JP2018153450A - 高視認性面ファスナー - Google Patents

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Abstract

【課題】道路工事作業者、空港作業者、警察関係者、消防関係者等が着用する安全服に使用できる高視認性の面ファスナーであって、蛍光染料により鮮明に染色されており、染色された蛍光色が耐光堅牢性に優れており、さらに難燃性に関しても優れている高視認性の面ファスナーを提供する。【解決手段】経糸、緯糸および係合素子用糸から構成され、これら糸がともにポリエステル系繊維からなる基布の表面にフック状係合素子またはループ状係合素子を有する面ファスナーであって、該面ファスナーが蛍光染料で染色されており、該緯糸が、鞘成分が共重合ポリエステルからなる芯鞘型ポリエステル系繊維からなり、同鞘成分により係合素子用糸が基布に固定されている高視認性面ファスナー。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、道路工事作業者、空港作業者、警察関係者、消防関係者等のユニフォーム等に用いられる高視認性を目的とした衣類に用いられる高視認性面ファスナーおよび同面ファスナーが取り付けられた高視認性の衣類や腕章、ワッペン等に関する。
従来、道路工事作業者、空港作業者、警察関係者、消防関係者等が安全に作業できるように、遠くからこれら作業者等の存在が判別できるように、これら作業者には、蛍光テープや反射テープを取り付けた高視認性安全服の着用が推奨されており、そしてこれら安全服が速やかに着用・固定できるように、あるいは安全服に蛍光テープや反射テープを、面ファスナーを用いて取り付けることが検討されている。さらに衣服の表面に高視認性のワッペンや腕章等を面ファスナーにより必要時に取り付けることも行われている。そして、これら安全服に使用される面ファスナーにも、鮮明な蛍光色を有していることが好ましい。
一般に衣類に用いられる面ファスナーとして、繰り返しの係合・剥離や洗濯等によっても面ファスナーが傷付けられることがなく、係合力が低下し難いことから、経糸、緯糸および係合素子用糸から構成された基布の表面にフック状係合素子またはループ状係合素子を有する織面ファスナーが用いられている。
しかしながら、従来から用いられている織面ファスナーは、ナイロン繊維やポリオレフィン系繊維からなるものであり、これら繊維からなる織面ファスナーは、いずれも、係合素子が係合・剥離の際に基布から引き抜かれることを防止するために基布の裏面にポリウレタン系やアクリル系の接着剤が塗布されており(以下、バックコート層と称す)、この接着剤により基布に織り込まれた係合素子用糸を基布に接着固定する。
ところが、このバックコート層が存在すると、面ファスナーを蛍光染料で染色する際に、染料分子が面ファスナー裏面から侵入することを妨げ、表面側のみからしか染料が浸入できず、その結果、蛍光染料で染色した面ファスナーは耐光堅牢性に劣り、いずれも、安全服には使用できないという問題点を有していた。さらに、ナイロン繊維やポリオレフィン繊維自体が、他の染料と比べて蛍光染料で染色されている場合には特に耐光堅牢性に劣るという問題点も有している。また近年では、安全服に対する基準として、JIS T 8127または、ISO 20471が制定されているが、ナイロン繊維やポリオレフィン繊維の面ファスナーは、特に耐光堅牢度の検査項目において、基準を満たしていなかった。
さらに、安全服に用いられる面ファスナーは難燃性であることが必要であるが、従来の面ファスナーでは、バックコート層が原因で難燃性を満足することが難しかった。
面ファスナーを蛍光染料により着色することに関しては、人工芝のライン用として使用される面ファスナーのバックコート層用接着剤に蛍光染料をブレンドし、この接着剤を面ファスナー裏面に塗布することが公知である(特許文献1)。
しかしながら、この方法の場合には、蛍光染料は面ファスナーの裏面のみしか存在しないこととなるため、面ファスナーを表面から見ても鮮やかな蛍光色を有しておらず、到底、安全服に求められているような高い視認性を満足できるものではない。さらに、バックコート層が存在していることから難燃性に関しても満足できるものではない。
また、吸収性物品を下着などに取り付ける固定材として、フレキシブルな基材層の片面に、係合素子となるキノコ状ステムを基材層と同時に一体成形した、いわゆる成形面ファスナーを用いること、そしてこの面ファスナーを成形する際に蛍光染料や顔料等を配合した樹脂を使用することも公知である(特許文献2)。
しかしながら、このような成形面ファスナーは繰り返しの係合・剥離により係合用ステムが基材層から切断されたり、キノコ状ステムの傘部がステムから切断され易く、面ファスナーそのものが剥離耐久性を有しておらず、さらに吸収性物品という用途から面ファスナーは鮮やかな蛍光色を必要とするものではなく、さらに蛍光色の耐光堅牢性や難燃性など要求されるものではない。
特開2004−211311号公報(0015段落) 特開2007−44139号公報(0023段落)
本発明は、道路工事作業者、空港作業者、警察関係者、消防関係者等が着用する安全服に使用できる高視認性の面ファスナーであって、蛍光染料により鮮明に染色されており、染色された蛍光色が耐光堅牢性に優れており、さらに難燃性に関しても優れている高視認性の面ファスナーを提供することにあり、さらにこのような面ファスナーが用いられた高視認性衣類等を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、経糸、緯糸および係合素子用糸から構成され、これら糸がともにポリエステル系繊維からなる基布の表面にフック状係合素子またはループ状係合素子を有する面ファスナーであって、該面ファスナーが蛍光染料で染色されており、該緯糸が、鞘成分が共重合ポリエステルからなる芯鞘型ポリエステル系繊維からなり、同鞘成分により係合素子用糸が基布に固定されている高視認性面ファスナーである。そして、このような面ファスナーの裏面には、従来の織面ファスナーのように係合素子用糸を固定するための樹脂層が存在していない。
好ましくは、上記の蛍光染料として、黄色系またはオレンジ色系の分散染料が用いられている場合である。また好ましくは、上記の鞘成分が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、芯成分、経糸および係合素子用糸が共にポリエチレンテレフタレートホモポリマーである場合である。
あるいは好ましくは、上記の鞘成分が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、芯成分、経糸およびフック状係合素子用糸が共にポリエチレンテレフタレートホモポリマー、ループ状係合素子用糸がポリブチレンテレフタレートホモポリマーである場合である。
そして本発明は、このような高視認性面ファスナーが、例えば道路工事作業者、空港作業者、警察関係者、消防関係者用の衣類に取り付けられている高視認性衣類である。さらにまた、本発明は、上記の高視認性面ファスナーが用いられた腕章またはワッペンである。
本発明の高視認性の面ファスナーは、緯糸として、鞘成分が低融点の共重合ポリエステルからなる芯鞘型ポリエステル系繊維からなる糸が用いられており、このような鞘成分には、通常の共重合されていないポリエステル繊維と比べて蛍光染料が侵入し易く、したがってこのような芯鞘型ポリエステル繊維が用いられている面ファスナーは鮮やかな蛍光色を発することとなる。
さらに本発明の面ファスナーは、通常の面ファスナーのように、バックコート層が存在していないことから、染色の際に、面ファスナー裏面からも染料分子が面ファスナー内に侵入し、その結果、表面のみならず裏面まで鮮やかな蛍光色を有していることとなり、表面のみしか染色されていないバックコート層付の面ファスナーと比べて鮮明でかつ耐光堅牢性に優れていることとなる。
さらに、本発明の面ファスナーでは、面ファスナーの難燃性を妨げるバックコート層が存在しないことから、面ファスナーの難燃性に関しても、従来の面ファスナーと比べてはるかに優れている。なお、本発明でいう難燃性とは、自己消火性を有するという完全な難燃性ではなく、火が広がる速度が遅いという程度の難燃性を意味している。
本発明の高視認性面ファスナーが取り付けられている高視認性作業服の一例の斜視図である。 本発明の高視認性面ファスナーが取り付けられている高視認性ベストの一例の斜視図である。
まず本発明の高視認性面ファスナーを構成する糸について詳細に説明する。
面ファスナーは、主として、経糸、緯糸および係合素子用糸からなる。面ファスナーがフック状係合素子を有するフック面ファスナーである場合には、係合素子用糸としてモノフィラメント糸が、またループ状係合素子を有するループ面ファスナーである場合には、係合素子用糸としてマルチフィラメント糸が、さらにフック状係合素子とループ状係合素子の両方が同一面に混在しているフック・ループ混在型面ファスナーの場合には、フック状係合素子用糸としてモノフィラメント糸が、ループ状係合素子用糸としてマルチフィラメント糸が同一面ファスナーに用いられる。
これらの経糸、緯糸、係合素子用糸は、蛍光染料に対する染色性および難燃性の点でいずれもポリエステル系繊維から構成されている必要がある。
従来から、織物を基布とする面ファスナーに関しては、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系の繊維からなる糸が広く一般に用いられているが、ポリアミド系繊維の糸を用いた場合には、蛍光染料の耐光堅牢性が劣り、さらに難燃性の点でも劣り、さらに経糸や緯糸としてナイロン系熱融着性繊維を用いて係合素子用糸を基布に融着固定させる方法を用いても、ナイロン系熱融着性繊維による基布固定力は低く、十分な係合素子の剥離耐久性を得ることはできない。
本発明において、経糸や緯糸や係合素子用糸を構成する繊維は、ポリエステル系ポリマーからなる。ポリエステル系ポリマーとは、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルまたはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルであり、主としてテレフタル酸とエチレングリコールからの縮合反応またはテレフタル酸とブタンジオールからの縮合反応により得られるポリエステルである。
好ましくは、経糸と係合素子用糸は、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはポリブチレンテレフタレートホモポリマーから形成されている場合である。いずれにしても、後述する緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を融着させるための熱処理温度で、溶融しない高い融点を有するポリエチレンテレフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。
経糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、そして経糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、20〜40本のフィラメントからなるトータルデシテックスが50〜400デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に25〜35本のフィラメントからなるトータルデシテックスが120〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
緯糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、緯糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、10〜40本のフィラメントからなるトータルデシテックスが50〜150デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に20〜30本のフィラメントからなるトータルデシテックスが80〜120デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
そして、緯糸には、バックコート層を不要とするために、熱融着性繊維を含んでいなければならず、熱融着性繊維の具体例として、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維が用いられる。緯糸が熱融着性繊維を含んでいることにより、係合素子用糸を基布に強固に固定することが可能となり、従来の面ファスナーのように、面ファスナーを剥離する際に係合素子用糸が基布から引き抜かれることを阻止するためにポリウレタン系やアクリル系のバックコート樹脂液を面ファスナー基布裏面に塗布する必要もなくなる。
緯糸に熱融着性繊維を用いることに代えて、経糸に熱融着性繊維を用いることにより係合素子用糸を基布に固定することも可能であるが、係合素子用糸は経糸に平行に基布に打ち込まれることから、経糸は係合素子用糸と交差する箇所が緯糸に比べてはるかに少なく、したがって熱融着性繊維を経糸にのみ用いた場合には係合素子用糸が基布に強固に固定され難い。さらに経糸に熱融着性繊維を用いた場合には、面ファスナーを連続生産する上で、走行する基布に掛かる張力を一定に保つことが難しく、一定品質の面ファスナーを安定に連続生産することが困難となり易い。
上記した芯鞘型の熱融着性繊維としては、鞘成分を溶融させてフック状係合素子用モノフィラメント糸またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸の根元を基布に強固に固定できるポリエステル系の樹脂からなるものが用いられ、具体的には、芯成分は熱処理条件下では溶融しない高融点ポリエステル樹脂からなり、鞘成分は溶融する低融点または低軟化点のポリエステル樹脂からなる芯鞘型の断面を有するポリエステル系繊維が挙げられる。
より具体的には、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーを芯成分とし、イソフタル酸やアジピン酸等で代表される共重合成分を多量に共重合、例えば15〜30モル%共重合することにより融点又は軟化点を大きく低下させた共重合ポリエチレンテレフタレートを鞘成分とする芯鞘型断面を有するポリエステル繊維がその代表例として挙げられる。
さらにこのような共重合成分を多量に共重合させたポリエステルは、共重合されていないポリエステルや少量の共重合成分が共重合されているポリエステルと比べて、蛍光染料で染色する際に、蛍光染料が多量にポリエステル中に浸透できることから、鮮明な蛍光色が得られることとなる。
鞘成分の融点または軟化点としては100〜200℃であり、かつ経糸や芯成分やフック状係合素子用モノフィラメント糸あるいはループ状係合素子用マルチフィラメント糸の融点より20〜150℃低いのが好ましい。芯鞘型熱融着性繊維の断面形状としては、同心芯鞘であっても、偏心芯鞘であっても、あるいは1芯芯鞘であっても、多芯芯鞘であってもよい。
さらには、緯糸を構成する繊維中に占める芯鞘型熱融着性繊維の割合は、特に緯糸の全てが実質的に芯鞘型の熱融着性繊維で形成されている場合、つまり緯糸が芯鞘型の熱融着性のフィラメントからなるマルチフィラメント糸である場合には、フック状係合素子用糸およびループ状係合素子用糸がともに強固に基布に固定されることとなるため、さらに蛍光染料で鮮やかに染色されるため好ましい。
緯糸を構成する繊維が芯鞘断面形状ではなく、繊維断面の全てが熱融着性のポリマーで形成されている場合には、溶けて再度固まった熱融着性ポリマーは脆く割れやすくなり、縫製した場合等は縫糸部分から基布が裂け易くなる。したがって、熱融着性繊維は、鞘成分が融ける温度では熱溶融されない樹脂を繊維長さ方向に連続して含んでいることが必要で、熱融着性の点で芯鞘の断面形状を有していることが必要ということになる。そして、芯成分と鞘成分の重量比率は20:80〜80:20の範囲、特に30:70〜70:30の範囲が好ましい。
フック面ファスナーまたはフック・ループ混在面ファスナーを構成するフック状係合素子には、軽い力ではフック形状が伸展されない、いわゆるフック形状保持性と剛直性が求められ、そのために太い合成繊維製のモノフィラメント糸が用いられる。本発明では、このモノフィラメント糸として、特にフック形状保持性に優れたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルから形成され、かつ上記熱融着性繊維を熱融着させる際の温度では溶融しないポリエステルからなるモノフィラメント糸が用いられる。
このようなポリエチレンテレフタレートからなるフック状係合素子用モノフィラメント糸の太さとしては、直径0.14〜0.25mmのものが十分な係合力を得られる点で好ましく、より好ましくは直径0.16〜0.22mmのものである。
一方、ループ面ファスナーまたはフック・ループ混在面ファスナーを構成するループ状係合素子用糸は、ループ状マルチフィラメントが広がり、高い係合力が得られることから、さらに面ファスナー表面が蛍光色に染色され、広がっているループ状係合素子により覆われ耐光堅牢性が向上することからポリブチレンテレフタレート系ポリエステルから構成され、かつ上記熱融着性繊維を熱融着させる際の温度では溶融しない融点、すなわち共重合されていないポリブチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸が好ましい。
ループ状係合素子用糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、5〜12本のフィラメントからなるトータルデシテックスが150〜400デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に6〜9本のフィラメントからなるトータルデシテックスが200〜300デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
次に、以上の経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸から、面ファスナーを製造する方法について説明する。
まず以上述べた経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸から面ファスナー用織物を織成する。織物の織組織としては、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸の一部とした平織が好ましい。
これら係合素子用糸は、経糸と平行に存在しつつ、組織の途中で基布面から立ち上がり、フック面ファスナーの場合にはループを形成しつつ経糸を1〜5本飛び越えて経糸間にもぐり込むような織組織で、一方、ループ面ファスナーの場合には経糸をまたぐことなくループを形成し、経糸に平行に存在している織組織が、さらにフック・ループ混在型面ファスナーの場合にはこれら両者をともに満足するような織組織が、フック状係合素子用ループの片足側部を効率的に切断でき、さらにフック状係合素子とループ状係合素子が係合し易いことから好ましい。
そして、経糸の織密度としては、熱処理後の織密度で35〜80本/cmが、また緯糸の織密度としては、熱処理後の織密度で15〜30本/cmが好ましい。そして、緯糸の重量割合としては、面ファスナーを構成するフック状係合素子用糸あるいはループ状係合素子用糸と経糸および緯糸の合計重量に対して20〜40%が好ましい。
またフック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の打ち込み本数は、それぞれ、経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して2〜6本程度が好ましい。
フック・ループ混在型面ファスナーの場合には、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の合計で経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して2〜6本が好ましく、そしてフック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の本数比が1:1〜1:4の範囲が好ましい。
なお、フック・ループ混在型面ファスナーは、通常の面ファスナーのように、フック面ファスナーとループ面ファスナーの2種類を用意して、それらを対面となるように取り付ける必要がなく、一種類の面ファスナーを対面に取り付けることにより係合力が発現するメリットを有しており、したがってフック面ファスナーとループ面ファスナーを間違えて取り付けるということが起こらない。
このようにして得られた面ファスナー用織物に、次に熱処理して緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分のみを溶融させて係合素子用のモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸を基布に強固に固定させる。
これにより、従来の面ファスナーで行われていたバックコート層付与処理が不要となり、そしてバックコート層が存在していることにより染色の際に染料分子が裏面から侵入できず、染色性不良および劣る染色堅牢性となり、さらに面ファスナーの難燃性が大きく損なわれることを防ぐことができる。さらに、この熱処理の際の熱によりフック状係合素子のループ形状が固定され、フック状係合素子の片足を切断してフック状係合素子とした後においても、フック形状を保ち、十分な係合強度が得られることとなる。
熱処理の際の温度としては、鞘成分が溶融または軟化するがそれ以外の糸や芯成分は溶融しない温度で、かつフック状係合素子用モノフィラメント糸のループ形状が熱固定される温度である150〜250℃が一般的に用いられ、より好ましくは185〜220℃の範囲、さらに好ましくは190〜210℃の範囲である。
次に、このように熱処理した面ファスナー用織物の表面から突出しているフック状係合素子用ループ脚部の片脚側部を切断してループをフック状係合素子とする。フック状係合素子用ループの片側部を切断するために用いられる切断装置としては、経糸方向に走行するフック面ファスナー用布のフック状係合素子用ループの片脚を2本の固定刃の間を可動切断刃の往復運動によって切断する構造となっている切断装置が好ましく、そのために、フック状係合素子用のループが、上記したように経糸を跨ぐ場所で形成されていると、ループの片足だけを容易に切断できることから好ましい。
またフック状係合素子の高さとしては基布裏面から1.5〜3.0mmが、またループ状係合素子の高さとしては基布面から1.6〜4.0mmが、係合力の点で、さらに係合素子の倒れにくさの点で好ましい。
フック面ファスナーにおけるフック状係合素子の密度、ループ面ファスナーにおけるループ状係合素子の密度、フック・ループ混在型面ファスナーにおけるフック状係合素子とループ状係合素子の合計密度としては、係合素子が存在している基布部分基準でかつ熱処理後の広さ基準で、それぞれ30〜120個/cm、30〜120個/cm、20〜60個/cmが好ましい。そして、フック・ループ混在型面ファスナーにおいて、フック状係合素子の個数とループ状係合素子の個数の比率としては、40:60〜60:40の範囲が好ましい。
なお、係合素子が存在している係合素子存在領域の両端に耳部と称して係合素子が存在していない係合素子不存在領域が位置している場合には、この係合素子不存在領域にも、芯鞘型ポリエステル繊維からなる緯糸が存在しており、さらに同領域の基布の表面および裏面には、係合素子用糸を固定するためのバックコート層が存在していないことが耳部まで鮮明に染色でき、耐光堅牢性に優れた耳部が得られることから好ましい。
高視認性面ファスナーを取り付けた作業着やベストの場合には、耳部を広くして、面ファスナーの存在を目立つようにすること、さらに面ファスナーの着脱を速やかに行えるようにすることが好ましく、そのためには、耳部を通常の2mm幅程度より広い4〜12mmとするのが好ましく、耳部が広くなればなるほど耳部が鮮明に染色されており、かつ難燃性に優れることが重要となり、したがって耳部にはバックコート層が存在せずに、緯糸の鞘成分により融着固定されていることが重要となる。
次にこのようにして得られた面ファスナーを染色する。染色する際に用いる染料は、黄色系またはオレンジ系のポリエステル繊維用蛍光分散染料である。
このような染料を染色対象物である面ファスナーに対して0.5〜2重量%の量で溶解させ、通常の分散染料用の染色助剤を配合した125〜145℃の水溶液中に面ファスナーを浸漬して20〜60分間染色する。染色中は係合素子が倒れたり、面ファスナー同士が絡み合ったりすることを防止するために、同心円状に層状に巻き付けた面ファスナーに染料液を貫通するようにあるいは層間を流すようにすることで染色するのが好ましい。
面ファスナーの場合には、表面に係合素子が突出していることから同心円状で層状に巻き付けた状態でも、染料液は層間を容易に通り抜けることができ、その結果、均一かつ濃色に染色することができる。なお、蛍光分散染料の色としては、高視認性の点から黄色系またはオレンジ系のものが好ましい。
次に、本発明の高視認性面ファスナーを取り付けた高視認性衣類について説明する。図1は、本発明の高視認性面ファスナーを取り付けた高視認性衣類の一例であり、図中、1が通常の生地あるいは高視認性の生地、2が高視認性テープ、3が左前身頃と右前身頃の重なり部分である。
本発明の高視認性面ファスナーは2の部分に使用しても、あるいは3の部分に使用してもよい。2の部分に使用する場合には、衣類の胸回り部や胴周り部の生地に通常のループ面ファスナーを縫い付け、その面ファスナーに本発明の高視認性フック面ファスナーを係合により取り付けることができる。この場合にはフック面ファスナーの裏面が衣類表面に見えることとなり、したがってバックコート層を有していない本発明面ファスナーの有利性が顕著となる。
また、再帰反射性テープの裏面に本発明の高視認性フック面ファスナーを取り付け、それを作業着の必要箇所に取り付けることにより、反射性テープの着脱が容易となり、耐久性に劣る反射性テープを永く使用できる。この場合には反射テープの両端から本発明の面ファスナーが覗いているようにようにすればより高視認性が達成できる。
このようにすることにより高視認性面ファスナーや反射性テープを必要時に取り付け、それ以外の時は外し、目立つことのない通常のユニフォームとして使用できる。
また同様に、蛍光染料で染色した生地からなる衣類の必要箇所に本発明の高視認性面ファスナーを縫製で取り付け、それに必要時に、生地とは異なる色調のもう一方の高視認性面ファスナーを取り付け、異なる色調による目立ちやすさを利用することもできる。
さらに生地に本発明の高視認性面ファスナーを取り付け、これにもう一方の高視認性面ファスナーを用いてゼッケンや腕章等を衣類に取り付けることもできる。
また図1に示す前身頃の重ね合わせ部3の部分にも本発明の高視認性面ファスナーを使用することができる。この場合には、重ね合わせ部から本発明の高視認性面ファスナーの一部、例えば耳部が露出しているようにしてもよい。同様に、袖口の重ね合わせ部等に使用することもできる。もちろん、このような作業服ではなく、通常のファッション衣類にも、注目を浴びるような模様を本発明の面ファスナーを用いて取り付けることもできる。さらに、靴、手袋、帽子、ヘルメット等にも取り付けることができる。
図2は作業衣の上から着用する安全ベルトであり、胴周り5を固定するのに本発明の面ファスナーを使用することもでき、さらに肩掛け部4を本発明の面ファスナーで作製したり、ベルト全体を本発明の面ファスナーで作製したりすることもできる。さらに安全ベルトの所要部に本発明の面ファスナーにより反射性テープ等を取り付けることもできる。なお、本発明でいう衣類には、このような安全ベルト等も含まれている。
このように、本発明の高視認性面ファスナーは、道路工事作業者(道路の清掃業や並木の管理者等も含む)、空港作業者、警察関係者、消防関係者等の遠くから作業者の存在が目立つ必要がある人々のユニフォームに使用できる他、ファション衣類の分野にも使用できる。さらには、園児や小学生等の制服や靴、帽子、バッグ、ランドセル等に取り付けて、存在を目立たせる手段として使用できる。
以下、本発明を実施例により説明する。実施例中、染色堅牢度はJIS―L―0843に準じキセノンアーク灯光第3露光法により測定し、また難燃性はFMVSS302に準じ水平方向の燃焼速度により測定し、燃焼速度が10m/分以下、または1分以内に消火した場合は燃焼距離が5cm以下の状態であれば○、そして燃焼速度が10m/分より速い状態であれば×と評価した。
実施例1
面ファスナーの基布を構成する経糸および緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント、ループ状係合素子用マルチフィラメントとして次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167dtexで30本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)
・鞘成分:イソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
(軟化点:190℃)
・芯鞘比率(重量比):70:30
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:99dtexで24本
[フック状係合素子用モノフィラメント]
・ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:260℃)
・繊度:390dtex(直径:0.19mm)
[ループ状係合素子用マルチフィラメント]
・ポリブチレンテレフタレート繊維(融点:220℃)
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:265dtexで7本
上記4種の糸を用いて、以下の条件でフック面ファスナー(A)およびループ面ファスナー(B)を製造した。
[フック面ファスナー(A)]
上記経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントを用いて、織組織として平織を用い、織密度(熱収縮処理後)が経糸55本/cm、地緯糸20本/cmとなるように織った。そして、経糸4本に1本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを経糸に平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちに経糸3本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成した。
上記条件にて織成されたフック面ファスナー用テープを、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、フック係合素子用モノフィラメントさらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち200℃で熱処理を施した。緯糸は収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。そして、得られた織物を冷却させたのち、フック状係合素子用ループの片脚部を切断し、フック状係合素子を形成した。
得られたフック面ファスナー(A)のフック状係合素子密度は42個/cmであり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.8mmであった。
[ループ面ファスナー(B)]
上記経糸、緯糸およびループ状係合素子用マルチフィラメントを用いて、織組織として平織を用い、織密度(熱収縮処理後)が経糸55本/cm、緯糸22本/cmとなるように織った。そして、経糸4本に1本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメントを経糸を跨ぐことなく経糸に平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちループを形成するように基布上にループを形成した。
上記条件にて織成されたループ面ファスナー用テープを、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、ループ係合素子用マルチフィラメント、さらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち200℃で熱処理を施した。緯糸は収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。そして、得られた織物を冷却させた。得られたループ面ファスナー(B)のループ状係合素子密度は44個/cmであり、さらにループ状係合素子の基布面からの高さは2.4mmであった。
このようにして得られたフック面ファスナー(A)およびループ面ファスナー(B)を、別々に直径1mの同心円となるように巻取り、ともに、染料として以下(1)と(2)の2種類の黄色系蛍光分散染料を混合して用い、135℃で30分間染色した。なお、染料濃度は、染色対象物に対して下記(1)は0.9重量%、下記(2)は、0.0225重量%である。また染色助剤として酢酸と分散染料用均染剤を染色対象物に対してそれぞれ2重量%で使用した。
染料:(1)キワロンポリスターYG−10GF(紀和化学工業株式会社製)
(2)スミカロンY−SE−RPD(住化ケムテックス社製)
得られた染色されたフック面ファスナー(A)およびループ面ファスナー(B)を染色浴から取り出し乾燥させた。染色された面ファスナー(A)および(B)は、ともに、表面および裏面ともに鮮やかな黄色の蛍光色に染色されており、それぞれ、2.5cm×10cmの小片で廊下に立て掛けて置き、視認性を確認したところ、50m離れた場所からもその物の鮮やかな蛍光色により存在が十分に認識できた。この染色された面ファスナーの染色堅牢度および難燃性を測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、フック面ファスナー(A)およびループ面ファスナー(B)ともに染色堅牢性および難燃性のいずれにも優れていることが分かった。
実施例2
上記実施例1で使用した4種の糸を使用し、フック状係合素子を長手方向に2列設け、隣接してループ状係合素子を2列設けた配列を繰り返すよう、フック状係合素子用モノフィラメントとループ状係合素子用マルチフィラメントを並べた。また、表面を触った時にループ状係合素子が触れるよう、ループ状係合素子が外側の両端にあるように配列した。織組織は平織りで、織密度が経糸72本/cmで緯糸18本/cmで、経糸8本に2本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを、また経糸8本に2本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメントをそれぞれ打ち込んだ。
上記条件にて織成された織物テープを、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、ループ係合素子用マルチフィラメント、フック係合素子用モノフィラメントさらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち200℃で熱処理を施した。緯糸は、鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。そして、得られた織物を冷却させたのち、フック状係合素子用ループの片脚部(ループ状係合素子から離れている方)を切断してフック状係合素子を形成した。
得られた面ファスナーは、同一面にフック状係合素子とループ状係合素子が存在しているフック・ループ混在型面ファスナーであった。この面ファスナーのフック状係合素子密度は30個/cm、ループ状係合素子密度は31個/cmであり、さらにフック状係合素子およびループ状係合素子の基布面からの高さはそれぞれ1.7mmおよび2.2mmであった。
得られたフック・ループ混在型面ファスナー(C)の係合素子面を手で触れたところ、従来の面ファスナーと比べて極めて肌触りが優しく、さらに基布自体も極めて柔軟であった。
このようにして得られたフック・ループ混在型面ファスナー(C)を、同心円となるように実施例1と同様に巻取り、染料として、以下(3)と(4)の2種類のオレンジ色系蛍光分散染料を混合して用い、135℃で30分間染色した。なお、染料濃度は、染色対象物に対して下記(3)は0.9重量%、下記(4)は、0.0225重量%である。また染色助剤として酢酸と分散染料用均染剤を染色対象物に対してそれぞれ2重量%の量で使用した。
染料:(3)リフォームブリリアントOr−Cv−N(日華ファインテクノより購入)
(4)リフォームブリリアントR−V(日華ファインテックより購入)
得られた染色されたフック・ループ混在型面ファスナー(C)を染色浴から取り出し乾燥させた。染色された面ファスナーは、表面および裏面ともに鮮やかなオレンジ色の蛍光色に染色されており、実施例1と同様に、2.5cm×10cmの小片で廊下に立て掛けて置き視認性を確認したところ、50m離れた場所からもその物の鮮やかな蛍光色により面ファスナーの存在が十分に認識できた。この染色された面ファスナーの染色堅牢度および難燃性を測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、染色堅牢性および難燃性のいずれにも優れていることが分かった。
比較例1
上記実施例1において、経糸としてポリエチレンテレフタレートからなるトータルデシテックスが96dtexでフィラメント数が24本のマルチフィラメントを使用する以外同一の糸を用い、フック面ファスナー(A´)とループ面ファスナー(B´)を製造した。なお緯糸は熱融着性を有していないことから、フック状係合素子の片脚を切断する前に、係合素子が基布から引き抜かれることを阻止するために、基布裏面にバックコート用としてポリエーテル系ポリウレタンの水分散液を固形分で30g/mの量で塗布した。
得られたフック面ファスナー(A´)とループ面ファスナー(B´)を実施例1と同様に黄色系蛍光分散染料により染色した。染色物は、実施例1と同様な色調であったが、フック状係合素子およびループ状係合素子の固定、または基布部を構成する経糸を固定するために、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を裏面に塗布した後は、染色後の色調に比べると若干のくすみがみられた。
得られた面ファスナーを、実施例1と同様に染色堅牢度および難燃性を測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、染色堅牢性は実施例1と同様に良好であるが、難燃性においては実施例1や実施例2のものより劣るものであった。
比較例2
実施例2において、使用する経糸、緯糸、フック状係合素子用糸、ループ状係合素子用糸として以下の糸を用い、実施例2と同様にして、フック・ループ混在型面ファスナーを作製した。なお、この面ファスナーでは、熱融着性繊維が存在していないことから、比較例1と同様に裏面にバックコート用のポリエーテル系ポリウレタンの水分散液を固形分で35g/mの量で塗布した。また織密度は経糸80本/cm、緯糸28本/cmである。
経糸:ナイロン6製110dtex/24フィラメントのマルチフィラメントント糸
緯糸:ナイロン6製140dtex/17フィラメントのマルチフィラメントント糸
ループ状係合素子用糸:ナイロン6製235dtex/17フィラメントのマルチフィラメントント糸
フック状係合素子用糸:ナイロン66製440dtexのモノフィラメント糸
得られたフック面ファスナー(A´)とループ面ファスナー(B´)を以下のナイロン繊維用の下記黄色系蛍光染料により染色した。染色温度は98℃で、染色時間は60分間であり、染色助剤として酸性染料用均染剤を染色対象物に対して2重量%の量で使用した。
染料:ノイラー NFG 0.0028%
BEST ACID F−FL 0.369%
染色物は、裏面側が淡く染色され、表面側も実施例のものと比べると一応同等の色調を有していた。しかし、フック状係合素子およびループ状係合素子の固定、または基布部を構成する経糸を固定にポリエーテル系ポリウレタン樹脂を裏面に塗布した後は、染色後の色調に比べると若干のくすみがみられた。
この面ファスナーの染色堅牢度および難燃性を測定した。結果を表1に示す。表1の結果から明らかなように、染色堅牢性および難燃性のいずれにおいても実施例1や実施例2のものよりはるかに劣るものであった。
実施例3
実施例1で製造したフック面ファスナー(A)およびループ面ファスナー(B)[いずれも幅3.0cmで両幅部に幅5mmの耳部が存在している]を道路作業員の紺色作業着の胴回りおよび腕周りにそれぞれ2本ずつ取り付けた。さらに、前開き部を閉めるためにフック面ファスナー(A)とループ面ファスナー(B)を取り付けた。すなわち作業着の胴回りおよび腕周りにループ面ファスナー(A)を縫製により取り付け、その面ファスナーにフック面ファスナー(B)を係合させ、また前開き部には、ボタン替わりとなるように7cm間隔で取り付け、面ファスナーの一部の耳部が前開き部から覗くように取り付けた。
この作業着を、真夏を含む10か月間太陽に晒し、面ファスナーの色調に変化がないか調べたところ、鮮やかな黄色の色に全く変化はなく、10か月後においても、道路工事作業員の存在が遠くから認識できるものであった。
1:作業着生地
2:高視認性テープ取り付け部
3:前身頃の前開き部
4:安全ベストの肩掛け部
5:安全ベストの胴周り部

Claims (7)

  1. 経糸、緯糸および係合素子用糸から構成され、これら糸がともにポリエステル系繊維からなる基布の表面にフック状係合素子またはループ状係合素子を有する面ファスナーであって、該面ファスナーが蛍光染料で染色されており、該緯糸が、鞘成分が共重合ポリエステルからなる芯鞘型ポリエステル系繊維からなり、同鞘成分により係合素子用糸が基布に固定されている高視認性面ファスナー。
  2. 基布の係合素子が存在している面の反対側の面には、基布構成糸を固定するための樹脂層が存在していない請求項1に記載の高視認性面ファスナー。
  3. 蛍光染料が、黄色系またはオレンジ色系の分散染料である請求項1または2に記載の高視認性面ファスナー。
  4. 鞘成分が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、芯成分、経糸および係合素子用糸が共にポリエチレンテレフタレートホモポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の高視認性面ファスナー。
  5. 鞘成分が、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、芯成分、経糸およびフック状係合素子用糸が共にポリエチレンテレフタレートホモポリマー、ループ状係合素子用糸がポリブチレンテレフタレートホモポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の高視認性面ファスナー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の高視認性面ファスナーが衣類に取り付けられている高視認性衣類。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の高視認性面ファスナーが用いられた腕章またはワッペン。
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