JP2014027989A - 耳部を有する面ファスナー - Google Patents

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Abstract

【課題】染色の際に均一な染色を阻害されることがなく、面ファスナーの表面や裏面に色違いの係合素子屑が付着していることがほとんどない、耳部を有する面ファスナーを提供する。
【解決手段】経糸、緯糸および係合素子用糸からなる織物ならびに同織物表面から立ち上がる係合素子から形成され、かつ染色された面ファスナーであって、1)経糸、緯糸および係合素子6用糸がともにポリエステル系の繊維からなり、2)緯糸が、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含み、かつ係合素子6用糸が熱融着性繊維の溶融により固定され、3)面ファスナーの少なくとも片方の端部には、その部分に存在している係合素子6が根元付近で切断され、係合素子6が除去されて、耳部が形成され、4)耳部に存在している、係合素子6を切断した跡の切株の切断面の中心部と周辺部で、染色濃度が実質的に同一である、耳部を有する面ファスナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル系の糸で構成された織物製のフック型面ファスナーまたはループ型面ファスナー、あるいはフック・ループ混在型面ファスナーであって、表面に存在している係合素子を後加工により除去することで縫い合わせなどに必要な耳部となる平坦部を幅方向両端部に形成した面ファスナーおよびその製造方法に関する。
従来から、面ファスナーとして、経糸、緯糸(以下、基布と称す場合がある)および係合素子用糸からなる織物の表面にフック状係合素子を有するフック型面ファスナーと、経糸、緯糸および係合素子用糸からなる織物の表面に該フック状係合素子と係合し得るループ状係合素子を有するループ型面ファスナーの組み合わせが広く知られており、フック状係合素子としてモノフィラメント糸が、またループ状係合素子としてマルチフィラメント糸が用いられている。
そして、市場ではフック型面ファスナーとループ型面ファスナーの両者を係合させたセットの状態で袋詰めして販売されており、これらは、衣類、靴、帽子、手袋、ベルト、サポーター、枕カバー、鞄バッグ・袋類、血圧計、傘、その他日用雑貨、結束テープ、梱包用資材、カーテンやブラインド等のインテリア製品、土木建築用資材、農漁業用資材、玩具等の数多くの分野に広く用いられている。
また、フック状係合素子とループ状係合素子を同一面に存在させた、いわゆるフック・ループ混在型面ファスナーも知られており、一般に上記したような用途に同様に使用されている。
このようなフック型面ファスナーとループ型面ファスナーは、一般に、経糸と緯糸からなる基布を製造する際に、フック型面ファスナーは、フック状係合素子となるモノフィラメント糸を経糸に平行に基布に打ち込み、ところどころ同モノフィラメント糸をループ状に基布上に突出させたのち、ループ形状を熱により固定し、さらに該ループの片足側部をカットしてフック状係合素子とする方法により、またループ型面ファスナーは、ループ状係合素子となるマルチフィラメント糸を経糸に平行に打ち込み、ところどころ該マルチフィラメント糸をループ状に基布上に突出させてループ状係合素子とする方法によりそれぞれ製造されている。
また、フック・ループ混在型面ファスナーの場合には、経糸と緯糸からなる基布を製造する際に、フック状係合素子となるモノフィラメント糸およびループ状係合素子となるマルチフィラメント糸を経糸に平行に基布に打ち込み、ところどころ同モノフィラメント糸および同マルチフィラメント糸をループ状に基布上に突出させたのち、ループ形状を熱により固定し、さらにフック状係合素子の場合には、モノフィラメント糸からなる該ループの片足側部をカットしてフック状係合素子として、フック・ループ混在型の面ファスナーとしている。
これらフック型面ファスナー、ループ型面ファスナーあるいはフック・ループ混在型面ファスナーは、上記したように、経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸および/またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸から主として構成されることとなるが、これら経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸として、従来から、ともに、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、あるいはこれらを主成分とする共重合体などのポリアミド系ポリマーからなる糸が一般的に用いられている。
さらに、従来の面ファスナーでは、フック状係合素子やループ状係合素子が係合を剥離する際の張力により基布から引き抜かれないように、基布裏面にポリウレタン系やアクリル系の接着剤を塗布して係合素子用の糸を基布に固定している(いわゆるバックコート処理)。
一般に、面ファスナーは長いテープ状の形態で製造され、商品として販売される時点では、面ファスナーは、係合素子が存在している幅方向中央部と、係合素子が実質的に存在しない幅方向の両端部(耳部)から構成されており、係合素子が実質的に存在しない両端部(耳部)は、布地に面ファスナーを縫製により一体化する際に、縫製を容易にするために設けられたものである。係合素子が実質的に存在していない両端部(耳部)の幅としては、一般的に1〜5mmの範囲である。
このような面ファスナーにおいて、該耳部の基布は、構成繊維、特に緯糸が連続せずに切断されている場合が多い。これは、テープ状面ファスナーの工業的製法として、まず複数の細巾の面ファスナーに対応する複数の係合素子領域と係合素子を有さない複数の耳部用領域を交互に有する広幅の基布をまず織成し、次にフック状係合素子の形成や係合素子の熱処理などの加工を施し、そして広幅基布の該耳部用領域のほぼ中間部を切断して、幅方向両端部に耳部を有する複数の細巾のテープ状面ファスナーを得る方法が用いられているためである。このように、面ファスナーを製造する方法として、まず細幅の係合素子領域と耳部領域を幅方向に交互に有する広幅の面ファスナー用織物を作製し、その後に該耳部領域を幅方向にスリットして細幅のテープ状面ファスナーとする方法が生産性の点で一般的に用いられている。
例えばテープ状面ファスナーのテープ幅が25mmのものを製造する場合は、係合素子領域となるおよそ21mm分に係合素子用糸が突出するよう設計し、該係合素子領域と並列しておよそ4mm分の係合素子用糸が存在しない耳部用領域をテープの幅方向に複数回繰り返した広幅のものをまず製造する。そして、この広幅のテープを耳部用領域のほぼ中間部で長手方向に切断して、およそ21mm巾の係合素子領域と、その両端部に各々およそ2mmの耳部を有するテープ幅25mmの面ファスナーが得られることとなる。
このような製造方法を用いる場合、面ファスナーには種々のテープ幅のものが要求されることから、銘柄数は多数となる。したがって、織成用の設備も多数必要になったり、またテープ幅の切り替えに多大の労力と時間を要したり、さらに途中工程の在庫も多くなる。そして、さらには織成の準備工程において、経糸および係合素子糸を予め巻き取る整経本数も、係合素子領域幅毎に合わせての整経本数になるため、専用ビームに巻き取られた経糸および係合素子用糸のビーム在庫も多数となる。
すなわち、上記したような、係合素子領域と耳部用領域を基布織成の段階で形成する方法の場合には、係合素子領域の幅が種々なものを製造することを求められることから、製造設備が多数必要となり、かつ途中在庫も多くなり、また係合素子領域幅の変更に多大な労力・時間を要し、さらにそのような面ファスナーを製造するための整経本数も多くなるという問題点を有している。
このような問題点を解決する方法として、いくつかの技術が知られており、例えば特許文献1には、広幅の係合素子面を有する面ファスナー面に一定間隔をおいて設けた加熱押圧ローラを押し当てることにより係合素子を倒して基布に溶着させることで耳部となる平坦部を形成し、そしてこの平坦部の中間部で切断分離する方法が記載されている。また特許文献2には、広幅の係合素子面を有する面ファスナー面に、複数のせん断刃を持つ円盤型回転カッターを用いて係合素子を切断することで耳部となる平坦部を形成し、そしてこの平坦部の中間部で切断分離する方法が記載されている。さらに特許文献3には、裏面にバックコート用の接着剤を塗布した広幅の面ファスナーの係合素子面を回転している研磨砥石に接触させて係合素子を削り取って耳部となる平坦部を形成し、そして該平坦部の中央部を切断分離して耳部付の面ファスナーを製造する方法が記載されている。
これらの方法では、いずれも、広幅の係合素子領域をまず形成したのち、係合素子領域を幅方向に所定間隔を空けて係合素子を切断したり、あるいは溶融させて潰したりして、耳部用領域を形成することにより、広幅の係合素子領域を、長さ方向に連続する複数の細幅の係合素子領域に分割するものであり、耳部形成を面ファスナーの製造工程の後に持っていくことができることから、途中在庫を減らすことができ、また係合素子領域の幅を変更する際に要する作業や時間が短縮できること、さらに整経ビームの増加や織成装置の増加を招かないという特長が得られている。
しかしながら、上記特許文献1や特許文献3の方法の場合には、耐熱性の低いポリアミド系ポリマーからなる糸の性質が原因となり、溶着時または研磨時の摩擦により発生する熱によって、面ファスナーが波打った形状となり易く、面ファスナーとしての外観品位が損なわれる。また特許文献2の方法の場合には、ポリアミド系ポリマーからなる糸が原因で、吸湿や吸水により面ファスナーが波打った形状になり易く、そして基布が波打った形状を有している場合には、係合素子を切断する位置が安定せず、切株が極端に短くなったり、あるいは切断されずに係合素子の茎部が長く残ったり、場合によっては基布そのものが削り取られる等の問題点を生じる。
また、従来の一般的な面ファスナーの場合、係合素子が面ファスナーから引き抜かれることを防止するために、前記したように、面ファスナーの裏面にバックコート用の接着剤が塗布されており、また面ファスナーは用途に応じて所定の色に染色されている。そして、染色条件下において、熱や薬剤によりバックコート用接着剤が変性したり黄変したりすることを防止するために、あるいはバックコート樹脂層が膜として面ファスナー裏面に存在している場合には、均一な染色を阻害することとなるため、染色はバックコート塗布に先立って行われるのが普通である。しかしながら、係合素子を切断して耳部用の平坦部を形成するためには、係合素子は基布に強固に固定されている必要があり、強固に固定されているためには、バックコート用接着剤が塗布されていることが必要となる。係合素子糸を切断する場合、基布に係合素子用糸が強固に固定されていないと、係合素子が突出している面からの応力により、係合素子糸が容易に基布内に沈み込んだり、あるいは裏面に抜け出てきたりするため、係合素子糸の除去作業において係合素子糸が基布部に固定されていることが必須の条件である。
以上のことから、バックコート用接着剤が塗布された面ファスナーにおいては、染色した面ファスナー用基布の裏面にまずバックコート用接着剤を塗布し、そしてその後に係合素子を除去して耳部用平坦部を形成することとなる。したがって、当然のことながら、このような方法で耳部用平坦部を形成する面ファスナーは平坦部形成前に既に染色されていることとなる。
しかしながら、染色後にバックコート加工された面ファスナーの係合素子を切断加工する場合、除去された係合素子屑が加工装置に飛散し、結果として面ファスナーの色が変わるたびに染色されて切断された係合素子屑を取り除くための装置の徹底的な清掃作業が必要となる。
切断された係合素子屑を吸引する装置を取り付けることも考えられるが、係合素子屑とはモノフィラメントまたはマルチフィラメントの微細な屑であり、かつ面ファスナー面に強固に引っかかり易いものであるため、清掃作業が不要になるまでモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸に由来する微細な屑を吸引しようとすると強力な吸引力が必要になる。それでも、完璧に屑を除去することはほぼ不可能に近い。面ファスナーの表面または裏面に、色違いの屑が付着している場合には、面ファスナーの商品価値を大きく減少させることとなる。
特開平5−42009号公報(要約書) 特開2004−57350号公報(要約書) 特開昭62−194802号公報(要約書)
本発明は、上記したような従来技術の有している問題点を解消するものであり、すなわち、係合素子を切断する際に、面ファスナーが波打った状態となっていることが極めて少なく、その結果、係合素子の根元付近で係合素子を均一に切断された耳部を有する面ファスナーであって、そして染色の際にバックコート樹脂層が変性したり黄変したりすることやバックコート樹脂層が膜として存在することより均一な染色処理を阻害するということがなく、さらに面ファスナーの表面や裏面に色違いの係合素子屑が付着していることがほとんどない、耳部を有する面ファスナーおよびその製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、経糸、緯糸および係合素子用糸からなる織物ならびに同織物表面から立ち上がる係合素子から形成され、かつ染色されている面ファスナーにおいて、下記条件1)〜4)を満足していることを特徴とする耳部を有する面ファスナーである。
1)経糸、緯糸および係合素子用糸がともにポリエステル系の繊維からなること、
2)緯糸が、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含み、かつ係合素子用糸が該熱融着性繊維の溶融により固定されていること、
3)面ファスナーの少なくとも片方の端部には、その部分に存在している係合素子が根元付近で切断され、係合素子が除去されて、耳部が形成されていること、
4)該耳部に存在している、係合素子を切断した跡の切株の切断面の中心部と周辺部で、染色濃度が実質的に同一であること、
そして、好ましくは、本発明は、耳部に存在している、係合素子を切断した跡の切株の切断面が溶融処理されている上記面ファスナーであり、また、耳部に残存している、係合素子を切断した跡の切株の織物表面からの高さが0.3mm以下である上記面ファスナーである。
また、本発明は、経糸、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含む緯糸および係合素子用糸からなる織物ならびに同織物表面から立ち上がる係合素子から形成され、かつ該経糸、該緯糸および該係合素子用糸がともにポリエステル系の繊維から構成された糸であり、さらに幅方向両端部に耳部を有している面ファスナーの製造方法において、下記5)〜8)の工程をその順序で行うことを特徴とする耳部を有する面ファスナーの製造方法である。
5)経糸、緯糸および係合素子用糸から面ファスナー用織物を作製したのち、係合素子用糸を該熱融着性繊維により融着固定する工程、
6)面ファスナー用織物の表面に存在している係合素子のうち、面ファスナー織物の幅方向に所定間隔をおいて存在している係合素子の群をその根元付近で切断することにより係合素子を除去して、係合素子が存在しておらず、かつ面ファスナー織物長さ方向に連続する領域を形成する工程、
7)面ファスナー織物を染色処理する工程、
8)該領域の方向のほぼ中間部を切断して該領域を耳部とする工程、
そして、好ましくは、本発明は、染色処理する前または後の面ファスナーの係合素子を除去した部分に熱を加えて、同部分に存在している係合素子の切株の少なくとも先端部を溶融させる上記面ファスナーの製造方法である。
また、さらに好ましいのは、係合素子の切株の長さを短くそろえるために、1回切断加工した後、1回目の切断処理時に倒れた係合素子の切株をブラッシング処理させて起こしてもう一度切断加工する上記面ファスナーの製造方法である。なお、係合素子の切株の長さを短くそろえるために、1度切断処理し巻き取られた面ファスナーテープを再度切断処理装置に仕掛け直して切断処理する事で、1回目の切断処理での係合素子に切断刃を当てた方向とは反対の方向から係合素子に切断刃を当たるようにして係合素子の長さを短くそろえてもよい。
本発明の面ファスナーは、経糸、緯糸および係合素子用糸がいずれもポリエステル系の糸であり、吸水・吸湿性が極めて低いことから、従来の面ファスナーのようにナイロン糸の吸水・吸湿により面ファスナー基布が波打った形状となることがほとんどなく、したがって耳部を形成するために係合素子を切断する際の切断位置が不安定となるという問題が生じず、よって切株が高く残ったり、場合によっては基布まで削り取られたりするという問題を生じることがほとんどない。
しかも、係合素子はバックコート樹脂により固定されているのではなく、緯糸の融着により固定されていることから、従来技術のように、染色時にバックコート樹脂の変性や黄変、さらにバックコート樹脂層が面ファスナー裏面に膜として存在することにより面ファスナーの染色を阻害するという問題もなく、また耳部を形成した後に染色されることから、色違いの糸屑が面ファスナーに付着するという問題点を生じない。
さらに、本発明では、広巾に織成した後に係合素子を切断除去して、縫製等に必要な耳部となる平坦部を形成するものであることから、途中在庫銘柄数と、織成のために巻き取られた経糸及び係合素子糸のビーム銘柄数を効果的に減らすことができ、また面ファスナー幅を切り替える際の労力・時間を軽減することができる。
本発明の耳部を有する面ファスナーの一例の斜視模式図である。 本発明の耳部を有する面ファスナーに分割する前の面ファスナーの一例の斜視模式図である。 本発明を実施する際の刈り取り装置と面ファスナーの好適な位置関係を示す模式図である。 耳部用領域に存在する係合素子の切断方向を示す模式図である。 本発明の一例の面ファスナーの切断面の拡大写真を撮った図である。 本発明の別の一例の面ファスナーの切断面の拡大写真を撮った図である。 本発明の一例の面ファスナーの表面の拡大写真を撮った図である。 本発明とは相違する製造順序で面ファスナーに耳部を形成した表面の拡大写真を撮った図である。
本発明の耳部を有する面ファスナーのうち、フック型面ファスナーは、主としてフック状係合素子用モノフィラメント糸、経糸および緯糸から形成され、一方、係合相手のループ型面ファスナーは、主としてループ状係合素子用マルチフィラメント糸、経糸および緯糸から形成され、さらにフック・ループ混在型面ファスナーは、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント、経糸および緯糸から形成されるが、必要によりこれら以外の糸が織り込まれていてもよい。これらの主要糸は、熱や吸水・吸湿により波打ちを生じない点から、いずれも、実質的にポリエステル系のポリマーから構成されている必要がある。
ポリエステル系ポリマーとしては、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルまたはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルであり、主としてテレフタル酸とエチレングリコールからの縮合反応またはテレフタル酸とブタンジオールからの縮合反応により得られるポリエステルであり、若干ならばテレフタル酸、エチレングリコール、ブタンジオール以外の重合単位が付加されていてもよい。このような重合単位の代表例としては、イソフタル酸、スルホイソフタル酸ソーダ、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール等のジオール類、ヒドロキシ安息香酸、乳酸等のオキシカルボン酸、安息香酸で代表されるモノカルボン酸等が挙げられる。
更に、上記ポリエステルには、それ以外のポリマーが少量添加されていても良い。好ましくは、緯糸以外はポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはポリブチレンテレフタレートから形成されている場合である。いずれにしても、後述する緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を融着させるための熱処理温度で、溶融しない融点を有するポリエチレンテレフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレート系ポリエステルで代表されるポリエステルが糸を構成する主成分であらねばならない。
なお、緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分に関しては、ポリエステル系ポリマーであらねばならないが、共重合成分の割合を他の糸や芯成分と比べて高めに設定し、その結果融点または軟化点を100〜200℃としたものが好適に用いられる。
従来から、織物を基布とする面ファスナーに関しては、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系の糸が広く一般的に用いられているが、ポリアミド系の糸を用いた場合には、吸水・吸湿により基布の形状が変化し、場合によっては、吸湿や吸水により基布が波打ったりして形態が損なわれるという現象が生じ、その結果、面ファスナーを取り付けた製品の品質や高級感を損なうという大きな問題点を有しており、さらに面ファスナーとして最も重要な係合力も必ずしも高くないという問題点も有している。
さらに、今日、衣料品は主としてポリエステル系の繊維から製造されているが、それに取り付ける面ファスナーがポリアミド製のものである場合には、両者の染色性が全く相違するため、両者を同一の染色条件で染色することが難しく、両者での色調を揃えるためには、最終製品の色調を有する数多くの面ファスナーを予め在庫として用意しなければならないという問題点も有している。それに対して、本発明の面ファスナーはポリエステル系の糸が用いられていることからこれらの問題点を生じない。
次に本発明の面ファスナーに用いられる経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸について説明する。
まず、経糸としてはマルチフィラメント糸が好ましく、そして経糸を構成するマルチフィラメント糸の太さとしては、16〜96本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜250デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが100〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
また、緯糸としてもマルチフィラメント糸が好ましく、緯糸を構成するマルチフィラメントの太さとしては、24〜72本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜300デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。
そして、本発明において上記緯糸は、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含んでいなければならない。熱融着性繊維を含んでいることにより、係合素子用糸を基布に強固に固定することが可能となり、従来の面ファスナーのようにバックコート樹脂を面ファスナー裏面に塗布する必要もなくなる。このような芯鞘型の熱融着性繊維としては、鞘成分を溶融させてフック状係合素子用モノフィラメント糸またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸の根元を基布に強固に固定できるポリエステル系の樹脂からなるものであり、例えば、芯成分は熱処理条件で溶融しないが鞘成分は溶融する芯鞘型の断面を有するポリエステル系繊維が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、イソフタル酸やアジピン酸等で代表される共重合成分を多量に共重合、例えば20〜30モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを鞘成分とする芯鞘型ポリエステル繊維が代表例として挙げられる。鞘成分の融点または軟化点は100〜200℃であり、かつ経糸や芯成分やフック状係合素子用モノフィラメント糸あるいはループ状係合素子用マルチフィラメント糸の融点より20〜150℃低いのが好ましい。芯鞘型熱融着性繊維の断面形状としては、同心芯鞘であっても、偏心芯鞘であっても、あるいは1芯芯鞘であっても、多芯芯鞘であってもよい。
さらには、緯糸を構成する繊維中に占める芯鞘型熱融着性繊維の割合は、特に緯糸の全てが実質的に芯鞘型の熱融着性繊維で形成されている場合には、フック状係合素子およびループ状係合素子がともに強固に基布に固定されることとなるため好ましい。繊維の全てが熱融着性のポリマーで形成されている場合には、溶けて再度固まった熱融着性ポリマーは脆く割れやすくなり、縫製した場合等は縫糸部分から基布が裂け易くなる。したがって、熱融着性繊維は、熱融着されない樹脂を含んでいることが必要で、芯鞘の断面形状を有していることが必要ということになる。そして、芯成分と鞘成分の重量比率は20:80〜80:20の範囲が好ましい。
さらに、フック状係合素子およびループ状係合素子を共に強固に基布に固定するためには、緯糸として用いられた熱融着性繊維が熱融着すると共に、繊維自身が収縮してフック状係合素子およびループ状係合素子の根元を両側から締め付けるのが好ましく、そのためには、緯糸として用いられる熱融着性繊維は熱処理条件下で大きく熱収縮を生じる繊維が好ましい。具体的には、200℃での乾熱収縮率が8〜20%である繊維が好適に用いられ、特に同収縮率が11〜18%である繊維が好適である。
次にフック型面ファスナーまたはフック・ループ混在型面ファスナーを構成するフック状係合素子には、剛直性および軽い力ではフック形状が伸展されない、いわゆるフック形状保持性が求められ、そのために太い合成繊維製のモノフィラメント糸が用いられる。本発明では、このモノフィラメント糸として、特にフック形状保持性に優れたポリエチレンテレフタレート系ポリエステルから形成されたモノフィラメント糸が用いられる。このようなポリエチレンテレフタレートからなるフック状係合素子用モノフィラメント糸の太さとしては、直径0.10〜0.30mmが製織時にループ状に形状を形成し易く、かつ高い係合強力が得られる点で好ましく、より好ましくは直径0.15〜0.25mmの範囲である。
また、本発明において、ループ型面ファスナーまたはフック・ループ混在型面ファスナーを構成するループ状係合素子も、フック型面ファスナーと同様にポリエチレンテレフタレート系ポリエステルから構成されたマルチフィラメント糸が好ましい。このようなポリエステル系繊維からなるループ状係合素子用マルチフィラメント糸としては、5〜15本のフィラメントからなるトータルデシテックスが150〜300デシテックスのマルチフィラメント糸が好ましい。熱融着によりループ状係合素子を基布に強固に固定するためには、ループ状係合素子を構成するフィラメントの本数を少なくする方が好ましく、本発明を構成するループ状係合素子用マルチフィラメント糸のフィラメント本数は、従来一般に用いられているループ状係合素子を構成するマルチフィラメント糸のフィラメント本数より若干低いのが好ましい。より好ましくは、5〜10本のフィラメントからなるトータルデシテックスが150〜280デシテックスのマルチフィラメント糸である。
以上述べた経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸から、面ファスナー用織物を織成する。織物の織組織としては、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸の一部とした平織が好ましく、これら係合素子用糸は、経糸と平行に存在させつつ、組織の途中で基布面から立ち上がり、フック面ファスナーの場合にはループを形成しつつ経糸を1〜3本飛び越えて経糸間にもぐり込むような織組織で、一方、ループ型面ファスナーの場合には経糸をまたぐことなく経糸に平行に存在している織組織が、さらにフック・ループ混在型面ファスナーの場合にはこれら両者をともに満足するような織組織が、フック状係合素子用ループの片足側部を効率的に切断でき、さらにフック状係合素子とループ状係合素子が係合し易いことから好ましい。
そして、経糸の織密度としては、熱処理後の織密度で45〜90本/cmが、また緯糸の織密度としては、熱処理後の織密度で15〜30本/cmが好ましい。そして、緯糸の重量割合としては、面ファスナーを構成するフック状係合素子用糸あるいはループ状係合素子用糸と経糸および緯糸の合計重量に対して15〜40%が好ましい。
またフック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の打ち込み本数は、それぞれ、経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸またはループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して3〜8本程度が好ましい。フック・ループ混在型面ファスナーの場合には、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の合計で経糸20本(フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸を含む)に対して3〜8本が好ましく、そしてフック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸の本数比が40:60〜60:40の範囲が好ましい。
このようにして得られた面ファスナー用織物に、次に熱処理して緯糸を構成する芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を溶融させると同時に緯糸を収縮させて係合素子用のモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸を基布に強固に固定させる。これにより、従来の面ファスナーで行われていたバックコート処理が不要となり、バックコート用接着剤による問題点や面ファスナーの柔軟性が損なわれるという問題点が生じることを防ぐことができる。さらに、この際の熱によりフック状係合素子のループ形状が固定され、フック状係合素子の片足を切断してフック状係合素子とした後においても、ループ形状を保ち、十分な係合強度が得られることとなる。
加えられる熱の温度としては、熱融着性繊維が溶融するがそれ以外の糸は溶融しない温度で、かつフック状係合素子用モノフィラメントが熱固定される温度である150〜250℃が一般的に用いられ、より好ましくは185〜220℃の範囲である。
次に、このように熱処理した面ファスナー用織物の表面から突出しているフック状係合素子用ループ脚部の片脚側部を切断してフック状係合素子とする。フック状係合素子用ループの片側部を切断するために用いられる切断装置としては、地経糸方向に走行するフック型面ファスナー用布のフック状係合素子用ループの片脚を2本の固定刃の間を可動切断刃の往復運動によって切断する構造となっている切断装置が好ましく、そのために、フック状係合素子用のループは、上記したように経糸をまたぐ場所で形成していると、ループの片足だけを容易に切断できることから好ましい。
本発明において、フック型面ファスナーにおけるフック状係合素子の密度、ループ型面ファスナーにおけるループ状係合素子の密度、フック・ループ混在型面ファスナーにおけるフック状係合素子とループ状係合素子の合計密度としては、係合素子が存在している基布部分基準でかつ熱収縮後の広さ基準で、それぞれ30〜50個/cm、35〜55個/cm、50〜70個/cmが好ましい。そして、フック・ループ混在型面ファスナーにおいて、フック状係合素子の個数とループ状係合素子の個数の比率としては、40:60〜60:40の範囲が好ましい。
次に、面ファスナー用織物の表面に存在している係合素子のうち、面ファスナー織物の幅方向に所定間隔をおいて存在している係合素子の群をその根元付近で切断する(刈り取る)ことにより係合素子を除去して、係合素子が存在しておらずに面ファスナー織物長さ方向に連続する平坦部領域、いわゆる耳部領域を形成する。耳部領域は、幅10〜100mmの係合素子領域の両隣に幅2〜20mm程度、特に幅4〜10mm程度となるように、係合素子が立設している部分の係合素子を経糸方向に刈り取ることにより形成される。
図1は、本発明の耳部を有する面ファスナーの一例の斜視模式図であり、図2は、図1に示すような面ファスナーに分割する前の広幅の状態を示している。これら図中、1が係合素子領域であり、2が耳部、3が耳部領域である。4が幅方向(緯糸方向)、5が長さ方向(経糸方向)、6が係合素子を表す。
係合素子領域および耳部領域は、通常、ともに面ファスナー長さ方向(経糸方向)に連続している。図2に示す耳部領域3の幅方向のほぼ中間部を切断(スリット)して、個々の細幅の面ファスナーテープに分離することにより図1に示す面ファスナーが得られることとなる。
係合素子領域の幅としては、用途により種々のものが要求されることから一概には言えないが、一般的には10〜100mm、特に15〜50mmの範囲が用いられる。また、細幅の面ファスナーに分割する前の広幅面ファスナーの幅方向長さとしては50〜300mmが好ましく、2〜10本の細幅の面ファスナーに分割できる程度の幅が好ましい。
耳部領域形成のために用いられる係合素子糸の切断装置としては、円周上にいくつかの切断刃が削り出された円盤状の回転刃によって、係合素子糸を刈り取り切断することで耳部となる平坦部を形成し、連続的に係合素子糸を刈り取り切断しながら長手方向に面ファスナーテープを移送する構造となっているものが好ましい。そして円盤状の回転刃によって係合素子を刈り取る場合は、図3に示すように面ファスナーテープが折り曲げて移送されるとともに回転刃と固定された刈り取り刃を併用して刈り取る方法を用いるのが、刈り取り切断時の面ファスナーテープが引っ張られる事で張力が安定し、さらに回転刃7が刈り取り刃8に巻き込む係合素子が緯糸と平行な1列毎に刈り取り切断されることとなり回転刃7と刈り取り刃8の間に発生する負荷も少なくなり、係合素子の切断される位置が安定することとなり、さらに好ましい。
本発明では、この刈り取り切断された時点では、面ファスナー織物は染色されていないことから、刈り取り切断の際に生じる係合素子屑が完全に除去されずに、その後の面ファスナーに付着しても、何ら色の問題を生じることがない。また、この刈り取り切断時点では、面ファスナー織物を構成する係合素子用糸は既に緯糸の熱融着により基布に強固に固定されており、したがって係合素子用糸が基布から出たり入ったりすることによる切り株高さの不均一という問題も生じない。
なお、一回の刈り取り処理では切り残しが多く、切り取られた後の切り株の高さも不均一である場合は、耳部領域を形成するための係合素子の刈り取り切断装置部分を2箇所連ねて設置し、1回目の刈り取り切断処理された後にブラッシング処理して1度目の切断処理で倒された係合素子の切株を起こして、2回目の切断処理するのが好ましい。
またブラッシング処理以外の手法として、2回目以降の少なくとも1回は、1回目に切断刃を当てた方向とは反対の方向から切断刃を当てるように面ファスナーテープを移送して刈り取り切断処理してもよい。これは、1回処理にて巻き上がった面ファスナーを、もう一度仕掛けて刈り取り切断処理することにより、一つの係合素子に対して2方向から切断させることとなる事で、切り残りの長さは極めて短く揃えることができる。これを図3に示すように、ひとつの係合素子において、刈り取り切断刃に巻き込みやすい側と逃げやすい側が存在し、2方向で処理することで、図4に示すように係合素子の両側から刃を当てることにより、係合素子のどちら側も刈り取り切断用の回転刃に巻き込まれ、その結果、切れ残りが揃ったものとなる。
このことについてより詳細に説明すると、1度刈取り切断処理をした面ファスナーテープをさらに刈り取り切断装置にて処理すると、一度処理して巻き取られた面ファスナーテープを仕掛けるため、巻き取り方向が反転し面ファスナーの処理方向は1度目の処理と反対方向となる。したがって、図4に示す通り、1度目の刈り取り切断はループ状係合素子の白矢印方向(切断方向1)から切断され、2度目の処理ではループ状係合素子の黒矢印方向(切断方向2)から切断されることになる。この面ファスナーテープを観察すると、1度処理された係合素子よりさらに切れ残りの長さが揃えられていることが分かる。
これは、1本のループ状係合素子には、そのループ状の特に根元付近の脚となる部位が、刈り取り切断刃に対して向かっていく方向に立設している脚と、刈り取り切断刃に対して逃げていく方向に立設している足との2方向の足が存在しており、刈り取り切断刃に向かっていく方向の脚の刈り取り切断は、逃げていく方向の脚の刈り取り切断と比べると切れ残りが短くなる。反対となる2方向での処理は、どちらも刈り取り切断刃に向かっていく方向での脚を刈り取り切断することとなり、結果として短く揃えられたと推察される。
特にマルチフィラメント糸を用いたループ状係合素子を刈り取り切断した場合は、そのフィラメント1本の繊維が細いため、モノフィラメント糸を用いたフック状係合素子糸を刈り取り切断する場合より切れ残り長さが不揃いになりやすい。したがってマルチフィラメント糸を用いたループ状係合素子を刈り取り切断する場合は、1度刈り取り切断して、ブラッシング処理した後に2度目の切断加工をしたり、反対となる2方向での切断加工をしたりするのは極めて効果的である。
本発明の面ファスナーは、基布部を構成する経糸と緯糸がポリエステル系繊維であることから、面ファスナーテープとしての形状が吸湿や吸水により波打ったりせず、そのため、残っている係合素子の切株の基布表面からの高さを、拡大鏡を用いて計測したところ0.1〜0.3mmと非常に短く、高さのバラツキは0.2mm程度の範囲で刈り取られており、目視では十分に平坦といえる外観である。
なお、本発明では、面ファスナーの少なくとも片方の端部には、その部分に存在している係合素子が根元付近で切断され、係合素子が除去されて、耳部が形成されていることが必要とされているが、少なくとも片方の端部としている理由は、細幅の面ファスナーに分割する前の広幅の面ファスナー用織物の両端部には、通常、係合素子が存在しない耳部が存在しているため、両端部の耳部を片方の耳部とする両端の細幅面ファスナーが改めて片方の耳部を形成する必要がなく、なおかつ、このような面ファスナーも本発明の耳部を有する面ファスナーに含まれることから、上記したような表現を用いた。
そして、本発明では染色処理する前または後の面ファスナーの係合素子を除去した部分に熱を加えて、同部分に存在している係合素子の切株の少なくとも先端部を溶融させることが、切り株が丸みを帯びて触ったときのざらつき感の低減や外観が向上、さらに洗濯時のほつれ防止の点で好ましい。なお、係合素子を除去した部分に熱を加えて、同部分に存在している係合素子の切株の少なくとも先端部を溶融させる場合は、溶かされた表面が平坦になり必要以上に光沢感が見られる事となり、すなわち耳形成加工部分が必要以上に光沢感が見られることから、溶融させる場合は表面が例えば梨地調のエンボス模様のような、微凹凸になるよう溶融させると、光沢感が消えさらに好ましい。先端部を溶融させる方法は、特に限定することなく、超音波による方法、加熱加圧による方法等公知の方法が用いられる。
次に得られた耳部領域を有する面ファスナー織物を染色する。染色条件としては、通常のポリエステル系繊維を染色するのに用いられる染色条件、たとえば分散染料を用いた高温高圧条件が採用される。もちろん、これ以外の染色条件を採用してもよい。本発明で重要なことは、染色条件ではなく、染色順序、すなわち係合素子を刈り取って耳部領域を形成した後に染色を行うという順序である。この順序により、係合素子の刈り取りにより生じる係合素子屑が異色であることによるトラブルを防止できる。なお、係合素子を刈り取って耳部を形成した後に染色を行ったか否かということは、係合素子を切断した跡の切株の切断面を観察すれば分かる。すなわち、該耳部に存在している、係合素子を切断した跡の切株の切断面の中心部では染色濃度が低く周辺部で染色濃度が高い場合には、染色した後に切断したものであり、一方中心部と周辺部とで実質的に同一の染色濃度である場合には、切断した後に染色したものであることが分かる。なお、中心部と周辺部とで実質的に同一の染色濃度であるか否かは、光学顕微鏡により切断面を観察することにより容易に判別できるが、染色に関係したことのある者ならば織物表面を観察して、白っぽい切断部が存在するか否かを見ることにより容易に判別できる。
最後に、この耳部用領域を形成させ、染色処理した面ファスナー用の広幅織物を耳部領域のほぼ中間部で切断(スリット)して、係合素子領域の両端に耳部を有する複数の細幅の面ファスナーテープを得る。切断は、固定したあるいは回転している刃に該耳部領域の中間部を押し当てて切断する方法が一般的であるが、これ以外の方法でも何ら問題ない。本発明では、染色した後に、広幅の面ファスナー用織物を切断して細幅の面ファスナーのテープ状物とするのであるが、この順序によると、染色処理を幅広の面ファスナー織物の状態で行うこととなり、染色時に、細幅のテープ状物が絡まったり、あるいはそれを防ぐために特殊な染色装置を必要としたりするという問題が生ずることが防止できることとなる。
また本発明のフック型面ファスナーとループ型面ファスナー、またフック・ループ混在型面ファスナーは、従来の面ファスナーが用いられている用途分野に用いることができ、例えば、靴、バッグ、帽子、手袋等の他、衣類、血圧計、サポーター類、荷造りの縛りバンド、結束テープ、各種おもちゃ類、土木建築用シートの固定、各種パネルや壁材の固定、太陽電池の屋根への固定、電気部品の固定、組み立て・解体自在の収納箱や梱包ケース、小物類、カーテン等の幅広い分野に使用できる。
また本発明のフック型面ファスナーの基布とループ型面ファスナーの基布を重ね合わせて耳部を一体化した場合には、そのような表裏両面ファスナーは結束バンドとして、あるいは締結バンド等として特に有効である。また、本発明の面ファスナーがフック・ループ混在型面ファスナーである場合には、基材となる布等に縫い付けて、あるいはそれ単独で、同様に、結束バンドとしてあるいは締結バンドとして有効である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1
基布を構成する経糸および緯糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸として次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167デシテックスで48本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:融点260℃のポリエチレンテレフタレート
・鞘成分:軟化点180℃のイソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
・芯鞘比率(重量比): 7:3
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:197デシテックスで48本
・200℃で1分間の乾熱収縮率:14%
[ループ状係合素子用マルチフィラメント糸]
・融点220℃のポリブチレンテレフタレート繊維
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:265デシテックスで7本
上記3種の糸を使用し、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸と平行に並べた。織組織は平織で、織密度が経糸72本/cm、緯糸18本/cmで、経糸8本に2本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメント糸をそれぞれ打ち込んだ。なお、幅方向(緯糸方向)に途中耳部となる平坦部を有さない116mm幅で準備した。
上記条件にて織成されたテープを、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、ループ係合素子用マルチフィラメント糸、さらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度、すなわち215℃で熱処理を施した。緯糸は大きく収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。その結果、基布は緯糸方向に大きく収縮して、緯糸方向に10%収縮した。
得られたループ型面ファスナーのループ状係合素子密度は40個/cmであり、さらにループ状係合素子の基布面からの高さは2.4mmであった。
そして、得られた面ファスナーを、円周上にいくつかの切断刃が削り出された円盤状の回転刃を有する刈り取り装置を用いて、刈り取り切断処理して幅5mmの耳部となる平坦部を21mm置きに有した面ファスナーを製造したが、1回の処理では切り残りが多く見られ、残った繊維の長さも均一ではなかった。そのため、1回処理にて巻き上がった面ファスナーを、もう一度仕掛けて、1回目とは反対方向から刈り取り切断処理を行ったところ、切り残りの長さは極めて短く揃えられたものであった。この断面状態を光学顕微鏡により写真を撮った。それを図5に示す。そして2方向の2回刈り取り切断処理して製造した面ファスナーのループ状係合素子の切れ残り部分の長さを計測したところ、約0.25mmで均一に揃っていた。
そして刈り取り切断処理した後の面ファスナー織物を染色処理した。 染色は、ポリエチレンテレフタレート繊維に対して一般的に行われている高温高圧条件で実施した。具体的な、染色温度は135℃で、染色時間は135℃を維持している時間が30分であり、さらに染料として黒系の分散染料を使用した。
得られた面ファスナーは均一に鮮やかに染色されており、耳部を形成するために刈り取った係合素子の切株の断面を光学顕微鏡で観察したところ、断面の中心部と周辺部とで同一の染色濃度で染色されていることが確認できた。
このようにして得られた面ファスナー用織物の耳部用平坦部を幅方向の中間部で切断して、21mm幅の係合素子部の両端部にそれぞれ2.5mmの耳部を有する細幅のループ面ファスナーを製造した。
得られた面ファスナーは係合素子部の両端に耳部が存在しており、耳部は、すべての係合素子がほぼ根元から刈り取られており、極めて見栄えの優れたものであり、耳部を縫製するのに何ら支障がなく、耳部のほつれもなく、強固に縫製することができた。さらに、従来の一般的な面ファスナーのように、バックコート樹脂を裏面に塗布していないことから、面ファスナーが極めて柔軟であり、衣料に縫製で取り付けても、衣料のドレープ性や柔軟性を大きく損なうことがなかった。
実施例2
基布を構成する経糸および緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸として次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167デシテックスで48本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:融点260℃のポリエチレンテレフタレート
・鞘成分:軟化点180℃のイソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
・芯鞘比率(重量比): 7:3
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:197デシテックスで48本
・200℃で1分間の乾熱収縮率:14%
[フック状係合素子用モノフィラメント糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレート繊維
・繊度:390デシテックス(直径:0.19mm)
上記3種の糸を使用し、フック状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸と平行に並べた。織組織は平織で、織密度が経糸72本/cmで緯糸18本/cmで、経糸8本に2本の割合でフック状係合素子用マルチフィラメントをそれぞれ打ち込んだ。なお、巾手方向に途中耳部となる平坦部を有さない111mm巾で準備した。
上記条件にて織成されたテープを、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、フック係合素子用モノフィラメント、さらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち摂氏215℃で熱処理を施した。緯糸は大きく収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。その結果、基布は巾手方向に大きく収縮して、面ファスナーの巾は10%収縮した。そして、得られた織物を冷却させたのち、フック状係合素子用ループの片足部(ループ状係合素子から離れている方)を切断したフック状係合素子を形成した。
得られたフック型面ファスナーのループ状係合素子密度は40個/cmであり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.8mmであった。
次に、得られた面ファスナーを実施例1と同様に刈り取り切断処理して、幅5mmの耳部となる平坦部を21mm置きに有した面ファスナーを製造した。刈り取り切断処理は1回のみ実施した。そしてフック状係合素子は極僅かに切れ残りがあるものの、ほぼ均一に切り取られており、面ファスナーのループ状係合素子の切れ残り部分の長さを計測したところ、約0.1mmで均一に揃っていた。この刈り取り切断処理により形成された平坦部を光学顕微鏡により写真に撮った。それを図6に示す。
そして刈り取り切断処理した後のフック型面ファスナー織物を実施例1と同一の条件で染色処理した。得られた面ファスナーは均一に鮮やかに染色されており、耳部を形成するために刈り取った係合素子の切株の断面を光学顕微鏡で観察したところ、断面の中心部と周辺部とで同一の染色濃度で染色されていることが確認できた。
このようにして得られたフック型面ファスナー用織物の耳部用平坦部を幅方向の中間部で切断して、21mm幅の係合素子部の両端部にそれぞれ2.5mmの耳部を有する細幅のフック型面ファスナーを製造した。そして、刈り取り切断処理をした後に染色処理したフック型面ファスナー織物の刈り取った係合素子の切株の断面を光学顕微鏡で観察したものを写真に撮った。これを図7に示す。
そしてさらに本発明品の比較対照として、染色処理した後のフック型面ファスナー織物を切断処理し、刈り取った係合素子の切株の断面を光学顕微鏡で観察したものを写真に撮った。これを図8に示す。
図7と図8を比較すれば明らかなように、図8の場合には、染色後に係合素子を刈り取り切断したことから、切株の切断面が白っぽく見えるものがいくつかみられた。これは、フック状係合素子を構成するポリエステル系の繊維からなるモノフィラメント糸の内部にまで染料が入りきっておらず、切断することによって染料が入っていない部分が露出して白っぽく見えたものと推察される。本発明で規定する順序のように、刈り取り切断処理した後に染色処理すると、切断面も染色されるため、図7から明らかなように、切断面が白っぽく見えることはない。
得られたフック型面ファスナーはフック状係合素子部の両端に耳部が存在しており、耳部は、すべての係合素子がほぼ根元から刈り取られており、かつ切り株の先端が白っぽく見えることもなく、極めて見栄えの優れたものであり、耳部を縫製するのに何ら支障がなく、耳部のほつれもなく、強固に縫製することができた。さらに、面ファスナーが極めて柔軟であり、衣料に縫製で取り付けても、衣料のドレープ性や柔軟性を大きく損なうことがなかった。
比較例1
基布を構成する経糸および緯糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸として次の糸を用意した。
[経糸]
・融点225℃のポリアミド系繊維のナイロン6からなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:155デシテックスで12本
[緯糸]
・経糸と同じ
[ループ状係合素子用マルチフィラメント糸]
・融点225℃のポリアミド系繊維のナイロン6からなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:235デシテックスで10本
上記3種の糸を使用し、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸を経糸に平行に並べた。織組織は平織で、織密度は、経糸が72本/cm、緯糸が18本/cm、経糸8本に2本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメント糸を打ち込んだ。なお、幅手方向に途中耳部となる平坦部を有さない係合素子幅109mmである。
上記条件にて織成された広幅面ファスナー用織物を、ナイロン6繊維が熱劣化しない温度、すなわち摂氏195℃で熱処理を施した。またナイロン6繊維が黄色く変色しないよう蒸気を含ませた。その結果、基布は幅方向に約8%収縮した。
得られたループ型面ファスナーのループ状係合素子密度は40個/cmであり、さらにループ状係合素子の基布面からの高さは2.1mmであった。
次に染色を行った。染色は、ナイロン6繊維が染色可能な常圧条件で行い、染料として酸性染料を用いた。そして、染色されたナイロン6繊維を用いた面ファスナー用織物のループ状係合素子、経糸および緯糸を固定するために、ポリウレタン系の接着剤を溶解した有機溶剤溶液を裏面に塗布し、乾燥させた。そしてさらに、得られた面ファスナー用織物の耳部用領域を形成するために刈り取り切断処理を行い、耳部となる平坦部を有したループ型面ファスナー用織物を製造したが、得られた面ファスナーテープは、テープの端部がノコギリ刃のようなギザギザな形状に削られていた。
面ファスナーテープを目視にて詳しく観察したところ、テープが波打ったように変形しており、さらには、テープの端部が特に大きく波打っていた。そして、刈り取り処理中に刈り取り刃部分も目視にて観察すると、耳部の波打った部分の基布部が刈り取り切断刃の中に巻き込まれて切り取られていた。これは、温度、湿度で変形しやすいナイロン6の性質が面ファスナーの基布にも影響して水平な形状を維持できず波打ったような形状になり、浮き上がった部分が刈り取り切断用の回転刃に巻き込まれ削り取られたと推察される。
比較例1の結果から、係合素子部を均一に刈り取るためには、テープの特に基布部の外観形状を水平に維持しやすいポリエチレンテレフタレート系で代表されるポリエステル樹脂からなる繊維を用いた面ファスナーが好ましいことがわかる。
実施例3
実施例1において得られたループ型面ファスナーのループ状係合素子の切れ残り部分を、超音波の熱によって溶融させて、耳部となる平坦部を有した面ファスナーを製造した。得られた面ファスナーを観察したところ、実施例1の優れた性能を有した上で、さらに実施例1のものより耳部の洗濯ほつれが改善され、かつ手触り感もスムーズであることが確認できた。
実施例4
実施例2において得られたフック型面ファスナーのフック状係合素子の切れ残り部分を、超音波の熱によって溶融させて、耳部となる平坦部を有した面ファスナーを製造した。得られた面ファスナーを観察したところ、実施例2の優れた性能を有した上で、さらに実施例2のものより耳部の洗濯ほつれが改善されていることが確認できた。
なお、洗濯ほつれとは、耳部の中央部をナイフ刃で長手方向に切断して切り離したフック型面ファスナーとループ型面ファスナーを係合させて家庭用洗濯機にて洗濯し、洗濯中にもまれたテープの切断面の経糸がほつれた本数を目視にて観察したものである。
1:係合素子領域
2:耳部
3:耳部領域
4:幅方向(緯糸方向)
5:長さ方向(経糸方向)
6:係合素子
7:刈り取り装置の回転刃
8:刈り取り装置の刈り取り刃

Claims (6)

  1. 経糸、緯糸および係合素子用糸からなる織物ならびに同織物表面から立ち上がる係合素子から形成され、かつ染色された面ファスナーにおいて、下記条件1)〜4)を満足していることを特徴とする耳部を有する面ファスナー。
    1)経糸、緯糸および係合素子用糸がともにポリエステル系の繊維からなること、
    2)緯糸が、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含み、かつ係合素子用糸が該熱融着性繊維の溶融により固定されていること、
    3)面ファスナーの少なくとも片方の端部には、その部分に存在している係合素子が根元付近で切断され、係合素子が除去されて、耳部が形成されていること、
    4)該耳部に存在している、係合素子を切断した跡の切株の切断面の中心部と周辺部で、染色濃度が実質的に同一であること、
  2. 耳部に存在している、係合素子を切断した跡の切株の切断面が溶融処理されている請求項1に記載の面ファスナー。
  3. 耳部に残存している、係合素子を切断した跡の切株の織物表面からの高さが0.3mm以下である請求項1または2に記載の面ファスナー。
  4. 経糸、鞘成分を熱融着成分とする芯鞘型の熱融着性繊維を含む緯糸および係合素子用糸からなる織物ならびに同織物表面から立ち上がる係合素子から形成され、かつ該経糸、該緯糸および該係合素子用糸がともにポリエステル系の繊維から構成された糸であり、さらに幅方向両端部に耳部を有している面ファスナーの製造方法において、下記5)〜8)の工程をその順序で行うことを特徴とする耳部を有する面ファスナーの製造方法。
    5)経糸、緯糸および係合素子用糸から面ファスナー用織物を作製したのち、係合素子用糸を該熱融着性繊維により融着固定する工程、
    6)面ファスナー用織物の表面に存在している係合素子のうち、面ファスナー織物の幅方向に所定間隔をおいて存在している係合素子の群をその根元付近で切断することにより係合素子を除去して、係合素子が存在しておらず、かつ面ファスナー織物長さ方向に連続する領域を形成する工程、
    7)面ファスナー織物を染色処理する工程、
    8)該領域の方向のほぼ中間部を切断して該領域を耳部とする工程、
  5. 染色処理する前または後の面ファスナーの係合素子を除去した部分に熱を加えて、同部分に存在している係合素子の切株の少なくとも先端部を溶融させる請求項4に記載の面ファスナーの製造方法。
  6. 1回目の切断を行った後にブラッシング処理して係合素子を立たせ、連続して追加の切断処理を行う請求項4または5に記載の面ファスナーの製造方法。
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