良く安価に耐震補強することが可能になる。
特開2012−67585号公報
しかしながら、特許文献1に記載の補強工法では、既存のコンクリート柱の外周部分にモルタルを吹き付けることによって、型枠を用いることなく、内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層を形成することが可能になるが、モルタル層をさらに薄くして、建築限界や、河川管理施設等構造令による河積阻害率による制約に、確実に左右されないようにしようとすると、モルタル層に乾燥収縮等によるひび割れが発生し易くなって、モルタル層の品質が低下することになる。このため、吹付けモルタルによる施工の容易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート柱の外周部分に形成してゆくことを可能にする、新たな技術の開発が要望されている。
本発明は、施工の容易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート柱の外周部分に形成してゆくことのできるコンクリート柱の補強工法を提供することを目的とする。
本発明は、既存のコンクリート柱の外周部分に、内部に鉄筋が配筋された40〜70mmの厚さのモルタル層を形成して、既存のコンクリート柱を耐震補強するコンクリート柱の補強工法であって、既存のコンクリート柱の表面をケレンした後に、これの周囲に鉄筋を配筋する配筋工程と、配筋された鉄筋を埋設するようにして、既存のコンクリート柱の周囲に吹付けモルタルを吹き付ける吹付け工程と、吹付けモルタルの吹き付けにより形成されたモルタル層の表面仕上げを行う仕上げ工程と、表面仕上げされたモルタル層の養生を行う養生工程とを含んで構成され、前記吹付け工程では、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8〜13cmであり、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上である吹付けモルタルを吹き付けるようになっており、且つ配筋された鉄筋よりも既存のコンクリート柱側の内側層と、既存のコンクリート柱とは反対側の外側層とに分けて、吹付けモルタルを吹き付けるようになっているコンクリート柱の補強工法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されているプレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって形成される前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、膨張材の配合量がセメントの6〜11重量%であり、シリカフュームの配合量がセメントの5〜10重量%であり、水結合材比(W/B)が37.5〜42.5%であり、砂結合材比(S/B)が2.5以下である前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
さらにまた、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、収縮低減剤が配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、水溶液の収縮低減剤がセメントの1〜2重量%配合されているか、又は粉体状の収縮低減剤がセメントの0.2〜0.4重量%配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、短繊維が混入されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
さらにまた、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記吹付け工程では、短繊維が、0.05〜0.1%の容積比で混入されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記配筋工程では、既存のコンクリート柱の周囲に螺旋状に配置されるせん断補強用のスパイラル鉄筋を含んで鉄筋を配筋するようになっていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記スパイラル鉄筋が、高張力鉄筋を用いて形成されていることが好ましい。
さらにまた、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記配筋工程では、既存のコンクリート柱の周囲に柱の軸方向に配置される曲げ補強用の軸方向鉄筋を含んで鉄筋を配筋するようになっていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記軸方向鉄筋が、高張力鉄筋を用いて形成されていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート柱の補強工法は、前記軸方向鉄筋には、下端部に拡径された先端拡径突起が加工形成されており、既存のコンクリート柱が立設するコンクリート基礎に削孔された定着孔に前記先端拡径突起を配置した状態で、前記軸方向鉄筋の下端部が定着材によって定着されるようになっていることが好ましい。
本発明のコンクリート柱の補強工法によれば、施工の容易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート柱の外周部分に形成してゆくことができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るコンクリート柱の補強工法によって耐震補強される既設のコンクリート柱を例示する略示斜視図である。 (a)は図1に示すA部の略示断面図、(b)は(a)に示すB部の略示拡大断面図、(c)は軸方向鉄筋の先端部分の略示拡大図である。
本発明の好ましい一実施形態に係るコンクリート柱の補強工法は、図1に示すように、既存のコンクリート柱として、例えば河川を横断して構築された高速道路用の高架橋を下方から支持する、橋脚を構成するコンクリート柱20の外周部分に、内部に鉄筋11,12が配筋されたモルタル層10を形成して、既存のコンクリート柱20を効果的に耐震補強するための工法として用いられる。本実施形態のコンクリート柱の補強工法は、河川に形成されたコンクリート柱20が、耐震補強されることによって橋脚幅が大きくなることで、河川管理施設等構造令による河積阻害率(河積阻害率=(河川内の橋脚幅×基数)÷河川幅)による制約を受けることになるのを回避できるように、施工の容易さや施工後のモルタル層10の品質を保持したまま、内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10を、できるだけ薄い厚さで、既存のコンクリート柱の外周部分に形成できるようにするものある。
そして、本実施形態のコンクリート柱の補強工法は、既存のコンクリート柱20の外周部分に、内部に鉄筋11,12が配筋された40〜70mmの薄い厚さの耐震補強用のモルタル層10を形成して、既存のコンクリート柱10を耐震補強する補強工法であって、既存のコンクリート柱20の表面をケレンして汚れや異物を除去した後に、これの周囲に鉄筋11,12を配筋する配筋工程と、配筋された鉄筋11,12を埋設するようにして、既存のコンクリート柱10の周囲に吹付けモルタル15を吹き付ける吹付け工程と、吹付けモルタル15の吹き付けにより形成されたモルタル層10の表面仕上げを行う仕上げ工程と、表面仕上げされたモルタル層10の養生を行う養生工程とを含んで構成されている。吹付け工程では、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8〜13cmであり、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上である吹付けモルタル15を吹き付けるようになっており、且つ配筋された鉄筋11,12よりも既存のコンクリート柱20側の内側層15aと、既存のコンクリート柱20とは反対側の外側層15bとに分けて、吹付けモルタル15を吹き付けるようになっている。
また、本実施形態では、吹付け工程において、好ましくは水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されている吹付けモルタル15を吹き付けるようになっている。
さらに、本実施形態では、吹付け工程において、好ましくはセメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されているプレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって形成される吹付けモルタル15を吹き付けるようになっている。
本実施形態の補強工法によって耐震補強される既存のコンクリート柱20は、図1に示すように、河川を横断して構築される高架橋の基礎部分を形成するコンクリート基礎である基礎フーチング21と、橋桁(図示せず)が架設される橋台22との間の橋脚部分を構成するものであり、2000mm程度の長さの短辺部と、6000mm程度の長さの長辺部とを備える、横長矩形状の断面形状を有している。既設のコンクリート柱20は、河川を横断する方向である短辺部方向に所定の間隔をおいて、基礎フーチング21や橋台22と共に、複数並べられた状態で構築されている。河川の水は、各隣接するコンクリート柱20の間の間隔部分を介して、上流側から下流側に流下するようになっている。各々のコンクリート柱20が耐震補強されることで橋脚の幅が大きくなった場合には、洪水時に高架橋の部分で河川の水かさが過度に大きくなるのを回避するために設定された、河積阻害率による制約を害し易くなることから、このような制約を害さないように、本実施形態のコンクリート柱の補強工法によって、各々既存のコンクリート柱20を耐震補強するモルタル層10を、40〜70mmの薄い厚さで形成するようになっている。
そして、本実施形態のコンクリート柱20の補強工法では、後述する配筋工程、吹付工程、仕上げ工程、及び養生工程に先立って、準備工が行われる。準備工では、例えば各々のコンクリート柱20による高架橋の橋脚部分から、雨樋等の障害物を撤去すると共に、各々のコンクリート柱20及び基礎フーチング21の周囲を、公知の締切り工法により締切り壁(図示せず)で締め切って、締切り壁の内側の作業ヤードに、コンクリート柱20及び基礎フーチング21をドライな状態で露出させる。また、締切り壁の内側の作業ヤードにおいて、基礎フーチング21等に支持させて、足場等を組み立てて設置すると共に、モルタル吹付け用のプラントを設置する。
準備工に続いて行われる配筋工程では、既存のコンクリート柱20の表面をケレンして汚れや異物を除去すると共に、表面処理工として、既存のコンクリート柱20の欠損部分の断面補強や、欠損部において露出する鉄筋の防錆・補強処理等を行った後に、これの周囲に鉄筋11,12を配筋する。本実施形態では、配筋工程において、好ましくは既存のコンクリート柱20の周囲に螺旋状に配置されるせん断補強用のスパイラル鉄筋11と、既存のコンクリート柱20の周囲に柱の軸方向に配置される曲げ補強用の軸方向鉄筋12とを含んで、鉄筋が配筋されるようになっている。
ここで、これらのスパイラル鉄筋11や軸方向鉄筋12は、降伏強度が例えば685〜1275N/mm2程度の、高張力鉄筋を用いて形成されていることが好ましい。スパイラル鉄筋11や軸方向鉄筋12が、高張力鉄筋を用いて形成されていることにより、降伏強度が例えば295〜345N/mm2程度の普通鉄筋を用いて形成する場合と比較して、鉄筋径を小さくすることが可能になり、これによって耐震補強用のモルタル層10をさらに薄く形成することが可能になる。また、後述するように、軸方向鉄筋12の下端部12aを基礎フーチング21に定着させる際に(図2(a)、(b)参照)、基礎フーチング21に形成する定着孔21aの削孔径を小さくすることが可能になって、基礎フーチング21に与える影響を極力抑えることが可能になる。
配筋工程では、好ましくはまず軸方向鉄筋12を、既存のコンクリート柱20の周囲に、予め設計された所定のピッチで周方向に間隔をおいて複数配筋する。軸方向鉄筋12の配筋作業は、常法に従って、段取り筋等を用いながら容易に行うことができる。また、本実施形態では、各々の軸方向鉄筋12は、図2(a)及び(b)に示すように、その下端部12aを、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに挿入した状態で、専用の定着材21bを用いて固定することによって、基礎フーチング21に定着されるようになっている。専用の定着材21bとしては、例えば、可塑性モルタルを用いることができる。軸方向鉄筋12の下端部12aの定着長は、鉄筋径をDとした場合、10D以上の長さとすることが好ましく、定着孔21aの深さは、10D以上の定着長に、所定のかぶり厚を加えた深さとすることが好ましい。
本実施形態では、各々の軸方向鉄筋12の下端部12aに、図2(c)にも示すように、好ましくは拡径された先端拡径突起12bが加工形成されている。各々の軸方向鉄筋12の下端部12aは、既存のコンクリート柱20が立設するコンクリート基礎である、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに、先端拡径突起12bを配置した状態で、定着材21bによって定着されるようになっている。先端拡径突起12bを配置した状態で、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに、定着材21bを用いて軸方向鉄筋12の下端部12aを定着することにより、軸方向鉄筋12の定着力を向上させて、基礎フーチング21に削孔される定着孔21aの深さ、及び軸方向鉄筋12の下端部12aの挿入深さを、小さくすることが可能になる。これによって、基礎フーチング21の損傷を抑えつつ、軸方向鉄筋12の定着力を向上させることが可能になる。
軸方向鉄筋12を配筋したら、図1及び図2(a)に示すように、軸方向鉄筋12の外側に巻き付けるようにして、せん断補強用のスパイラル鉄筋11を配筋する。スパイラル鉄筋11の配筋は、例えば特開2012−67585号公報に記載の巻立て鉄筋を配筋する方法と同様の方法によって、既存のコンクリート柱20の周囲に、四角形の螺旋形状(スパイラル状)となるように容易に組み立てて配筋することができる。すなわち、スパイラル鉄筋11を配筋するには、例えば既存のコンクリート柱20の四角形の断面形状の3つの辺部に沿ったコの字形状を備えるコの字状本体部と、コの字状本体部の一方の端部から折れ曲がって延設する張出し継手部とからなる多数の加工鉄筋を、単位鉄筋として予め形成しておく。施工現場では、複数の加工鉄筋を、既存のコンクリート柱20の周囲に配筋された軸方向鉄筋12の外側に、上下に重ねるようにして順次装着すると共に、これらの加工鉄筋の張出し継手部が形成された一方の端部を、上段の加工鉄筋の他方の端部に順次接合し、四角形の螺旋形状に連続させることによって、スパイラル鉄筋11を容易に配筋することが可能になる。
また、本実施形態では、配筋工程において、吹付けモルタル15のだれ防止とひび割れ防止のための、公知の溶接金網13を、スパイラル鉄筋11の外側に取り付けたり、スパイラル鉄筋11の拘束力を有効に発揮させるための、公知の中間拘束材14を取り付けたりすることもできる。
配筋工程に続いて行われる吹付け工程では、配筋された鉄筋11,12を埋設するようにして、既存のコンクリート柱20の周囲に吹付けモルタル15を吹き付ける。本実施形態では、吹付けモルタル15を吹き付けるのに先立って、吹付け前処理を行うことが好ましい。
吹付け前処理では、気温及び天候の記録、配筋された鉄筋11,12の配設ピッチや被りの確認、既存のコンクリート柱20の表面に吸湿防止剤を塗布する作業等を実施することが好ましい。例えば、吹付け工程の施工時の環境条件(気温及び天候)が、吹付けモルタル15の硬化時の強度やひび割れの発生に影響を与えるため、吹付け工程の施工時の気温及び天候を記録することが好ましい。配筋工程の後、吹付け工程の施工時までに、例えばスパイラル鉄筋11等にずれが生じる場合があるため、吹付け工程の直前に、配筋された鉄筋11,12の配設ピッチや被りが確保されていることを確認することが好ましい。硬化前の吹付けモルタル15中の水分が、既存のコンクリート柱20に吸収されることによる付着強度の低下を回避するため、既存のコンクリート柱20の表面に、吸湿防止剤を均一に散布することが好ましい。吸湿防止剤を散布する時期は、吹付けモルタル15の施工時に合わせて効果が発揮されるように、使用する材料の仕様に従うことが好ましい。
本実施形態では、吹付け工程で用いる吹付けモルタル15として、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8〜13cmとなっており、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上となっているモルタルを使用する。
ここで、吹付けモルタル15のフレッシュ時の物性であるスランプ値が、8cmよりも小さいと、モルタルをポンプで圧送する際の圧送性を確保することが困難になり、吹付けモルタル15のスランプ値が、13cmよりも大きいと、吹付け後にだれ落ちが生じやすくなる。このような観点から、吹付けモルタル15のスランプ値は、8〜13cmであることが好ましい。
また、吹付けモルタル15の硬化後の物性である乾燥収縮率が、0.06%よりも大きいと、硬化したモルタルの表面にひび割れが生じ易くなって、品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート柱20の外周部分に形成することが困難になる。このような観点から、吹付けモルタル15の乾燥収縮率は、0.06%以下とすることが好ましい。
さらに、吹付けモルタル15の硬化後の物性である付着強度が、1.0N/mm2よりも小さいと、耐震補強用のモルタル層20と既存のコンクリート柱20との強固な一体化が図れなくなって、配筋された鉄筋11,12による十分な耐震補強効果が得られなくなる。このような観点から、吹付けモルタル15の付着強度は、1.0N/mm2以上であることが好ましい。
上述のようなフレッシュ時の物性及び硬化後の物性を備える吹付けモルタル15は、好ましくは水、セメント、及び細骨材を含んで形成される、いわゆる1:3モルタルに、混和材料として、膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤を配合することによって容易に得ることができる。
ここで、吹付けモルタル15に配合される水は、水道水等の、モルタルに配合されるものとして公知の水を、適宜選択して用いることができる。吹付けモルタル15に配合されるセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の、モルタルに配合されるものとして公知のセメントを、適宜選択して用いることができる。吹付けモルタル15に配合される細骨材である砂は、山砂、川砂、天然珪砂、人口珪砂、砕石粉等の、モルタルに配合されるもととして公知の細骨材を、適宜選択して用いることができる。
また、吹付けモルタル15に混和材料として配合される膨張材は、膨張効果により乾燥収縮量を低減させることによって、ひび割れ抵抗性を向上させることを目的として混合される混和材であり、例えばカルシウムサルホアルミネート系化合物、酸化カルシウム系化合物等を好ましく用いることができる。膨張材は、粉体状にして用いる。
吹付けモルタル15に混和材料として配合されるシリカフュームは、硬化後のモルタル層10の耐久性の向上や、吹付け施工時のポンプ圧送性の改善等を目的として混合される混和材である。シリカフュームは、粉体状にして用いることができる他、スラリー状の水溶液として用いることができる。
吹付けモルタル15に混和材料として配合される高性能AE減水剤は、吹付けモルタル15中の単位水量を低減させることで、硬化後のモルタル層10の乾燥収縮量を低減させることを目的として添加される混和剤であり、例えばポリカルボン酸系化合物等を好ましく用いることができる。高性能AE減水剤は、水溶液として用いることができる他、粉体状にして用いることもできる。
本実施形態では、吹付けモルタル15における膨張材の配合量は、セメントの6〜11重量%であることが好ましい。膨張材の配合量がセメントの6重量%よりも少ないと、膨張不足により収縮ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになり、セメントの11重量%よりも多いと、過剰(異常)な膨張により膨張ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、膨張材の配合量は、セメントの6〜11重量%とすることが好ましい。
吹付けモルタル15におけるシリカフュームの配合量は、セメントの5〜10重量%であることが好ましい。シリカフュームの配合量がセメントの5重量%よりも少ないと、圧送性の改善が得られず、圧送時の閉塞が発生し易くなるという不具合が生じることになり、セメントの10重量%よりも多いと、シリカフュームの水和反応による自己収縮ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、シリカフュームの配合量は、セメントの5〜10重量%とすること好ましい。
また、本実施形態では、水結合材比(W/B)は、37.5〜42.5%となっていることが好ましい。水結合材比が37.5%よりも小さいと、圧送時に閉塞し易くなるという不具合が生じることになり、42.5%よりも大きいと、単位水量の増加による乾燥収縮ひび割れを発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、水結合材比は、37.5〜42.5%であることが好ましい。
さらに、本実施形態では、砂結合材比(S/B)は、2.5以下となっていることが好ましい。水結合材比が2.5よりも大きいと、圧送時に閉塞し易くなるという不具合が生じることになる。また砂結合材比が小さすぎると骨材(砂)による収縮抵抗性が小さくなるという不具合が生じることになる。このような観点から、砂結合材比は、1.75〜2.50であることが好ましい。
なお、水結合材比(W/B)や砂結合材比(S/B)を算出する際の単位結合材量(B)は、結合材であるセメントと、膨張材と、シリカフュームとを加えた、これらの合計の単位重量である。
本実施形態では、上述のような配合の吹付けモルタル15は、好ましくは、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されているプレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって、容易に形成することができる。すなわち、例えばモルタルの製造工場等において、予め所定の配合となるように精度良く調整して製造された上述のプレミックスモルタルを、好ましくは袋詰めした状態で施工現場に搬入してストックしておき、施工現場では、予め製造されたプレミックスモルタルに、設計された所定量の水を加えて、例えばモルタル吹付け用のプラントにおいてモルタルミキサを用いて混練りするだけの、簡易な方法によって、所定の配合の吹付けモルタル15を得るようにすることが好ましい。
これによって、精度良く配合された吹付けモルタル15を用いて、品質の良いモルタル層10を容易に形成することが可能になる。またこれによって、施工現場にストックされた各々の配合材料を施工現場において計量してから、モルタル吹付け用のプラントで混練りして吹付けモルタル15を形成する場合と比較して、各々の配合材料の品質管理のための手間を、大幅に低減することが可能になると共に、バラツキがなく品質の良好な吹付けモルタル15を、容易に得ることが可能になる。
特に、細骨材は、その表面水率によって、配合すべき水の量が大幅に変動することになり、形成される吹付けモルタルのフレッシュ時の物性や硬化後の物性に、大きな影響を及ぼすので、所定の表乾状態となるように、乾燥させたり、シートで覆って養生するなど、厳格な水分管理を必要とするが、絶乾状態の細骨材が混合されているプレミックスモルタルを用いることにより、このような管理の手間を低減することが可能になる。また、セメントや、粉体状の膨張材や、粉体状のシリカフュームは、吸水すると使用できなくなるため、防湿処理を行うことが必要になるが、このような処理の手間も低減することが可能になる。さらに、配合材料のストックヤードを削減することも可能になる。
また、本実施形態では、上述のような配合の吹付けモルタル15に、さらに収縮低減剤を配合して用いることもできる。収縮低減剤は、毛細管張力を減少させて水分の蒸発量を低減させることで、硬化後のモルタル層10の乾燥収縮量をさらに低減させることを目的として添加される混和剤であり、例えば界面活性剤である、低級アルコールのアルキレンオキシド添加物等を好ましく用いることができる。収縮低減剤は、水溶液として用いることができる他、粉体状にして用いることもできる。
収縮低減剤は、上述のような配合の吹付けモルタル15に、添加量を、水溶液の場合にセメントの1〜2重量%、粉体状の場合に0.2〜0.4重量%として配合することが好ましい。水溶液の収縮低減剤の添加量がセメントの1重量%よりも少ないと、又は粉体状の収縮低減剤の添加量がセメントの0.2%重量よりも少ないと、毛細管張力の低減効果が十分に得られなくなるという不具合が生じることになり、水溶液の収縮低減剤の添加量がセメントの2重量%よりも多いと、又は粉体状の収縮低減剤の添加量がセメントの0.4重量%よりも多いと、セメントの硬化不良を引き起こし易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、収縮低減剤の添加量は、水溶液の場合にセメントの1〜2重量%、粉体状の場合にセメントの0.2〜0.4重量%とすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上述のような配合の吹付けモルタル15に、短繊維を混入して用いることができる。短繊維は、引張り応力に対する抵抗性を向上させて、硬化後のモルタル層10の乾燥収縮量をさらに低減させることを目的として混入される混合材料であり、例えばポリプロピレン樹脂、ビニロン繊維、耐アルカリ性ガラス繊維等からなる6〜13mm程度の長さのものを好ましく用いることができる。
短繊維は、上述のような配合の吹付けモルタル15に、0.05〜0.1%の容積比で混入されていることが好ましい。混入される短繊維の容積比が0.05%よりも少ないと、乾燥収縮量の低減効果が十分に得られなくなるという不具合が生じることになり、0.1%よりも多いと、混合装置による均一な練り混ぜが十分にできなくなるという不具合が生じることになる。このような観点から、混入される短繊維の容積比は、0.05〜0.1%とすることが好ましい。
そして、本実施形態のコンクリート柱の補強工法は、吹付け工程において、上述のような配合の吹付けモルタル15を、配筋された鉄筋11,12よりも既存のコンクリート柱20側の内側層15a(図2(a)参照)と、既存のコンクリート柱20とは反対側の外側層15bとに分けて吹き付けるようになっている。吹付けモルタル15を、下地層である内側層15aと仕上層である外側層15bとに分けて吹き付けることにより、既存のコンクリート柱20と、配筋された軸方向鉄筋11b及びスパイラル鉄筋11aとの間に、吹付けたモルタル15を確実に充填することが可能になる。
内側層15aの吹付けモルタル15を吹き付ける下地吹き付けでは、好ましくはスパイラル鉄筋11の外周面に沿って取り付けられた溶接金網12が、隠れる程度の厚さとして、例えば20〜50mm程度の厚さとなるように、既存のコンクリート柱20の外周面に吹付けモルタル15を吹き付ける。下地吹き付けは、高圧で吹き付けるとモルタル密度が高くなるが、鉄筋11,12の背面側に空隙ができ易くなるため、ポンプによる吐出圧を、例えば0.4〜0.6N/mm2(=0.4〜0.6MPaとし、モルタル吐出量を、例えば0.8〜1.2m3/hとして吹付けモルタル15を吹き付けることが好ましい。また、吹付け後のだれ落ちを防ぐため、吹付けノズルを施工面に対して直角に保ち、吹付け距離を10〜20cm程度として、下から上へ向かって施工することが好ましい。さらに、隅角部は、施工の継ぎ目でコールドジョイントが発生しやすいため、打継ぎ時間を考慮して、らせん状に施工することが好ましい。
また、下地吹き付けでは、鉄筋11,12の背面側に空隙を残さないよう、吹き付けたモルタル15が硬化する前(夏期は1時間以内、冬期は1時間半以内)に、速やかにコテで押さえ込んで、鉄筋11,12と既存のコンクリート柱20との間に、吹き付けたモルタル15を確実に充填する。吹付けモルタル15は、水分の異常発散等により表面にひび割れが発生し易くなるため、下地吹き付けの完了後は、直射日光を避け、風が直接当たらないようにシートで養生することが好ましい。また施工現場の環境や季節によっては、湿潤養生、給熱養生等を検討することが好ましい。
外側層15bの吹付けモルタル15を吹き付ける仕上げ吹き付けは、好ましくは下地吹き付けを行った翌日に、打継間隔を空けずに実施する。仕上げ吹き付けでは、吹付けモルタル15を吹き付ける前に、下地層である内側層15aの表面の異常や付着物の有無を確認すると共に、好ましくは内側層15aの表面に吸湿防止剤を塗布してから、下地吹き付けの施工時と同様の吐出圧、及びモルタル吐出量で、吹付けモルタル15を吹き付ける。また、仕上げ吹き付けでは、下地吹き付けと同様に、吹付け後のだれ落ちを防ぐため、吹付けノズルを施工面に対して直角に保ち、吹付け距離を10〜20cm程度として、下から上へ向かって施工することが好ましい。さらに、下地吹き付けと同様に、隅角部は、施工の継ぎ目でコールドジョイントが発生しやすいため、打継ぎ時間を考慮して、らせん状に施工することが好ましい。仕上げ吹き付では、内側層15a及び外側層15bの全体の厚さが40〜70mmとなるように、吹付けモルタル15を吹き付ける。
吹付け工程の仕上げ吹き付けに続いて行われる仕上げ工程では、吹付けモルタル15の吹き付けによって形成された、40〜70mmの薄い厚さのモルタル層10の、表面仕上げを行う。仕上げ工程は、吹付け工程で形成されたモルタル層10の、仕上層である外側層15bの表面を、好ましくは吹付け後に速やかに木ゴテで押さえ、定規により整形してから、硬化時間をおいて金ゴテで入念に仕上げることによって行うことができる。仕上層である外側層15bの出来形が、耐震補強後の既存のコンクリート柱20の外周形状を決定するため、木ゴテで押さえた後に、定規を利用して慎重に外側層15bの表面を整形する必要がある。金ゴテ仕上げの際は、仕上層である外側層15bが薄厚であるため、均す時間が遅いと、モルタルの硬化によって外側層15bが追従して均せない場合があるため、吹付け後の硬化状況を観察して、金ゴテ仕上げをする必要がある。
仕上げ工程に続いて行われる養生工程では、仕上げ工程で表面仕上げされたモルタル層10の養生を行う。養生工程は、例えば表面仕上げされたモルタル層10の表面が硬化した後に、速やかに樹脂フィルムを貼り付けて、水分の発散を防止することにより行うことができる。養生工程は、モルタル層10の強度が発現するのを確認するまで実施することが好ましい。樹脂フィルムを貼り付けることで養生工程を実施する場合、確実に養生できる反面、表面に色むらが生じ易くなるため、留意する必要がある。樹脂フィルムによる養生を実施できない場合には、養生剤の使用を検討することができる。塗布型の養生剤を用いる場合は、材質や成分によって表面の付着性を損なうことがあるため、留意する必要がある。養生剤の選定には、仕上げ面の塗装や新たにコンクリートを打ち継ぐ場合等を考慮して、パラフィン系養生剤の使用を避け、アクリル系養生剤を選定することが好ましい。
本実施形態では、さらに、長期的耐久性の向上等を目的として、好ましくは養生工程で養生されたモルタル層10の表面や、養生中のモルタル層10の表面に、表面塗装を実施することもできる。内部に鉄筋11,12が配筋されたモルタル層による耐震補強性能は、吹付けモルタル15の吹付けが完了した時点で発揮されることになるが、ひび割れの抑制、塩害・中性化の抑制、美観の向上等を目的として、表面塗装を実施することが好ましい。表面塗装を実施する際には、塗装後に剥離が生じないよう、耐久性や接着性を考慮した材質の塗装材料を選定することが好ましく、また適切な施工時期を検討した上で実施することが好ましい。
所定の養生期間が経過したら、例えば貼り付けていた樹脂フィルムを撤去すると共に、出来形検査を行い、さらに足場の解体、埋戻し、作業ヤードの片付け、雨樋等の障害物の復旧、締切り壁の撤去等を行って、本実施形態のコンクリート柱の補強工法による既存のコンクリート柱20の補強工事が終了する。
そして、上述の構成を備える本実施形態のコンクリート柱の補強工法によれば、施工の容易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、より薄い厚さで既存のコンクリート柱20の外周部分に容易に形成してゆくことが可能になる。
すなわち、本実施形態のコンクリート柱の補強工法によれば、既存のコンクリート柱20の周囲に鉄筋11,12を配筋する配筋工程と、既存のコンクリート柱10の周囲に吹付けモルタル15を吹き付ける吹付け工程と、形成されたモルタル層10の表面仕上げを行う仕上げ工程と、モルタル層10の養生を行う養生工程とを含んで構成されており、吹付け工程では、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8〜13cmであり、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上である吹付けモルタル15を、既存のコンクリート柱20側の内側層12と、これとは反対側の外側層13とに分けて吹き付けるようになっているので、型枠を用いることなく、且つ重量物や揚重設備を要することなく、所定の物性を備える吹付けモルタル15を吹き付けることによる簡易な施工方法によって、内部に鉄筋11,12が配筋されると共に、ひび割れの発生が抑制された、品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート柱20の外周部分に、例えば河積阻害率による制約を害することのない、40〜70mmの薄い厚さで、容易に形成してゆくことが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明のコンクリート柱の補強工法によって耐震補強される既存のコンクリート柱は、高速道路や鉄道等の高架橋を形成するコンクリート柱である必要は必ずしもなく、高層ビルを構成する既存のコンクリート柱等であってもよい。また、耐震補強される既存のコンクリート柱は、矩形状の断面形状を備えている必要は必ずしも無く、正方形や、円形、多角形等、その他の種々の断面形状を備えるコンクリート柱であっても良い。モルタル層の内部に配筋される鉄筋は、せん断補強用のスパイラル鉄筋や、軸方向鉄筋を含んでいる必要は必ずしも無く、その他の鉄筋を用いたり、その他の配筋状態で配筋されていても良い。これらの鉄筋は、高張力鉄筋以外の、普通鉄筋等を用いて形成されていても良い。吹付けモルタルは、プレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって形成されるものである必要は必ずしもなく、施工現場で各々の配合材料を混合して得られるものであっても良い。
10 モルタル層
11 スパイラル鉄筋
12 軸方向鉄筋
12a 下端部
12b 先端拡径突起
13 溶接金網
14 中間拘束材
15 吹付けモルタル
15a 内側層
15b 外側層
20 既存のコンクリート柱
21 基礎フーチング(コンクリート基礎)
21a 定着孔
21b 定着材
22 橋台

Claims (13)

  1. 既存のコンクリート柱の外周部分に、内部に鉄筋が配筋された40〜70mmの厚さのモルタル層を形成して、既存のコンクリート柱を耐震補強するコンクリート柱の補強工法であって、
    既存のコンクリート柱の表面をケレンした後に、これの周囲に鉄筋を配筋する配筋工程と、
    配筋された鉄筋を埋設するようにして、既存のコンクリート柱の周囲に吹付けモルタルを吹き付ける吹付け工程と、
    吹付けモルタルの吹き付けにより形成されたモルタル層の表面仕上げを行う仕上げ工程と、
    表面仕上げされたモルタル層の養生を行う養生工程とを含んで構成され、
    前記吹付け工程では、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8〜13cmであり、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上である吹付けモルタルを吹き付けるようになっており、且つ配筋された鉄筋よりも既存のコンクリート柱側の内側層と、既存のコンクリート柱とは反対側の外側層とに分けて、吹付けモルタルを吹き付けるようになっているコンクリート柱の補強工法。
  2. 前記吹付け工程では、水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項1記載のコンクリート柱の補強工法。
  3. 前記吹付け工程では、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されているプレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって形成される前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項2記載のコンクリート柱の補強工法。
  4. 前記吹付け工程では、膨張材の配合量がセメントの6〜11重量%であり、シリカフュームの配合量がセメントの5〜10重量%であり、水結合材比(W/B)が37.5〜42.5%であり、砂結合材比(S/B)が2.5以下である前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項2又は3記載のコンクリート柱の補強工法。
  5. 前記吹付け工程では、収縮低減剤が配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項2〜4のいずれか1項記載のコンクリート柱の補強工法。
  6. 前記吹付け工程では、水溶液の収縮低減剤がセメントの1〜2重量%配合されているか、又は粉体状の収縮低減剤がセメントの0.2〜0.4重量%配合されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項5記載のコンクリート柱の補強工法。
  7. 前記吹付け工程では、短繊維が混入されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項2〜6のいずれか1項記載のコンクリート柱の補強工法。
  8. 前記吹付け工程では、短繊維が、0.05〜0.1%の容積比で混入されている前記吹付けモルタルを吹き付けるようになっている請求項7記載のコンクリート柱の補強工法。
  9. 前記配筋工程では、既存のコンクリート柱の周囲に螺旋状に配置されるせん断補強用のスパイラル鉄筋を含んで鉄筋を配筋するようになっている請求項1〜8のいずれか1項記載のコンクリート柱の補強工法。
  10. 前記スパイラル鉄筋が、高張力鉄筋を用いて形成されている請求項9記載のコンクリート柱の補強工法。
  11. 前記配筋工程では、既存のコンクリート柱の周囲に柱の軸方向に配置される曲げ補強用の軸方向鉄筋を含んで鉄筋を配筋するようになっている請求項1〜10のいずれか1項記載のコンクリート柱の補強工法。
  12. 前記軸方向鉄筋が、高張力鉄筋を用いて形成されている請求項11記載のコンクリート柱の補強工法。
  13. 前記軸方向鉄筋には、下端部に拡径された先端拡径突起が加工形成されており、既存のコンクリート柱が立設するコンクリート基礎に削孔された定着孔に前記先端拡径突起を配置した状態で、前記軸方向鉄筋の下端部が定着材によって定着されるようになっている請求項11又は12記載のコンクリート柱の補強工法。
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