JP2018149745A - 木質複合板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木質複合板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、接着剤をベース基材の少なくとも一面に添加して接着層を形成させる接着層形成工程、接着剤を添加した木質小片等を接着層に配置する配置工程、並びに木質小片等を配置したベース基材を熱圧締して、木質小片等からなる表面基材とベース基材とが接着された木質複合板を得る熱圧成形工程を含む、木質複合板の製造方法であって、(i)接着層形成工程が、イソシアネート系接着剤と水との混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させる工程であること、(ii)熱圧成形工程の熱圧締が180℃超〜230℃の範囲の熱盤温度又は3.0MPa〜5.5MPaの範囲の最大面圧で行われること、(iii)表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、熱圧成形工程の熱圧締が、木質小片等配置面側の熱盤温度を反対面側の熱盤温度より低温にして行なわれることの少なくとも1を特徴とする前記製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、床材やその他の内装材などの基材として用いられる木質複合板の製造方法に関する。
通常、住宅の床仕上材として広く普及しているフローリング(以下、FL)には、主に基材の表面に突板、合成樹脂製シート、印刷紙などの化粧シートを貼付して得られる複合FLが用いられている。
複合FLの基材には、合板、繊維板、パーティクルボード(以下、PB)などの木質板が用いられる場合がある。
しかし、合板のみを用いると表面性が劣ることや表層密度が低いため耐傷性に劣るなどの問題がある。一方、繊維板やPBのみを用いると寸法安定性に劣るなどの問題がある。
このため、合板上に繊維板を貼付することにより、表面性、耐傷性や寸法安定性を全て有する木質複合板が多く用いられている。
しかし、合板と繊維板を貼り合せた木質複合板は、2種類の木質板の生産工程及びこれら木質板の複合化工程が必要となるため、煩雑な工程によりコストが高くなることや、物性の異なる合板と繊維板を貼り合わせると反りを生じる等の問題がある。
このため、特許文献1、2のような、反りを低減するため厚さを1.35mm厚や0.4mm〜1.0mm厚に薄くした繊維板が用いられているが、コストは低減されないことや反りの改善も十分ではないという問題があった。
一方、特許文献3、4のような、仮圧締後又は熱圧締後の合板の少なくとも一面に、尿素樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂、フェノール樹脂等の接着剤を吹付混合した木粉を散布積層し、熱圧締することで得られる合板が提案されている。
また、特許文献5のような、仮圧締前、仮圧締後、熱圧締後の針葉樹合板や針葉樹LVLの少なくとも一面に、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の接着剤を噴霧混合した木質繊維を載置し、熱圧締することで表面に厚さ1〜2mmの繊維層を形成する木質材が提案されている。
このような仮圧締前、仮圧締後、熱圧締後の合板などの少なくとも一面に、接着剤を噴霧混合した木粉や木質繊維などを配し熱圧締する方法は、工程合理化によるコスト低減効果が大きいが、合板などと木粉層や木質繊維層の界面のはく離が起こりやすいため十分な内部結合力が必要となる。しかし、特許文献3、5には、合板などと木粉層や木質繊維層界面の接着剤の有無や、内部結合力が示されていない。また、特許文献4には、界面に接着剤を塗布することが示されているが、接着剤の種類や塗布方法、内部結合力が示されていない。さらに、特許文献3、4には、反りの低減方法が示されていない。
また、特許文献5では、熱圧締後の木質繊維層は1〜2mm厚さであり、合板などの両面に木質繊維層を形成すると反りのないことが示されている。しかし、木質繊維層の厚さが1〜2mmでは耐傷性に問題があり、加えて、合板が針葉樹の場合、表面性に問題を生じる。また、両面に木質繊維層を形成するとコストアップとなる。
特許文献6のような、合板上にイソシアネート系などの接着剤を塗布した木粉を散布し、熱圧締により0.5〜2.0mm厚さの木材小片層を形成するフロアー用台板が提案されている。しかし、木粉に添加する接着剤が多量に必要となりコストを要することや合板と木粉層界面の接着剤の有無や内部結合力が示されていないことなど問題があった。また、木粉層が薄く耐傷性に問題のあることや、合板が針葉樹の場合、表面性にも問題を生じる。
特許文献7、8のように、PBや繊維板等の製造時に木質粒子や繊維に水乳化したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を吹付添加して得られるボード類が示されている。この際のMDIと水の質量比は10:10〜10:15程度である。MDIに対する水の添加割合は、熱圧締前のマット含水率の調整が主な目的であるため、その他種々の質量比をとり得る。
特許文献9、10のように、床材や化粧材の基材の製造時において、製品合板などと製品繊維板を接着する際の接着剤には、水性ビニルウレタン系や酢酸ビニル系などが用いられている。また、ウレタンホットメルト接着剤が用いられる場合もある。
特許文献11、12のように、合板や繊維板などと0.1〜0.2mm厚程度の薄い化粧シートの接着に用いるウレタンホットメルト接着剤に関する発明の中で、接着剤の添加方法としてあらゆる塗布機が挙げられ、その中に噴霧添加する装置が含まれている。
特許文献13のように、MDF若しくはMDFを基材とした木質ボードを家具や建材に利用する際に、最終的な化粧加工後に反りのない製品とするため、化粧加工前の基材の化粧処理面に凸反りを形成させる方法が提案されている。具体的には、MDF単体の熱圧締工程において、凸面側を高温、凹面側を低温というように上下熱盤を異なる温度とすることや、MDFと単板積層板などの複合材の製造過程において、熱圧締後の製品MDFと熱圧締前の単板積層マットを複合化する際の熱圧締時に下層単板を異なる含水率とすることなどである。しかし、MDF単体ではFL利用する際の寸法安定性が十分でない、合板などと複合化する際のコストや反りの低減方法及び内部結合力が示されていないなどの問題がある。MDFと単板積層板の複合材については、熱圧締後の製品MDFと熱圧締前の単板積層マットの複合化のため、MDF側の未硬化の接着剤を有効利用できずコスト低減が十分でないこと、下層単板の含水率が高いためパンクを生じやすくなるなど問題を生じる。さらに、これら基材に凸反りを形成させる方法は、化粧加工時に水分と熱が反りに影響を及ぼす突板加工を行う場合に有効であったが、近年、突板加工は大きく減少し、化粧加工前の基材に反りの低減されたものが求められているが、基材の反りの低減方法が示されていない。
特開平09−287274号公報 特開平10−86103号公報 特開昭53−32103号公報 特開平05−237809号公報 特開平04−52102号公報 特開2008−179065号公報 特開2000−119626号公報 特開2000−229308号公報 特開2013−127188号公報 特開2011−31463号公報 特開2015−196768号公報 特開2016−108510号公報 特開平06−155422号公報
本発明における課題は、FLやその他の内装材などの基材として利用可能であり、十分な内部結合力を有し、反りやコストが低減される木質複合板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、木質複合板の接着剤及び熱圧締条件を種々検討した結果として、下記の各発明を完成させた。
(1)接着剤をベース基材の少なくとも一面に添加して接着層を形成させる接着層形成工程、
接着剤を添加した木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を前記接着層に配置する配置工程、並びに
配置工程で得た木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置したベース基材を熱圧締して、木質小片及び/又は木質繊維からなる表面基材とベース基材とが接着された木質複合板を得る熱圧成形工程
を含む、木質複合板の製造方法であって、
以下の(i)〜(iii)
(i)接着層形成工程が、イソシアネート系接着剤と水との混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させる工程であること
(ii)熱圧成形工程の熱圧締が180℃超〜230℃の範囲の熱盤温度又は3.0MPa〜5.5MPaの範囲の最大面圧で行われること
(iii)表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、熱圧成形工程の熱圧締が、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度より低温にして行なわれること
の少なくとも1を特徴とする前記製造方法。
(2)(i)の接着層形成工程におけるイソシアネート系接着剤と水との混合物が、10質量部のイソシアネート系接着剤と1〜5質量部の水との乳化物又は衝突混合物である、(1)に記載の製造方法。
(3)(iii)の熱圧成形工程の熱圧締における、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度が110℃〜145℃であり、当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度が150℃〜230℃である、(1)に記載の製造方法。
本発明に係る木質複合板の製造方法は、工程合理化や接着剤及びその添加方法、熱圧締条件などにより低コストで十分な内部結合力を有し、かつ、反りの低減を図れるという優れた効果がある。ベース基材としてストランド・パーティクルボード(SPB)やPBを用いることにより、さらに低コスト化が図れる。
本発明は、接着剤をベース基材の少なくとも一面に添加して接着層を形成させる接着層形成工程、
接着剤を添加した木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を前記接着層に配置する配置工程、並びに
配置工程で得た木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置したベース基材を熱圧締して、木質小片及び/又は木質繊維からなる表面基材とベース基材とが接着された木質複合板を得る熱圧成形工程
を含む、木質複合板の製造方法であって、
以下の(i)〜(iii)
(i)接着層形成工程が、イソシアネート系接着剤と水との混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させる工程であること
(ii)熱圧成形工程の熱圧締が180℃超〜230℃の範囲の熱盤温度又は3.0MPa〜5.5MPaの範囲の最大面圧で行われること
(iii)表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、熱圧成形工程の熱圧締が、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度より低温にして行なわれること
の少なくとも1を特徴とする前記製造方法に関する。
木質複合板は、木質の、すなわち針葉樹材、広葉樹材、建築廃木材等あらゆる種類の木材の他、竹、ケナフ、バガス、稲わら等のリグニンとセルロースを含有する物質を原料とした複合板である。また、複合板とは、例えば、木質小片と単板のように複数の構成要素からなる板状の材料を意味する。
本発明の製造方法は、接着剤をベース基材の少なくとも一面に添加して接着層を形成させる接着層形成工程を含む。
本発明におけるベース基材は、熱圧成形により木質複合板を製造する際の土台となる材料である。FLとして利用するための木質複合板を製造する場合、ベース基材には、平面方向と厚さ方向の寸法安定性に優れる、主に厚さが9mm程度の合板又は木質ボードを用いることができる。合板には主に南洋材合板、輸入植林木合板、国産針葉樹合板などが用いられる。木質ボードとしては、特に、特開2002−240009号公報及び本発明者らの報告(吹野 信、堀江秀夫、佐藤 司、小川尚久:「ストランド・パーティクルボード(SPB)の製造技術(第1報)適性製造条件と吸水厚さ膨張率の抑制方法」、木材学会誌、45(6)、471−478(1999))に示すような平面方向と厚さ方向の寸法安定性に優れるSPBが好適である。FL以外で寸法安定性を求められない用途の内装材として利用される木質複合板を製造する場合は、安価なPBを用いることができる。
ベース基材は、熱圧締後に前記合板や木質ボードとなる仮圧締前の堆積単板やマット、仮圧締後の半製品状態のものでもよい。
熱圧成形前のベース基材の含水率は20%程度以下、特に15%程度以下であることが好ましい。含水率が20%程度より高い場合は熱圧時間が長くなって生産性が低下したり、熱圧締後の解圧時にパンクを生じ易くなるなどの傾向が認められる。
ベース基材の少なくとも一面には接着剤が添加され、接着層が形成される。接着層形成工程における接着剤としては、イソシアネート系接着剤、特にジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。添加方法は、噴霧添加であり、少量の樹脂で薄く均質な接着層を得るため、噴霧した接着剤溶液が噴霧圧の及ぶ範囲で直接ベース基材の表面に添加されるよりも、ベース基材の十分に上方から噴霧され、一旦、接着剤添加装置内でミスト状となった接着剤溶液が接着剤添加装置下部に位置するベース基材の表面上に重力により散布堆積するように添加されるのが好ましい。
本発明の製造方法は、接着剤を添加した木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を前記接着層に配置する配置工程を含む。ここで木質小片とは、主に化粧PBの化粧シートが接着されるPB表層に用いられる微細な小片であり、また木質繊維とは、主に繊維板の製造に用いられる繊維である。
これら木質小片や木質繊維に接着剤を噴霧添加する。ここで噴霧添加される接着剤は、接着層形成工程における接着剤とは関係なく選択することができ、例えばユリア樹脂接着剤、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤など通常のあらゆる接着剤を単独使用又は併用できるが、特にイソシアネート系接着剤単独、イソシアネート系接着剤とメラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤又はフェノール樹脂接着剤などの併用が好ましい。なお、イソシアネート系接着剤の中でも、特にジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好適である。
これら接着剤を噴霧添加した木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物は、主に表面性や表面硬度を向上させる目的で、ベース基材に形成された前記接着層に、熱圧締後の厚さ0.5mm〜4.0mm程度、好ましくは2.1mm〜3.0mm程度、密度0.65g/cm〜1.20g/cm程度、好ましくは0.75g/cm〜1.10g/cm程度となるよう配置される。すなわち、前記接着層上に木質小片及び/又は木質繊維を散布堆積させる。あるいは、木質小片及び/又は木質繊維を散布堆積し仮圧締した堆積物を前記接着層上に配置する。木質小片及び/若しくは木質繊維を散布堆積したもの又はそれらを仮圧締した堆積物上にベース基材の前記接着層が形成された面を配置してもよい。
接着層に配置される木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物の含水率は5%〜25%程度、特に10%〜20%程度であることが好ましい。含水率が5%程度より低いときは、厚さ方向の寸法安定性が劣る又は表層密度が高まらないといった傾向が認められるようになり、25%程度より高い場合は、熱圧時間が長くなり生産性が低下したり熱圧締後の解圧時にパンクを生じ易くなるなどの傾向が認められるようになる。
本発明の製造方法は、配置工程で得た木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置したベース基材を熱圧締して、木質小片及び/又は木質繊維からなる表面基材とベース基材とが接着された木質複合板を得る熱圧成形工程を含む。
本発明における表面基材は、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置したベース基材を熱圧締することでベース基材と接着した形で得られる、木質複合板を構成する木質材料である。表面基材は、土台であるベース基材の少なくとも一面に接着された、木質複合板の表面に位置する基材を意味し、美観の付与を主な目的とした加工層及び表面加工の保護を目的として積層された材料を意味するものではない。
上記接着層形成工程、配置工程及び熱圧成形工程によって、木質複合板が製造されるが、かかる本発明の製造方法は、さらに下記(i)〜(iii)の少なくとも1を特徴とする。
(i)接着層形成工程が、イソシアネート系接着剤と水との混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させる工程であること
(ii)熱圧成形工程の熱圧締が180℃超〜230℃の範囲の熱盤温度又は3.0MPa〜5.5MPaの範囲の最大面圧で行われること
(iii)表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、熱圧成形工程の熱圧締が、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度より低温にして行なわれること
(i)は、接着層形成工程に関する特徴であり、具体的には接着層を形成する接着剤がイソシアネート系接着剤と水との混合物、特にイソシアネート系接着剤と水との乳化物又は衝突混合物であり、それらが噴霧添加されるという特徴である。イソシアネート系接着剤と水との混合比は、好ましくは質量比でイソシアネート系接着剤:水=10:1〜10:5程度、より好ましくは10:2〜10:4程度である。上記範囲よりも水の割合が小さいと、熱圧締後に反りが生じ易くなる傾向が認められるようになる。また、接着剤溶液の粘度が上がること及び接着剤溶液量が少なくなることにより、噴霧添加した際の接着剤溶液の点数が減少し、内部結合力が低下する傾向も認められるようになる。逆に水の割合が大きいと、熱圧締時にパンクを生じたり、接着剤溶液量が多くなりすぎて接着に必要な樹脂分量が噴霧添加できず、オーバーフローしたりする傾向が認められるようになる。なお、噴霧添加量は、樹脂分換算で35g/m〜70g/m程度、好ましくは45g/m〜60g/m程度であればよい。
接着層形成工程において、イソシアネート系接着剤と水との混合物、特に10質量部のイソシアネート系接着剤と1〜5質量部の水との乳化物又は衝突混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させた後の熱圧締は、標準条件すなわち熱盤温度110℃〜145℃程度、最大面圧1.5MPa〜2.5MPa程度で行ってもよく、(ii)又は(iii)に示される条件で行ってもよい。ここで最大面圧とは、熱圧締される材料が受ける単位面積当たりの最大圧締圧力を示す。係る工程を経ることにより、十分な内部結合力及び反りの小さい木質複合板を得ることができる。
なお、熱盤温度が110℃程度、プレスの最大面圧が1.5MPa程度より低い場合、熱圧時間や加圧時間が長くなって生産性が低下する、寸法安定性が劣る、表層密度が高まらないなどの傾向が認められるようになる。
(ii)は、接着層における接着剤に依存しない、熱圧締の条件に関する特徴であり、熱盤温度180℃超〜230℃程度又は最大面圧3.0MPa〜5.5MPa程度のように、熱盤温度又は最大面圧の少なくとも一方を前記標準条件より高くするという特徴である。この条件によって熱圧締を行うことで、反りの小さい木質複合板を得ることができる。
熱盤温度が230℃程度より高い場合やプレスの最大面圧が5.5MPa程度より高い場合、熱圧締後の解圧時にパンクが生じ易くなるなどの傾向が認められるようになる。
(iii)は、接着層における接着剤に依存しない、熱圧締の条件に関する特徴であり、表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を、当該面の反対側のベース基材面側の熱盤温度より低温にして熱圧締するという特徴である。具体的には、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を110℃〜145℃程度、好ましくは120℃〜140℃程度とし、当該面の反対側のベース基材面側の熱盤温度を150℃〜230℃程度、好ましくは155℃〜200℃程度とするものである。木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度が110℃程度より低い場合、熱圧時間が長くなるため生産性が低下する、寸法安定性に劣る、表層密度が高まらないなどの傾向が認められるようになる。また、145℃程度より高い場合、反りの低減効果が小さくなる傾向が認められるようになる。一方、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側と反対側のベース基材面側の熱盤温度が150℃程度より低い場合、反りの低減効果が小さくなる傾向が認められ、また、230℃より高い場合、熱圧締後の解圧時にパンクを生じ易くなる傾向が認められるようになる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
2.0mm厚、30cm角のトドマツ単板5枚を用意し、各隣接単板の界面にフェノール樹脂接着剤を溶液量で211g/m(樹脂分換算93g/m)程度塗布した。繊維方向が交差するように積層し、最大面圧1.0MPa程度で30分間程度仮圧締し、本発明におけるベース基材となる仮圧締済合板を得た。
仮圧締済合板の一面に、質量比でMDI:水=10:3程度となるよう水で乳化したMDI溶液を67g/m(樹脂分換算51g/m)程度噴霧添加し、接着層を形成させた。接着層上に、予め接着剤としてMDIを全乾木質重量比で10%程度噴霧添加した化粧PBの表層用の木質小片を、熱圧締後の厚さが2.7mm程度、密度が0.80g/cm程度となるよう散布堆積した。
表層用の木質小片を散布堆積した合板を、熱盤温度135℃程度、最大面圧2.0MPa程度で熱圧締し、木質複合板1を得た。得られた木質複合板について、20℃・65%RHの恒温恒湿室に放置し、恒量となった際の反り量や平面方向の長さ変化率、JIS A 5908に準じた気乾密度、はく離強さ(内部結合力)、吸水厚さ膨張率を測定した。反り量とは、木質複合板を測定台に載置し、1枚につき表裏各4隅とその中央4点の計16点における測定台水平面から板材下面までの隙間量の平均値である。また、平面方向の長さ変化率とは、20℃・65%RHで恒量となった際の寸法をL、105℃のオーブンで48時間乾燥し全乾状態となった際の寸法をLとした場合、平面方向の寸法変化率(%)=(L−L)/L×100である。これらの結果を表1に示す。
<実施例2>
熱圧締条件以外、実施例1と同じ方法で木質複合板2を得た。なお、熱圧締条件は、熱盤温度200℃程度、最大面圧2.0MPa程度とした。実施例1と同じ物性試験を行った結果を表1に示す。
<実施例3>
熱圧締条件以外、実施例1と同じ方法で木質複合板3を得た。なお、熱圧締条件は、熱盤温度135℃程度、最大面圧4.0MPa程度とした。実施例1と同じ物性試験を行った結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1と同じ方法で得た仮圧締済合板を、熱盤温度110℃程度、最大面圧1.0MPa程度で270秒間程度熱圧締し、本発明におけるベース基材となる合板を得た。実施例1と同じ方法で合板の片方の面に水乳化MDI溶液を噴霧添加して接着層を形成させ、接着剤を噴霧添加した木質繊維を散布堆積後、実施例1と同じ条件で熱圧締して木質複合板4を得た。実施例1と同じ物性試験を行った結果を表1に示す。
<実施例5>
木質繊維に代えて木質小片を用いた以外、実施例4と同じ方法で木質複合板5を得た。実施例1と同じ物性試験を行った結果を表1に示す。
<実施例6>
熱圧締条件以外、実施例5と同じ方法で木質複合板6を得た。なお、熱圧締条件は、木質小片を散布堆積して配置した面側の熱盤温度を135℃程度、反対側のベース基材面側の熱盤温度を165℃程度、最大面圧2.0MPa程度とした。実施例1と同じ物性試験を行った結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1と同じ方法で得たベース基材となる仮圧締済合板の一面に水との乳化や衝突混合を行わないMDIを51g/m程度噴霧添加して接着層を形成させた。実施例1と同じ方法で接着剤を噴霧添加した表面基材となる木質繊維を接着層上に散布堆積し、熱圧締して木質複合板(比較例1)を得た。得られた木質複合板について、20℃・65%RHの恒温恒湿室に放置し、恒量となった際の反り量とJIS A 5908に準じた気乾密度を測定した結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1と同じ方法で得たベース基材となる仮圧締済合板の片方の面にフェノール樹脂接着剤を溶液量で211g/m(樹脂分換算93g/m)程度塗布して接着層を形成させた。実施例1と同じ方法で接着剤を噴霧添加した表面基材となる木質繊維を接着層上に散布堆積し、熱圧締して木質複合板(比較例2)を得た。得られた木質複合板について、20℃・65%RHの恒温恒湿室に放置し、恒量となった際のJIS A 5908に準じた気乾密度、はく離強さを測定した結果を表1に示す。
<比較例3>
熱圧締条件以外、実施例1と同じ方法で木質複合板(比較例3)の製造を試みた。なお、熱圧締条件は熱盤温度200℃程度、最大面圧5.0MPa程度とした。しかしながら解圧時にパンクを生じ、木質複合板は得られなかった。
Figure 2018149745
表1から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例1〜6の木質複合板は、比較例2と比較して内部結合力が大きく向上する。また、MDIとフェノール樹脂接着剤は樹脂分あたりの価格が同程度であることから接着剤コストも大きく低減できる。また、熱圧締条件の内、熱盤温度のみを高くした実施例2、最大面圧のみを高くした実施例3、表裏の熱盤温度を異なる温度とした実施例6は、特に反り量が低減された。

Claims (3)

  1. 接着剤をベース基材の少なくとも一面に添加して接着層を形成させる接着層形成工程、
    接着剤を添加した木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を前記接着層に配置する配置工程、並びに
    配置工程で得た木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置したベース基材を熱圧締して、木質小片及び/又は木質繊維からなる表面基材とベース基材とが接着された木質複合板を得る熱圧成形工程
    を含む、木質複合板の製造方法であって、
    以下の(i)〜(iii)
    (i)接着層形成工程が、イソシアネート系接着剤と水との混合物をベース基材の少なくとも一面に噴霧添加して接着層を形成させる工程であること
    (ii)熱圧成形工程の熱圧締が180℃超〜230℃の範囲の熱盤温度又は3.0MPa〜5.5MPaの範囲の最大面圧で行われること
    (iii)表面基材がベース基材の一面に接着された木質複合板を製造する場合、熱圧成形工程の熱圧締が、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度を当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度より低温にして行なわれること
    の少なくとも1を特徴とする前記製造方法。
  2. (i)の接着層形成工程におけるイソシアネート系接着剤と水との混合物が、10質量部のイソシアネート系接着剤と1〜5質量部の水との乳化物又は衝突混合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. (iii)の熱圧成形工程の熱圧締における、木質小片及び/若しくは木質繊維又はそれらの堆積物を配置した面側の熱盤温度が110℃〜145℃であり、当該面と反対側のベース基材面側の熱盤温度が150℃〜230℃である、請求項1に記載の製造方法。

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