以下、図面を参照しながら、実施形態にかかる検査装置及び検査方法、露光装置及び露光方法、並びに、デバイス製造方法について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、露光装置及び検査装置の夫々を構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。
(1)第1実施形態の露光装置1
図1から図7を参照しながら、第1実施形態の露光装置1について説明する。
(1−1)露光装置1の構造
(1−1−1)露光装置1の全体の構造
初めに、図1を参照しながら、第1実施形態の露光装置1の構造について説明する。図1は、第1実施形態の露光装置1の構造の一例を示す側面図である。
図1に示すように、露光装置1は、光源11と、照明光学系12と、ミラー13と、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)14と、投影光学系15と、ステージ16と、コントローラ17と、検査装置18と、移動装置19とを備えている。
光源11は、コントローラ17によって制御され、露光光EL1を射出する。光源11は、露光光EL1として、所定の周波数で明滅を繰り返すパルス光を射出する。つまり、光源11は、所定の発光時間(以下、当該発光時間を“パルス幅”と称する)で発光するパルス光を所定の周波数で射出する。例えば、光源11は、パルス幅が50nsとなるパルス光を4kHzから6kHzの周波数で射出してもよい。光源11からパルス発光される露光光EL1は、波長が193nmとなるArFエキシマレーザ光であってもよい。
照明光学系12は、例えば米国特許第8,792,081号公報などに開示されるように、フライアイレンズやロッド型インテグレータ等のオプティカルインテグレータを有する照度均一化光学系、及び照野絞り(いずれも不図示)を有していてもよい。照明光学系12は、光源11からの露光光の光量EL1を均一化して露光光EL2として射出する。この露光光EL2によって空間光変調器14の光変調面14aが照明される。尚、空間光変調器の光変調面14a上には、照明光学系12の照野絞り(マスキングシステム)で規定された矩形状の照明領域が形成される。
尚、照明光学系12は、光変調面14a上での露光光EL2の強度分布を変更するビーム強度分布変更部等を含んでいてもよい。
ミラー13は、照明光学系12から出力される露光光EL2を偏向して、空間光変調器14の光変調面14aに導く。
空間光変調器14は、後述するように、2次元的に配列された複数のミラー要素141を備える。ここで、複数のミラー要素141が配列されている面を光変調面14aと称する。この光変調面14aには、照明光学系12からミラー13を介して伝搬してくる露光光EL2が入射する。光変調面14aは、XY平面に平行な平面であって、露光光EL2の進行方向に交わる面である。光変調面14aは、矩形の形状を有している。露光光EL2は、光変調面14aをほぼ均一な照度分布で照明する。
空間光変調器14は、当該空間光変調器14の光変調面14aに照射された露光光EL2を、投影光学系15に向けて反射する。空間光変調器14は、露光光EL2を反射する際に、当該露光光EL2を、ウェハ161に転写するべきデバイスパターンに応じて空間変調する。ここで、「光を空間変調する」とは、当該光の進行方向を横切る断面における当該光の振幅(強度)、光の位相、光の偏光状態、光の波長及び光の進行方向(言い換えれば、偏向状態)のうちの少なくとも1つである光特性の分布を変化させることを意味していてもよい。本実施形態では、空間光変調器14は、反射型の空間光変調器である。
次に、図2(a)から図2(d)を参照しながら、空間光変調器14について更に説明を加える。図2(a)及び図2(b)に示すように、空間光変調器14は、複数のミラー要素141を備えている。尚、図2(b)は、図面の見易さを考慮して、図2(a)に示す複数のミラー要素141の一部を抜粋した図面である。複数のミラー要素141は、光変調面14aに平行な面であるXY平面上において、二次元のアレイ状に(言い換えれば、マトリクス状に)配列されている。例えば、複数のミラー要素141のY軸方向に沿った配列数は、数百から数千である。例えば、複数のミラー要素141のX軸方向に沿った配列数は、複数のミラー要素141のY軸方向に沿った配列数の数倍から数十倍である。複数のミラー要素141のX軸方向に沿った配列数の一例は、数百から数万である。複数のミラー要素141は、X軸方向に沿って所定の配置間隔pの間隔を隔て且つY軸方向に沿って所定の配置間隔pの間隔を隔てるように、配列されている。配置間隔pの一例は、例えば、10マイクロメートルから1マイクロメートルである。
各ミラー要素141は、正方形の形状(或いは、その他任意の板状の形状)を有している。各ミラー要素141の位置及び/又は姿勢が変更されるため、サイズLは、配置間隔pよりも小さくなる。つまり、X軸方向に沿って隣接する2つのミラー要素141の間及びY軸方向に沿って隣接する2つのミラー要素141の間には、ミラー要素141を構成しない隙間142が存在する。但し、サイズLに対して隙間142のサイズが十分に小さいため、第1実施形態では、説明の簡略化のために、各ミラー要素141のX軸方向及びY軸方向の夫々のサイズLは、上述した配置間隔pと同じであるものとする。
各ミラー要素141のうち露光光EL2が照射される面は、露光光EL2を反射する反射面141aとなっている。各ミラー要素141のXY平面に平行な2つの表面のうち−Z方向側に位置する表面は、反射面141aとなっている。反射面141aには、例えば反射膜が形成されている。反射面141aの反射膜としては、例えば金属膜や誘電体多層膜を用いてもよい。複数のミラー要素の141の反射面141aの集合が、実質的には、露光光EL2が照射される光変調面14aとなる。
図2(c)に示すように、空間光変調器14の各ミラー要素141は、第1接続部材143によってヒンジ部144と接続されている。ヒンジ部144は、弾性変形を利用してZ軸方向に撓むことが可能な可撓性を有している。このヒンジ部144は、支持基板149上に設けられた一対のポスト部145によって支持されている。また、ヒンジ部144には、後述する電極148によって静電力(引力又は斥力)の作用を受けるアンカー部146とヒンジ部144とを接続する第2接続部材147が設けられている。このように、アンカー部146とミラー要素141とは、第1接続部材143及び第2接続部材147並びにヒンジ部144を介して機械的に接続されている。そして、支持基板149の表面には電極148が形成されている。なお、ポスト部145は一対には限定されず、2以上の数であってもよい。
電極148に所定の電圧が印加されると、アンカー部146の裏面と電極148との間に静電力が作用する。上述の通り、アンカー部146の裏面と電極148との間に静電力を作用させると、アンカー部146が支持基板149側に移動し、この移動に伴ってミラー要素141も支持基板149側に移動する。
各ミラー要素141の状態は、アンカー部146と電極148との間に作用する静電力及びヒンジ部144の弾性力に起因して、反射面141aに直交する方向(つまり、Z軸方向)に沿った位置が異なる2つの状態の間で切り替わる。例えば、図2(d)の左側に示すように、アンカー部146と電極148との間に静電力が作用していない場合(つまり、ヒンジ部144が撓んでいない場合)には、各ミラー要素141は、各ミラー要素141の反射面141aが基準平面A1に一致する第1状態となる。例えば、図2(d)の右側に示すように、アンカー部146と電極148との間に静電力が作用している場合(つまり、ヒンジ部144が撓んでいる場合)には、各ミラー要素141は、各ミラー要素141の反射面141aが基準平面A1から+Z方向側に向かって距離d1だけシフトした変位平面A2に一致する第2状態となる。
第2状態にあるミラー要素141の反射面141aは、第1状態にあるミラー要素141の反射面141aから+Z方向側に向かって距離d1だけシフトした位置にある。このため、第2状態にあるミラー要素141が露光光EL2を反射することで得られる露光光EL3の波面の位相と、第1状態にあるミラー要素141が露光光EL2を反射することで得られる露光光EL3の波面の位相とは異なる。この位相差は、距離d1の倍の長さに相当する。第1実施形態では、距離d1は、露光光EL1の波長λの1/4と一致する。つまり、d1は、d1=λ/4という数式にて表現される。この場合、第2状態にあるミラー要素141が露光光EL2を反射することで得られる露光光EL3の波面の位相は、第1状態にあるミラー要素141が露光光EL2を反射することで得られる露光光EL3の波面の位相と比較して、180度(πラジアン)だけ異なる。尚、以下では、説明の便宜上、第1状態を「0状態」と称し、第2状態を「π状態」と称する。
空間光変調器14は、コントローラ17の制御下で、ウェハ161に転写するべきデバイスパターンに応じて、複数のミラー要素141の状態を制御する。具体的には、不図示のパターン設計装置は、ウェハ161に転写するべきデバイスパターンに応じて、複数のミラー要素141の状態の分布(言い換えれば、配列)を決定する。例えば、パターン設計装置は、複数のミラー要素141のそれぞれが0状態となるべきか又はπ状態となるべきかを決定することで、複数のミラー要素141の状態の分布を決定する。これにより、複数のミラー要素141で反射される露光光EL3の、当該露光光EL3の進行方向に直交する(或いは、交わる)面における位相分布が決定される。コントローラ17は、パターン設計装置から、複数のミラー要素141の状態の分布を規定する変調パターンデータを取得する。コントローラ17は、変調パターンデータを用いて、複数のミラー要素141の状態を制御する。
尚、このような空間光変調器14の一例は、例えば、米国特許出願公開第2013/0222781号明細書に記載されている。
再び図1において、投影光学系15は、空間光変調器14によって空間変調された露光光EL3でウェハ161に明暗パターンを投影する。投影光学系15は、露光光EL3でウェハ161の表面(具体的には、ウェハ161に塗布されているレジスト膜の表面)に、空間光変調器14による空間変調に応じた明暗パターンを投影する。
投影光学系15は、露光光EL3を、ウェハ161の表面に設定される面状の露光領域ELAに投影する。つまり、投影光学系15は、ウェハ161の表面に設定される面状の露光領域ELAが露光光EL3によって露光されるように、露光領域ELAに露光光EL3を投影する。投影光学系15の光軸AXは、面状の露光領域ELAに直交する。面状の露光領域ELAは投影光学系15の光軸AXから外れた位置に形成される。ウェハ161の表面と投影光学系15の光軸AXとが一致する部分から外れた所定領域が、面状の露光領域ELAとなる。
投影光学系15は、デバイスパターンに基づく位相分布を有する露光光EL3を、位相分布に応じた強度分布を持つ空間像としてウェハ161の表面に投影する。
投影光学系15は、縮小系である。第1実施形態では、投影光学系15の投影倍率は、一例として1/200である。第1実施形態における投影光学系15の解像度は、空間光変調器14の各ミラー要素141のサイズLに投影倍率を乗じた値よりも大きくなるように設定されている。従って、単一のミラー要素141によって反射された露光光EL3は、露光領域ELA上では解像されることはない。尚、投影光学系15の投影倍率は、1/200の縮小倍率には限定されず、例えば1/400の縮小倍率であってもよく、等倍や拡大倍率であってもよい。
ステージ16は、ウェハ161を保持可能であり、保持したウェハ161をリリース可能である。ステージ16は、コントローラ17の制御下で、ウェハ161を保持した状態で、露光領域ELAを含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。ステージ16は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。例えば、ステージ16は、平面モータを含むステージ駆動系162の動作により移動してもよい。尚、平面モータを含むステージ駆動系162の一例は、例えば、米国特許第6,452,292号に開示されている。但し、ステージ駆動系162は、平面モータに加えて又は代えて、他のモータ(例えば、リニアモータ)を含んでいてもよい。
ステージ16のXY平面内での位置(但し、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿った回転角度を含んでいてもよい)は、レーザ干渉計163によって、例えば0.25nm程度の分解能で常時計測されている。レーザ干渉計163の計測結果は、コントローラ17に出力される。但し、露光装置1は、レーザ干渉計163に加えて又は代えて、ステージ16のXY平面内での位置を計測可能なその他の計測装置(例えば、エンコーダ)を備えていてもよい。
コントローラ17は、露光装置1の動作を制御する。コントローラ17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、メモリを含んでいてもよい。例えば、コントローラ17は、光源11による露光光EL1の射出動作を制御する。具体的には、コントローラ17は、所定のパルス幅を有すると共に所定の周波数でパルス発光するパルス光を露光光EL1として適切なタイミングで射出するように光源11を制御する。更に、コントローラ17は、空間光変調器14による露光光EL2の空間変調動作を制御する。具体的には、コントローラ17は、パターン設計装置から取得した変調パターンデータを用いて、複数のミラー要素141の状態を制御する。更に、コントローラ17は、ステージ16の移動を制御する。具体的には、コントローラ17は、露光領域ELAがウェハ161の表面上を所望の移動経路を通って相対的に移動していくように、ステージ駆動系162を制御する。
検査装置18は、空間光変調器14を検査する。検査装置18は、空間光変調器14が備える各ミラー要素141を検査する。具体的には、検査装置18は、各ミラー要素141の状態を推定する(言い換えれば、特定する)ことで、空間光変調器14を検査する。検査装置18の検査結果は、コントローラ17に対して出力される。コントローラ17は、検査装置18の検査結果を用いて、所望のデバイスパターンがウェハ161に適切に転写されるように、露光装置1の動作を制御する。
検査装置18は、コントローラ17の制御下で、移動可能である。検査装置18は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。例えば、検査装置18は、平面モータを含む移動装置19の動作により移動してもよい。但し、移動装置19は、平面モータに加えて又は代えて、他のモータ(例えば、リニアモータ)を含んでいてもよい。
尚、照明光学系12は、露光光EL2が光変調面14aの一部に照射されるように露光光EL1を調整してもよい。照明光学系12は、光変調面14a上での露光光EL2が照射される照射領域が光変調面14aよりも小さくなるように、露光光EL1を調整してもよい。照明光学系12は、光変調面14a上での露光光EL1が照射される照射領域の形状が光変調面14aの形状と一致しないように、露光光EL1を調整してもよい。また、照明光学系12は、露光光EL2のビーム断面内での強度分布を変更して、光変調面14aに達する露光光EL2の照度分布をほぼ均一にしてもよい。この場合、照明光学系12は、照明光学系12が備えるオプティカルインテグレータの射出側の光路に配置されるビーム強度分布変更部を備えていてもよい。
空間光変調器14は、露光光EL3の位相分布を制御することに加えて又は代えて、露光光EL3の強度分布(つまり、露光光EL3の進行方向に直交する(或いは、交わる)方向に沿った面上における強度分布)を制御してもよい。空間光変調器14は、複数のミラー要素141に代えて、露光光EL2を空間変調することが可能な任意の装置(例えば、液晶パネル等)を備えていてもよい。
上述の例における空間光変調器14は、それぞれの上下方向(つまり、露光光EL2の進行方向)に沿った位置が可変である複数のミラー要素141を備える位相型(ピストン型)の空間光変調器である。しかしながら、空間光変調器14は、それぞれが傾斜可能な(例えば、X軸又はY軸に対して傾斜可能な)複数のミラー要素を備える傾斜型の空間光変調器であってもよい。また、空間光変調器14は、傾斜型の空間光変調器が備える複数のミラー要素の反射面に段差を設けた位相段差傾斜ミラー型の空間光変調器であってもよい。位相段差傾斜ミラー型の空間光変調器は、光変調面14aに平行な反射面141aが反射する光と光変調面14aに対して傾斜している反射面141aが反射する光との間の位相差をλ/2(180度(πラジアン))に設定する空間光変調器である。また、国際公開第2014/104001号パンプレットに開示されている、それぞれの上下方向の位置が可変である複数のミラー要素と、当該複数のミラー要素の間に位置する固定反射面とを備え、ミラーの上下方向の移動によって光強度を空間変調する空間光変調器が用いられてもよい。
(1−1−2)検査装置18の構造
続いて、図3(a)から図3(c)を参照しながら、検査装置18の構造について説明する。図3(a)は、検査装置18の断面(具体的には、YZ平面に沿った断面)を、空間光変調器14の断面と共に示す断面図である。図3(b)は、検査装置18の断面(具体的には、XZ平面に沿った断面)を、空間光変調器14の断面と共に示す断面図である。図3(c)は、検査装置18が検査光DL1を照射する検査領域14bを示す平面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、検査装置18は、光源181と、ビームスプリッタ182と、複数の受光器183と、コントローラ184とを備えている。図3(a)及び図3(b)に示す例では、検査装置18は、5つの受光器183を備えている。具体的には、図3(a)及び図3(b)に示す例では、検査装置18は、複数の受光器183として、受光器183(0)と、受光器183(+1X)と、受光器183(−1X)と、受光器183(+1Y)と、受光器183(−1Y)とを備えている。
光源181は、コントローラ184の制御下で、空間光変調器14を検査するための検査光DL1を射出する。検査光DL1は、複数のミラー要素141が反射可能な光である限りは、どのような光であってもよい。例えば、検査光DL1は、可視光であってもよいし、紫外光であってもよい。
光源181は、ビームスプリッタ182に向けて、検査光DL1を射出する。ビームスプリッタ182は、検査光DL1を、空間光変調器14の光変調面14aの少なくとも一部に相当する検査領域14bに導くための導光光学系である。ビームスプリッタ182は、光源181から射出された検査光DL1の少なくとも一部を、検査領域14bに向けて反射する。従って、ビームスプリッタ182は、検査光DL1を検査領域14bに向けて照射する。特に、ビームスプリッタ182は、検査光DL1が検査領域14bに垂直入射するように、検査光DL1を検査領域14bに向けて照射する。但し、ビームスプリッタ182は、検査光DL1が検査領域14bに斜入射するように、検査光DL1を検査領域14bに向けて照射してもよい。
なお、光源181と空間光変調器14との間の光路中と空間光変調器14と受光器183との間の光路中との少なくとも一方に、集光光学系等の光学系を配置してもよい。
検査領域14bは、光変調面14aのうち少なくとも一部の領域である。検査領域14bは、隣接する2つ以上のミラー要素141(特に、その反射面141a)を包含する領域である。具体的には、検査領域14bは、X軸方向に沿って隣接する(言い換えれば、配列される)少なくとも2つのミラー要素141と、Y軸方向に沿って隣接する(言い換えれば、配列される)少なくとも2つのミラー要素141とを少なくとも包含する領域である。図3(c)に示す例では、検査領域14bは、X軸方向に沿って隣接する2つのミラー要素141−1及び141−2と、Y軸方向に沿って隣接する2つのミラー要素141−1及び141−3とを包含する領域である。
検査光DL1が照射された検査領域14bからは、検査光DL1の照射に起因して発生する出射光DL2が出射する。複数の受光器183は、出射光DL2を検出する(つまり、受光する)。
具体的には、検査領域14bからは、出射光DL2の少なくとも一部として、検査光DL1の反射光DL2(0)が出射する。受光器183(0)は、反射光DL2(0)を検出する。
更に、上述したように、検査領域14bは、X軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含している。このため、検査領域14bからは、出射光DL2の少なくとも一部として、X軸方向に沿った少なくとも2つのミラー要素141の配列に起因して発生する+N(但し、Nは1以上の整数)次回折光DL2(+NX)及び−N次回折光DL2(−NX)が出射する。+N次回折光DL2(+NX)及び−N次回折光DL2(−NX)は、検査領域14bからXZ平面(つまり、検査領域14bに直交する平面)に沿って伝搬する。第1実施形態では、図3(b)に示すように、受光器183(+1X)は、+N次回折光DL2(+NX)のうちの+1次回折光DL2(+1X)を検出する。更に、受光器183(−1X)は、図3(b)に示すように、−N次回折光DL2(−NX)のうちの−1次回折光DL2(−1X)を検出する。このため、受光器183(+1X)及び183(−1X)は、XZ平面に沿って(或いは、X軸に沿って)並ぶように配列される。
更に、上述したように、検査領域14bは、Y軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含している。このため、検査領域14bからは、出射光DL2として、Y軸方向に沿った少なくとも2つのミラー要素141の配列に起因して発生する+N次回折光DL2(+NY)及び−N次回折光DL2(−NY)が出射する。+N次回折光DL2(+NY)及び−N次回折光DL2(−NY)は、検査領域14bからYZ平面(つまり、検査領域14bに直交し且つ+N次回折光DL2(+NX)及び−N次回折光DL2(−NX)が伝搬するXZ平面に直交する平面)に沿って伝搬する。第1実施形態では、図3(a)に示すように、受光器183(+1Y)は、+N次回折光DL2(+NY)のうちの+1次回折光DL2(+1Y)を検出する。更に、受光器183(−1Y)は、図3(a)に示すように、−N次回折光DL2(−NY)のうちの−1次回折光DL2(−1Y)を検出する。このため、受光器183(+1Y)及び183(−1Y)は、YZ平面に沿って(或いは、Y軸に沿って)並ぶように配列される。
コントローラ184は、複数の受光器183の検出結果を用いて、空間光変調器14が備える複数のミラー要素141の状態を推定する。尚、コントローラ184が複数のミラー要素141の状態を推定する動作については、後に詳述するため(図4等参照)、ここでの説明を省略する。
(1−2)露光装置1の動作
続いて、図4を参照しながら、露光装置1の動作について説明する。図4は、露光装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、レジストが塗布された未露光のウェハ161が露光装置1にローディングされる(ステップS11)。つまり、ステージ16上にウェハ161が搭載される。その後、コントローラ17は、ウェハ161を露光するように露光装置1を制御する(ステップS12)。
ここで、図5(a)から図5(c)を参照しながら、ウェハ161を露光する動作について更に詳細に説明する。図5(a)は、ウェハ161の表面上における露光領域ELAの移動経路の一例を示す平面図である。図5(b)及び図5(c)は、それぞれ、複数のミラー要素141の状態分布の一例を示す平面図である。
図5(a)に示すように、露光光EL3は、ウェハ161の表面に設定される面状の露光領域ELAに照射される。露光光EL3は、露光領域ELAを露光する。露光領域ELAは、露光光EL3であるパルス光のうちの1回又は複数回のパルス発光によって露光される。その結果、露光光EL3は、ウェハ161の表面のうち露光領域ELAと重なる少なくとも一部の面部分である露光対象面110に照射される。
露光領域ELAがウェハ161の表面上を所望の移動経路を通って相対的に移動していくようにステージ16が移動する。図5(a)中に示す矢印は、露光領域ELAの移動経路の一例を示している。図5(a)に示す例では、ステージ16は、あるタイミングで露光領域ELAが+Y方向に向かって移動するように、−Y方向に向かって移動する。その後、ステージ16は、露光領域ELAが−X方向に向かって移動するように、+X方向に向かって移動する。その後、ステージ16は、露光領域ELAが−Y方向に向かって移動するように、+Y方向に向かって移動する。その後、ステージ16は、露光領域ELAが−X方向に向かって移動するように、+X方向に向かって移動する。以降、ステージ16は、−Y方向に向かう移動、+X方向に向かう移動、+Y方向に向かう移動及び+X方向に向かう移動を繰り返す。その結果、露光領域ELAは、ウェハ161の表面を図5(a)中の矢印が示す経路を通って相対的に移動する。
ウェハ161の表面は、複数の露光対象面110に区分可能である。この場合、ステージ16は、露光領域ELAが複数の露光対象面110に順次重なるように移動する。ステージ16は、露光領域ELAが複数の露光対象面110を順次トレースするように移動する。図5(a)に示す例では、ステージ16は、露光領域ELAが露光対象面110−1に重なるように−Y方向に向かって移動する。露光領域ELAが露光対象面110−1に重なるタイミングで露光光EL3が露光領域ELA(つまり、露光対象面110−1)を露光するように、光源11は、露光光EL1を射出する。つまり、光源11は、露光領域ELAが露光対象面110−1に重なるタイミングと光源11が射出するパルス光のうちの1回のパルス発光のタイミングとが一致するように、露光光EL3を射出する。その後、ステージ16は、Y軸方向に沿って露光対象面110−1に隣接する露光対象面110−2aに露光領域ELAが重なるように−Y方向に向かって移動する。露光領域ELAが露光対象面110−1から露光対象面110−2に向かって移動している間は、光源11は、露光光EL1を射出しない。つまり、露光領域ELAが露光対象面110−1から露光対象面110−2に向かって移動している間は、パルス発光が行われることはない。露光領域ELAが露光対象面110−2に重なるタイミングで露光光EL3が露光領域ELA(つまり、露光対象面110−2)を露光するように、光源11は、露光光EL1を射出する。以降、Y軸に沿って並ぶ一連の露光対象面110に対しても同様の動作が繰り返される。その後、Y軸に沿って並ぶ一連の露光対象面110に対する露光が終了する(つまり、露光対象面110−3に対する露光が終了する)と、ステージ16は、露光対象面110−3にX軸方向に沿って隣接する露光対象面110−4に露光領域ELAが重なるように−X方向に向かって移動する。以降、露光対象面110−4を起点として、Y軸に沿って並ぶ一連の露光対象面110に対しても同様の動作が繰り返される。以降は、図5(a)に示す移動経路を通って露光対象面ELAが移動するように、上述した動作が繰り返される。
空間光変調器14が備える複数のミラー要素141は、1回の露光(つまり、1回のパルス発光)毎に、1回のパルス発光による露光によってウェハ161に転写されるべきデバイスパターンに基づく状態に遷移する。つまり、複数のミラー要素141は、変調パターンデータが規定する、1回のパルス発光による露光を行う際の複数のミラー要素141の状態に遷移する。
図5(a)に示す例では、露光対象面110−1が露光される場合には、複数のミラー要素141は、露光対象面110−1に対する1回の露光によってウェハ161に転写されるべきデバイスパターン(つまり、露光対象面110−1の下部に位置するウェハ161に転写されるべきデバイスパターン)に基づく状態に遷移する。その後、露光対象面110−1に続いて露光対象面110−2が露光される場合には、複数のミラー要素141は、露光対象面110−2に対する1回の露光によってウェハ161に転写されるべきデバイスパターン(つまり、露光対象面110−2の下部に位置するウェハ161に転写されるべきデバイスパターン)に基づく状態に遷移する。例えば、図5(b)は、露光対象面110−1を露光するための複数のミラー要素141の状態の一例を示す。例えば、図5(c)は、露光対象面110−2を露光するための複数のミラー要素141の状態の一例を示す。
尚、図5(b)及び図5(c)中の白抜き領域で示すミラー要素141は、0状態にあるミラー要素141を示している。一方で、図5(b)及び図5(c)中の網掛け領域で示すミラー要素141は、π状態にあるミラー要素141を示している。
再び図4において、その後、コントローラ17は、ウェハ161の露光が完了したか否かを判定する(ステップS13)。つまり、コントローラ17は、ウェハ161上の全ての露光対象面110の露光が完了したか否かを判定する。ステップS13の判定の結果、ウェハ161の露光が完了していないと判定される場合には(ステップS13:No)、コントローラ17は、ウェハ161の露光を継続するように露光装置1を制御する(ステップS12)。他方で、ステップS13の判定の結果、ウェハ161の露光が完了したと判定される場合には(ステップS13:Yes)、露光済みのウェハ161が露光装置1からアンローディングされる(ステップS14)。アンローディングされたウェハ161は、不図示のデベロッパーによって現像される。その後、ウェハ161は、不図示のエッチング装置によってエッチングされる。その結果、ウェハ161上に、デバイスパターンが転写(言い換えれば、形成)される。
ウェハ161がアンローディングされた後又はウェハ161のアンローディングと並行して、検査装置18は、空間光変調器14を検査する(ステップS21からステップS25)。つまり、検査装置18は、露光光EL3によるウェハ161の露光が行われていない(言い換えれば、ステージ16がウェハ161を保持していない)非露光期間中に、空間光変調器14を検査する。
第1実施形態では、検査装置18は、空間光変調器14を検査する動作として、各ミラー要素141の反射面141aの傾き(言い換えれば、向き)を推定する動作を行う。具体的には、検査装置18は、反射面141aのチルト量(言い換えれば、基準平面に対する反射面141aの回転量)Ctiltを推定することで、反射面141aの傾きを推定する。チルト量Ctiltは、基準平面であるXY平面に対する反射面141aのX軸周りのチルト量Ctiltxと、基準平面であるXY平面に対する反射面141aのY軸周りのチルト量CtiltYとを含む。従って、検査装置18は、チルト量Ctiltx及びCtiltYを推定する。
更に、第1実施形態では、検査装置18は、空間光変調器14を検査する動作として、各ミラー要素141の形状(より具体的には、反射面141aの形状)を推定する動作を行う。具体的には、検査装置18は、ミラー要素141の歪み量Cbowを推定することで、ミラー要素141の形状を推定する。ここで、図6(a)から図6(c)を参照しながら、ミラー要素141の歪み量Cbowについて説明する。
図6(a)は、理想的な状態(言い換えれば、歪んでいない状態)にあるミラー要素141を示す斜視図である。理想的な状態にあるミラー要素141の反射面141aは、XY平面に平行な平面となる。一方で、図6(b)は、歪んだ状態にあるミラー要素141を示す斜視図である。図6(b)は、反射面141aの外縁に対して反射面141aの中心部が弓なりに膨らむ(つまり、−Z方向に向かって膨らむ)ように歪んだミラー要素141を示している。但し、反射面141aの外縁に対して反射面141aの中心部が弓なりに窪む(つまり、+Z方向に向かって窪む)ようにミラー要素141が歪む可能性もある。尚、図6(a)及び図6(b)の夫々は、ミラー要素141の弓なりの膨らみを分かりやすく図示するために、ミラー要素141の反射面141aに仮想的な補助線(点線)を記載している。
このようなミラー要素141の歪みが発生する原因の一つは、ミラー要素141に対する露光光EL2の照射である。ミラー要素141に露光光EL2が照射されると、ミラー要素141には、露光光EL2の照射に起因して、熱が発生する。ミラー要素141に発生した熱は、ミラー要素141の熱変形を引き起こす可能性がある。このような熱変形が、図6(b)に示すミラー要素141の歪みを引き起こす。
第1実施形態では、図6(c)に示すように、歪み量Cbowは、反射面141aの外縁に対する反射面141aの中心部の膨らみ量(或いは、窪み量)を示す。つまり、歪み量Cbowは、反射面141aの外縁と反射面141aの中心部との間の、Z軸方向に沿った距離を示すものとする。以下では、説明の便宜上、反射面141aの外縁に対して反射面141aの中心部が膨らんでいる場合に、歪み量Cbowが正の値をとり、反射面141aの外縁に対して反射面141aの中心部が窪んでいる場合に、歪み量Cbowが負の値をとるものとする。
第1実施形態では、検査動作を簡略化するために、複数のミラー要素141は、全て同じように歪むものとする。つまり、複数のミラー要素141の歪み量Cbowは、全て同じであるものとする。というのも、上述したように、露光光EL2は、複数のミラー要素141の反射面141aから構成される光変調面14aをほぼ均一な照度分布で照明する。従って、露光光EL2の照射に起因して複数のミラー要素141に発生する熱は、複数のミラー要素141の間で同じになる可能性が高い。その結果、露光光EL2の照射に起因した複数のミラー要素141の熱変形の態様もまた、複数のミラー要素141の間で同じになる可能性が高い。このため、複数のミラー要素141の歪み量Cbowは、全て同じになる可能性が高い。
尚、同じく検査動作を簡略化するために、複数のミラー要素141は、全て同じように傾くものとする。つまり、複数のミラー要素141のチルト量CtiltXは、全て同じであり、且つ、複数のミラー要素141のチルト量CtiltYは、全て同じであるものとする。
再び図4において、空間光変調器14を検査するために、コントローラ17は、まず、空間光変調器14(特に、その検査領域14b)に対して検査装置18が検査光DL1を照射することが可能な検査位置に位置するようになるまで検査装置18が移動するように、移動装置19を制御する(ステップS21)。その結果、検査装置18は、検査位置に位置することになる。
ここで、図7(a)及び図7(b)を参照しながら、検査装置18の移動について更に説明する。
図7(a)は、露光光EL3によるウェハ161の露光が行われている(言い換えれば、ステージ16がウェハ161を保持している)露光期間中の検査装置18の位置を示す。図7(a)に示すように、露光期間中は、空間光変調器14の光変調面14aには、露光光EL2が照射される。更に、空間光変調器14が空間変調した露光光EL3は、投影光学系15を介してウェハ161に照射される。一方で、露光期間中は、検査装置18は、検査領域14bに対して検査光DL1を照射しなくてもよい。このため、図7(a)に示すように、露光期間中は、検査装置18は、ウェハ161への露光光EL3の照射を検査装置18が妨げることがない非検査位置に位置する。具体的には、検査装置18は、露光光EL1、EL2及びEL3の光路に重ならない非検査位置に位置する。
一方で、図7(b)は、検査装置18が空間光変調器14を検査する検査期間中の検査装置18の位置を示す。尚、検査期間は、露光光EL3によるウェハ161の露光が行われていない非露光期間の少なくとも一部である。図7(b)に示すように、検査期間中は、ウェハ161に露光光EL3が照射されない。このため、検査期間中は、検査装置18は、ウェハ161への露光光EL3の照射を妨げることがない非検査位置に位置していなくてもよい。従って、露光期間中は非検査位置に位置していた検査装置18は、移動装置19の動作により、空間光変調器14(特に、その検査領域14b)に対して検査光DL1を照射することが可能な検査位置に位置するようになるまで移動する。
再び図4において、その後、コントローラ184は、検査光DL1を検査領域14bに照射するように、光源181を制御する。第1実施形態では、光変調面14a上には、単一の検査領域14bが設定されればよい。このため、コントローラ184は、検査光DL1をこの単一の検査領域14bに照射するように、光源181を制御する。その結果、光源181は、検査領域14bに対して検査光DL1が照射されるように、検査光DL1を射出する(ステップS22)。光源181が検査光DL1を照射する間は、コントローラ17は、検査領域14bに含まれるミラー要素141の全て(或いは、空間光変調器14が備える複数のミラー要素141の全て)を同じ状態にするための制御信号を空間光変調器14に出力する。つまり、コントローラ17は、検査領域14bに含まれるミラー要素141の全て(或いは、空間光変調器14が備える複数のミラー要素141の全て)が0状態及びπ状態のいずれかになるように、空間光変調器14を制御する。
その結果、検査光DL1の照射に起因して、検査領域14bからは、反射光DL2(0)、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)が出射する。受光器183(0)、受光器183(+1X)、受光器183(−1X)、受光器183(+1Y)及び受光器183(−1Y)は、夫々、反射光DL2(0)、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)を検出する(ステップS23)。
その後、コントローラ184は、ステップS23の検出結果を用いて、チルト量Ctiltx及びCtiltYを推定する(ステップS24)。具体的には、チルト量Ctiltxがゼロである(つまり、ミラー要素141がX軸周りに傾いていない)場合には、+1次回折光DL2(+1X)及び−1次回折光DL2(−1X)の対称性が維持される。つまり、チルト量Ctiltxがゼロである場合には、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度とが概ね同じになる。一方で、チルト量Ctiltxがゼロでない(つまり、ミラー要素141がX軸周りに傾いている)場合には、+1次回折光DL2(+1X)及び−1次回折光DL2(−1X)の対称性が維持されない。つまり、チルト量Ctiltxがゼロでない場合には、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度とが一致しない。特に、チルト量Ctiltxの絶対値が大きくなるほど、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度との差分が大きくなる。同様の理由から、チルト量CtiltYの絶対値が大きくなるほど、+1次回折光DL2(+1Y)の強度と−1次回折光DL2(−1Y)の強度との差分が大きくなる。
そこで、第1実施形態では、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果と−1次回折光DL2(−1X)の検出結果とを用いて、チルト量Ctiltxを推定する。具体的には、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度との差分を用いて、チルト量Ctiltxを推定する。例えば、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度との差分が大きくなるほどチルト量CtiltXの絶対値が大きくなるように、チルト量Ctiltxを推定する。尚、検査光DL1の強度のバラつきに起因した検査精度の悪化を防止するために、チルト量Ctiltxを推定するために参照される+1次回折光DL2(+1X)及び−1次回折光DL2(−1X)の夫々の強度は、反射光DL2(0)の強度で規格化された強度である。後述する+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の夫々の強度についても同様に、反射光DL2(0)の強度で規格化された強度である。
同様に、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1Y)の検出結果と−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果とを用いて、チルト量CtiltYを推定する。具体的には、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度と−1次回折光DL2(−1Y)の強度との差分を用いて、チルト量CtiltYを推定する。例えば、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度と−1次回折光DL2(−1Y)の強度との差分が大きくなるほどチルト量CtiltYの絶対値が大きくなるように、チルト量CtiltYを推定する。
コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果及び−1次回折光DL2(−1X)の検出結果とチルト量Ctiltxとの相関関係を規定するXチルト相関情報を用いて、チルト量CtiltXを推定してもよい。例えば、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度との差分が大きくなるほどチルト量CtiltXの絶対値が大きくなるという相関関係を規定するXチルト相関情報を用いて、チルト量CtiltXを推定してもよい。
このようなXチルト相関情報の一具体例は、数式1に示される。尚、数式1において、Lは、上述したようにミラー要素141のサイズを示す。λは、検査光DL1の波長を示す。θは、検査領域14bに対する検査光DL1の入射角度を示す。η+Xは、反射光DL2(0)の強度で規格化した、+1次回折光DL2(+1X)の回折効率を示す。η−Xは、反射光DL2(0)の強度で規格化した、−1次回折光DL2(−1X)の回折効率を示す。尚、+1次回折光DL2(+1X)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1X)の強度に応じて定まる。具体的には、+1次回折光DL2(+1X)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1X)の強度が大きくなるほど大きくなる。このため、+1次回折光DL2(+1X)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1X)の強度と実質的には等価である。−1次回折光DL2(−1X)の回折効率及び−1次回折光DL2(−1X)の強度についても同様である。
同様に、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1Y)の検出結果及び−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果とチルト量C
tiltYとの相関関係を規定するYチルト相関情報を用いて、チルト量C
tiltYを推定してもよい。つまり、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度と−1次回折光DL2(−1Y)の強度との差分が大きくなるほどチルト量C
tiltYの絶対値が大きくなるという相関関係を規定するYチルト相関情報を用いて、チルト量C
tiltYを推定してもよい。
このようなYチルト相関情報の一具体例は、数式2に示される。尚、数式2において、η+Yは、反射光DL2の強度で規格化した、+1次回折光DL2(+1Y)の回折効率を示す。η−Yは、反射光DL2の強度で規格化した、−1次回折光DL2(−1Y)の回折効率を示す。尚、+1次回折光DL2(+1Y)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度に応じて定まる。具体的には、+1次回折光DL2(+1Y)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度が大きくなるほど大きくなる。このため、+1次回折光DL2(+1Y)の回折効率は、+1次回折光DL2(+1Y)の強度と実質的には等価である。−1次回折光DL2(−1Y)の回折効率及び−1次回折光DL2(−1Y)の強度についても同様である。
チルト量C
tiltx及びC
tiltYを推定する動作に続いて又は並行して、コントローラ184は、ステップS23の検出結果を用いて、歪み量C
bowを推定する(ステップS25)。具体的には、上述したように、複数のミラー要素141は、所定の配置間隔pで周期的に配列されている。このため、複数のミラー要素141は、検査光DL1に対して回折格子(いわゆる、位相グレーティング)として機能し得る。更には、複数のミラー要素141から構成される回折格子の光学的特性は、複数のミラー要素141の歪みに応じて変動する。従って、回折格子として機能し得る複数のミラー要素141を包含する検査領域14bから出射する+1次回折光DL2(+1X)は、複数のミラー要素141の歪み量C
bowに関する情報を含んでいる。具体的には、歪み量C
bowの絶対値が大きくなるほど、+1次回折光DL2(+1X)の強度(つまり、回折効率)が大きくなる。−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)についても同様のことが言える。そこで、第1実施形態では、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの検出結果を用いて、歪み量C
bowを推定する。具体的には、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの強度を用いて、歪み量C
bowを推定する。例えば、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの強度が大きくなるほど歪み量C
bowの絶対値が大きくなるように、歪み量C
bowを推定する。
コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの検出結果と歪み量Cbowとの相関関係を規定する歪み相関情報を用いて、歪み量Cbowを推定してもよい。例えば、コントローラ184は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの強度が大きくなるほど歪み量Cbowの絶対値が大きくなるという相関関係を規定する歪み相関情報を用いて、歪み量Cbowを推定してもよい。
このような歪み相関情報の一具体例は、数式3から数式に示される。尚、数式3は、+1次回折光DL2(+1X)の強度を用いて歪み量Cbowを推定するための歪み相関情報の一例を示している。一方で、上述したように、検査装置18は、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの強度を用いて歪み量Cbowを推定可能である。この場合には、数式3における「η+X」は、「η−X」、「η+Y」又は「η−Y」に置き換えられてもよい。数式3における「η+X」が「η−X」に置き換えられる場合には、更に、数式3における「+2LCtiltX」が「−2LCtiltX」に置き換えられる。数式3における「η+X」が「η+Y」に置き換えられる場合には、更に、数式3における「CtiltX」が「CtiltY」に置き換えられる。数式3における「η+X」が「η−Y」に置き換えられる場合には、更に、数式3における「+2LCtiltX」及び「CtiltX」が、夫々、「−2LCtiltY」及び「CtiltY」に置き換えられる。
ここで、数式1から数式3の導出理由について説明する。まず、複数のミラー要素141の形状を、数式4が規定するシミュレーションモデルによって定義する。尚、数式4において、(x、y)は、XY平面上での座標を示す。数式4において、h(x、y)は、複数のミラー要素141の形状(特に、ミラー要素141の各部のZ軸方向の位置によって実質的に特定される形状)をXY平面上の分布関数として示す関数である。つまり、h(x、y)は、座標(x、y)におけるミラー要素141の形状を示す。数式4において、h1(x、y)は、数式5が満たされる場合には数式6が示す数値をとる一方で、数式5が満たされない場合にはゼロになる関数(いわゆる、くし型関数)である。このため、h1(x、y)は、実質的には、各ミラー要素141の形状(特に、Z軸方向の位置)を、ミラー要素141の分布に合わせて離散的に示す関数であると言える。数式4におけるδ
∞(x)及びδ
∞(y)は、夫々、数式7及び8で定義される。数式4における「*」という演算子は、畳み込みを示す演算子である。
このような数式4によって形状が示される複数のミラー要素141からの+1次回折光DL2(+1X)の回折効率η
+Xは、数式9によって特定可能である。同様に、このような数式4によって形状が示される複数のミラー要素141からの−1次回折光DL2(−1X)の回折効率η
−Xは、数式10によって特定可能である。尚、数式9及び10における「A
+」、「A
−」、「B
+」、「B
−」、「C」及び「D」は、夫々、数式11から数式16によって定義される。ここで、erf(x)は誤差関数である。
更に、数式9及び10は、夫々、数式17及び18によって近似可能である。この近似式から分かるように、+1次回折光DL2(+1X)の回折効率η
+X及び−1次回折光DL2(−1X)の回折効率η
−Xの夫々は、X軸周りのチルト量C
tiltXに依存して変動する一方で、Y軸周りのチルト量C
tiltYに依存して変動することはない。
ここで、数式17と数式18との差分は、数式19によって示される。数式19をチルト量C
tiltXについて解くと、上述した数式1が得られる。但し、上述した数式1には、近似式に相当する数式19を実測値に近づけるための所定の係数(具体的には、“1.2”という係数)が付加されている。尚、数式2も同様の手順で導出可能である。更に、数式17を歪み量C
bowについて解くと、上述した数式3が得られる。
再び図4において、チルト量C
tilt及び歪み量C
bowが推定された後には、コントローラ17は、検査装置18がウェハ161への露光光EL3の照射を妨げない非検査位置に位置するまで検査装置18が移動するように、移動装置19を制御する(ステップS26)。その結果、検査装置18は、非検査位置に位置することになる。
その後、コントローラ17は、露光装置1が新たなウェハ161を露光するか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27の判定の結果、露光装置1が新たなウェハ161を露光しないと判定される場合には(ステップS27:No)、図4に示す動作が終了する。
他方で、ステップS27の判定の結果、露光装置1が新たなウェハ161を露光すると判定される場合には(ステップS27:Yes)、ステップS11以降の動作が繰り返される。つまり、露光装置1は、新たなウェハ161に対して露光光EL3を照射することで、新たなウェハ161を露光する。このとき、コントローラ17は、検査装置18の検査結果(つまり、チルト量Ctilt及び歪み量Cbow)を用いて、露光光EL3でウェハ161を露光する動作を制御してもよい。具体的には、コントローラ17は、チルト量Ctilt及び歪み量Cbowを用いて、所望のデバイスパターンをウェハ161に適切に転写可能な適切な露光光EL3がウェハ161に照射されるように、光源11、照明光学系12、空間光変調器14、投影光学系15及びステージ16の少なくとも一つを制御してもよい。例えば、チルト量Ctiltがゼロでない場合には、チルト量Ctiltがゼロである場合と比較して、ウェハ161上の各領域部分に対する露光光EL3の露光量が変わる可能性がある。同様に、歪み量Cbowがゼロでない場合には、歪み量Cbowがゼロである場合と比較して、ウェハ161上の各領域部分に対する露光光EL3の露光量が変わる可能性がある。このため、コントローラ17は、チルト量Ctilt及び歪み量Cbowに依存することなく、ウェハ161上の各領域部分に対する露光光EL3の露光量が適切な露光量となるように、光源11、照明光学系12、空間光変調器14、投影光学系15及びステージ16の少なくとも一つを制御してもよい。
以上説明したように、第1実施形態の露光装置1は、空間光変調器14に対して検査光DL1を照射すると共に、当該検査光DL1の照射に起因して発生する出射光DL2を検出することで、空間光変調器14を検査することができる。このため、露光装置1は、区間光変調器14を比較的容易に検査することができる。
尚、上述した説明では、検査装置18は、チルト量Ctiltとして、チルト量Ctiltx及びCtiltYの双方を推定している。しかしながら、検査装置18は、チルト量Ctiltxを推定する一方で、チルト量CtiltYを推定しなくてもよい。この場合には、検査装置18は、主としてチルト量CtiltYを推定するために用意されている受光器183(+1Y)及び183(−1Y)を備えていなくてもよい。更に、この場合には、検査領域14bは、X軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含する一方で、Y軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含していなくてもよい。
或いは、検査装置18は、チルト量CtiltYを推定する一方で、チルト量Ctiltxを推定しなくてもよい。この場合には、検査装置18は、主としてチルト量Ctiltxを推定するために用意されている受光器183(+1X)及び183(−1X)を備えていなくてもよい。更に、この場合には、検査領域14bは、Y軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含する一方で、X軸方向に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含していなくてもよい。
上述した説明では、検査装置18は、チルト量Ctilt及び歪み量Cbowの双方を推定している。しかしながら、検査装置18は、チルト量Ctiltを推定する一方で、歪み量Cbowを推定しなくてもよい。或いは、検査装置18は、歪み量Cbowを推定する一方で、チルト量Ctiltを推定しなくてもよい。検査装置18がチルト量Ctiltを推定しない場合には、検査装置18は、受光器183(+1X)、183(−1X)、183(+1Y)及び183(−1Y)の少なくとも一つを備えていればよい。更に、検査装置18がチルト量Ctiltを推定しない場合には、検査領域14bは、X軸方向及びY軸方向のいずれか一方に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含する一方で、X軸方向及びY軸方向のいずれか他方に沿って隣接する少なくとも2つのミラー要素141を包含していなくてもよい。また、チルト量Ctiltを推定することなく上述の数式3に示す歪み相関情報を用いて歪み量チルト量Cbowを推定する場合には、コントローラ184は、チルト量Ctiltがゼロ(或いは、その他任意の定数)であるものと仮定してもよい。
上述した説明では、反射光DL2(0)は、主として、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の強度(言い換えれば、回折効率)を規格化するために用いられている。但し、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の強度が、反射光DL2(0)の強度によって規格化されていなくてもよい。この場合には、検査装置18は、反射光DL2(0)を検出するための受光器183(0)を備えていなくてもよい。
上述した説明では、検査装置18は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの検出結果を用いて、チルト量Ctilt及び歪み量Cbowを推定している。しかしながら、検査装置18は、より高次の回折光DL2の検出結果を用いて、チルト量Ctilt及び歪み量Cbowを推定してもよい。
上述した説明では、光変調面14a上には、単一の検査領域14bが設定されている。しかしながら、光変調面14a上には、複数の検査領域14bが設定されていてもよい。この場合、検査装置18は、複数の検査領域14bに対して順に検査光DL1を照射してもよい。更に、検査装置18は、各検査領域14bからの出射光DL2の検出結果を用いて、各検査領域14b内に位置する又は各検査領域14bを含む所定領域内に位置するミラー要素141の状態を推定してもよい。この場合には、検査装置18は、複数のミラー要素141が全て同じように歪むものとみなさなくてもよいし、複数のミラー要素141が全て同じように傾くものとみなさなくてもよい。
上述した説明では、検査装置18は、露光光EL3によって露光されたウェハ161がアンロードされた後に又は露光光EL3によって露光されたウェハ161のアンロードと並行して、空間光変調器14を検査している。しかしながら、検査装置18は、露光光EL3がウェハ161に照射されていない任意の期間中に、空間光変調器14を検査してもよい。例えば、検査装置18は、ウェハ161がローディングされる前に、空間光変調器14を検査してもよい。例えば、検査装置18は、ウェハ161がローディングされてからウェハ161の露光を開始するまでの期間の少なくとも一部において、空間光変調器14を検査してもよい。例えば、検査装置18は、ウェハ161の露光が完了してからウェハ161がアンローディングされるまでの期間の少なくとも一部において、空間光変調器14を検査してもよい。例えば、ウェハ161が露光される露光期間中であっても、ステージ16がX軸方向に沿って移動している期間(つまり、ステップ移動期間、図3(a)参照))中は、ウェハ161に対する露光光EL3の照射が一時的に中断される。このため、検査装置18は、ステップ移動期間の少なくとも一部において、空間光変調器14を検査してもよい。
上述した説明では、検査装置18は、1枚のウェハ161の露光が完了する都度、空間光変調器14を検査している。しかしながら、検査装置18は、2枚以上の(或いは、所定枚数の)ウェハ161の露光が完了する都度、空間光変調器14を検査してもよい。
上述した説明では、コントローラ17は、検査装置18の出力を用いて、ウェハ161上の各領域部分に対する露光光EL3の露光量が適切な露光量となるように、光源11、照明光学系12、空間光変調器14、投影光学系15及びステージ16の少なくとも一つを制御している。しかしながら、コントローラ17は、検査装置18の出力に基づいて、空間光変調器14の交換を促す警告を不図示の表示装置に出力させてもよい。また、コントローラ17は、検査装置18の出力に基づいて、空間光変調器14の交換時期を推測してもよい。
上述した説明では、露光装置1が検査装置18を備えている。しかしながら、露光装置1は、検査装置18を備えていなくてもよい。この場合には、空間光変調器14を検査するタイミングで、露光装置1の外部から検査装置18が露光装置1の内部(特に、検査位置)に搬送されてもよい。
(2)第2実施形態の露光装置2
続いて、図8を参照しながら、第2実施形態の露光装置2について説明する。図8に示すように、第2実施形態の露光装置2は、第1実施形態の露光装置1と比較して、検査装置18を移動するための移動装置19に代えて、空間光変調器14を移動するための移動装置29を備えているという点で異なっている。第2実施形態の露光装置2のその他の構成要件は、第1実施形態の露光装置1のその他の構成要件と同一であってもよい。このため、第1実施形態の露光装置1の構成要件と同一の構成要件については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
空間光変調器14は、コントローラ17の制御下で、移動可能である。空間光変調器14は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。例えば、空間光変調器14は、平面モータを含む移動装置29の動作により移動してもよい。但し、移動装置29は、平面モータに加えて又は代えて、他のモータ(例えば、リニアモータ)を含んでいてもよい。尚、第2実施形態では、検査装置18は、移動可能ではないが、移動可能であってもよい。
空間光変調器14は、露光光EL3によるウェハ161の露光が行われている露光期間中は、図9(a)に示すように、照明光学系12からの露光光EL2が照射され且つ投影光学系15を介してウェハ161に露光光EL3を照射可能な露光位置に位置する。一方で、空間光変調器14は、検査装置18が空間光変調器14を検査する検査期間中は、図9(b)に示すように、検査装置18からの検査光DL1が照射され且つ出射光DL2を検査装置18に向けて出射可能な被検査位置に位置する。つまり、検査期間の開始に伴い、露光期間中は露光位置に位置していた空間光変調器14は、移動装置29の動作により被検査位置に位置するようになるまで移動する。同様に、露光期間の開始に伴い、検査期間中は被検査位置に位置していた空間光変調器14は、移動装置29の動作により露光位置に位置するようになるまで移動する。
このような第2実施形態の露光装置2もまた、第1実施形態の露光装置1が享受可能な効果と同様の効果を享受可能である。
尚、露光装置2は、移動装置29に加えて、第1実施形態で説明した移動装置19も備えていてもよい。
(3)第3実施形態の露光装置3
続いて、第3実施形態の露光装置3について説明する。第3実施形態の露光装置3は、第1実施形態の露光装置1と比較して、検査装置18に代えて検査装置38を備えているという点で異なる。従って、以下では、図10(a)及び図10(b)を参照しながら、検査装置38について説明を進める。尚、第3実施形態の露光装置3のその他の構成要件は、第1実施形態の露光装置1のその他の構成要件と同一であってもよい。このため、第1実施形態の露光装置1の構成要件と同一の構成要件については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図10(a)及び図10(b)に示すように、検査装置38は、検査装置18と同様に、光源181と、受光器183(0)と、受光器183(+1X)と、受光器183(−1X)と、受光器183(+1Y)と、受光器183(−1Y)と、コントローラ184(但し、図10(a)及び図10(b)では不図示)とを備えている。検査装置38は、ビームスプリッタ182を備えていなくてもよい。
検査装置38は、光源181が出射した検査光DL1が検査領域14bに対して斜入射するという点で、光源181が出射した検査光DL1が検査領域14bに対して斜入射しなくてもよい(つまり、垂直入射する)検査装置18とは異なる。検査光DL1が検査領域14bに対して斜入射する場合であっても、検査光DL1が検査領域14bに対して垂直入射する場合と同様に、検査領域14bからは、反射光DL(0)、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)が出射する。逆に言えば、検査光DL1は、検査領域14bから反射光DL(0)、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)を出射させることが可能な適切な入射角で検査領域14bに対して入射する。光源181は、このような適切な入射角で検査光DL1を検査領域14bに対して入射させることが可能な適切な位置に配置される。受光器183(0)、受光器183(+1X)、受光器183(−1X)、受光器183(+1Y)及び受光器183(−1Y)は、夫々、検査光DL1の斜入射に起因して発生する反射光DL(0)、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)を検出可能な適切な位置に配置される。
このような第3実施形態の露光装置3もまた、第1実施形態の露光装置1が享受可能な効果と同様の効果を享受可能である。
加えて、斜入射に起因して、光源181及び複数の受光器183を、露光光EL2及びEL3の光路に重ならないように配置することも可能である。具体的には、図10(a)は、露光光EL2及びEL3の光路を避けて、光源181、受光器183(0)、受光器183(+1Y)及び受光器183(−1Y)を配置する例を、YZ平面に沿った断面内で示している。図10(b)は、露光光EL2及びEL3の光路を避けて、光源181、受光器183(+1X)及び受光器183(−1X)を配置する例を、XZ平面に沿った断面内で示している。この場合には、露光光EL3によるウェハ161の露光が行われる露光期間中の検査装置38の位置と、検査装置38が空間光変調器14を検査する検査期間中の検査装置38の位置とが同じであっても、露光光EL3によるウェハ161の露光が検査装置38によって妨げられることはない。つまり、検査装置38が移動しない場合であっても、露光光EL3によるウェハ161の露光が検査装置38によって妨げられることはない。このため、この場合には、露光装置3は、移動装置19を備えていなくてもよい。その結果、露光装置3の構造が相対的に簡易になる。
(4)第4実施形態の露光装置4
続いて、第4実施形態の露光装置4について説明する。第4実施形態の露光装置4は、上述した第1実施形態の露光装置1と比較して、空間光変調器14を検査する動作の一部が異なる。第4実施形態の露光装置4のその他の構成要件は、第1実施形態の露光装置1のその他の構成要件と同一であってもよい。
具体的には、上述した露光装置1は、+1次回折光DL2(+1X)の強度と−1次回折光DL2(−1X)の強度との差分を用いてチルト量CtiltXを推定し、その後、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の少なくとも一つの強度と推定したチルト量CtiltXとを用いて歪み量Cbowを推定している。つまり、露光装置1は、少なくとも2種類の出射光DL2の検出結果を用いて、歪み量Cbowを推定している。一方で、露光装置4は、露光装置1と比較して、単一の出射光DL2の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定可能であるという点で異なっている。例えば、露光装置4は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果を用いることなく、反射光DL2(0)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定可能である。例えば、露光装置4は、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)のうちのいずれか他の3つの検出結果並びに反射光DL2(0)の検出結果を用いることなく、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)のうちのいずれか1つの検出結果を用いて歪み量Cbowを推定可能である。
以下、反射光DL2(0)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作、及び、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)のうちのいずれか1つの検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作について順に説明する。尚、以下では、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)のうちのいずれか1つの検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作として、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作を例にあげて説明する。
(4−1)反射光DL2の検出結果を用いて歪み量C bow を推定する動作
まず、反射光DL2(0)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作について説明する。複数のミラー要素141のチルト量Ctiltがゼロである場合には、反射光DL2の強度I0は、数式20で示される。尚、数式20において、変数cは、数式21によって定義される。
数式20が示す反射光DL2(0)の強度I
0は、図11に示すように、変数cがゼロとなる(つまり、歪み量C
bowがゼロとなる)場合に最大値I
0(max)となる。更に、反射光DL2(0)の強度I
0は、変数cの絶対値が小さくなる(つまり、歪み量C
bowの絶対値が小さくなる)ほど小さくなる。このため、検査装置18は、反射光DL2(0)の実際の検出結果(つまり、実際に検出された強度I
0)と反射光DL2(0)の強度I
0の最大値I
0(max)との関係から、変数c(更には、変数cを規定する歪み量C
bow)を一意に推定することができる。具体的には、検査装置18は、最大値I
0(max)に対する反射光DL2(0)の実際の強度I
0の比を用いて、変数c(更には、変数cを規定する歪み量C
bow)を一意に推定することができる。
但し、図11から分かるように、変数cが正の値をとる場合における反射光DL2(0)の強度I0の分布と、変数cが負の値をとる場合における反射光DL2(0)の強度I0の分布とは、変数cがゼロとなる軸を中心に対称となる関係にある。従って、実際には、検査装置18は、反射光DL2の実際の強度I0と反射光DL2(0)の強度I0の最大値I0(max)との関係から、歪み量Cbowの絶対値を推定することができる。例えば、図11は、反射光DL2の実際の強度I0がI0(1)である場合には、変数cが+c(1)又は−c(1)であると推定され、歪み量Cbowが+c(1)/λ又は−c(1)/λである(つまり、歪み量Cbowの絶対値が|c(1)/λ|である)と推定される例を示している。
このため、検査装置18は、歪み量Cbowを推定するために参照する基準値として最大値I0(max)を予め記憶しておけば、+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果を用いることなく、反射光DL2(0)の検出結果を用いて歪み量Cbow(特に、その絶対値)を推定することができる。
尚、検査装置18が+1次回折光DL2(+1X)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果を用いることなく、反射光DL2(0)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する場合には、検査装置18は、受光器183(+1X)、183(−1X)、183(+1Y)及び183(−1Y)を備えていなくてもよい。更には、検査領域14bは、隣接する2つ以上のミラー要素141(特に、その反射面141a)を包含する領域でなくてもよい。
また、図11に示すグラフから分かるように、変数cが−c(2)から+c(2)の範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に対する変数cの変化量が相対的に大きくなる。このため、変数cが−c(2)から+c(2)の範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に基づく変数cの推定精度が相対的に高い。つまり、歪み量Cbowが−c(2)/λから+c(2)/λの範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に基づく歪み量Cbowの推定精度が相対的に高い。一方で、変数cが−c(2)より小さい又は+c(2)よりも大きい範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に対する変数cの変化量が相対的に小さくなる。このため、変数cが−c(2)より小さい又は+c(2)よりも大きい範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に基づく変数cの推定精度が相対的に低い。つまり、歪み量Cbowが−c(2)/λより小さい又は+c(2)/λより大きい範囲にある場合には、反射光DL2(0)の強度I0に基づく歪み量Cbowの推定精度が相対的に低くなる。このため、検査装置18は、(i)反射光DL2(0)の強度I0が変数cが−c(2)又は+c(2)となる場合の強度I0(2)より大きい場合には、反射光DL2(0)の強度I0を用いて歪み量Cbowを推定し、(ii)反射光DL2(0)の強度I0が強度I0(2)より小さい場合には、反射光DL2(0)の強度I0を用いて歪み量Cbowを推定しなくてもよい。
(4−2)+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量C bow を推定する動作
続いて、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作について説明する。複数のミラー要素141のチルト量Ctiltがゼロである場合には、+N次回折光DL2(+NX)及びDL2(+NY)並びに−N次回折光DL2(−NX)及びDL2(−NY)の夫々の強度INは、数式22で示される。従って、+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xは、数式22の変数Nに1を代入することで得られる。
数式22が示す+1次回折光DL2(+1X)の強度I
+1Xは、図12に示すように、変数cがゼロとなる(つまり、歪み量C
bowがゼロとなる)場合に極小値I
+1X(min)となる。更に、+1次回折光DL2(+1X)の強度I
+1Xは、図12に示すように、変数cの絶対値がある値c(3)となる場合に極大値I
+1X(max)となる。このため、検査装置18は、+1次回折光DL2(+1X)の実際の検出結果(つまり、実際に検出された強度I
+1X)と+1次回折光DL2(+1X)の強度I
+1Xの極小値I
+1X(min)又は極大値I
+1X(max)との関係から、変数c(更には、変数cを規定する歪み量C
bow)を一意に推定することができる。具体的には、検査装置18は、極小値I
+1X(min)又は極大値I
+1X(max)に対する+1次回折光DL2(+1X)の実際の強度I
+1Xの比を用いて、変数c(更には、変数cを規定する歪み量C
bow)を一意に推定することができる。
但し、図12から分かるように、変数cが正の値をとる場合における+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xの分布と、変数cが負の値をとる場合における+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xの分布とは、変数cがゼロとなる軸を中心に対称となる関係にある。従って、実際には、検査装置18は、+1次回折光DL2(+1X)の実際の強度I+1Xと+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xの極小値I+1X(min)又は極大値I+1X(max)との関係から、歪み量Cbowの絶対値を推定することができる。例えば、図12は、+1次回折光DL2(+1X)の実際の強度I+1XがI+1X(4)である場合には、変数cが+c(4)又は−c(4)であると推定され、歪み量Cbowが+c(4)/λ又は−c(4)/λである(つまり、歪み量Cbowの絶対値が|c(4)/λ|である)と推定される例を示している。
このため、検査装置18は、歪み量Cbowを推定するために参照する基準値として極小値I+1X(min)又は極大値I+1X(max)を予め記憶しておけば、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbow(特に、その絶対値)を推定することができる。但し、第2変形例で用いる「極小値I+1X(min)又は極大値I+1X(max)と実際の強度I+1Xとの関係」は、実質的には、強度I+1Xの比例係数であるとも言える。このため、比例係数の精度(或いは、分解能)を向上させるために、検査装置18は、実際の強度I+1Xと極大値I+1X(max)との関係から、歪み量Cbowの絶対値を推定してもよい。
尚、検査装置18が反射光DL2(0)、−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)及び−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果を用いることなく、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する場合には、検査装置18は、受光器183(0)、183(−1X)、183(+1Y)及び183(−1Y)を備えていなくてもよい。更には、検査領域14bは、隣接する2つ以上のミラー要素141(特に、その反射面141a)を包含する領域でなくてもよい。検査装置18が−1次回折光DL2(−1X)、+1次回折光DL2(+1Y)又は−1次回折光DL2(−1Y)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する場合についても、同様のことが言える。
また、図12に示すグラフから分かるように、変数cが0から+c(3)の範囲にある場合には、変数cが増加するにつれて+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xが増加する。一方で、変数cが+c(3)よりも大きい範囲にある場合には、変数cが増加するにつれて+1次回折光DL2(+1X)の強度I+1Xが減少する。このため、+1次回折光DL2(+1X)の実際の検出結果だけでは、+1次回折光DL2(+1X)の実際の検出結果が、0から+c(3)/λの範囲の歪み量Cbowに対応している検出結果であるのか、又は、+c(3)/λより大きい範囲の歪み量Cbowに対応している検出結果であるのか判別することができない。変数cが0より小さい場合も同様に、+1次回折光DL2(+1X)の実際の検出結果だけでは、+1次回折光DL2(+1X)の実際の検出結果が、0から−c(3)/λの範囲の歪み量Cbowに対応している検出結果であるのか、又は、−c(3)/λより小さい範囲の歪み量Cbowに対応している検出結果であるのか判別することができない。このため、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbowを推定する動作は、歪み量Cbowが+c(3)/λよりも大きいか否か(或いは、−c(3)/λよりも小さいか否か)が予め判明している場合に行われてもよい。この場合、+1次回折光DL2(+1X)の検出結果を用いて歪み量Cbowが適切に推定可能である。
(5)第5実施形態の露光装置5
続いて、図13を参照しながら、第5実施形態の露光装置5について説明する。図13に示すように、第5実施形態の露光装置5は、第1実施形態の露光装置1と比較して、光変調面14aがカバーガラス51によって保護されているという点で異なっている。第5実施形態の露光装置5のその他の構成要件は、第1実施形態の露光装置1のその他の構成要件と同一であってもよい。このため、第1実施形態の露光装置1の構成要件と同一の構成要件については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
光変調面14aがカバーガラス51によって保護されている場合は、露光光EL2は、カバーガラス51を介して光変調面14aに照射される。更に、光変調面14aによって空間変調された露光光EL3は、カバーガラス51を介して投影光学系15に入射する。更に、検査光DL1は、カバーガラス51を介して検査領域14bに照射される。
このようなカバーガラス51を露光装置5が備えている場合には、露光装置5は、検査装置18に代えて、検査装置58を備える。検査装置58は、図14に示すように、検査装置18と同様に、光源181と、受光器183(0)と、受光器183(+1X)と、受光器183(−1X)と、受光器183(+1Y)と、受光器183(−1Y)と、コントローラ184とを備えている。但し、図14では、図面の簡略化のために、受光器183(+1X)と、受光器183(−1X)と、コントローラ184とは図示されていない。更に、検査装置38は、ビームスプリッタ182を備えていなくてもよい。
第5実施形態では、検査装置58は、偏光板581を更に備えている。偏光板581は、光源181とカバーガラス51との間における検査光DL1の光路上に配置される。偏光板581は、検査光DL1をp偏光に変換する。第5実施形態では更に、カバーガラス51に対する検査光DL1(つまり、p偏光に変換された検査光DL1)の入射角θiが、ブルースター角(言い換えれば、偏光角)となるように、光源181及び偏光板581が位置合わせされている。その結果、第5実施形態では、検査光DL1がカバーガラス51の表面で殆ど反射しなくなる。このため、検査光DL1のカバーガラス51での反射に起因したノイズが、出射光DL2に重畳されることがない。従って、検査光DL1のカバーガラス51での反射に起因した検査精度の悪化が適切に防止される。
(6)その他の変形例
尚、図1から図14を用いて説明した露光装置1及び検査装置18の構造及び動作は一例である。従って、露光装置1及び検査装置18の構造及び動作の少なくとも一部が適宜改変されてもよい。以下、露光装置1及び検査装置18の構造及び動作の少なくとも一部の改変の例について説明する。
上述の説明では、露光装置1は、液体を介することなくウェハ161を露光するドライタイプの露光装置である。しかしながら、露光装置1は、露光光EL3の光路を含む液浸空間を投影光学系15とウェハ161との間に形成すると共に、投影光学系15及び液浸空間を介してウェハ161を露光する液浸露光装置であってもよい。尚、液浸露光装置の一例は、例えば、欧州特許出願公開第1,420,298号明細書、国際公開第2004/055803号及び米国特許第6,952,253号明細書等に開示されている。
露光装置1は、複数のステージ16を備えるツインステージ型又はマルチステージ型の露光装置であってもよい。露光装置1は、複数のステージ16及び計測ステージを備えるツインステージ型又はマルチステージ型の露光装置であってもよい。ツインステージ型の露光装置の一例は、例えば、援用によって本願明細書に取り込まれる米国特許第6,341,007号、米国特許第6,208,407号及び米国特許第6,262,796号に開示されている。
光源11は、露光光EL1として、波長が193nmであるArFエキシマレーザ光とは異なる任意の光を射出してもよい。例えば、光源11は、波長が248nmであるKrFエキシマレーザ光等の遠紫外光(DUV光:Deep Ultra Violet光)を射出してもよい。光源11は、F2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光:Vacuum Ultra Violet光)を射出してもよい。光源11は、所望の波長を有する任意のレーザ光又はその他任意の光(例えば、水銀ランプから射出される輝線であり、例えば、g線、h線若しくはi線等)を射出してもよい。光源11は、米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(或いは、エルビウムとイットリウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅すると共に非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換することで得られる高調波を射出してもよい。光源11は、波長が100nm以上の光に限らず、波長が100nm未満の光を射出してもよい。例えば、光源11は、軟X線領域(例えば、5から15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultra Violet)光を射出してもよい。露光装置1は、光源11に加えて又は代えて、露光光EL1として用いることが可能な電子線ビームを射出する電子線ビーム源を備えていてもよい。露光装置1は、光源11に加えて又は代えて、YAGレーザ若しくは固体レーザ(半導体レーザ等)から出力されるレーザ光の高調波を生成する固体パルスレーザ光源を備えていてもよい。固体パルスレーザ光源は、露光光EL1として用いることが可能な波長が193nm(これ以外の種々の波長、例えば213nm、266nm、355nm等の波長が可能)でパルス幅1ns程度のパルスレーザ光を1〜2MHz程度の周波数で射出可能である。露光装置1は、光源11に加えて又は代えて、露光光EL1として用いることが可能な任意のエネルギビームを射出するビーム源を備えていてもよい。
デバイスパターンが転写される物体は、ウェハ161に限らず、ガラス板や、セラミック基板や、フィルム部材や、マスクブランクス等の任意の物体であってもよい。露光装置1は、ウェハ161に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置であってもよい。露光装置1は、液晶表示素子製造用の又はディスプレイ製造用の露光装置であってもよい。露光装置1は、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(例えば、CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ及びフォトリソグラフィーに用いられるマスク若しくはレチクルのうちの少なくとも一つを製造するための露光装置であってもよい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図15に示す各ステップを経て製造されてもよい。マイクロデバイスを製造するためのステップは、マイクロデバイスの機能及び性能設計を行うステップS201、機能及び性能設計を用いて空間光変調器14を制御するための制御データ(つまり、複数のミラー要素141の状態の分布を規定する変調パターンデータ)を生成するステップS202、デバイスの基材であるウェハ161を製造するステップS203、空間光変調器14が露光光EL2を反射することで得られる露光光EL3を用いてウェハ161を露光し且つ露光されたウェハ161を現像するステップS204、デバイス組み立て処理(ダイシング処理、ボンディング処理、パッケージ処理等の加工処理)を含むステップS205及びデバイスの検査を行うステップS206を含んでいてもよい。
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う検査装置及び検査方法、露光装置及び露光方法、並びに、デバイス製造方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。