JP2018153816A - 多層溶接方法および多層溶接継手 - Google Patents

多層溶接方法および多層溶接継手 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に実施することができ、溶接部の強度低下を有意に抑制することが可能な溶接方法。【解決手段】(1)第1の部材と第2の部材とを配置する工程と、(2)第1の部材と第2の部材の間に、第1回目の溶接パスにより、第1の溶接層を形成する工程と、(3)第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)により、最後の溶接層を形成する工程であって、これにより溶接部が形成される工程と、を有し、(3)工程は、第1の部材の第1の表面と第2の部材の第3の表面との間の前記溶接部の露出表面に、前記最後の溶接層以外の溶接層が露出されないように実施される、多層溶接方法。【選択図】図6

Description

本発明は、多層溶接方法および多層溶接継手に関する。
2つの部材を相互に接合する技術として、多層溶接方法が知られている。
この多層溶接方法では、第1回目の溶接パス、第2回目の溶接パス、第3回目の溶接パス…のように、溶接パスを繰り返すことにより、複数の溶接層からなる溶接部を形成することができる(例えば特許文献1)。
特開2008−68274号公報
多層溶接方法では、一般に、必要な溶接パスの回数が多くなり、このため溶接効率が低下するという問題がある。
また、多層溶接方法によって形成された溶接部は、露出表面に、多くの「界面」を有する。ここで、「界面」とは、異なる溶接パスによって生じた、溶接層同士の境界を意味する。
このような溶接部の表面に露出された「界面」は、例えば破壊の起点になるなど、溶接部の強度を低下させるおそれがある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて効率的に実施することができ、溶接部の強度低下を有意に抑制することが可能な溶接方法を提供することを目的とする。また、本発明では、そのような特徴を有する溶接継手を提供することを目的とする。
本発明では、多層溶接方法であって、
(1)相互に対向する第1および第2の表面ならびに両者をつなぐ第1の端面を有する第1の部材と、相互に対向する第3および第4の表面ならびに両者をつなぐ第2の端面を有する第2の部材とを配置する工程であって、
前記第1の部材と前記第2の部材は、前記第1の端面と、前記第2の端面が相互に対面し、前記第1の部材の前記第1の表面と、前記第2の部材の前記第3の表面とが、同じ方向を向くように配置される、工程と、
(2)前記第1の端面と前記第2の端面の間に、第1回目の溶接パスにより、第1の溶接層を形成する工程と、
(3)第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)により、前記第1の端面と前記第2の端面の間に、最後の溶接層を形成する工程であって、これにより溶接部が形成される工程と、
を有し、
前記(3)工程は、前記第1の部材の前記第1の表面と前記第2の部材の前記第3の表面との間の前記溶接部の露出表面に、前記最後の溶接層以外の溶接層が露出されないように実施される、多層溶接方法が提供される。
また、本発明では、第1の部材と第2の部材とを接合する溶接部を有する多層溶接継手であって、
前記第1の部材は、相互に対向する第1および第2の表面を有し、
前記第2の部材は、相互に対向する第3および第4の表面を有し、
前記第1の部材の前記第1の表面と、前記第2の部材の前記第3の表面とは、前記溶接部を介して接合されており、
前記溶接部は、第1回目の溶接パスに対応する第1の溶接層〜第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)に相当する最後の溶接層を有し、
前記第1の部材の前記第1の表面と前記第2の部材の前記第3の表面との間の前記溶接部の露出表面には、前記最後の溶接層以外の溶接層が露出されていない、多層溶接継手が提供される。
本発明では、従来に比べて効率的に実施することができ、溶接部の強度低下を有意に抑制することが可能な溶接方法を提供することができる。また、本発明では、そのような特徴を有する溶接継手を提供することができる。
従来の多層溶接方法によって得られた溶接継手の一例を示した模式図である。 本発明の一実施形態による多層溶接方法のフローを模式的に示した図である。 本発明の一実施形態による多層溶接方法の一工程を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態による多層溶接方法の一工程を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態による多層溶接方法の一工程を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態による多層溶接方法の一工程を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態による多層溶接継手を模式的に示した斜視図である。 実施例において得られた溶接部の断面の一例を示した写真である。 溶接部の断面の異なる領域で観察されたミクロ組織を合わせて示した図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
(従来の多層溶接方法)
本発明の特徴をより良く理解するため、まず図1を参照して、従来の多層溶接方法について簡単に説明する。
図1には、従来の多層溶接方法によって得られた溶接継手(以下、「従来の溶接継手」と称する)の模式図の一例を示す。
図1に示すように、従来の溶接継手10は、第1の部材20および第2の部材30と、両者の間に形成された溶接部50とを有する。
このような溶接部50は、以下のように形成される。
まず、第1回目の溶接パスを実施する。これにより、第1の部材20と第2の部材30の間に、第1の溶接層60Aが形成される。
次に、第2回目の溶接パスを実施する。これにより、第1の溶接層60Aの上に、第2の溶接層60Bが形成される。
以下、このような溶接パスを合計9回繰り返すことにより、9の溶接層60A〜60Iからなる溶接部50を形成することができる。なお、第9の溶接層60Iは、最後の溶接パスによって形成された溶接層である。
このような従来の多層溶接方法により、従来の溶接継手10を製造することができる。
ただし、従来の多層溶接方法では、溶接パスの回数が多くなり、このため溶接効率が低下するという問題がある。
また、従来の多層溶接方法によって形成された溶接部50は、露出表面に多くの「界面」を有する。なお、前述のように、「界面」とは、異なる溶接パスによって生じた、溶接層同士の境界を意味する。
例えば、図1に示した例では、溶接部50の露出表面(上面)には、少なくとも3つの溶接層60G、60H、および60Iが存在しており、その結果、溶接層60Gと60Hの界面S1、および溶接層60Hと60Iの界面S2の、少なくとも2つの界面が露出している。
このような溶接部50の表面に露出された「界面」は、例えば破壊の起点になるなど、溶接部50の強度を低下させるおそれがある。このため、より効率的で、溶接部50の強度低下を有意に抑制することが可能な多層溶接方法が要望されている。
(本発明の一実施形態による多層溶接方法)
次に、図2〜図6を参照して、本発明の一実施形態による多層溶接方法について説明する。
図2には、本発明の一実施形態による多層溶接方法のフローを模式的に示す。また、図3〜図6には、本発明の一実施形態による多層溶接方法の一工程を概略的に示す。
図2に示すように、本発明の一実施形態による多層溶接方法(以下、「第1の多層溶接方法」と称する)は、
(a)第1の部材および第2の部材を配置する工程(工程S110)と、
(b)第1回目の溶接パスにより、第1の部材と第2の部材の間に、第1の溶接層を形成する工程(工程S120)と、
(c)第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)により、第1の部材と第2の部材の間に、最後の溶接層を形成する工程(工程S130)と、
を有する。
以下、図3〜図6を参照して、各工程について説明する。
(工程S110)
まず、第1の部材および第2の部材が準備され、両者が適正な相対位置に配置される。
図3には、第1の部材および第2の部材が適正位置に配置された様子を模式的に示す。
図3に示すように、第1の部材120は、相互に対向する第1の表面122および第2の表面124と、両表面をつなぐ端面126とを有する。また、第2の部材130は、相互に対向する第3の表面132および第4の表面134と、両表面をつなぐ端面136とを有する。
第1の部材120および第2の部材130は、両端面126および136が相互に対面するように配置される。
なお、図3に示した例では、第1の部材120の端面126および第2の部材130の端面136は、所定の角度に傾斜されている。そのため、第1の部材120と第2の部材130を相互に対して適正に配置した場合、両者の端面126、136により、角度θのV型の開先形状が形成される。角度θは、通常、30゜〜60゜の範囲である。
ただし、これは単なる一例であって、端面126および端面136の傾斜角度は、特に限られない。例えば、第1の部材120の端面126および第2の部材130の端面136の少なくとも一方は、それぞれの部材120、130の厚さ方向に沿って延在しても良い。
また、第1の部材120と第2の部材130の間の最小間隔L(図3参照)は、例えば、0mm〜10mmの範囲である。
第1の部材120および第2の部材130は、板状であっても良い。この場合、第1の部材120および第2の部材130の厚さは、例えば、10mm〜60mmの範囲であっても良い。また、第1の部材120の第1の表面122および第2の表面124は、必ずしも平面である必要はなく、これらは曲面を有しても良い。第2の部材130の第3の表面132および第4の表面134についても同様である。
また、第1の部材120および第2の部材130の材料は、特に限られないが、これらは、例えば、炭素鋼などの鋼材であっても良い。特に、第1の部材120と第2の部材130は、同一の材料であっても、異なる材料であっても良い。
なお、図3に示した例では、第1の部材120および第2の部材130の下側には、裏あて板180が配置されている。ただし、裏あて板180は、不要な場合、省略されても良い。
(工程S120)
次に、ワイヤを用いたアーク溶接が実施される。すなわち、第1回目の溶接パスにより、第1の部材120と第2の部材130の間に、第1の溶接層が形成される。
図4には、第1回目の溶接パスにより、第1の溶接層160Aが形成された様子を模式的に示す。
第1の溶接層160Aは、第1の部材120の端面126と第2の部材130の端面136との間の、底部に形成される。
なお、第1回目の溶接パスは、従来の多層溶接方法における1つのパスに比べて、大きな入熱で実施されることが好ましい。
(工程S130)
次に、第2回目の溶接パスを実施することにより、第1の部材120と第2の部材130の間に、第2の溶接層が形成される。第2回目の溶接パスも、従来の多層溶接方法における1つのパスに比べて、大きな入熱で実施されることが好ましい。
図5には、第2回目の溶接パスにより、第1の溶接層160Aの上に、第2の溶接層160Bが形成された様子を模式的に示す。
なお、第2回目の溶接パスを実施した際に、第1の溶接層160Aの一部(第2の溶接層160Bとの接触部分)は再溶融する。従って、通常の場合、第2回目の溶接パスの実施により、第1の溶接層160Aの領域は減少する。
また、第1の溶接層160Aと第2の溶接層160Bの間の界面SS1およびその近傍には、再熱入力部が形成される。
第2回目の溶接パスの後、第3回目の溶接パス、第4回目の溶接パス、…が実施される。また、最後に、第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)が実施される。各回の溶接パスにおいて、従来の多層溶接方法における1つのパスよりも大きな入熱が行われることが好ましい。
以上の工程により、第1の部材120と第2の部材130の間に、複数の溶接層を有する溶接部が形成され、両部材が接合される。
例えば、図6には、第3回目の溶接パスによって、第3の溶接層160Cが形成され、これにより、溶接部150が形成された様子が示されている(従って、溶接パス数n=3)。
ここで、第1の多層溶接方法では、1回の溶接パスで、比較的大きなエネルギーが入熱がされる。従って、溶接パスの回数(すなわちn)は、例えば、第1の部材120および第2の部材130の厚さが10mm〜40mmの場合、おおよそ2回〜6回程度に低減される。
従って、第1の製造方法では、溶接パスの回数を、従来に比べて有意に減少させることができ、これにより溶接効率を有意に向上させることができる。
また、第1の多層溶接方法では、最後に形成される第nの溶接層(図6の例では第3の溶接層160C)は、第1の部材120の第1の表面122と第2の部材130の第3の表面132との間の溶接部150の露出表面に、異なる溶接パスによって生じる溶接層同士の界面が生じないように形成される。換言すれば、第nの溶接層は、第1の部材120の第1の表面122と第2の部材130の第3の表面132との間で、第nの溶接層以外の溶接層が露出されないように形成される。
例えば、図6に示した例では、溶接部150の第3の溶接層160Cは、溶接部150の上面視、第3の溶接層160C以外の溶接層が存在しないように形成されている。
最後(第n)の溶接層をこのように形成した場合、界面の存在によって溶接部150の強度が低下するという問題を、有意に抑制することができる。
以上の特徴により、第1の多層溶接方法では、従来に比べて効率的に多層溶接を実施することができる上、溶接部の強度低下を有意に抑制することができる。
なお、前述のように、第2回目の溶接パスを実施した際に、第1の溶接層160Aの一部(第2の溶接層160Bとの接触部分)は再溶融する。従って、第2回目の溶接パスの実施により、第1の溶接層160Aの領域は減少する。また、第1の溶接層160Aと第2の溶接層160Bの間の界面SS1およびその近傍には、再熱入力部が形成される。
同様に、第3回目の溶接パスを実施した際に、第2の溶接層160Bの一部(第3の溶接層160Cとの接触部分)は再溶融する。従って、第3回目の溶接パスの実施により、第2の溶接層160Bの領域は減少する。また、第2の溶接層160Bと第3の溶接層160Cの間の界面SS2およびその近傍には、再熱入力部が形成される。
この再熱入力部は、微細なミクロ組織を有し、最終的に得られる溶接部150の靭性向上に寄与する。従って、再熱入力部は、積極的に導入することが好ましい。
なお、多くの再熱入力部を導入するには、第i回目の溶接パスにおける入熱エネルギーを、第(i−1)回目の溶接パスにおける入熱エネルギーよりも大きくすることが有効である(ここでi=2〜n)。すなわち、溶接パスの回数が増えるにつれて、入熱エネルギーを徐々に大きくすることが好ましい。
また、第i回目の溶接パスによって生じる第iの溶接層の量(例えば、質量または体積)を、第(i−1)回目の溶接パスによって生じる第(iー1)の溶接層の量(例えば、質量または体積)よりも大きくすることでも、多くの再熱入力部を導入することができる。
断面視、溶接部150全体に対する再熱入力部の領域の割合は、5%以上であることが好ましい。再熱入力部の領域の割合が5%以上の場合、有意な靭性の向上が認められているためである。
なお、このような「再熱入力部」は、溶接部150のミクロ組織を観察することによって、容易に判断することができる。すなわち、第nの溶接層のバルク部分を占める粗大組織を有する領域に比べて、微細な組織を有する溶接部150の領域が、再熱入力部と判断される。
このような第1の多層溶接方法は、前述のような特徴が得られる限り、いかなる多層溶接技術を用いて実施されても良い。
例えば、第1の多層溶接方法は、COガスを用いたガスシールドメタルアーク溶接(GMAW)、被覆アーク溶接(FCAW)、またはサブマージアーク溶接(SAW)等のアーク溶接方法を用いて実施されても良い。
(本発明の一実施形態による多層溶接継手)
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態による多層溶接継手について説明する。
図7には、本発明の一実施形態による多層溶接継手(以下、「第1の多層溶接継手」と称する)の模式的な斜視図を示す。
図7に示すように、第1の多層溶接継手200は、第1の部材220と、第2の部材230と、両部材220、230の間の溶接部250と、裏あて板280とを有する。
第1の部材220は、相互に対向する第1の表面222および第2の表面224と、両表面をつなぐ端面226とを有する。また、第2の部材230は、相互に対向する第3の表面232および第4の表面234と、両表面をつなぐ端面236とを有する。
第1の多層溶接継手200において、第1の部材220および第2の部材230は、両端面226および236が相互に対面するように配置されている。また、第1の部材220および第2の部材230は、第1の表面222と第3の表面232とが同じ向き(上向き)となるように配置されている。
溶接部250は、第1の部材220の端面226と第2の部材230の端面236との間に設置され、これにより、第1の部材220と第2の部材230とが接合される。
なお、図7に示した例では、溶接部250は、端面226または端面236の延伸方向(Y方向)に沿って延伸するような、直線形状を有する。しかしながら、これは単なる一例に過ぎない。例えば、端面226または端面236が曲面の場合、溶接部250は、曲線部分を有しても良い。
裏あて板280は、溶接部250の直下に配置される。ただし、裏あて板280は、不要な場合、省略されても良い。
なお、第1の部材220および第2の部材230の仕様は、前述の通りである。従って、ここでは、これ以上説明しない。
一方、溶接部250は、例えば、前述の図6に示したような断面形態を有する。
より具体的には、溶接部250は、第1回目〜第n回目までの複数の溶接パスに対応する、複数の溶接層により構成される。ここで、nは2以上の整数である。
nは、第1の部材220および第2の部材230の厚さ等によっても変化するが、2〜6の範囲であることが好ましい。
ここで、前述のように、溶接部250は、第1の部材220の第1の表面222と第2の部材230の第3の表面232との間の溶接部250の露出表面に、異なる溶接パスによって生じる溶接層同士の界面が生じないように形成されている。
換言すれば、第n回目、すなわち最後の溶接パスによって形成された第nの溶接層、すなわち最後に形成された溶接層(図6の例では第3の溶接層160C)は、第1の部材220の第1の表面222と第2の部材230の第3の表面232との間に、第nの溶接層以外の溶接層が露出されないように形成されている。
従って、第1の多層溶接継手200では、界面の存在によって溶接部250の強度が低下するという問題を、有意に抑制することができる。
なお、溶接部250において、各溶接層の好適な特徴は、前述の通りである。
例えば、第1の溶接層と第2の溶接層の間の界面およびその近傍には、再熱入力部が形成されても良く、第2の溶接層と第3の溶接層の間の界面およびその近傍には、再熱入力部が形成されても良く、第nの溶接層と第(n−1)の溶接層の間の界面およびその近傍には、再熱入力部が形成されても良い。
このような再熱入力部を形成することにより、溶接部150の靭性を高めることが可能になる。
また、例えば、第i回目の溶接パスによって生じる第iの溶接層の量(例えば、質量または体積)は、第(i−1)回目の溶接パスによって生じる第(i−1)の溶接層の量(例えば、質量または体積)よりも大きくなっていても良い(ここで、iは、2〜nの整数である)。この場合、より多くの再熱入力部を溶接部250に導入することができる。
例えば、断面視、溶接部250全体に対する再熱入力部の領域の割合は、5%以上であることが好ましい。
以上、第1の多層溶接方法および第1の多層溶接継手を例に、本発明の一特徴について説明した。しかしながら、これらの記載は、単なる一例であって、本発明がその他の態様で実施されても良いことは当業者には明らかである。
次に、本発明の実施例について説明する。
前述の第1の多層溶接方法を用いて2枚の鋼板を溶接し、溶接継手を製造した。
2枚の鋼板には、厚さが約20mmのSS400鋼を使用した。両鋼板の端面で構成されるV型の開先角度θは、約50゜であり、両鋼板の間の最小間隔Lは、約4mmであった(図3参照)。
また、多層溶接には、ガスシールドメタルアーク溶接機を使用した。シールドガスはCOとし、ワイヤには、直径が1.4mmのJIS Z3313で規定されるものを使用した。
溶接パスの回数は3回とした。各溶接パスにおいて、鋼板の端面の延伸方向に沿って、全長400mmの溶接層を形成した。なお、第2回目の溶接パスでは、第1回目の溶接パスよりも大きな入熱エネルギーを投与し、第3回目の溶接パスでは、第2回目の溶接パスよりも大きな入熱エネルギーを投与した。
得られた溶接継手を検査したところ、溶接部は健全な状態であり、2枚の鋼板は適正に接合されていることが確認された。
図8には、得られた溶接部の断面写真の一例を示す。
図8に示すように、溶接部は、3つの溶接層で構成されており、第1の溶接層(最下層)、第2の溶接層(中央層)、第3の溶接層(上部層)の順に、溶接層の体積が増加していることがわかる。
また、図8から、第1の鋼板の上表面と第2の鋼板の上表面の間の溶接部の露出表面には、第3の溶接層以外の溶接層が露出されていないことがわかる。すなわち、溶接部の露出表面に、異なる溶接層同士の界面は生じていない。
図9には、溶接部の断面の異なる領域で観察されたミクロ組織の写真を合わせて示す。
図9において左側のミクロ組織は、第3の溶接層の略中央部分で観察されたものであり、右側のミクロ組織は、第2の溶接層と第3の溶接層の間の界面で観察されたものである。
これらの写真から、第2の溶接層と第3の溶接層の間の界面には、第3の溶接層のバルク部分に比べて、微細なミクロ組織が形成されていることがわかる。
これは、第2の溶接層と第3の溶接層の間の界面に、再熱入力部が形成されていることを示唆する結果である。
なお、このような評価を溶接部の一断面の全体に対して実施したところ、溶接部に対して再熱入力部が占める割合は、約5%であることがわかった。
10 従来の溶接継手
20 第1の部材
30 第2の部材
50 溶接部
60A〜60K 溶接層
120 第1の部材
122 第1の表面
124 第2の表面
126 端面
130 第2の部材
132 第3の表面
134 第4の表面
136 端面
150 溶接部
160A 第1の溶接層
160B 第2の溶接層
160C 第3の溶接層
180 裏あて板
200 第1の多層溶接継手
220 第1の部材
222 第1の表面
224 第2の表面
226 端面
230 第2の部材
232 第3の表面
234 第4の表面
236 端面
250 溶接部
280 裏あて板

Claims (6)

  1. 多層溶接方法であって、
    (1)相互に対向する第1および第2の表面ならびに両者をつなぐ第1の端面を有する第1の部材と、相互に対向する第3および第4の表面ならびに両者をつなぐ第2の端面を有する第2の部材とを配置する工程であって、
    前記第1の部材と前記第2の部材は、前記第1の端面と、前記第2の端面が相互に対面し、前記第1の部材の前記第1の表面と、前記第2の部材の前記第3の表面とが、同じ方向を向くように配置される、工程と、
    (2)前記第1の端面と前記第2の端面の間に、第1回目の溶接パスにより、第1の溶接層を形成する工程と、
    (3)第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)により、前記第1の端面と前記第2の端面の間に、最後の溶接層を形成する工程であって、これにより溶接部が形成される工程と、
    を有し、
    前記(3)工程は、前記第1の部材の前記第1の表面と前記第2の部材の前記第3の表面との間の前記溶接部の露出表面に、前記最後の溶接層以外の溶接層が露出されないように実施される、多層溶接方法。
  2. 各溶接パスは、一つ前の溶接パスに比べて大きな入熱エネルギーで実施される、請求項1に記載の多層溶接方法。
  3. 得られる溶接部において、断面視、再熱入力部の占める領域は5%以上である、請求項1または2に記載の多層溶接方法。
  4. 第1の部材と第2の部材とを接合する溶接部を有する多層溶接継手であって、
    前記第1の部材は、相互に対向する第1および第2の表面を有し、
    前記第2の部材は、相互に対向する第3および第4の表面を有し、
    前記第1の部材の前記第1の表面と、前記第2の部材の前記第3の表面とは、前記溶接部を介して接合されており、
    前記溶接部は、第1回目の溶接パスに対応する第1の溶接層〜第n回目の溶接パス(ただしnは、2以上の整数)に相当する最後の溶接層を有し、
    前記第1の部材の前記第1の表面と前記第2の部材の前記第3の表面との間の前記溶接部の露出表面には、前記最後の溶接層以外の溶接層が露出されていない、多層溶接継手。
  5. iを2〜nの整数としたとき、
    第iの溶接層は、第(i−1)の溶接層に比べて大きな体積を有する、請求項4に記載の多層溶接継手。
  6. 前記溶接部において、断面視、再熱入力部の占める領域は5%以上である、請求項4または5に記載の多層溶接継手。
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