JP2018155608A - 蛍光体集積粒子複合体を用いた多段階蛍光染色方法および蛍光体集積粒子複合体 - Google Patents

蛍光体集積粒子複合体を用いた多段階蛍光染色方法および蛍光体集積粒子複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】多段階蛍光免疫染色において、染色試薬の不完全な解離による蛍光の映り込みを解消することで、各工程における蛍光輝点数の正確な解析を可能にする、多段階蛍光染色方法を提供する。【解決手段】蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、検体に含まれる標的物質とを反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程、(2)蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体と標的物質との解離工程、(3)蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光色素集積粒子複合体と、検体に含まれる標的物質との蛍光染色工程、を含む多段階蛍光染色方法。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体集積粒子複合体を用いた多段階蛍光染色方法および蛍光体集積粒子複合体に関する。
疾患の治療や予後の経過を判定するための1つの手段として、病理診断が行われており、その一つとして、検体の分子情報を確認して遺伝子やタンパクの発現異常といった機能異常を診断するための分子標的染色である組織染色が行われている。タンパク質を標的として染色する組織免疫染色方法として、色素を用いるヘマトキシリン−エオジン〔HE〕染色、酵素を用いたDAB染色法が従来から広く行われてきたが、その染色濃度は温度、時間などの環境条件により大きく左右され、正確な定量測定は困難であるとされている。
そのため、酵素標識による染色の代わりに、蛍光標識体を用いた蛍光免疫染色法も行われており、この方法は、DAB染色と比べて精度および定量性に優れるという特徴がある。
蛍光免疫染色法は、例えば組織切片に存在する特定の抗原を対象として、その抗原に対して抗原抗体反応により直接的または間接的に結合する抗体(第1次抗体またはこの第1次抗体と特異的に結合する第2〜n次抗体)と、その抗体に直接共有結合している、またはハプテン等を介して結合している蛍光体とを組み合わせて染色用の試薬とし、該試薬を用いて前記特定の抗原を蛍光標識する方法が一般的に行われている。
かかる蛍光免疫染色法の一つの実施形態として、同一の組織切片(検体)上に存在する複数の種類の抗原に対して、互いに異なる極大蛍光波長を有する複数の種類の蛍光体を同時に反応させる、多重蛍光免疫染色法が知られている(特許文献1)。しかしこの実施形態では、ある種類の抗原について蛍光観察を行うときに、目的としない抗原を標識した蛍光体由来の蛍光が、目的の波長の検出域に漏れ込むことで、正確な解析が妨げられるという問題点があった。
非特許文献1には、プロテインAを介して抗体を結合させた量子ドットを染色試薬として用いて、該染色試薬と検体とを接触させることで、検体に含まれるある抗原に対して染色を行った後、酸性条件下において界面活性剤で処理することにより染色試薬を解離させ、さらに検体に含まれる他の抗原に対する染色試薬と検体とを接触させることで、該他の抗原を染色するという、段階的に複数回の染色を行う多段階蛍光染色方法が開示されている。
特開2015−111167号公報
NATURE COMMUNICATIONS|4:1619|DOI:10.1038/ncomms2635
近年では、蛍光免疫染色をより高精度に行うために、量子ドットよりもさらに検出性能の高い蛍光体集積粒子(phosper integrated particle;PID)を用いて蛍光免疫染色が行われているが、非特許文献1に開示されている方法において、量子ドットの代わりに蛍光体集積粒子を用いる場合、染色試薬の解離処理を行っても、一部の染色試薬が完全には解離せず、サンプル上に残留することにより、次工程の観察時に蛍光の映り込みを起こすという問題があった。
本発明は前述したような課題を解決し、各染色工程ごとに蛍光輝点数を正確に解析することができる蛍光体集積粒子を用いた多段階蛍光染色方法に関する。
本発明者は、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、標的物質に直接的または間接的に結合する抗体(以下「反応性抗体」ともいう。)および後述する標的物質等に非反応性の抗体(以下「非反応性抗体」ともいう。)の2種類の抗体を結合させた、蛍光体集積粒子複合体を用いて蛍光染色を行うことで、蛍光体集積粒子複合体と標的物質との間の結合性を調整することができることを見出し、前述のような複数回の染色・解離工程を含む多段階蛍光染色における前記課題を解決した。
すなわち、本発明は以下のような多段階蛍光染色方法を提供する。
[1] 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
検体に含まれる標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体と標的物質とを解離させる処理を含む、解離工程
(3)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光色素集積粒子複合体と、
前記検体に含まれる、標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程
[2] 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
該1次抗体と検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)、(2)および(3’)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
(3’)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
該1次抗体と前記検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む、蛍光染色工程
[3] 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記1次抗体とのモル比(非反応性抗体/1次抗体)が90/10〜50/50である、[1]に記載の多段階蛍光染色方法。
[4] 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記2次抗体とのモル比(非反応性抗体/2次抗体)が90/10〜50/50である、[2]に記載の多段階蛍光染色方法。
[5] 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記1次抗体の結合定数の、1〜5倍である、[1]または[3]に記載の多段階蛍光染色方法。
[6] 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記2次抗体の結合定数の、1〜5倍である、[2]または[4]に記載の多段階蛍光染色方法。
[7] 前記可逆結合性タンパク質がプロテインAである、[1]〜[6]のいずれかに記載の多段階蛍光染色方法。
[8] 前記標的物質が腫瘍組織に発現するタンパク質である、[1]〜[7]のいずれかに記載の多段階蛍光染色方法。
[9] 前記標的物質が、HER2、PDL1、CTLA4、CD8、CD30、CD48、CD59およびki67からなる群から選ばれる、[1]〜[8]のいずれかに記載の多段階蛍光染色方法。
[10] 前記検体が組織切片である、[1]〜[9]のいずれかに記載の多段階蛍光染色方法。
[11] 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体。
[12] 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体。
本発明の多段階蛍光染色方法によれば、各染色工程ごとに蛍光輝点数を正確に解析することが可能になる。
図1は蛍光体集積粒子複合体の例を示す概念図である。(a)では、蛍光体集積粒子複合体を構成する反応性抗体として標的物質に対する1次抗体を用いており、(b)は蛍光体集積粒子複合体を構成する反応性抗体として2次抗体を用いている。 図2は、反応性抗体として2次抗体を用いた、本発明の多段階蛍光染色方法における染色工程および解離工程の一例を示す模式図である。 図3は、反応性抗体として2次抗体を用いた、本発明の多段階蛍光染色方法の一例を示す模式図である。 図4は、本発明の多段階蛍光染色方法における実施形態の一例を表す、フローチャートである。
以下、本発明に係る多段階蛍光染色方法に用いられる各要素について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
−多段階蛍光染色法−
本発明の多段階蛍光染色方法における第1の態様では、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体および標的物質に特異的に結合する1次抗体を結合させた蛍光体集積粒子複合体と、検体に含まれる標的物質とを反応させる処理を含む最初の蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物(標的物質に結合した蛍光体集積粒子複合体)の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
(3)工程(2)の後、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、前記検体に含まれる、標的物質とを反応させる、蛍光染色工程
本発明の他の態様においては前記「最初の蛍光染色工程」が、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを蛍光体集積粒子に結合させた蛍光体集積粒子複合体と、検体に含まれる標的物質に結合させた標的物質に特異的に結合する1次抗体とを反応させる処理を含む蛍光染色工程、であってもよい。
本発明の他の態様においては、工程(3)の代わりに、下記工程(3’)を行ってもよい。
(3’)工程(2)の後、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体および標的物質に特異的に結合する1次抗体に対する2次抗体を結合させた蛍光体集積粒子複合体と、前記検体に含まれる標的物質に結合させた1次抗体とを反応させる、蛍光染色工程
前記工程(1)〜(3)(または(1)〜(3’))を含む工程のセットを行う回数は特に限定されないが、解離剤の効果を考慮しながら調節することが好ましい。このセットの回数は、1回だけであってもよいし(染色工程の回数としては最初の蛍光染色工程も含めて合計2回)、2回(同じく3回)〜5回(同じく6回)、またはそれより多い回数であってもよい。
なお、前記工程のセットには、さらに、洗浄工程など他の工程が含まれていてもよい。
第N回の蛍光染色工程において工程(3)を行った場合において、第(N+1)回の蛍光染色工程は工程(3)であってもよいし、工程(3’)であってもよい。
また、蛍光染色では、検体に含まれる標的物質以外の物質(例えば核)に、抗原抗体反応以外の様式で蛍光物質(例えば核染色剤)を結合させる処理をあわせて行ってもよい。
複数回の蛍光染色工程で用いられる複数の蛍光体集積粒子複合体および対象とする標的物質は、全てが相違していてもよいし、一部が同一であってもよい。また、複数回の蛍光染色工程で用いられる検体は、通常同一の検体である。例えば、複数回の染色工程のそれぞれで2種類の蛍光体集積粒子複合体を用いる(2種類の標的物質を同時に対象とする)場合、そのうちの1種類の標的物質に対しては複数回の染色工程のすべてで同一の標的物質を標識するために同一の蛍光体集積粒子複合体を用いた染色を行ない、もう1種類の標的物質に対しては複数回の染色工程のそれぞれで異なる標的物質を標識するための異なる蛍光体集積粒子複合体を用いてもよい。このように各段階の染色を同一の蛍光体集積粒子複合体で同一の標的物質について実施することで、複数回の染色工程のそれぞれで用いた異なる蛍光体集積粒子複合体と標的物質との反応性を確認するためのコントロールをとることができる。
(蛍光染色工程)
前記蛍光染色工程における蛍光染色としては、特に限定されないが、蛍光免疫染色であることが好ましい。蛍光免疫染色は、検体、好ましくは組織切片等に含まれる標的物質、好ましくはタンパク質と、蛍光体集積粒子複合体をPBS等の希釈液に分散させた染色液とを接触させることにより、蛍光体集積粒子複合体を直接的または間接的に標的物質に結合させて行なうことが好ましい。希釈液の選択と希釈倍率については、標的物質と蛍光体集積粒子複合体とのアフィニティーに応じて最適化することができる。
蛍光染色の時間、好ましくは、検体と染色液とを接触させる時間は、一般的な蛍光免疫染色を行う場合に準じて、蛍光免疫染色が十分に行われるよう適宜調整することができるが、通常は5分〜半日程度とすればよい。
蛍光染色の温度、すなわち反応温度は、一般的な蛍光染色を行う場合に準じて、蛍光染色が十分に行われるよう適宜調整することができるが、通常は4〜37℃程度とすればよい。
蛍光染色において、検体に反応させる蛍光体集積粒子複合体の濃度は、特に限定されないが、蛍光体集積粒子複合体における抗体およびその標的物質の選択に応じて、蛍光染色が十分に行われるよう適宜調整することができる。
(観察工程)
前記観察工程は、蛍光染色工程を行った後、必要に応じて洗浄液を添加し、未反応の蛍光体集積粒子複合体を除去してから、染色した検体に対し、蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像を取得する工程であることが好ましい。ここで画像に含まれる蛍光の輝点は蛍光染色工程で得られた標的物質と蛍光体集積粒子複合体との反応物を示す。観察の際には、蛍光体集積粒子複合体に含まれる蛍光体の吸収極大波長、蛍光波長に対応した励起光源および蛍光検出用光学フィルターを選択すればよい。観察工程においては、取得した顕微鏡画像から蛍光の輝点の数または発光輝度を計測することが好ましい。観察工程において輝点数および発光輝度を計測する場合には、市販の画像解析ソフト、例えば、ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。なお、顕微鏡を使用した画像解析自体は周知であり、例えば、国際公開第2015/159776号に開示された手法を用いることができる。顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。顕微鏡画像から計測された輝点数、および/または発光輝度に基づいて、目的とする標的物質の細胞あたりの発現量、組織あたりの発現量、発現している位置等を評価することができる。
(解離工程)
解離工程では、蛍光染色工程で得られた蛍光体集積粒子複合体が結合した検体と解離液とを接触させることより、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる工程であることが好ましい。この際に、任意で用いてもよい、核染色剤のように抗原抗体反応以外の様式で結合している蛍光物質は、解離剤の影響を実質的に受けずに結合を維持したままであることが好ましい。
解離工程の時間、好ましくは、蛍光染色工程で得られた蛍光体集積粒子複合体が結合した検体と解離液とを接触させる時間は、用いる解離剤の種類および濃度に応じて十分に解離する効果が得られるよう、適宜調整することができるが、例えば、pH1〜6の酸を解離剤(解離剤の詳細は後述)として用いる場合は、通常は10秒〜30分間程度とすればよい。ただし、標的物質の機能、特に、標的物質が抗原である場合の抗原性を失う程度の過剰な反応にならないように適宜調整することが好ましい。
解離工程において用いる解離剤の濃度は、特に限定されないが、用いる解離剤の種類に応じて、標的物質と蛍光体集積粒子複合体とが十分に解離する効果が得られるよう、適宜調整することができる。ただし、標的物質の機能、特に、標的物質が抗原である場合の抗原性を失う程度の過剰な反応にならないように適宜調整することが好ましい。
[標的物質]
前記標的物質は、検体に含まれる少なくとも1種の生体物質であることが好ましく、タンパク質であることが特に好ましく、さらに主に病理診断においてタンパク質の定量ないし検出のために行われる免疫染色の対象であるタンパク質(抗原)であることが最も好ましい。前記検体として腫瘍組織を用いる場合、前記標的物質は腫瘍組織に発現するタンパク質であることが好ましく、特にがん細胞または免疫細胞に発現するタンパク質であることが好ましい。例えば、PD−L1(Programmed cell death1 ligand 1)、CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球抗原−4)、CD8、CD30、CD48、CD59、ki67などのがんに係る病理診断においてバイオマーカーとして利用することができるタンパク質; EGFR(HER1)(Epidermal Growth Factor Receptor:上皮増殖因子受容体)、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor:ヒト上皮増殖因子受容体)、HER3、HER4、VEGFR(Vasular Endothelial Growth Factor Receptor:血管内皮細胞増殖因子受容体)、IGFR(Insulin−like Growth Factor Receptor:インスリン様増殖因子受容体)、HGFR(Hepatocyte Growth Factor Receptor:肝細胞増殖因子受容体)などの増殖因子の受容体(レセプター);T細胞表面上にある重要な抑制性の免疫チェックポイント分子であって前記PD−L1の受容体であるPD−1(Programmed cell death 1)などの免疫系の受容体であるタンパク質等が挙げられる。
特に、HER2、PD−L1、CTLA4、CD8、CD30、CD48およびCD59、およびki67が、本発明の多段階蛍光染色方法を適用する際の標的物質として好適である。
[蛍光体集積粒子複合体]
標的物質を標識する蛍光標識体である蛍光体集積粒子複合体は、蛍光体集積粒子の表面に、少なくとも1種の可逆結合性タンパク質を結合させた粒子(可逆結合性タンパク質結合蛍光体集積粒子)に、少なくとも1種の非反応性抗体と、少なくとも1種の標的物質に直接的または間接的に結合する少なくとも1種の抗体(以下、「反応性抗体」と称することもある。)とを反応させることで、蛍光体集積粒子の表面に可逆結合性タンパク質を介してそれぞれの抗体を結合させたものである。
反応性抗体は、標的物質に特異的に結合する1次抗体であってもよいし、該1次抗体に特異的に結合する2次抗体であってもよい。反応性抗体として1次抗体を用いた場合、蛍光体集積粒子複合体は標的物質に直接結合する。また反応性抗体として2次抗体を用いた場合には、蛍光体集積粒子複合体は標的物質に結合した1次抗体を介して標的物質に間接的に結合する。
蛍光体集積粒子複合体を製造する際には、反応性抗体よりも可逆結合性タンパク質に対して高い結合性を持つ非反応性抗体を選択することが好ましい。例えば、非反応性抗体と可逆結合性タンパク質との結合定数は、反応性抗体と可逆結合性タンパク質との結合定数の1〜5倍であることが好ましい。
蛍光体集積粒子複合体1分子の表面に存在する抗体の量(平均表面修飾数)は、例えば、以下の方法により調べることができる。
蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体(例;抗HER抗体)は、タンパク質であるため、BCA法等を原理としたタンパク質定量キット(例;「バイオ・ラッドプロテインアッセイ」(バイオ・ラッド(Bio−Rad)社製))を用いて、夾雑タンパク質を除く精製処理(ゲル濾過、遠心処理等)を行った後の蛍光体集積粒子複合体の分散液(染色液)中のタンパク質の定量を行うことで、蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体および可逆結合性タンパク質の全重量(mg)を定量することができる。従って、あらかじめ定量しておいた蛍光体集積粒子の表面に結合した可逆結合性タンパク質の重量を除けば染色液に含まれる蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体の全重量を計測することができる。なお、反応性抗体と非反応性抗体の重量をそれぞれ求めたい場合は、例えば、可逆結合性タンパク質を結合させた蛍光体集積粒子、該粒子にさらに反応性抗体を結合させた粒子、さらに非反応性抗体を結合させた粒子、のそれぞれのタンパク質の量を定量した上で計算することによって求めることができる。
そして、該抗体の分子量は既知であるため、抗体の全重量(mg)/抗体の分子量(例;抗HER2抗体の場合であれば138,000Da)の式から、染色液中の蛍光体集積粒子複合体の表面に結合した抗体のモル数を算出することができる。蛍光体集積粒子に結合している、蛍光体集積粒子に結合する非反応性抗体と反応性抗体のモル比(非反応性抗体/反応性抗体)は90/10〜50/50の範囲内にあることが好ましい。さらに、該モル数とアボガドロ定数とから蛍光体集積粒子複合体の表面に結合した抗体の個数を算出することができる。そして、液中パーティクルカウンター(Liquid Particle Counter;リオン社製)等を用いて、前記蛍光体集積粒子複合体の分散液中の粒子数を計測することで、抗体の個数/粒子数の式から、粒子1個当たりに結合する抗体の個数を算出することができる。
[1次抗体]
1次抗体は、標的物質、好ましくは抗原にユニークなエピトープを認識して特異的に結合する抗体であり、ポリクローナル抗体であってもよいが、定量の安定性の観点から、モノクローナル抗体が好ましい。2種類以上のモノクローナル抗体を混合して使用する場合、抗体ごとに異なるエピトープについて特異的に結合するモノクローナル抗体の組合せが好ましい。
1次抗体は、標的物質に結合可能であれば、天然の抗体のように全長を有するものである必要はなく、抗体断片または誘導体であってもよい。すなわち、本明細書における「抗体」という用語には、全長の抗体だけでなく、抗体断片、キメラ抗体(ヒト化抗体等)、多機能抗体などの誘導体が包含される。
なお、1次抗体を産生する動物(免疫動物)の種類は特に限定されず、従来と同様、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどから選択すればよい。
1次抗体としては、標的物質を特異的に認識する抗標的物質抗体を好適に用いることができる。たとえば、PD−L1を標的物質とする場合は抗PD−L1抗体を、HER2を標的物質とする場合は抗HER2抗体を用いることができる。1次抗体は、標的物質を特異的に認識することができれば、いずれのアイソタイプの抗体を用いてもよいが、特にIgG抗体(免疫グロブリンG)が好適に用いられる。
[2次抗体]
2次抗体は、標的物質に固定された1次抗体における、標的物質と反応していない部分(例:Fc、F(ab)、またはF(ab'))を特異的に認識し、その1次抗体の一部または全部に結合する抗体であって、標的物質には結合しないものを指す。本明細書において「2次抗体」は、蛍光体集積粒子に結合された状態のものを意味する場合もあるし、または、将来的に結合される抗体を意味する場合もある。
2次抗体には、抗IgG抗体を好適に用いることができる。通常、2次抗体は、1次抗体と異なる免疫動物で作製され、1次抗体の動物種の抗体(Fc領域等)を認識するように作製される。2次抗体を産生する動物(免疫動物)の種類は特に限定されず、従来と同様、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどから選択すればよい。
[非反応性抗体]
非反応性抗体は、1次抗体、2次抗体、標的物質、および検体中に含まれる他の生体物質のいずれに対しても特異的に結合しない抗体であることが好ましく、蛍光体集積粒子に結合された状態であるか、または、将来的に結合される抗体を意味する。
非反応性抗体は、1次抗体、2次抗体、標的物質、および検体中に含まれる他の生体物質と結合しない抗体であれば特に限定されない。典型的には検体を採取した動物とは異なった種類の動物由来であって、1次抗体以外として用いられる抗体以外を認識する抗IgG抗体を非反応性抗体として用いることができる。
非反応性抗体を産生する動物(免疫動物)の種類は特に限定されず、従来と同様、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどから選択すればよい。
[蛍光体集積粒子]
蛍光体集積粒子は、有機物または無機物でできた母体となる粒子の内部または表面に複数の蛍光体(たとえば蛍光色素)を固定して集積した構造を有するナノサイズの粒子であることが好ましい。本発明で用いる蛍光体集積粒子は、適切な蛍光体および母体を形成する原料を選択した上で、公知の方法により作製することができる。この場合、母体(たとえば樹脂)と蛍光体は、互いに反対の電荷を有する置換基ないし部位を有しており、静電的相互作用が働くことが好適である。
母体となる粒子を形成する有機物または無機物としては、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリメラミン、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン、ポリフラン、ポリキシレン、フェノール樹脂、多糖、シリカ等、安定的に蛍光色素を内包できる物質が挙げられる。蛍光体をこのような粒子中に内包させることにより、蛍光体単独よりも励起光の照射による劣化の起こりにくい(耐光性の強い)、蛍光体集積粒子を作製することができる。たとえば、ポリスチレン、ポリメラミン、シリカなどの疎水性の化合物は、耐光性の高い蛍光体集積粒子の母体として好ましい。
[蛍光体]
蛍光体集積粒子に内包される蛍光体は特に限定されないが、例えば公知の様々な有機蛍光色素や半導体ナノ粒子(量子ドット等と称されることもある)を用いることが好適であり、適切なカットフィルターを用いることで蛍光をうまく測定できるよう、適切な励起光波長および蛍光波長を有する蛍光体を選択して用いればよい。また、「蛍光」は広義的な意味を持ち、励起のための電磁波の照射を止めても発光が持続する発光寿命の長い燐光と、発光寿命が短い狭義の蛍光とを包含する。
<有機蛍光色素>
蛍光体としての使用可能な有機蛍光色素の例としては、特に限定されず、たとえば、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、クマリン系色素分子、NBD(登録商標)系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red(登録商標)系色素分子、シアニン系色素分子、ペリレン系色素分子、オキサジン系色素分子等、有機蛍光色素として知られている物質を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,4',5',7,7'−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,7,7'−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
また、有機蛍光色素として緑色蛍光色素を選択する場合、シグナル強度の観点から、クマリン系色素分子を用いることが好ましい。
<半導体ナノ粒子>
蛍光体として使用可能な半導体ナノ粒子は特に限定されるものではなく、例えば、II−VI族化合物、III−V族化合物、またはIV族元素を成分として含有する半導体ナノ粒子(それぞれ、「II−VI族半導体ナノ粒子」、「III−V族半導体ナノ粒子」、「IV族半導体ナノ粒子」ともいう。)、例えば具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられる。
半導体ナノ粒子をコアとし、その周囲にシェルを設けたコアシェル型の半導体ナノ粒子を用いることもできる。以下、シェルを有する半導体ナノ粒子の表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
半導体ナノ粒子は必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
<蛍光体集積粒子の平均粒子径>
蛍光体集積粒子の平均粒子径は、40nm以上300nm以下であることが好ましい。母体となる粒子の平均粒子径が40nmを下回ると、蛍光体集積粒子に起因して蛍光観察で観察されるべき輝点が全く観察されないか、または観察されにくい場合がある。逆に、母体となる粒子の平均粒子径が300nmを上回ると、蛍光観察において観察される輝点が多くなりすぎる等、輝点同士が分離されずに正確に輝点をカウントすることが困難となる場合がある。
製造した蛍光体集積粒子の平均粒子径の測定は、当該分野で知られた方法により行うことができ,例えば、ガス吸着法、光散乱法、X線小角散乱法(SAXS)、透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して平均粒子径を計測する方法等により測定できる。このとき、十分な数(例えば1000個)の粒子についての粒径を計測し、その算術平均を平均粒径とすることが好ましい。TEMを用いる場合、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。また、製造した蛍光体集積粒子の粒径のばらつきを示す変動係数は特に限定されないが、20%程度以下であることが好ましい。
[蛍光体集積粒子の製造方法]
蛍光体集積粒子の製造方法は特に限定されない。粒子原料であるモノマーに色素分子を結合させて粒子を合成する方法、粒子に蛍光体を吸着させて導入する方法等、粒子への色素の導入に公知のいかなる方法を用いても構わない。
[可逆結合性タンパク質]
前記可逆結合性タンパク質は、抗体に特異的かつ可逆的に結合するタンパク質であることが好ましく、蛍光体集積粒子の表面に任意の方法で結合させることができるタンパク質であることが好ましい。可逆結合性タンパク質としては、例えばIgGのFc領域に特異的に結合するプロテインA、プロテインG、IgGのκ軽鎖に特異的に結合するプロテインL、またはこれらの誘導体を用いることができる。
可逆結合性タンパク質を蛍光体集積粒子に結合させる態様は特に限定されないが、物理吸着または化学吸着等により直接結合していてもよく、間接的に結合していてもよい。
蛍光体集積粒子が樹脂を母体とする蛍光体集積粒子である場合、その樹脂が有する官能基と、可逆結合性タンパク質が有する官能基とを、利用して結合させることができる。たとえば、メラミン樹脂であればアミノ基等の官能基を利用することができるし、アクリル樹脂、スチレン樹脂等であれば、側鎖に官能基(たとえばエポキシ基)を有するモノマーを共重合させることにより母体に導入された官能基、またはその官能基から変換された官能基(たとえば、エポキシ基とアンモニア水との反応により生成するアミノ基)を利用することができるし、さらにはそれらの官能基を利用して別の官能基を導入することもできる。
可逆結合性タンパク質を蛍光体集積粒子とを間接的に結合させる一例としては、クロスリンカー試薬、例えば、無機物と有機物とを結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤の一例としては、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基などの官能基を有し、前記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する化合物が挙げられる。具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖を有するシランカップリング剤(例えば、Gelest社製PEG−silane:no.SIM6492.7)等が挙げられる。クロスリンカー試薬としてシランカップリング剤を用いる場合、2種以上を併用してもよい。
例えば、蛍光体集積粒子がアミノ基を利用して可逆結合性タンパク質と結合する場合においては、アミノ基との反応性を有するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルおよびマレイミド基をポリエチレングリコール(PEG)鎖の両端に有するクロスリンカー試薬を利用することができる。具体的には、蛍光体集積粒子に当該クロスリンカー試薬を反応させることで蛍光体集積粒子にチオール基との反応性を有するマレイミド基を導入し、一方で、可逆結合性タンパク質には、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)を反応させた後、ヒドロキシルアミンによる脱保護処理を行なうことにより、チオール基を導入する。さらに可逆結合性タンパク質に導入されたチオール基と蛍光体集積粒子に導入されたマレイミド基をさらに反応させることによって、蛍光体集積粒子と可逆結合性タンパク質とを結合させることができる。
蛍光体集積粒子に結合した可逆結合性タンパク質は、BCA法等を原理としたタンパク質定量キット(例;「Micro BCA Protein Assay Kit」(Pierce社製))を用いて定量することができる。
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質としてプロテインAを結合させる場合の量は、蛍光体集積粒子の重量に対して、0.1〜20μg/mgであることが好ましく、1〜10μg/mgであることがより好ましい。
[解離剤]
解離工程では、標的物質と蛍光体集積粒子複合体とを解離させる処理のための試薬である解離剤(その水溶液である解離液)を用いることが好ましい。解離液として用いる水溶液は、蛍光染色方法を実施する前にあらかじめ調製しておけばよい。
解離剤としては、標的物質と蛍光体集積粒子複合体との結合に寄与しているアフィニティ(親和力)を弱める作用を有する物質を用いることができ、例えば、酸、アルカリ、塩、界面活性剤などが挙げられる。このうち酸は、細胞膜や標的物質となり得るタンパク質に対するダメージが比較的小さいため、繰り返し用いられる解離剤として好ましい。酸のpHは、1.0〜6.0が好ましい。酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸であってもよく、カルボン酸(ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等)、スルホン酸等の有機酸であってもよく、例えば、グリシン塩酸塩(pH1.5〜3程度)のように緩衝作用を有する塩を形成していてもよい。
なお、界面活性剤は細胞膜を破壊する性質を有する(浸透化剤として利用される)ため、細胞に対するダメージが酸よりも強く、アルカリおよび塩は標的物質となり得るタンパク質に対するダメージが酸よりも強いが、限られた回数であれば解離剤として用いることも可能である。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、グリシン−水酸化ナトリウム塩(pH11程度の緩衝液)を用いることができる。塩としては、例えば塩化ナトリウム、硫酸アンモニウムを用いることができる。界面活性剤としては、例えばSDS、塩酸グアニジン、チオ硫酸カリウムを用いることができる。
[検体]
本明細書において「検体」とは、組織から採取される病変部や、採取された細胞を培養した培養細胞などであって、一般的には、免疫染色法によりタンパク質の発現量を評価する場合などで慣用されているような標本スライドの形態をとる。前記検体としては、組織切片であることが好ましい。
<標本スライドの作製>
標本スライドは、例えば、被験者(ヒト、イヌ、ネコ等)の組織について一般的な病理組織診断において診断対象となる標本スライドを作製する際に用いる方法で作製することができる。具体的には、例えば、採取した被験者の組織等を、ホルマリン等を用いて固定し、アルコールで脱水処理した後、キシレン処理を行い、高温のパラフィン中に浸すことでパラフィン包埋された組織試料を3〜4μmの切片(組織切片)にしたものをスライドガラス上に載置して乾燥することで作製することができる。標本スライドは蛍光染色を行う前に、病理標本を染色する際の常法に従って前処理を行なう。前処理を行なう手法については特に限定されないが、具体的には、以下のような手順に従っておこなうことができる。
<標本スライドの前処理>
<1.脱パラフィン処理工程>
キシレンまたはその他の脱パラフィン剤を入れた容器に標本スライドを浸漬させ、パラフィンを除去する。このときの温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。次いで、エタノールを入れた容器に該切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。次いで、水を入れた容器に該切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
<2.賦活化処理>
本発明の多段階蛍光染色方法における蛍光染色として蛍光免疫染色を行なう場合は、公知の方法にならい、標的物質であるタンパク質(抗原)の賦活化処理を行う。例えば、以下の賦活液を用いて前記標本スライドを50〜130℃で、5分以上30分以下でインキュベートする処理を行う。賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の標本スライドを浸漬させ、例えば、室温条件下で3分以上30分以下インキュベートする洗浄を行う。ここで、浸漬途中でPBSを交換してもよい。
(固定処理)
前記の各処理の後など必要であれば前処理の各ステップで、標本スライドを固定するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、標本スライドをホルマリン溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、標本スライドを風乾等により乾燥させる。
以下、蛍光免疫染色を例に挙げて本発明の多段階蛍光染色方法を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[製造例1]Texas Red色素集積メラミン粒子
蛍光色素として赤色蛍光色素であるTexas Red(Sulforhodamine 101)14.4mgを水22mLに加えて溶解させた。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65g加えた。
さらに、この溶液に反応開始剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。
得られたTexas Red集積メラミン粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素などの不純物を除くため、純水による洗浄を行った。具体的には、遠心分離機(久保田製作所社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散させた。さらにこの、遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄の各工程を5回繰り返した。
以上の処理により赤色蛍光色素であるTexas Red集積メラミン粒子(励起波長590nm、発光波長620nm)を作製した。
[製造例2]Pyrromethene 556集積メラミン粒子
製造例2と同様の方法で、Texas Redに代えて緑色蛍光色素であるPyrromethene 556を使用することで、Pyrromethene 556色素集積メラミン粒子(励起波長490nm、発光波長520nm)(励起波長590nm、発光波長620nm)を作製した。
[製造例3]蛍光体集積粒子複合体の作成(その1)
製造例1、2で作成した蛍光体集積粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシランLS−3150(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間、撹拌しながら室温で反応させて表面アミノ化処理を行った。次いで、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて上記表面アミノ化処理を行なった粒子を3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようにNHS−PEG−マレイミド試薬(SM(PEG)12(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、succinimidyl-[(N-maleimidopropionamido)-dodecaethyleneglycol]ester))を用いてマレイミド基を導入することで、マレイミド基が結合したマレイミド基修飾蛍光体集積粒子分散液を得た。
プロテインA(Termo社製)に、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)を反応させた後、公知のヒドロキシルアミン処理を行うことでS−アセチル基の脱保護を行って、チオール基を付加する処理を行った。ゲルろ過カラムによるろ過を行った後のチオール基修飾プロテインAと、マレイミド基修飾蛍光体集積粒子とを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、室温で1晩反応させ、1晩後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。次いで、反応後の懸濁液を遠心分離に付して粒子を沈殿させ、上澄みを除去して精製し、EDTAを2mM含有したPBSで再分散することで、プロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液を得た。
次に、1μMに調製したプロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液6μlを、2次抗体溶液(抗ウサギIgG抗体(clone: LO−RG−1)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlおよび非反応性抗体溶液(抗マウスIgG抗体(clone: LO−MG1−13)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlと混合し、室温で1時間反応させ、Texas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体をそれぞれ得た。
[製造例4]蛍光体集積粒子複合体の作成(その2)
1μMに調製したプロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液6μlを、1次抗体溶液(BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて、抗HER2ウサギモノクローナル抗体「4B5」(ベンタナ社製)を0.05nMの濃度に希釈)1.5μlおよび非反応性抗体溶液(抗マウスIgG抗体(clone: LO−MG1−13)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlと混合し、室温で1時間反応させ、Texas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体をそれぞれ得た。
[製造例5]
1μMに調製したプロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液6μlを、2次抗体溶液(抗ウサギIgG抗体(clone: LO−RG−1)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlと混合し、室温で1時間反応させることで、Texas Red集積2次抗体付メラミン粒子およびPyrromethene 556集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体をそれぞれ得た。
[実施例1]
《多段階蛍光免疫染色》
前記で調製した蛍光体集積粒子複合体を用いて、多段階免疫染色を以下のように行った。
(1)脱パラフィン処理工程
乳がん組織アレイスライド(コスモバイオ社製「CB−A712のシリーズ」)を、常法に従って脱パラフィン化して水に置換する洗浄を行った。
(2)賦活化処理工程
洗浄した組織アレイスライドを10mMクエン酸緩衝液中(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の組織アレイスライドをPBSにより洗浄し、洗浄した組織アレイスライドに対してBSAを1%含有するPBSを用いて1時間ブロッキング処理を行った。
(3)第1染色工程
(3−1)1次反応
BSAを1%含有するPBSを用いて、ベンタナ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」を0.05nMに調製し、該抗体(1次抗体)の溶液を前述のブロッキング処理した組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
(3−2)2次反応
1次反応を行った組織アレイスライドをPBSで洗浄した後、製造例3で調製したTexasRed集積メラミン粒子複合体を1%BSA含有PBSで0.1nMに希釈した染色液に浸漬し、室温で30分反応させた。
(4)第1観察工程
2次反応後のTexasRed集積メラミン粒子複合体付組織アレイスライドに対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態の組織アレイスライドを蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」)により観察および撮像を行った。前記蛍光の波長(nm)の範囲については、光学フィルターを通すことで612〜644nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。
(5)解離工程
次に、第1観察工程後のTexasRed集積メラミン粒子複合体付組織アレイスライドを解離バッファー(pH2.8、IgG elution buffer(Thermo社製)およびSDSを含有)で5分間洗浄し、同様の洗浄をさらに2回行うことで蛍光体集積粒子複合体を組織アレイスライドから解離させた。
(6)第2染色工程
(6−1)1次反応
(3−1)と同様に、BSAを1%含有するPBSを用いて、抗ヒトki67ウサギ抗体(clone SP6;Abcam社製)を0.05nMに調製し、該抗体(1次抗体)の溶液を前述の解離工程後の組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
(7−2)2次反応
(3−2)と同様に、製造例3で調製したPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体を1%BSA含有PBSで0.1nMに希釈した染色液に浸漬し、室温で30分間反応させた。
(8)第2観察工程
励起波長を500〜550nmに設定する以外は(4)と同様にして観察を行った。
[比較例1]
第1および第2染色工程において、製造例3で調製したTexas Red集積メラミン粒子複合体の代わりに、製造例5で調製したTexas Red集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体を用い、製造例3で調製したPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体の代わりに、製造例5で調製したPyrromethene 556集積2次抗体付メラミン粒子を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
(結果・考察)
比較例においては、解離処理を行った後にも組織アレイスライド上に残存しているTexas Red集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体が確認された。表1に示されているように比較例において2回目の染色結果である緑輝点数が多いのは、残存している赤色の蛍光が漏れこみ、緑色蛍光の輝点と誤って計測されてしまうからだと考えられる。
さらに、製造例3で得られた2種類の粒子に代えて、製造例4で得られたTexas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体を用い、第1染色工程・第2染色工程ともに1次反応を行なわない以外は同様の手法を用いて染色・観察を実施した。その結果、同様に、解離処理を行った後において組織アレイスライド上にTexas Red集積メラミン粒子複合体が残存していないことが確認された。
[実施例2および4]
第1染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトPDL1ウサギ抗体(SP142、spring bioscience社製)を用い、第2染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトCD8ウサギ抗体(SP16、spring bioscience社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
[実施例3]
第1染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトPDL1マウス抗体(9E5、Isotype IgG1, GeneTex社製)を、第2染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトCD8マウス抗体(C8/144B、Isotype IgG1, LifeSpan Bio社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
なお、実施例2〜4において、Texas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体は、二次抗体および非反応性抗体として表2に示した抗体を使用した以外は製造例3と同じ手法で作製したものを使用した。
ここで蛍光体集積粒子の調製の際に用いた非反応性抗体および2次抗体のサブクラスを表2に示す。pH7付近における、IgG2a、IgG3、IgG1とプロテインAとの解離定数は、それぞれ約2×10-7M、約5×10-7M、約1×10-6Mであることが知られている。(Masayuki Oda著「International Immunology」日本免疫学会、2003年4月、(P417−P426)参照)。
(結果・考察)
蛍光体集積粒子複合体の調製において、プロテインAに対する結合能がそれぞれ等しい非反応性抗体と2次抗体とを用いた実施例3は、プロテインAに対する非反応性抗体の結合能が2次抗体に比較して弱いものを用いた実施例2、4に比べ、第2染色・観察工程における輝点(緑輝点)数が少ない。これは実施例3では第1染色工程後の解離工程において、非反応性抗体および2次抗体が同時に切断されることで、サンプル上に多くの抗体が洗浄しきれずに遊離した状態で残留し、次の染色工程における反応を妨げているからではないかと推測される。一方、非反応性抗体が2次抗体に比較して強く結合している実施例2および4では、蛍光体集積粒子複合体に結合している抗体の大多数を占める非反応性抗体が、遊離せずに蛍光体集積粒子複合体ごと洗浄されることで、サンプルから十分に除去されたからではないかと考えられる。
さらに、第2染色工程においてPyrromethene 556内包粒子複合体を用いる代わりに第1染色工程と同様にTexas Red集積メラミン粒子複合体を用いて、実施例2、3、および4と同様に染色を実施して、緑輝点数の代わりに第2観察工程においても赤輝点数を計測する試験も実施した。その結果、第2染色工程における赤い輝点数は、それぞれ500、400、600であり緑輝点数と同じであった。このことから、同じ色素を第1染色工程と第2染色工程とに使用する多段階染色においても同じ目的を達成できることがわかる。
10・・・標的物質
20・・・可逆結合性タンパク質
30・・・1次抗体
40・・・2次抗体
50・・・非反応性抗体
60・・・リンカー

Claims (12)

  1. 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
    検体に含まれる標的物質と
    を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
    (1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
    (2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体と標的物質とを解離させる処理を含む、解離工程
    (3)工程(2)の後、
    蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光色素集積粒子複合体と、
    前記検体に含まれる、標的物質と
    を反応させる処理を含む蛍光染色工程
  2. 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
    該1次抗体と検体に含まれる標的物質との結合体と
    を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)、(2)および(3’)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
    (1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
    (2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
    (3’)工程(2)の後、
    蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
    該1次抗体と前記検体に含まれる標的物質との結合体と
    を反応させる処理を含む、蛍光染色工程
  3. 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記1次抗体とのモル比(非反応性抗体/1次抗体)が90/10〜50/50である、請求項1に記載の多段階蛍光染色方法。
  4. 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記2次抗体とのモル比(非反応性抗体/2次抗体)が90/10〜50/50である、請求項2に記載の多段階蛍光染色方法。
  5. 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記1次抗体の結合定数の、1〜5倍である、請求項1または3に記載の多段階蛍光染色方法。
  6. 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記2次抗体の結合定数の、1〜5倍である、請求項2または4に記載の多段階蛍光染色方法。
  7. 前記可逆結合性タンパク質がプロテインAである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
  8. 前記標的物質が腫瘍組織に発現するタンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
  9. 前記標的物質が、HER2、PD-L1、CTLA4、CD8、CD30、CD48、CD59およびki67からなる群から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
  10. 前記検体が組織切片である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
  11. 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体。
  12. 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体。
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