JP2018151516A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿環境での電子写真方式の画像形成に用いられても、耐リーク性の不足による微小な画像不良の発生を長期に亘って抑制することが可能な電子写真感光体を提供する。【解決手段】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、上記導電性支持体上に重ねて配置される複数の層とを有する。上記複数の層の少なくともいずれかの層は、ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置は、所期の画像に対応する静電潜像を形成するための電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも言う)を有している。当該感光体には、高い耐久性と画質とが求められている。画質を劣化させる要素は、主に、感光体の使用環境と感光体の使用による劣化であり、これらの要素は、感光体の長寿命化と高画質化の両立を阻害する要因の一部となっている。
高い耐久性と画質を実現するためには、感光体の表面の電荷をスムーズに消去し、感光体内部に電荷を残存させないことが有効である。このため、一般に、感光体の導電性支持体上に中間層を形成し、この中間層には、当該中間層における電子伝導性と電気抵抗とを両立させるための金属酸化物微粒子が分散されている。とりわけ、当該粒子の金属酸化物には、酸化チタンや酸化スズ、酸化亜鉛などが適しており、特に酸化チタンが優れた特性を示す。
しかしながら、これらの金属酸化物の粒子では、一般に、電子伝導性を有することによる感光体の露光後の電位安定化に寄与する面と、熱励起などによる電子の望まない価電子帯から伝導帯への遷移に由来するリーク電流や絶縁耐圧性とが、トレードオフの関係にある。その結果、高温高湿環境で画像を形成したときに、定着画像に、カブリや黒点などの、耐リーク性の不足による微小な画像不良が引き起こされることがある。感光体の寿命は、このような画像不良の発生を考慮して決められる。
上記の画像不良を抑制するために、感光体の中間層に分散される金属酸化物粒子の結晶形や、当該粒子の無機化合物または有機化合物による表面処理などにより、感光層における電子伝導性と電気抵抗との両立を図る技術が知られている。
たとえば、当該技術には、導電性支持体と感光層の間に中間層を有し、当該中間層が少なくともN型半導性微粒子とバインダー樹脂を含有しており、当該N型半導性粒子が複数回の表面処理を施されており、かつ最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理である電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記の技術には、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層および電荷輸送層を有し、当該導電性支持体の表面粗さLrが100.600〜102.000%であり、上記中間層がN型半導性粒子を含有し、当該N型半導性粒子の疎水化度が10〜50で、その数平均一次粒径が3〜200nmであり、上記中間層の表面粗さLrが100.500%以下である電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、上記の技術には、導電性支持体上に少なくとも中間層および感光層をこの順に有し、上記中間層が、バインダー樹脂と、平均粒径0.1〜1.0μmの酸化チタン微粒子と、平均粒径0.01〜0.05μmの金属酸化物微粒子とを含有する電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−236381号公報 特開2005−338445号公報 特開2009−069410号公報
前述したように、上記中間層に分散される金属酸化物粒子の好適な一例に酸化チタン粒子が挙げられるが、当該酸化チタン粒子として、ルチル型酸化チタン粒子、アナタース型酸化チタン粒子、ブルッカイト型酸化チタン粒子あるいはこれらの混合物を用いても、上記の画像不良の発生の抑制の観点から不十分であることがあり、その傾向は、感光体が保護層を有する場合により顕著となる傾向を有する。このように、従来の感光体は、高温高湿環境下であっても高画質の画像を長期に亘って安定して形成する観点から検討の余地が残されている。
本発明は、高温高湿環境での電子写真方式の画像形成に用いられても、耐リーク性の不足による微小な画像不良の発生を長期に亘って抑制することが可能な電子写真感光体を提供することを課題とする。
本発明者らは、ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する中間層を有する電子写真感光体が上記の課題を解決し得ることを見出し、さらに鋭意検討して本発明を完成させた。本発明は、導電性支持体と、上記導電性支持体上に重ねられて配置される複数の層とを有し、上記複数の層の少なくともいずれかは、ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する電子写真感光体、を提供する。
本発明によれば、高温高湿環境での電子写真方式の画像形成に用いられても、耐リーク性の不足による微小な画像不良の発生を長期に亘って抑制することができる。
本発明の一実施の形態に係る電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも言う)は、導電性支持体と、上記導電性支持体上に重ねられて配置される複数の層とを有する。当該感光体は、上記導電性支持体上の層中にラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する以外は、公知の有機感光体と同様に構成することが可能である。
上記導電性支持体は、上記感光層を支持可能で、かつ導電性を有する部材である。上記導電性支持体の例には、金属製のドラムまたはシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質またはそれとバインダー樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙などが含まれる。上記金属の例には、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼が含まれ、上記導電性物質の例には、上記金属、酸化インジウムおよび酸化スズが含まれる。
上記複数の層は、上記感光体の層として公知の他の層である。当該複数の層の例には、導電性支持体上に形成される中間層、中間層上に形成される感光層、感光層上に形成される保護層、感光層に含まれる電荷発生層、および、感光層に含まれる電荷輸送層、が含まれる。上記感光体では、これらの層の少なくともいずれかにラムスデライト型酸化チタン粒子を含有するが、当該ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する以外は、上記のいずれの層も、公知の構成を有していてよく、公知の方法によって作製することが可能である。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、ラムスデライト型の結晶構造を有する酸化チタン粒子である。当該酸化チタン粒子におけるラムスデライト型の結晶構造は、TiOの八面体が稜共有して2列繋がっている構造である。上記結晶構造は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の結晶構造を含んでいてもよく、例えば、ラムスデライト型のみであってもよいし、ルチル型やアナタース型などの他の結晶構造を含んでいてもよい。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、特開2007−137686号公報または特開2012−51740号公報に記載されている酸化チタン粒子であってよく、これらの公報に記載の方法で製造することができる。
上記層中の酸化チタン粒子がラムスデライト型酸化チタンであることは、上記の層から酸化チタン粒子などの金属酸化物粒子を取り出し、取り出された粉体の粉末X線強度データを、二軸X線回折装置(例えば、株式会社リガク製、商品名「RINT2550V」)を用いて測定する粉末X線構造解析を行うことにより確認することができる。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、表面処理されていてもよい。すなわち、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、その表面を覆う被覆層をさらに有していてもよい。当該被覆層は、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面処理剤による表面処理によって形成されていてもよい。当該被覆層は、一種でもそれ以上でもよく、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面方向において分割されて配置されていてもよいし、あるいは重ねられていてもよい。
上記被覆層は、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面に上記表面処理剤が物理的な相互作用によって担持されていてもよいし、化学的な相互作用によって結合していてもよい。上記被覆層は、前者の場合では上記表面処理剤そのものの集合によって構成され、後者の場合では上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面に化学的に結合した上記表面処理剤の残基によって構成される。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子が表面処理されていることは、当該粒子が含有される層における当該粒子の分散性を高める観点から好ましい。また、表面処理されたラムスデライト型酸化チタン粒子が上記中間層に含有される場合には、耐ポチ性および耐カブリ性を高め、高温高湿環境下における耐久を通じての画質および信頼性を高める観点から好ましい。なお、上記の場合に加えて上記感光体が保護層を有する場合には、長期使用に伴う感光体のクリーニング性の低下を抑制し、感光体およびそれを有するプロセスカートリッジの長寿命化の観点から好ましい。
上記表面処理剤の例には、無機金属酸化物および有機化合物が含まれる。上記無機金属酸化物は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、アルミナ、シリカ、ジルコニアおよびこれらの水和物、が含まれる。これらのうち、アルミナ、シリカ、またはこれらの併用が好ましい。
上記無機金属酸化物による上記被覆層を上記ラムスデライト型酸化チタン粒子が有することは、当該ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面にある活性な水酸基が被覆層によって被覆され、不要な活性を抑える観点から好ましい。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子に対する上記無機金属酸化物の付着量は、上記の効果が得られる範囲において適宜に決めることができるが、例えば、30〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは、40〜70質量%である。
上記無機金属酸化物による上記被覆層は、特開2009−255042号公報に開示されているような公知の方法によって作製することが可能である。たとえば、上記被覆層は、以下の方法によって作製することが可能である。すなわち、被処理微粒子である上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を水などの溶媒に分散させ、撹拌および懸濁させる。分散液における被処理微粒子の濃度は、上記粒子の表面全体が表面処理できる範囲において適宜に決めることができ、例えば、0.1〜20質量%であることが好ましい。
得られた懸濁液に、水酸化ナトリウムなどの塩基を添加して当該懸濁液のpHを好ましくは8.0以上とする。次いで、シリカ処理の場合は例えばケイ酸塩溶液、アルミナ処理の場合は例えばアルミン酸溶液、などの前駆体溶液を上記懸濁液に添加し、好ましくは60〜100℃に昇温する。当該前駆体の添加量は、被処理微粒子に対して1〜20質量%であることが好ましい。その後、懸濁液に酸を0.5〜5時間かけて滴下して懸濁液のpHが酸性になるまで中和し、得られた表面処理微粒子を濾過、洗浄、乾燥する。
上記表面処理剤としての上記有機化合物は、金属酸化物粒子の表面処理に用いられる公知の有機化合物から適宜に選ぶことができ、一種でもそれ以上でもよい。当該有機化合物(以下、「有機表面処理剤」とも言う)の例には、有機ケイ素化合物および有機チタン化合物が含まれ、上記有機ケイ素化合物の例には、シランカップリング剤およびメチルハイドロジェンポリシロキサンが含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、下記S−1〜S−30に示される化合物、および、下記一般式(a)に示される化合物(アルコキシシラン)、が含まれる。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OC
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
−Si−(X) (a)
上記式(a)中、Rは、メタクリロキシ基またはアクリロキシ基を含有する、炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
上記アルコキシシランの例には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、および、3−メタクリロキシブチルトリメトキシシランが含まれる。中でも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランまたは3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
上記メチルハイドロジェンポリシロキサンは、メチルハイドロジェンシロキサン単位(−(HSi(CH)O)−)の構造単位を含むポリシロキサンであり、これ以外の他のシロキサン単位をさらに含む共重合体であることが好ましい。他のシロキサン単位は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、ジメチルシロキサン単位、メチルエチルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位およびジエチルシロキサン単位が含まれる。高い表面処理効果が期待される観点から、上記メチルハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましい。
上記有機チタン化合物の例には、アルコキシチタン、チタンポリマー、チタンアシレート、チタンキレート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネートおよびビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートが含まれる。
上記有機表面処理剤による上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の表面処理は、公知の方法により行うことができ、例えば、湿式または乾式の表面処理方法によって行うことができる。
乾式の表面処理方法では、被処理微粒子を撹拌などによりクラウド状に分散させたものに、有機表面処理剤を溶媒に溶解させた表面処理用溶液を噴霧する、あるいは気化した表面処理用溶液を接触させて付着させる。湿式の表面処理方法では、例えば、上記表面処理用溶液に被処理微粒子を添加して混合、撹拌する、または、被処理微粒子を溶媒中に分散させ、その中に有機表面処理剤を滴下して付着させ、ビーズミルなどによって湿式解砕処理を行う。そして、その後、必要に応じて得られた分散液から溶媒を減圧留去などによって除去し、得られた被処理微粒子をアニール処理(焼き付け)する。上記有機表面処理剤による表面処理方法は、煩雑さが低い観点から、湿式の表面処理が好ましい。
上記表面処理用溶液を調製するための溶媒は、有機溶媒であることが好ましく、その例には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、および、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、が含まれる。
湿式の表面処理方法における混合、撹拌は、被処理微粒子が十分に分散されるまで適宜行えばよい。また、湿式解砕処理の際の温度は、15〜100℃程度であることが好ましく、20〜50℃がより好ましい。解砕処理時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間がより好ましい。また、アニール処理の際の焼き付け温度は、例えば100〜220℃、好ましくは110〜150℃とすることができる。焼き付け時間は0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。なお、これらの条件は一例であり、例えば処理装置によって変動する場合があるため、必ずしも上記の範囲で実施しなくともよい。
湿式の表面処理方法においては、有機表面処理剤の使用量は、その種類によって異なるが、例えば、被処理微粒子100質量部に対して、有機表面処理剤0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部を使用することができる。溶媒の添加量は、例えば、被処理微粒子100質量部に対して100〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部である。
有機表面処理剤の使用量が上記の下限値以上であれば、被処理微粒子に対して十分な表面処理を行う観点から好ましく、例えば中間層に適度な電子輸送性を付与するのに好ましい。上記使用量が上記の上限値以下であれば、有機表面処理剤同士が反応することを抑止する観点から好ましく、被処理微粒子の表面に不均一な皮膜が形成されることによる電荷のリークの発生を防止する観点から好ましい。
有機表面処理剤による表面処理は、未処理の被処理微粒子に対して行われてもよいし、無機金属酸化物の被覆層を有する被処理微粒子に対して行われてもよい。後者は、被処理微粒子の表面の活性水酸基をより確実に被覆することができ、不要な活性を抑制する観点から好ましい。
上記の層中の上記ラムスデライト型酸化チタン粒子における上記被覆層の有無は、製造工程の確認、または上記層に含まれる金属酸化物粒子を取り出し、得られた粉体の表面の無機分析を、透過型、エネルギー分散型X線分析法(TEM−EDX)や、波長分散型蛍光X線分析(WDX)などの公知の機器分析によって行うことにより、確認することができる。
上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の数平均一次粒径は、例えば5〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。上記数平均一次粒径が上記の範囲内であることは、層中における上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の分散性を高める観点、および、上記層におけるより良好な電子輸送性を発現させる観点、から好ましい。なお、上記数平均一次粒径は、上記被覆層の有無によらない。
上記層は、当該層に分散される金属酸化物粒子として、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子以外の他の粒子を、本実施の形態の効果が得られる範囲においてさらに含有していてもよい。当該他の金属酸化物粒子は、一種でもそれ以上でもよいし、被覆層を有していても有していなくてもよい。上記の他の金属酸化物粒子の例には、ルチル型酸化チタン、アナタース型酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物の微粒子、ならびに、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの金属複合酸化物の微粒子、が含まれる。
上記他の金属酸化物粒子は、少なくとも表面の一部が当該金属酸化物によって形成されており、単一の材料によって構成されていてもよいし、複数の材料によって構成されていてもよい。複数材料から構成される上記他の金属酸化物粒子の例には、コア粒子とその表面に金属酸化物が被覆材として付着されてなるシェルとを有するコア−シェル構造の複合微粒子が含まれる。このコア−シェル構造の複合微粒子は、コア粒子の表面の一部が露出していてもよいし、コア粒子の表面がシェルによって完全に被覆されていてもよい。
単一材料による金属酸化物粒子の例は、前述した通りである。中でも、硬度、絶縁性、光透過性の観点から、ルチル型酸化チタン、アナタース型酸化チタン、酸化ケイ素または酸化アルミニウムが好ましい。
コア−シェル構造の複合微粒子である場合において、コア粒子は、例えば絶縁性材料の粒子であり、その例には、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の粒子が含まれる。上記コア粒子は、光透過性の観点から特に硫酸バリウムが好ましい。また、被覆材としての金属酸化物の例には、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムが含まれる。たとえば、上記の材料による上記複合微粒子は、光透過性と絶縁性との両方を有することから、画像特性の維持向上と減耗抑制との観点から好ましい。
上記他の金属酸化物粒子は、被覆層を有していても、すなわち表面処理されていてもよい。上記他の金属酸化物粒子の表面処理は、前述した上記ラムスデライト型酸化チタン粒子のそれと同様に行うことが可能である。上記他の金属酸化物粒子も、上記表面処理されることは、層中の分散性の向上の観点から好ましい。また、上記他の金属酸化物粒子も、無機金属酸化物の被覆層の上に有機表面処理剤による被覆層が重ねられていることが、当該他の金属酸化物粒子の表面の不要な活性を抑制する観点から好ましい。
上記他の金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、3〜150nmであることが、層中の十分な分散性および層の強度の向上の観点から好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。
なお、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子および上記他の金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、いずれも、レーザー回析法による粒子の体積基準粒子径測定により測定することができる。たとえば、測定サンプルとして感光体表面から、測定対象の金属酸化物粒子を含有する層を含む積層構造体の一部を、その断面が露出するようにナイフなどで切り出し、得られた測定サンプルをその切断面が上向きになるよう任意のホルダに貼り付ける。そして、測定サンプルを走査型電子顕微鏡により観察し、撮影された写真画像より上記平均一次粒子径を算出する。たとえば、写真撮影は、上記顕微鏡の倍率を3万倍に設定して行い、写真画像中の100個の微粒子をランダムに抽出して算出する。具体的には、自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(株式会社ニレコ製)により、写真画像を2値化処理し、100個の微粒子の水平方向フェレ径を測定し、その平均値を算出し、これを数平均一次粒径とする。
上記導電性支持体上の上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する層は、有機感光体の公知の層から適宜に選ぶことができる。当該層は、一つでもそれ以上でもよく、前述したように、例えば、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層からなる群から選ぶことができる。上記層は、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する以外は、公知の材料を用いて公知の方法によって作製することができる。
上記中間層は、例えば、バインダー樹脂とそれに分散されている金属酸化物粒子とによって構成される。上記中間層の厚さは、例えば0.1〜15μmであり、より好ましくは0.3〜10μmである。
上記バインダー樹脂の例には、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタンおよびゼラチンが含まれる。
上記金属酸化物粒子は、例えば導電性を有する粒子であり、その例には、前述したラムスデライト型酸化チタン粒子および他の金属酸化物粒子が含まれる。上記中間層は、例えば、上記金属酸化物粒子が分散されている上記バインダー樹脂の溶液である中間層用塗料へ導電性支持体を浸漬する浸漬塗布法により作製することができる。
上記中間層における上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の含有量は、中間層用の上記バインダー樹脂100質量部に対して200〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは200〜500質量部である。上記含有量が200質量部以上であることは、中間層に良好な電子輸送性を確実に付与する観点から好ましく、上記含有量が600質量部以下であることは、中間層の製造時における良好な塗布膜を形成する観点から好ましい。
あるいは、上記の効果をより確実に得る観点から、上記中間層における上記バインダー樹脂と上記ラムスデライト型酸化チタン粒子との体積比は、この順で、5:10〜11:10であることが好ましい。上記含有量は、質量で決めてもよいし、体積比で決めてもよいし、質量および体積比の両方で決めてもよい。
上記中間層が上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有することは、高温高湿環境における微小な画像不良の発生の抑制効果の向上、および、長期における高画質の画像形成の維持、向上、の観点から好ましい。また、上記中間層がルチル型酸化チタン粒子およびアナタース型酸化チタン粒子の一方または両方をさらに含有することは、塗膜均一性の向上の観点から好ましい。上記中間層における上記ルチル型酸化チタン粒子およびアナタース型酸化チタン粒子の含有量は、上記の効果が得られる範囲において適宜に決めることができる。
上記電荷発生層は、例えば、バインダー樹脂とそれに分散されている電荷発生物質とによって構成される。電荷発生層の厚さは、例えば0.01〜5μmであり、より好ましくは0.05〜3μmである。
上記バインダー樹脂の例には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、これらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体)、および、ポリビニルカルバゾール、が含まれる。
上記電荷発生物質の例には、スーダンレッドやダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴやチオインジゴなどのインジゴ顔料、および、フタロシアニン顔料、が含まれる。
電荷発生層も、例えば、上記電荷発生物質が分散されている上記バインダー樹脂の溶液である電荷発生層用塗料に、中間層が形成された導電性支持体を浸漬する浸漬塗布法により作製することができる。
上記電荷発生物質がフタロシアニン構造を有する化合物であることは、中間層が上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する場合の上記の効果を高める観点から好ましい。
上記電荷輸送層は、例えば、バインダー樹脂とそれに分散されている電荷輸送物質とによって構成される。電荷輸送層の厚さは、例えば5〜40μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
上記バインダー樹脂の例には、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、および、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、が含まれる。
上記電荷輸送物質の例には、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンが含まれる。
電荷輸送層も、例えば、上記電荷輸送物質および上記バインダー樹脂の溶液である電荷輸送層用塗料に、電荷発生層が形成された導電性支持体を浸漬する浸漬塗布法により作製することができる。
上記電荷輸送層がポリカーボネート骨格およびポリアリレート骨格の一方または両方の構造を有する樹脂を含有することは、電荷輸送層の膜減耗の抑制と、長期使用における電位特性の安定性の観点から好ましい。
上記保護層は、上記感光体の表面を構成する層であり、表面層とも言われる。上記保護層を有する感光体、特にモノマーの重合(硬化)による保護層または金属酸化物粒子を分散させた表面層は、一般に、カブリ耐性が低く、しばしば高温高湿下での使用や通常の環境下であっても長期連続使用後に問題となる傾向にある。上記感光体が、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する上記中間層と上記保護層との両方を有することは、中間層によるポチやカブリなどの画像不良への耐性の高さと、長期安定性および環境安定性とを両立させる観点から好ましい。
上記保護層は、例えば、ラジカル重合性組成物(以下、「保護層用塗料」とも言う)の一体的な重合物で構成される。当該ラジカル重合性組成物は、ラジカル重合性モノマーと、上記金属酸化物粒子のような任意成分とを含有する。保護層の厚さは、例えば2〜15μmであり、より好ましくは4〜8μmである。
上記ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性官能基を有する化合物である。上記ラジカル重合性モノマーは、一種でもそれ以上でもよく、また、複数の当該モノマーが結合してなるオリゴマーであってもよい。上記ラジカル重合性モノマーは、保護層の硬さの観点から、多官能であること、すなわち、二以上のラジカル重合性官能基を有すること、が好ましく、ラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基の数は、2〜6であることがより好ましい。上記ラジカル重合性官能基は、ラジカル反応によって結合する官能基である。ラジカル重合性官能基は、一種でもそれ以上でもよい。ラジカル重合性官能基の例には、アクリロイル基およびメタクリロイル基が含まれる。上記ラジカル重合性モノマーは、公知のラジカル重合性モノマーから適宜に選ぶことが可能である。
上記任意成分は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記保護層中の成分として公知の成分から適宜に選ぶことが可能である。当該任意成分の例には、金属酸化物粒子、電荷輸送剤、ラジカル捕捉剤、溶剤および重合開始剤が含まれる。
上記金属酸化物粒子の例には、前述した前述したラムスデライト型酸化チタン粒子および他の金属酸化物粒子が含まれる。
上記保護層中の上記金属酸化物粒子が被覆層を有する場合、当該被覆層は、保護層の硬度を高める観点から、ラジカル重合性官能基を有することが好ましく、当該保護層中では、保護層を構成しているラジカル重合体と、ラジカル重合による共有結合によって結合していることが好ましい。上記保護層における上記金属酸化物粒子の含有量は、例えば、保護層の機械的強度の向上観点から、保護層を構成しているラジカル重合体100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましい。
上記電荷輸送剤は、一種でもそれ以上でもよく、例えば特開2015−114454号公報にCTM−1〜CTM−22として例示されているような公知の電荷輸送物質から適宜に選ぶことが可能である。上記保護層における上記電荷輸送剤の含有量は、感光体における所望の電気特性を実現する観点から、上記硬化樹脂100質量部に対して25〜75質量部であることが好ましい。
上記ラジカル捕捉剤は、一種でもそれ以上でもよく、上記公報の一般式(2)で表されるような公知のラジカル捕捉剤から適宜に選ぶことができる。
上記溶剤は、一種でもそれ以上でもよく、有機系の材料に対する相溶性などの観点から、公知の溶剤の中から適宜に選択することが可能である。上記溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンが含まれる。
上記重合開始剤は、光重合開始剤および熱重合開始剤の一方であってもよく、またはこれらの両方であってもよい。重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましく、その例には、アルキルフェノン系化合物およびフォスフィンオキサイド系化合物が含まれる。上記保護層用塗料における上記重合開始剤の含有量は、例えば、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して0.1〜20質量部である。
なお、上記保護層を含む上記複数の層を構成する有機系の材料は、層の分取、溶剤による有機成分の抽出などの適宜な前処理を行い、赤外分光法(IR)、質量分析(MS)および核磁気共鳴(NMR)などの通常の機器分析によって特定することが可能である。
上記保護層は、上記保護層用塗料の塗膜を上記電荷輸送層上に形成し、必要に応じて当該塗膜を乾燥させ、当該塗膜に活性光線を照射して硬化することによって形成することができる。
上記保護層用塗料の上記感光層への塗布は、公知の方法によって行うことが可能であり、そのような塗布方法の例には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法および円形スライドホッパー法が含まれる。
上記活性光線は、例えば紫外線または電子線であり、使用のしやすさの観点から、紫外線であることがより好ましい。紫外線の光源は、紫外線を発生する光源から適宜に選択することができ、その例には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプおよびフラッシュ(パルス)キセノンが含まれる。活性光線の照射量は、例えば5〜500mW/cmであり、活性光線の照射条件は、光線源の種類に応じて適宜に決めることが可能である。
上記感光体は、公知の電子写真方式の画像形成装置における有機感光体として使用することができる。たとえば、上記画像形成装置は、上記感光体と、上記感光体の表面を帯電させるための帯電装置と、帯電した上記感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光装置と、静電潜像が形成された上記感光体にトナーを供給してトナー像を形成するための現像装置と、上記感光体の表面の上記トナー像を記録媒体に転写するための転写装置と、上記トナー像を上記記録媒体に定着させるための定着装置とを有する。
また、上記感光体は、静電潜像が形成された上記感光体の表面にトナーを供給して上記静電潜像に応じたトナー像を上記感光体の表面に形成し、上記トナー像を上記感光体の表面から記録媒体に転写し、上記トナー像を上記記録媒体に定着させる公知の電子写真方式の画像形成方法に適用される。当該画像形成方法は、例えば、上記の画像形成装置によって行われる。
上記感光体は、高温高湿環境下での画像の形成においても、長期に亘り、耐ポチ、耐カブリ性および耐リーク性に優れるとともに、良好な電位特性を発現することができ、かつ高い耐久性が得られる。特に、上記感光体が保護層を有する場合に、より一層の上記の効果が奏される。それには、以下のような理由が考えられる。
一般に、感光体では、電荷発生層で発生したキャリアのうちの電子は、中間層に分散されている金属酸化物粒子が受け取り、中間層を通じて導電性支持体へと移動する。これにより感光体の表面電位が制御される。中間層が電子を受け取りづらくなると、感光体の電荷発生層付近に電子、ホールとも滞留し、感光体の電位特性が悪くなる。
一方で、中間層の上記金属酸化物粒子における金属酸化物の熱励起などにより、金属酸化物粒子が受け取った電子が価電子帯から伝導帯に励起すると、その電子は、導電性支持体へ移動する際に、電荷発生層から電子を奪い取ってしまい、奪い取られた電子の対になるホールが感光体の表面側へ移動し、カブリやポチなどの画像不良を引き起こす。
さらに、高温高湿環境では、感光体における漏れ電流が大きくなる傾向があり、上記の画像不良がさらに引き起こされやすくなる傾向がある。この傾向は、保護層を有する感光体でより顕著であり、保護層が硬化型の保護層(ラジカル重合性モノマーのラジカル重合による重合物で一体的に構成される層)である感光体でより一層顕著である。
従来、上記金属酸化物粒子には、例えば、ルチル型の酸化チタン粒子、アナタース型の酸化チタン粒子および酸化スズ(IV)粒子などの金属酸化物粒子が、一種またはそれ以上で用いられている。これらの金属酸化物粒子は、通常、電子伝導性を高めつつ、価電子帯から伝導帯に遷移する電子に起因する漏れ電流を低減するための適当な処置が施される。
たとえば、ルチル型酸化チタン粒子およびアナタース型酸化チタン粒子は、無機金属化合物や有機化合物などによる表面処理によって電気抵抗を調整したり、金属酸化物粒子の粒径を調整したり、層を構成する樹脂と上記の粒子との比率を調整することにより、電子伝導性と電気抵抗との両立が図られている。
また、上記酸化スズ粒子は、上記の方法に加えて、結晶構造中における欠陥準位の形成により電子伝導性と電気抵抗との両立が図られる。ただし、欠陥準位はキャリアの移動度を低下させる要因になる。このため、酸化スズ粒子では、バンドギャップと上記移動度との調整が必要であり、また困難である。
上記の感光体の電位特性の低減および上記画像不良の発生の原因には、中間層の電気抵抗や分散されている金属酸化物粒子のバンドギャップに依るものが含まれる。本実施の形態では、上記金属酸化物粒子にラムスデライト型酸化チタン粒子を用いることにより、感光体における上記の電位特性とポチ、カブリなどの画像不良への耐性とを両立させている。
前述のルチル型またはアナタース型の酸化チタン粒子は、一般に上記電気特性に優れており、そのバンドキャップは、ルチル型で3.0eV、アナタース型で3.2eVであり、またブルッカイト型の酸化チタン粒子であれば、そのバンドギャップは3.0eVである。また、上記酸化スズ粒子のバンドキャップは、3.8eVであり、完全な結晶状態では絶縁体となる。上記酸化チタン粒子では、前述したように上記の画像不良の抑制に改善の余地が残されており、上記酸化スズ粒子では、適切な電気的特性の実現が困難である。
一方、ラムスデライト型の酸化チタン粒子のバンドギャップは、3.34eVである。このため、当該ラムスデライト型の酸化チタン粒子の価電子帯から伝導帯に遷移する電子が少なくなり、特に高温高湿下での熱励起などによる電子の遷移を低減でき、漏れ電流がより一層防止される。したがって、ラムスデライト型の酸化チタン粒子が分散された層を有する上記感光体は、高温高湿環境下での画像形成においても良好な電子伝導性と良好な電気抵抗との両方を実現することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る感光体は、導電性支持体と、上記導電性支持体上に重ねられて配置される複数の層とを有し、上記複数の層の少なくともいずれかがラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する。よって、本実施の形態によれば、高温高湿環境での電子写真方式の画像形成に用いられても、耐リーク性の不足による微小な画像不良の発生を長期に亘って抑制することができる。
上記複数の層が上記導電性支持体上に配置される中間層を含み、当該中間層が上記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有することは、高温高湿環境下での上記画像不良の発生をより確実に抑制する観点からより一層効果的である。
また、上記中間層がルチル型酸化チタン粒子およびアナタース型酸化チタン粒子の一方または両方をさらに含有することは、耐久性の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記ラムスデライト型酸化チタン粒子がその表面を覆う被覆層をさらに有し、上記被覆層が上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の無機金属酸化物による表面処理によって形成されていることは、高画質化の安定性を高める観点からより一層効果的である。
また、上記被覆層が上記ラムスデライト型酸化チタン粒子の有機化合物による表面処理によって形成されていることも、上記の観点からより一層効果的である。
また、本実施の形態は、上記複数の層がポリカーボネート骨格およびポリアリレート骨格の一方または両方の構造を有する樹脂を含有する電荷輸送層、フタロシアニン構造を有する化合物を含有する電荷発生層、あるいは、上記感光体の表面を構成する保護層をさらに含む上記感光体に対してより一層効果的である。
[金属酸化物粒子1の製造]
純度99.9%以上のスピネル型チタン酸リチウム(LiTi12)粉末、純度99.9%以上の金属チタン(Ti)粉末及び、純度99.9%以上の二酸化チタン(TiO)粉末の混合物をチタンのモル比で1:2:1となるように秤量し、均一に混合した。得られた混合物をニッケル製の密閉容器に入れて密栓し、電気炉を用いて1200℃に2時間加熱した。次いで、電気炉の高温部から常温の水中へ上記密閉容器を落下させることにより当該密閉容器の内容物を急冷し、こうしてラムスデライト型LixTiO(X=0.5)化合物を得た。
上記LixTiO化合物を粉砕し、得られた粉末試料を室温条件下で2日間希塩酸(HCl)中に分散させて、リチウム脱離処理を施すことにより、ラムスデライト型の結晶構造を保持したまま、ほぼ完全にリチウムが脱離されたLixTiO(0≦x<0.1)化合物を得た。リチウム脱離処理の後、得られた生成物を、蒸留水で洗浄した後、メタノール、エタノールで洗浄、次いで乾燥させることによって、ラムスデライト型二酸化チタン粒子を得た。当該ラムスデライト型二酸化チタン粒子は、白色の粉末試料であった。
この粉末試料について、SEM−EDX(日本電子製、商品名JSM−5400)に形態観察およびICP−AES(Perkin−Elmer社製、商品名Optima3000)による化学分析を行った。得られたチタン酸化物の化学分析による定量分析の結果(ICP−AES)、化学組成物はLi0.004TiOであることが明らかとなり、リチウム元素はほぼ残存していないことが明らかとなった。
さらに、試料の結晶構造を特定するために、二軸X線回折装置(リガク社製、商品名RINT2550V、「RINT」は同社の登録商標)を用いて粉末X線強度データを測定し、粉末X線構造解析を行った結果、出発原料である二酸化チタンは、化学式TiO、射法晶系、空間群Pbnmのラムスデライト型構造であることが明らかとなった。また、X線の回折角2θ(Cu)=5〜120°の粉末X線回折図形についてリートベルト法による構造解析によって最小二乗法により決定された格子定数は次の通りであった。
a=4.8441Å
b=9.4353Å
c=2.9634Å
得られたラムスデライト型二酸化チタン粒子500質量部に対し、65質量部の表面処理剤1と1500質量部のトルエンとを撹拌混合した後、ビーズミルにより、ミル滞留時間25分間、温度35℃で湿式解砕処理を行い、得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物を120℃で2時間加熱することにより、ラムスデライト型二酸化チタン粒子への表面処理剤1の焼き付けを行った。表面処理剤1によって表面処理されたラムスデライト型二酸化チタン粒子をピンミルにより粉砕し、こうして有機化合物である表面処理剤1によって表面処理されたラムスデライト型酸化チタン粒子である金属酸化物粒子1を得た。なお、表面処理剤1は、「メチルハイドロジェンポリシロキサン」(MHPS、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、信越化学工業株式会社製)である。
[金属酸化物粒子2の製造]
上記のラムスデライト型二酸化チタン粒子の表面に、常法によりアルミナによる被覆層を形成し、アルミナの被覆層を表面に有するアルミナ処理ラムスデライト型二酸化チタン粒子を得た。このアルミナ処理ラムスデライト型二酸化チタン粒子を金属酸化物粒子1の製造と同様にして表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子2を得た。
[金属酸化物粒子3の製造]
上記のラムスデライト型二酸化チタン粒子の表面に、常法によりシリカによる被覆層を形成し、シリカの被覆層を表面に有するラムスデライト型二酸化チタン粒子を得た。このアルミナ処理ラムスデライト型二酸化チタン粒子を金属酸化物粒子1の製造と同様にして表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子3を得た。
[金属酸化物粒子4の製造]
上記のラムスデライト型二酸化チタン粒子の表面に、常法によりアルミナおよびシリカの混合物による被覆層を形成し、アルミナ、シリカの両方を含む被覆層を表面に有するラムスデライト型二酸化チタン粒子を得た。このアルミナ、シリカ処理ラムスデライト型二酸化チタン粒子を金属酸化物粒子1の製造と同様にして表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子4を得た。
[金属酸化物粒子5の製造]
表面処理剤1に代えて表面処理剤2を用い、ラムスデライト型二酸化チタン粒子280質量部に対する表面処理剤2の使用量を16.8質量部に変更する以外は金属酸化物粒子1の製造と同様にして、金属酸化物粒子5を得た。表面処理剤2は、「KBM−503」(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製)である。
[金属酸化物粒子6の製造]
ラムスデライト型二酸化チタン粒子に代えてアルミナ処理ラムスデライト型二酸化チタン粒子を用いる以外は金属酸化物粒子5の製造と同様にして、金属酸化物粒子6を得た。
[金属酸化物粒子7〜9の製造]
ルチル型酸化チタン粒子「SMT500SAS」(テイカ株式会社製、数平均一次粒子径:35nm)を用意し、これを金属酸化物粒子7とした。また、ラムスデライト型二酸化チタン粒子に代えて金属酸化物粒子7を用いる以外は金属酸化物粒子1の製造と同様にして表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子8を得た。さらに、ムスデライト型二酸化チタン粒子に代えて金属酸化物粒子7を用いる以外は金属酸化物粒子2の製造と同様にして、アルミナ処理ルチル型酸化チタン粒子を表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子9を得た。
[金属酸化物粒子10、11の製造]
アナタース型酸化チタン粒子「SAMT600S」(テイカ株式会社製、数平均一次粒子径:6nm)を用意し、これを金属酸化物粒子10とした。また、ラムスデライト型二酸化チタン粒子に代えて金属酸化物粒子10を用いる以外は金属酸化物粒子1の製造と同様にして表面処理剤1により表面処理し、金属酸化物粒子11を得た。
[金属酸化物粒子12の製造]
ラムスデライト型二酸化チタン粒子に代えて酸化スズ粒子(CIKナノテック株式会社製、数平均一次粒子径:20nm、体積抵抗率:1.05×10(Ω・cm))を用いる以外は金属酸化物粒子5の製造と同様にして、金属酸化物粒子12を得た。
金属酸化物粒子1〜12の材料を表1に示す。
Figure 2018151516
[中間層用塗料1、2および11〜15の調製]
下記成分を下記の量で混合した液体をビーズミルにより、ミル滞留時間2時間として分散させた。得られた分散液を一昼夜静置した後、日本ポール株式会社製の「リジメッシュ」(「リジメッシュ」はポール社の登録商標)5μmフィルターを使用して50kPaの圧力下で濾過した。こうして、中間層用塗料1を調製した。
ポリアミド樹脂 100質量部
混合溶媒 1850質量部
金属酸化物粒子1 280質量部
なお、上記ポリアミド樹脂は、下記式(N−1)で表される構造を有する。また、上記混合溶媒は、エタノール、n−プロピルアルコールおよびテトラヒドロフランをこの順の体積比で50、20および30となる量で混合した溶液である。
Figure 2018151516
金属酸化物粒子1に代えて金属酸化物粒子2、8、9、11、12および7のそれぞれを用いる以外は中間層用塗料1の調製と同様にして、中間層用塗料2および11〜15のそれぞれを調製した。
[中間層用塗料3、4の調製]
金属酸化物粒子1に代えて金属酸化物粒子3、4のそれぞれを用い、かつ金属酸化物粒子の量を335質量部に変更する以外は中間層用塗料1の調製と同様にして、中間層用塗料3、4のそれぞれを調製した。
[中間層用塗料5、6の調製]
金属酸化物粒子1に代えて金属酸化物粒子5、6のそれぞれを用い、かつ金属酸化物粒子の量を224質量部に変更する以外は中間層用塗料1の調製と同様にして、中間層用塗料5、6のそれぞれを調製した。
[中間層用塗料7〜10の調製]
下記成分を下記の量で混合する以外は中間層用塗料1の調製と同様にして中間層用塗料7を調製した。
ポリアミド樹脂 100質量部
混合溶媒 1850質量部
金属酸化物粒子1 224質量部
金属酸化物粒子7 60質量部
また、金属酸化物粒子1に代えて金属酸化物粒子2を用いる以外は中間層用塗料7の調製と同様にして中間層用塗料8を調製した。さらに、金属酸化物粒子7に代えて金属酸化物粒子10を用いる以外は中間層用塗料7、8の調製と同様にして、中間層用塗料9、10のそれぞれを調製した。
[電荷発生層用塗料1の調製]
1,3−ジイミノイソインドリン29.2質量部をo−ジクロロベンゼン(ODB)200質量部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド20.4質量部を加え、窒素雰囲気下において150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルム、2%塩酸水溶液、水、メタノールで順次洗浄し、乾燥することにより、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、この粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250質量部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注ぎ、析出した結晶を濾過し、水洗してウェットペースト品225質量部を得た。
このウェットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥することにより、無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
この無定形チタニルフタロシアニン10.0質量部と、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比、チタニルフタロシアニンに対する当量比)をODB200質量部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。得られた反応液を一夜放置後、この反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗浄した。こうして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料からなる、10.3質量部の電荷発生物質CG−1を得た。
電荷発生物質CG−1のX線回折スペクトルにおいては、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが生じ、マススペクトルにおいては576と648にピークが生じ、IRスペクトルにおいては970cm−1付近にTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れた。また、熱分析(TG)においては390〜410℃に約7%の質量減少が生じた。以上のことより、電荷発生物質CG−1は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
下記の成分を下記の量で混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz、600W)を用いて循環流量40L/Hで分散した。こうして、電荷発生層用塗料1を調製した。
電荷発生物質CG−1 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂 12質量部
混合溶媒 600質量部
上記ポリビニルブチラール樹脂は、「エスレックBL−1」(積水化学工業株式会社製、「エスレック」は同社の登録商標)である。また、上記混合溶媒は、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンをこの順の体積比にて4:1で混合してなる溶液である。
[電荷発生層用塗料2の調製]
電荷発生物質CG−1に代えて電荷発生物質GaPCを用いる以外は電荷発生層用塗料1の調製と同様にして、電荷発生層用塗料2を調製した。電荷発生物質GaPCはCu−Kα特性X線回折における回折角(2θ±0.2)で、6.8°、12.8°、15.8°、26.6°に強いピークを有するガリウムフタロシアニン顔料である。
[電荷輸送層用塗料1〜3の調製]
下記の成分を下記の量で混合して溶解し、電荷輸送層用塗料1を調製した。
電荷輸送物質CT−1 150質量部
バインダー樹脂 300質量部
酸化防止剤 6質量部
テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル 1質量部
「電荷輸送物質CT−1」は、下記式(A)で表される化合物である。上記バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学株式会社製)である。上記酸化防止剤は、「Irganox1010」(BASF社製、「IRGANOX」は同社の登録商標)である。テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンは、いずれも溶媒である。上記シリコーンオイルは、「KF−50」(信越化学工業株式会社製)である。
また、電荷輸送物質CT−1に代えて電荷輸送物質CT−2を用い、その量を200質量部に変更する以外は電荷輸送層用塗料1の調製と同様にして、電荷輸送層用塗料2を調製した。さらに、電荷輸送物質CT−1に代えて電荷輸送物質CT−3を用い、その量を200質量部に変更する以外は電荷輸送層用塗料1の調製と同様にして、電荷輸送層用塗料3を調製した。電荷輸送物質CT−2、電荷輸送物質CT−3は、それぞれ、下記式(B)、(C)で表される化合物である。
Figure 2018151516
[保護層用塗料の調製]
下記の成分を下記の量で混合撹拌して十分に溶解、分散し、保護層用塗料を調製した。
金属酸化物粒子12 105質量部
重合性化合物 100質量部
電荷輸送物質 12質量部
重合開始剤 5質量部
ラジカル捕捉剤 5質量部
2−ブタノール 320質量部
THF 80質量部
上記重合性化合物は、メタクリレートモノマー「SR350」(日本化薬株式会社製)である。上記電荷輸送物質は、下記式(CTM−13)で表される化合物である。上記重合開始剤は、「Irgacure184」(BASF社製、「IRGACURE」は同社の登録商標)である。上記ラジカル捕捉剤は、「スミライザーGS」(住友化学工業株式会社製、「スミライザー」は同社の登録商標)である。2−ブタノールおよびTHFは、いずれも溶媒である。
Figure 2018151516
[感光体1の作製]
直径30mmの円筒状のアルミニウム支持体の表面を切削加工し、その表面を細かく粗面化した。こうして、導電性支持体を得た。
洗浄した上記導電性支持体の外周面に中間層用塗料1を浸漬塗布法で塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を120℃で30分間乾燥することにより、乾燥膜厚1.5μmの中間層1を作製した。中間層1における金属酸化物粒子と樹脂との体積比を、熱重量分析装置(TG)「DTG−60H」(株式会社島津製作所社製)によって求めたところ、当該体積比は、金属酸化物粒子1および樹脂の順で1:1であった。
次いで、電荷発生層用塗料1を中間層1上に浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥し、乾燥層厚0.5μmの電荷発生層1を作製した。
次いで、電荷発生層1上に電荷輸送層用塗料1を、円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥し、乾燥層厚20μmの電荷輸送層1を作製した。
次いで、電荷輸送層1上に前述の保護層用塗料を、円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し塗布膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を上記塗布膜に1分間照射することにより、乾燥膜厚3.0μmの保護層を作製した。こうして、導電性支持体上に中間層1、電荷発生層1、電荷輸送層1および保護層をこの順で有する感光体1を作製した。
[感光体2の作製]
中間層用塗料1に代えて中間層用塗料2を用い、保護層を作製しなかった以外は感光体1の作製と同様にして、感光体2を作製した。
[感光体3の作製]
中間層用塗料1に代えて中間層用塗料3を用い、電荷輸送層用塗料1に代えて電荷輸送層用塗料2を用いて乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を作製した以外は感光体1の作製と同様にして、感光体3を作製した。感光体3における中間層の金属酸化物粒子と樹脂との体積比は、金属酸化物粒子3および樹脂の順で1.2:1であった。
[感光体4の作製]
中間層用塗料3に代えて中間層用塗料4を用いて乾燥膜厚1.3μmの中間層を作製し、電荷輸送層用塗料2に代えて電荷輸送層用塗料3を用い、さらに保護層の乾燥膜厚が2.5μmである以外は感光体3の作製と同様にして、感光体4を作製した。
[感光体5の作製]
中間層用塗料1に代えて中間層用塗料5を用い、電荷発生層用塗料1に代えて電荷発生層用塗料2を用い、電荷輸送層用塗料1に代えて電荷輸送層用塗料2を用いて乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を作製し、さらに保護層の乾燥膜厚が2.5μmである以外は感光体1の作製と同様にして、感光体5を作製した。感光体5における中間層の金属酸化物粒子と樹脂との体積比は、金属酸化物粒子5および樹脂の順で0.8:1であった。
[感光体6の作製]
中間層用塗料5に代えて中間層用塗料6を用い、電荷輸送層用塗料2に代えて電荷輸送層用塗料1を用いて乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を作製した以外は感光体5の作製と同様にして、感光体6を作製した。
[感光体7の作製]
中間層用塗料2に代えて中間層用塗料7を用い、電荷輸送層の乾燥膜厚が25μmである以外は感光体2の作製と同様にして、感光体7を作製した。感光体7における中間層の金属酸化物粒子と樹脂との体積比は、金属酸化物粒子1、金属酸化物粒子7および樹脂の順で0.8:0.2:1であった。
[感光体8〜10の作製]
中間層用塗料7に代えて中間層用塗料8を用い、電荷輸送層の乾燥膜厚が20μmである以外は感光体7の作製と同様にして、感光体8を作製した。また、中間層用塗料7に代えて中間層用塗料9、10のそれぞれを用い、電荷輸送層の乾燥膜厚が20μmである以外は感光体7の作製と同様にして、感光体9、10のそれぞれを作製した。
[感光体11〜15の作製]
中間層用塗料2に代えて中間層用塗料11および13〜15のそれぞれを用いる以外は感光体2の作製と同様にして、感光体11および13〜15のそれぞれを作製した。また、中間層用塗料6に代えて中間層用塗料12を用いる以外は感光体6の作製と同様にして、感光体12を作製した。
[評価]
(1)評価用画像形成装置の準備
画像形成装置(コニカミノルタ株式会社製「bizhub C554」、「bizhub」は同社の登録商標)の画像形成ユニットの帯電装置を接触帯電方式の帯電装置に変更し、電子写真感光体として前述の感光体1〜15のそれぞれを搭載した。こうして評価用画像形成装置を用意した。
(2)HH環境でのカブリ
高温高湿(温度30℃、相対湿度(relative humidity)85%)の環境下で、上記評価用画像形成装置を用いて、印字率5%相当の文字チャートをA3用紙100,000枚に連続して印字した後に、A3白画像を出力し、感光体1周あたりの黒点の数および大きさを測定し、以下の基準で判定した。A1かB1である場合を合格とした。
A1 黒点の数が0〜1個
B1 黒点の数が2〜3個
C1 黒点の数が4〜7個
D1 黒点の数が8個以上
(3)耐刷に起因するハーフトーン画像ムラ
上記評価用画像形成装置を用いて印字率5%相当の文字チャートをA3用紙100,000枚に連続して印字した後に、均一なハーフトーン画像をA3用紙5枚に印刷し、得られたハーフトーン画像の画像濃度の用紙1枚当たりの平均値R2を算出した。当該平均値R2は、用紙1枚につき任意の10か所の画像濃度の測定値の平均値である。そして、上記5枚のハーフトーン画像における画像濃度の平均値の変動(最大値−最小値、ΔR2)を求め、当該平均値の変動からハーフトーン画像ムラを以下の基準で評価した。A2かB2である場合を合格とした。
A2 ΔR2が0以上0.2以下
B2 ΔR2の変動が0.2超0.3以下
C2 ΔR2の変動が0.3超0.4以下
D2 ΔR2の変動が0.4超
(4)ハーフトーン粒状性
上記高温高湿環境下で、上記評価用画像形成装置を用いて印字率が5%相当である文字チャートをA3用紙2000枚に連続して印字した後に、ハーフトーン画像(参照用ハーフトーン画像)をA3用紙1枚に印刷した。そして、上記評価用画像形成装置の電源を切り、8時間放置した後、当該評価用画像形成装置の電源を再び入れ、上記ハーフトーン画像をA3用紙20枚に連続して印刷し、得られたハーフトーン画像(評価用ハーフトーン画像)を目視にて観察した。
具体的には、当該技術の熟練技術者3名が、評価用ハーフトーン画像20枚の品質が参照用ハーフトーン画像の品質と同等であった場合には「5」、数枚に一部に拡大すると認められる劣化が10枚未満の評価用ハーフトーン画像に認められた場合には「4」、拡大しなくとも認められる劣化が10枚未満の評価用ハーフトーン画像に認められた場合には「3」、拡大しなくとも認められる劣化が10枚以上の評価用ハーフトーン画像に認められたな場合には「2」、20枚の評価用ハーフトーン画像中に劣化が激しく使用に耐えないものが含まれた場合には「1」の評点として評価し、熟練技術者の得点の平均値R3を算出し、以下の基準により評価した。A3かB3である場合を合格とした。
A3 R3が4以上
B3 R3が3以上4未満
C3 R3が2以上3未満
D3 R3が2未満
感光体1〜15の構成を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
Figure 2018151516
Figure 2018151516
表1〜3から明らかなように、感光体1〜10は、いずれも、高温高湿環境下におけるカブリの抑制、ハーフトーン画像における経時的な画像形成に伴う画像ムラ、およびハーフトーン画像の粒状性、のいずれにおいても十分に優れた性能を示している。これは、中間層に含有されるラムスデライト型酸化チタン粒子が、酸化チタン粒子としての利点を有しつつも、ルチル型またはアナタース型の酸化チタン粒子よりも大きなバンドギャップを有するため、中間層における高温環境での漏れ電流が少なくなる作用により、黒ポチ、カブリなどの微小な画像不良を少なくする効果にさらに優れるため、と考えられる。
これに対して、中間層が酸化チタン粒子を含有している感光体11〜13および15は、中間層が酸化スズ粒子を含有している感光体14に比べると、いずれも良好な性能を示しているが、感光体11〜15のいずれも、高温高湿環境下におけるカブリの抑制、ハーフトーン画像における経時的な画像形成に伴う画像ムラ、およびハーフトーン画像の粒状性、の少なくともいずれかにおいて不十分な性能を示している。これは、ルチル型またはアナタース型の酸化チタン粒子あるいは酸化スズ粒子を含有する中間層では、高温環境での漏れ電流を抑制する作用が、上記の画像不良を抑制する程には不十分であるため、と考えられる。
本発明によれば、有機感光体を用いる電子写真方式の画像形成において、より過酷な高温高湿環境下での画像形成であってもリーク電流による画像不良の発生が抑制される高画質の画像を長期に亘って安定して形成することが可能である。よって、本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置のさらなる普及が期待される。

Claims (8)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に重ねられて配置される複数の層と、を有する電子写真感光体において、
    前記複数の層の少なくともいずれかは、ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する、電子写真感光体。
  2. 前記複数の層は、前記導電性支持体上に配置される中間層を含み、
    前記中間層は、前記ラムスデライト型酸化チタン粒子を含有する、
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記中間層は、ルチル型酸化チタン粒子およびアナタース型酸化チタン粒子の一方または両方をさらに含有する、請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、その表面を覆う被覆層をさらに有し、
    前記被覆層は、前記ラムスデライト型酸化チタン粒子の無機金属酸化物による表面処理によって形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記ラムスデライト型酸化チタン粒子は、その表面を被覆する被覆層をさらに有し、
    前記被覆層は、前記ラムスデライト型酸化チタン粒子の有機化合物による表面処理によって形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記複数の層は、ポリカーボネート骨格およびポリアリレート骨格の一方または両方の構造を有する樹脂を含有する電荷輸送層をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記複数の層は、フタロシアニン構造を有する化合物を含有する電荷発生層をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記複数の層は、前記電子写真感光体の表面を構成する保護層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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