JP2018159068A - ヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、アルカリセルロース中のアルカリの分布を均一にして未溶解繊維分を減少させる方法として、シート密度0.60g/ml以下のシート状パルプ又はマツ(パイン)を原料としたシート状パルプをシート状のまま又はチップ状とし、アルカリ金属水酸化物溶液と接触させた後、脱液させアルカリセルロースを製造する方法がある(特許文献1)。
特許文献1で開示される方法で製造されるセルロースエーテルは、未溶解繊維分は非特許文献1よりは減少するが、ヒドロキシプロポキシ基の置換度(MS)が高いヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造しようとすると、原料パルプの繊維同士が絡まり合った状態で造粒された粗大粒子状となってしまう傾向にあった。このようにしてできた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粗大粒子は、精製工程において粒子内部まで洗浄がされ難い。そのため、製品の灰分が高くなってしまう。
特に、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.50より高いヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルの場合、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルは付着性を有するため、長い繊維同士が付着し絡まり合いやすい。それに加えて、製造工程中に反応機に導入された大量のプロピレンオキサイドの副反応で生じた液状のプロピレングリコール及びその重合物が媒介となるため、反応機内で造粒が進行してしまい、水、塩類、メタノール、プロピレングリコール類、並びに酸化プロピレン及び塩化メチルを原料として生成された副反応物を含んだ状態で粗大粒子状となる。
そのため、高いヒドロキシプロポキシ基を有し、低灰分で、未溶解繊維分が少ないヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法が求められていた。
本発明の1つの態様によれば、シート状パルプ又はチップ状パルプを、アルカリ金属水酸化物溶液と接触させてアルカリセルロース反応混合物を得る工程と、前記アルカリセルロース反応混合物を脱液してアルカリセルロースを得る工程と、前記アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る工程と、前記粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を得る工程と、前記粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を水に分散させて、スラリー化する工程と、前記スラリーを濾過し、得られたケーキを洗浄する工程とを少なくとも含んでなる、メトキシ基置換度(DS)1.4〜2.2、かつヒドロキシプロキシ基置換モル数(MS)0.5〜1.0であるヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法を提供する。
シート状パルプ又はチップ状パルプを、アルカリ金属水酸化物溶液と接触させてアルカリセルロース反応混合物を得る工程に関して説明する。
シート状パルプの原料としては、木材パルプ、コットンリンターパルプが挙げられるが、未溶解繊維数を減らす観点から、木材由来パルプが特に好ましい。木材の樹種は、マツ、トウヒ、ツガ等の針葉樹、及びユーカリ、カエデ等の広葉樹を用いることができ、未溶解繊維数を減らす観点から、好ましい樹種はマツである。
シート状パルプの平均繊維長は、JIS P8226に基づいた方法でシートパルプを希釈液に十分分散させた分散液とし、次にこの分散液50mlをカヤーニ繊維長測定機(メッツォオートメーション社製)で測定することができる。平均繊維長は、カヤーニ繊維長測定機内部に組み込まれている画像処理による繊維長分析を行う装置によって測定が行われ、測定結果からJIS P8226記載の長さ加重平均繊維長算出式を用いて繊維長を算出することができる。
シート状パルプの密度は、未溶解繊維数を減らす観点から、好ましくは0.60g/ml以下である。シート状パルプの密度の下限については入手可能、すなわち工業的に得られるものであれば特に制限はないが、通常0.30g/ml以上である。但し、マツを原料としたシート状パルプを用いる場合には、シート密度の制限はない。
シート状パルプのアルファセルロース分はアルカリ吸収速度の低下を抑制する観点から、90質量%以上が好ましい。アルファセルロース分は、TAPPI(パルプ製紙業界技術協会)のTEST METHOD T429による方法で測定できる。
チップ状パルプは、好ましくは、厚み0.1〜5.0mmのシート状パルプを裁断することにより得られる、チップ状の形態を持つパルプである。チップ状パルプの製造方法は限定されないが、スリッターカッターの他、既存の裁断装置を利用することができる。使用する裁断装置は連続的に処理できるものが投資コスト上有利である。
チップの形状は、浸漬操作における取り扱い及び未溶解繊維数を減らす観点から、通常一辺が好ましくは2〜100mm、より好ましくは3〜50mmである。
シート状パルプ又はチップ状パルプを、過剰のアルカリ金属水酸化物溶液に接触させた後に得られたアルカリセルロース反応混合物を脱液することによって、余分なアルカリ金属水酸化物溶液を除去する。
この方法としては、シート状パルプをアルカリ金属水酸化物溶液の入ったバスに浸漬させた後、ローラーその他の装置で加圧圧搾する方法や、チップ状パルプをアルカリ金属水酸化物溶液の入ったバスに浸漬させた後、遠心分離や他の機械的方法により圧搾する方法が挙げられる。アルカリ金属水酸化物溶液とパルプ中の固体成分との質量比(アルカリ金属水酸化物溶液/パルプ中の固体成分)は、設備の規模及び未溶解繊維数を減らす観点から、好ましくは3〜5,000、より好ましくは10〜200、更に好ましくは20〜60とする値である。
パルプ中の固体成分は、JIS P8203:1998のパルプ−絶乾率の試験方法により求められた絶乾率より算出できる。絶乾率(dry matter content)は、試料を105±2℃で乾燥し、恒量に達したときの質量と乾燥前の質量の比率であり、%で表示する。
パルプと過剰のアルカリ金属水酸化物溶液とを接触させる時間は、所望の組成のアルカリセルロースを得る及びアルカリセルロースの組成のばらつき抑制の観点から、好ましくは10〜600秒間であり、より好ましくは15〜120秒間である。
なお、パルプ中の固体成分には、主成分のセルロースの他、ヘミセルロース、リグニン、樹脂分等の有機物、Si分、Fe分等の無機物が含まれる。
得られたアルカリセルロースは、そのまま又は必要に応じて裁断してエーテル化反応機に供給することができる。エーテル化反応機としては、未溶解繊維数を減らす観点から、アルカリセルロースを機械的な力によりパルプ繊維をほぐしながらエーテル化反応するものが好ましい。このため内部に撹拌機構を持つものがエーテル化反応機として好ましく、例としてスキ型ショベル羽根式混合機が挙げられる。また、アルカリセルロースをエーテル化反応機に投入するよりも前に、別の内部に撹拌機構を持つ装置で予め解砕しておくことも可能である。また、アルカリセルロースを反応機に供給後、反応機内の酸素を真空ポンプ等で除去し、不活性ガス、好ましくは窒素で置換することが好ましい。
反応機に供給する酸化プロピレンは、未溶解繊維数を減らす及び過度の薬液の使用によるコストアップの観点から、(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が、好ましくは1.60〜2.90であり、より好ましくは、1.80〜2.80である。
反応機に供給する塩化メチルは、未溶解繊維数を減らし、過度の薬液の使用がコストアップにつながる観点から、(塩化メチル)/(アルカリセルロース中の金属水酸化物成分)のモル比が好ましくは0.9〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4である。
エーテル化剤供給後の撹拌混合時間は、生産性の観点から、好ましくは10〜80分間、より好ましくは20〜60分間である。
取り出した粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースには、その粒子内にヒドロキシプロピルメチルセルロース以外に、水、塩類、メタノール、プロピレングリコール類、並びに酸化プロピレン及び塩化メチルを原料として生成された副反応物が含まれる。このため、このままの状態で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを精製しても、粒子内部まで洗浄され難いため最終製品では灰分が高くなる。
粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、未溶解繊維を減らす観点から、酸もしくはアルカリ条件下にさらすことなく、解砕機に供給することが好ましい。
二軸混練機とは、二本の混練シャフトをバレルが覆い隠す密閉型の混練機であり、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、二本の混練シャフトの軸の回転方向が同方向に回転できるタイプが好ましく、シャフトに組み込まれたパドルの形状を変化させること及び、パドルを組み替えることにより、混練度や混練機内での滞留時間を調整できるものが好ましい。また、必要に応じて、混練機内部を温調できるような構造であることが好ましい。市販品としては、栗本鐵工所社製のKRCニーダーが好ましい。
粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の粒子径を調節するために、混練機の回転数の調節、及びパドルの組み替えを行うことが好ましい。パドルとしては、例えばフラットパドル、ヘルカルパドル、逆ヘルカルパドルを組み合わせることが可能である。
粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物は、水に分散させてスラリー化を行う。スラリー化に用いる水の温度は、スラリー化が粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースのゲル化温度を超える温度で行われる必要性から、好ましくは75〜100℃、より好ましくは80〜98℃であり、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を含むスラリーの温度は、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースが熱ゲル化する温度を超える温度とするために、好ましくは75〜100℃、より好ましくは80〜98℃である。熱ゲル化温度は、高分子論文集Vol.38、No.3 P133〜137記載の方法により測定可能である。
スラリー化はジャケットによる温度調節が可能であり、且つ内部を撹拌混合できる構造を持ったタンク内で行われるのが好ましい。
スラリーは、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物中のヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の物質を溶解及び抽出するため、好ましくは1〜3時間水に分散させる。
スラリーは均一な濃度状態を保持する観点から、内部を撹拌混合することが好ましい。
スラリーには、主成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロース及び水、それ以外として塩類、メタノール、プロピレングリコール類、並びに酸化プロピレン及び塩化メチルを原料として生成された副反応物が含まれる。
スラリーの濾過及び得られたケーキの洗浄は、例えばフィルター濾過洗浄機を用いて連続的に行う。
フィルター濾過洗浄機は、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、好ましくは加圧濾過を連続的に行うことができる加圧回転式フィルターであり、より好ましくは、フィルター濾過洗浄機内部が複数の区画に分かれており、区間毎にスラリーの供給、スラリーの濾過によるケーキの生成、蒸気の供給、洗浄水の供給及び濾過、洗浄品の装置外部への排出、排出後のフィルターの洗浄を行うことが可能な構造を有する。具体的には、ドイツBHS社製のロータリープレッシャーフィルターが好ましい。
フィルター濾過洗浄機に供給したスラリーは、フィルターを用いた加圧濾過を行いケーキとする。
ケーキの中には、主成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロース及び水、それ以外として塩類、メタノール、プロピレングリコール類、並びに酸化プロピレン及び塩化メチルを原料として生成された副反応物が含まれる。
スラリーの加圧濾過時の加圧程度は、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、好ましくは0.001〜1MPa、より好ましくは0.01〜0.5MPaで行う。
フィルター濾過洗浄機に供給する蒸気は、溶解温度が好ましくは50℃と高温であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを精製し、且つ灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、好ましくは100〜185℃、より好ましくは100〜160℃で、好ましくは0.001〜1.0MPa、より好ましくは0.1〜0.5MPaである。また、蒸気は灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、洗浄水の供給及びフィルターを用いた加圧濾過を行う前及び後に供給することが好ましい。
フィルター濾過洗浄機に供給する洗浄水の温度は、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、好ましくは60〜120℃、より好ましくは75〜99℃である。
フィルター濾過洗浄機に供給する洗浄水の加圧濾過時の加圧程度は、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る観点から、好ましくは0.001〜1MPa、より好ましくは0.01〜0.5MPaで行う。
フィルター濾過洗浄機に供給する洗浄水量は、灰分の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る、及び経済的な観点から、(洗浄水量)/(洗浄後のヒドロキシプロピルメチルセルロース固体量)の質量比が、好ましくは5〜50、より好ましくは8〜35である。
フィルター濾過洗浄機における単位濾過面積、単位時間当たりのヒドロキシプロピルメチルセルロース処理量は、工業的なスケールでの精製を行う観点から、好ましくは80〜800kg/m2・hr、より好ましくは130〜600kg/m2・hrである。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースは、必要であれば、例えばボールミル、ローラーミル、衝撃粉砕機のような通常の粉砕装置を用いて粉砕することができ、続いて篩で分級することで、粒度を調整することができる。
なお、通常、メトキシ基(DS)は、セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシ基で置換された水酸基の平均個数であり、ヒドロキシプロポキシ基(MS)は置換にはDSを用い、第十七改正日本薬局方の測定方法を用いて測定された結果から算出できる。
実施例1
マツを原料としたクラフトパルプでα−セルロースが97%、固有粘度が720ml/g、長さ平均繊維長2.6mmのシート状パルプを40℃の49質量%NaOH水溶液に50秒間浸漬した後、圧搾することにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比は、200だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.49だった。
得られたアルカリセルロース20kgをジャケット付内部撹拌型耐圧反応器に仕込み、真空窒素置換を行い、十分に反応機内の酸素を除去した。次に、反応機内温を60℃となるように、温調しながら内部を撹拌し、続いて、ジメチルエーテルを2.4kg添加し、反応機内温が60℃を保持するように温調した。ジメチルエーテル添加後、反応機内温を60℃から80℃に温調しながら、(塩化メチル)/(アルカリセルロース中のNaOH成分)のモル比が1.3となるように塩化メチルを、(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が1.97となるように酸化プロピレンをそれぞれ添加した。塩化メチルと酸化プロピレンの添加後、反応機内温を80℃から90℃に温調し、更に90℃で反応を20分間継続した。その後、反応機内のガスを排出し、反応機から粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを取り出した。取り出し時の粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は、62℃であった。目開きの異なる5つの篩を用いて、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースがその目開きを通過する割合によって求めた積算重量粒度分布における積算値50%粒子径を別途測定したところ、平均粒子径が6.2mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、連続式二軸混練機(KRCニーダーS1型 L/D=10.2、内容積0.12リットル、回転数150rpm)に10kg/hrで投入し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を得た。目開きの異なる5つの篩を用いて同様に測定したところ、平均粒子径は1.4mmであった。
ジャケット温調可能なタンク内で、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物に、(粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物中のヒドロキシプロピルメチルセルロース量)/(全スラリー量)の質量比が0.1となるように80℃の熱水を加えてスラリー化した。スラリーは温度を80℃に保持した状態で60分間撹拌させた。
続いて、0.5回転/分の回転速度であり、予め加熱したロータリープレッシャーフィルター(BHS社製)にスラリーを供給した。スラリーの温度は93℃であり、スラリーの供給にはポンプを使用し、ポンプの吐出圧は0.2MPaであった。また、ロータリープレッシャーフィルターの濾過フィルターは、目開き80μm、濾過面積0.12m2であった。ロータリープレッシャーフィルターに供給したスラリーは、フィルターによる濾過を行うことによりケーキとした。
得られたケーキに0.3MPaのスチームを供給した後、95℃の熱水を(熱水量)/(洗浄後のヒドロキシプロピルメチルセルロース固体量)の質量比が10.0となるように供給し、フィルターによる濾過を行った。熱水は、ポンプを用いて吐出圧0.2MPaで供給した。熱水供給後に0.3MPaのスチームを供給した後に、かき取り機でフィルター表面の洗浄品を取り除き洗浄機外部へ排出した。スラリーの供給から洗浄品の排出までは連続的に行った。
加熱乾燥式水分計を用いて測定した、排出した洗浄品の含水率は52.8質量%であった。
ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品は80℃の送風乾燥機で乾燥した後、衝撃粉砕機ビクトリーミルで粉砕をして、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.84、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.62であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,200mPa・sであり、耐熱るつぼいれたヒドロキシプロピルメチルセルロースをマフッル炉を用いて灰化し、質量測定により測定した灰分は0.25%だった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて測定した、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は9個だった。
粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得るまでは実施例1と同様の方法を行った。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は6.5mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、パドルを組み替えた連続式二軸混練機(KRCニーダーS1型 L/D=10.2,内容積0.12リットル、回転数120rpm)に5kg/hrで投入し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を得た。実施例1と同様の装置を用いて測定した粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径は0.7mmであった。
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物のスラリーを得た。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は51.5質量%であった。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.84、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.62であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,200mPa・sであり、灰分は0.18質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は9個だった。
アルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は変えずに、(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が1.85となるように酸化プロピレンを添加した以外は、実施例1と同様の方法により粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は5.9mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、実施例1と同様の方法により解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を得た。実施例1と同様の装置を用いて測定した粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径は1.5mmであった。
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物のスラリーを得た後に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は53.0質量%であった。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.83、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.57であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,250 mPa・sであり、灰分は0.23質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は10個だった。
実施例1と同様のパルプを、40℃の49質量%NaOH水溶液に60秒間浸漬した後、圧搾することにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比は、200だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.60だった。(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が2.80となるように酸化プロピレンを添加した以外は、実施例1と同様にして粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は7.1mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、実施例1と同様の方法で解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径を測定したところ、1.4mmであった。
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物のスラリーを得た。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は53.5質量%であった。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.84、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.75であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は790 mPa・sであり、灰分は0.28質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は7個だった。
実施例1と同様のシート状パルプを、40℃の49質量%NaOH水溶液に44秒間浸漬した後、圧搾することにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比は、200だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.19だった。(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が2.04がとなるように酸化プロピレンを添加した以外は、実施例1と同様にして粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は6.5mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、実施例1と同様の方法で解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径を測定したところ、1.3mmであった。
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物のスラリーを得た。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は54.0質量%であった。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.58、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.84であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1500mPa・sであり、灰分は0.24質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は7個だった。
実施例1と同様のパルプを、15mm角のチップ形態とした。チップ形態のパルプを40℃の49質量%NaOH水溶液に45秒間浸漬した後、遠心効果500の回転バスケットを用いて圧搾することにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比が15だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.49だった。得られたアルカリセルロースを原料に、実施例1と同様にして得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径を測定したところ、5.1mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、実施例1と同様の方法で解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径を測定したところ、1.4mmであった。
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物のスラリーを得た。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は52.0質量%であった。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.83、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.64であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,700mPa・sであり、灰分は0.25質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は8個だった。
実施例1と同様のパルプを用いて、実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は6.5mmの粗大粒子状であった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを解砕せずに、(ヒドロキシプロピルメチルセルロース純分)/(スラリー)の質量比が0.1となるように80℃の熱水を加えて、温度を80℃に保持した状態で60分間撹拌させ、スラリーとした。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は56.2質量%であった。
ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.84、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.62であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,200mPa・sであり、灰分は8.52質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、99.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は12個だった。
実施例1と同様のパルプをナイフミルで粉砕し、平均粒径200μmの粉末状パルプを得た。得られた粉末状パルプにつき無水分として5.0kgをジャケット付内部撹拌型耐圧反応器に仕込み、真空引き後、40℃の49質量%NaOH15.2kgを撹拌下スプレーして、NaOH成分/パルプ中の固体成分モル比6.03のアルカリセルロースを製造した後、真空窒素置換を行い、十分に反応機内の酸素を除去した。
次に、反応機内温を60℃となるように、温調しながら内部を撹拌し、続いて、ジメチルエーテルを2.4kg添加し、反応機内温が60℃を保持するように温調した。ジメチルエーテル添加後、反応機内温を60℃から80℃に温調しながら、(塩化メチル)/(アルカリセルロース中のNaOH成分)のモル比が1.3となるように塩化メチルを、(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が1.97となるように酸化プロピレンをそれぞれ添加した。塩化メチルと酸化プロピレンの添加後、反応機内温を80℃から90℃に温調し、更に90℃で反応を20分間継続した。その後、反応機内のガスを排出し、反応機から粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを取り出した。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は1.8mmであった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを解砕せずに、(ヒドロキシプロピルメチルセルロース純分)/(スラリー)の質量比が0.1となるように80℃の熱水を加えて、温度を80℃に保持した状態で60分間撹拌させ、スラリーとした。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は48.1質量%であった。
ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.81、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.65であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は2,000mPa・sであり、灰分は0.25質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、95.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は98個だった。
実施例1と同様のパルプを、40℃の49質量%NaOH水溶液に46秒間浸漬した後プレスすることにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比は、200だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.25だった。(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が1.31となるように酸化プロピレンを添加した以外は、実施例1と同様にして粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は2.0mmであった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース500gにヒドロキシプロピルメチルセルロース純分/スラリーの質量比が0.1となるように90℃の熱水を加えて、温度を90℃に保持した状態で60分間撹拌させ、スラリーとした。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は49.8質量%であった。
ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.90、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.24であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,500mPa・sであり、灰分は0.20質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、98.5%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は30個だった。
実施例1と同様のパルプを、40℃の49質量%NaOH水溶液に46秒間浸漬した後、圧搾することにより余剰の49質量%NaOH水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。浸漬工程における49質量%NaOH水溶液/パルプ中の固体成分質量比は、200だった。また、得られたアルカリセルロースのNaOH成分/パルプ中の固体成分の質量比は1.25だった。(酸化プロピレン)/(パルプ中の固体成分)の質量比が1.26となるように酸化プロピレンを添加した以外は、実施例1と同様にして粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径は2.2mmであった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース500gにヒドロキシプロピルメチルセルロース純分/スラリーの質量比が0.1となるように90℃の熱水を加えて、温度を90℃に保持した状態で60分間撹拌させ、スラリーとした。次に、ロータリープレッシャーフィルターを用いて実施例1と同様の方法で洗浄を行った。ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品の含水率は50.2質量%であった。
ロータリープレッシャーフィルターから排出した洗浄品を、実施例1と同様の方法で処理し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。製造条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度はメトキシ基(DS)が1.80、ヒドロキシプロポキシ基(MS)が0.39であり、2質量%水溶液の20℃における粘度は1,800mPa・sであり、灰分は0.51質量%であった。2質量%水溶液の30℃における透光度は、光電比色計PC−50型、セル長20mm、波長720nmを用いて測定し、98.0%だった。また、16μm以上200μm以下の未溶解繊維数は28個だった。
Claims (5)
- シート状パルプ又はチップ状パルプを、アルカリ金属水酸化物溶液と接触させてアルカリセルロース反応混合物を得る工程と、
前記アルカリセルロース反応混合物を脱液してアルカリセルロースを得る工程と、
前記アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る工程と、
前記粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを解砕し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を得る工程と、
前記粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物を水に分散させて、スラリー化する工程と、
前記スラリーを濾過し、得られたケーキを洗浄する工程と
を少なくとも含んでなる、メトキシ基置換度(DS)1.4〜2.2、かつヒドロキシプロキシ基置換モル数(MS)0.5〜1.0であるヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法。 - 前記解砕される前の粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均粒子径が、3.5〜10.0mmである請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法。
- 前記粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース解砕物の平均粒子径が、0.5〜1.6mmである請求項1又は請求項2に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法。
- 前記解砕物を得る工程が、混練機を用いて行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法。
- 前記スラリーを濾過し、得られたケーキを洗浄する工程が、フィルター濾過洗浄機を用いて行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースの製造方法。
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